以下、2023年に改訂された最新の
The International Society for Extracellular Vesiclesの
Minimum Information for Studies of Extracellular Vesicles(MISEV)
この内容について独自の視点を含めて、記述します(1)。
(細胞外小胞の定義、サブタイプ)
細胞外小胞は、当然、胞なので、膜で囲まれています。
その膜は脂質2重層であるとされます。
また、細胞外小胞は、細胞から放出sれます。
機能的な定義は、自己複製できない。
しかし、私が提唱する「代謝機能を持たない」という事は
定義には含まれていません。
2018年からの変更点は「自然に」という言葉が排除されています。
すなわち工学的に設計された細胞外小胞も含まれます。
上述したように
細胞から放出するという定義は生きていますから、
その細胞に遺伝子形質導入など
意図的に細胞外小胞を設計する技術が進んできた、
あるいはこれから進んでいくだろう。
これらのことを考慮して、定義が広げられたものと思われます。
エクソソーム(Exosome)、エクトソーム(Ectsome)は
それぞれ生成経路が異なります。
エクソソームはMultivesicular bodies(MVBs)で生成された
Intralunimal vesicles(ILVs)小胞内小胞を前駆体として
細胞外に放出されたものです。
一方で、エクトソームは細胞膜から直接的に
buddingを経て、生成されるものです。
こうした異なる生物発生経路に従い、サブタイプを定義しています。
一般的にエクトソームはエクソソームよりもサイズは大きいですが、
サイズの範囲で重複するものがあり、
その径だけで完全に区別できるものでもありません。
現在、これらを完全に区別して分ける方法がありません。
このガイドラインでは、そうした生物発生経路が明らかな場合のみ
エクソソーム、エクトソームという言葉を使うことを推奨するとあります。
従って、それがわからない場合には
細胞外小胞(Extracellular vesicles)という用語を利用する。
この事を推奨しています。
(収集と前処理)
EVを含む材料の供給源については、
以下の点を報告することが求められています。
(a)ヒトおよび動物由来の材料
年齢、生物学的性別、薬物や物質の摂取(薬物使用、薬物投与)や病歴など
(b)供給材料の量と質
サンプルの体積や質量など
(c)サンプル収集方法
サンプル収集の全ての手順
(d)分離前の保管方法の影響
EVが最終的に分離されるまでの間の保管条件。
特性を維持するため凍結と解凍を繰り返さないことを推奨します。
(e)早期の細胞除去
EVの供給源からできるだけ早い段階で細胞を除去します。
細胞から様々な小胞が付加的に生成されるからです。
(f)細胞や共分離物の除去度合い:
前処理およびEVの分離・濃縮後の細胞や供給源固有の共分離物の
除去度合いを評価
(g)品質管理の実施
サンプル収集、前処理、EV分離の全過程において、
品質管理の措置を実施
(h)サンプルのプール化
EVの研究に十分な量のサンプルを得るために、
サンプルをプール化する場合、
プールに含まれる個々の
サンプル数、
ドナーの人口統計データ、
各サンプルの体積、
最終的な量。
これら報告
細胞から細胞外小胞を得る時の培地について
細胞培養の主なパラメータ
細胞情報: 使用する細胞の名前、細胞の生存率、継代回数、播種密度、収穫密度など
培地成分: 基本的な培地の種類、血清や栄養素、微量栄養素、抗生物質/抗真菌剤、その他添加物など
培養条件: 2D培養、3D培養、浮遊培養などの培養形式、温度、pH、ガス濃度、物理的刺激
条件付け期間: 細胞が培地を条件付ける期間
収穫方法
汚染や感染
培地には細胞外小胞、Exomeres、核酸断片、微量栄養素など
バックグラウンドとして混入している可能性があります。
任意の細胞外小胞を分離精製する場合には
こうした元々存在している可能性がある
細胞外小胞を含めた物質の存在可能性を認め、
それらの有無を評価し、除去することの望ましいです。
細胞の死滅は当然、細胞内にある
細胞外小胞の元ともなる細胞膜の多くが放出されるので
わずか数パーセントの割合、細胞死が生じても
多くアポトーシス小体を含めた細胞外小胞を放出するため、
細胞外小胞の精製、純度に影響を与えてしまいます。
従って、
細胞から細胞外小胞を得る場合には
細胞死させない条件や取得後には速やかに
細胞を除去することが求められます。
⇒
このことから、細胞外小胞分離を行う際には
大きな細胞外小胞沈降媒体を大量、効率的に得るために
細胞死させる事が有効であることが示唆されます。
グラム陽性、グラム陰性の微生物も細胞外小胞を放出するため
培地の微生物汚染は細胞外小胞の純度を低下させます。
(細菌由来の細胞外小胞)
細胞外小胞の分離技術が高度化し、普及してくると
細菌由来の細胞外小胞の研究が一気に広がると思われます。
なぜなら、
環境に存在する細菌から放出される細胞外小胞を分離できる事は
公衆衛生、微生物生態調査、体内細菌分析。
これらなど非常に重要な付加価値をもたらすからです。
まだ、培養条件、特異的マーカーなどに関する
研究は黎明期、初期段階にあります。
細菌由来の細胞外小胞は
膜の出芽(Blebbing)、
膜破壊(細胞死にようなもの)⇒溶解性生合成経路。
これらの2つのパターンが考えられます。
但し、多細胞生物の細胞由来の細胞外小胞の
エクソソーム、エクトソームなどの
サブタイプに基づく術語体系は築かれていません。
基本的に細菌由来の細胞外小胞を分離精製させる場合には
非EV成分である
鞭毛やファージ、タンパク質、リポタンパク質、核タンパク質複合体。
これらなどを除去させる必要があります。
(血液中の細胞外小胞)
血液中には赤血球、血小板、白血球などの細胞が一定割合含まれているため、
これの細胞を細胞外小胞の資源として利用しない場合には
遠心分離などで分離し、早期に細胞外小胞を分離精製する必要があります。
リポタンパク質(HDL、LDL、IDL、VLDLなど)など
血液中には細胞外小胞以外の様々な物質が含まれています。
従って、
血液中の細胞外小胞を任意の分離精製して取り扱う際には
こうした混入した物質を任意の取り除くことが求められます。
その点において
細胞外小胞沈降分離技術を含めた
高い精度の細胞外小胞分離精製技術が求められます。
しかしながら、こうした沈降分離技術を阻むものが
細胞外小胞の表面に結合している物質、コロナです。
これが元来持つ細胞外小胞の膜タンパク質特性を
構造的に遮蔽、蓋するため
このコロナを取り除く技術が強く求められます。
⇒
血液から細胞種特異的な細胞外小胞分離技術を成立させる場合、
例えば、小児脳腫瘍の微小残存癌細胞由来の
細胞外小胞を患者さんの血液から分離精製する場合には、
細胞外小胞の表面にある膜タンパク質に
依存する形で高精度に分離精製することを試みます。
しかしながら、
血液中でコロナ形成しているとなると
そうした膜タンパク質分離が機能しなくなるため、
コロナ形成しているタンパク質を選択的に除去する必要があります。
その除去に必要な物理的あるいは/かつ化学的
プロセスを確立する必要があります。
こうした高精度な分離精製技術が確立すると
この節で述べている血液中の細胞外小胞の扱いにも適用されるし
将来的にガイドラインに
重要な技術の一つとして定義される可能性もあります。
(尿中の細胞外小胞)
血液採取よりも、患者さんの負担が小さく、
大量のサンプルが高頻度に得られることが尿の利点ですが、
尿は採取時間、食事、運動、年齢、性別、薬物使用、
健康状態や疾患状態など
様々な素因によって敏感に変動するため、
細胞外小胞を含めた物質情報が安定しないという不利があります。
例えば、尿中のタンパク質の量は
最大で5桁程度差が出ることがあります。
こうした偏差は当然、細胞外小胞の量にも一定当てはまります。
従って、高精度に比較しながら定量分析するときには
比較的特性が安定している血液から
細胞外小胞を採取して分析する事が望ましいです。
(脳脊髄液の細胞外小胞)
脳脊髄液のタンパク質量は血液中のそれに対して
約200 - 400倍低いことが示されています。
このように液体中の物質量が少ないことから
それに応じて細胞外小胞の量も非常に少なくなります。
血液に対して濃度は低いですが、
タンパク質の量は年齢によって変動します。
あるいは主な成分タンパク質の種類は
脳で採取する場合と腰部で採取する場合で異なります。
では脳脊髄液で細胞外小胞の分析をする利点は何でしょうか?
