痛み(Pain)に多くの人が悩やむ。
これはある種、当然の帰結かもしれません。
体には多くの組織がありますが、
癌細胞が80%以上が上皮細胞性で
限られた細胞からしかできないように
痛みは普遍的に思うかもしれないですが、
痛みを伴う原因の組織はある程度限定的です。
一方で、
痛覚受容器、すなわち、痛覚を持っている組織は
骨、骨格筋、脳(硬膜)以外にも
- 皮膚 - 体内で最も高密度。
- 漿膜や粘膜 - 内臓の炎症や伸展に敏感。
- 関節(滑膜や靱帯) - 関節炎や外傷で痛みを感じやすい。
- 歯髄 - 虫歯や歯髄炎で強い痛みを感知。
- 消化管 - 漿膜や筋層が痛みに敏感。
- 尿路 - 尿管や膀胱が強い痛みを発生。
これらなど全身の主に表層(膜)に多く存在しますが、
上述したように
痛みの原因のほとんど(80%以上)が
- 骨格筋
- 骨
- 関節(骨格筋、骨と関連)
- 頭(頭痛)
- 神経痛(頭を含む)
これらなどで占めます。
頭痛に関しては2つの原因が考えられます
1- 痛みを感じる脳の領域(※)の異常
(※)
- 一次感覚皮質(S1)
- 二次感覚皮質(S2)
- 前頭前皮質(PFC)
- 帯状回(Cingulate Cortex)
- 扁桃体(Amygdala)
- 視床(Thalamus)
- 背側前頭皮質(Dorsolateral Prefrontal Cortex)
- 島皮質(Insular Cortex)
2- 硬膜、循環器の物理的刺激
これらがあります。
1に関しては骨格筋、骨の異常が原因で
膜、末梢神経、脊髄を通って
中枢神経系で痛みを感じるわけですが、
上述した領域が結果として関連します。
従って、痛みというのを包括的に考えるときには
痛覚受容器が体全体にあるので100%ではないですが、
多くの痛みの原因となっている
- 骨格筋
- 骨
- 頭(頭痛)
これらについて、健全な組織形成を含めて考える
ことが重要です。
冒頭で述べたように
痛みは現代病の一つで、ある種、
当然の帰結と述べましたが、
私がそう考えたのが
骨や骨格筋の健全性は
現代の人のライフスタイルと密接に関わるからです。
これらの健全性は
- 運動
- 栄養
- 睡眠
- 体重管理
これらなどと密接に関わり、
ここを考える事で多くの痛みの原因に
アプローチ、リーチ(到達、触手)できると考えています。
これらのライフスタイルは
もう一つの大きな痛みである頭痛(Headache)。
これにも関わる可能性があります。
今、日本で慢性疼痛(とうつう)の有病率は
全成人の約22.5%であり
推計患者数は約2,315万人といわれています。
慢性疼痛は、
- 腰痛
- 関節痛
- けが
これらなど痛みなどが3カ月以上続く慢性痛で、
家事や学業などの日常生活に悪影響を与える可能性があります。
原因が特定しづらく、
適切な治療法を見つけるまで時間がかかることも多く、
本人だけでなく周囲の人々にも大きな影響を与えます。
慢性疼痛の部位別では、
- 腰 64.1%
- 肩が47.9%
- 膝が25.6%
- 首・ノド20.4%
これらの順です。
病状では
- 腰痛が55.7%、
- 肩こりが27.9%、
- 頭痛・偏頭痛が20.7%、
- 関節炎が12.9%
これらの順です。
高齢者では、肩・腰・背中など運動器の痛みを
4割近くの人が抱えています。
この(疫学的)患者さんの数は
必ずしも申告するほどのものでもない
程度の痛みを含めると過小評価されているかもしれません。
小児がんサバイバーの人も慢性疼痛を抱えている人。
これは多いとされています。
<原因>
- 癌関連疼痛(Tumor-related pain)
組織の異形成による圧力による痛み
- 治療関連疼痛(Treatment-induced pain)
化学療法による神経の損傷(chemotherapy-induced neuropathy)
放射線治療による組織のダメージ、
外科的手術による(晩期)合併症
- 筋肉、関節痛
急性期、慢性期の運動不足
<痛みのタイプ>
- 神経障害性疼痛(Neuropathic pain)
神経系損傷によるひりひりするような痛み
- 体性痛(Somatic pain)
骨、筋肉、関節のうずくような痛み
- 内臓痛(Visceral pain)
<治療、マネジメント戦略>
- 薬物療法:
-- オピオイド(慎重な監視の下で)
-- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
-- 抗うつ薬
-- 抗けいれん薬
これらなどの鎮痛薬
- 理学療法:
筋力、柔軟性、可動域を改善するための運動
- 介入的治療:
神経ブロック、脊髄刺激療法
- 心理療法:
認知行動療法、リラクゼーション技法など、
痛みやその影響を管理するためのアプローチ
- 補完・統合医療:
鍼治療、マッサージ、ヨガ、瞑想
<私の痛みと対策法>
痛み(痛覚)は細かくは患者本人しかわかりません。
多くの方が抱えている慢性疼痛に属するほどの
痛みの程度がわかりませんが、
大なり小なり、私も以下のような痛みを抱えています。
- 左肩
左投手としての疲労の蓄積。
社会人の草野球の時に痛みが決定的になりました。
今は、ボールが投げれなくて野球ができない状況。
- 左肘内側
小学校のころから投手で痛みで
整骨院に通っていました。
左肩ほど深刻ではないものの、
投げていると痛むことがあります。
- 腰部
高校サッカー部の時に無理に蹴りすぎて
潜在的に左の腰に痛みを抱えています。
40代になりデスクワークも多くなり、
腰に違和感を感じることが多くなりました。
ただ、慢性疼痛というほどではないかもしれません。
しかし、無理な姿勢で寝たり、座ったりすると
すぐに痛みが生じるような程度です。
- 右中殿筋の喪失
2023年の末に感染症にかかり、
右中殿筋を取る手術をしました。
1か月ほど歩けない、服を着替えられない状況。
これが入院中続き、
医師、理学療法士からは
「もう走るのは難しいかもしれない。」
「少なくとも違和感は残る。」
このように言われていました。
思ったよりも良く回復し、今は走ることができますが、
それでも少し違和感が残る状況です。
特に片足立ちすると筋肉がないことで
違和感があります。
今もリハビリ中です。
- 膝
大学院の時に先生と一緒に10kmの距離を
いきなり速いスピードで走ってから
どうも違和感があります。
ジョギングをすると時々調子が悪くなることがあります。
- ふくらはぎ
2020年からコロナ禍に入って
ジョギングを高頻度にするようになり、
ふくらはぎの筋肉に
走ったら痛みを抱えるケースが多いです。
今も、そうしたことがあります。
痛みで走れないことがありました。
- アキレス腱
特に右中殿筋を取る手術をしてから
左、右のアキレス腱が運動中痛むことが多いです。
それは今でも続いています。
主に運動中に生じる痛みですが、
腰痛など日常生活にも多少影響する程度の
慢性疼痛を持っています。
〇対処法
筋力、柔軟性、可動域を改善するための運動を行っているので
理学療法が中心といえます。
そのほかには呼吸療法です。
ここ半月程度でお示しした内容の通り、
あるいはその信憑性を確かめるため、
自分自身でも実験的に実施しています。
すなわち、
1日10回以上、こまめに
頭から、指先、足先に渡るまで
あらゆる筋肉をストレッチしています。
その時の基本的な考え方が以下です。
1- 考えられるあらゆる動きをする
基本的に動けば、動かすということです。
すなわち、どういう動きをするか決めません。
2- 痛覚を意識しながら動かす
少なくとも激痛を避けるために
程度、動かす速度を考えながらストレッチしています。
