小児がんで一番多いのは血液の癌。
白血病ですが、子どもの白血病は9割以上、
急性期の治療で寛解するといわれていますが、
治療後の10年間で
おおよそ2/3の子どもは
何らかの晩期合併症を伴うといわれています(4)。
小児がんのサバイバーシップ、
すなわち生存者権の定義の中には
- 身体的
- 心理的
- 社会的
これらの側面での健全性、健康を考える事にありますが。
これはもう人の健康を考える事、そのものなので
小児がんサバイバーシップを考える事は、
すなわち人全般の健康を考える事と等価です。
私は小児脳腫瘍の1次調査の中で
小児がんサバイバーシップ、
すなわち予後のウェルビーイングのための調査。
これを優先的に行う中で、
人の健康として抽象的だけど
大きなテーマを扱ってきました。
すなわち
- 運動
- 栄養
- 適正体重維持(肥満)
- 悪液質
- 痛み(慢性疼痛)
これらです。
残されたテーマとして
これらと交絡する部分はあるものの、
重要なのが、腸内細菌、免疫です。
従って、小児脳腫瘍と腸内細菌の関連は
他の大人の大腸がんなどと比べて
研究は非常に限定的ですが、
小児がんに罹患した子供の予後を考えるにあたり
調べる必要のあることなので
この重要な時期にテーマとして選定しました。
小児がんサバイバーシップと栄養について考えました。
当然、食事は毎日のことです。
子どもや若い人であれば、
基本的には1日3食だと思います。
生涯続く、食事回数の総計は
8万回から10万回あります。
カロリーにしたら約2億カロリーくらいとることになります。
そうした人生全体の食事において
私たちがどういった食材を選択するかは
ほとんどの場合、個人の自由意思に委ねられています。
ただ、食事は体のエネルギー源で
物質構成の一つの重要な決定因子です。
言い換えれば、
私たちの体の水、たんぱく質、脂質、糖は
日頃の飲食物によってできているといえます。
従って、
私たちの健康を支えるのは食事、栄養。
このように言っても過言ではありません。
人の健康あるいは疾患を考えるとき
私たちは主に体に数十兆個ある
神経細胞、体の細胞に目を向けがちですが、
私たち、人の身体は
そういった細胞の集まりの生命体だけでは説明できず、
多くの細菌と共生していることを考慮する必要があります。
身体全体の細胞数よりも多い数の
腸内細菌、100兆個が腸に共存しています。
重量にするとおおよそ1~2kgあり、
単細胞生物である腸内細菌の細胞は
人の細胞よりも1000倍程度小さいから、
人の腸の粘膜にそれほどの数の細菌が
体積的に収まっているといえます。
その腸内細菌は直接的な腸の状態だけではなく
腸の上皮下に存在する多くの免疫系、
あるいは離れた脳をはじめ、
身体、全身に程度の差はあれ影響を与えている。
このように言えます。
その伝達の実態は物質によりますから、
人における腸内細菌の影響を考える
最も基本的な骨子、枠組みは、
私たちが食事によって
100兆個いる腸内細菌に
どういった物質を与え、
その物質を腸内細菌は原核細胞の中で
どういった物質に変換し、細胞外に放出し、
その放出された物質が
免疫細胞をはじめ、
身体の細胞に影響を与えるか?ということです。
従って、どういった栄養素に対して
腸内細菌総体として
どういった代謝産物を放出するか?
それを考えることは
おそらく一番重要なことです。
しかし、他方で
栄養の吸収や粘膜としてのバリア機能など
他の機能も兼ね備えています。
腸内には善玉細菌、悪玉細菌、日和見菌が共存しています。
善玉細菌と悪玉細菌を分けるものは
主に代謝生成物が
身体の健康に有益か、
あるいは体にとって毒素であるかによります。
より具体的には、
善玉:有益な代謝産物(短鎖脂肪酸、ビタミン)。
悪玉:有害な代謝産物(アンモニア、インドール、硫化水素)。
これらなどの代謝産物を出すことです。
しかし、体の中から悪玉の細菌が
全て除去されることはありません。
その理由は
善玉細菌と悪玉細菌は競合しており、
善玉細菌が活性化、元気でいるためには
悪玉細菌の存在が必要だからです。
また、悪玉細菌の毒素は
免疫細胞を刺激し、訓練させるうえでも必要です。
従って、
善玉細菌に対して、おおよそ半分程度の数で
悪玉細菌が存在することになります。
体の中の細菌の構成比は
- 善玉細菌 20%
- 悪玉細菌 10%
- 日和見細菌 70%
これらです。
日和見細菌は善玉、悪玉細菌のバランスを整えたり、
腸内細菌の多様性を維持するうえで重要です。
基本的に腸の中に入ってくる飲食物は
一定ではなくて、変化しています。
例えば、少し腐敗した、毒性のあるもの。
これを飲んだり、食べたりすることもあります。
こうした物質的な変化に柔軟に対応するためには
腸内細菌の多様性が重要です。
日和見細菌はこうした変化に対する
調整役であるといえます。
基本的な考えたとして
腸内細菌を最適な種、バランスにしよう。
そのために生体外で調合した細菌を
腸に直接的に届けることを
「プロバイオティクス」。
腸内細菌のエネルギー源を与えて
バランスを最適な整えようとすることを
「プレバイオティクス」。
このように呼びます。
特に体にとって
健康的な物質を放出する善玉細菌や
バランスを整える日和見細菌を良質化させるための
代表的な栄養素が(これに限りませんが)食物繊維です。
野菜類をはじめに食べることは
血糖値を急上昇させないと考えられ
一般的に日本では推奨されます。
食物繊維が先に消化管に到達すると、
胃内容物の滞留時間が長くなるため、
消化吸収が穏やかに進む傾向があります。
わかめや野菜を先に食べると、
食後の急激な血糖値上昇を
抑える効果が期待されます。
これにより、
全体的な消化と吸収が
効率的に行われる可能性があります。
ここからが結構、重要なことです。
世の中に加工食品を含めて、
色んな食材にあふれていて、
サプリメントを取る人もいます。
どういった食生活をするかが
確かに長期的に見たときのその人が
どういった疾患に罹患するか
そのリスクには関わりますが、
基本的にはそれなりの栄養素、カロリーがあれば
身体の組織の恒常性は守られているのが現実です。
これは、食材としてとるときに
どういった分子量、複合体化、組み合わせでとるにしろ、
消化器で吸収されてから
身体の脳から足先にまでわたる細胞に
それぞれ最適な形で栄養素を送達する
調整機構が体の中に備わっているからである。
このように考えられます。
そうするとどういう形で食べ物を取るべきなのか?
消化の段階で考えるべきことは
私が脳神経の観点で着目するDHAであれば、
ドコサヘキサエン酸(DHA, docosahexaenoic acid)
化学式: C22H32O2
分子量: 約 328.5 g/mol
としての最小単位構造があり、
この最小単位構造をどうやって
消化器で効率的に吸収するかに
最終的には収束するという
現在の(修正されたうえでの)認識です。
もちろん、過剰摂取は問題です。
例えば、リン脂質と複合体化すれば、
それは細胞膜に取り込まれる様式としては最適なのですが、
そういった複合体化の仕事をするのは
腸で吸収された後の体の中の組織であって、
消化器の前段階でのそういった複合体化は
むしろ、そういった複合体化であるから
消化酵素の負担が減って、
吸収されやすい形式であるということにつきます。
従って、
複合体構造としてのそのままの価値というよりも
その複合体構造の中のDHAの
効率的消化のための価値ということになります。
そうすると今までの私の解釈には
少し訂正が必要です。
すなわち、厳しい環境を生きた魚は
細胞膜の機能は確かに高い可能性があります。
ただ、それをそのまま生、
あるいは低温調理で摂ったからといって
その細胞膜の機能が
ある一定の効率で人の細胞の機能に
反映されるわけではないということです。
むしろ、そういった魚から栄養素を取った場合、
その魚の栄養素構成、バランスや
もっと細かくはDHAが
エステル化やリン脂質複合体化などが
人の消化器の吸収効率において
どういった影響を与えるか?
