以下、2023年に改訂された最新の
The International Society for Extracellular Vesiclesの
Minimum Information for Studies of Extracellular Vesicles(MISEV)
この内容について独自の視点を含めて、記述します(1)。
(細胞外小胞の定義、サブタイプ)
細胞外小胞は、当然、胞なので、膜で囲まれています。
その膜は脂質2重層であるとされます。
また、細胞外小胞は、細胞から放出sれます。
機能的な定義は、自己複製できない。
しかし、私が提唱する「代謝機能を持たない」という事は
定義には含まれていません。
2018年からの変更点は「自然に」という言葉が排除されています。
すなわち工学的に設計された細胞外小胞も含まれます。
上述したように
細胞から放出するという定義は生きていますから、
その細胞に遺伝子形質導入など
意図的に細胞外小胞を設計する技術が進んできた、
あるいはこれから進んでいくだろう。
これらのことを考慮して、定義が広げられたものと思われます。
エクソソーム(Exosome)、エクトソーム(Ectsome)は
それぞれ生成経路が異なります。
エクソソームはMultivesicular bodies(MVBs)で生成された
Intralunimal vesicles(ILVs)小胞内小胞を前駆体として
細胞外に放出されたものです。
一方で、エクトソームは細胞膜から直接的に
buddingを経て、生成されるものです。
こうした異なる生物発生経路に従い、サブタイプを定義しています。
一般的にエクトソームはエクソソームよりもサイズは大きいですが、
サイズの範囲で重複するものがあり、
その径だけで完全に区別できるものでもありません。
現在、これらを完全に区別して分ける方法がありません。
このガイドラインでは、そうした生物発生経路が明らかな場合のみ
エクソソーム、エクトソームという言葉を使うことを推奨するとあります。
従って、それがわからない場合には
細胞外小胞(Extracellular vesicles)という用語を利用する。
この事を推奨しています。
(収集と前処理)
EVを含む材料の供給源については、
以下の点を報告することが求められています。
(a)ヒトおよび動物由来の材料
年齢、生物学的性別、薬物や物質の摂取(薬物使用、薬物投与)や病歴など
(b)供給材料の量と質
サンプルの体積や質量など
(c)サンプル収集方法
サンプル収集の全ての手順
(d)分離前の保管方法の影響
EVが最終的に分離されるまでの間の保管条件。
特性を維持するため凍結と解凍を繰り返さないことを推奨します。
(e)早期の細胞除去
EVの供給源からできるだけ早い段階で細胞を除去します。
細胞から様々な小胞が付加的に生成されるからです。
(f)細胞や共分離物の除去度合い:
前処理およびEVの分離・濃縮後の細胞や供給源固有の共分離物の
除去度合いを評価
(g)品質管理の実施
サンプル収集、前処理、EV分離の全過程において、
品質管理の措置を実施
(h)サンプルのプール化
EVの研究に十分な量のサンプルを得るために、
サンプルをプール化する場合、
プールに含まれる個々の
サンプル数、
ドナーの人口統計データ、
各サンプルの体積、
最終的な量。
これら報告
細胞から細胞外小胞を得る時の培地について
細胞培養の主なパラメータ
細胞情報: 使用する細胞の名前、細胞の生存率、継代回数、播種密度、収穫密度など
培地成分: 基本的な培地の種類、血清や栄養素、微量栄養素、抗生物質/抗真菌剤、その他添加物など
培養条件: 2D培養、3D培養、浮遊培養などの培養形式、温度、pH、ガス濃度、物理的刺激
条件付け期間: 細胞が培地を条件付ける期間
収穫方法
汚染や感染
培地には細胞外小胞、Exomeres、核酸断片、微量栄養素など
バックグラウンドとして混入している可能性があります。
任意の細胞外小胞を分離精製する場合には
こうした元々存在している可能性がある
細胞外小胞を含めた物質の存在可能性を認め、
それらの有無を評価し、除去することの望ましいです。
細胞の死滅は当然、細胞内にある
細胞外小胞の元ともなる細胞膜の多くが放出されるので
わずか数パーセントの割合、細胞死が生じても