脳脊髄液は血液脳関門の影響を受けず、
脳神経系の物質情報にアクセスる事ができます。
従って、細胞外小胞のケースで言えば、
脳神経系の細胞から放出される細胞外小胞を分析する場合、
液体生検として脳脊髄液は適しています。
上述したようにタンパク質の影響も少ないため、
コロナ形成の影響も緩和されるかもしれません。
私のプロジェクトでは、小児脳腫瘍の治療を目指しているため
場合によれば、血液ではなく、
脳脊髄液から腫瘍組織の細胞外小胞を分析する方が
より、正確、容易に分離精製できる可能性があります。
(唾液の細胞外小胞)
唾液は、血液、尿より多く採取する事は難しいですが、
液体生検としては一番、簡便な様式で取得可能です。
ただ、血液にはない特徴として
唾液には主に口腔に存在する細菌由来の細胞外小胞も含まれます。
また、タンパク質、電解質の他に食物残渣も含まれます。
飲食の条件が唾液成分に影響を与えるので
特に比較定量評価する場合には
飲食のタイミングなどの条件を標準化する事が求められます。
(滑液の細胞外小胞)
滑液は関節内の空間に存在する粘性のある液体です。
滑液は血液、脳瀬髄液、尿などと比べて
粘性が高く、それは細胞外マトリックスである
ヒアルロン酸(HA)の多量な含有によります。
従って、細胞やデブリを選択的に沈降させ
細胞外小胞の分離精製のプロセスに難しさがあります。
滑液は主に関節の疾患部に近いところから採取できるため、
特定の関節の機能、病態を細胞外小胞で
特異的に分析する際に適しています。
(乳の細胞外小胞)
乳は栄養素や免疫成分が豊富で複雑な源であり、
細胞外小胞以外には
細胞、乳脂肪球(MFG)、カゼインミセリ、可溶性分子など。
これらを含んでいます。
乳は短期間の保存であれば、体温で保存されることが推奨されます。
上述したカゼインミセリは乳の80%を占める
胞を形成する複合体で細胞外小胞をサイズが重複するため
カゼインミセリと細胞外小胞を分離することに難しさがあります。
カルシウムを取り除くことで乖離、分解させたり
酸性条件にさらすことで沈殿させることで
細胞外小胞の分離精製を試みることができます。
(固形組織の細胞外小胞)
固形組織をそのまま取得する場合は、
領域が独立化されるため、任意の組織
位置近くの細胞外小胞や培養することで、
その組織から放出される細胞外小胞を特異的に得ることができますが、
当然、液体生検とは異なり、
固形の組織なので細胞外小胞の分離精製は
血液、尿などに比べて難しくなります。
また、連続した細胞から生体環境から切り離されるため、
適切な培地による培養環境を維持しないと
多くの細胞が細胞死してしまい、
その細胞死によって生じた細胞外小胞が膨大になり、
それらが無視できないほど大きな勢力、ノイズとなり、
本当に分析したい生きた細胞から放出される
細胞外小胞を分離精製させることが難しくなります。
組織を一定期間保存する場合は冷凍-解凍プロセスを踏みますが、
このような温度変化は降温-昇温速度が適切でないと
こうした過渡状態で細胞膜が破壊され、
再び、生きた状態で培養関係を有効に築けない結果につながります。
いずれにしても固形組織では
生体内の自然環境に近い培地を含む培養条件を選択し、
細胞外小胞の大きなノイズとなる
細胞死をできるだけ減らすように努める必要があります。
(貯蔵)
細胞外小胞は多くの場合、取得してから
すぐに研究開発、検査、分析を行うわけではなく、
従事する人の時間の都合によって
一定期間、貯蔵することが求められます。
その期間にもよりますが
一つの中心的な保存条件の因子は温度の選択です。
4℃、-20℃、-80℃の条件があります。
例えば、mRNAワクチンのナノ粒子の保存は
最も厳しい条件では-80℃保存が求められました。、
その細胞外小胞を何の生検から得たかによって
保存条件が異なる可能性があります。
例えば、
唾液由来のエクソソーム(すなわち小さな細胞外小胞)では
4℃という一番緩やかな保存条件でも
28日間、細胞外小胞の基本的な形は維持された。
このような報告があります(2)。
しかし、これが唾液由来のエクソソームの強靭性が
放出細胞腫依存なのか?
それとも培地(唾液そのまま?それとも変えた?)によるものか?
その両方なのか?
そういったことは少なくとも私は読み取れていません(2)。
ここを問う理由は何からくるのか?
それは、唾液という培地が共通的に保存性に優れているのであれば
その唾液に近い成分の培地を選ぶことで
エクソソームの保存条件をより緩やかな条件にできる。
このことを示すものだからです。
しかし、これについてははっきりとはわかっていません。
細胞外小胞の寿命は、細かいことを言えば、
膜たんぱく質の構造の寿命もあります。
少なくとも私が扱う細胞外小胞の品質レベルは
膜たんぱく質の構造保存が必須になっているため、
より厳しい条件で細胞外小胞を保存することが求められる。
このことがあります。
しかし、より一般的に、緩やかな条件では
細胞外小胞のエンベロープ膜である
脂質二重層の連続性が保たれるかどうか?
すなわち決定的な破壊までの寿命が関係します。
当然、脂質二重層がどういった脂質の構成をとるかで
構造安定性に関与するため、
物理的、化学的いずれのストレスに対しての強靭性があります。
しかし、細胞外小胞のサイズそのものでも、
こうした物理的、化学的ストレスは異なります。
特に小さい細胞外小胞であるエクソソームでは
大きなアポトーシス小体のような細胞外小胞よりも
内容物からの機械的ストレスが大きくなるため、
内容物依存では破壊が生じやすいとされています。
(濃縮)
細胞外小胞の研究において、
保存溶液容量当たりの粒子数を増やす濃縮プロセスが必要な場合があります。
その後の特性に応じた分離プロセスを有効に機能させるためにも
ある程度のカットオフ以上の濃度で
細胞外小胞を濃縮させる必要があります。
基本的に濃縮で必要とされるプロセスは
上述したことと重複しますが、
細胞外小胞以外の様々な物質、デブリと分けて
細胞外小胞のみを分離精製することが挙げられます。
そのために沈殿法やろ過法が用いられることがあります。
他の物質を取り除くほかに
濃縮プロセスでは
特定の溶液空間内に存在する細胞外小胞を
その空間内の特定の体積内に集めることが必要です。
例えば、試験管のような形の容器において
底部に細胞外小胞を集めることができれば、
その局在性から濃縮の機会、チャンスが生まれます。
(段階的超遠心分離)
Differential ultracentrifugation (dUC)。
すなわち、遠心力を変えながら、重量、サイズに応じて
細胞外小胞を分離精製する方法です。
小さな細胞外小胞であるエクソソームの重さは
フェムトグラムオーダーなので、
こうした軽い物質を有効に空間的に動かすためには
相応の高い遠心力、長い時間が必要です。
例えば、10万 - 20万倍重力で45 - 150分も要します。
一方で大きな物質はその1/10の力で時間も短いです。
こうした積極的に力を加えながら
空間的に外側に集める方法は完全ではありません。
また、一部で、特にエクソソームにおいては凝集を促進するため、
それを少なくとも配慮しながら条件を探す必要があります。
(密度勾配)
サイズ、質量など特性に偏差のある細胞外小胞を溶液中に浮遊させるとき
その溶液中で重力、沈む力と浮力、浮く力が拮抗状態にあります。
こうした力のバランスは細胞外小胞自身のサイズ、質量、
あるいは溶液の密度によって変わってきます。
従って、浮力に関わる溶液の密度は可変因子なので、
溶液の密度を段階的に変えることで
その段階ごとの層として細胞外小胞のサイズ、質量に応じた特性依存的に
空間的に分離精製することを目的としています。
その溶液の密度を変えるために
高密度媒体(例えば、スクロース、ヨードキサノール、アイオヘキソール)
これと水性緩衝液の比率を段階的に動かします。
(クッション)
クッションは、その名の通り、高密度層がクッションの役割をして
そのクッション上に細胞外小胞が集まることができます。
大きな細胞外小胞はその高密度層を超え
より下の層に浸透します。
(サイズ排除クロマトグラフィー)
溶液の中にシリカ粒子など細孔を含むコラムを用意し、
細孔に入る大きさの細胞外小胞は
その粒子内の複雑な構造によって
衝突、摩擦、あるいは結合などの影響を受け
サンプルに対して重力、圧力が働いている系においてm
その沈降速度が顕著に低下します。
一方で、細孔に入ることができない大きさの
細胞外小胞はコラムの間をすり抜け
より早く沈降します。
こうした沈降速度の差によって
大きさに応じた分離精製を実現します。
分離に影響を与える変数としては、
マトリックスの組成
細孔サイズ、
カラムの充填方法、
カラムの長さと直径(または体積)の比率、
流速(重力 vs. 定義された圧力)、
サンプル濃度
サンプル体積
これらが挙げられます。
(流体フローベース分離)
流体に層流となる一定の流れを圧力によって生じさせたとき、
細胞外小胞は、その流れに乗って、流れますが、
細胞外小胞の大きさ、質量によって
流体内で位置的に安定する高さが異なります。
小さな細胞外小胞はより中央部に分布します。
こうした空間的な偏りに基づいて
細胞外小胞を分離精製します。
従って、コラムなどの固体相に依存しない方法となります。
ただし、この方法はまだ標準的ではありません。
こうした層ごとの分離を促すために
電場などの外部の力を利用することがあります。
(結合親和性分離:アフィニティ分離)
結合親和性分離は細胞外小胞表面にある
特定の構造に着目して、
その構造と特異的に結合するリガンドを
細胞外小胞が溶液中を沈降するルートに
コラムなどの固定相を用意します。
そのリガンドに結合する細胞外小胞は
それによって捕獲されるため、
沈降速度が低下します。
溶出、すなわち結合を解消するプロセスを経て
任意の構造を持つ細胞外小胞はそのタイミングで
沈降し、分離精製されます。
しかし、膜たんぱく質の構造を維持したい場合、
この溶出(Elution)。すなわち結合を切るプロセスに
一定の困難性を伴います。
こうした結合を切るプロセスは
物理的プロセス(超音波、電場、磁場など)
化学的プロセス(塩濃度、pH、酵素、キレートなど)
これらなどが考えられます。
(細胞外小胞分離)※私が提案する方法
ここからは2023年に改定された(MISEV)の内容に含まれていませんが、
