2024年12月2日月曜日

(小児脳腫瘍寛解の為の)癌進化、微小残存病変、ポスト標的治療の総括、展望

微小残存病変の評価は
小児がんを含めた白血病で数十年前から先行的に考えられてきた
歴史があります(1,2,10)。

しかしながら、細胞の系統的時間発展の特徴を考慮すると
生存した細胞の環境適応性が下がるというケースは
どちらかというと確率が低いと考えられます。
それは個体内で発展する癌でも同じで、
通常、生き残った癌細胞の悪性度は高まると考えられます。
こうした悪性度増加の速度、細胞増殖選択圧は
(extrachromosomal DNA)ecDNAがあると余計に高まる(3)。
このように考えられます。

従って、癌の特質が患者さんにとって憎悪する前の段階で
絶滅させる、あるいは患者さんが
生涯に渡って完全に制御可能なレベルまで
細胞数を下げることが重要です。
ゆえに、1次治療でどれだけ原発腫瘍、
あるいはすでに転移してしまっている癌細胞を
体から細胞レベル、分子レベルで消滅させることができるか?
それが生涯に渡る患者さんに対する
がん治療の奏功に関わると考えられます。

特にびまん性の小児脳腫瘍は再発率が高いといわれています。
その理由は
- びまん性の癌細胞は組織浸潤性が高い
- 通常細胞の紛れて存在
- 血液脳関門により脳実質の薬剤浸透率が低い
少なくともこれらの理由から治療が難しいとされています。

不運にも小児脳腫瘍に罹患した世界の子供の命を
より多く救い、生涯に渡る普通の幸せを保証するためには
基本的な事として下述する1次治療での
微小残存病変の高精度かつ信頼性の高い評価を行い、
そのうえで微小残存病変を限りなくゼロに近づける。
このことが求められます。

そのためには小児脳腫瘍の場合は
特に外科的な摘出に治療が依存している状況ですが、
それだけでは不十分で、
従来の抗がん剤治療、放射線治療の検討の他、
新規の期待される外科的な介入として
- MRIガイド経頭蓋集束超音波による腫瘍焼灼。

これらのような従来の内科的、外科的な介入の他
細胞、分子レベルで癌細胞を選択的に細胞死させる
- 抗体薬物複合体(4)
- 細胞腫特異的薬物送達システム
- 遺伝子的治療、核酸治療(RNA,DNA)
- 免疫学的治療
これらなどの貢献が必要です。

すなわち、今の画像診断で観察される大きな
癌細胞の塊、腫瘍組織に関しては
従来、新規の外科的介入に依存しますが、
播種した、散在した、あるいはすでに転移した
非常に微小な癌細胞、つまり
外科手術後の微小残存病変に対しては
従来の抗がん剤治療、
さらに分子、細胞レベルの標的性をもつ
上述した4つの医療技術を含めた内科的治療。
これの導入を将来的に検討します。

上述したように
こうした段階的な(特に一次)治療後に
癌細胞がどれだけ残っているかという指標は
微小残存病変(Minimal rediudal disease)と定義されます。

ただ、この微小残存病を高精度に評価する手段が
特に固形がんでは、まだ確立していません(5)。
(Circulation tumor)ctDNAが一つ検討されています(5,6)。
現在の画像診断では
MRI、CTにしても画像分解能とコントラスト精度の問題から
サブミリ精度での癌細胞検出が難しい他、
必ずしも塊として組織形成せず、
小児脳腫瘍をはじめ、拡散性、浸潤性(びまん性)を
呈する細胞形質を持つがんも存在することから
残存病変の評価を難しくします。

この点を考慮すると
すでに転移していしまった非常に少ない癌細胞も含めて
検出できる液体生検による微小残存病変の評価。
これが一つの不可欠な主流となります。

そもそもctDNAが検出できる根源的な理由は、
癌の染色体粉砕(Chromothripsis)によります(7)。
癌細胞の遺伝子は非常に不安定で
細胞核のDNAの破片が多く循環器に散らばります。
このecDNAの細胞核-細胞質-細胞外-循環器。
これらの滲出過程は
特に生存している細胞に関しては明らかではありませんが、
ctDNAが大腸がんなどの微小残存病変に
利用できる可能性がある(5)、
という研究結果から内挿、推定すると
ecDNAがctDNAの源泉で、
拡散メカニズム、ルートが存在するといえます。

それを、血液から検出して
癌細胞の存在有無を検出します。
染色体粉砕は予後不良と一定の関連があるので(3)
原理的には血液中のctDNAの量を比較定量できれば、
そのctDNAの量から
染色体粉砕がどの程度生じているか?
それをある程度、評価できる潜在性もあります。
実際に小児脳腫瘍のグレード1の
非常に悪性度の低い毛様星状膠細胞腫は
ほとんど、染色体粉砕がありませんが、
若い人の骨肉腫は染色体粉砕の確率が高いです(7:Figure.2)。
おそらくこれらの癌のctDNAの量は異なると想定されます。
但し、ctDNAの量は癌細胞の多さにも依存するため、
この染色体粉砕の程度を液体生検から定量するためには
多変量解析が必要になります。

当然、癌が放射線、焼灼、化学治療などによって
大量に細胞死すれば、
大元の染色体も含めたDNAが一気に循環器にでます。
DNAがプリン体の源泉で
肝臓で代謝され尿酸に変わり、
血液中の尿酸値が上がることは一般的に
(それが明らかな病理に発展すれば)
腫瘍崩壊症候群(Tumor lysis syndrome)として知られています(8,9)。
このタイミングではDNAが循環器中に一気にでますから、
DNAから癌の遺伝子的形質を知る上では
非常に精度が上がる可能性がありますが、
DNAの中にはすでに細胞死した癌細胞のDNAが含まれるため
こうしたタイミングでの微小残存病変の評価は好ましくありません。
今、生きている、残存している癌細胞のctDNA情報が
完全に細胞死由来のctDNAに隠れてしまうからです。

これは臨床において非常に重要です。
1次治療が終わった後に微小残存病変の評価をするときには
こうした1次治療で細胞死した癌細胞のDNAの情報を
できるだけ検出しないような条件で
血液からctDNAを検出しなければなりません。
少なくともDNAの量と相関があると考えられる
尿酸値のモニターは必要です。
患者さんの尿酸値が落ち着いてきて、安定した後に
ctDNAを測定しないと、
高精度に微小残存病変を測定できないので注意が必要です。

画像診断から高精度の微小残存病変を評価することが
液体生検よりは難しいといわれています(10)。
現在の最先端の画像解析に対して
検出感度、精度でスプレマシー(超越性)を実現するか?
それについては未知ですが、
がん組織を他のモダリティー(方法)で
画像として検出できる方法がないわけではありません。

- 血流動態の解析
- 重水プロキシによるMRI解析
例えば、これらの方法が考えられます。
癌細胞は、多くエネルギーが必要とされるので、
それで血流が変わる可能性もあります。
その血流は超音波やMRIでマッピングできます。
但し、癌治療後には血管網も大きく障害されている可能性があり、
血流動態だけで、信頼性高く、高精度に
微小残存病変を評価できるかは未知です。
また、こうした解析方法に依存する限り、
画像診断と同様に空間分解能の限界があります。

重水プロキシは癌細胞特異的な表面マーカーをもった
重水を搭載したMRI検知できる送達媒体を用意します。
例えば、赤血球やヒドロゲルは
内部に水分を多く含むため、
この水を重水に変えて、その重水をMRIで特異的に検知することで
バックグラウンド信号を顕著に下げた状態で
そのマーカー赤血球、ヒドロゲルの体内分布を
非侵襲で定量化できる可能性があります。
これらの輸送プロキシに対して
癌細胞特異的に結合する表面マーカーを搭載することで
それらの媒体が癌細胞に非常に良く誘導されれば、
これをプロキシとして
MRIで癌細胞の分布を評価することもできます。
これは、1次治療(その後)の
細胞腫特異的薬物送達による
(ポスト)補助療法と兼ねて評価することも可能です。
しかし、小さな送達媒体は
MRIの感度の問題で難しさがあることから
赤血球やヒドロゲル、あるいはもっと大きな
重水プロキシ(代理マーカー)を用意する必要がありますが、
こうした大きな物体は循環器から
実質への浸潤能力がないため(特に脳の場合)、
残存した癌細胞、腫瘍組織が
血管網を障害して、循環器に対して露出していないと
原理的に結合させることができないため難しいです。

このようなことからやはり
固形がんの残存病変の評価は
少なくともある程度は液体生検に依存する必要があります(10)。

液体生検で微小残存病変を評価する方法は、
上述したctDNAだけに限りません。
将来的により発展性のある検出技術として、
- 細胞腫特異的細胞外小胞分離技術
これがあります。