ここを考える事が重要です。
DHAをより複合体として機能化させるのは
消化の後のヒトの体の中での仕事なので、
食べ物を取る段階では
規定の最小単位の栄養素を
どうやって効率的にとるかに集約されます。
そういった意味で、
どういった構成、複合体化であることが有効か?
そこが議論されるべきところです。
極端な話、
DHAの吸収効率が半分でも
その魚を2倍の量食べればいいということです。
例えば、悪液質や高齢になって
食欲がなくなってきたときに
より少ない食べ物でバランスの良い栄養を摂るためには
最適な食材、調理、食べる順番、
腸内環境を考える事によって、
栄養素の吸収効率を上げることが重要になります。
後は吸収されにくい栄養素は
量が食べられる若い人であっても、
消化前の段階で上述した要素によって
消化吸収効率を上げたいということがあります。
例えば、
微量栄養素である
- ビタミン
- ミネラル
機能性物質である
- 抗酸化物質
- 不溶性食物繊維
これらは吸収効率が低いかもしれないので
組み合わせ、タイミング、腸内環境づくりも含めて
最適な環境であることが好ましいです。
加工食品が問題となるは
未知のこともあるかもしれないですが、
一つはこうした吸収効率の低い
微量栄養素、機能化物質が不足することです。
ただ、加工食品は災害時なども含めて
日持ちするので重宝される部分もありますし、
適当なタイミングで適度の量を摂取できるので
そういう意味でも利点があります。
従って、もし、これからの技術革新で
不足しがちな栄養素、機能物質も含めて
バランスが取れた形で腸での吸収効率が高い
加工食品が生まれれば、
今とは話が変わってくるかもしれません。
ただ、これだけでは説明できない要素は
見えないところで存在する可能性もあります。
例えば、
加工食品が安全すぎることが問題かもしれません。
腸内細菌にも自然界に存在する多少の毒素が、
高い選択圧を駆動させ、結果として
細菌株として毒素に強い細菌を
善玉菌、日和見細菌も含めて高めることができる。
細胞に生きようとする力があるなら、
そうしたことも考えられます。
ただ、こうした選択圧は
細菌はより原始的な細胞なので、
人の身体を構成する細胞よりは弱いかもしれないですが
一方で、世代交代する時間が速いです。
私の今の解釈が今までよりも
より正確かもOpen AIで確認したものの
まだ、わかりません。
ここまでが主に栄養と消化に関する話です。
ある程度、私の今までの考え方。
それに対して修正が必要でした。
次に代謝産物に関してです。
最近、「腸脳相関(Gut-brain axis)」という概念が知られ、
腸内細菌叢が脳の機能、疾患に関わっている。
このことが指摘されています(1)。
例えば、海馬の神経新生。
これに関わっているという研究もあります。
これらの離れた相関は当然、物質的な実態があるわけですが、
その物質的な実態は
人が食物から摂った成分を
脳にとって適切な形で分解して、
代謝産物として放出して、
循環器として届けていることです。
あるいは免疫系を含めて、
細胞内外での多段的なつながりも考えられます。
その主な代謝産物は
- ブチレート
- 酢酸とプロピオン酸
これら短鎖脂肪酸(SCFAs)です。
そのほかには
- トリプトファン
セロトニン合成に必要です。
特にブチレートは
ブチレートは神経前駆細胞の増殖を促進し、
神経新生に関与する遺伝子の発現を誘導します。
この短鎖脂肪酸(SCFAs)は
これは主に善玉細菌が放出しますが、
その合成に必要な最も代表的な機能性物質は
主に植物性の食品に含まれる
- 食物繊維
これです。
それ以外に
- アミノ酸
- ビタミンB群
- ミネラル(カルシウム、マグネシウム)
- 不飽和脂肪酸
これらが合成を促進するとあります。
上述したトリプトファン合成に必要な物質は
主に動物性食品を含めて
多様な食材に含まれるタンパク質です。
そのほかに
- ビタミンB6(ピリドキシン)
- ナイアシン(ビタミンB3)
- 葉酸(ビタミンB9)
- マグネシウム
- カルシウム
これらです。
短鎖脂肪酸のうち酪酸塩(ブチラート)は
主に腸の上皮組織で吸収されますが(2:Box.1)、
昆虫、鳥、マウス、人など
様々な生物において
免疫システムの調整において重要な物質です(2)。
従って、進化的に高度に保存されきた物質です。
酪酸塩(ブチラート)は
腸上皮細胞の重要な栄養源であり、
組織の恒常性に関わっているため、
腸のバリア機能の維持に貢献します。
ゆえに、細菌が短鎖脂肪酸を生み出すために必要な
食材による食物繊維の摂取量が低下すると
腸のバリア機能影響が出る可能性があります(3)。
腸内細菌の体への影響を考えるとき、
考えるべき優先度が高いのは免疫への影響であり(2)、
その免疫系に広範に影響を与える
腸内細菌の代謝産生物は短鎖脂肪酸です(2)。
その(善玉)腸内細菌のエネルギー源として
最も必要とされるのが食物繊維です。
特に子供は5歳までは
腸内細菌の(α)多様性が低く、
個人差も大きいのです(β多様性)(4:Fig.1a)。
また、一般的な細菌の寿命は非常に短く、
24~72時間(1-3日)程度です(5)。
従って、善玉細菌、日和見細菌、悪玉細菌。
これらの構成比、多様性は動的で
すぐに入れ替わります。
従って、1回理想的な状態を構築したら
長く保持するわけではなく、
腸内細菌叢を整えるとは
日々の継続的な飲食習慣を考える事です。
従って、
過不足ない継続的な食物繊維の摂取と
新生児、乳児の時期は授乳が大切となります。
細菌は栄養源があるときに活発に分裂、
すなわち数を増やすので、
食物繊維は単に善玉細菌から
短鎖脂肪酸を代謝生成物として出すために
必要なだけではなく、
食物繊維という栄養と共に
善玉細菌の分裂を支援する上でも大切です。
その他、ポリフェノール、
ω3脂肪酸やたんぱく質など
善玉細菌の増殖を支援する栄養素があります。
細菌叢がどのように変わるかは、
細菌が分裂によって生命をつないでいくので
どういったエネルギー源を与えるかでも
当然、大きく変わっていきます。
(2:Fig.1b)に示されるように
生後、1年は制御型の免疫系と広範に関連がある
また、細胞接着分子(密着接合分子(7))健全性を含め
腸上皮組織の機能と関連がある
酪酸塩の分泌が少ないです。
従って、この期間、授乳によって
その機能を補うことはおそらく重要です。
上述した短鎖脂肪酸は主に制御型、抗炎症といった
免疫機能の中ではブレーキ役となる
免疫細胞、免疫形質の発展に関連します。
具体的には以下です。
1- 制御性T細胞(Treg)
短鎖脂肪酸(SCFAs)
- 酪酸
- プロピオン酸
- アセテートなど
SCFAsは腸内フローラが発酵する過程で生成され、
制御性T細胞(Treg)の誘導を促進します。
特に酪酸は、腸内でTreg細胞の発生を促進し、
免疫の抑制的な反応を高めます。
酪酸は、Treg細胞が腸内で適切に機能するために
必要な条件を整えるとともに、腸
の免疫応答を適切に調整します。
2- マクロファージ
短鎖脂肪酸(SCFAs)
- 酪酸
- プロピオン酸
SCFAsは、マクロファージの抗炎症反応を促進し、
腸内での適切な免疫応答を保ちます。
酪酸は、マクロファージの活性化を促し、
免疫寛容の促進に寄与します。
SCFAsはまた、マクロファージの
炎症応答を抑制する作用があり、
腸内での炎症の悪化を防ぎます。
3- B細胞
短鎖脂肪酸(SCFAs)
酪酸
酪酸は、腸内でのB細胞の活性化や
抗体産生に関与します。
酪酸は腸内のB細胞を促進し、
