2024年10月9日水曜日

細胞外小胞関連技術におけるテトラスパニンの重要性 ~背景的な説明を含めて~

役に立つ研究が優先される事の是非について
特に大学や研究機関で議論されて久しいです。
社会に役に立つ研究ばかり優先されると
面白くないし、逆にイノベーション、発見もない
という意見、考え方もあると思います。

「役に立つ」という定義がどのように捉えられているか?
私の印象としては、
その国の経済的価値を生み出すかどうか?
経済的観点が優先されているようにも思えます。
ただ、経済とは主に金銭の交換であり
その本質的な源泉が付加価値であるとします。
では、その付加価値の源泉は?
人々の健康、幸せ、便利などが挙げられると思います。
今では、動物、植物などを含めた生物の利益、
その他、地球の自然資本に対する利益おあるかもしれません。

そのように上流を丁寧にたどっていくと、
「役に立つ」に対する観点もより広がるかなと思います。
そうした一般的に役に立たないと言われる研究が
その研究の利害関係者や将来の子どもにとっての
興奮、幸福につながるのであれば、
それは広義にみれば「役に立つ」では?とも思います。

一方で、今、基礎研究している事の応用がわからない。
研究している当事者の方ですら
そういう事があると思われます。

今、私がしている基礎研究は
明確な応用が見えていて、
おそらく実現すれば高い確率で経済的価値を生み出します。
そのような基礎研究というのは
当然、大学、研究機関でも行われますが、
経済的利益につながるとなると
他方で、企業(営利団体)も
積極的に関与できる条件が揃っています。

今まで何度も丁寧に申し上げてきた通り、
細胞外小胞の分離が高いレベルで出来ると
世界が変わる、くらいに思っています。
細胞生物学、医療だけではなくて
主に微生物の生態系の維持、調査にも波及します。
微生物は人の体内にも存在しますし、
それが90%という見積もりもあります。
食物連鎖の底辺にある動物である
昆虫などの生物多様性が失われる事が危惧されますが、
もっと底辺には微生物の存在があります。
生態系の底辺を支える微生物に探針を当てる事が出来る事は
それに専門的に関与する方々だけではなく、
世界に相当なインパクトがあると思っています。
他方で
基礎生物学や臨床である医療にも影響を与えます。

今、私が取り組んでいる事は
そうした出口、応用が見えているので、
正直、出来るかどうかに関して
心が躍るような面白みはあまりないのです。
企業の研究開発者がする
事業化への最適化のような感覚もある。
ただ、
普通の基礎研究よりは
課題が明確なので、何をすべきかがわかりやすい。
このことがあります。
従って、研究テーマに対するアプローチが
一般的な基礎研究とは異なります。

細胞外小胞の膜タンパク質の装飾。
それを利用した薬物送達システム構築、評価、
あるいは細胞外小胞分離、物質分離などにおいて
初めの基礎研究の段階から
製造、生産のことを考えながら行います。
例えば、
良品、不良品をどうやって確認、選別するか?
そんなこと基礎研究段階で考えないと思いますが、
案外、細胞外小胞に関しては
その生産の所ですら、
極めて高い専門的な技術、知識が必要です。

細胞外小胞の明らかに見えている課題は
様々な特性における異種性、バラツキの大きさです。
しかも、対象物が小さいから、
コントロール、ハンドリング、評価。
これらが難しいという事があります。
また、自然に存在するものなので 
タンパク質と同様に凝集したり、
あるいは膜融合したりもします。

それを乗り越えることは容易ではないですが、
細胞外小胞が実際に細胞からどのような過程を経て
形成されていくか?
遺伝子の転写、翻訳段階から掌握することで
対策として見えてくるものがあります。

基本的に形成の鍵となる物質は
人為的に可変性がある様式で
コントロール、制御したいということがあります。

エクソソームに関しては
その物質の一つは、間違いなくテトラスパニンです。
じゃあ、
このテトラスパニンを遺伝子転写、翻訳の段階から
バイオエンジニアリングによって
遺伝子的に制御する事で
細胞外小胞の特性を我々の支配下に置きましょう。
このことが出発点としてあります。

本日の記事で述べた様に
テトラスパニンは複合体化すると
おそらく、エクソソームの形成を強く駆動します。
この前提が間違っていたら、また、考え直せばいい。
とりあえず、
今の段階ではこれが正しいとして進めます。

そうであるとするならば、
リボソームで翻訳され、小胞体で膜挿入される段階で
膜にテトラスパニン複合体が形成されるように
転写最終産物である
mRNAのコーディングを人為的に行い
その膜構造を私たちの制御下に置きます。