多くアポトーシス小体を含めた細胞外小胞を放出するため、
細胞外小胞の精製、純度に影響を与えてしまいます。
従って、
細胞から細胞外小胞を得る場合には
細胞死させない条件や取得後には速やかに
細胞を除去することが求められます。
⇒
このことから、細胞外小胞分離を行う際には
大きな細胞外小胞沈降媒体を大量、効率的に得るために
細胞死させる事が有効であることが示唆されます。
グラム陽性、グラム陰性の微生物も細胞外小胞を放出するため
培地の微生物汚染は細胞外小胞の純度を低下させます。
(細菌由来の細胞外小胞)
細胞外小胞の分離技術が高度化し、普及してくると
細菌由来の細胞外小胞の研究が一気に広がると思われます。
なぜなら、
環境に存在する細菌から放出される細胞外小胞を分離できる事は
公衆衛生、微生物生態調査、体内細菌分析。
これらなど非常に重要な付加価値をもたらすからです。
まだ、培養条件、特異的マーカーなどに関する
研究は黎明期、初期段階にあります。
細菌由来の細胞外小胞は
膜の出芽(Blebbing)、
膜破壊(細胞死にようなもの)⇒溶解性生合成経路。
これらの2つのパターンが考えられます。
但し、多細胞生物の細胞由来の細胞外小胞の
エクソソーム、エクトソームなどの
サブタイプに基づく術語体系は築かれていません。
基本的に細菌由来の細胞外小胞を分離精製させる場合には
非EV成分である
鞭毛やファージ、タンパク質、リポタンパク質、核タンパク質複合体。
これらなどを除去させる必要があります。
(血液中の細胞外小胞)
血液中には赤血球、血小板、白血球などの細胞が一定割合含まれているため、
これの細胞を細胞外小胞の資源として利用しない場合には
遠心分離などで分離し、早期に細胞外小胞を分離精製する必要があります。
リポタンパク質(HDL、LDL、IDL、VLDLなど)など
血液中には細胞外小胞以外の様々な物質が含まれています。
従って、
血液中の細胞外小胞を任意の分離精製して取り扱う際には
こうした混入した物質を任意の取り除くことが求められます。
その点において
細胞外小胞沈降分離技術を含めた
高い精度の細胞外小胞分離精製技術が求められます。
しかしながら、こうした沈降分離技術を阻むものが
細胞外小胞の表面に結合している物質、コロナです。
これが元来持つ細胞外小胞の膜タンパク質特性を
構造的に遮蔽、蓋するため
このコロナを取り除く技術が強く求められます。
⇒
血液から細胞種特異的な細胞外小胞分離技術を成立させる場合、
例えば、小児脳腫瘍の微小残存癌細胞由来の
細胞外小胞を患者さんの血液から分離精製する場合には、
細胞外小胞の表面にある膜タンパク質に
依存する形で高精度に分離精製することを試みます。
しかしながら、
血液中でコロナ形成しているとなると
そうした膜タンパク質分離が機能しなくなるため、
コロナ形成しているタンパク質を選択的に除去する必要があります。
その除去に必要な物理的あるいは/かつ化学的
プロセスを確立する必要があります。
こうした高精度な分離精製技術が確立すると
この節で述べている血液中の細胞外小胞の扱いにも適用されるし
将来的にガイドラインに
重要な技術の一つとして定義される可能性もあります。
(尿中の細胞外小胞)
血液採取よりも、患者さんの負担が小さく、
大量のサンプルが高頻度に得られることが尿の利点ですが、
尿は採取時間、食事、運動、年齢、性別、薬物使用、
健康状態や疾患状態など
様々な素因によって敏感に変動するため、
細胞外小胞を含めた物質情報が安定しないという不利があります。
例えば、尿中のタンパク質の量は
最大で5桁程度差が出ることがあります。
こうした偏差は当然、細胞外小胞の量にも一定当てはまります。
従って、高精度に比較しながら定量分析するときには
比較的特性が安定している血液から
細胞外小胞を採取して分析する事が望ましいです。
(脳脊髄液の細胞外小胞)
脳脊髄液のタンパク質量は血液中のそれに対して
約200 - 400倍低いことが示されています。
このように液体中の物質量が少ないことから
それに応じて細胞外小胞の量も非常に少なくなります。
血液に対して濃度は低いですが、
タンパク質の量は年齢によって変動します。
あるいは主な成分タンパク質の種類は
脳で採取する場合と腰部で採取する場合で異なります。
では脳脊髄液で細胞外小胞の分析をする利点は何でしょうか?