もともと、非特異的な細胞外小胞自体も
液体生検のバイオマーカーとして期待されていますが、
上述した細胞外小胞分離技術は
それをさらに発展させた構想です。

細胞外小胞は内容物、膜、表面物質からなる
「物質の塊」であり、
1つの細胞から放出されたものですから、
循環器である程度、表面に異物が付着するものの、
内容物、膜、表面物質は
1つの細胞内外に含まれた物質群を反映します。
その中には当然、もともとの微小残存病変に含まれる
ctDNAも含まれる可能性があります。
従って、原理的に多変量解析が可能です。

癌細胞は細胞外小胞を多く放出する傾向がありますから、
循環器から非特異的に細胞外小胞を分析するだけでも
ある程度高い精度で
微小残存病変が評価できる可能性があります(11)。

加えて、細胞外小胞は
原理的に細胞死したときのアポトーシス小体を含めた
多くの細胞外小胞を
- 大きさ、形
- 膜構成
- 内容物
- 表面マーカー
これらなどの特徴量から分離できる可能性があります。
そうすると
ctDNAでは原理的に不可能な
細胞死シグナルを高度に排除した形での
正味の生存している癌細胞の残存病変の評価ができる可能性もあります。
また、細胞死した分離した細胞外小胞は
より多くの細胞内の情報を有していますから、
それも無駄にせずに、
患者さん個人の癌細胞の形質の評価に利用できます。
従って、
残存病変の高精度な評価だけではなく、
残存病変を標的としたポスト1次治療の方針を
個別化した形で立てるうえでの一つの重要な物質情報になります。
それは、生きている残存病変の癌細胞由来の
細胞外小胞と相互補完的に分析することも当然できます。
これは、(11)では
「Post-adjuvant therapies」として定義されます。
このポスト補助療法は、
補助療法で外科で摘出できなかった微小な癌細胞を
免疫的治療なども含めて行いますが、
もっとさらにゼロを目指すために行うものです。
ここではおそらく従来型の抗がん剤は必要とせず、
高度に標的化された最新の治療方法、薬剤が使われます。

その治療方針において
現在、より発展的だと考えられる技術、方法を
ここですでに提供しています。
すなわち
残存病変そのものの定量化だけではなく、
残存病変の癌細胞の形質を
細胞死したシグナルと細胞死していないシグナル。
これらの物質を細胞外小胞から包括的に分析する。
このことを試みます。
これは表面マーカーも含まれるので
細胞腫特異的ドラッグデリバリーにも関わります。

将来でおそらく必要とされる
- 細胞腫特異的細胞外小胞分離技術
これを東京大学、京都大学と協力して実施したい。
それはこの1次評価の私の意向として少なくともあります。

この細胞外小胞分離技術は
すでに先行的に技術として普及している
- iPS細胞の精製、分離技術(12)
この技術、課題をシェアできるので、
京都大学を選定するというのは
この重要技術を日本を代表する大学と協力する。
これとは別の付加的な大きな意味、意義があります。


細胞外小胞分離では最終的に1ppmオーダーの分離を目指しますが、
すでにctDNAでは1-10ppm精度の検出が可能になっている
このように示されています(10)。
従って、こうした高精度な検出技術も
当然、細胞外小胞分離に生かすことができます。
但し、こうした高精度な分析の背後にあるリスクは
「偽陽性」のリスクを上げてしまいます。
すなわち、癌細胞がないのに癌細胞があると判定してしまうことなので
この評価だけに基づいて治療すると、
患者さんの体に過剰な損傷を与えてしまう可能性があります。
ctDNAは「すでに細胞死した癌細胞のシグナル」。
これを原理的に含みやすいということがあります。
なぜなら、DNAは通常細胞核内に保護されるべき物質だからです。
すでに細胞死しているシグナルを拾うと
偽陽性の確率が上がるので、
特に、1次治療の後に実施する微小残存病変の評価の際は
こうした細胞死のシグナルをバックグラウンドとして
検出しないようにタイミングをよく考える必要があります。

これは細胞外小胞分離でも同じリスクですが、
細胞外小胞の場合は
分離技術の精度を上げれば、
細胞死したときの細胞外小胞を排除できることと
細胞外小胞の中の物質は
ctDNAのような遊離物質一つではないため、
多変数、多因子で分析することによって
非常に信頼度の高い分析ができる可能性があります。

微小残存病変の評価は
小児脳腫瘍の5年生存率を
72%(現状)→80%→85%→90%→→95%- - - -100%
このように上げていく過程で
ほぼ、絶対に必要なことです(5)。
それは、すなわち、小児脳腫瘍治療では
- 細胞腫特異的細胞外小胞分離技術
これの潜在的な強い需要がある。
このことを(少なくとも私の中で)明示するものです。


上述したようにctDNAは最大で1ppmの精度で
特異的に検出できる可能性がありますが、
血液採取できる末梢の血管系では
検出のための絶対的量が足りないため
偽陰性の所見が依然として高いとされています(13)。

細胞外小胞は絶対的な数という意味で
遊離物質よりも少ないと考えるのが普通です。
ctDNAが放出されにくいとはいえ、
ctDNAが抱える絶対量の問題において、
同程度、それ以上の問題を抱えていることは否定できません。
しかも、分離するとなると
その分離の際に必ず生じるロス、損失もあります。
ここが細胞外小胞分離技術の
一つの大きなボトルネックです。

血液は大量にとることはできないので
適切なタイミングで、
利尿剤の使用、血液灌流などを促して
血液(採取量制限がある)とできるだけ多くの尿から
細胞外小胞を採取することを試みます。
細胞外小胞は保護機能が小胞であることからあるので
尿からも一定、取得することができます。
とにかく唾液も含めて
体から放出される液体を1滴も余すところなく
解析するつもりで実施します。
血液採取できる静脈に血流、細胞外小胞が
少しでも多く集まるようにできることを考えます。
例えば、超音波による温熱効果は
その領域の血流を特異的に促すかもしれません。


上述したように画像診断で検出できない大きさの
微小残存病変の評価に生物学的手法である
ctDNAによる液体生検がありますが、
こうした液体生検は循環器に存在する癌細胞や
プレ転移ニッチに存在する転移前段階の癌細胞も含めて
検出することが可能であるという期待もあります(10)。
実際に肺がんのケースでは
再発において画像診断で所見が出る212.5日前(中央値)に
液体生検での陽性を確認できたとあります(14)。


前述したようにctDNAでは絶対量が問題になりますが、
液体生検中に含まれるctDNAは
多因子の条件によってかなり偏差があります。
(乳がんのケース)
具体的な数字。(2.2ppm to 204.990)。
すなわち約100,000倍、最高で5桁程度違います(15)。
肺がんにおいて、ステージがあがると
それに応じてctDNA検出率も高まりますが(14)、
それは、悪性度が高いために残存病変が多い。
このことを反映しているだけではなく、
冒頭のほうで述べたように
ctDNAの資源がecDNAだとしたら
ステージの高いがんの悪性度の高さ。
すなわち染色体粉砕、染色体損傷の程度が高いこと。
これも示すものかもしれません。

ただ、ctDNAの研究もまだ、十分に成熟していないし、
ecDNAもそうであるし、
もっといえば、ecDNAとctDNAの関連性の研究も黎明期です(16)。
従って、上の段落の記述は
高度に仮説に基づくものなので注意が必要です。


微小残存病変は治療前後の癌細胞数の軌跡を評価するもの。
このように言い換えられますから、
当然、癌細胞の進化(Tumor evolution)と
テーマとして親和性が高いです(19;Fig.1)。
癌細胞がどのように形質を変えるか?
それも治療前後の個体内(患者さん)の時間軸に焦点を当てるものです。
従って、私は同じ記事に内容を含めることを試みます。
また、もう一つとして、癌の休眠(dormancy)もあります。


癌が休眠状態に入るとなぜ、抗がん剤が効かなくなるのでしょうか?
その根本的な理由は、細胞分裂が(1時的に)抑制されるからです。
ほとんどの抗がん剤は遺伝子複製や微小管の機能を阻害するものなので
細胞分裂を行わない癌細胞には効果を発揮しにくいです。
こうした癌細胞は
ある程度、遺伝子的な形質を保持しながら
おそらく細胞核を収縮させ、
染色体を高度に折りたたんで、代謝活性を下げて、
神経細胞や心筋細胞のように長寿命化して
細胞分裂せずに環境中に滞在することを試みます。
こうした休眠状態にある細胞は
ctDNAの量はおそらく少なくなります。
ただ、再度、何らかの刺激によって
細胞核が再度拡張し、細胞分裂を活発化させる
一定の可逆性を有します。
従って、再発の原因になることがあります(18)。