「右のアキレス腱調子悪いな。」
このようになってもわずかには動かします。
3- 伸ばす時間を考える
ストレッチは主に特定の筋肉を伸ばしますが、
伸ばす時間が長すぎるのも
筋繊維の弾性材料としての問題ととらえ、
比較的短い時間。
その代わり多くの頻度で動かす戦略です。
4- 痛くなっても周りを動かす
仮に運動ができないほど腰痛が生じたとしても
腰以外の動かせる全身をできるだけ動かす。
腰痛がある腰も、
高度に痛みを意識しながら、
少し、ゆっくりでもできるだけ動かす。
今、最近でない強度、頻度でジョギング、
筋力トレーニングを含めて
運動していて、痛みが生じてもおかしくないところ
なんとか日々、続けられる程度の痛みで治まっています。
しかし、痛くないということはありません。
ただ、私の場合、
局所的には失敗は散見されるものの
(すなわち逆に痛くなる)
全体的には奏功している感じがします。
〇上の理学療法の科学的根拠
特に、慢性痛では感覚、感情、認知、行動に関わる
多因子のネットワークに異常が生じ、
過剰に活性化される傾向があります(1)。
こうした痛みに関する過剰活性化を防ぐために
神経の感受性を下げる脱感作が必要になります。
このとき痛みから逃避するのではなく、
患部、その周りを痛みを意識しながら
適度に動かしていくことを
「Movement therpay」や
「感度抑圧効果(Desensitisation effect)」と呼びます(2)。
これにより痛みを感じる動きの閾値を上げる。
このことが期待できます。
また、当然、筋肉を適度に動かすわけですから
筋繊維の硬直を防止することができ、
患部の運動性を筋組織という観点でも回復させることができます。
適度な動きは血流やリンパの流れを改善し、
炎症物質や損傷部位の代謝老廃物を除去します。
体細胞組織学的(修復、免疫)にも利点があります。
そもそもの痛みの原因は
神経系の感作に関わるリレー異常だけではなく
循環器の異常でもあります。
エコノミークラス症候群では
血栓により静脈の血液の流れが妨げられ
酸素が不足し、組織内
に酸性代謝産物(例えば乳酸)が蓄積します。
これが化学的に侵害受容体(痛みを感知する神経)。
これを刺激します。
こうした物質的に明らかな異常があるため、
それを解消するために
筋肉を少しずつ動かす必要があります。
詳しい細胞生物学的、神経学的な理由は未知ですが、
運動の場合は繰り返されると神経が強化される方向。
こちらに動きます。長期増強と呼ばれます。
一方で
痛みの場合は種の生存のおいて不利な信号であるため
適度に動かされると短期的にも、長期的にも
抑制系(Depression)に動きます。
神経系と似た増強、抑制機能を併せ持つ
免疫系のアレルギー反応もそうです。
一気にアレルゲンに触れると障害を起こしますが、
少しずつの高頻度の暴露は免疫感受性を下げ、
アレルゲンに対する適応性を向上させます。
神経系において過度ではない頻繁な刺激は
「安全信号」
このようにみなされるという考え方もあります。
従って、腰痛など慢性痛は
そこに痛みがあるわけですから
感情的な怯えもあるわけですが、
積極的に痛みと向き合い
その痛覚を高度に意識、制御しながら
少しずつ動かしていくことで
その動きに対する脅威の閾値を上げることができる。
この可能性があります。
鍼灸療法 (Acupuncture)も
西洋医学的なメカニズムとしては
痛みに関わる神経系を物理的に刺激することなので、
方法は異なりますが、
程度を最適化した運動でも
結局は神経系を刺激することであるので
根本的なところでの一定の関連性を見出せます。
鍼灸の場合は患者さんにとっては
パッシブ(受動的な)方法なので
運動よりは楽にできるということもあるし、
より神経系の選択性も上がります。
一方で、
私が想定する運動療法は
全身のストレッチなので、
体全体の機能向上が期待できるということです。
慢性痛は心の状態ともリンクするといわれています(3)。
全身に対する介入は
こうした精神症状へも
正にアクセスできる可能性があります。
神経障害性疼痛(Neuropathic pain)は
末梢系神経線維(Aβ, Aδ and C fibres)。
これら体性感覚に関わる異常です。
体性感覚とは例えば、
- 触覚
- 圧力検知
- 痛み
- 温度感覚
- 位置認識
- 移動
- 振動
これらがあります(4)。
これらが末梢の皮膚、筋肉、関節などにつながり
それぞれ独自の感覚受容体を持ちます。
痛みに関する受容体は
Nociceptors(侵害受容器)です。
これらの体性感覚に関連する末梢神経は
興奮性と抑制性があり、
通常はそれらがバランスがとられていますが、
神経障害性疼痛がある場合には
これらのバランスが崩れていることがあります(4)。
すなわち痛みが生じているときには
バランスとして興奮性神経が
過剰に活性になっています(5:Figure 1)。
神経病理がみられる場合に
神経障害性疼痛の割合が高まり、
当然、脳腫瘍によっても生じることがあります(6)。
従来の
- タキサン系 (例: パクリタキセル)
微小管阻害
- プラチナ製剤 (例: シスプラチン)
DNA損傷、酸化ストレス
これらは体性感覚末梢神経細胞に影響を与えます。
例えば、微小管は神経細胞が連結のため
軸索を伸ばす、維持する際に必要ですが、
その合成が阻害されることで連結性に異常が生じます。
また、抗がん剤は共通的に
ミトコンドリア機能障害につながるといわれています。
末梢神経系は中枢神経系に比べて
循環器からの保護機能である
血液脳関門がやや緩いとされています。
従って、全身投与の抗がん剤の影響を受けやすいです。
こうした理由から抗がん剤治療は
神経障害性疼痛の病理となることがあります(4)。
神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)の定義。
神経障害性疼痛は、
神経系自体の損傷または機能障害によって引き起こされる痛み
これを指します。
従って、神経障害性疼痛を緩和、治癒させるためには
障害を受けた神経系をまた成長させて
適切に連結させる必要があります。
腰椎椎間板ヘルニアのように
椎間板などの突出が神経を圧迫して障害している場合には
骨格の位置を周りの筋組織の柔軟性などを変化させ
矯正したうえで神経系を回復させる必要があります。
私自身、今年の初めには左手の指先がほとんど動かなく、
握力も非常に低下している
つねにしびれた状態で、
神経細胞の圧迫が原因だと診断されましたが、
今はほとんど後遺症、障害がなく回復しました。
従って、適切にリハビリすれば
末梢神経系の回復は
神経細胞の機能が遺伝子変異などによって
著しく低下している場合を除いては望めると思います。
神経を成長させる「材料」と、
選択的に成長させる患部の脳を使った運動。
これらによって
神経障害性疼痛の回復が見込める可能性があります。
神経を成長させる材料、内分泌物質
- Brain-Derived Neurotrophic Factor (BDNF)
- Nerve Growth Factor (NGF)
- Neurotrophin-3 (NT-3)
- Neurotrophin-4 (NT-4)
- Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)
例えば、これらなどが挙げられます。
これらの多くは神経系細胞、筋細胞から放出されます。
従って、何らかの方法で筋肉を動かし、
そこから放出された神経栄養因子を
適切な条件で血中に循環させ、
損傷を追った末梢体性感覚神経細胞に届け、
そのうえで神経連結を運動によって実現する必要があります。
