コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)は、
生物に広くみられる
グリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種です。
長鎖の通常枝分れがみられない多糖です
通常、コアタンパク質と呼ばれる核となるタンパク質に共有結合した
プロテオグリカンとして存在します。
特に軟骨の細胞外マトリックスにアグリカンの側鎖として
アグリカン1つあたり、約100個という高密度で存在する
プロテオグリカンとして多く存在します。
コンドロイチン硫酸は軟骨の他、
- 血管、靭帯、皮膚、腱、
- 神経細胞体周辺の軸索末端
- 細胞外マトリックス周辺の細胞
これらに一般的に存在します(2)。
- D-グルクロン酸 (GlcA)
- N-アセチル-D-ガラクトサミン (GalNAc)
これらの2糖が反復する糖鎖に、硫酸が結合した構造を持ちます。
この「GlcA-GalNAc」2糖単位の中で硫酸基の付加や
エピ化(GlcA からイズロン酸)で構造の著しい多様性があります。
硫酸基の付加による多様性では
硫酸基が加えられる位置や種類によって、
糖鎖の物理化学的特性や生物学的機能が大きく異なります。
硫酸基は、
グルクロン酸(GlcA)のC-4位、C-6位、
N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)のC-6位
これらに付加されます。
コンドロイチン硫酸における
グルクロン酸C-4位は
- 主鎖に近く、全体的な構造の剛性を高める
- 浸透圧の上昇、水分保持能力の向上
- 衝撃吸収性や構造的安定性を高める
- リガンドや特定のプロテオグリカンとの高い親和性
一方で、
グルクロン酸C-6位は
- 主鎖から離れており、構造の柔軟性を増加させる
- 柔軟性に基づく多様なタンパク質相互作用を促進する
- 細胞間シグナル伝達や修復機能を促進する
- 成長因子や受容体との動的な結合を可能にする
それぞれこのような特性の違いがあります。
このように硫酸基が付加されることで、
細胞間の相互作用である
- 細胞接着
- 成長因子の結合
- 細胞間シグナリング
これらなどが変わり、
軟骨や結合組織の構造と機能に影響を与えます。
従って、
硫酸気に異常が出ると
- 骨の形成異常
- 神経変性疾患
- がん
これらなどを発症する可能性があります(1)。
エピ化とは、
グルクロン酸(GlcA)がイズロン酸(IdoA)に変換される反応です。
エピ化によって、糖鎖の立体構造や化学的特性が変わり、
以下のような多様性が生じます。
イズロン酸は、グルクロン酸よりも柔軟な構造を持つため、
糖鎖全体の立体的なフレキシビリティが増します。
柔軟性が上がると糖鎖間の水分子の位置が不安定になり、
安定して水分子を収納できなくなるため、
含水率が重要な軟骨のコンドロイチン硫酸では
グルクロン酸が高度に保持されており、
イズロン酸へのエピ化は起こりにくいです。
生体内に見られる長いコンドロイチン硫酸鎖には、
2糖単位が100個以上並ぶため、
一本の鎖で均一にすべての2糖単位が
同じ構造をしているというものはほとんど存在しません。
従って、コンドロイチン硫酸全体の
糖、硫酸基の組み合わせは極めて多様です(1)。
コンドロイチン硫酸は関節炎の治療などに利用されます。
物質としての安定性を示す代謝回転速度(turnover rate)は
おおよそ15時間しかありません(3)。
但し、細胞外マトリックスの側鎖として複合体を形成した場合、
高分子としての寿命は細胞外マトリックスの寿命に応じて
著しく伸びる可能性があります。
コンドロイチン硫酸は
細胞内の小胞体/ゴルジ体で産生されます。
アグレカンなど細胞外マトリックスとなる
タンパク質を骨格、その側鎖として連結します。
その結合部はxyloseによる共有結合によって強く結合します(1)。
コンドロイチン硫酸の分子量は重合体化の程度によって
大きく変化します(80 ~ 3,500 kDa)。
すなわち、2糖構造の数が大きく異なるということです。
コンドロイチン硫酸は
- カルボキシル基(-COO^-)
- 硫酸基(-SO4^2-)
これら負に帯電しているため、
体内にある陽イオンを持つ分子(金属)と相互作用します。
Na+ K+ Ca2+, Mg2+, Mn2+, Cu2+, Zn2+, Sr2+(4)。
こうした活発な結合活性は
- 浸透圧、水分保持
- イオン濃度調整
- 毒素、病原体の捕獲(7)
- 抗炎症作用(Cu2+, Zn2+(5))(6)
例えば、これらの機能と関連がある可能性があります。
(参考文献)
(1)
Qingshan Shen, Yujie Guo, Kangyu Wang, Chunhui Zhang and Yanli Ma
A Review of Chondroitin Sulfate’s Preparation, Properties, Functions, and Applications
Molecules 2023, 28, 7093
(2)
Mamta Bishnoi 1, Ankit Jain 1, Pooja Hurkat 1, Sanjay K Jain 2
Chondroitin sulphate: a focus on osteoarthritis
Glycoconj J. 2016 Oct;33(5):693-705
(3)
PubChem
Chondroitin Sulfate
(4)
R P Millane, A K Mitra, S Arnott
Chondroitin 4-sulfate: comparison of the structures of the potassium and sodium salts
J Mol Biol. 1983 Oct 5;169(4):903-20.
(5)
V Ansteinsson 1, M Refsnes, T Skomedal, J B Osnes, I Schiander, M Låg
Zinc- and copper-induced interleukin-6 release in primary cell cultures from rat heart
Cardiovasc Toxicol. 2009 Jun;9(2):86-94
(6)
M Iovu 1, G Dumais, P du Souich
Anti-inflammatory activity of chondroitin sulfate
Osteoarthritis Cartilage. 2008:16 Suppl 3:S14-8
(7)
Tadahisa Mikami 1, Hiroshi Kitagawa
Biosynthesis and function of chondroitin sulfate
Biochim Biophys Acta. 2013 Oct;1830(10):4719-33.
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