より発展的な分離方法で、
将来的に分離方法の重要な一つとして、
含められる可能性があることから
この発展的議論の記事において、先行的にここに記述します。
細胞外小胞分離の分離メカニズムのカテゴリーは
基本的にアフィニティー分離、免疫沈降に当たります。
従って、根本的なコンセプトは
この分離方法に従いますが、
いくつかのポイントで大きく異なります。
細胞外小胞の分離のために使われる
沈降媒体を固定的なコラムや抗体にするのではなく、
その沈降媒体自身も細胞外小胞とし、
そのための細胞外小胞を別途用意します。
この沈降媒体細胞外小胞は
結合親和性に基づいて
特定の膜構造(主に膜たんぱく質)を持つ細胞外小胞と
特異的に結合するように生物工学によって設計されます。
この装飾技術は
細胞腫特異的薬物送達システムでも必要になります。
沈降媒体細胞外小胞に特異的なたんぱく質を装飾させる
技術はまだ、世界で確立されていません。
ここに少なくとも高い技術的なハードルがありますが、
現時点で頭の中で考えられる技術的プロセスを示します。
沈降媒体細胞外小胞は重量差を大きくとるために
大きいものが好ましいので
プログラム細胞死によって生じる
アポトーシス小体を利用します。
従って、沈降媒体細胞外小胞を得るためには
培地に含まれる資源細胞を意図的にアポトーシスさせます。
この時、アポトーシス感受性が高く、
その機能が高い、子供、若い細胞がいいかもしれません。
そうした若い細胞はiPS細胞技術で手に入れることができます。
アポトーシスが良いとしたのは
数ある細胞死プロセスの中で
組織の健康な恒常性のため必要なプロセスで
炎症物質が露出しないように
高度のアポトーシス小体によって
膜内、小胞内に包まれるメカニズムがあるからです。
従って、現時点の見積もりでは
細胞死プログラムとしてアポトーシスが適している。
このように考えていますし、もっといえば、
そのアポトーシス感受性、機能高いと想定される
健康な発達期の子供の細胞が好ましいです。
このアポトーシス小体に
任意の膜たんぱく質を装飾させるため
細胞内の多くの膜上に
細胞外小胞の膜たんぱく質と結合性の高い
リガンド、対たんぱく質を
アポトーシスさせる細胞内で発現を顕著に亢進させます。
この発現量は、例えば、
転写最終産物であるmRNAの形質導入によって調整可能です。
こうした膜たんぱく質の装飾が
転写最終産物であるmRNAに依存することや
原理的にDNAなども含めて遺伝子的なプロセスを利用できるため
構造を高精度に制御して変更することが可能です。
生体内の多くの物質が細胞から作られるとすると
細胞の自然な生物発生のプロセスを利用しますから
任意に、多様なたんぱく質を利用することができます。
従って、モノクローナル抗体のように
液性免疫の免疫的なプロセスに限定されない。
このことの強みがあります。
膜たんぱく質としてもともとの機能がない
対たんぱく質をアポトーシス小体に装飾するときには
リボソーム形成段階で
もともと膜貫通性の形質を持つたんぱく質と
複合体化するようにmRNA遺伝子コードを調整します。
そうするとアポトーシス小体が生成されますが、
この時点ではアポトーシス小体は
任意の対たんぱく質は一定割合含まれているものの、
多くのノイズとなる不必要な膜たんぱく質が多く存在します。
従って、目的の対たんぱく質を守りながら
これらのノイズを選択的に除去する必要があります。
そのプロセスが細胞外小胞マスク技術です。
特定のたんぱく質を守るための媒体としても
マスク細胞外小胞を利用します。
この時のマスク細胞外小胞は小さいほうがいいため、
マスクエクソソームとも言えます。
このマスクエクソソームは
沈降媒体として利用するアポトーシス小体の
対たんぱく質に特異的にに結合するように
その対たんぱく質の対たんぱく質を装飾します。
このマスクエクソソームでは
選択的に認識する必要があるため、
生物発生の段階で対たんぱく質以外の
アポトーシス小体上のたんぱく質を認識しないように
一色性を持たせる必要があります。
その選択性のためには2つの方法があります。
そのマスクエクソソームを
ほとんど細胞として干渉しない
植物由来なども含めた全く形質の異なる細胞腫から
マスクエクソソームを取得することを考えます。
この場合、
生物発生の時点で特別な介入を必要としません。
もう一つの方法は
そのマスクエクソソームを生物発生させる段階での
プロセスに対して、一色性を保つように介入します。
エクソソームの生物発生は
Multivesicular bodiesの発芽(Budding)で
エクソソーム前駆体(小胞内小胞:Intraluminal vescles)。
これを起源とします。
そのためには膜を負の曲性をもって
強い力で曲げる必要があります。
その細胞膜が曲がるプロセスに関わるのは
母線が傾斜しているコーン上の膜貫通構造を持つ
テトラスパニンです。
このテトラスパニンは往々にして
複合体マイクロドメイン(Tetraspanin-enriched microdomain)。
これをエクソソーム上で形成します。
こうした複合体構造がエクソソームの形成を
より強く駆動するという仮説を立てます。
テトラスパニンの複合体は
リボソーム、小胞体での膜貫通構造の生物発生の時点で
転写、翻訳のプロセスで関与するmRNAのコーディングを
人工的に制御、介入することで
人工的な複合体構造、あるいは任意に膜貫通回数を
制御できる可能性があります。
人工的に複合体構造を作り、
その人工的な(テトラ)スパニンでもって
エクソソーム形成させます。
エクソソームの径は当然、膜の曲率が高くなれば
小さくなりますから、
発芽の時点で高く、より連続的な曲率を発生させるために
人工的に複合体化したテトラスパニンの
複合体数をかなり大きめにとります。
そうしてより小さなエクソソームができれば、
その後のプロセス、特性でいくつかのメリットがあります。
まず、径が小さいということは
表面積が小さくなるため、
膜たんぱく質が形成される面積がそれに応じて制約されます。
従って、膜たんぱく質の絶対量が少なくなるため
より一色性の表面構造を築きやすくなります。
人工的なテトラスパニン生物発生の段階で
アポトーシス小体の対たんぱく質に結合する
マスクエクソソーム上の対たんぱく質を
選択的に形成させるため
この人工的なテトラスパニンに
リボソーム、小胞体生成の段階から
うまく向きを合わせて複合体化しておきます。
これをmRNAコーディング制御で行います。
また、人工的テトラスパニンが
細胞内環境にある他のノイズとなる
膜たんぱく質をひきつけないように
構造的にアレンジして、ノイズを減らすことをします。
こうした構造の細かい制御ができる可能性があることが
このシステムの一つのメリットです。
形成したマスクエクソソームの径が小さければ、
その後のマスクエクソソームの分離精製のプロセスで
上述した大きさに応じた分離によって
そのマスクエクソソームを分離精製、単離することができます。
そうして出来上がったマスクエクソソームを
アポトーシス小体の相互作用させ、
選択的に残したい目的のたんぱく質を
結合によって遮蔽、蓋します。
その状態で、他の露出したタンパク質を
広範なたんぱく質分解酵素によって分解させます。
この時、完全に分解させなくても
結合として機能しなくなる程度の
構造改変でも構いません。
酵素分解プロセスを必要最小限にすることは
マスク領域をより高く保護するうえで重要です。
その後、マスク領域のたんぱく質と
結合したマスクエクソソームを
物理的、化学的プロセスで結合解消、除去します。
これでアポトーシス小体の
膜たんぱく質の一色性が実現可能な可能性が出てきます。
このアポトーシス小体を
例えば、血液、尿、唾液、脳脊髄液など
様々な液体生検に含まれる
細胞外小胞のうち、
特定の膜たんぱく質を持つ細胞外小胞だけを
沈降媒体アポトーシス小体と結合させます。
この
アポトーシス小体は1 - 5μm径を持つ
細胞外小胞の中では径、質量が大きいため、
複合体化した時の重さの違いを出すことができます。
その重さの違いによって
フローベース、密度勾配、コラムなどによって
溶液内で溶出する時間差、位置差を確保し
それに基づいて分離します。
その後、アポトーシス小体と
特定の膜たんぱく質を持つ細胞外小胞を分離して
分離精製は確立します。
しかし、私の目指す分離精製レベルは
小児脳腫瘍の検出限界以下の細胞レベルの
残存病変の血液内、脳脊髄液内からの分析。
これがあるので
ppmオーダーの精度の分離精製レベルを目指します。
そのためには分離精製レベルの次元を上げる必要があります。
結合親和性による分離は
その結合力そのものを分離精製のために生かすことができます。
アポトーシス小体と
任意の膜たんぱく質を持つ細胞外小胞において
その膜たんぱく質の発現量の程度や
その詳細な構造解像度で細胞外小胞を分離精製することが
求められます。
従って、付加的に結合親和性コーディングを行います。
構造がバックグラウンドデータによって詳細にわかれば、
その結合親和性を制御することで
細かい構造で決まる結合親和性の程度に基づいて
乖離のプロセスで脱離ストレス、力を
細かく制御することで
結合親和性に基づいて分離します。
すなわち、狙いの構造に対して特異的に
結合親和性が弱くなるように設計すれば、
小さな力を段階的にかけていき、
初めにアポトーシス小体から乖離した細胞外小胞が
目的の細胞外小胞となります。
細胞外小胞の特異性を上げるためには
膜たんぱく質の組み合わせコーディングが有力です。
すなわち発現量が多い複数の膜たんぱく質との結合を利用し
タンデムなプロセスで分離精製することで
その特異性をあげるというものです。
例えば
インテグリンαvβ3で初めに分けたものに対して
その次に発現量が多い
コネキシン43に基づいて
分離したものの中から
さらにこのコネキシン43に基づいてわけることで
細胞腫特異的な膜たんぱく質がなくても
膜たんぱく質の組み合わせ、掛け合わせの中で
より容易な条件で生じる細胞腫特異性にプローブします。
従って、細胞外小胞分離は多次元的なプロセスを含みます。
(1D)膜たんぱく質結合コーディング
(2D)結合親和性コーディング
(3D)組み合わせコーディング
少なくともこれらの次元が存在します。
(細胞外小胞の数の定量)
1mL当たり何個の細胞外小胞があるか?