痛みで仮に走れない場合においても
家でできる筋力トレーニングは色々あります。
ストレッチ運動を含めてすると
筋肉から放出される神経栄養因子の放出効率。
これが高まる可能性があるので、
ストレッチ運動と
痛みがある中でもできる運動を探します。
特に体幹にある大きな筋力を鍛えることを考えます。
当然、有酸素運動は有効ですから
ジョギングができれば、それを取り入れます。
もう一つは水泳です。
毎日通うとなると仕事をしている
と難しいかもしれないですが、
水泳を含む水中運動は全身性運動の拡大、
ひざなどの負担を考えると、
ジョギングを超えてメリットをもたらすかもしれません。
循環器で毛細血管を含めて血流を促したいですから
そうした運動する機会は
ご飯を食べた後の満腹の時ではなく、
食事をする前の空腹のタイミングで行います。
ただし、この状態は低血糖なので
- 頭がフラフラする
- 手の震えやめまい
など低血糖の状態が強く出ていれば
その時には運動は控えるべきです。
ただ、基本は血糖値が低い時に運動したほうが効果的です。
筋力トレーニングをして
豊富に神経成長因子を体全体に流した状態で
問題となる患部を
痛みを客観的に捉えながら、
程度を慎重に決めてゆっくり動かします。
これは「Movement therapy」に従います。
一度に長くするのではなく
周辺も含めて動きを分散するのがいいです。
従って
1- できるだけ空腹の条件(食事前)
2- 全身ストレッチ運動
3- 大きな筋力を動かす
もしくは、有酸素運動ができれば
少しだけおにぎりなど糖をとって、
長い時間、遅筋を動かします。
4- 痛みのある患部周辺、患部を
痛みを客観的に冷静に捉えながら
可能な限り、ゆっくり動かす
これを1セットとして
1日に何度か行います。
有酸素運動は1日に何度も行うのは辛いと思われるので
2セット目からは家でできる
筋力トレーニングでよいと思われます。
また、2の全身ストレッチ運動は
セット数よりも多くするのがいいです。
それにより筋細胞内外の物質交換の能力が
一般的に上がると考えられるからです。
一時的にはドリフトする可能性があるので
悪化する時もあるもしれないですが、
こうした介入を行っても
長期的によくならない、
あるいは悪化したということであれば
こうしたアプローチは患者さんに整合していない
という証拠なので、
薬物療法などを含めて他の方式で行う必要があります。
一方で
程度ややり方があっていないという可能性もあります。
その場合は、理学療法士の方などの
より細かい指導が必要になります。
基本的には個人でなかなかできることではないので
すでにそうした指導の下行われるものだと思います。
オピオイドによる鎮痛は即効性があり、
強力な痛みを和らげることができますが、
長期使用には依存症や耐性の形成、
過剰摂取によるリスクが伴うため(7)
こうした自然な体のシステムを利用して
全身の健康と紐づけながら回復していくこと。
これが長期的に患者さんのメリットにはなる。
(持続可能で安全な方法)
このように思われます。
また
筋肉を動かす方法、特に運動やストレッチによる
タイミング、程度を最適化した介入は、
筋肉の炎症や筋肉自体に問題がある場合にも有効です。
筋肉に関連する感覚受容器。
例えば、筋肉の中にある筋紡錘やゴルジ腱器官は、
筋肉の状態や伸縮、負荷に反応します。
これらの受容器が正常に働くためには、
筋肉が適切に動くことが重要であり、
動かさないと感覚受容器の感受性が低下し、
炎症や筋肉の硬直が悪化する可能性があります。
従って、
神経性の疼痛でもその痛みに伴い
動かさない期間が長くなればなるほど
筋肉の機能自体の低下も懸念されます。
私の今まさに実施している経験からすると
上述した介入も難しさがあります。
患者さん自身の生活習慣改善や強い意志も必要です。
例えば、
空腹の状態を維持するというだけでも苦痛があるし
モチベーションがあがらないときも
何度もストレッチを始めないといけないので、
それを毎日続ける、長期的に続けるとなると
さらに難易度が上がります。
決して楽な方法ではありません。
結果がすぐに出ないこともあることから、
それなりの覚悟が必要です。
また、仕事をしていたら
どうやって日常生活の中に
通勤時間、昼休憩、勤務中を含めて組み込むか。
個人個人の工夫も必要になります。
本当に治したいと思わないと
あるいはこの治療の意図、メカニズムを納得し、
理解したうえで実施しないと難しいと思います。
あと、もう一つは根本的なことですが、
ある程度の医学的な根拠は保証しているものの、
私自身、一定の感触はあるものの、
まだ、臨床医療として
広く受け入れられた方法ではありません。
従って、今、これを読んで実施されるとしたら
エビデンス、経験不足によるリスクが伴います。
上述した方法が
主に理学療法として受け入れられるかわからないし
受け入れられたとしても修正が入るかもしれません。
ただ、この記事は
小児がんサバイバーシップ疼痛管理を含め、
数多くの中の痛みの治療に関する
出発点の一つにはなると思います。
10年、20年後にはより良い
疼痛改善方法が日本あるいは世界で
定義される可能性があります。
上述したように末梢体性感覚神経における
興奮、抑制性神経細胞の不均衡、
興奮神経系の過剰な活性化が
神経障害性疼痛と関連があると考えられていますが(5)、
より細胞生物学的に細かく定義すれば、
こうした神経細胞の活性化は
一つとして神経伝達効率の変化であるので
その伝達効率を支配する
ナトリウム、カルシウム、カリウム。
これらのイオンチャンネルが改変することです(4)。
筋組織でも筋線維が繰り返し
ストレッチにより圧縮すると
カルシウムイオンチャンネルが増える。
このことが確認されています。
神経細胞でも筋肉の炎症などによって
繰り返し、痛覚が活性化されると
興奮性神経細胞の度重なる神経伝達により
適応としてカルシウムイオンチャンネルが亢進し
神経伝達効率が上がり(8)、
抑制系とのバランスが崩れる。
こうした神経病理が成り立つかもしれません。
こういったメカニズムは
神経細胞の感作(Sensitization)を
説明するかもしれません。
また、科学的な証拠が不足している状態ですが、
こうした痛覚の興奮性シグナルが過剰になることは
該当する筋組織を適度に運動することによって
もし、解消されるとしたら、
抑制系の体性感覚神経細胞の働きが活性化される
ということかもしれません。
運動により、運動後の副交感神経の高まりがあるので
こうした副交感神経が興奮性シグナルを
体性感覚神経にも水平展開して影響を及ぼし
抑制し、代わりに抑制系神経細胞を活性化させることで
アンバランスが一定解消される。
このように考える事ができるかもしれません。
このような観点では
疼痛がある筋肉を動かしたときに
体全体、局部をリラックス、緩和させる。
このことが非常に重要な意義を持つかもしれません。
例えば、
入浴により少し痛みが楽になる。
このようなことが起こるのであれば、
やはり、その患者さんにとって
副交感神経の活性化は疼痛緩和において
少なくとも一定の効果を発揮するかもしれません。
日本では痛みの急性期を除けば
入浴が疼痛を緩和することは一定の支持を得ているものの、
まだ、副交感神経を高める事が
疼痛を緩和するかどうかの研究は不足しています(9)。
ただし、神経障害性疼痛では
GABAが不足して、興奮性神経が
亢進していることが指摘されています(10)。
このGABAは副交感神経と関連がある
抑制系神経伝達物質であるので
副交感神経が活性化されてGABAレベルが上がることが
体性感覚神経にも影響を及ぼすか?