こうした休眠状態にある癌細胞は
高精度なctDNAでもってしても残る可能性があります。
そのリスクをさげる選択肢としては
- 休眠状態を長く維持させる
- 休眠状態にある癌細胞を分散させる、集めない
- 休眠状態から活性化するタイミングをずらす
これらなどが考えられますが、
もう一つとしては非常に緩やかなストレスで
こうした休眠状態にある癌細胞を特異的にゆっくい細胞死させることです。
基本的に遺伝子構造が強い可能性があるし、
遺伝子構造を薬理により操作させることは
再活性化のリスクがあるので、
代謝機能が糖代謝からミトコンドリア介在の
Oxidative phosphorylation (OXPHOS)に変化するのであれば(17)、
細胞核に作用させるのではなく
ミトコンドリアの機能を障害させるような
薬理のほうが好ましいかもしれませんが、
通常細胞も障害する薬理なので、
表面マーカーを見つけて、特異的にゆっくり
低ストレスで細胞死させていくのがいいかもしれません。
ただ、こうした治療のバックグラウンドとして
細胞外小胞も含めて、量の評価がセットで必要です。


従来の抗がん剤で遺伝子の複製を障害する薬は以下です。
<アルキル化剤>
DNAのアルキル化により、二本鎖DNAの架橋を形成し、複製を阻害します。
- シクロホスファミド - イホスファミド - メルファラン
- クロラムブシル - ブスルファン - カルムスチン(BCNU)
- ダカルバジン

<白金製剤>
DNA鎖間や鎖内で架橋を形成し、複製を妨げます。
- シスプラチン - カルボプラチン - オキサリプラチン

<抗代謝剤>
DNAの合成に必要な基質や酵素を阻害します。
- プリンアナログ - メルカプトプリン - チオグアニン
- ピリミジンアナログ - 5-フルオロウラシル(5-FU)
- カペシタビン - シタラビン - ゲムシタビン
- 葉酸拮抗薬 - メトトレキサート - ペメトレキセド

<トポイソメラーゼ阻害剤>
DNAのトポイソメラーゼ(IまたはII)の機能を阻害し、
DNAの切断や複製阻害を引き起こします。
-トポイソメラーゼI阻害剤 - イリノテカン - トポテカン
-トポイソメラーゼII阻害剤 - エトポシド - テノポシド
-ドキソルビシン - ダウノルビシン

<ミトマイシンC>
DNA架橋形成を促進し、DNA複製を直接阻害します。

このような多様な薬は遺伝子の複製を阻害しますから
細胞分裂の際に必要な強い遺伝子合成圧を障害し、
それによるがんの増殖を強力に抑制します。
従って、癌の基本的治療に含められます。
しかし、
その裏の側面として、臨床症状としての副作用がありますが、
遺伝子的な副作用がないわけではありません。
遺伝子の複製を阻害するということは
合成能力に異常がでますから、
完全に合成を阻害しきれない場合には
不完全な合成能力によって、
合成した染色体構造に異常が出た状態で
細胞分裂することも考えられます。

化学療法を行った後の染色体粉砕の研究は
ほとんどありませんが、
遺伝子合成能力を阻害する中で生じる
染色体合成における構造異常は合理的です(Search Labs/AI)。
また、構造異常が生じることは
遺伝子修復圧が高まりますが、
こうした修復圧が異常に高まることで
修復に関わるたんぱく質の遺伝子変異のリスクを高め、
修復機能が逆に低下する可能性もあります。
この因果関係においてはどちらかというと
修復機能に異常があるから(原因)、
染色体粉砕が起こる(結果)(23)。
このような考え方が主流ですが、
これらは双方向に関係している可能性ももちろんあります。

もし、そうであるとするならば
強力な化学療法の後で生存した癌細胞では
非常に強い選択圧が働いて(3)、
癌細胞全体の悪性度が高くなる傾向がある。
このようなことが推定されます(20)。

例えば、脳腫瘍(Glioblastoma)における再発時の生存期間は
- 2 ~ 9 months
これですが、原発腫瘍の場合は
- 14 -15 months です。
再発した高グレードの小児神経膠腫の生存期間は
たった5.6か月です(22)。(原発 14 to 20 months(21))

このデータから明らかに再発すると生存が難しくなることから
癌の悪性度が上がっていることが示されます。

このことからも段階的な補助治療(アドジュバント治療)も含めて
1次治療で残存病変を減らすこと、
すなわち患者さんの環境内で癌細胞系統を絶滅させることは、
あるいは、生涯にわたり制御可能な上限以下に下げることは
患者さんの治療後の長期生存の基本的な必要条件になる。
このことが(少なくとも私の中で)明示されています。


基本的に小児脳腫瘍を含めた固形がん治療においては
腫瘍組織が大きい場合には、外科。
転移を含めて、残存した小さな癌は、内科。
ということになると思いますが、
内科の治療の中でも
より悪性度の高い、多くの癌細胞を消滅させるには
今のところ、DNAの複製や有糸分裂を強力に抑制する
抗がん剤が有効であると考えられます。
この抗がん剤で細胞死しきれなかったより小さい部分において
- 抗体薬物複合体
- 免疫チェックポイント阻害薬
- 分子標的薬剤
これらなど最先端の薬剤が使われます。
ただ、こうした薬剤もどんどん進化するので
従来の抗がん剤の負担はどんどん減ってくるかもしれません。

私が提案する
- 細胞腫特異的薬物送達システム
これは、抗がん剤にももちろん適用できますが、
薬物送達媒体をエクソソームとして定め、
miRNAで治療することを考える場合には
より少ない、残存した癌細胞を確実に少なくする
ポスト1次治療での標的治療がより適しているかもしれません。
こうした小さいがんにおいては
免疫機能を利用した治療が効果があるので、
免疫治療と合わせて、消滅させることです。
従って、
液体生検で、最後に残った癌細胞の物質を分析して
その癌細胞を死滅させるために適合した薬剤を
その都度、個別的に選択したいということがあります。
免疫チェックポイント阻害薬も含めて
免疫治療は多くの場合、必須になると思われます。

微小残存病変を評価しながら、
かつ、癌細胞の形質、表面マーカーを
部分的な物質から把握できる可能性のある
- 残存癌細胞特異的細胞外小胞分離技術
これが必要になります。
おそらく少ないとは言っても異種性があると思われるので
できるだけ多くの癌細胞を死滅させることができる
最適な薬剤を選択しながら、
残りを免疫治療に委ねるということになると思います。

(Ref.10)で「post-adjuvant therapy」と命名されるように
「段階的に」癌細胞を最先端の薬剤を含めて
適切に、適切なタイミングで減らしていく。
このことが求められます。
最終的な段階ではドラックデリバリーも含めて
高度な標的治療になるので
通常細胞への損傷は段階的に低下します。
しっかりしたガイドラインを作って
確実に段階的に癌細胞を減らしていくことができたら、
癌細胞数は相対的に少なくなりますから、
体へのダメージを減らした形での治療が
原理的に可能になります。

このような医療戦略は今までも存在したと思われますが、
今までと決定的に違うのは、
治療の過程で「評価」が存在するということです。
- 微小残存病変の定量化
- 残存癌細胞の物質的評価
場合によれば、細胞死した癌細胞も
1次治療の段階で外科であれば組織解析、
内科であれば、同じく細胞外小胞で分析することになります。
このシステムが保証できるかどうかは
少なくとも確実ではありませんが、
成功すれば、今までよりも客観的事実に基づいた治療。
これが実現することになります。
ただ、細胞外小胞分離が実現したとしても
最後の段階でのmiRNAを含めた薬剤の選択。
これに高い障壁があるかもしれません。
なぜなら、最後の段階で残存した癌細胞の
悪性度は少ないものの一般的に高いからです。


厳密な意味で微小残存病変をゼロにする。
このことは不可能であると推定されます。
お子さんも含めて、体の中には
- 免疫機能
- 細胞外マトリックス空間制約
- 組織、細胞間監視
- 選択的細胞死
少なくともこれらなどの機能があるわけですから
癌抑制機能 >> 癌増殖機能
このような不等式が生涯に渡り継続するように
患者さんの予後を考えることが重要です。

そのためには、当然、
- バランスのとれた、患者さんにあった栄養摂取
- 適正体重、筋肉量管理
- 患者さんに適合した程度の運動
- 規則正しい生活、睡眠
これらなどの生活習慣の管理、介入は必要になります。
従って、こうした生活習慣に関わる事項は
この1次評価の段階で調査する予定です。
特に、小児がんの場合は
予後において成長期を経験し、
さらに、残りの人生が長いわけですから、
癌が寛解したとしても、
実質的に休眠している癌細胞も含めて考えると
癌細胞がゼロになるわけではないですし、
一定の体のダメージがあるわけですから
そういった(一部)ハンディキャップを背負った状態での
健康的な生活を十分ではなくても定義する必要があるからです。
心身の健康が上の不等号の癌抑制機能と
少なくとも間接的に関連する可能性があるからです。


悪性度の強い癌細胞は、増殖性が強く、
細胞数を指数関数的に速く増やし、
凝集して存在する場合には、
腫瘍組織としてより大きく組織化します。
一番といえるかわかりませんが、
(私が今考える一番の)賢明な選択肢は
細胞分裂を標的とした薬剤です。
なぜなら、細胞分裂が速いことが
悪性度の高い癌細胞における普遍的なことだからです。

