2024年10月8日火曜日

細胞外小胞分離技術:アポトーシス小体、細胞外小胞マスク

エクソソームを利用した細胞種特異的薬物送達システム。
あるいは、
細胞外小胞を用いた選択的沈降精製分離技術。
これらいずれにおいても
特定の膜タンパク質だけを特異的に膜装飾したい。
この需要があります。
しかし、これら細胞外小胞は
細胞からの自然な生物発生を利用するため、
薬物送達、あるいは選択的沈降に不必要な膜タンパク質が
高い確率で混在します。

それを克服するための様々な選択肢があると思いますが、
一つの考えられる方法としては
膜装飾として選択、残したい膜タンパク質以外の
膜タンパク質を何らかの方法で後工程で分解させる。
このことです。
実際に半導体では、こういった仕様を満たすためには
フォトリソグラフィーなどが用いられますが、
少なくとも細胞外小胞では
こういった技術をそのまま用いる事ができる
スケール、物質ではないということです。

そもそも分離技術に関しては
選択的沈降媒体は合成ナノ粒子でいいのではないか?
このことが前提としてあります。
その選択肢は「ありえる」ものとし、
今日は、とりあえずそこには焦点を当てません。
この記事では
あくまで、細胞外小胞(あるいは細胞)を沈降媒体として
選択的分離精製に利用する事を想定します。

選択的沈降の為には
重さによる違いが大きく出れば出るほど、
円滑な選択的分離ができるということがあります。

当然、選択的沈降に使う沈降媒体は重い方がいいわけですから
その沈降媒体として利用する細胞外小胞は
アポトーシス小体のような1μmー5μm程度の
大きな細胞外小胞が好ましいです。
あるいは選択的沈降媒体は細胞そのものでも構いません。
かりにアポトーシス小体を用いるとなると
最大で6桁から7桁、
複合体化した時に重さの差を出すことができます。
非常に大きな重さの差は
選択的沈降プロセスをより容易にすると推定されます。

問題は大きな細胞外小胞や細胞の表面積は大きくなるため
無数の膜タンパク質があり、
特定の膜タンパク質だけ選択精製する事が出来ない。
このことがあります。
多くの膜タンパク質が混在すれば、
当然、構造特異的なコーディング分離ができなくなります。
さらに結合親和性コーディングの一部も機能しなくなります。
選択的沈降の前提になっている仕様なので
これは現時点では必ず満たす必要があると考えています。

もし、特定の膜タンパク質だけ選択精製できるようになると
選択的分離における一つの大きな技術的障壁を超える事になります。

それを実現するための一つの方略は
「細胞外小胞マスク技術」です。

大きなアポトーシス小体(細胞外小胞)や細胞に対して
特定のタンパク質だけを残すために
別途、小さな細胞外小胞(エクソソーム)を用意して
それに保護したいタンパク質の対となるリガンドを装飾させます。
それで、アポトーシス小体や細胞と複合体化させます。
しかし、
生きた細胞の場合はエンドサイトーシスしてしまうため
このプロセスは簡単ではないかもしれません。
また、細胞はプロセス中に動いたり、
代謝生成物を出したり、あるいは分裂したりするので
何らかの工夫をしないと難しいかもしれません。
このように考えるとやはり
細胞外小胞であるアポトーシス小体が
良いように思えます。

このとき、一つの工夫の要素として
マスクするエクソソームを放出する細胞を
できるだけアポトーシス小体を精製した細胞と
形質が重複しない、全く異なる細胞にしたほうがいいです。
なぜなら、そうしたほうが
他のタンパク質による干渉を減らす事ができるからです。
極端な話、
狙いのリガンドを装飾できるのであれば
マスクするエクソソームのリソース細胞は
植物や人以外の動物由来のものでも構いません。
とにかく、自然な生物発生で
物質的に相互作用しない全く異なる細胞種にするのがいいと思います。

いずれにしてもエクソソームなど小さな細胞外小胞でマスクした状態で
他のタンパク質を酵素などで分解します。
タンパク質は全ての構造を除去する必要はないかもしれません。
あくまで目的は結合因子として機能しなくなるように。
このことがあるので、
できるだけ最小限の分解条件で
他のタンパク質を分解し、
細胞外小胞でマスクした部分だけ保護します。

その後、エクソソームで保護したタンパク質との結合を
物理的(機械的も含む)、化学的など
何らかの力で取り除きます。
これを実現するためには相応の条件だしが必要ではあります。

アポトーシス小体は大きなものが欲しいですから
アポトーシスの条件(駆動因子など)
アポトーシスさせる細胞種、年齢など
最適化して、できるだけ
大きなアポトーシス小体が得られるようにします。

大きな細胞外小胞を自然な細胞膜の萌芽によって得る
という事も考えられますが、
その場合、アポトーシス小体よりも小さいし、
アポトーシス小体は
細胞の細胞膜のほぼ完全な分裂なので
効率よく大きな細胞外小胞が生産されるという意味で
今の素案を出す段階においては、有力候補だと思われます。

アポトーシス小体を大きいものにしたいというのは
液体生検によって分離する細胞外小胞を
小さいものに限定しないということにも起因します。
大きなものを含めて
生体内の細胞外小胞を高精度に分離したいという事があります。
大きくなればなるほど、
選択的沈降を行う媒体の重さを大きくする必要があります。
場合によれば、選択的沈降を行う沈降媒体は
質量を大きくするため、凝集させる可能性もあります。

ただ、大きいものは絶対的な質量があるので
溶液中を比較的高い速度で沈降させることができるはずなので
桁で質量が重い沈降媒体を用意する必要があるかどうか?
これについてはわかりません。

上述したように小さな細胞外小胞のマスク技術は
細胞種特異的薬物送達システムで利用する
エクソソームでも当然利用できます。
但し、小さい胞同士のマスクが
大きい胞に対する小さい胞によるマスクのように
機能するかはわからないし、
現時点でどちらが技術的障壁が低いかもわかりません。

残る技術要素としては
アポトーシス小体の細胞膜にどうやって
狙いのタンパク質を装飾させるか?
このことが問われます。
当然、細胞の中、表面にある細胞膜そのものが
膜の資源となるはずですから
アポトーシスさせる前段階に
できるだけ狙いのタンパク質を多くする
その遺伝子発現を亢進させることが方略としてあると思われます。
また、CalreticulinやICAM-3など
アポトーシス小体のマクロファージへの食作用を促す
タンパク質亢進や
逆に食作用を防ぐCD47の抑制など
アポトーシス小体の安全な分解に寄与する
生物学的機能が見られる場合には
亢進されるタンパク質との干渉を上げたり
抑制されるそれとの相互作用を下げたりすることで
アポトーシス小体の膜タンパク質の装飾を
より安定化、促進できるかもしれません。

いずれにしても
細胞外小胞に開発リソースを集中するのであれば、
マスク技術も細胞外小胞に依存する事で
そうしたリソースを有効に利用できるということがあります。
こういう考え方は比較的支持されると思います。
少なくとも検証、追究の価値があります。
なぜなら、
マスク技術も含めて、
細胞外小胞の生物発生、精製技術の向上につながるからです。
すなわち、この技術を成立させる事は
細胞種特異的薬物送達システム。
細胞外小胞による分離精製技術。
これらを支える細胞外小胞の製造技術において
一定の相乗効果(シナジー)があるということです。

 

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