脳脊髄液は血液脳関門の影響を受けず、
脳神経系の物質情報にアクセスる事ができます。
従って、細胞外小胞のケースで言えば、
脳神経系の細胞から放出される細胞外小胞を分析する場合、
液体生検として脳脊髄液は適しています。
上述したようにタンパク質の影響も少ないため、
コロナ形成の影響も緩和されるかもしれません。
私のプロジェクトでは、小児脳腫瘍の治療を目指しているため
場合によれば、血液ではなく、
脳脊髄液から腫瘍組織の細胞外小胞を分析する方が
より、正確、容易に分離精製できる可能性があります。
(唾液の細胞外小胞)
唾液は、血液、尿より多く採取する事は難しいですが、
液体生検としては一番、簡便な様式で取得可能です。
ただ、血液にはない特徴として
唾液には主に口腔に存在する細菌由来の細胞外小胞も含まれます。
また、タンパク質、電解質の他に食物残渣も含まれます。
飲食の条件が唾液成分に影響を与えるので
特に比較定量評価する場合には
飲食のタイミングなどの条件を標準化する事が求められます。
(滑液の細胞外小胞)
滑液は関節内の空間に存在する粘性のある液体です。
滑液は血液、脳瀬髄液、尿などと比べて
粘性が高く、それは細胞外マトリックスである
ヒアルロン酸(HA)の多量な含有によります。
従って、細胞やデブリを選択的に沈降させ
細胞外小胞の分離精製のプロセスに難しさがあります。
滑液は主に関節の疾患部に近いところから採取できるため、
特定の関節の機能、病態を細胞外小胞で
特異的に分析する際に適しています。
(乳の細胞外小胞)
乳は栄養素や免疫成分が豊富で複雑な源であり、
細胞外小胞以外には
細胞、乳脂肪球(MFG)、カゼインミセリ、可溶性分子など。
これらを含んでいます。
乳は短期間の保存であれば、体温で保存されることが推奨されます。
上述したカゼインミセリは乳の80%を占める
胞を形成する複合体で細胞外小胞をサイズが重複するため
カゼインミセリと細胞外小胞を分離することに難しさがあります。
カルシウムを取り除くことで乖離、分解させたり
酸性条件にさらすことで沈殿させることで
細胞外小胞の分離精製を試みることができます。
(固形組織の細胞外小胞)
固形組織をそのまま取得する場合は、
領域が独立化されるため、任意の組織
位置近くの細胞外小胞や培養することで、
その組織から放出される細胞外小胞を特異的に得ることができますが、
当然、液体生検とは異なり、
固形の組織なので細胞外小胞の分離精製は
血液、尿などに比べて難しくなります。
また、連続した細胞から生体環境から切り離されるため、
適切な培地による培養環境を維持しないと
多くの細胞が細胞死してしまい、
その細胞死によって生じた細胞外小胞が膨大になり、
それらが無視できないほど大きな勢力、ノイズとなり、
本当に分析したい生きた細胞から放出される
細胞外小胞を分離精製させることが難しくなります。
組織を一定期間保存する場合は冷凍-解凍プロセスを踏みますが、
このような温度変化は降温-昇温速度が適切でないと
こうした過渡状態で細胞膜が破壊され、
再び、生きた状態で培養関係を有効に築けない結果につながります。
いずれにしても固形組織では
生体内の自然環境に近い培地を含む培養条件を選択し、
細胞外小胞の大きなノイズとなる
細胞死をできるだけ減らすように努める必要があります。
(貯蔵)
細胞外小胞は多くの場合、取得してから
すぐに研究開発、検査、分析を行うわけではなく、
従事する人の時間の都合によって
一定期間、貯蔵することが求められます。
その期間にもよりますが
一つの中心的な保存条件の因子は温度の選択です。
4℃、-20℃、-80℃の条件があります。
例えば、mRNAワクチンのナノ粒子の保存は
最も厳しい条件では-80℃保存が求められました。、
その細胞外小胞を何の生検から得たかによって
保存条件が異なる可能性があります。
例えば、
唾液由来のエクソソーム(すなわち小さな細胞外小胞)では
4℃という一番緩やかな保存条件でも
28日間、細胞外小胞の基本的な形は維持された。
このような報告があります(2)。
しかし、これが唾液由来のエクソソームの強靭性が
放出細胞腫依存なのか?
それとも培地(唾液そのまま?それとも変えた?)によるものか?
その両方なのか?
そういったことは少なくとも私は読み取れていません(2)。
ここを問う理由は何からくるのか?