では、細胞分裂するためには何が必要か?
そのためには細胞核を広げて、
比較的クロマチンをオープンにして、
遺伝子を多く合成する必要があります。
そうして微小管を伝って、
娘細胞に染色体を多少の異常があっても分配して
細胞数を増やしていくことをします。

従来の抗がん剤は、この遺伝子の合成を障害するものが多いです。
これは、細胞分裂頻度が高い細胞において
極めてエッセンシャル、本質的なことです。
染色体を合成できなければ、
原理的に細胞分裂することができません。
その頻度が多い、合成圧が高いのが
悪性度の高い癌細胞ですから
その機能を(化学的に)障害する薬が
悪性度の高い癌細胞に良く作用するということです。
代替が効かないような
強制的な化学的な機能破壊が好ましいです。

もう一つ、今までにない治療としては
すでに提案しましたが、
細胞核を圧縮できれば、
基本的に細胞分裂は難しくなるので
それを普遍的に実現するための薬があれば、
抗がん剤と同様の効果があるかもしれません。
ただし、その場合、
多くの癌細胞を休眠(dormancy)させてしまうかもしれません。
すなわち、一旦、癌細胞が退縮したように見えても
また、どこかのタイミングで
癌細胞が再発するリスクがあるということです。

細胞核圧縮のためには核ラミナ。
これが一つのカギとなりそうです。
- 核ラミナコードの核酸
- 核ラミナを生体外で設計
これらなどの方向性があります。


癌細胞の細胞核が圧縮されるとどうなるか?
それについて「Open AI」に聞いてみました。
その回答を紹介します。

1- DNA損傷と遺伝情報の異常

1.1- 染色体構造の破壊
核内の物理的な空間が狭くなると、染色体が損傷しやすくなります。
これにより、DNA二本鎖切断や複製フォークの停止が
発生する可能性があります。

1.2- 遺伝子発現の乱れ
クロマチン構造が圧縮されることで、
転写因子がDNAに結合できなくなり、
特定の遺伝子が発現しなくなる可能性があります。

1.3- DNA修復の障害
圧縮された核環境では、
DNA損傷応答(DDR)経路が正常に機能できなくなる可能性があります。
特に、増殖性の高い癌細胞は、
既にDNA修復能力が異常である場合が多いため、
さらなる障害が致命的となる場合があります。

2- 核膜の破壊と細胞死の誘導

2.1- 核膜の破裂
圧縮が強すぎると、核膜が破裂し、
核内のDNAやRNAが細胞質に漏れ出る可能性があります。
これにより、細胞は死(アポトーシスまたはネクローシス)
これを誘導される可能性があります。

2.2- 異常なミトコンドリア応答
核膜破裂に伴い、細胞内ストレスが増大し、
ミトコンドリアの異常や酸化ストレスの増加が起こり得ます。
これがアポトーシスの引き金となることもあります。

3- 細胞周期の停止

3.1- 増殖の抑制
核圧縮により、DNA複製や分裂に必要な核内環境が損なわれると、
細胞周期がG1期やG2期で停止します。
この停止が一時的であれば、細胞は修復を試みますが、
損傷が不可逆的であれば細胞死に至ることがあります。

3.2- 異常な細胞分裂
圧縮された核では正常な紡錘体形成が困難になるため、
異数性や染色体不分離が発生しやすくなります。
これが増殖性の癌細胞にとっても致命的になる場合があります。

4- メカノトランスダクションへの影響

4.1- 核と細胞骨格の力学的相互作用の破壊
核の圧縮は、細胞骨格(アクチンフィラメント、微小管など)
これの異常を引き起こし、細胞の形態や運動性にも影響を与えます。
癌細胞の浸潤性や転移能力が低下する可能性があります。

これが起こってくれるといいですね。
癌細胞の運動性が下がれば、
癌の死亡の90%の原因である転移のリスクが減るからです。

4.2- YAP/TAZなどの機械刺激応答経路の抑制
核の物理的圧縮は、細胞内での機械的シグナル伝達経路に
影響を与える可能性があります。
これにより、癌細胞の増殖や生存が阻害される場合があります。

5- 癌細胞の抵抗性の可能性

5.1- 柔軟性の高い核
一部の癌細胞は核構造が柔軟で、圧縮に対する耐性を持つ場合があります。
これにより、圧縮環境でも生存を維持できる場合があります。

5.2- ストレス応答の活性化
核圧縮が軽度の場合、癌細胞はストレス応答経路
(例:HSPタンパク質の発現増加)を活性化し、
むしろ耐性を強化する可能性もあります。

抵抗性に関しては、抗がん剤と同じです。
中途半端な介入が余計に抵抗性を助長するということです。
ちゃんと調べないとわからないですが、
核膜の径によって必要とされる
核ラミナの機械的特性が計算できる可能性があります。
もちろん、染色体構造が広がって、
拡張させている可能性もあるのですが、
径に応じて、おおよその機械的特性がわかれば、
目標値を定めて、制御して圧縮できれば、
通常細胞への影響を考慮しながらも、
効果的な治療ができるかもしれません。

核膜を小さくする方法は他にもあるかもしれません。
例えば、細胞核の中には
細胞質と同じようにその形状を支える
以下のような細胞核骨格、たんぱく質があります。
- 核内アクチン(Nuclear Actin)
- スペクトリン(Spectrin)
- 核マトリックスタンパク質(Nuclear Matrix Proteins)
- SMCタンパク質(Structural Maintenance of Chromosomes)
- Emerin
- Nesprin
- Fibrillarin
- Nucleophosmin 
- クロマチンリモデリング複合体
これらの物質の特性を良く把握して、
細胞核が圧縮するような条件を定義して、
それを遺伝子的、直接的たんぱく質輸送によって実現すれば
内部から強制的に細胞核を小さくできるかもしれません。

こうした架橋構造は空間的占有率が高いかもしれない
染色体折りたたみ構造そのものに対しても利用できます。
染色体の架橋に関しては、
自然なシステムですでに存在します。
それが
- コヒーシン(Cohesin)
- コンデンシン(Condensin)
これらです。
実際に癌ではこのコヒーシンに変異が入っている事。
これが確認されています(24)。
実際にコヒーシンが不活性化すると
(24:Fig.1a)このようになります。
これは染色体粉砕とも関連があるかもしれません。
コンデンシンに関しても
すでに癌の標的として提案されています(25)。

コヒーシン、コンデンシン。
これらを細胞核に送達できれば、
染色体構造は密にパッキングされるし、
そのうえで核ラミナを核膜内側に送達し
自己組織化を促せれば、
それによっても核膜は圧縮します。
これらは競合しなくて、相乗効果があります。
すなわち、染色体がパッキングされれば、
細胞核は小さくなるし、
核ラミナが凝縮されれば、
それに引っ張られ、細胞核は機械的に小さくなります。

従って、細胞核の径を小さくする方法は
非常に様々な方法があります。
また、上述したように並列させることもできます。

細胞核圧縮が成功すれば、
抗がん剤と並ぶ、普遍的な癌治療になる可能性があります。
なぜなら、遺伝子構造や細胞分裂に関連する潜在性があるからです。
特に悪性度の高い癌細胞に効果がありそうです。

基本的に物質の付加では
細胞外マトリックスパッチ治療でも提案したように
物質の圧縮に貢献します。拡張は難しいです。
しかし、
逆に物質を分解すれば、
その物質が閉空間の機械的特性を支持していれば
物質は緩和、拡張する可能性があります。

細胞核の大きさと癌細胞の悪性度の相関が
普遍的に当てはまるかどうかは決定的ではありません。
逆に、細胞核を支える物質を分解して
細胞核自体を崩壊させる介入も考えられなくはありません。

ゆえに先入観にとらわれず、段階的な研究を必要としますが、
がん治療における一つの展望を示す潜在性を有します。


癌の細胞の大きさがおおよそ10μm径であるとすると
顕性がんの基準とされる腫瘍組織の径が数cmであるとすると
癌の数はだいたいその組織当たり、
血管、間質、免疫細胞などを考慮して
細胞充実度が100%ではないとすると
10^9 - 10^10個となります。
一方で、
寛解(Complete remission)の今の基準は
PET、CT、MRIなどで所見がない場合。
さらに、退縮率は99%以上なので、
そのレベルでは 10^7 - 10^8個以下レベルといえます(26)。
一方で、
健康な人でも毎日癌は発生している可能性がありますが、
健康な人の癌細胞を調査するモチベーションが
おそらく小さいことと、
検出限界以下なので調査自体が難しいことから
どれくらいの癌細胞を保有しているかのデータはありません、
しかし、
上の顕性がんの完全寛解の基準は
上限では10^8個ということなるので、
残存病変という観点では癌細胞は体内に1億個
最大で存在しているということです。