これの定量に現在では課題があります。
例えば、血漿中に含まれる自然な細胞外小胞の濃度は
計測方法に依存して、おおよそ6桁の違いがあります。
これは、どれくらいの径、小ささの細胞外小胞を
その方法が検出するかにも依存すると考えられます。
細胞外小胞は、エクソソームよりも
さらに小さな径のものも存在し、
通常は、そうした径の小さなものほど
細胞膜資源を径に応じて少なくて済むので、
全体的な数としては、大きなものよりも顕著に増加します。
従って、
類似する条件で計量において6桁も数に違いが出ることは
おそらく、どれくらい小さな細胞外小胞を
検出し、数に含めているかに大きく依存すると考えられます。
具体的な定量分析には
ナノ粒子追跡解析(NTA)
動的光散乱(DLS)
画像フローサイトメトリー
これらがあります。
細胞外小胞の定量において人工知能の画像解析が
関与する余地があると思われますが、
2023年時点でまとめられた資料では(1)
この項目におけるAI利用については記述されていません。
(サイズ、形の決定)
細胞外小胞のサイズは直径で記されるものが多く、
楕円形や複雑な形状を数字として定量するまでの
正確性は求められていない可能性があります。
そもそも理想的な球形として仮に定め、
その直径の測定様式も
非常に多くの細胞外小胞を高スループットで示すこと。
このレベルですでに、大きな技術的障壁があります。
形に関しては、複雑なそれを数字化できないので
それを示すとなると
いくつかの抜き取りで
その細胞外小胞の実像を写真として載せて
明示するということになるかもしれません。
サイズ計測に関して、例えば、
低温電子顕微鏡で細胞外小胞を観察して
それで直径を計測する方法は正確ですが、
当然、プロセス時間は顕著に長く、
大量の細胞外小胞を個別に測長することには適していません。
拡散速度と粘性に基づいて
液体中の動きから粒子径を計算によって求める
水動力学的計測方法もあります。
しかし、この方法ではサイズが過大に評価される。
このことが多いとされています。
人工知能利用とは記載されていませんが、
このサイズ計測のところでは
ソフトウェア利用が示されています。
しかし、
アルゴリズムによって計測にばらつきが出るため、
どういったソフトウェア、バージョンを使ったのか?
それの明記が少なくとも求められるとされています。
(物質分析)※独自記述
細胞外小胞の物質(タンパク質、脂質、核酸、糖)分析は
小児脳腫瘍残存病変の分析において必須です。
液体生検から分析するときには
その細胞外小胞を再利用することがないので
分解して、マルチオミックス解析をすればいいと
現時点では認識しています。
実際に分離精製した細胞外小胞を商品として扱う場合には
その品質を保ちながら、
膜たんぱく質、膜特性、内容物を評価する必要性が出てきます。
抜き取り検査で、破壊を伴う物質分析。
このパターンも考えられます。
全数検査が求められると
非破壊で分析する必要があるため、困難を極めます。
こうした物質分析は種類だけではなく
その存在量を定量する必要が出てくる場合もあります。
また、糖やたんぱく質の場合は
それが膜表面にあるのか、内容物として存在するのか?
それらを分けて明記するとなると
また、分析のために難易度が上がります。
(フローサイトメトリー)※独自記述
サイトメトリーは細胞を定量する方法としても利用されます。
細胞に光を当てて、その光の散乱光を受光素子で検出します。
高スループットの方式です。
フローサイトメトリーは任意の光学系を通過する
細胞の経路を空間的に限定して、
その光学系を通過する物体への光の入射、散乱で
通過する物体を定量します。
これは細胞外小胞の定量にも利用されます。
こうしたフローサイトメトリーは
通過する空間設計を工夫することによって
個別の特性を持つ細胞外小胞を個別に定量することが
原理的に可能です。
例えば、通過する光学系内に
任意のモノクローナル抗体を固定相に結合させて
特定の波長を蛍光発光するようにしておき、
細胞外小胞が付着したところで
その細胞外小胞の物体付着に応じて
特定の波長をもつ蛍光発光の
物体結合特異的な散乱光を検出することで
フローサイトメトリーを付加的に機能化できます。
(遺伝子的タンパク質タグ)※独自記述
細胞外小胞の膜たんぱく質の存在を評価、定量する方法として
遺伝子的な形成したタンパク質タグが利用できます。
この場合、タグが結合したこと、
また、結合した数、
それを細胞外小胞に対して
視覚的、運動学的、光学的な方法などで
評価できるシステムを付加的に構築することが必要です。
(マルチオミックス解析)※独自記述
上述したように細胞外小胞の構成物質を分解して
タンパク質、脂質、糖を質量分析に基づいて
分析することが可能です。
この場合、たんぱく質、脂質、糖を
どういった区分で分析するかの選択肢があります。
分解しないでそのままの状態で分析
のちに分解してタンデムに分析する方法も考えられます。
タンパク質ではそのような方法がすでに提案され
トップダウンプロテオーム解析とされています。
この方式は、前処理に難しさがありますが、
より詳細な構造情報を手に入れることができます。
このようなフレームワーク、枠組みは
脂質、糖の質量分析でも利用できると考えられます。
物質の構造分析ににおいて
上述した質量分析のほかに
核磁気共鳴分析やクロマトグラフィーが補助的に利用できます。
(原子間力顕微鏡)
細胞外小胞を位置が固定されるように
固体表面(基板)上に付着させます。
針を当てて、針と細胞外小胞表面構造物との原子間力によって
輪郭をコントラスト差をつけて
イメージングしてきいます。
このとき針と細胞外小胞膜表面間に生じる原子間力は
細胞膜の機械的特性を反映しするので
形や大きさと同時に硬さなどの機械的特性を提示することができます。
(参考文献(3) Graphical abstract)
(回折限界蛍光顕微鏡)※独自記述
光学顕微鏡での空間分解能は検出のために利用する
レーザー光の波長によって上限が決まってきます。
おおよそ波長の半分くらいの空間分解能が限界になります。
しかし、蛍光発光顕微鏡では
そうした光の回折限界を超えた分解能を得ることができます。
その理由は、蛍光発光させる領域を
蛍光ラベル物質の構造を分子レベルで空間的に制限することで
その蛍光発光の領域がレーザー光のスポット径よりも
顕著に小さくすることが可能だからです。
STED(Stimulated Emission Depletion Microscopy)
PALM(Photoactivated Localization Microscopy)
STORM(Stochastic Optical Reconstruction Microscopy)
これらなどがあります。
例えば、細胞外小胞の製造の管理において
クラゲなどで存在する蛍光発光たんぱく質を
その遺伝子コーディングに従って
mRNAコーディング領域に
細胞外小胞マーカーとなるテトラスパニンなどと
タンデムに付加させることで
細胞外小胞の生物発生のプロセスや
細胞外小胞のサイズ、形、たんぱく質数、個数、単離性(凝集)。
これら研究開発、製造にかかわる
重要な項目を視覚的に高精度で確認できる可能性があります。
こうした蛍光発光による光検出は
同時に光の散乱や光の干渉(回折)を付加的に得ることで
信号雑音比(S/N比)の向上や
蛍光発光による局在的情報では得られない
幾何学的情報(サイズ、形)、物理的情報などを得ることが可能です。
これらを組み合わせることは
両者の弱点を補う一定の相乗効果があります。
(動的光散乱)※独自記述
水動力学(Hydrodynamic)は、