腸内での免疫応答に重要な役割を果たします。
また、SCFAsは腸内細胞との相互作用を通じて、
腸内免疫を強化します。
4- CD4+ T細胞
短鎖脂肪酸(SCFAs)
- 酪酸
- プロピオン酸
SCFAsは、CD4+ T細胞の分化や機能に影響を与え、
炎症反応を調節します。
酪酸やプロピオン酸は、
CD4+ T細胞の免疫応答の調整に関与し、
過剰な炎症反応を抑制します。
これにより、腸内での免疫調整が行われます。
5- 樹状細胞(DCs)
短鎖脂肪酸(SCFAs)
- 酪酸
酪酸は、樹状細胞(DC)の成熟を促し、
これにより樹状細胞が
免疫反応を調節する能力が向上します。
酪酸はまた、DCsがT細胞に対して
免疫応答を引き起こす能力を強化するため、
免疫システム全体を効果的にサポートします。
6- NKT細胞
短鎖脂肪酸(SCFAs)
- 酪酸、
- アセテート
NKT細胞は、腸内細菌によって生成されるSCFAsに反応し、
免疫応答の調整に関与します。
酪酸は、NKT細胞の活性化を促進し、
免疫応答を適切に誘導します。
特に免疫系はある程度記憶効果があるため、
小さい免疫系が発達していくときの
5年、10年といった長期間での
日々の主に食習慣による
免疫機能に影響を与えると考えられる
腸内細菌の構成の総軌跡による
累積の免疫系の構築が
一定、成人後の
免疫系の形質に影響を与える可能性があります。
また、食物繊維は制御型、抗炎症性の
免疫細胞の成長を支援するため、
アレルギーや自己免疫疾患などの
免疫性の疾患ともかかわりがある可能性があります。
また、これらは
免疫機能による炎症性、攻撃性へのブレーキなので
過剰に通常細胞を損傷させるリスクを低減します。
通常細胞が過剰に損傷すると
一定、染色体、遺伝子の損傷とも関連するため
それによる悪性新生物、すなわち癌の発生リスク。
これを高めることにもつながります。
こうした抑制システムは
免疫系だけではなく、神経系においても
攻撃性、興奮性のシステムに比べて、
環境適応において脆弱な傾向があるので、
過去から継承されてきた生活を見直し、
その中で現代に則した形で適切な環境を整えて、
意識的に促進させる必要があります。
但し、少なくとも
植物性の食品を過不足なく摂ることは
ある程度、常識的推奨されるものの
食習慣によって、人のケースで
どのように
- アレルギー
- 自己免疫疾患
- (小児)がん
これらに影響を与えるかははっきりわかっていません(6)。
上述したように興奮性、攻撃(炎症)性が
抑制性、防御(抗炎症)性に対して優先される理由は、
突然、緊急、急性の環境変化、ストレス時には
先に興奮性、攻撃性が必要になるからです。
生物が繁栄する中で、
どちらかというとこちらのシステムが重要です。
ただ、バランスが崩れると、抑制系が低下すると
主に慢性の疾患につながります。
こうした抑制性は
昔ながらの生活習慣の中で
補償的に構築してきた部分がありますが、
現代ではそれが失われつつあります。
従って、アレルギー、うつなどの
慢性的な疾患が問題となっています。
例えば、
バランスととれた栄養、空腹習慣、運動、日光浴、
きれいな水へのアクセス、自然環境の中の暮らし。
これらなどもがありますが、
意外なところで社会的孤立もあります。
今は世界的に人口も増え、人にあふれています。
昔は子育ても集団してしていました。
核家族化を超えて、
今は一人暮らしも増えていますから
こうした社会的孤立は
免疫系や精神系のバランスを崩すことになります。
人が近くにいるだけで安心するというのは、
子どもも含めてある意味、
長い間かけて人の中に埋め込まれた生理的なものです。
腸内細菌とがんの関係を考えるときには、
一つの視点としては
上述したように
腸内細菌と免疫系の関係。
免疫系の中で
- 制御型免疫細胞の活性
- 抗炎症性タイプの免疫細胞の活性
- 抗原放出のB細胞
これらとの関係です。
制御型免疫細胞は炎症系免疫細胞の過剰亢進を抑制し、
それによる必要以上の細胞障害、
それに伴う染色体、遺伝子障害を防ぎ、
遺伝子障害に伴う癌化を抑制します。
さらには、B細胞は
組織に癌が発生したときに、
その癌細胞に対する免疫細胞の
特異的に認識性を高める働きがあります。
これを実現するため、
具体的には短鎖脂肪酸、
その中で特に酪酸塩(ブチラート)が
これらを活性化させます。
この酪酸塩を放出する善玉菌である
- Faecalibacterium prausnitzii
- Roseburia spp.
- Butyrivibrio fibrisolvens
- Eubacterium rectale
- Clostridium butyricum
これらの生息が重要で、
これらの酪酸産生菌は
全粒穀物、野菜、果物、豆類などの
食物繊維摂取で高まります。
他方で酪酸塩が低下すると
- Enterobacteriaceae
- Escherichia coli
- Fusobacterium
これらの遺伝子障害性のある
毒素(代謝生成物)を放出する
悪玉菌が腸内環境の中で増加する傾向にあります(8:Fig.1)。
- Enterobacteriaceae
代謝生成物:Cytolethal Distending Toxin (CDT)
この代謝生成物の
CdtBサブユニットがDNase I様酵素活性を持ち、
細胞内に取り込まれた後、
染色体、遺伝子がある細胞核内に移行します。
ヒストンに巻き付いているDNAにアクセスし
遺伝子構造を完全に切断する
二本鎖切断(Double-strand break)を誘発します。
さらに細胞分裂を停止させます。
それにより細胞死や
その細胞は多くの遺伝子障害を維持することになります。
すなわち、細胞の老化を示します。
- Escherichia coli
代謝生成物: Shiga toxin(Stx1, Stx2)
Shiga毒素はA-B型毒素で、
Bサブユニットが細胞表面のGb3受容体に結合します。
内部化後、Aサブユニットが細胞質に移行し、
28SリボソームRNAを切断します。
この28SリボソームRNAは
遺伝子コードに則したタンパク質発現をする
リボソームの位置決定に関わるRNAです。
これが障害されることで
細胞機能を決定するたんぱく質発現に異常がでます。
但し、上述した酪酸塩も
広範にバランスのとれた免疫機能を構築する効果がありますが、
Fusobacterium nucleatumが産生する場合、
異常に多く産生されることがあり、
過剰になると
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害作用によって
ヒストン-DNAの異常なアセチル化を誘導し、
遺伝子構造がオープンになります。
そうすると遺伝子は過剰に発現され、
それによって遺伝子が損傷されるリスクが高まることと
遺伝子が過剰に発現されることで
異常な細胞分裂を誘導し、
それが累積し、その結果、
腫瘍組織化する可能性があります。
腸内細菌は主にその個体内、
すなわち一人のヒトの主に小腸内の粘膜という
限られた空間に100兆個ほど存在します。
しかし、
上述したように細菌の寿命は1-3日程度で、
その小腸内の粘膜を
一つのコミュニティーとして定義すると、
この腸内細菌社会では
通常のヒトの進化に比べて
考えられないくらい高い速度で進化して行きます。
単純計算で1年で120~360世代ほと入れ替わります。
そうすると1年後、
生き残った細菌は、その環境において
どういった特質を持つことになるでしょうか?