従って、現在の基準での残存病変のレベルには
かなり開きがあり、改善の余地があるということです。
すなわち
10^8 → 10^7 → 10^6 → 10^5 - - - - -
このようにがん細胞の数を減らしていける余地がありますが、
健康な人のレベルがどれくらいかわからないので
その目標値はあいまいです。
この残存病変のレベルを桁で下げていくためには
前提として「高精度の評価」。
これが求められます。
逆に言うと、体内癌細胞の高精度な評価。
これが確立すると
今までよりも桁で残存病変を減らせる基盤が整うといえます。
これは、最終的には完全寛解のレベルを上げ
再発率を桁で減らせることにつながる可能性があります。
従って、私は細胞外小胞分離に注力しますが、
この方法に限らず、
日本、世界で今の方法を代替する
革新的な分析方法が待たれます。
もし、細胞外小胞分離のように
血液、尿で癌細胞の数を推量できるようになれば、
こうした取得方法は、健康診断などの際に
合意を得て得ることもできるので
大規模に健康な人からも調べることができます。
癌がある事が余計に不安をあおる形になるため
データを提供された方に公開するかどうかは
慎重な判断が必要です。
あるいは、癌が実際あるということで
医療提供側の
過剰な治療モチベーションにつながる
おそれがあることが懸念点ですが、
健康な人がどれくらいの桁の癌細胞を持っているか?
そのデータはおそらくかなり貴重です。

ただし、繰り返しになりますが、
ctDNA、細胞外小胞に関わらず
液体生検で癌細胞内の物質を解析するときには
一般的に細胞死したときにより多くの物質が放出されるため
この細胞死したときのシグナルを
高度に識別し、分離、隔離しないと、
正味の生存している癌細胞を高精度に定量できません。
こうした細胞死は治療を施していなくても
生じている可能性があり、
偽陽性のリスクは常に高いと考えていたほうが安全です。

逆に治療のほうでは
悪性度の高い、すなわち細胞分裂頻度の高い癌細胞を
効率的に攻撃することができる
- 抗がん剤
- 細胞核に作用する薬理
これらを用いながら
癌細胞だけを標的する
- 癌細胞特異的薬物送達システム
この特異的送達性を上げることは
癌細胞に到達する薬物濃度を
通常細胞に対して相対的に上げられるので
原理的により多くの癌細胞を消滅させることができます。
また、より少なくなった癌を
より代表的には免疫療法などを利用した
免疫機能などで段階的に減らしていくことを考えます。

上述した「post adjuvant therapy」(10)は、
(26:Figure 2)の表現で言い換えると
「Consolidation therapy(強化治療)」ともいえます。
この図で示されるように
補助療法を含めた1次治療後の
残存病変のレベルに応じて、
その後の強化治療の程度を変える必要があります。
患者さんに対して過不足のない治療を提供するためには
- 残存癌細胞群の形質
これに対する精密医療(precision medicine)がありますが、
それに加えて、
- 残存病変の数
これに対する同じく精密医療、個別化医療が存在します。
すなわち
癌の(遺伝子的)形質、数。
少なくともこれら2つの軸で
その患者さんに合った薬剤、治療法、投与量、回数。
これらの最適値を検討する必要があります。


そもそも、
細胞が分裂するというのは、どういうことか?
それをより正確に理解することが
特に悪性度の高い癌細胞の有効な治療につながります。
上では、類似するDNAを含む染色体を合成しないといけない。
このようなある種、当たり前のことを述べました。
ここからも至極当然なことですが、
細胞が増えるというのは
細胞内の脂質膜、たんぱく質、糖など
あらゆる物質が増えるということです。
すなわち、細胞が分裂するときには
環境にある水素、酸素、窒素、炭素などを主にして
これらの有機物質を何らかの方法で合成する必要があります。
事、たんぱく質という物質に着目すると
細胞核内の染色体だけでは無く
細胞内にある様々な細胞内小器官のたんぱく質
あるいは細胞骨格も含めて
多くのたんぱく質を合成する必要があります。
そのタンパク質は一部、
ミトコンドリアDNAを設計図にしますが、
今のヒト(人間)では
おおよそ9割近くのタンパク質の設計を
ミトコンドリアではなく細胞核にある
染色体内DNAに委譲しているため、
細胞分裂するときの染色体内のDNAに対する
タンパク質合成圧が非常に高まることから
構造全体、総体的に見たときには
染色体、クロマチン、ヒストン、DNA。
これらのスケールの異なる3次元構造を
よりオープンにする必要があります。
従って、一般的に
細胞分裂期の細胞核は
細胞分裂しない成熟期に比べて
細胞核は大きくなるはずです。
なぜなら、染色体をオープンにすることは
より構造範囲を拡張することにつながるからです。

悪性度の高い癌細胞の共通的な特徴は
細胞分裂速度が大きいことですから
当然、たんぱく質だけではなく
脂質、糖などの物質合成需要、合成圧が高まった状態です。
タンパク質だけの考慮ですが、
当然、細胞核は大きくなるし、
3次元構造が開くので、
その分、構造的に不安定になります。
これが「Chromatin instability、Genome instability」
これの一つの本質です。
細胞分裂圧、それに伴う物質合成圧が
異常に高まった背景には
遺伝子状態を非常に不安定にする必要があります。
この因果はこのような単方向
すなわち
物質合成圧異常高まり(原因)、
遺伝子不安定性異常高まり(結果)。
これだけではなく
遺伝子不安定性が高まったからこそ
悪性度の高い、言い換えれば細胞分裂圧が高い
癌細胞が生まれるという
逆方向、双方向の因果が考えられます。

そうすると必然的にソリューション、治療法が
私たちに与えられます。
すなわち、
遺伝子不安定性を何らかの方法で解消するようにすれば
必然的に癌細胞は必要な物質を合成できなくなります。
その手段はいろいろ考えられます
1- 染色体の端の構造の圧縮
(シェルタリン複合体など)
2- 染色体、クロマチン、ヒストン、DNA
これらの構造の架橋、クロスリンク
3- 染色体構造の締め付け
(コヒーシン(Cohesin))
4- 細胞核内から核膜を引っ張る
(細胞核内細胞骨格)
5- 核膜の部分的分解
6- 核ラミンによって核膜を引っ張る
7- DNAアクセス性下げる
(メチル化)(ヒストン装飾)
8- 細胞核の周りの細胞骨格により圧縮(28:Figure 1b)
、、、
これだけに限らず、色んな事が考えられます。

癌の進化の中で、
腫瘍組織内の異種性(intratuomr hetergeneity)。
これが存在することが一般的に示されます(27)。
癌細胞が細胞分裂を繰り返し
腫瘍組織を作る中で
娘細胞たちの遺伝子形質の多様性が高いのは
構造的に考えると至極当然の結果です。
なぜなら、遺伝子が不安定であるということと
タンパク質合成圧が高まっていることは
多くのDNAサイトへの物質的アクセス、衝突、接触
機会が多くなることを示しますから、
それにより構造が変わる機会も多いです。
また、頻繁にRNAなり、DNAを複製、合成するわけです。
その中で、構造的多様性が生まれるのは
当然の帰結ということになります。

これが治療を難しくしているなら
この本質をつかんで、それを生じなくさせればいい。
ということになります。
そのソリューションが上の7つの選択肢で
少なくとも示されますが、
それだけではありません。
例えば、脂質、糖の合成を下げる方法もあります。

1- 脂質合成の抑制
癌細胞は細胞膜の形成やエネルギー貯蔵に脂質を必要とするため、
脂質合成経路を標的にすることで細胞分裂を抑制できます。

1.1- 脂肪酸合成酵素 (FASN) の抑制
癌細胞では、FASN(脂肪酸合成酵素)が過剰に活性化しています。
1.1.1- 介入法: FASN阻害剤(例: Orlistat)を使用して、
脂肪酸の新規合成を抑制。
1.1.2- 効果: 細胞膜形成の障害、エネルギー供給の低下。

1.2- ステロール合成経路の阻害
癌細胞はコレステロールを利用して
細胞膜やステロイドホルモンを構築します。
1.2.1- 介入法: HMG-CoA還元酵素阻害剤(例: スタチン)を用いてコレステロール合成を抑制。
1.2.2- 効果: 細胞膜構造やシグナル伝達の破綻。

1.3- リン脂質代謝の制御
癌細胞はフォスファチジルコリンや
フォスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質を必要とします。
1.3.1- 介入法: 脂質リモデリング酵素(例: LPCAT)の阻害

2- 糖代謝の抑制
癌細胞は正常細胞よりもグルコースに依存するため、
糖代謝を標的にする方法が効果的です。

2.1- 解糖系 (Warburg効果) の抑制
癌細胞は主に解糖系を介してエネルギーを生成します。
2.1.1- 介入法:
グルコーストランスポーター(GLUT)阻害剤: グルコース取り込みを減少。
ヘキソキナーゼ阻害剤: 解糖系の最初のステップをブロック。
ピルビン酸キナーゼM2型(PKM2)阻害剤: 解糖系後期のエネルギー産生を抑制。
2.1.2- 効果: エネルギー供給の低下。