液体中の細胞外小胞の動的機序を考えるものです。
ブラウン運動のストークス・アインシュタイン理論に基づいて
拡散係数、液体の粘性、温度、ボルツマン定数、粒子径の関係性から
細胞外小胞の特性評価を行うものです。
液体中の速度を光散乱状態の時間変化を検出することで計算し、
それにより拡散速度を得ます。
液体の粘性、温度は既知ですから、
そこから細胞外小胞の粒子径を計算することができます。
この方式の一つの大きなメリットは
細胞外小胞の分離プロセスとサイズの計測を共有化できることです。
すなわち、細胞外小胞を拡散速度に基づき
サイズごとに時空間的に局在化させながら、
同時に、そのサイズや数を光散乱によって計測することができます。
(電子顕微鏡)※独自記述
上述したように電磁波(光子)を
イメージングのための媒体として利用する場合には、
イメージングにおいて最も重要な性能項目の一つである
空間分解能を考慮する必要があります。
特に、細胞外小胞→エクソソーム、Exsomereは
粒子径が100nm以下と小さく、
その中の細かい機能的な構造を詳細に評価するためには
分子レベル、すなわちÅオーダーの空間分解能が少なくとも必要です。
電子顕微鏡に利用される電子線の波長は0.037Åなので
電磁波、回折限界による空間分解能の制限をほとんど無視できます。
従って、電子線をサンプルに照射し、
その2次電子線を検出するSEMや
透過電子線を検出するTEMがあります。
特に透過電子線顕微鏡(TEM)は高い分解能が期待できます。
また、細胞外小胞は生体内の柔軟な構造を持つため、
温度によって、格子振動する場合、
分子レベルで像を得るときには、
こうした振動が像の正確性に影響を与えてしまいます。
多く含まれる水分など物質を高度に固定する意味もありますが、
一般的に細胞や細胞外小胞表面、内部の構造を正確にみるときには
物質、測定系を低温にする
クライオ電子顕微鏡が利用されます。
(拡大顕微鏡)(4,5)※大部分、独自記載
小さな物体を等方的に大きくできるということは
分子の構造分析や細胞外小胞の分析において付加価値をもたらします。
例えば、
エラスチンという細胞外マトリックスがあります。
通常は疎水性相互作用によって高度に
タンパク質構造が折りたたまれた構造です。
このエラスチンを骨格としたヒドロゲルを
水を多く含有しやすいヒアルロン酸などと
複合体化させながら分子構造を構築します。
複合体化させる水分子は、重水分子に変えることも可能です。
この時、エラスチンのフック弾性特性が
最大限、ヒドロゲルの体積変化に生かされ
その拡張が等方的であるように設計する必要があります。
一方で、細胞外小胞を埋め込むときには
液体中で適切な配置を維持しながら、
ヒドロゲル前駆体溶液中に浮遊する必要があります。
また、ヒドロゲルも
細胞外小胞を十分に収納できる体積で
制御しながら、マスとして形成される必要があります。
また、骨組みが形成過程で適切に配置されなくてはなりません。
こうしたプロセスは高度な最適化が必要です。
こうして細胞外小胞、あるいは膜たんぱく質を
ヒドロゲル等方的体積拡大を用いて
構造を保ちながら拡大できたら、
より詳細な分子幾何構造を分析することが可能になります。
私の細胞外小胞分離、細胞腫特異的薬物送達システム。
これらの細胞外小胞を中心としたプロジェクトは
非常に小さなスケールでの勝負となるので、
こうした「ヒドロゲル拡大構想」(4,5)は
一つの有効な分子、幾何情報を私たちに提供してくれます。
(核酸)
細胞外小胞は小さいものは30nm程度から
大きいものでは5μm程度のものまで少なくとも存在します。
その大きさ、プロセスによって収納できる核酸も変わってきます。
細胞内のDNAは通常、細胞核内に収納されていますが、
いくつかのケースで
細胞外小胞に(断片化された;Fragmented)DNAが含まれている。
このことが挙げられています。
DNAがダメージを受けることが
細胞核膜の破壊を誘導するのか?
細胞膜核の破壊がストレスによって生じるから
その中に保護されているDNAがダメージを受けて
細胞質に滲出するかわかりませんが、
いずれにしても、
細胞の癌化など病的な状態では
通常、あまり存在しない細胞質にDNAが漏れ出すことがあります(6)。
そうしたDNAが細胞外小胞内に混入することがあります。
また、細胞死(アポトーシス、ネクローシス、フェロトーシス)した際に
大量の細胞外小胞が放出されますが、
その際に細胞核内にあるDNAも断片化されて
細胞外小胞内に含まれることがあります(7)。
従って、細胞外小胞にDNAがカーゴとして含まれている。
この場合、その細胞外小胞の分泌細胞に
何らかの異常があった可能性が高いです。
特に細胞死するときには
細胞にある染色体のDNAがすべて
細胞外小胞内か、環境内に放出されるので、
大きな細胞外小胞の中に多くのDNAが含まれている場合、
その細胞外小胞は細胞死の時に生じた。
この可能性が高いことが推測されます。
細胞死のシグナルを液体生検から検出することは重要です。
特に発達期の健康な子供では
連続的な組織の連携性が非常に密で
高度な制御下にあり、緩やかに組織が成長していくため
健康なプログラム細胞死である
アポトーシスの感受性が体全体で
大人の体に比べて高くなっていることが指摘されています(8)。
アポトーシス時の細胞外小胞は
通常の生存時に放出される細胞外小胞よりも
1つ当たりの絶対量としては当然多くなります。
なぜなら、
細胞を形成するすべての膜資源が切断されて
その一部が胞となって、
すべて環境中に放出されるからです。
さらに、アポトーシス時に放出される細胞外小胞は
通常の細胞外小胞よりも
細胞核内のDNA、たんぱく質(クロマチン)などの
通常、細胞外小胞の生物発生ではアクセスできない物質も
細胞外小胞のカーゴとして含まれることになります。
こうした物質は上述したように
細胞死時に生じた細胞外小胞の物質的マーカーとなります。
他方で、
こうしたアポトーシス時に含まれる
細胞外小胞を分離精製して、
マルチオミックス解析をすることで
健康な子供の体の中の細胞の状態を
通常の細胞外小胞よりも詳しく調べることができます。
ヒトの成長時の生体内の情報において
特に健康な子供(胎児を含む)の物質情報は
現時点では非常に限られるため、
それを簡易的な液体生検で分析できる可能性があることは
ヒト生物学(human biology)を大きく前進させる駆動力となります。
健康な状態を知ることで
逆に子どものころにかかる遺伝的疾患を
今までと違った観点で理解することにつながるかもしれないし、
子どもと高齢の方を比較することで
「老化とは何か?」
その根源的な問いの答えの一部を示すことができるかもしれません。
老化を知るために、高齢者を調べることが
すべての理解につながるとは限りません。
むしろ、老化が進んでいない
ヒトの人生の初期の時点の健康状態を正確に知ることで
老化についての理解が深まる可能性があるからです。
癌では、その付加的に存在する異常な悪性細胞を
放射線治療、
超音波治療(サーマルアブレーション)
薬物治療
(自然な機能を含めた)免疫。
これらによってより多く細胞死させ
組織を退縮、消滅させることが治療の目的です。
その時には
癌細胞が細胞死した事実、
癌細胞が細胞死したときに癌細胞内の物質。
これらを精密に分析することが
治療の評価、2次治療の方針決定において重要です。
細胞死したときに
細胞外小胞には上述したように
細胞核内の物質を含めて、
多くの癌細胞内の物質が細胞外小胞内に収納されるので
それを分析することで
例えば、放射線治療であれば、
今までよりもより正確に
放射線がどのように癌細胞を死滅に至らしめるのか?
