2021年6月7日月曜日

小児頭痛の歴史的背景と現状

風邪と同じように頭痛はありふれた症状で
ほとんどの人が程度、期間には差があるにしろ
経験したことのある疾患です。
自分の子供が「頭が痛い。」といった時、
どうするでしょうか?
それが数日で治まればいいですが、
慢性化した時には病院に行くなど
なんらかの処置が必要です。
しかし、子供は自分の症状を
客観的、論理的にに説明する事が難しいです。
特に小学生以下の子供の場合はそうです。
親が子供を観察する中で説明せざるを得ない場合もあります。
このような状況に鑑みると、
子供の頭痛に対する適切な治療というのは
非常に難しさがあると考えられます。
また、一方で下述するように
子供の頭痛に対する理解も歴史的にも認知が浅く、
また子供に特化したエビデンスベースの研究も
十分に進んでいない事から治療そのものにも課題があります。

本日はIshaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand(敬称略)
イギリスとアメリカの医療研究グループが
総括されている子供(主に13歳以下)の片頭痛症候群について
その歴史的背景と現状の概略(1)について
読者の方と情報共有したいと思います。
これから段階的に共有していく子供の片頭痛の情報において
世界の中でこの疾患に対する何らかの注意喚起、認知
あるいは行動変容が得られることを望みます。

//歴史的背景と現状//ーーー
片頭痛は歴史的には数百年前から知られていたとされています(2)。
しかし、子供の片頭痛については
それよりも歴史的には浅いとされています(1)。
子供の片頭痛については特に
十分な記述、理解、分類がなされていないのが現状です。

片頭痛は頭痛を伴うものが主ですが、
腹部の激しい痛みのように頭部以外の痛みにおいて
その病因が同一である可能性がある症状もあります。
そのような中で
International Classification of Headache Disorders(ICHD-3)
は片頭痛について以下のような分類をしています。
(下記、別項目記載(*))
片頭痛には前兆がない突発性のものが多いとされています(3)。
しかし、片頭痛の前兆の病態生理学に関して研究することは
片頭痛に発展するプロセスに関与する
脳神経の複雑なつながり、ネットワークを理解することに
つながるとされています。
脳のどのような部位(野)、神経系細胞、非神経系細胞、間質
循環器系、免疫機能、
あるいはタンパク質、核酸などが関与しているのか?
その中で特定のバイオマーカーはあるのか?
そのような研究も含むと考えています。

前述したように子供の片頭痛においては
臨床症状それに対する検査、診断などの蓄積
あるいは薬剤の効果、それを調べる治験など
つまりエビデンスベースの分類、定義が不足しているといわれています。
下記、ICHD-3の片頭痛の分類は
大人の片頭痛をベースとして作られています。
またこの分野の専門家の意見が参照されています(3-5)。
現状、子供の片頭痛に関しては
・前兆のない片頭痛
・片頭痛と関連が見らえる症状(頭部以外も含む)
これらの2分類に留まるとされています(6,7)。

そこでIshaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand(敬称略)らは
片頭痛と関連するかもしれない
数ある症候群の関連性について総括の中で考える事。
それをすることがどのような利点があるのか?
この事について
Tarantino, S(敬称略)らの総括(8)を参考にしながら考えていく
ことを目的にしています。
ーーー

//(*)ICHD-3による分類(Ref.(1) See Box1)//ーー
・前兆がない片頭痛
・前兆がある片頭痛
  典型的な前兆、脳幹の前兆、片側まひの片頭痛、網膜片頭痛
・慢性的な片頭痛
・片頭痛の合併症
  Status migrainosus(長期間、激しい頭痛)
  梗塞のない持続的な前兆
  梗塞性片頭痛
  てんかん発作を伴う
・片頭痛が疑われるケース(Probable migraine)
  (程度としては軽いもの?関連性がより不明瞭なもの?)
・片頭痛と関連する一時的な症状
  再発性胃腸症状(嘔吐、痛み)
  良性発作性めまい
  良性発作性斜頸
ーー
  
(Reference)
(1)
Ishaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand 
The childhood migraine syndrome
Nature Reviews Neurology (2021)

Author information
Affiliations
Paediatric Neurosciences Unit, Royal Hospital for Children, Glasgow, UK
Ishaq Abu-Arafeh
Neurology and Pediatrics, University of California San Francisco, San Francisco, CA, USA
Amy A. Gelfand

(2)
Isler, H. & Koehler, P. J. in The Headaches (eds Olesen, J., 
Goadsby, P. J., Ramadan, N., Tfelt-Hansen, P. &  
Welch, K. M.) 1–7 (Lippincott Williams & Wilkins, 
2006).
(3)
Headache Classification Committee of the International 
Headache Society (HIS). The international classification 
of headache disorders, 3rd edition. Cephalalgia 38, 
1–211 (2018).
(4)
Headache Classification Committee of the 
International Headache Society. Classification and 
diagnostic criteria for headache disorders, cranial 
neuralgias and facial pain. Cephalalgia. 8 (Suppl. 7), 
9–96 (1988).
(5)
Headache Classification Committee of the 
International Headache Society. The international 
classification of headache disorders, 2nd edition. 
Cephalalgia. 24, 8–160 (2004).
(6)
Özge, A. et al. 
Experts’ opinion about the primary headache diagnostic criteria of the ICHD-3rd edition beta in children and adolescents. 
J. Headache Pain 18, 109 (2017).
(7)
 Özge, A. et al. 
Experts’ opinion about the secondary headache diagnostic criteria of the ICHD-3rd edition beta in children and adolescents. 
J. Headache Pain 18, 113 (2017).
(8)
Tarantino, S. et al. 
Migraine equivalents as part of migraine syndrome in childhood. 
Pediatr. Neurol. 51, 645–649 (2014). 


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