それは、唾液という培地が共通的に保存性に優れているのであれば
その唾液に近い成分の培地を選ぶことで
エクソソームの保存条件をより緩やかな条件にできる。
このことを示すものだからです。
しかし、これについてははっきりとはわかっていません。
細胞外小胞の寿命は、細かいことを言えば、
膜たんぱく質の構造の寿命もあります。
少なくとも私が扱う細胞外小胞の品質レベルは
膜たんぱく質の構造保存が必須になっているため、
より厳しい条件で細胞外小胞を保存することが求められる。
このことがあります。
しかし、より一般的に、緩やかな条件では
細胞外小胞のエンベロープ膜である
脂質二重層の連続性が保たれるかどうか?
すなわち決定的な破壊までの寿命が関係します。
当然、脂質二重層がどういった脂質の構成をとるかで
構造安定性に関与するため、
物理的、化学的いずれのストレスに対しての強靭性があります。
しかし、細胞外小胞のサイズそのものでも、
こうした物理的、化学的ストレスは異なります。
特に小さい細胞外小胞であるエクソソームでは
大きなアポトーシス小体のような細胞外小胞よりも
内容物からの機械的ストレスが大きくなるため、
内容物依存では破壊が生じやすいとされています。
(濃縮)
細胞外小胞の研究において、
保存溶液容量当たりの粒子数を増やす濃縮プロセスが必要な場合があります。
その後の特性に応じた分離プロセスを有効に機能させるためにも
ある程度のカットオフ以上の濃度で
細胞外小胞を濃縮させる必要があります。
基本的に濃縮で必要とされるプロセスは
上述したことと重複しますが、
細胞外小胞以外の様々な物質、デブリと分けて
細胞外小胞のみを分離精製することが挙げられます。
そのために沈殿法やろ過法が用いられることがあります。
他の物質を取り除くほかに
濃縮プロセスでは
特定の溶液空間内に存在する細胞外小胞を
その空間内の特定の体積内に集めることが必要です。
例えば、試験管のような形の容器において
底部に細胞外小胞を集めることができれば、
その局在性から濃縮の機会、チャンスが生まれます。
(段階的超遠心分離)
Differential ultracentrifugation (dUC)。
すなわち、遠心力を変えながら、重量、サイズに応じて
細胞外小胞を分離精製する方法です。
小さな細胞外小胞であるエクソソームの重さは
フェムトグラムオーダーなので、
こうした軽い物質を有効に空間的に動かすためには
相応の高い遠心力、長い時間が必要です。
例えば、10万 - 20万倍重力で45 - 150分も要します。
一方で大きな物質はその1/10の力で時間も短いです。
こうした積極的に力を加えながら
空間的に外側に集める方法は完全ではありません。
また、一部で、特にエクソソームにおいては凝集を促進するため、
それを少なくとも配慮しながら条件を探す必要があります。
(密度勾配)
サイズ、質量など特性に偏差のある細胞外小胞を溶液中に浮遊させるとき
その溶液中で重力、沈む力と浮力、浮く力が拮抗状態にあります。
こうした力のバランスは細胞外小胞自身のサイズ、質量、
あるいは溶液の密度によって変わってきます。
従って、浮力に関わる溶液の密度は可変因子なので、
溶液の密度を段階的に変えることで
その段階ごとの層として細胞外小胞のサイズ、質量に応じた特性依存的に
空間的に分離精製することを目的としています。
その溶液の密度を変えるために
高密度媒体(例えば、スクロース、ヨードキサノール、アイオヘキソール)
これと水性緩衝液の比率を段階的に動かします。
(クッション)
クッションは、その名の通り、高密度層がクッションの役割をして
そのクッション上に細胞外小胞が集まることができます。
大きな細胞外小胞はその高密度層を超え
より下の層に浸透します。
(サイズ排除クロマトグラフィー)
溶液の中にシリカ粒子など細孔を含むコラムを用意し、
細孔に入る大きさの細胞外小胞は
その粒子内の複雑な構造によって
衝突、摩擦、あるいは結合などの影響を受け
サンプルに対して重力、圧力が働いている系においてm
その沈降速度が顕著に低下します。
一方で、細孔に入ることができない大きさの
細胞外小胞はコラムの間をすり抜け
より早く沈降します。
こうした沈降速度の差によって
大きさに応じた分離精製を実現します。
分離に影響を与える変数としては、
マトリックスの組成
細孔サイズ、
カラムの充填方法、
カラムの長さと直径(または体積)の比率、