それについて患者さん事、
癌細胞種精度でリアルタイムに理解できる可能性があります。
当然、薬物療法では薬理の確認にも利用できます。
こうした細胞外小胞の分離精製に基づく技術が成熟すると
癌治療を行った後に、残存病変の定量化のために
細胞外小胞を分析する可能性がありますが、
その機会に、癌細胞死由来の細胞外小胞を
分析することもできます。
いずれにしても、
細胞外小胞内にDNA断片が含まれている場合、
特別な注意が必要です。
一方で、RNAは細胞核膜を核孔を通過できるため
細胞内を細胞核を含めて、
比較的自由に移動し、分布することが可能です。
従って、mRNA、miRNA、siRNA、tRNAを含めて
多くのRNAが細胞質に含まれ
その一部は細胞外小胞に包まれ、細胞外に放出されます。
当然、新型コロナウィルスやインフルエンザウィルスなど
RNAウィルスに細胞感染している状態でも
RNAウィルスのRNAを細胞外小胞に取り込んで
循環器に放出され、
液体生検で検出可能な状態が生じることがあります(9,10)。
唾液によるPCR検査でウィルス感染の有無を診断できますが、
細胞外小胞で検出する場合は
手間を惜しまなければ、
感染細胞種が付加的にわかる可能性があります。
例えば、
オミクロン株の新型コロナウィルスでは
上気道の細胞には感染しやすいけど、
肺の細胞には感染しにくいことがわかっています。
これが、オミクロン株の人命に対する脅威の低さに起因している。
という認識も少なくとも一部ではあります。
こうした試験管で確かめられたことが
実際に人の体でも同じであるということの評価が
高精度細胞外小胞分離と
細胞腫特異的細胞外小胞内ウィルスRNAの検出で可能になります。
また、デルタ株は
新型コロナウィルス世界的流行で
最も人命に対する脅威を与える毒性の高い株でした。
幸いにも、この時にはmRNAワクチンが
ある程度、普及していたため、
予防的処置であるため、多くの人は認識していませんが、
The New England Journal of Medicineの
大規模、効果検証報告から(11)、
世界的に多くの命が「陰で」救われた。
あるいは致命的な後遺症から救われた。
特にデルタ株流行時期においては、
このように少なくとも一定の合理性をもって明言することができます。
なぜなら、東京大学の佐藤 佳 教授の精力的な研究によって
デルタ株は肺の細胞において
膜融合などを含めて、高い毒性を持っていることが
試験管で少なくとも示されていたからです(12)。
これは細胞の現象にかわりなく、
もし、生体内で同じことが起こっているとしたら
細胞死も含めて、こうした細胞現象を
肺感染細胞由来の細胞外小胞を特異的に分離精製し
その中のウィルスRNAを含めて、物質解析することで
試験管内(in vitro)、マウス(in vivo)で生じたことが
実際にヒトの生体内で生じていることの確認。
あるいは物質分析することで
何らかの付加的な物質的情報が得られる可能性もあります。
従って、細胞外小胞分離技術は細菌だけではなく
ウィルスも細胞内で作用し、増殖する以上、
少なくとも間接的にその作用機序、増殖機序、毒性、数、種類などを
詳しく分析することを可能にします。
例えば、エイズはまだ、根治させることができない
ウィルス感染、免疫不全疾患です(13)。
エイズウィルスがどの細胞種に潜んでいるのか?
細胞外小胞からRNAや
CD4 T細胞から出る細胞外小胞の包括物質分析
CD4 T細胞死時に生じる細胞外小胞の包括物質分析。
これらによって、
エイズに罹患されている患者さんにおいて
CD4 T細胞でどのようなことが生じているのか?
それを人のケースでリアルタイムで分析できる可能性があります。
また、エイズ感染がみられる
細胞膜たんぱく質の情報がえられれば
選択的にその細胞に有効に抗ウィルス薬を送達できる可能性もあります。
様々なウィルス性感染症がありますが、
試験管で細胞レベルでどういったことが生じているか?
物質的情報を含めて、把握することが
今のテクノロジーで実現することができますが、
実際にその事実が人の体内でも生じているか?
細胞外小胞による物質分析は
試験管と人生体内を架橋するものになります。
それによって試験管で細胞生物学を研究する
より高い駆動力につながります。
従って、細胞外小胞分離技術は
分子レベルの微小な世界での勝負なので
実際に実施してみると想像以上に難しい可能性が高いです。
通常、薬物送達では10^6倍の送達純度を達成することは
目標として極めて現実的なことからかけ離れています。
それだけ、自然のマテリアル相手に
ppmオーダーの純度で特異的に分離精製することは
薬物送達と同様に困難を極めることです。
確かに分離精製はできるけど、
目標の仕様に数桁到達しないということも想定されます。
しかし、
今は知られていない環境中のウィルスや
体の中に存在するウィルスについても
今までよりも詳しく検出できるようになるかもしれません。
環境管理、保全を含めて
広範に日本、世界の公衆衛生(Public health)に
関連する可能性があるため、
何とか成立、確立させたい技術ではあります。
(核酸の分析)※独自記述
細胞外小胞のRNAの配列分析のためにRNAseqが用いられます。
逆転写酵素で相補DNAに変換後、
4種類のヌクレオチド(A、T、C、G)を以下の方法で区別して
シーケンス情報を分析します。
(NAs1)蛍光発光シーケンシング
(NAs2)ナノポアシーケンシング、
(NAs3)SMRTシーケンシング、
(NAs4)半導体シーケンシング、
(NAs5)表面プラズモン共鳴技術
4種類のヌクレオチド(A、T、C、G)は構造が決定されているので
それぞれのシーケンス判別プロセスでは
あらかじめ決まった4つの物理的特性を個別に検出することになります。
従って、未知の任意の物質を分析するわけではないので
こうした分析のためのプロトコルは
4種類のヌクレオチドを個別に分析するために
システムが最適化されます。
初めに相補DNAにRNAを逆転写する理由は
RNAが一本鎖で構造的に不安定なので、
対応する構造が安定なDNAに変換するということです。
一方で、新型コロナウィルスの検出など
すでに対象となるRNA、すなわち遺伝子シーケンスがわかっている場合には
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)
PCRが一般的に用いられます。
すでに、調べる遺伝子コードが明らかなので
対象となる遺伝子特異的な遺伝子コードに
特異的に結合できるプライマーを用意します。
この時、アクセスする遺伝子コードはすべてである必要はあります。
例えば、20塩基対であれば、
それですでに1兆(10^12)通りあるため、
そのうちの1つを指定するということは
ほぼ確率的に特定のRNAを指定することになるため、
これくらいの20塩基対に結合できるプライマーを結合します。
このときもRNAは逆転写して
構造的に安定な遺伝子シーケンス情報を
引き継いだ相補的DNAに変換されます。
(細胞内小器官とEVカーゴ)※独自記述
核酸の段落で詳細に述べました。
細胞外小胞が放出されるときに細胞内がどういう状況にあるのか?
