ナノ粒子、細胞外小胞、ジェルが
血液中で様々な物質を引き付け、
コロナ形成するとすると
その異種性は非常に高いものになるというのは
一定の合理性があります。
血液の状態
血糖値、血圧、血液型、白血球血液型、
脂質量など様々な血液の評価指標があり、
それは個人差があります。
また、もっと大きな分類では
性差も考えられます。
女性では初潮前、月経周期、閉経後によって
ホルモンの状態も異なります。
そのような血中での影響は
実際にナノ小胞以外の遊離薬剤でも同じですが、
線維性のジェルやナノ小胞が
よりそのような周囲の物質を
高い相互作用で取り込むということになると
どの患者さんに対しても
一定の効果(再現性)を得るという事が
従来の遊離薬剤よりも顕著に難しくなる
ということを示します。
精密医療のはずが、
バックグラウンドが異なり
その偏差が顕著に大きいことで
そのメリットが完全に隠れてしまう
という事も想定されます。
極端な話、
ホルモン変動が大きな女性においては
同じ人であっても、
服用するタイミングによって
薬効が異なるという事も考えられます。
そのような変動は好ましくなく
細胞外小胞、ナノ粒子、ジェルなどを使った
薬剤送達システムによる治療の
大きなボトルネックであるとも言えます。
それをゼロにするという事は無理かもしれません。
その影響よりも薬剤の特異性の方が
顕著に上回るという関係を
構築する必要があります。
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このような異種性も考えられますが、
もっと単純化した試験管内で
同じ血漿内で混合させたナノ粒子を
17分類して条件を整えたうえで
アメリカの17か所の研究センターに送って
LC-MS/MSと呼ばれる方法で
プロテオーム解析を行った結果
それぞれの研究拠点から
4022の特異的なたんぱく質が抽出されましたが、
共通性のあったタンパク質は
そのうち73種類、全体の1.8%に留まった
とされています。
そのことを
Ali Akbar Ashkarran(敬称略)らは
示しています。
これは、ナノ粒子に結合するタンパク質の分析の
様々な要因の再現性に関わる事です。
これが示されたことは非常に重要なことであり、
研究の透明性に関わる事です。
少なくとも
共通性のあったタンパク質73種類は
17か所で再現性があったわけですから、
そのたんぱく質の特徴を洗い出す、考える
という事は
Ali Akbar Ashkarran(敬称略)らの
研究の価値(1)を一段上げるものであると考えられます。
(17か所ではなくても、
重複研究機関の数とタンパク質の種類なども
階層的な再現性分析の範疇となります。)
もう1つ重要な事は
今に始まった事ではないかもしれないですが、
ナノ粒子、細胞外小胞、ジェルに関わる
研究においては、再現が得られるか?
というのは今後、注意深くモニターする必要がある
ということです。
それによって判断を間違える可能性があるからです。
基本的に解析の信頼性が揺らぐというと
それは結果を示す根本的な事なので、
情報を広くシェアして
輸送、保存なども含めた解析の前の状態も含めて
解析の信頼性を上げていく必要性があります。
このような再現性の問題というのは
研究開発の分野において
医療だけではなく、
広く一般に言える事です。
それに問題があれば、
透明性のある形で示されるという事が重要です。
他の研究機関で示された再現性の確認というのは
論文になりにくい分野なので
研究分野においては敬遠される部分ですが、
産業分野においては
その信頼性、利益に関わる重要な事です。
従って、
上述した
ナノ小胞やジェルが
信頼性が得られにくいかもしれない
という事が示されたことは
1つの重要なマイルストーンであり、
一段上に行くためには
再現性がより重要な指標となる
産業界も含めた連携が大切になると考えました。
Ali Akbar Ashkarran(敬称略)らの
研究の結果から
考えられる事は上述した事以外に
いくつかあるはずです。
それを一つ一つ埋めていくという事は
地道な作業になるかもしれないですが、
実現させる上において必須の事です。
ナノ粒子を使った
mRNAワクチンは広く普及しました。
多数の臨床試験、コホート研究でその効果は
共通的に示されていますが、
それについてもより詳しく考え直す
機会が与えられたとも考える事ができます。
(参考文献)
(1)
Ali Akbar Ashkarran, Hassan Gharibi, Elizabeth Voke, Markita P. Landry, Amir Ata Saei & Morteza Mahmoudi
Measurements of heterogeneity in proteomics analysis of the nanoparticle protein corona across core facilities
Nature Communications volume 13, Article number: 6610 (2022)
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