こういった視点が存在します。
そのほか、介在ニューロンも含めて
神経障害性疼痛の患者さんには
いくつかの種類の抑制系神経細胞に不全が出ている
ケースがあります(4)。
実際問題として、
上述したように神経障害性疼痛は
体性感覚神経細胞に異常がみられる場合と定義されますが、
筋肉の異常があるから痛覚の興奮性神経細胞が過剰に刺激されて
感作を起こし、それでバランスを崩す、
ということであれば、
通常の筋肉の炎症、運動不足、循環器の異常など
筋組織やその周辺環境の体細胞性の異常が
原因で生じた疼痛も
その後、神経障害と密接に関係することから
両者を切り分けて考えられるものではない。
このように考えます。
例えば、末梢神経が完全に遮断すれば、
痛覚がなくなるということであり、
実際にそういった薬剤もあります。
その場合、なぜ、その後の体の適応として
興奮性神経細胞だけ復活して
神経障害性疼痛となるのか?を考える必要があります。
神経が損傷を受けて、疼痛となるのであれば、
こうした経路を想定する必要がある
と考えました
末梢からの入力が遮断されると、
中枢神経系(特に脊髄や脳幹)の神経ネットワークが、
感覚入力の欠如を補うために過敏になります。
過敏状態は、NMDA受容体の活性化や、
グルタミン酸の過剰放出などによって
興奮性が優位になることが影響します。
従って、
神経障害性疼痛とは、
結果として神経障害が生じているケースにおいて
初めに神経系がダメージを受けて生じる場合と
筋肉や周辺環境の異常によって
結果として生じる場合、
少なくとも2つのケースが存在するということです。
以下、神経障害性疼痛に対する
医療的(薬物)介入についてまとめます。
1- 第一選択薬
1966年以降に報告されたすべての薬物研究(未発表の試験を含む)。
これの体系的レビューおよびメタ分析に基づいて、以下の薬剤が
末梢および中枢性神経障害性疼痛の
第一選択治療薬として強く推奨されています:
- プレガバリン(GABA類似物)
- ガバペンチン(GABA阻害薬)
電位依存性カルシウムチャネルの
α2δサブユニットに結合することで、
カルシウムイオンの流入を抑制します(11)。
従って、カルシウムイオン依存的に
異常に高まった体性感覚興奮性神経細胞の
神経伝達を弱める効果を狙います。
- デュロキセチン
(セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
抑制性神経伝達(特にノルアドレナリン)の作用を増強することで、
痛みシグナルの伝達を抑制します。
- 各種三環系抗うつ薬
デュロキセチンと同様に、
下行性抑制系を活性化して痛み信号を抑制します。
ナトリウムチャネルの遮断作用もあり、
神経細胞の過剰な興奮を直接抑制する効果もあります。
これらの薬剤は、神経障害性疼痛の管理において広く使用され、
一定の有効性が認められています。
--------
以下、私の提案(エビデンスなし)
- 薬剤の併用
上述した興奮性シグナルを抑制する薬と
抑制系神経伝達を亢進する薬。
これら併用も考えられます。
- 投与条件
これらの薬剤を疼痛がある患部と
脳神経の間の末梢神経系に届けたいのであれば、
空腹の状態で毛細血管に血流が行く条件で
患部に当たる筋肉を安全な範囲で動かし
ある程度、血流需要がある状態で
上述した神経に作用する薬を投与することで
脳全体として作用するのではなく
局部での特異的送達がある程度見込まれる。
この可能性があります。
このような方法ではなくても
カテーテルによって
薬物を直接物理的に送達する方法。
これも提案されています(12)。
- 投薬とリハビリテーション
ずっと薬を常用するわけにもいかないので
痛みが軽くなる、とれるのであれば、
その状態で患部をリハビリ(運動)する。
そうしたことも必要ではないかと思われます。
(以上、提案)
---------
2- 第二選択薬
次に挙げる治療法は、
末梢性神経障害性疼痛に対してのみ
使用が推奨されていますが、
エビデンスの強さは比較的弱いです。
- 高濃度カプサイシンパッチ
(唐辛子の辛味成分であるカプサイシンを含む)
- リドカインパッチ
- トラマドール
(オピオイドであり、セロトニンおよび
ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を持つ)
3. 第三選択薬
以下の治療法は、専門医による処方が必要であり、
弱い推奨にとどまっています:
- 強オピオイド
- ボツリヌス毒素A
これらは、他の治療法が効果を示さない場合に
限定的に使用されることがあります。
4- 効果と限界
神経障害性疼痛に対する
薬理学的治療の有効性は中程度であり、
効果を得るために必要な患者数
(NNT、例えば50%の痛みの緩和を
達成するために必要な患者数)は比較的高いです。
慢性的な神経障害性疼痛の患者の50%未満において、
薬物治療が有効であると報告されています。
また、多くの薬剤が副作用を伴い、
臨床的な使用を制限する要因となっています。
5- その他の医療介入
磁気、超音波などによる神経刺激があります。
運動司令部から運動部までの
下記、全神経系リレーが対象となります。
- 小脳、運動皮質など頭蓋内運動部位
- 脊髄全般
- 神経節
これらが挙げられます。
上述したようにリハビリテーション、
理学療法も提案されています。
具体的手段としては
-ミラーセラピー
鏡像を利用して脳を刺激することで、
手や足の運動機能を回復させるリハビリ手法です。
- 運動的イメージ
自分の体内から動作を感じるようにイメージする方法です。
たとえば、腕を持ち上げる際の筋肉や関節の動きを
頭の中で詳細に再現します。
これらが挙げられています(13)。
これらは痛みが大きくて
患部を動かすことが難しい場合に
補助的な方法として提案されるものです。
心理的療法も検討されます。
- 感情
- 身体的・日常的な機能や能力
- 社会参加
これらなどの軸が挙げられます。
- 薬物治療
- 物理的神経刺激
- 補完的理学療法
- 心理療法
これらなどによって痛みの改善がみられれば、
患部を少しずつでも動かしていく。
これは必要だと思われます。
筋肉は動かさないと根治はしません。
慢性的な痛みによって動かしにくい
イメージは残ると思われるので
全身をうまく使いながら、
少しずつそうした後遺症を払拭していく
プロセスが必要だと思われます。
また、上述した治療を奏功させるためにも
痛みがある患部の周りや
全身で動かせるところは
痛みを管理しながら積極的に動かしていく。
人の体は運動することが前提でできているので
こうした考え方は
医療として支持される可能性があります。
癌の患者さんが訴える症状のうち
- 痛み(疼痛)
これが救急センターに運ばれるうち
最も共通的なものです(14)。
顕性がんと診断された患者さんのうち
1/3以上が痛みの治療を特別に受けています(14)。
上述したようにオピオイドは依存性など
リスクはあるものの、
おおよそ20%近くの癌の患者さんが
オピオイドを利用した痛みの治療を受けている
という統計がアメリカであります。
ただ、近年、少し減少傾向にあります(15)。
特に固形がんでは組織の異形成ですから
その異形成によって
痛みを感じる末梢神経を刺激すれば、圧迫すれば
痛みを感じることがあります。
特に痛みを感じやすい組織としては
- 骨があります(16)。
がん性骨痛(Cancer-Induced Bone Pain, CIBP)。
このように命名されます。
骨を覆う膜である骨膜(periosteum)。
ここに痛覚神経が豊富にあるため、
転移なども含めて骨に腫瘍形成した場合に
患者さんは痛みを抱えることになります。
おおよそ80%の人が
中程度以上の痛みを感じるといわれています(17)。
そもそも骨に痛覚が多い理由は何でしょうか?