それによって、細胞外小胞内に含まれるたんぱく質、核酸、脂質などの
カーゴ、積載物が当然異なります。
細胞内の構造について細かく考えると
非常に重要なことがわかる可能性があります。
細胞内小器官には
1. 核 (Nucleus)
2. ミトコンドリア (Mitochondria)
3. リボソーム (Ribosomes)
4. 粗面小胞体 (Rough Endoplasmic Reticulum, RER)
5. 滑面小胞体 (Smooth Endoplasmic Reticulum, SER)
6. ゴルジ体 (Golgi Apparatus)
7. リソソーム (Lysosomes)
8. ペルオキシソーム (Peroxisomes)
9. 細胞質基質 (Cytosol)
10. 細胞骨格 (Cytoskeleton)
11. 中心体 (Centrosome)
12. バキュオール (Vacuoles)
13. 葉緑体 (Chloroplasts)
14. 小胞 (Vesicles)
15. 細胞膜 (Plasma Membrane)
主にこれらの組織があります。
それ以外にも細胞核内に46本の染色体があります。
これらは主にたんぱく質、核酸、脂質などで構成されます。
当然、識別可能な特異的な構造を少なくと保持しています。
細胞死のプロセスはこうした細胞内器官の物質が
細胞外小胞内外においてすべて環境中に
細胞から断片化されて放出されることになります。
従って、通常、生存している細胞外小胞から
放出された細胞外小胞のカーゴ内に含まれる
タンパク質、核酸、脂質などの構成と大きく異なるはずです。
上述した細胞内小器官の物質が
細胞外小胞に多様に含まれている場合には
それが細胞死によって生じた細胞外小胞である確率が
同然、上がります。
あるいは特定の細胞内小器官の物質が
突出して多ければ、
その細胞内小器官が何らかの異常ある状態の
細胞から放出された細胞外小胞である可能性があります。
一方で、ミトコンドリアなど
細胞内の多く存在する細胞内小器官は
一定の寿命で代謝回転している可能性があるため
その分解プロセスで生じた物質を
細胞外小胞が取り込む可能性も否定できません。
従って、
そうした細胞内小器官のカーゴ内の物質の有無
そのものが信頼性ある細胞死、損傷マーカーであるかは
より詳しい研究が必要です。
ただし
量と種類が重要で
あまりにも逸脱して量と種類が豊富であれば、
現時点でも、それは細胞死したときに放出された
細胞外小胞である可能性があります。
いずれにしても
細胞内の組織の特徴をよく考えます。
例えば、染色体の構造は細胞の形質を決める基本的な部位のため
ミトコンドリアのように代謝回転は当然しません。
従って、
細胞外小胞に染色体の物質がカーゴとして含まれている場合と
ミトコンドリアの核酸、たんぱく質が含まれている場合では
あるいはそれら両方が含まれている場合では、
その細胞外小胞から細胞内の情報を推定するうえでの
解釈の仕方が異なります。
細胞外小胞は通常はほとんど情報として得られない
細胞内の細胞内小器官や細胞核内の状態を
限られた物質から推定することを原理的に可能にします。
この「限られた情報」から
完全な細胞の情報を推定することは
人工知能の強化学習と親和性が高いです。
従って、うまくアルゴリズムを組めれば
将来的には、この分野の技術開発が進み、それが成熟化すれば
細胞外小胞のカーゴから
人工知能によって細胞内の情報が正確に推定できる可能性もあります。
こういったことは試験管レベルでも
まだ、十分に研究されていない領域です。
それが、健康な人を含めて
人の生体内で、生きた状態で、リアルタイムで
しかも採血など簡便な様式でわかる可能性があるということです。
(たんぱく質と分析)※独自記述
細胞外小胞は細胞の痕跡、
細胞の状態を映す鏡のような存在です。
特に細胞を構成する物質のうち50 - 70%はたんぱく質ですから
細胞外小胞内、膜上に存在するたんぱく質を
遺伝子シーケンスを含めて詳しく分析することは
上述した細胞内小器官の状態を含めて、非常に重要です。
しかし、液体生検で含まれる細胞外小胞は
体全体にある30兆個の細胞と数百種類の細胞種から
放出された細胞外小胞は混合されている状態です。
上述したように個別の細胞の状態を
細胞外小胞を媒体として探針することは
ppmオーダーの非常に高い精度の分離技術と
限定的な量から正確に分析する技術両方が求められます。
例えば、1個、数個といったたんぱく質を正確に分析するためには
それらのたんぱく質を確実に分離することが求められます。
タンパク質のコピー、増幅も考えられますが、
それをするためには遺伝子コーディングの把握が必要です。
遺伝子コーディングの情報が得られるということは
タンパク質の種類の重要な解析が終了しているということです。
従って、このたんぱく質の構造や種類を決定する
遺伝子コーディングが未知の状態で
その分析を高感度にするために
限られたたんぱく質の構造をコピーして増やすことは
今の技術では少なくとも難しいです。
従って、
限られたたんぱく質を確実に分離精製して
それを高感度で逆翻訳解析、プロテオーム解析することが求められます。
量が非常に限定的な場合は
この解析が困難を極める可能性があります。
あるいは、数が非常に限られる場合には
超解像度の顕微鏡を用いて、人工知能の力を借りながら
タンパク質構造を決定する選択肢も考えれますが、
解像度を回折限界以上に上げるために
蛍光発光させる必要があります。
しかし、選択的に蛍光発光させるためには
あるいは強化学習させるためには
多くの場合、たんぱく質の構造が
あらかじめ既知である必要あるため
タンパク質の種類、分析したい標的が
わかっていない分析においては
こうした手法を利用することができません。
上述したように細胞外小胞分離技術が原理的に可能なこと。
その理想的なことばかり述べているようですが、
実際には分離精製のためには
分子レベルの設計正確性が必要であり、
細胞外小胞の凝集、融合などの複合体化もあります。
また、分析できるたんぱく質、核酸の数も限られる可能性があります。
場合によれば、目で見えない
光学顕微鏡でも見えないレベルのスケールの物質が
溶液中に100万個あり、
その中の特異的な1個を確実に分離して、
その限られた数の物質を詳しく分析するようなものです。
これが容易ではないことは明らかです。
(ラマン分光法)※独自記述
物質に光を照射すると、物質の分子にある電子が励起されて
その電子の緩和過程で光が放出されます。
その時に入射光と出射光の波長、エネルギーは完全に一致せず
出射光の光の波長がシフトすることがあります。
これを非弾性散乱といいます。
通常、無機物質のように周期的な結晶構造を持っていると
それに応じてバンドギャップが定まり、
光の吸収端がそのバンドギャップに応じて定義されます。
しかし、たんぱく質などの有機高分子では
非常に複雑な3次元構造をとることから
一つのたんぱく質でも複数の吸収端を持ちます。
従って、
タンパク質の分子の電子を励起するときに
利用される光の波長は目的に応じて選択することができます。
ラマン分光ではラマンシフト信号のノイズとなる
蛍光発光の影響が極力すくない波長が選択されます。
それが、可視、緑の領域の532nmです。
しかしながら、532nmということは
スポット径は200nm程度までしか下げられませんから
焦点位置に小さい細胞外小胞であれば
すべて覆われる。
いいかえれば、
細胞外小胞の表面タンパク質、表面糖、脂質膜、
内容物を含め、すべての要素において
構成物質の吸収端分子の電子が励起されることになります。
従って、様々な物質から散乱光データが
混在して検出されることになります。
非弾性散乱でどれだけ波長シフトするかは
炭素、窒素、酸素、水素の結合の組み合わせによって
固有に変化します。
それらが総体としてスペクトルデータとして出力されるので
一つ一つのスペクトル強度は微弱になり、
それらを分析して、物質構造を正確に掌握することは
複雑な解釈が必要になります。
多変量解析や機械学習などが用いられます。
また、表面プラズモン現象などを利用して
微弱な信号を強化させるようなシステムもあります(14)。
(抵抗パルスセンシング)※独自記述
抵抗パルスセンシングは
細胞外小胞が浮遊する液体中に電流を流します。
細胞外小胞を圧力によって、拡散させ、
その拡散経路において
細胞外小胞の大きさレベルまで経路を閉塞させます。
そうすると閉塞させた領域では
電流が集まるわけですが、
細胞外小胞がその空間的に制限された領域を通過するときに
電流経路を妨げるので、抵抗が上昇します。
それを検出することで
細胞外小胞の粒子径を計算することができます。
その抵抗値から計算することもできるし
どれだけの時間、抵抗が上昇したか?
すなわち細胞外小胞の拡散速度からも
おそらくアインシュタイン・ストークス関係式より
粒子径を計算することができます。
こうした拡散速度は
ジオメトリを工夫し、
パルス信号間の時間を計測することで
より正確に見積もることができます。
また、そのパルス信号の数を計測することで
細胞外小胞の数を定量化することもできます。
(ウェスタンブロッティング)※独自記述
ウェスタンブロッティングは
細胞外小胞の大きさで分けるなら大きさで分ける分離方法を
前プロセスとして行います。
例えば、電気泳動法、濃度勾配などが考えられます。
もっと言えば、
細胞外小胞分離技術でも構いません。
ウェスタンブロッティングは
細胞外小胞からの発光信号に応じて
その数を計測するものです。
分離、発光による計測があります。
従って、発光のプロセスも蛍光発光でもいいし、
HPP(複合体化)-HRP(付加材料)反応による発光でも構いません。
(細胞外小胞分泌量調整)※独自記述
細胞外小胞の分泌量は少なくとも以下の要因で変化します。
(ExSF1)エンドソーム生成量
(ExSF2)エンドソーム-細胞膜結合、融合
(ExSF3)膜の変形
(ExSF1)エンドソームの生成量は様々な因子によって変化します。
細胞表面の受容体がリガンド結合によって
活性化するとエンドソーム量が増えることがあります。
例えば、レプチン受容体です(15)。
そもそも細胞がエンドソーム量を変えるように適応するのは
なぜか?それについて考えることも重要です。
「恒常性(Homeostasis)」という概念があります。
こうした概念は組織や人の体全体