これを考えるうえで上皿天秤の一つとして
重要なのが細菌の分裂です。
自明なように
細菌は分裂によって数を増やすからです。
これが将来的にどういった細菌が生き残るか?
それの最も基本的な要因の一つとなります。
より端的には、
その環境内で分裂性の高い細菌が生き残る。
そういった細菌種、株が勢力を増すということになります。
では、その分裂性は何に起因するか?
細胞分裂と同様に細菌の分裂でも
細菌を構成する物質は一般的には
- たんぱく質 50-60%
- 糖 10-15%
- 脂質 10-20%
これら程度であり、人の細胞と同様に
その多くはたんぱく質で占められます。
分裂の際、そういった物質が必要な事と
細胞分裂を駆動するエネルギーが必要です。
これは細胞と同様にATPです。
それを生み出すことができる物質の一つが、
短鎖脂肪酸であり、
これは食物繊維を発酵させて生じますが、
その発酵効率がとりわけ高いのが
ビフィズス菌と乳酸菌です。
従って、
その宿主の小腸粘膜コミュニティーにおいて
食物繊維の供給頻度が高ければ、
当然、それを有効に分裂のためのエネルギーに変えられる
ビフィズス菌と乳酸菌が優勢にはなりますが、
事はそんなに単純ではありません。
おそらくある一定数以上は
細菌コミュニティーのバランスの中で増えません。
それは下述すること以外に
7割を占める日和見細菌の多様な細菌種の中での
調整機構も関連すると考えられます。
数を支配するものは
細胞分裂による増加だけではなく、
細菌を死滅させる
その細菌にとっての毒物による細胞死圧もあります。
最終的には、そのコミュニティーにおいて
細胞分裂圧が高く、細胞死圧が低い
細菌が生き残るはずです。
それが進化の選択則だからです。
ただ、腸内細菌は数も多く、非常に多様なので
それほど短期間では劇的に
種の構成は変わらないかもしれません。
細菌同士もいわば
生存に協力的に働いたり、
あるいは互いに死滅するように働くこともあります。
従って、どういう
分裂のためのエネルギー源、
死滅のための毒素が
小腸に供給されるということとは別に
細菌同士も共生しながら、
その相互作用の中で分裂圧、死滅圧
これら両方が存在します。
物質の交換だけではなく
粘膜を通じた遺伝子の交換もします。
そうすると生後間もないころというのは
外界にでて、腸内細菌が生息して間もないですから、
そういった環境に合わせた選択則による強化が
まだ、あまり生じていないということがあります。
そうしたことがあるから、
種の構成として非常に不安定で、多様性も低く、
大人のような安定性を手に入れるまでには
おおよそ5年。
すなわち細菌の世代でいえば、
600世代~1800世代くらいは必要である。
このように推計されます。
ウィルスの細胞内での遺伝子増殖周期が
少し細菌とはずれますが、1日程度。
という見積もりもあります。
新型コロナウィルスも種として安定してくるのが
おおよそ3-5年(2020年~2023(25)年)くらいかかりました。
それまでは
アルファ株、ベータ株、デルタ株と順に、
非常に短い期間で、言い換えれば不安定な様式で
世界で蔓延した株は変化しました。
従って、
細菌もその環境に最も適した形で
種として安定するのはウィルスと同じように
だいたい生後数年かかるということです。
ヒトの場合、生殖年齢まで20年だとすると
約1万2000年~3万6000年かかる計算になります。
例えば、その環境に適応するのに
1000世代かかるとします。
ちょっと推論としては
無理があるかもしれないですが、
この前提で少し敷衍(押し広げて)考えます。
インターネットが普及し始めたのが2000年くらい。
SNSが2000年代後半です。
スマートフォンもこれくらいです。
生成系AIが2020年くらいです。
私の世代以下の人は
インターネット、パソコン、スマートフォン、SNS。
これらがあるのが当たり前です。
今では生成系AIがあるのもそうです。
まだ、使っている人は少ないかもしれないですが。
もう、仕事でもプライベートでも
多くの人にとって、特にスマートフォンは、
完全に生活の中に組み込まれています。
人の脳神経はその環境に慣れて、
それと比較的、短期間で共存することが可能。
そのことが示されたと思います。
その新しいシステムがある事を前提に
産業化、システム化、
それによる経済システム、
付加価値を生み出すことができます。
だから、子どもの教育は少し遅れているので
伝統を残し、全てではなくても
少し、それに合わせたらいいのでは?
このように提案しているわけです。
子どもの脳も大人と同様に柔軟です。
仮にこうした環境に合わせた
脳神経の順応が数年であるとすると、
おおよそ、細菌やウィルスが
その環境で安定化する時間と一致します。
それが10年としても桁では変わりません。
そうすると環境適応のための
一つ一つのノード、変化点を示す
細胞分裂のような現象が1世代変化とすると
脳神経の場合は
こうした環境変化に数年で順応するとすると、
1世代あたり、2日程度で生じるということです。
神経細胞の場合は、細胞分裂ではなく
連結の変化、調整を含むシナプス可塑性。
これかもしれません。
もし、そうであるとすると
脳に何か安全な形で物理的に連結するにしても、
あるいは、
何か新しいシステムと
今までのように共存するにしても、
あるいは、私が提案するような
脳神経系に一番配慮した
生活習慣の改善をするにしても、
早ければ、数年でその環境に合わせて
進化できることになります。
これは細胞が顕著に老化する
数十年の単位と比較しても
桁一つ小さい順応なので、
老化による機能低下が徐々にあったしても
個人として変化を実感できるタイムスパンです。
生物学的な種としての進化は望めませんが、
よりローカルな脳神経系の順応という観点でいえば、
数年単位で人は閾値的に変わっていける。
このことが示されるかもしれません。
私のこの医療の部屋。今で4年半くらいです。
もうそろそろ飽和状態に達してきています。
それも、上述した進化、順応、安定化。
それで示されるかもしれません。
高齢になると善玉菌が減ってくるということがあります。
一つの抽象的な要素としては、
悪玉細菌の増殖圧が高まることですから
悪玉細菌の増殖のためのエネルギー源が
その小腸環境内に多く存在することを示します。
考えられる理由は
- 老化による消化機能の低下
- 粘膜層厚の減少
これらが挙げられます。
日本人であれば、高齢の方も
精米されたご飯を食べます。
このご飯は炭水化物で、糖の原料となります。
ご飯を口腔からとって、腸まで栄養素として運ぶとき、
食道、胃、十二指腸などを通り段階的に分解しますが、
その分解のためには消化酵素などが必要で
物理化学的にエネルギーが必要です。
一方で、
植物性の野菜なども、高齢の方は食べますが、
それも栄養素として
おおよそ同じルートで小腸に届けられます。
善玉細菌の栄養源となる食物繊維にするために
野菜などの食物をお米同様に分解する必要があります。
そのためのエネルギーがあります。
一般的に精米されたご飯を糖にするほうが
低いエネルギーで済み、
野菜を食物繊維に分解するエネルギーは多く必要です。
従って、
消化酵素の量、機能低下や
栄養を捕獲する粘膜層が小さくなると
特に不溶性の食物繊維は食べても
有効に善玉細菌に届かなくなります。
一方で糖は比較的届きやすいです。
このエネルギー論は別の観点で一定の合理性持ちます。
草食動物は、大量の植物性の食品を食べます。
一般的に牛などの大きな草食動物は特に
消化管、消化器は大きく、
それに応じて消化酵素も多く分泌されます。
このことから一般的に
植物性食品から食物繊維に分解するためには
比較的消化器に大変な仕事を与えることになります。
従って、
小腸のコミュニティーの