それは同じように痛覚が多い骨格筋と合わせて
考えることができます。
上述した腰痛を含めて体の痛みは
一つは骨格筋を原因とした痛みといえます。
一番本質的な理由。
骨や骨格筋に痛覚が多い理由は、
これらの組織が身体の重要な構造を支え、
機能を維持するため、
損傷や異常を迅速に感知する必要があるからです。
これらの組織は
体の運動、すなわち動きを支持する中心的構造です。
従って、機械的なストレス
あるいは巨視的にも、微視的にも構造が
損傷しやすい部位です。
そういう意味では皮膚も同様です。
例えば、冬の今の時期、手先が乾燥して
あかぎれなどを起こすと比較的大きな痛みがあります。
運動などによって損傷した部位を
その個人が認識し、休めるために
脳神経に伝える必要があります。
骨、骨格筋(筋繊維)自体に痛覚は多く存在しませんが、
外側にある膜(骨膜、筋膜)に
多くの痛覚受容器(nociceptors)があります。
従って、骨にひびがはいったり
骨折したりすると激しい痛みを感じます。
それは私たちがすでに常識として知っていることです。
がんは骨格筋にできることはほとんどありませんが
腫瘍形成した結果として
筋膜の構造を傷害すれば、
それによって痛みが生じることもあります。
例えば、
肝臓は横隔膜のすぐ下に沿うようにあります。
肝臓に大きな腫瘍ができると
横隔膜の筋膜を刺激することになり、
それによって肩や背中に痛みを感じる事があります。
他方で
肝臓の被膜(Glisson's capsule)は
痛覚受容器が豊富です。
従って、肝臓がんは腫瘍形成初期のものでは
リスクは少ないですが、
進行すると痛みを抱えやすい癌腫です(18)。
がん性骨痛の特徴
1- 慢性痛と急性痛の混在:
CIBPは、持続する鈍い痛み(慢性痛)と、
動作や外部刺激で悪化する鋭い痛み(急性痛)
これらが混在しています。
2- 夜間痛:
夜間に痛みが増すことが多く、
睡眠障害を引き起こします。
3- 薬物への反応性:
従来の鎮痛薬やオピオイドに反応しにくい場合があり、
治療が難しいことが多いです。
がん性骨痛のメカニズム
骨転移が骨の破壊やリモデリングを引き起こすことにより、
神経系に直接的・間接的な影響を与えることで生じます。
(1) 骨破壊
1- 腫瘍による骨吸収:
がん細胞が骨に侵入すると、
破骨細胞(骨を分解する細胞)が活性化され、
骨組織が破壊されます。
この過程で炎症性因子や成長因子が放出され、
痛みを誘発します。
2- 骨形成の異常:
一部のがんでは骨形成が促進され、
不規則な骨が形成されることで神経への圧迫が生じ、
痛みを引き起こします。
(2) 神経の過敏化
1- 末梢神経の刺激:
骨の神経が腫瘍や骨破壊の圧力、炎症性物質によって
直接刺激されるため、痛みが生じます。
2- 脊髄での中枢感作:
持続的な刺激が脊髄内の神経ネットワークを過敏化させ、
痛みの閾値が下がる(軽い刺激でも痛みを感じる)現象。
これが起こります。
(3) 炎症性メカニズム
1- 炎症性サイトカイン:
腫瘍細胞や破骨細胞が放出するサイトカイン
(例:TNF-α、IL-1、IL-6)が炎症を引き起こし、
痛みを悪化させます。
(4) 骨微小環境の変化
1- 酸性環境:
腫瘍の代謝産物による酸性化が、
骨の神経を刺激し痛みを誘発します。
治療法
痛みを軽減し、患者の生活の質を向上させることを目指します。
以下のようなアプローチが取られます。
(1) 薬物療法
1- オピオイド:
モルヒネなどの強オピオイドが広く使用されますが、
耐性や副作用が課題となります。
2- 骨改変薬:
ビスフォスフォネートやデノスマブ(RANKL阻害剤)が
骨破壊を抑制し、痛みの軽減に効果を示します。
3- 抗炎症薬:
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が
炎症を抑えるために使用されます。
(2) 放射線療法
1- 局所照射:
骨転移部位に放射線を照射することで、痛みを緩和します。
(3) 神経ブロック
1- 神経破壊または抑制:
痛みの信号を遮断するために、
脊髄または神経根に対して神経ブロックを行う場合があります。
(4) 新しい治療法
1- 免疫療法:
腫瘍や骨微小環境をターゲットにした治療法が
研究されています。
2- 神経修飾療法:
脳深部刺激や脊髄刺激法などの
神経刺激療法も試みられています。
骨の健康は骨格筋と密接に関わっています。
骨と筋肉は互いに補完的に働き、
身体の構造的な安定性や機能的な活動に
重要な役割を果たしています。
従って、
私は運動について骨格筋の成長と共に総括しました(19)。
これはここで定義する骨の健康とも密接に関わります。
1- 骨格筋の収縮が骨に与える力(機械的刺激)
骨格筋が収縮すると、その力が骨に伝わります。
この機械的な刺激が骨の強化を促進します。
例えば、筋肉が骨を引っ張ると、
骨に圧力や張力がかかり、
それに応じて骨が硬くなるように調整されます
(これを骨の機械的応答(20)と呼びます)。
特に負荷がかかる活動
(ウェイトトレーニングや走ることなど)は、
骨の密度を高め(21)、
骨を強化するために必要な刺激を提供します。
2- 骨格筋の役割と骨形成
骨は常に再構築されています。
- 骨形成(骨の新しい部分が作られるプロセス)
- 骨吸収(骨が分解されるプロセス)
これらのバランスが重要です。
筋肉が強く働くことで、骨の再構築が促進され、
骨密度が増加します(22:Figure 1)。
3- 骨格筋と骨の健康を支えるホルモンの相互作用
骨格筋の活動は、骨の健康に影響を与える
ホルモンの分泌にも関連しています。
例えば、骨格筋が活発に活動していると、
- 成長ホルモン(23)
- インスリン様成長因子(IGF)(24)
これらの分泌が促進され、
これらは骨の成長や修復を助けます。
日常的な運動により、
ノンレム睡眠時(深い睡眠)の時の
成長ホルモン分泌が上昇するため(25)、
都度、骨の成長、修復、恒常性に寄与します。
従って、運動不足による筋力低下は、
これら骨の恒常性に関わるホルモンの分泌を低下させ、
骨密度の減少や骨折リスクの増加に繋がる可能性があります。
4- 姿勢の維持と骨への負担
骨格筋は、身体の姿勢を保つ役割も果たします(26)。
筋肉が適切に働くことで、
骨にかかる負担が適切に分散され、
骨の負担を軽減することができます(27)。
逆に、筋肉が弱いと姿勢が崩れ、
骨に過度なストレスがかかり、
骨折のリスクが増加します。
5- 骨格筋の健康が骨折回復を助ける
骨折後のリハビリテーションにおいて、
筋肉を再強化することが重要です(28)。
骨折した部位周辺の筋肉を鍛えることにより、
骨の治癒を促進し、再発を防ぐことができます。
従って、上述した転移を含めた
骨の腫瘍形成によって生じる
がん性骨痛(Cancer-Induced Bone Pain, CIBP)。
これの管理についても
腫瘍組織そのものを薬剤によって縮小させるだけではなく
骨の健全な成長、回復を促すため、
骨格筋を体調の許す限り
積極的に動かすことも重要です(29)。
こうした骨の回復によって
元来持つ骨の周辺環境の抗癌効果を
骨髄の免疫系を含んで強化することができ
薬剤感受性を上げたり、
