2021年6月1日火曜日

子供の片頭痛に対する総合医療の概要

頭痛というのは多くの人が少なくとも一度は
経験したことがある神経症状です。
それが問題とならない場合には
慢性化することなく、一時的です。

その頭痛の中で一つ深刻で医療として向き合っていく
必要があるのが片頭痛です。
こめかみから目にかけて片側に脈打つように
痛みが出る事が多く、時には両側、後頭部まで
その痛みが及ぶとされています。

アメリカの疫学調査によれば
ピークの年齢が15~30歳くらいで
女性が高く(男性の4倍から5倍)
2~2.5%と比較的高い罹患率になっています(2)
(See Fig.1)
女性が高いのは全年齢に当てはまり、
その中で一つ注視する必要があるのが
15歳以下の幼児を含む年齢でも罹患例が
比較的多く存在するということです(2)。
(See Fig.1)
この年齢層(の一部)は学業が一つ主な取り組みです。
片頭痛に罹患している人は
学習能力に悪影響が出る事が報告されています(3,4)。

特に幼児期の日常の中での体験、(経験に基づく)学習は
その後の人生に影響を与えるものであると考えられるので
適切な診断、ケアができれば、
広範にわたる予後をより良くできる可能性があります。

Ishaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand(敬称略)
イギリス、アメリカの医療研究グループは
Childfood(13歳未満)を対象にした
片頭痛症候群について基礎医学から臨床まで
幅広い視点で総括されています(1)。
本日は、その概略について読者の方と情報共有したいと思います。

//概略//---------------
片頭痛は複合的な遺伝子に関連する脳の疾患です。
その病理は複雑で、症状は多形、様々です。
その傾向は特に子供では強くなっています。
現在
The International Classification of Headache Disorders
と呼ばれるガイドラインがあり、
これが片頭痛に関連するとされています。
Ishaq Abu-Arafeh氏、Amy A. Gelfand氏は
このガイドラインを参照しながら総説されています。

子供の片頭痛症候群は以下です。
-
・腹性片頭痛(abdominal migraine)
これはいわゆる頭痛ではありません。
激しい腹痛、吐き気、嘔吐などの症状を示します。
その原因は片頭痛と同じであるとされています。
-
・Cyclical vomiting syndrome(周期的な吐き気)
定期的に嘔吐や吐き気を催すことです。
これを示す子供は稀であるとされています。
-
・良性発作性頭位めまい症(Benign paroxysmal vertigo)
特定の方向に動かした時にだけ生じるめまいです。
-
・Benign paroxysmal torticollis(良性発作性斜頸)
子供の頭や胴体が特定の方向に傾斜することです。
その傾斜時間にはばらつきがあります。
この症状を示す子供は稀であるとされています。
-
・乳児疝痛(infantile colic)
乳児が1日に3時間以上泣く頻度が
通常では1週間に1度程度ですが
それが週に3日以上生じることです(5)。
泣く時間は夕方が多いとされています(5)。

これらの症状、疫学的な特徴、遺伝的な形質
などに基づいて「子供の片頭痛症候群」として
統一的な診断を下します。

Ishaq Abu-Arafeh氏、Amy A. Gelfand氏が
述べられている意見は
専門家と臨床医師とをつなぎ、
これらの複数の臨床症状における評価の中で
片頭痛について考える事です。
それらの病因の共通項などを探ることも考えられます。
そのために遺伝子的、病理的、臨床症状としての研究を
片頭痛に該当する全ての症状に対して行うことです。

子供の片頭痛症候群を適切に診断する事は
過去から現在に至るまでの治験を包摂的に利用し
そこから臨床的なベネフィットを得る事を可能にします。
そのことは潜在的に治療の選択肢を増やすことに
つながると考えられます。
--------------

(Reference)
(1)
Ishaq Abu-Arafeh & Amy A. Gelfand 
The childhood migraine syndrome
Nature Reviews Neurology (2021)

Author information
Affiliations
Paediatric Neurosciences Unit, Royal Hospital for Children, Glasgow, UK
Ishaq Abu-Arafeh
Neurology and Pediatrics, University of California San Francisco, San Francisco, CA, USA
Amy A. Gelfand

(2)
Serena L. Orr, Marielle A. Kabbouche, Hope L. O’Brien, Joanne Kacperski, Scott W. Powers & Andrew D. Hershey 
Paediatric migraine: evidence-based management and future directions
Nature Reviews Neurology volume 14, pages515–527 (2018)

Author information
Affiliations
Division of Neurology, Cincinnati Children’s Hospital Medical Center, Cincinnati, OH, USA
Serena L. Orr, Marielle A. Kabbouche, Hope L. O’Brien, Joanne Kacperski & Andrew D. Hershey
Department of Pediatrics, University of Cincinnati College of Medicine, Cincinnati, OH, USA
Marielle A. Kabbouche, Hope L. O’Brien, Joanne Kacperski, Scott W. Powers & Andrew D. Hershey
Division of Behavioral Medicine and Clinical Psychology, Cincinnati Children’s Hospital Medical Center, Cincinnati, OH, USA
Scott W. Powers

(3)
Arruda, M. & Bigal, M. E. 
Migraine and migraine subtypes in preadolescent children: association with school performance. 
Neurology 79, 1881–1888 (2012).
(4)
Rocha- Filho, P. A. & Santos, P. V. 
Headaches, quality of life, and academic performance in schoolchildren and adolescents. 
Headache 54, 1194–1202 (2014).
(5)
Johnson, JD; Cocker, K; Chang, E 
Infantile Colic: Recognition and Treatment. 
American Family Physician. 92 (7): 577–82 (1 October 2015). 


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