物質条件が徐々に変化し、食物繊維の割合が減るため、
高齢の方では善玉細菌が減少し、
逆に悪玉細菌が増えることになります。
このことから高齢の人は
若い人よりも多くの植物性食品を必要とします。
しかし、ことはそう単純ではなく、
食物繊維を多くとると消化器に負担がかかって、
それによって胃、十二指腸などの
消化器が炎症を起こしたりする可能性があります。
従って、ベースラインとして
消化器の機能を維持する必要があります。
あるいは消化されやすい食材の中で
水溶性食物繊維を適度に含む食材がいいです。
例えば、
バナナ、サツマイモ、ジャガイモなど。
特にイモ類はいいかもしれません。
後は、「しっかり噛んで食べる」という咀嚼です。
それによって消化器への負担を減らせます。
だから、歯の健康は重要です(9)。
高齢になると空腹になりにくくなります。
1日に2食にする人もいると思いますが、
そうすると食事間隔があきます。
そういった血糖値をある程度下げることは
フラついて倒れるなどのリスクはあるものの
その程度を適正に管理すれば、
あるいは低血糖の時には
座って読書をするなど、
比較的、静的な活動を選択すれば、
そうしたリスクを減らすことができます。
脳の機能維持のために非常に重要です。
逆に血糖値が高いままだと、
アルツハイマー病などのリスクにつながります。
血糖値が高くなる糖尿病と
神経変性疾患の関連は総括されています(10)。
従って、
脳のためを考えると食事を少なめにして
適度な空腹感を日常的に味わい、
血流を循環させることが重要です。
一方で、
胃などでは、胃の内容物がなくなることで、
胃酸が直接胃の組織に影響を与え
胃の炎症などを起こしやすくなります。
従って、この空腹のアプローチは
消化器にリスクがあります。
実際に私はこの1か月の
自分自身に課した介入で
1日2食の日を多くして食事間隔をあけましたが
そのリスクとして消化器が少し調子悪いです。
医療機関にいっていませんが、
食べた直後に症状が変化することから
おそらく胃に少し炎症があるのだと思います。
私のように運動していて、
40代の比較的若い人でもなりますから、
高齢の人がすると
ひどい場合、嘔吐などにつながる可能性があります。
例えば、1日2食にするとします。
それは
- 脳神経発達、維持、
- 循環器、免疫の健康、
- 肥満対策
これらに効果がある可能性があります。
なぜなら、総カロリーが減ることと
食事間隔が自然と長くなるため
血糖値が下がる時間が長くなるからです。
ただし、こうしたライフスタイルと
これらの健康に関わる要素とつながりを示す
エビデンスはありません。
現時点では、推定です。
仮に、これが成り立つしても、
消化器の健康を考えると、
間の時間が空くときに、
消化器に優しい、おにぎり(もっといえばおかゆ)
などを少し食べる。
あるいは特に空腹のときの水分補給は
コーヒーなどの刺激物を避けて、白湯などにする。
こうした補償的処置が必要になります。
体全身の管理というのは
特に高齢になってくると非常に難しいです。
医療機関などの介入なしに
私のように個人で無茶をすると
あるいは極端なことを急にすると、
本当に、逆効果、
どこかを痛めてしまう原因にもなります。
消化器の健康は善玉細菌の健康に関わります。
なぜなら、
善玉菌を維持するのに必要な食物繊維の供給は
糖などよりも難しいからです。
そのためには植物性食品を取る以外に
消化器の健全性が必要だからです。
従って、
胃などの消化器の健康は
実は腸内細菌などを通して、
免疫、さらには全身の健康に関わります。
逆に言うと、離乳した後、親御さんは
子どもに少しずつ食物アレルギーに気を払いながら
色んな食べ物を与えていくと思いますが、
そうした胃など消化器の発達時期に
もちろん過度はいけませんが、
ある程度、消化にエネルギーが必要な
植物性の食品を段階的にかつ
継続的に適度に与えることは
消化酵素の機能も含めて
消化器の一定の訓練のため必要かもしれません。
あるいは、加工食品ではなく、
懸念はあるかもしれないですが、
適正に食べたとしても、
ほんの少しの毒があるかもしれない
自然食品を少し加工食品に対する
比率として多めに子どもに与えることは、
腸内細菌叢の訓練にもなるかもしれません。
一方で、
私のように大人では
ストレスによって胃が痛くなることがありますが、
そうしたことは消化器の健康に関わるため
ストレス管理は重要になります。
特に適度な運動は
消化酵素の働きを高めるだけではなく
副交感神経を高めてストレスも緩和するため、
日常ライフスタイルとして取り入れたいです。
ヒトは基本的に食べ物の種類に大きな揺らぎがあっても、
身体の構造を一定の病理を伴うこともありますが、
おおよそ適応しながら維持することができます。
そのためには
食べ物に含まれる栄養素を柔軟に調整しながら
保持分解、消化、吸収、吸収後に機能化する必要があります。
そうした調整の一翼を担っているのが
おそらく腸内細菌であり、
腸内細菌の中でもそうした調整役、制御性を持つのが
日和見細菌に分類される7割を占める細菌種です。
腸内細菌に多様性が必要なのは、
環境に応じて、その環境適応、抵抗性を持つために
必要な選択則を有効に働かせるためです。
例えば、
一定の毒素Aに対する環境暴露があったとき、
多様な細菌種の中でそうした毒素Aに強い細菌が活躍し、
それが数を少なくとも一時的に増やし、
その一時的な難局を乗り切ろうとします。
そうしたリソースを環境内から検索するためには
元々、腸内環境にそれだけ多様な細菌種が
生息している必要があります。
逆に言うと特定の特質を持つ細菌種たちを
絶滅させないように、あるいは
回復不可能なほど少なくならないように
しないといけないということです。
例えば、繰り返しの特定のストレスや
案外、ずっと変化のない環境というのは
細菌種の多様性を奪う原因になるかもしれません。
人の身体は様々なストレスに耐えてきましたから
生息が許された細菌種の中には、
善玉細菌に不利になったときに、
それを保護する、成長を促進する
あるいは一時的に難局を乗り切るために
自身が数を増やす細菌種がおそらく存在します。
それは日和見細菌の7割の中におそらくいます。
こうしたことがあるから、
野菜を全く食べない人も、問題はありますが、
若いころには特に顕著な問題が出ない人もいます。
すなわち、食物繊維が食べ物で
10倍の量不足しているからといって、
善玉細菌が10倍少なくなるといったようなことは
おそらく起こらないということです。
少し回り道しますが、
最終的には重要な話につながるので
我慢して、読んでみてください。
生命が誕生する初期のきっかけが
RNAのヌクレオチドの合成だとすると、
その合成に水が必要だったか?
という問いかけがあります。
これは、同時に、生命の誕生は
水分子があったからなのか?
このことの問いかけでもあります。
もともと、地球の生命は主に元素としては
- 炭素(C)
- 窒素(N)
- 酸素(O)
- 硫黄(S)
- リン(P)
これらに主に依存しているといわれており、
DNA、RNAの基本構成要素、ヌクレオチドに
リン酸基があるので
「リン(phosphorus)」が重要な役割を担っている
といわれています(11)。
基本的に元素は核融合反応を通じて、
より重い元素が形成されていくので
宇宙に存在する元素のほとんど(90%以上)が水素とヘリウムです。
硫黄とリンは16番と15番などで
上述した生命に関連がある元素の中では重く、
リンの存在比は硫黄の約1/1000程度であり、
リンが存在しにくいため
地球に豊富に存在するのは
生命誕生の決定条件の一つになっている
という見方であるという認識です。
言い換えると
他の星で生命がいるかどうかの
最も難しい元素の条件はリンが存在するかどうか?