それそのものが腫瘍組織の退縮に貢献する可能性があります。
6- カルシウム代謝の関与
骨の健康を保つためには、カルシウムが不可欠ですが、
骨格筋もカルシウムの代謝に影響を与えます。
筋肉の収縮にカルシウムが必要であり、
筋肉が適切に機能することで
骨のカルシウムを効果的に利用することができます。
骨の健康と栄養の関係です(30)。
1- カルシウム
カルシウムは骨のメインの材料です。
他の細胞でも当然、
カルシウムがメインのイオンとして重要ですが、
骨においてカルシウムが重要とされる理由は
組織としての「骨の硬さの保証」があります。
そのためには
細胞外の細胞外マトリックスに対して
他の組織よりも高濃度で
カルシウムを沈着させて
組織としての硬さを保証しています。
従って、骨はカルシウムを多く必要とします。
このカルシウムを含む細胞外マトリックスは
主に骨芽細胞という
通常の組織での線維芽細胞のような働きをする
細胞外マトリックスのいわば工場で生産されます。
1日の目標摂取量は1,000 - 1,200mgです。
カルシウムを豊富に含む食材は
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
- ナッツ
- 豆類(大豆など)
- 野菜
- 果物
- 海産物
これらです。
当然、動物の骨にも多くカルシウムがありますから、
サンマやイワシなど水で炊けば、骨まで食べられる
魚は頭も含めて、加工せずそのまま食べます。
そうするとω3脂肪酸など
脳神経系の細胞膜に重要な栄養素だけではなく
骨、骨格筋の材料としても必要な
カルシウムを自然な形で摂取することができます。
2- ビタミンD
血中のカルシウムやリンを調整する働きがあり、
骨でのカルシウムの吸収を助けます。
ビタミンDは皮膚の日光浴によって
より活性な形式であるビタミンD3に変換されます。
適度な日光浴は推奨されます。
但し、ビタミンDを豊富に含む食材は限られており
不足する可能性の高い栄養素なので、
サプリメントなども検討されます。
但し、脂肪の多い魚である
サケ、マグロ、サバ
これらなどにはビタミンDが比較的多く含まれています。
従って、脂肪分の多い魚を食べることは
ビタミンDの摂取という観点でも重要です。
特にサケが多いです(32μg/100g)。
例えば、サンマやイワシは頭部も含めて
丸ごと食べることができ
ビタミンDを有効に摂取することができます。
ビタミンDは脂溶性であるため
頭部、肝臓など脂肪分が多いところに含まれやすいです。
特に肝臓が多いため、
小魚など肝臓(内臓)、頭部を含む形で食べると
ビタミンDを有効に摂取できるし、
魚油を含みながら摂取するので
人の消化器、腸でのビタミンDの吸収効率をあげる
ことに貢献する可能性があります。
これらは骨と関連の深い微量栄養素ですが、
そのほかの主要栄養素、微量栄養素含めて
骨を形成する細胞内外の物質構成が大きく変わらないので
当然、骨の健康のために
他の組織と同様な様式で
バランスの取れた栄養素が必要です。
神経系の興奮、抑制、
免疫系の攻撃(エフェクター)、抑制、
循環器、心臓、骨格筋の収縮、伸長。
人の体には多くの動的バランスが存在しますが、
それは骨の組織の恒常性でもあります。
- 骨芽細胞(osteoblasts)
- 破骨細胞(osteoclasts)
これらのバランスがあり、
当然、これらが崩れると
異形成、組織過大、骨密度減少。
これらなどが生じます(31)。
例えば、骨芽細胞の機能が相対的に低下すれば、
骨の硬さを保証している
カルシウム多含有の細胞外マトリックス。
これが形成されなくなるので
骨を形成する細胞そのものだけではなく、
細胞を機械的に外側から支持する
細胞外マトリックスの材料としての
基本的に構成に影響を与えるため、
結果として骨が柔らかくなる。
すなわち、もろくなります。
結果、最悪の場合、骨折します。
高齢の女性、今では若い女性もいるかもしれないですが、
あるいは体重が重く、機械的負荷の大きい人の中で
容易に骨折する人は(32)、
細胞以外の細胞外で細胞外マトリックスの
カルシウム依存的な構造異常が生じている可能性があります。
これは遺伝子的に永続性をもって改変が生じている
このような可能性もありますが、
その一部は、
- 栄養管理
- 有酸素運動
- 全身ストレッチ運動
- 体重管理
これらによって改善する可能性があります。
エストロゲンは骨を作る骨芽細胞の
寿命を上げる効果があるので(33)、
閉経後、エストロゲンが生理学的に
顕著に下がることを受けて、
高齢女性で骨の異常が生じやすくなりますが、
それでもエストロゲンはゼロになるわけではないので、
若いころからエストロゲンの機能に依存するのではなく
運動や栄養など健康に
ある程度、気を使った生活を長期的にしていれば、
高齢になったときのこうしたリスクは
長期的に積み上げられていますから
顕著に低下するとも評価できます。
他の細胞と同様に、あるいはそれ以上に
骨はメカノセンサー、
すなわち機械的ストレスを検知する機能があります。
- Wnt signaling component
- Integrins sensing extracellular matrix stress
- Connexins forming intercellular junctions
- Purinergic receptors
- Piezo
例えば、これらです(31)。
特にインテグリンは細胞内外の関節のような働きをします。
すなわち遺伝子を発現する細胞核から伸びた
中間径フィラメントである細胞骨格と
いくつかの足場たんぱく質を介して
インテグリンの細胞質側のC端末と結合し、
インテグリンは膜貫通して細胞外で
N端末において
骨の組織であるカルシウムを多く含む
比較的硬い細胞外マトリックスとRGDドメイン。
この結合サイトで結合します。
これによって細胞外部の機械的シグナルと
細胞内の遺伝子発現、たんぱく質生成に関わる
細胞核が連結されます。
例えば、ジョギングなどで
通常の体重よりも強い重力で着地すると
当然、下半身を中心に骨にも
機械的ストレスがかかることになります。
こうした機械的ストレスは
上の細胞接着分子である
- インテグリン
- コネキシン(コネクソン)
これらだけではなく
多様な様式で検知されます。
その時には細胞核の遺伝子まで作用し、
染色体構造をリモデリングとして
その機械的シグナルに応じた
タンパク質生成が可能になります。
生物の適応として強い機械的ストレスを受けると
それに対抗するため、
骨としてはより硬くて強い組織を作ろうとします。
そうして、環境、細胞内にあるカルシウム、
細胞内の遺伝子的作用によって生成された
細胞外マトリックスタンパク質単位構造を利用して
より強い組織を形成します。
当然、細胞外だけではなく
細胞数の調整など細胞内、
細胞同士の連結においても
機械的堅牢性を保証するように働きます。
これが運動を通じた骨の強化のメカニズムです。
当然、度重なるストレスは
遺伝子変異などのリスクを高めますが、
ジョギングや水泳のように有酸素運動で
全身運動の場合には
こうした機械的ストレスは
骨組織の中でも分散されるし、
骨以外の骨格筋などによっても支持されます。
従って、毎日運動したとしても
