ケラタン硫酸(Keratan sulfate)、またはケラトサルフェートは、
いくつかの硫酸化グリコサミノグリカン(構造糖質)を指し、
特に角膜、軟骨、骨に多く見られます。
ケラタン硫酸は、中央神経系でも合成され、
発生過程や神経損傷後のグリア瘢痕の形成に関与しています。
ケラタン硫酸は大きく、高い水分を含んだ分子であり、
関節では機械的衝撃を吸収するクッションの役割を果たすことができます。
これにより、関節が衝撃を受けた際の緩衝材として働き、
関節の動きや構造の保護に貢献しています。
ケラタン硫酸は、他のグリコサミノグリカンと同様に、
繰り返し単位を持つ直線状のポリマーです。
ケラタン硫酸は、鎖構造として
細胞表面または細胞外マトリックスのタンパク質に結合した
プロテオグリカン内に存在します。
これらのタンパク質は「コアタンパク質」と呼ばれ、
代表的なものには
細胞外マトリックスとして(1:Table 1)
- ルミカン (Lumican)
- ケラトカン(Keratocan)
- ミメカン(Mimecan)
- フィブロモジュリン(Fibromodulin)
- アグレカン(Aggrecan)
- PRELP (Proline-, Arginine-rich End Leucine-rich Protein)
これらは主に角膜、軟骨に含まれる材料です。
ケラタン硫酸はこれら細胞外マトリックスに対して
- 組織の強度と弾力性の維持
- 組織の(特に角膜の)透明性の維持
- 細胞間相互作用の調整
- 組織の修復・再生
これらの機能に寄与します。
特にケラタン硫酸タイプ1は核膜に非常に多く含まれます(1)(2-4倍:他組織)。
角膜において透明性を確保するため、
材料としての屈折率を一定にするため、
周辺のコラーゲンなどを配置を整然と調整する働きがあります。
骨や関節に関連するタンパク質として
- オステオアデリン(Osteoadherin)
- アグリカン (Aggrecan)
これらなどがあります。
ケラタン硫酸の基本的な繰り返し二糖単位は
「-3Galβ1-4GlcNAc6Sβ1-」
- ガラクトース(Gal)
- N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)
これらからなります。
炭素位置6(C6)で硫酸化されることが多いです(1:Fig.1)。
これら糖単位の機能は以下です。
- ガラクトース(Gal)
糖鎖の親水性や電荷特性に寄与し、
分子の柔軟性と疎水性を高める役割を果たします。
細胞間相互作用、シグナリング、組織間接着に関与する可能性があります。
特に糖鎖の安定性や形状、空間的構造の形成に重要です。
- N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)
親水性の性質、糖鎖間、たんぱく質との結合や相互作用を強化します。
特定のケラタン硫酸の一次構造は、
主に以下の3つの領域から構成されていると考えられます。
リンケージ領域:
ケラタン硫酸鎖がコアタンパク質に結びついている部分。
ケラタン硫酸I型では、
この領域にマンノース(mannose)が含まれています。
繰り返し領域:
-3Galβ1-4GlcNAcβ1-という繰り返しの二糖単位が構成されている部分。
ケラタン硫酸II型(KSII)のこの領域には
フコースが付加されることがあります
鎖キャッピング領域:
ケラタン硫酸鎖の一端に存在し、プロテイン結合領域とは反対側に位置する部分。
ケラタン硫酸II型の端には
N-アセチルノイラミン酸(N-Acetylneuraminic acid)が
キャップとして存在します。
このN-アセチルノイラミン酸は
ケラタン硫酸I型の鎖の最大70%にもキャッピングされることがあります。
このキャッピング構造は
糖鎖の安定性や機能的な相互作用に影響を与える可能性があります。
ケラタン硫酸は3つのタイプに分類されます。
ケラタン硫酸I型(KSI)の結合様式
特定のアスパラギン(Asn)アミノ酸に
N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を介してN-結合します。
ケラタン硫酸II型(KSII)の結合様式
特定のセリン(Ser)またはスレオニン(Thr)アミノ酸に
N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を介してO-結合します。
鎖構造はタイプⅠよりも短いです。
軟骨にあるKSIIは高度に硫酸化されています(1)。
高い水分保持のため必要です。
ケラタン硫酸III型(KSIII)の結合様式
脳組織から分離され、特定のセリンまたはスレオニンアミノ酸に
マンノース(Mannose)を介してO-結合します。
(参考文献)
(1)
J L Funderburgh1
Keratan sulfate: structure, biosynthesis, and function
Glycobiology. 2000 Oct;10(10):951-8.
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