このことであるという事です。
他方で、RNAの合成は溶媒として
水が必要かもしれないという研究もあります(12)。
なぜなら、水分子はRNAと結合したときに
より安定で、RNAの周りを動き回ることができる。
このように計算されています(12)。
これはヌクレオチド合成の際、
RNAの折りたたみ構造や
機能的な変化に水分子が関わっていたかもしれない。
このことを示唆します。
RNAワールド仮説によれば、
初期生命は水が豊富な環境で形成された。
このように考えられています。
従って、RNAが合成され、
それがDNA設計図の元となり、
単細胞生物が形成されたとすると
生命の誕生は水がある環境で生じた。
このように関連付けることも可能です。
そうすると多くの細胞は
基本的に水がない環境は共通的に苦手である。
このように考える事もできます。
それは、人の細胞だけではなく、
腸の粘膜にいる腸内細菌叢もそうです。
日本は島国で周り海に囲まれ、四季があり、
風向きも変わり、陸の傾斜もあり(山)、
安定的な降水量も確保できます。
急峻な傾斜で、水系の循環も速く、
比較的、水資源が汚染されていなく、
空気、土壌も含めて
非常に湿潤な環境であるので、
植物、コケ類も含めて生命にあふれています。
おそらく細菌も多いと思います。
この生命資源の一つの源泉は水分子です。
そうすると腸の粘膜に存在する細菌は
粘膜を構成するゲル状の物質の
水分子の数が減ってくると、
あるいは粘膜が薄くなると、
水が安定的に存在する層の体積、容量が小さくなり、
生命活動のため利用できる水分子が減るので、
絶対的な細菌数、あるいは
細菌の多様性が失われるはずです。
なぜなら、
どの程度、生命活動に水が必要か?
その種の偏差はあるかもしれないですが、
ほぼすべての細菌が水分子が必要だからです。
生命の誕生が水が必要だったとするならば、
多くの細菌、細胞の
ほぼ共通的に必要とされる環境条件は
水(H2O)がある事。
このことである可能性があります。
だから、砂漠にはほとんど生命はいません。
そこで生息できる生物はほとんどの場合、
水を長期間保有する能力に優れています。
乾燥した地域も生命の数は
相対的に少なくなります。
腸の粘膜の水分量を(部分的に)決定する物質は
- ムチン
- ヒアルロン酸
- ガラクトサミノグリカン(GAGs)
これらです。
これらの合成量、保水力は加齢と共に変わる可能性があります。
結果として、これらの材料の親水性が下がり、
粘膜の相対的な水分量が低下すると
当然、水を必要とする細菌の種類、数も減ってきます。
他方で、粘膜中の水の寿命は長くないので
腸の上皮細胞が常時、水を出し入れする必要があります。
水の蛇口はアクアポリンと呼ばれる受容体ですが、
水圧を駆動するのはイオンチャンネルによって
イオン濃度を勾配させることによって生じる浸透圧です。
従って、上皮組織の
こうしたチャンネルの機能が加齢と共に低下すると
当然、粘膜の水分量の調整能力も低下してきます。
老化によって体の水分量が失われてくるというのは
腸の粘膜に限りませんが、
身体のほぼすべての細胞や
共生する細菌類にとってリスクである。
このように推定することもできます。
生命の誕生まで話を広げてまで
ここでお伝えしたしたかったこと。
そのモチベーションは
以下にあります。
腸内細菌の多様性における
絶対的条件が「水分量」。
これにあると推定しました。
腸内細菌が生息している粘膜の
水分量を支配している要因を確認する事。
これは腸内細菌の健全性を考えるうえでの
環境因子として最も基本的なことです。
このように考えました。
今、日本で販売されている
腸内細菌に作用する
ヨーグルトや機能性飲料には、以下の製品があります。
ヤクルトプレーンヨーグルト
- 乳酸菌 シロタ株(L. カゼイ YIT 9029)
明治ブルガリアヨーグルト LB81
- LB81乳酸菌
キリン iMUSE ヨーグルトテイスト
- プラズマ乳酸菌
ピルクル
- 乳酸菌
ヤクルト400
- 乳酸菌 シロタ株
明治R-1
- 1073R-1乳酸菌
ダノンBIO
- ビフィズス菌BE80
雪印メグミルク
- ガセリ菌SP株
例えば、これらがありますが、
これらの菌が胃(21)、腸などで
十分な生息数をもって有効に作用するために考えられることは
基本的にはこれらの消化器に
生きた状態で届くことがありますが、
もう一つとしては
「持続的な供給」があります。
また、その持続的な供給の上で考える事は
それらの菌の持続的供給の上で
それらの菌の腸内での生息を支えるための
栄養支援を行う必要があります。
代表的なものが食物繊維です。
これらの菌は、当然、生体外で培養したものですから、
それそのものの菌はそれぞれのメーカーが保有しています。
その菌を増殖するために最適な食材がわかれば、
その食品とセットで供給するとどうか?
という視点もあります。
食物繊維は構造として多様性があるので
乳酸菌、ビフィズス菌のエネルギー源として
食物繊維が利用できるにしても
それぞれの株により適した種類の
食物繊維がある可能性があるからです。
また、これらの菌が
実際に腸の中でどれくらいの勢力で
恒常的に生息するかという視点もありますし、
これらの菌が他の
善玉細菌、日和見細菌、悪玉細菌。
これらに対してどういった影響を与えるか?
こうした見方もできます。
他方で、
こうした機能性飲食品だけではない、
腸内細菌に対する人為的な介入としては
腸内細菌に生息する遺伝子を改変できるか?
このような観点もあります。
細菌は粘膜などの菌膜(Biofilm)の中で
遺伝子を他の細菌に水平伝搬する働きがあります(13)。
実際にこれが適応(Adaptive evolution)に
関連している可能性があることから(13)、
こうした自然にある現象を利用して、
人為的に設計された遺伝子を送達することで
特にDisbiosisが生じている患者さんや
(小児)がん患者などに対して
(酪酸産生菌類が不足(4))、
適切な細菌叢の環境適応を支援できる可能性があります。
上述したようにほとんどの生命は水なしでは
生存が難しいという推定をたてましたが、
ビフィズス菌や乳酸菌は
他の細菌と比べても、高い活性を得るためには
とりわけ多くの水分を必要とするかもしれません(14)。
その(おそらく)本質的な理由は
これらの善玉細菌の増殖や発酵などの代謝の過程で
糖などを含めた多くの親水性の物質が
主に関与しているからであると考えられます。
化学反応を有効に進めるためには
反応させる物質をひきつける必要があるので、
親水性の物質の反応において
水分子は物質同士をひきつけ
いわば反応を推し進める
触媒の働きをしているとも解釈することができます(17)。
まだ、十分な証拠はないものの(15)、
腸の主に上皮組織が健全性が失われると
一般的に粘膜の水分は失われる方向。
こちらに動くかもしれません。
それを補うためムチンなどが
過剰にでる可能性がありまが(16)、
腸のバリア機能である上皮組織の
細胞間の密着接合は外れ、連続性が失われると
粘膜の中で分子量の小さな水分子が
粘膜から組織内の間質のほうへ流れ出る可能性があります。
それで、水分が失われる方向に動きやすい。
このように考えることができます。
それにより、粘膜の物質構成、層厚。
これらの特性にも異常が出る可能性があります。
上述したように
活性な代謝において水分に多く依存しているかもしれない
善玉細菌であるビフィズス菌や乳酸菌は、
環境中、すなわち粘膜の水分が失われることで
数、多様性を減らし、
結果としてDysbiosis、
すなわち腸内細菌の不全につながるかもしれません。
特に子供のころは腸組織が完全ではありません。
大人に近いレベルまで成熟するには
生後10年程度かかるという見方も存在します。
子どもが食べ物で腹痛が生じやすい。
これは一般的な傾向として診られます。
このように
腸組織が環境に影響を受けやすいことから、
強い炎症ストレスを受けないように
特に低年齢の子どもにおいては
配慮する必要があります。
子どもにもしっかりした感覚があります。
「ママ、おなかが痛い。」
このような言葉と軟便や発熱などがある場合には、
それは特に消化器の異常のサインかもしれないので、
そうしたときには胃腸に負担のかからない
食生活を含めた生活を
少なくとも回復するまで提供する必要があります。
例えば、
- 1回の食事量を減らし、頻回にする
- より意識して、ゆっくり噛んで食べる
- 食材を細かく刻む
- 非常に軽い運動(ストレッチ、体操はいいかも?)