2.2- ペントースリン酸経路 (PPP) の抑制
癌細胞はPPPを利用して、
核酸合成に必要なリボース-5-リン酸と抗酸化に必要なNADPHを生成します。
2.2.1- 介入法: グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)阻害剤を用いる。
2.2.2- 効果: 核酸合成能力と抗酸化防御力の低下。

2.3- ミトコンドリア代謝の調節
2.3.1- 介入法: オキサロ酢酸のアナプレロティック経路を阻害。
2.3.2- 効果: グルコース代謝中間体の消費を減少させる。

3- 脂質および糖代謝の調節に関連するシグナル経路の阻害
癌細胞は特定のシグナル経路(例: PI3K/Akt/mTOR)
これを活性化することで脂質と糖代謝を増強します。

3.1- ,PI3K/Akt/mTOR経路の抑制
3.1.1- 介入法: mTOR阻害剤(例: ラパマイシン)やPI3K阻害剤を使用。
3.1.2- 効果: 糖や脂質の合成に関わる酵素群の抑制。

3.2- AMPK経路の活性化
AMPKは細胞内エネルギーのセンサーとして働き、
代謝抑制を促進します。
3.2.1- 介入法: メトホルミンやAICARなどでAMPKを活性化。
3.2.2- 効果: 栄養合成経路(脂質および糖)の全般的な抑制。

4- 栄養供給の遮断
癌細胞に必要な脂質や糖を供給する血管を
遮断することも効果的です。

4.1- 介入法: 血管新生阻害剤(例: ベバシズマブ)で腫瘍への栄養供給を制限。

4.2-効果: 腫瘍環境の低栄養状態化。

5-. 食事療法との併用
食事療法は薬剤療法と組み合わせることで、
脂質・糖代謝の負荷をさらに減少させる可能性があります。

5.1- 介入法:
低炭水化物食(ケトジェニックダイエット)。
断続的断食。

5.2- 効果: 腫瘍増殖のエネルギー基盤を直接的に削減

癌細胞が増殖するときには
食事よって取得した糖、脂質、たんぱく質
人の脂肪組織、筋肉など豊富に貯蔵している
糖、脂質などを資源として
その一部を細胞内の物質合成に利用するはずです。
従って、この原理からすると
脂肪組織、筋肉が少なく貯蔵量がない状態で
かつ、食事による物質もない状態だと
癌細胞は細胞分裂時に資源不足となるので
思うように細胞分裂できないはずです。
ただ
筋肉がないというのは問題ではあります。
しかし、腫瘍組織が発展した人が
体重が減少し、脂肪組織、筋肉が減るというのは
それだけ貯蔵した体内の物質が
癌細胞の増殖のための資源として利用された結果。
このようにも解釈できます。

このことから特に増殖性、悪性度の高い腫瘍、癌に対して
抗がん剤などで治療を行うときには
できるだけバックグランドとして
癌細胞にエネルギーを与えない条件が必要です。
従って、空腹にするということもありますし、
特に男性であれば、
内臓脂肪、皮下脂肪を減らして、
必要な筋肉のみにしておくということです。


上述した癌細胞の細胞核を縮小するという介入は
ヒトの体に重篤なリスクを与える可能性があるので、
研究段階から十分に注意する必要があります。

一般的に間葉系細胞と上皮細胞では
間葉系細胞のほうが細胞核径が小さいといわれています(Open AI)。
基本的に運動性を上げるためには
細胞核も含めて、細胞全体をコンパクトにする必要があるし、
細胞外マトリックスなどの障害を縫って
移動するわけなので、
細胞全体を柔軟にする必要があります。
それは細胞核でも同様です。
なぜなら、細胞膜と細胞核は中間系フィラメントなど
細胞骨格でつながっているからです(28:Figure 1b)。
すなわち細胞膜の柔軟性は
一部、細胞核の柔軟性で支持されているということです。

上の介入の一部は、細胞核の柔軟性を上げるようなもの。
これが含まれます。
例えば、細胞骨格や核ラミナを密に配置すると
細胞核が縮小される可能性はありますが、
同時に柔軟性が上がる可能性もあります。
そうすると
細胞核の機械的特性におけるフック弾性があがるため
細胞膜は柔軟に変形でき、
それが細胞の形状変化を容易にします。
また、細胞も全体的にコンパクトになります。
そうすると移動するための
運動エネルギー効率があがるため、
あるいは形を柔軟に変えられるため、
細胞の運動性が上がる可能性があります。

これが「がんの転移」を促す可能性があります。
癌の死亡率の90%はがんの転移によるものです。
もし、上の細胞核への介入が
がんの転移を促すような結果になると
患者さんの寛解どころか、
全身に癌細胞が拡散することになり、
逆に、多くの患者さんを死なせてしまう可能性もあります。

従って、研究段階から
細胞核に対して縮小するような介入を行うときには
上皮間葉転換も含めて
癌細胞の運動性が上がらないかどうか?
それに対して細心の注意を払う必要があります。
上で述べたように癌細胞の大量の休眠。
それによって、
ある程度の遺伝子情報を残しながら、治療を逃れ、
後になって、何らかの刺激によって、活発化し
再発する可能性もあります。

少しまとめて言い換えると
特に固形がんにおいては
細胞や細胞核を大きくして運動性を下げる中で
組織の固着性を上げて、
細胞分裂を活発にして、組織を大きくする。
一方で、移動するときには
細胞分裂能を一時的に下げて、
細胞、細胞核を圧縮して、
かつ、細胞の柔軟性が挙げて、
移動能力を獲得して、循環器を通じて
全身に播種します。
転移先でプレ転移ニッチを見つけて
そこでまた、細胞、細胞核を大きくして
細胞分裂能を上げて、固着性をあげ、
組織を大きくしていきます。

とにかく、癌細胞が何億年以上、
生命の細胞として存在してきた事実がある以上、
癌を消滅させるための
「One size fits all」すなわち
「それ一つでどんな場合も適用できる」
このような治療法は
そんなに文章上だけで定義できるほど
簡単には確立できません。

今までと同じように
なんとか色んな方法で諦めず
改善を続けていく必要があります。
ただ、うえで示したことを含めて
従来の治療と合わせて総合的に治療していけば、
一定の改善がみられる可能性はあります。

効果的な治療が子供も含めて患者(さん)にとって
しんどいケースも多くあると思われるので
治療中の心身のケアも求められます。

治療においてより高いレベルを求められるとなると、
それを提供する側。すなわち、
医師(先生)、医療スタッフ(の方)の疲労もあるので
一定の患者(さん)の理解と、
取り巻く社会がバックアップする必要があります。
私を含めて医療を考える、提供する側も
長期間の勝負なのである程度高いレベルで
健康でなければなりません。

また、患者さんも治療前後で
体の中に残る癌細胞数は変化しますが、
残存病変の変化の中で
ある程度、癌細胞と共に生きていかなければならないので、
長期的に「顕性がんに発展させない」。
この目標のもと、
長期的な健康状態の維持は
より理想に近い生活習慣の定義を含めて重要になります。

こうした観点から医師(先生)だけではなく
- 理学療法士(運動、リハビリ)
- 社会福祉士(生活の支援)
- 管理栄養士(栄養摂取の指導)
- 臨床心理士(心のケア、カウンセリング)
看護師の方以外のこれらの医療スタッフの方の
協同的な取り組みが必要です。
小児脳腫瘍の子どもの死亡率をゼロにするという目標に
近似させるためには、
治療後の長い生活期間における「健康」。
これを定義する必要があります。
- 運動(脳、心臓、循環器、筋肉への影響の定義)
- 栄養(適正な体作りの定義)
- 肥満(適正体重維持重要性の定義)
- 筋肉(筋肉量維持重要性の定義)
これらについて少なくとも1次評価で考える予定です。
この時には、当然、程度がありますから、
小児がんサバイバーの人が取り組む前提で
注意しながら調査、記述を進めていくことになります。

この記事は「長い時間軸」での癌について考えることなので
当然、癌の進化だけではなく
1次治療後の健康状態、生活習慣の定義とも密接に関わります。
これは相当、根本的な事に踏み込んで考える必要があるため
別の独立した記事を立ち上げて、公開する予定です。