あるいは免疫機能などで使われることがありますが、
単一細胞レベルでも恒常性を保つ機能があります。
例えば、細胞が栄養不足になれば
エネルギー取得のために
細胞は細胞外の多くの栄養素を効率的に取り込む必要があります。
従って、こうした場合
エンドソームはエンドサイトーシスによっても生じ、
このエンドサイトーシスがまさに
細胞外から物質を取り込む生物学的プロセスです。
従って、栄養不足になれば
エンドソーム量は増えることになります。
他方で
酸化ストレスなどで細胞に異常が生じたときも
その異常を周りに知らせる必要があるため
エンドソーム量を増やして
細胞外へ内分泌物質を多く放出します。
エンドソーム量は特にエクソソーム量と関連があるため
細胞の状態によって
エクソソーム量は様々な経路で変化する可能性があります。
(ExSF2)エンドソーム-細胞膜結合、融合に関しては
代表的な結合因子はRAB27A/Bです。
これを抑えると
細胞外小胞の分泌量が低下することは報告されています(16)。
(ExSF3)膜の変形に関しては
エクソソームに関してはテトラスパニンや
エクソソームを閉じる働きがあるESCRTなどが
その生物発生量に影響を与えると考えられます。
一方、細胞膜から直接、発芽(Budding)するプロセスで
形成されるエクトソーム(Ectsome)は
脂質ラフト誘導の細胞接着分子集合化や
それに付随した細胞接着分子の
アダプターたんぱく質(足場たんぱく質)。
これらが駆動因子になります。
Rho familyは細胞突起の一つであるfilopodiaの
駆動因子となります(17)。
エクトソームの生物発生については
いくつかのパターンがあるため(15,18)、
一つ一つの個別のプロセスの詳細が
明らかになっているわけではありません。
ただ、細胞膜の形を変えるための支持構造として
一般的なのがアクチンなどの細胞骨格なので
こうした細胞骨格の特異的な伸長や
それを促す物質的因子は
エクトソームの生物発生に関与している可能性があります。
もし、これがある程度、正しいとすれば、
エクトソームと判別するための物質的マーカーとして
特異的な細胞膜たんぱく質(BSG, SLC3A2など(19))。
これらだけではなく
エクトソーム生物発生時に隆起部分に
存在すると考えられる細胞骨格、
あるいはアダプターたんぱく質の一部が
カーゴとしての物質的マーカーとなる可能性もあります。
(細胞との相互作用)※独自記述
細胞外小胞は細胞間のコミュニケーション。
受容体結合を通じたシグナル誘導や
輸送媒体として
タンパク質や核酸などを細胞間で輸送する働きがあります(20)。
そのためには
当然、細胞外小胞は放出後、
異なる細胞と相互作用(結合、融合、取り込み)する必要があります。
こうした現象を区別して観察するためには
細胞外小胞は光学顕微鏡の分解能よりも
小さいものも含まれるため
超解像度の顕微鏡が必要になり、
その場合、蛍光発光させて動的ふるまいを追跡する必要があります。
いずれにしても
膜融合すれば、内容物がそのまま細胞質に放出されるし、
エンドサイトーシスされれば、
その一部は細胞質を横切って、
その細胞を貫通して移動することが可能になります。
(すなわち、トランスサイトーシス)
逆に言えば、細胞外小胞にトランスサイトーシス能力がなければ
細胞外小胞の及ぼす範囲は区画内に限られますから
血液中に多く流れ出すことはできません。
なぜなら、血液中に進出するためには
少なくとも一部は血管壁を超える必要があるからです。
実際に、血液中に
多くの細胞外小胞が検出されている事実がありますから
このことから、
細胞外小胞は細胞と相互作用する際
融合、あるいは細胞質内での分解を通じて
送達細胞に物質を放出するだけではなく、
トランスサイトーシスを通じて
細胞を構造を保護したまま、通過できる能力も有します。
他方で、エクソソームは
インテグリンの型によって
どの臓器に送達されやすいか(臓器向性:Organotrophy)。
それが決定されるという報告もあります(21,22)。
幾何生物学的には当然なのですが
このことから細胞外小胞の膜タンパク質と
細胞の膜たんぱく質は結合性を持ち、
それらの特異性が
どの細胞腫と細胞外小胞が高い親和性をもって
結合しやすいか、
また、それが細胞外小胞の濃度分布、
すなわち組織向性の一つの重要な決定因子になっている。
このことが示唆されます。
このような自然現象が
私が提案する細胞接着分子を利用した
細胞外小胞媒体による
細胞腫特異的薬物送達システムの枠組みの基礎となっています。
液体生検による
細胞外小胞分離技術の観点で
細胞外小胞と細胞との相互作用について考えると
細胞外小胞分離技術の
細胞膜上の付着物質や結合部位の分子構造の変化などは
その細胞外小胞が
細胞から放出されてから
どういう経路をたどってきたかという痕跡を示すものです。
例えば、肺の上皮組織から
血液中に流れ出るまでには
上皮細胞から放出されて、
間質、血管周皮、血管中膜、血管内膜の
組織的区画を少なくとも超える必要があります。
例えば、間質には細胞外マトリックスがあります。
血管内膜では内皮細胞内を通過する際に
一部の細胞外小胞は内皮細胞内の物質と
相互作用する機会があります。
あるいは内皮細胞の膜たんぱく質と
結合、離脱する機会があります。
血管に出れば、様々な代謝生成物が
膜上にコロナとして付着する機会があります。
これらが順に堆積するならば、
膜上の一番表面にあるコロナは
血管で付着したものかもしれません。
その下にあるものは
血管に出る前に付着したものかもしれません。
こうした物質に個別にアクセスして分析することは
細胞外小胞を分離すること自体よりも
さらに技術的な障壁が高いですが、
細胞外小胞にはこうした痕跡も残っているということです。
それは細胞外小胞が
様々な形で細胞と相互作用するからです。
(参照条件)※独自記載
研究開発をしていく上での基本的なプロセスは
何か条件を変えたとき、
細胞外小胞に機能を加えたときに
変えた条件の真の影響を見るために
変えた条件以外の項目で一致する
レファレンスサンプル、参照条件と特性を比較する必要があります。
何がバックグラウンドで存在するか?
条件を変えたことによって
どの機能が付加されたか?
それを把握するための比較サンプルは必要です。
(生体内の分析)※独自記載
人の体の中から自然に放出された
細胞外小胞をトラッキングするためには
上述したように、付着した物質の
層構造を分析することで
さかのぼって分析することが原理的に可能です。
あるいは
細胞外小胞の膜たんぱく質、膜構造、積載物すべてが
放出された細胞内の物質的情報の一部であるため
その物質を分析することで
細胞外小胞がどの組織、細胞種から分泌されたか?
それを推定することも可能です。
また、私が提唱する細胞外小胞分離技術の目的が
細胞外小胞を通じた生体内、
もっと言えば、細胞レベルの生体内の分析です。
細胞外小胞を薬物送達媒体
あるいは細胞外小胞そのものを
薬物(の一部)として利用する場合には
その細胞外小胞を
視覚的にも、物質的にも
プロキシ(代理マーカー)を用意すれば
おそらく可能です。
視覚的手段の一つとしては、磁気共鳴分析(MRI)を利用します。
プロキシとして、
細胞外小胞よりも物質として大きい
ヒドロゲルや細胞を使います。
それらの大きな代理マーカーと
生体外であらかじめ細胞外小胞を複合体化させます。
それが必要な理由は
磁気共鳴装置では
細胞外小胞1つ1つを追跡できるほどの
空間分解能と特異的信号検出を期待できないからです。
バックグラウンド信号が小さい励起分子、
かつ、大きな代理マーカーを立てる必要があります。
バックグラウンド信号が小さい
代替可能な励起分子は重水素です。
細胞には多くの水が含まれるので
それをあらかじめ重水に入れ替えます。
ヒドロゲルの場合は
タンパク質と水の複合体の水の成分を重水に変えます。
その状態で造影剤であるガドニウムを
有効に局所的に添加します。
また、実験的に証明された方法ではないですが、
磁気共鳴装置で人のケースで
循環器中の細胞外小胞の動きを
赤血球などの代理マーカーを通して
視覚化できる可能性があります。
物質的分析では
細胞外小胞に識別可能な核酸(バーコードmiRNA)、
あるいはたんぱく質(特異的アミノ酸配列)、
これらを内容物、あるいは表面に含有させます。
内容物に関しては
その細胞外小胞が送達された細胞で放出され
それがその送達細胞から放出される
細胞外小胞に
その識別可能な物質が内包され、
循環器に放出されれば、
液体生検からその特異的細胞外小胞を
高精度の分離精製できれば、
細胞外小胞が送達された細胞種を特定することが可能です。
あるいは
表面に装飾した特異的アミノ酸配列を持つたんぱく質が
離脱されやすいようにすれば、
途中の経路で通過した細胞種も
そのタンパク質から明らかになる可能性があります。
表面の物質が細胞内の環境で
内包物を出さずに離脱されることを期待します。
これは、RNAでも構いません。
例えば、リンカーとして
細胞質内で低下するpH依存的に乖離するようにすれば
初めに通過した細胞質で
選択的に離脱するシステムを組めるかもしれません。
細胞外小胞の生体内分析は多岐にわたります。
細胞死、細胞内小器官の状態、
癌細胞の生死、薬理の確認など
通常、直接的に生体内の組織を分析することなくして
分析ができない、いくつかのことが部分的に可能になります。
なぜなら、
液体生検で細胞外小胞の物質情報を
分離精製して扱うことができたら、
細胞内の物質情報の一部を
特異的に扱うことを許されるからです。
こうした生体内の多様な分析を可能にするためには
マスク細胞外小胞やRNAの任意設計、
人工スパニン生物発生、膜内形成などを要素技術として含む
細胞外小胞のバイオエンジニアリングや
それを一部要素技術として
超高精度の細胞外小胞分離技術が必要になります。
従って、
こうした技術の達成レベルによって
上述した細胞外小胞の生体内分析の範囲、レベルも
正の相関を持って変化します。
今、ここで述べていることは
その達成レベルが高くなった時を想定して
それによって可能になる生体内分析を想定しています。
(まとめ)
特に後半部分は
国際細胞外小胞学会がレポートに挙げている項目を参考にしながら
今の私の知識を持って、独自に記述させてもらいました。
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