- こまめな水分補給(ぬるめの温度)
また、損傷した組織を回復するためには
当然、細胞の一つ一つの材料を
新たに合成する必要があります。
一番多く必要とするのはたんぱく質なので、
鶏肉、魚、卵などたんぱく源を消化しやすい形で、
しっかり熱を通して、リスクが少ない様式で
ゆっくり時間をかけて子供に与えることを考えます。
こういった生活的な補償を
子どもの様子を逐次みながらすることがいいです。
もちろん、程度がひどければ、
医療機関を受診することになります。
腸内の粘膜の水分の状態を
維持するように助けるためには
内腔内の水蒸気量、水分量を多めに取りたい。
このことがあります。
それによって粘膜の平衡蒸気圧。
これがあがる
からです。
もちろん、直接的に水分を取る事もありますが、
その水分の温度も重要です。
従って、ぬるめの水といいました。
但し、腸に届いたときの水分の温度は
ほとんどがその前の消化器で調整されるため、
ぬるめの水、体温に近い温度の水を飲む利点は
胃での温度調整の負担を減らすことにあります。
あるいは、
胃酸、膵液、胆汁などの
消化液が影響を与えるかもしれません。
もう一つは
栄養素としての水分保持量です。
水溶性の食物繊維は親水性で
水分子と良く結合することと、
それが腸内細菌まで運ばれるため、
水を必要とするビフィズス菌、乳酸菌に
良い影響を与える可能性があります。
いわば、水分子の運び屋としての役割もある。
このような可能性があります。
その水分子は必ずしも口に入れるときに
複合体として含まれていなくても
粘膜などの環境中の水分をより効率的に引き込んで、
善玉の腸内細菌の細胞内に
送達してくれるかもしれません。
イモ類や海藻類は水溶性食物繊維が豊富なため、
お子さんの消化器の調子が割るときには
こうした食材を小さく刻んで
胃や腸などの消化器に届けることを考えます。
特に、腸の炎症などがあるときには
上述したように
炎症によって生じた過剰な組織の隙間から
水分子が抜け出すリスクがあり、
それが、一部、善玉菌の生存に影響を
少なくとも一時的に与える可能性があることから、
同じく一時的な補償的処置として
食材で水分子と親和性の高い
善玉細菌のエネルギー源である
水溶性食物繊維を良い形でとる事。
それを特に一時的に意識することの価値。
これが少なくとも検討、見直されます。
特に白血病など免疫性の癌に罹患している
お子さんや小児脳腫瘍でもいえるかもしれないですが、
一定のDysbiosisが生じている可能性があります(4)。
子どもは潜在的には回復力がありますから
それを支援するための補償的処置が功を奏する。
その可能性があります。
今までの通例的な考え方としては
善玉細菌のプレバイオティクスとしては
- 食物繊維
これを継続的に提供すること。
これが推奨されます。
あるいはプロバイオティクスもそうです。
それと密接に関わるもう一つの要素としては
水分子をいかに善玉細菌に供給するか?
それを考える事が重要です。
食物繊維は善玉細菌の自然なエネルギー源であり
一定の走化性があることも想定すると、
食物繊維を水分子と一緒に
腸まで届けることを考えます。
食物繊維は主に
- 多糖類(ポリサッカライド)
- リグニン(非糖質高分子)
これらからなります。
このポリサッカライドが水溶性を示します。
水溶性食物繊維の多糖は非常に多様です。
それぞれの重さあたりの水分吸収容量を示します。
- セルロース (Cellulose)
水分吸収量:約 1-3倍
- ヘミセルロース (Hemicellulose)
水分吸収量:約 2-5倍
- ペクチン (Pectin)
水分吸収量:約 10-50倍
- リグニン (Lignin)
水分吸収量:約 1倍未満
- イヌリン (Inulin)
水分吸収量:約 10-30倍
- グルコマンナン (Glucomannan)
水分吸収量:約 100倍以上
- ガラクトマンナン (Galactomannan)
水分吸収量:約 10-20倍
- アルギン酸 (Alginate)
水分吸収量:約 10-50倍
- アラビノガラクタン (Arabinogalactan)
水分吸収量:約 5-10倍
- フルクトオリゴ糖 (Fructooligosaccharides, FOS)
水分吸収量:約 5-10倍
- マンナン (Mannan)
水分吸収量:約 10-20倍
- β-グルカン (Beta-glucan)
水分吸収量:約 10-50倍
- アガロース (Agarose)
水分吸収量:約 100倍以上
- ガラクツロン酸 (Galacturonic acid)
水分吸収量:約 5-10倍
グルコマンナン (Glucomannan)
アガロース (Agarose)
これらが含水能力が高いですが、
これは双極性の水分子をひきつけるための
構造内の電荷量と
高分子としての立体構造(隙間など)。
これらが関係していると考えられます。
このグリコマンナンを含む食材は
- こんにゃく
これが代表的です。
それ以外には
アオサ、昆布、ワカメ
これらにも含まれています。
アガロースを含む食材はあまりありません。
特にこんにゃくはやわらかく食べやすいので、
こんにゃくゼリーやこんにゃく麺も含めて
お子さんの胃腸が調子が悪い時には
検討する余地があるし、
Dysbiosisが生じている患者さんにとっては
食物繊維を水分子と一緒に
善玉腸内細菌に届ける形態として
より適している可能性があります。
抗がん剤である
Doxorubicin
Cyclophosphamide
これらは粘膜の質を下げたり、
上皮細胞のバリア性に関わる繊毛の長さ。
これを短くする可能性があります(18:Figure 1)。
これらは通常静脈内投与ですが、
食事などの機会を通じて
全身に拡散したこうした細胞障害性のある薬剤が
腸を含めた消化器に届き、
一部、上皮細胞を障害する可能性もあります。
特に増殖細胞に効果のある
- DNA合成障害
- 有糸分裂微小管形成障害
これらの抗がん剤は
当然、同じく細胞が頻繁に入れ替わる
全身の上皮細胞、
特に呼吸器、消化器など
常時ストレスの多い上皮細胞にも
潜在的に良く作用することが懸念されます。
従って、
増殖性の高い癌治療は
消化器の上皮細胞を壊し、
腸内、胃内細菌叢のバランスの崩壊や
それと交絡する消化器の炎症の合併症(20)。
これらを導く可能性があります。
また、
肺炎など呼吸器障害の合併も懸念されます(19)。
従って、増殖性の高い癌細胞に良く作用する薬理。
これを選択する場合には
全身の通常の増殖性のある細胞、
特に上皮組織の再生に関わる細胞、
さらにいえば、
常時、強いストレスがある
消化器、呼吸の上皮組織再生に関わる細胞。
これらに対する配慮が必要です。
例えば、
- 細胞腫特異的薬物送達システム
これによって、
がん組織に特異的に薬物を送達して、
消化器、呼吸器へ作用する薬物量を
最小化させることが必要です。
あるいは、
- 投薬の最適化
食事の際には消化器に血流が行きますから
投薬前後の特に血中薬物濃度が高まるときには
食事をできるだけ避けることが必要かもしれません。
後は、そうした細胞の回復の負担を減らすために
抗がん剤治療を行う患者さんに対しては
呼吸器、消化器の
- 粘膜のケア(水分量など)
- 細菌叢のケア
これらなどが必要です。
適度な温度のぬるま湯をこまめに飲むとか、
部屋の温度、湿度の調整などもあります。
あるいは上述したような
水溶性の食物繊維である
患者さんにとっても食べやすい様式。
こんにゃく、小さく切った海藻類。
これらも重要です。
呼吸器であれば、この記事の内容と逸脱しますが、
深呼吸は重要かもしれません。