もともと、腫瘍学の中での一つの大きな疑問として
「休眠からいつ癌細胞は活発になりますか?」(18)。
このようなことがあります。
もし、癌細胞の分裂頻度の活発性が
上の私の推論から
「細胞核の大きさ」が一つ重要因子なのだとしたら、
休眠からの活性化や間葉→上皮転換などにおいて
重要な視点をもたらすものかもしれません。
すなわち
休眠時、活発時の細胞核の大きさの比較。
ここから科学的証拠を得ることです。
細胞核はどういったクルー、合図、物質的供給で
再び、大きくなることがあるか?
それらの変化のメカニズムはどういったことか?
その研究の視点も私たちに与えてくれます。
この変化は上述したような
1- 染色体の端の構造の圧縮
(シェルタリン複合体など)
2- 染色体、クロマチン、ヒストン、DNA
これらの構造の架橋、クロスリンク
3- 染色体構造の締め付け
(コヒーシン(Cohesin))
4- 細胞核内から核膜を引っ張る
(細胞核内細胞骨格)
5- 核膜の部分的分解
6- 核ラミンによって核膜を引っ張る
7- DNAアクセス性下げる
(メチル化)(ヒストン装飾)
8- 細胞核の周りの細胞骨格により圧縮(28:Figure 1b)
これらが多因子で関わっている可能性もあります。
そうしたら必然的に
癌細胞を圧縮させた後に拡張させないためにはどうしたらいいか?
それについての視点が与えられます。
これらの視点は
- 癌を長く休眠させる
- 癌の活発化のタイミング制御、ずらす
- 癌細胞を固定化させない
- 癌細胞細胞分裂を下げる
これらの実現のためのヒントを与えてくれる可能性があります。
すなわち、細胞核の拡張の合図をしっかりつかんで
それを永続的に癌細胞に作用させない
体の中の長期的な環境づくりを医療介入を踏めて
多様な様式で考えるということです。

上皮間葉変換は人の体の中で一般的におきる
細胞形質の変化、運動性の向上ですが、
こうしたときに
もし、細胞核の圧縮が生じているとしたら、
その自然なメカニズムを細胞核への物質の移動、供給の観点で
理解することで、それを利用して
より自然に近い形での人為的な細胞核圧縮の
医療介入のヒントになるかもしれません。

細胞核は細胞膜と細胞質を介して密に
中間系フィラメントなど細胞骨格と連動しているため
その大きさはこうした細胞質の骨格によっても
外側から影響を受ける可能性があります(28:Figure 1b)。
まだ、癌細胞、細胞骨格、細胞核の連動についての
報告は多くありませんが、
細胞核の拡張、縮小、
それに伴う染色体構造の拡張、縮小。
これらの問題は細胞全体で考える必要性がありそうです。

ただし、前提として
この記事の多くは一定の物理的、化学的、生物学的な
合理性を保証しているものの、
実験検証を伴わない仮説に多く基づいているため
一つ一つの文脈、解釈を疑い、
例外も含めて正確性を確認していく作業が必要です。

例えば、上の議論はどちらかというと
細胞質の構造よりも細胞核内の構造に着目していますが、
癌細胞は融合して(27)、
巨大化、多核化することがあります(29:Figure 3)。
こういったことが起こると、
上の比較的シンプルなモデルは
一定、覆されるし、例外的な事も起こりえます。
ただし、一般的に骨格筋細胞などで代表されるように
また、有糸分裂のモデルから
多核化すると娘細胞への細胞核内への染色体の
適正配置が難しくなることから
癌細胞が多角化して巨大化すると
その細胞自体が細胞分裂するリスクは少なくなります。
ただ、薬剤耐性が一般的には上がり、
分裂しにくくなるので
遺伝子合成、紡錘糸(ぼうすいし)に作用する
抗がん剤が効きにくくなり、
融合、巨大化、多角化した癌細胞自体の寿命は一般的には上がります。
融合した癌細胞は移動能力を獲得するともいわれています(27)。
これはいくつかの要因が考えられます
- 細胞自体の寿命が延びること
- 核が複数あることで形を変えやすくなること
- 運動エネルギー源が増えること
- 細胞分裂しにくくなること
ここで最後の理由について考えます。

免疫細胞でも循環器内では分裂しないことが一般的である
とされています。
基本的に細胞外マトリックスなどの基質などに
固定されている状態のほうが細胞分裂は起きやすいです。
細胞分裂が頻繁に起こる上皮細胞の底面が
細胞外マトリックスからなる基質に
インテグリンなどを通して高度に固定されていることは
この事実を示すものですし、
適応の末に決定された構造であるともいえます。

細胞分裂は娘細胞に対して
染色体構造の精密な配置を紡錘糸を通してするため
その状態で位置不安定性があると
染色体を正確に娘細胞に配置できなくなります。
従って、細胞分裂は基質に固定されている状態のほうが
安定して生じると考えられます。
従って、前述したように移動性の高い免疫細胞でも
循環器のように流れがあり、位置不安定性が高い状態では
原理的に細胞分裂が生じないとされています。
ただし、白血病などでも血液中でも分裂が生じるようです。、
しかし、このような不安定な状況で
細胞分裂することは染色体配置に異常が出るはずなので
染色体異常や一定の確率で
細胞分裂失敗が生じている可能性があります。
例えば、
妊娠においても着床が重要です。
栄養補給などももちろんありますが、
胚細胞は空間に漂っている状態では
体の形成の元となる細胞分裂ができないため
適切な細胞分裂を実現するために
「位置を固定する」という
着床には重要な意味があると考えられます。


癌に限らず、進化において、
もちろんそれを可能にする様々なモデルは存在します(27)。
しかしながら、本質的に重要な事の一つは
結果としてどういった形質の細胞、ウィルス、細菌
あるいは植物、動物、ヒトが生き残ったか?
その結果を考えることに収束する部分があります。

細胞に関しては、
- 細胞分裂圧 >> 細胞死
- 細胞維持 >> 細胞死
このように細胞死活性に対して
細胞分裂活性が強く数を増やしやすいか
細胞維持が強く寿命が長いか
ということになると思います。

他方で、ウィルスでは
新型コロナウィルスでも
強毒性のデルタ株が長く残ることはありませんでした。
なぜなら、デルタ株に感染した細胞は
強毒性のため多くは細胞死するからです。
でも、オミクロン株のように
弱毒性で感染力の高いコロナウィルスは
宿主細胞が細胞死しないため、
非常に長く世の中に残りました。
HIVが絶滅せず長く残るのは
おそらく潜伏性があるからです。
HIVに感染した細胞のほとんどが細胞死すれば、
必然的にHIVの数は減りやすくなるからです。
癌が残りやすいのは、増殖性だけではなく
HIVのような潜伏性、
すなわち
- 休眠
- 間葉転換
- 幹細胞化
これらが生じるからです。


必ずしも遺伝子だけで決まるわけではなく、
- 細胞間の遺伝子、転写因子の移動(Horizontal gene transfer)
- ミトコンドリア
- 表面タンパク質の移動(Trogocytosis)(27)
- 癌細胞同士の協調
- 休眠、間葉転換
これらなども影響を及ぼします。
これらが何か残るための意思があって
行われるのではなく、結果として残った癌細胞の
プロセスの中でこうした遺伝子以外の作用で
選択される場合も存在するということです。

癌を根絶させる
あるいは残存病変をできるだけ減らすヒントは
過去、人類が根絶させることに成功したウィルスにおいて
どのような戦略、理由でそれを実現したかが
ある程度参考になるかもしれません。
例えば、天然痘 (Smallpox)。
根絶成功の理由は
- 効率的なワクチン(牛痘ワクチン)。
- 症状が明確で早期隔離が可能だったこと。
- 人間以外に感染する動物がいないため、ウイルスが環境中に残りにくかったこと。
これらが挙げられています。
効果的なワクチンは絶対的な数を減らすことに貢献しますが、
そのほかの大きな理由は「隔離」です。
これは
- ヒトの中の特定感染集団
- ヒトという全体的な集団
これら2層での隔離に成功しています。
隔離すれば、どういった経路をたどろうが
最終的には感染細胞は細胞死するので
他に行くことがないので、絶滅します。

癌細胞においてこういったことは原理的にできませんが、
例えば、癌細胞の移動性を制限するとか、
癌細胞同士のネットワーク。
細胞外小胞の分泌を極限まで落とす。
完全な隔離は無理ですが、
これによって局所性を上げることができます。

特に固形がんに関して、
長期的な時間発展(time evolution)を想定する中で、
重要な視点は
今までの疫学的事実の中で
ヒトの中でみられる腫瘍組織の大きさは
どれくらいが一番多いか?ということです。
Open AIは2-3cmと答えましたが、
実際は、どうかわかりません。
例えば、心臓、肝臓、腎臓など
体の組織は「大きさが決まっています」。
癌細胞も人の体の細胞には変わりないですから、
腫瘍組織を作るにあたって、
好発する大きさがある程度、存在するはずです。
言い換えると
あまり大きくなると逆に成長しにくくなる。
こういった不具合も癌細胞、腫瘍組織にはおそらくあります。
そうした場合、生命力のあるがんは
場所を変えて、一番、好ましい大きさの腫瘍組織を
多く体の中に作ろうとするかもしれません。
もし、そうであるとするならば、
一度、どこか特定の場所で
顕性の腫瘍組織を形成したら、
その場所に隔離したいということがあります。

上述したような細胞核を圧縮させるような介入は
下手をすると運動性、細胞の寿命を上げるので
違う場所への移動を好発させる可能性があります。
そうすると隔離という観点で考えると
リスクのほうが、ベネフィットよりも
上回ってしまうということも考えられます。

