頭痛というのは多くの人が少なくとも一度は
経験したことがある神経症状です。
それが問題とならない場合には
慢性化することなく、一時的です。
ー
その頭痛の中で一つ深刻で医療として向き合っていく
必要があるのが片頭痛です。
こめかみから目にかけて片側に脈打つように
痛みが出る事が多く、時には両側、後頭部まで
その痛みが及ぶとされています。
ー
アメリカの疫学調査によれば
ピークの年齢が15~30歳くらいで
女性が高く(男性の4倍から5倍)
2~2.5%と比較的高い罹患率になっています(2)
(See Fig.1)
女性が高いのは全年齢に当てはまり、
その中で一つ注視する必要があるのが
15歳以下の幼児を含む年齢でも罹患例が
比較的多く存在するということです(2)。
(See Fig.1)
この年齢層(の一部)は学業が一つ主な取り組みです。
片頭痛に罹患している人は
学習能力に悪影響が出る事が報告されています(3,4)。
ー
特に幼児期の日常の中での体験、(経験に基づく)学習は
その後の人生に影響を与えるものであると考えられるので
適切な診断、ケアができれば、
広範にわたる予後をより良くできる可能性があります。
ー
Ishaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand(敬称略)
イギリス、アメリカの医療研究グループは
Childfood(13歳未満)を対象にした
片頭痛症候群について基礎医学から臨床まで
幅広い視点で総括されています(1)。
本日は、その概略について読者の方と情報共有したいと思います。
//概略//---------------
片頭痛は複合的な遺伝子に関連する脳の疾患です。
その病理は複雑で、症状は多形、様々です。
その傾向は特に子供では強くなっています。
現在
The International Classification of Headache Disorders
と呼ばれるガイドラインがあり、
これが片頭痛に関連するとされています。
Ishaq Abu-Arafeh氏、Amy A. Gelfand氏は
このガイドラインを参照しながら総説されています。
ー
子供の片頭痛症候群は以下です。
-
・腹性片頭痛(abdominal migraine)
これはいわゆる頭痛ではありません。
激しい腹痛、吐き気、嘔吐などの症状を示します。
その原因は片頭痛と同じであるとされています。
-
・Cyclical vomiting syndrome(周期的な吐き気)
定期的に嘔吐や吐き気を催すことです。
これを示す子供は稀であるとされています。
-
・良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal vertigo)
特定の方向に動かした時にだけ生じるめまいです。
-
・Benign paroxysmal torticollis(良性発作性斜頸)
子供の頭や胴体が特定の方向に傾斜することです。
その傾斜時間にはばらつきがあります。
この症状を示す子供は稀であるとされています。
-
・乳児疝痛(infantile colic)
乳児が1日に3時間以上泣く頻度が
通常では1週間に1度程度ですが
それが週に3日以上生じることです(5)。
泣く時間は夕方が多いとされています(5)。
ー
これらの症状、疫学的な特徴、遺伝的な形質
などに基づいて「子供の片頭痛症候群」として
統一的な診断を下します。
ー
Ishaq Abu-Arafeh氏、Amy A. Gelfand氏が
述べられている意見は
専門家と臨床医師とをつなぎ、
これらの複数の臨床症状における評価の中で
片頭痛について考える事です。
それらの病因の共通項などを探ることも考えられます。
そのために遺伝子的、病理的、臨床症状としての研究を
片頭痛に該当する全ての症状に対して行うことです。
ー
子供の片頭痛症候群を適切に診断する事は
過去から現在に至るまでの治験を包摂的に利用し
そこから臨床的なベネフィットを得る事を可能にします。
そのことは潜在的に治療の選択肢を増やすことに
つながると考えられます。
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(Reference)
(1)
Ishaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand
The childhood migraine syndrome
Nature Reviews Neurology (2021)
ー
Author information
Affiliations
Paediatric Neurosciences Unit, Royal Hospital for Children, Glasgow, UK
Ishaq Abu-Arafeh
Neurology and Pediatrics, University of California San Francisco, San Francisco, CA, USA
Amy A. Gelfand
ー
(2)
Serena L. Orr, Marielle A. Kabbouche, Hope L. O’Brien, Joanne Kacperski, Scott W. Powers & Andrew D. Hershey
Paediatric migraine: evidence-based management and future directions
Nature Reviews Neurology volume 14, pages515–527 (2018)
ー
Author information
Affiliations
Division of Neurology, Cincinnati Children’s Hospital Medical Center, Cincinnati, OH, USA
Serena L. Orr, Marielle A. Kabbouche, Hope L. O’Brien, Joanne Kacperski & Andrew D. Hershey
Department of Pediatrics, University of Cincinnati College of Medicine, Cincinnati, OH, USA
Marielle A. Kabbouche, Hope L. O’Brien, Joanne Kacperski, Scott W. Powers & Andrew D. Hershey
Division of Behavioral Medicine and Clinical Psychology, Cincinnati Children’s Hospital Medical Center, Cincinnati, OH, USA
Scott W. Powers
ー
(3)
Arruda, M. & Bigal, M. E.
Migraine and migraine subtypes in preadolescent children: association with school performance.
Neurology 79, 1881–1888 (2012).
(4)
Rocha- Filho, P. A. & Santos, P. V.
Headaches, quality of life, and academic performance in schoolchildren and adolescents.
Headache 54, 1194–1202 (2014).
(5)
Johnson, JD; Cocker, K; Chang, E
Infantile Colic: Recognition and Treatment.
American Family Physician. 92 (7): 577–82 (1 October 2015).
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