利用されにくい肺胞も含めて、
肺全体により水分を含んだ空気を届くため、
適切な粘膜の形成を助ける可能性があります。
特に鼻腔は空気の
- 温度
- 湿度
- 細菌、異物のフィルター
これらの機能があるため
鼻からゆっくり
患者さんの保有する肺活量範囲でいいので
できるだけ深呼吸すると
その環境でより良い
肺の粘膜環境が築かれる可能性があります。
細胞増殖性に効果のある薬理を
増殖性のある癌細胞に作用させる場合、
こうした呼吸器、消化器の
日常生活の中でできるケアを
補償的な処置として取り入れることは
幾分か予後、合併症に関与するかもしれません。
繰り返しになりますが、当然、
薬学としてできることとして、
細胞腫特異的なDDS。
これに対する一定の需要が存在します。
当然、呼吸器、消化器の粘膜、上皮組織に異常が出ると
外界と免疫系、血液中のバリア機能が低下しますから
感染症、さらには敗血症のリスクも上がります。
がんの化学療法治療中の
おおよそ10%は感染症治療を受けている
と推計されています(22)。
この背景にあるのは
従来の細胞増殖性のある抗がん剤が、
癌腫に関わらず、
呼吸器、消化器を障害しやすい。
このことが挙げられると思います。
アメリカでは化学療法の間で生じた細菌の
27%が抗菌耐性を有していたとされています(22)。
抗菌とは細菌の分裂を防ぐ薬理ですから、
その中でも
特にDNA、RNAの合成の阻害を含む薬理は
一部、同じように細胞の分裂を防ぐ
抗がん剤と薬理が重複します。
こうしたストレスを
事前に抗がん剤を通じて細菌が受けて
核酸の合成阻害耐性を持つ株が勢力を増していても
不思議ではありません。
それによって後の感染症治療の時に
細菌の増殖を同じように
DNA、RNAの合成阻害によって防ごうとしても
それに対してすでに
一部の株において耐性を有しているということです。
他方で、このことは
抗がん剤を特に
消化器、呼吸器(の上皮細胞)に作用させる場合には
粘膜にいる細菌のDNAやRNA合成を防ぐことになり、
細菌の増殖を強力に阻害する機能があるかもしれません。
これがある程度、普遍的であれば、
細菌の絶対数や多様性が
抗がん剤の作用そのものので失われる。
この可能性も考えられます。
基本的に細胞分裂の機序は違うにしろ、
活発に細胞の数を増やすという意味では
悪性度の高い癌細胞も
身体に共生する細菌も同じなので、
悪性度の高い癌細胞に効く薬理は
多くの場合、共生する細菌の増殖も
障害する可能性があります。
従って、
細胞と細菌の細胞分裂の詳細な機序を明らかにし、
共通的に真核細胞にあって、
原核細胞(細菌)にない細胞分裂の機序をつかみ、
その薬理を選択することが
共生する細菌に配慮した治療としては有効です。
従来の抗がん剤であれば、
微小管阻害剤は原核細胞の細胞分裂には
おそらく干渉しません。
上述したように
腸内細菌の構成は
- 善玉細菌 2割
- 日和見細菌 7割
- 悪玉細菌 1割
このように言われており、
総種数は個人差がありますが
おおよそ500 - 1,000種の細菌が存在します。
それらが総計で100兆個あります。
種の多様性と形質、機能の多様性に
一定の正の相関があると思われるので、
種の多様性が高いほうが、
腸内細菌の環境適応は一般的には働きやすい。
このように推定されます。
そうした場合、種の多様性を上げるための
腸の粘膜の条件を考えるとき。
どういった視点があるでしょうか?
私は基本的条件として
原核細胞を持つ細菌が共通に必要とする物質。
これが必要最低限以上にある状態と定めました。
それが上述したように水です。
基本的に湿気、水分が豊富にあるところに
細菌が多く繁殖するというのは常識的なことですが、
それは生体内、人の体内でも言えます。
次に重要なのが炭素源で
これが細菌の膜、DNA、RNA、たんぱく質など
構成成分を合成するための
エネルギーとして利用されます。
これがグルコースです。
グルコースの中には酸素が含まれるため、
酸素分子をほとんど必要としない
嫌気性の細菌はいますが、
それは酸素原子を必要としないのではなく、
グルコースの中の酸素を利用しているといえます。
このグルコースは親水性なので
水分子と一定の引力があり、複合体形成するため、
水の多い環境ではグルコースが多くなるし、
逆にグルコースが多ければ水も多くなります。
従って、糖を腸の粘膜に栄養として届けることは
一般的に細菌の多様性を支えることになる。
と考えることができます。
粘膜の水分量に影響を与えるのは
- ムチン
- ヒアルロン酸
これらなどがあり、
こうした栄養としての糖が
粘膜全体としての水分量に与える影響は
小さいかもしれないですが、
水溶性の食物繊維、アミノ酸、糖など
細菌が直接利用できる栄養素としての
親水性の程度は、
栄養が細菌に取り込まれる過程で
その栄養に水分子が結合している状態ですから、
実際に細菌に作用する実効的な水分量に
より直接的に影響するため、
想定されるよりも大きい可能性があります。
研究しないとより正確なことはわかりませんが、
物理化学的に一定の合理性を持ちます。
原理的には100兆個の細菌が数を増やさない限りは
物質を構成する
- 炭素
- 酸素
- 水素
- リン
これらなどの重要な元素が
そのまま回転して補給がいらないはずですが、
こうした元素からなるエネルギー源となる元素は
腸内であればガス、便などで排出されるため、
人の細胞が恒常性のために
食べ物によるエネルギー供給が必要なように
細菌も外部からのエネルギーを必要とします。
すなわち、リンの供給も必要です。
リンは上述したように
宇宙にはほとんど存在しない元素ですが、
なぜか地球には多くあります。
生物がエネルギーとして利用できる
リン利用効率が高い栄養素はたんぱく質です。
特に動物性のたんぱく質が利用効率が高いです。
細菌のことを考えると水溶性のたんぱく質が
より重要です。
なぜなら、栄養素と一緒に水を運びたいからです。
さらに、細菌の構成のためにはリン資源が必要なので
- リン化
- リン脂質化
これらの装飾をしやすい水溶性のアミノ酸。
これが細菌に適している可能性があります。
そのアミノ酸が
- セリン
- スレオニン
- アスパラギン酸
- グルタミン酸
これらのアミノ酸をバランス良く取れる食材は
- 大豆製品(豆腐、納豆、テンペ)
- 鶏肉(特に胸肉)
- 魚類(サーモン、マグロ)
- 卵
- 乳製品(チーズ、ヨーグルト)
- ナッツ類と種子類(アーモンド、ピスタチオ、ヒマワリの種)
- キノコ類(マッシュルーム、エリンギ)
- 葉物野菜(アスパラガス、ほうれん草、ブロッコリー)
さらに
これらのうち同時に水溶性食物繊維を多く含む食材は
- 納豆
- キノコ類
- アスパラガス
これらです。
従って、日本人の食材として
安価で、定期的に食べられる食材で
細菌に非常に良いと考えられる食材は納豆です。
なぜなら、
水溶性のアミノ酸を含むことと
水溶性の食物繊維を含むからです。
さらに細菌の核酸、ATPの元となる
アミノ酸と結合するリン脂質を
レシチンとして含みます。
従って、善玉細菌の成長を
水溶性の栄養成分と共に協力に促進できる。
この可能性があります。
糖の供給も重要なので、
多くの日本人がすでに慣習としてしているように
お米と一緒に食べるということは
栄養素のバランス、食べ合わせ、
腸内細菌の多様性のための環境づくりとして
非常によいかもしれません。
一定の合理性は保証しているものの
本当に正しいかどうかは研究が必要です。
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