この点からも癌という疾患、病理、治療を考えるときには
十把一絡げ(じっぱひとからげ)にはいかない。
このように推定することができます。

固形がんの細胞がどれくらいのサイズが好発するか?
それは遺伝子的背景や周辺環境にもよると思いますが、
細胞分裂の観点では
細胞の下地として細胞外マトリックス。
すなわち基質が基盤構造として敷き詰められているほうが
基盤が同じ細胞の場合よりも都合がよいと考えられます。
その理由は
細胞外マトリックスは主にインテグリンと結合します。
このインテグリンは細胞質側で足場たんぱく質をひきつけ
その足場たんぱく質を挟みながら
細胞質の細胞骨格とつながっています。
この細胞骨格は細胞核と中間フィラメントなどを中心に
つながっています。
すなわち、細胞外の細胞外マトリックスから
細胞内の細胞核、あるいは細胞核内の細胞骨格まで
インテグリンなどの関節を挟みながらつながっている。
このことが示されます。
それによって、有糸分裂の際に紡錘糸を通して
娘細胞の分裂した細胞核に染色体を配置させるときに
これらの構造体が完全に宙に浮いた状態ではなく
強力な細胞骨格、関節を通じたネットワークによって
細胞外から支えられていることになります。
それによって位置精度が非常に高まるということです。
また、細胞外マトリックスとインテグリンの結合密度が
過度に高くなく、強くないことで
細胞分裂するときの位置の移動を障害しない程度に
調整されている部分もあります。
従って、細胞分裂の際には
インテグリンと細胞外マトリックス(30)
細胞内では足場たんぱく質、細胞骨格、
細胞核内の細胞骨格
これらが非常に重要な役割があり
相互に精緻に連動していると推定されます。
従って、
私が1次評価で取り組んだ(取り組む)
- 細胞接着分子(インテグリン)
- 細胞外マトリックス
- 細胞骨格
これらは細胞分裂、癌において
今までにない精度での本質的な理解につながる
可能性は否定はできません。

そうすると、腫瘍組織では結節をつくりますから
無秩序に細胞を積み上げていくわけですが、
こうした細胞外マトリックスの基盤構造が脆弱だと
当然、娘細胞に対する染色体配置精度が下がってしまいます。
おそらく腫瘍組織で結節の上のほうにいけばいくほど
下地、基盤構造が弱くなるため
細胞分裂に失敗したり、
細胞分裂できたとしても染色体数に重篤な異常がでたり
する確率が上がると思われます。
従って、アスペクト比でいうと
しっかりした基質があるのであれば、
平べったい、横長の腫瘍組織のほうが
安定して癌細胞を増やすことができるはずです。
おそらく腫瘍組織の細胞間には
細胞外マトリックスがあると思われますが、
癌細胞が無秩序に積みあがっていく、
大きくなると細胞分裂は起こりにくくなると想定されます。

例えば、小児脳腫瘍の中の高グレード神経膠腫では
細胞外マトリックスの高分子量のテナスシンCの亢進がみられ(31)
細胞の運動性に関わっているとされていますが、
このテナスシンCもインテグリンと結合性を持ち、
神経膠腫の癌細胞もインテグリンを発現していることから
細胞分裂の足場としてテナスシンCを利用している可能性があります。
ただ、これに関する研究はまだ十分ではありません。


癌細胞が化学治療抵抗性を持つとは
抗がん剤が細胞分裂の際に活発に生じる
遺伝子合成や紡錘糸形成を障害する働きがある以上、
癌細胞が細胞分裂能を抑制している状態を示すものです。
上述したように
- 休眠(dormancy)
- 間葉系転換
これらが寿命をあげ、抵抗性を持つと考えられますが、
もう一つの手段は
- 幹細胞化(Stemness/Dedifferentiation)
これが挙げられます。
幹細胞は一般的に長寿命に体の中に残り、
成熟細胞への分化の際には有糸分裂を伴わないので
抗がん剤は効果を発揮しにくくなります。
実際に幹細胞化によって
薬剤耐性が生じることは議論されています(32)。
分子標的薬剤でも、DNAに合成に関わるものなら同様ですし、
それ以外の機序でも、
一般的に癌細胞が細胞分裂能を適応で低下してくると
通常細胞の代謝メカニズムなど形式が類似してきます(33)。
また、寿命も長くなる可能性があることから
一般的に癌細胞死させることが難しくなります。

幹細胞化においては、細胞数を増やしたりするわけではなく、
遺伝子に対するアクセス性、転写を大きく変えて、
細胞の形質を変えることなので、
遺伝子そのものの配列が大きく変わることは
原理的に起きにくいと考えられます。
だからこそ、同じように細胞の幹細胞化、初期化を行う
iPS細胞では患者さんのもともとの遺伝子形質を反映して
病理解析、薬剤スクリーニングをかけることができます。

そうするとすでに癌の治療などを通して、
ランダムに多様化した遺伝子形質の中で
癌ドライバー因子を多く持った癌細胞が
幹細胞化、分化逆転すると
その癌ドライバー遺伝子コードを多く持つ
分化、成熟機能を備えた幹細胞が
抗がん剤に耐性を持った形で
ある種静かに長く体に残ることになります。
こうした遺伝子コードの引継ぎは
休眠や間葉転換でも当然生じます。

従って、再発したときには
すでに過酷な状況を絶えた
進化の選択則で強く生き残った
細胞増殖性に関わる遺伝子配列を持った癌細胞が
再び、成熟細胞として組織増殖する可能性が出てきます。

ゆえに細胞増殖以外の薬理で
- 休眠
- 間葉系細胞(DTC)
- 幹細胞
これらの癌細胞を選択的に減らす治療や
これらに転換させない、
転換しても活性化、分化させない治療。
これらが必要になります。
また、もともと、体がもつ免疫機能や
組織内排出機能など防御機構が
これらの細胞、活性化にどのように寄与するか?
それについて理解することも
再発→悪性化を防ぐうえで重要になります。

上述したように
顕性の腫瘍、癌細胞群に対して99%、
すなわち2桁の退縮率に成功した完全奏功とみなされます(26)。
これはおおよその基準だと思われます。
しかし、このような完全奏功を実現したとしても
場合によれば、数十年後に再発することがあります。
その期間が最も短いことがあります。
例えば、
0.02%の癌細胞数でも循環器にでれば
その少数でも転移することがあります(33)。
これはすなわち、99%の退縮率でも
それよりも顕著に少ない癌細胞数が間葉形質を手に入れて
循環器に滲出すれば、転移することがある。
このことを示すものです。
しかし、必ず転移するわけではなく、
顕性を示すためにはいくつかの必要条件があると思われます。
例えば、上述したように
免疫機能が非常に高ければ、
循環器に移動性の癌細胞があっても
顕性になることを許さないかもしれません。
特に顕性になる前の規模の小さな癌細胞の
日常的な監視においては免疫機能は重要な因子です。

では、強い免疫機能とは何か?
ここではあまり詳しくは考えませんが、
私が展望を持っている出発点の部分だけお示しします。
例えば、
- 神経系(興奮、抑制)
- 骨格筋(伸長、圧縮)
- 心臓循環器(高血圧、低血圧)
- 循環器、肝臓、腎臓(血管内物質の増減の調整)
- 肺(吸う、吐く)
こうしたバランスが必要な機能において
機能が高いとはどういうことか?
その一つは「変化に対する柔軟性、耐性」ではないでしょうか?
様々な状況において柔軟に調整できる能力です。
免疫系も炎症と抑制がありますから、
こういった動的な機能が高いことが求められます。
そのためには
日常的に適度に変化を経験させておかないと
そうした調整機能が衰える、なまることが考えられます。
筋肉では座りっぱなしで使わないと
筋肉を硬直させる因子の
少なくとも一つの遺伝子形質が強まる。
このことが示されています。
日常生活の変化というと
- 覚醒、睡眠
- 空腹、満腹
- 運動、鎮静
- 朝、昼、夜
- 室内、外出
- 温度変化
これらなどがあります。
こうした変化で免疫機能が必ずしも変わるかわかりませんが、
少なくとも日常生活でずっと一定の生活。
これは免疫機能において好ましくないかもしれません。
少なくとも一定の変化、リズムを刻むということです。
日本においてはもっと長期的な四季を経験することは
実は重要かもしれません。
そうすると室内中心の生活も見直す必要があります。
子供は睡眠の質がよく、ぐっすり眠り
覚醒の状態と日々、差をつけていることが
元気の源の一つかもしれません。

こういうことをしっかり
科学的、経験的(進化も含む)、疫学的エビデンスを
ある程度取得しながら、丁寧に考えていかないと
「生涯、顕性がんに発展させない。」
このことを実現することは難しいと思われます。
患者さん、ヒトの体、全身を余すところなく利用して
癌に対抗するという考え方です。



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