特定の骨の部分だけストレスを受けるわけではないので
上述したリスクは少なくとも分散されます。
よりリスクを下げるためには
骨を支持する筋肉が弾性に富んでいるほうが
好ましいですから、
私が提唱するように
高頻度で適度な全身のストレッチ運動。
これが基本的な支持スタイルとなります。
次、緊張型頭痛(Tension-type headache (TTH))(34)。
これについて説明します。
緊張型頭痛は最も共通的な頭痛で
(世界に9億人近く患者さんがいます)
頭の両側に影響を与える
低度(mild)から中程度(moderate)の痛みを伴います(34)。
- 頭皮
- 目と耳の間のこめかみ
- 首の後部
- 肩
これらの部位の痛みを典型的に伴います。
痛みは30分から1週間程度続きます(35)。
女性に好発する頭痛で
男性のおおよそ2.6倍です。
地理的な異種性はあり、
日本では日本頭痛学会の1997年の調査では
誤診も含めて22.3%です。
同じアジアである中国は10.8%です。
アメリカが38.3%であり、
ヨーロッパは非常に高く80%です。
従って、欧州の人にとっては
緊張型頭痛は国民病とも評価できます(36)。
欧州に多いのは
緯度と関連している可能性もありますが、
はっきりとしたことはわかりません。
他方で、子どもの緊張型頭痛の
グローバルな有病率は
12.1%, 11.7% (women / men 5-9 years)
35.7%, 34.5% (women / men 10-14 years)
35.8%, 34.0% (women / men 15-19 years)
このようになっています(41)。
ただし、こうした疫学研究の正確性は
限界があるかもしれません。
他の疾患の影響が関係して
独自の有病を反映していない可能性があることと
片頭痛と区別が十分についていないこと。
あるいは、
あまりにも共通的な疾患なので
正確に頭痛の有無の回答が得られていない。
この可能性が指摘されています(34)。
子供の有病率の性差がなく、
大人の女性に多いのは
ホルモンレベルの周期的な変化があり、
それが自律神経にも影響を与えるからかもしれません(40)。
年長の子どもの多く、
年少の子どもの少ないのは
学業、社会性などのライフスタイルも
関係しているかもしれません。
1か月に15日以内であれば一時的(episodic)、
それ以上であれば慢性的(chronic)。
このように診断されます。
慢性的になると治療は一般的に難しくなります(34)。
原因は必ずしも特定されないものの
頭痛を駆動する原因は
- ストレス
- 筋肉の緊張
- 遺伝子
- 環境
- 歯の異常
これらなどが挙げられています。
この頭痛は程度は重篤ではなく、
運動で悪化することはなく、
吐き気や嘔吐などは伴いません。
また、光、音、においなどで悪くなることもありません。
症状を軽くするための手段としては
- 鎮痛薬の服用(paracetamol, ibuprofen, or aspirin(34)
- カフェイン(子供、妊娠女性、授乳中女性は避ける)(34)
- 休息
- 首など患部を温める
- 首など患部をマッサージする
- 水を飲む
- 運動(34,37)※治療を受けていると効果低
- 鍼灸(34)
- 睡眠の質を高める(34)
これらなどが挙げられています。
例えば、温度、マッサージ、運動が効果があるのは
こうした頭痛が自律神経と関連しているからかもしれません。
すなわち
交感神経が副交感神経に対して過剰になりすぎている。
こうした原因が考えられます(38)。
首に痛みがあるからといって
解決策が患部だけにあるわけでは(おそらく)ありません。
全身、末梢神経、循環器を通じてつながっているので
気分が悪くならなければ、体調と相談して
全身のストレッチ運動を適度に行う。
その介入の頻度を上げる。
それによって頭痛が軽くなるか?
それを個人、個人において試す価値があります。
筋肉の曲げ伸ばし運動は
日常あるちょっとした待ち時間、隙間時間にできるからです。
交感神経、副交感神経のバランスが大切であれば、
そうしたサイクルを自分が制御できる形で
作っていくことが基本的なライフスタイル戦略ですが、
副交感神経が不足しているなら、
GABAなどを高める薬剤による介入も考えられるし(47)、
意識的にリラックスできる条件を見つけて
それを日常生活の中で組み込んでいく工夫もあります。
がんサバイバーの人も
一時的なタイプの緊張型頭痛の頻度は30%程度でした(39)。
従って、がんサバイバー特異的な疾患ではないですが、
運動不足などもおそらく一部、作用して、
一定割合の人が頭痛を経験しています。
病因は
- 筋肉
- 循環器
- 遺伝子
これらが大きく、
循環器では動脈流の異常によって生じている。
このように考えられています。
筋肉では
- 局所的な炎症、虚血
これの他、
- 筋肉の緊張、硬さ
遺伝子では
- 5-HTTLPR: 感情やストレス応答(セロトニン)。
- Val158Met COMT: 認知機能や痛み感受性(ドーパミン)。
- APOE-ε4: 神経修復とアルツハイマー病リスク(脂質代謝)。
これらなども挙げられています。
これにより末梢神経の交感神経、痛覚興奮神経などの
強化、感作(Sesitization)。
これが生じている可能性が指摘されています(34:Fig.1)。
従って、上述したように
- 全身のストレッチ運動
これは筋肉の緊張を緩和することにもなります。
また、一定の空腹状態の日常的経験。
緊張型頭痛の緩和としては指摘が少ないものの、
低血糖状態が副交感神経を高める効果があるので(42)、
緊張型頭痛の一つの対策となるかもしれません。
これを裏付けることとして
血糖値が下がりにくい糖尿病、肥満と頭痛。
この関係が指摘されています(43-46)。
次に、腰痛(Low back pain)。
これについて考えます。
世界的な疫学を見ると
日本、イギリス、ドイツ、スイスなどが
腰痛を抱える人が多いです(49;Fig.,1)。
日本が多いのは
- ホワイトカラーの仕事が増えていること
- 残業も含め勤務時間が長いこと
- 高齢化率が高いこと
これらが挙げられると思います。
この痛みの記事の冒頭で紹介したように
日本人の痛みの原因の半分以上が腰痛です。
従って、
腰痛に関して基本的な事を確認すること。
これは私を含め国民の健康の上で非常に重要です。
下述するように座りがちの生活以外にも
急に重いものを持ち上げたりするときに
関節、骨、骨格筋、腱を痛めることがあります(49)。
ただ、こうした病因も
座りがちな生活と交絡するかもしれません。
遺伝子的な要素も関係がある可能性があります。
骨格、筋肉の組織学的な影響や
椎間板の厚さなど
遺伝的な要素で個人差があると思われるので
そうしたこともリスク因子となります。
例えば、椎間板の形成に関わる
細胞外マトリックスの分解酵素に関わる
遺伝子異常がいくつか
ゲノムワイド関連分析で示されています(49:Box.1)。
腰痛は、座りがちの生活(Sedentary lifestyle)が
全ての原因ではないですが、
一つの原因であると考えられます(48)。
座る生活は筋肉のに
どういったアンバランスをもたらすか?