このテトラスパニンはN末端、C末端からなる
末端構造を直列につなぐ形の複合体化でもいいし、
末端間の膜貫通数を通常の4(テトラ)から
6、10、あるいはもっと大きくする事を考えます。
それをmRNAで初期合成段階から
人為的にそうなるように制御します。
こうした構造の制御の可変性が高いと
それによって、色んなことができるようになります。
自然に存在しない膜貫通数、複合体パターンの条件を構築できれば、
それ自体が生産において重要な
確認、評価の為のマーカーとなります。
あるいは、膜貫通数、複合体パターンは固定できますから
それによってエクソソームの特性を一定にしやすくなります。
従って、根本的な偏差、異種性の大きさの
課題を克服する一つの重要な要素技術となります。
さらに、
膜貫通数、複合体数が大きくなれば、
曲率が大きくなることが自然に考えれば想定されるので
通常、存在するエクソソームよりも径が小さくなる可能性があります。

特に私にとって一番目的である
不変のテーマ、小児脳腫瘍の治療への貢献においては
浸透率が2桁以上低い、バリア性の高い
血液脳関門を有する毛細血管からの
柔組織への滲出を考える必要があります。
この滲出効率を高めるのは
高い確率で小さいエクソソームである事が重要です。
なぜなら、小窩に入る特性である必要があるからです。
小さければ、小さいほど入りやすいし、
エクソソームは膜タンパク質を機能化できるので
小窩のタンパク質と結合させ、
トランスサイトーシスを駆動することができます。

こういうモデル、事情から
小さいエクソソームを安定的に欲しいという需要が
私には少なくともあります。

小さいエクソソームは
後プロセスで不必要なたんぱく質を酵素で
全て、除去、少なくとも構造を崩すときに
特定の必要なたんぱく質を残すための
バリア構造、マスクとしての利用にも適しています。
より部分的にカバーできるからです。

さらに小さいエクソソームは
表面積が径に応じて小さくなりますから
膜タンパク質の単色性、複色性制御が
空間的な制約でより容易になります。

加えて小さいエクソソームを
人為的に容易した人工テトラスパニン複合体で形成させれば
その影響が色濃く膜特性として反映されるため
テトラスパニンと複合体化させた
膜タンパク質の勢力を相対的により高めることができます。

また、通常、人為的なテトラスパニン複合体による
駆動以外の形成過程で生じたエクソソーム群の
径のバラつき範囲よりも
一段、二段と小さな径の範囲で
人為的テトラスパニン誘導のエクソソームの径が分布すれば、
それが生産において顕著な利点をもたらします。
なぜなら、
大きさで細胞外小胞を分ける事は
比較的容易に、高スループットでできるからです。
すなわち、
人為的テトラスパニン複合体誘導のエクソソームだけを
高効率に分離精製することが可能になります。

上述したことは
人為的テトラスパニン複合体の数が多くなれば
生物発生するエクソソーム(前駆体)の径が
小さくなるはずである。
この前提に基づくものであるため、
この前提が正しくないということになれば、
また、その時には一から考え直すことになりますが、
「通常よりも小さな」エクソソームを
人為的なマテリアルで制御して作れるようになることは
おそらく生産を考えると必須になると思います。
上で述べた様に様々な利点が考えられるからです。

また、人為的テトラスパニン複合体は
mRNA配列で構造が決定されるため、
そのmRNA配列の段階で
例えば、特異的な波長で蛍光発光するタンパク質。
これを複合体装飾できれば、
生産の際の
高分解の蛍光顕微鏡で
その存在、数、形、単離性(凝集)
これらを評価できる可能性があります。
小さい蛍光発光する分離されたエクソソームを
蛍光顕微鏡で数量を人工知能に(自動で)数えさすことができます。

こうした数々の視点は
医療であれば、小児脳腫瘍を治る疾患にする。
このような明確なビジョン、目標があるから生まれ、
その中でいくつかの数珠つなぎの素案が創出されます。
そもそも
脳神経系の薬物送達という目標がなければ、
小さいエクソソームを作ろうとも思わないはずです。

ただ、こうした内容のリスクは
まだ、実験的に何一つ確認していないという事です。
すべて直列的につながっているため、
様々な素案に影響を与えます。
例えば、
小さいエクソソームが
実際に実験したら想定と全く違う。
こういう可能性もあります。

私の今までの技術者としての経験上、
ほとんど私の頭で考えた事は
その通りにならなかったので、
修正しながら、お力を借りながら、
(私には難しいことだが)我慢強くやっていくしかない。

多分、この技術は価値があると思う。
それを、是非、
東京大学、京都大学、大阪大学、広島大学を始め
まずは専門的な事を知っている
あるいは、細胞外小胞を実験で扱ったことのある
研究者の方々に伺いたいです。

 

0 コメント:

コメントを投稿

 
;