それについてまとめます。
1- 過緊張する筋肉(硬くなりやすい筋肉)
1.1- 腸腰筋(Iliopsoas Muscle)
長時間座っていると、股関節が屈曲した状態が続くため、
腸腰筋が短縮します。
腰椎を前方に引っ張り、
骨盤の前傾(Anterior Pelvic Tilt)や
腰痛を引き起こす可能性があります。
1.2- 大腿直筋(Rectus Femoris)
大腿四頭筋の一部で、股関節屈曲の作用があります。
座位の姿勢で短縮しやすく、骨盤の前傾を助長します。
1.3- 脊柱起立筋(Erector Spinae)
姿勢を維持するために過剰に働き、緊張が高まりやすいです。
特に、猫背の姿勢では、胸椎部分が過負荷となります。
1.4- 大腿筋膜張筋(Tensor Fasciae Latae)
長時間座ることで硬くなりやすく、
股関節の動きに悪影響を与えます。
1.5- 肩甲挙筋(Levator Scapulae)や僧帽筋上部(Upper Trapezius)
デスクワーク中に肩をすくめるような
姿勢をとることで過緊張し、
肩こりを引き起こします。
首や肩の痛みは慢性痛の上位を占めます。
実際に首と肩の組織としての硬さが
腰痛と共存することが示さています(56)。
2- 弱化しやすい筋肉(使用されない筋肉)
2.1- 殿筋群(Gluteal Muscles)
2.1.1- 大殿筋(Gluteus Maximus):
座っていると股関節が伸展しないため、
筋活動が減少し、大臀筋、中臀筋、小臀筋
これらお尻の筋力低下が懸念されます。
これをグルートアムネシア(glute amnesia)と呼びます。
(あるいは、Dead butt syndrome)
座るとお尻が柔らかくなる傾向にあるようです。
殿筋が弱くなると、
腰椎や腸腰筋に過負荷がかかります。
2.1.2- 中殿筋(Gluteus Medius):
立位や歩行中に股関節を安定させる筋肉ですが、
座る時間が長いと活動が減少し、
骨盤の安定性が低下します。
2.2- 腹筋群(Abdominal Muscles)
2.2.1- 腹横筋(Transversus Abdominis):
深層の腹筋で体幹を安定させる役割を担いますが、
座位では活動が抑制されます。
2.2.2- 腹直筋(Rectus Abdominis):
座った姿勢で猫背になると、
適切に収縮せず、筋力が低下します。
2.3- ハムストリングス(Hamstrings)
座位で膝が曲がった状態が続くため、
筋肉が短縮しやすくなりますが、実際には弱化も進みます。
ハムストリングスの弱化と短縮は、
骨盤の後傾(Posterior Pelvic Tilt)や
姿勢異常の原因になります。
2.4- 広背筋(Latissimus Dorsi)
猫背姿勢では肩甲骨の動きが制限され、
広背筋の活動が低下します。
3- 力学的影響と結果
3.1- 骨盤のアンバランス
- 腸腰筋大腿直筋の短縮
- 殿筋群の弱化
これらにより骨盤が前傾または後傾します。
座ると大腿骨と背骨をつなぐ骨盤
これが当然、傾斜することになります(50:Figure 4)。
腰痛改善の為には座るときの姿勢が
矯正されることもありますが、
そもそも座る事自体が
骨盤の不安定性のリスクを高める事になります。
ゆえに
日常で座る時間が長いと腰痛につながりやすいのは
ある種、当然の結果といえます。
運動不足で室内に長くいると
室内で通常何か家事などをしなければ
座っていることがほとんどですから、
小児がんサバイバーの人も含めて
運動不足、室内時間上昇そのものが
腰痛のリスクと一定関連していることは
認識しておいたほうがいいかもしれません。
特に骨盤が前方に傾くと
腰痛と関連することがよくあります。
これは、脊椎に不自然なカーブを生じさせ、
腰部の筋肉や関節に負担をかけるためであり、
その結果、下背部に不快感や痛みを引き起こします。
脊椎が前傾すると
背骨の特に低い部分(Lumber spine)の
湾曲が大きくなります(49:Fig.2)。
そうすると背骨をつなぐ椎間板(Intervertebral disc)の厚さが
前方-後方方向で傾斜が生じ、異形成の原因となります。
椎間板が薄くなると
骨膜にある神経が圧迫されたり、
局所的に炎症を起こし、循環器、組織に異常が生じることで
痛みが強くでることがあります。
当然、椎間板、背骨を前後ろ、横でささえる
筋肉の柔軟性、強さ、バランスが重要ですので、
前傾、後継姿勢の可動範囲も重要ですが、
まっすぐ立っている状態での筋力維持も重要になります。
体幹にかかわる、
また腰痛に良いと考えられる
家で器具などなしにしてできる簡単な
筋力トレーニングとして
「フロント・プランク」これがあります(51)。
実際に
プランクトレーニングが腰痛に効果がある
という報告(インド)もあります(52)。
重力に逆らってまっすぐ姿勢を維持するので
骨盤をまっすぐ支える筋肉が鍛えられるからです。
これは絶対的な筋力で
筋肉の柔軟性を上げるうえでは
すでに腰痛がある場合には
腰が痛くない程度で、
ゆっくり前屈、後屈、ひねる運動をします。
こうしたときに使われる筋肉量を
均衡がとれた形で鍛えるのも方略です。
局部ではなくて、首から足先にわたるまで
広く、こうした運動と関係のある
筋肉量と柔軟性があるとより良いかもしれません。
3.2- 背中の過剰な負荷
脊柱起立筋の過緊張により、
背中全体の筋肉が過剰に働き、
慢性的な緊張状態が続きます。
背中が丸まることもあるので
それとは逆に動きを定期的にする。
広背筋の柔軟性と強さが重要です。
3.3- 下肢の血流低下
長時間の座位により、ハムストリングスや
大腿部の筋肉が不活性化し、下肢の血流が悪化します。
ふくらはぎの筋肉は第二の心臓と呼ばれ
下半身の血流に関わっています。
血流が滞ることは痛みの一つの源泉なので、
毛細血管も含めて健全な血管網を築くことは
痛みを防ぐうえで基本的なことです。」
上述するような腰痛の原因は
脊椎(背骨)の曲がり、椎間板だけではありません。
多くの脊椎構造には感覚神経が分布しています。
これには
筋肉、腱、靭帯、筋膜、椎間関節、椎骨、
椎間板の外側環状部、血管組織、硬膜、
神経根、後根神経節などが含まれます。
しかし、一般的な腰痛に関与する
具体的な構造についてはまだ明確ではありません(49)。
従って、
筋肉の局部的な炎症ということも
腰痛の原因として考えられます。
ただ、どういう動きをしたときに痛いかというのは
個人、個人、当然、感覚として認識できます。
特に痛みがひどい時には
痛みを感じる動きをしないほうがいい。
このように思われますが、
慢性痛が中程度以下の時には
全く動かさないことでも慢性なので治らないわけですから、
痛みを高度に意識しながら、
動かす程度、速度、頻度、範囲を最適化して
積極的に動かしていくことで
変化することもあるかもしれないし、
そうした局所的なアプローチだけではなく
体全体の動きを良くして
体全体で腰痛を改善していくという考え方もあります。
そうしたフィジカル的なことだけではなく
痛覚に関わる神経系においては
興奮と抑制のバランスをしっかり整えるために
自律神経、体性感覚神経のバランスを意識した
生活習慣も大切です。
一方で、痛みに高度の嫌悪感を持ったり、
おびえたりするのではなく(53)、
痛みの程度を冷静に判断することも
痛みに対する閾値を下げないうえで重要かもしれません。
他方で、
程度がひどい場合には医療介入、薬剤の支援を受ける。
このことも選択肢です。
ただし、
- イギリス
- アメリカ
- ベルギー
- デンマーク
これらの国の非特異的な腰痛のガイドラインによれば
薬物治療に先立って、
- セルフマネジメント
- 運動
- 理学療法
これらが推奨されています(49)。
少なくともオピオイドの使用には懸念が表明されています(54)。
手術も明らかな組織学的異常の所見がない場合は
推奨されないとされています(55)。
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