流速(重力 vs. 定義された圧力)、
サンプル濃度
サンプル体積
これらが挙げられます。
(流体フローベース分離)
流体に層流となる一定の流れを圧力によって生じさせたとき、
細胞外小胞は、その流れに乗って、流れますが、
細胞外小胞の大きさ、質量によって
流体内で位置的に安定する高さが異なります。
小さな細胞外小胞はより中央部に分布します。
こうした空間的な偏りに基づいて
細胞外小胞を分離精製します。
従って、コラムなどの固体相に依存しない方法となります。
ただし、この方法はまだ標準的ではありません。
こうした層ごとの分離を促すために
電場などの外部の力を利用することがあります。
(結合親和性分離:アフィニティ分離)
結合親和性分離は細胞外小胞表面にある
特定の構造に着目して、
その構造と特異的に結合するリガンドを
細胞外小胞が溶液中を沈降するルートに
コラムなどの固定相を用意します。
そのリガンドに結合する細胞外小胞は
それによって捕獲されるため、
沈降速度が低下します。
溶出、すなわち結合を解消するプロセスを経て
任意の構造を持つ細胞外小胞はそのタイミングで
沈降し、分離精製されます。
しかし、膜たんぱく質の構造を維持したい場合、
この溶出(Elution)。すなわち結合を切るプロセスに
一定の困難性を伴います。
こうした結合を切るプロセスは
物理的プロセス(超音波、電場、磁場など)
化学的プロセス(塩濃度、pH、酵素、キレートなど)
これらなどが考えられます。
(細胞外小胞分離)※私が提案する方法
ここからは2023年に改定された(MISEV)の内容に含まれていませんが、
より発展的な分離方法で、
将来的に分離方法の重要な一つとして、
含められる可能性があることから
この発展的議論の記事において、先行的にここに記述します。
細胞外小胞分離の分離メカニズムのカテゴリーは
基本的にアフィニティー分離、免疫沈降に当たります。
従って、根本的なコンセプトは
この分離方法に従いますが、
いくつかのポイントで大きく異なります。
細胞外小胞の分離のために使われる
沈降媒体を固定的なコラムや抗体にするのではなく、
その沈降媒体自身も細胞外小胞とし、
そのための細胞外小胞を別途用意します。
この沈降媒体細胞外小胞は
結合親和性に基づいて
特定の膜構造(主に膜たんぱく質)を持つ細胞外小胞と
特異的に結合するように生物工学によって設計されます。
この装飾技術は
細胞腫特異的薬物送達システムでも必要になります。
沈降媒体細胞外小胞に特異的なたんぱく質を装飾させる
技術はまだ、世界で確立されていません。
ここに少なくとも高い技術的なハードルがありますが、
現時点で頭の中で考えられる技術的プロセスを示します。
沈降媒体細胞外小胞は重量差を大きくとるために
大きいものが好ましいので
プログラム細胞死によって生じる
アポトーシス小体を利用します。
従って、沈降媒体細胞外小胞を得るためには
培地に含まれる資源細胞を意図的にアポトーシスさせます。
この時、アポトーシス感受性が高く、
その機能が高い、子供、若い細胞がいいかもしれません。
そうした若い細胞はiPS細胞技術で手に入れることができます。
アポトーシスが良いとしたのは
数ある細胞死プロセスの中で
組織の健康な恒常性のため必要なプロセスで
炎症物質が露出しないように
高度のアポトーシス小体によって
膜内、小胞内に包まれるメカニズムがあるからです。
従って、現時点の見積もりでは
細胞死プログラムとしてアポトーシスが適している。
このように考えていますし、もっといえば、
そのアポトーシス感受性、機能高いと想定される
健康な発達期の子供の細胞が好ましいです。
このアポトーシス小体に
任意の膜たんぱく質を装飾させるため
細胞内の多くの膜上に
細胞外小胞の膜たんぱく質と結合性の高い
リガンド、対たんぱく質を
アポトーシスさせる細胞内で発現を顕著に亢進させます。
この発現量は、例えば、
転写最終産物であるmRNAの形質導入によって調整可能です。
こうした膜たんぱく質の装飾が
転写最終産物であるmRNAに依存することや
原理的にDNAなども含めて遺伝子的なプロセスを利用できるため
構造を高精度に制御して変更することが可能です。
生体内の多くの物質が細胞から作られるとすると
細胞の自然な生物発生のプロセスを利用しますから
任意に、多様なたんぱく質を利用することができます。
従って、モノクローナル抗体のように
液性免疫の免疫的なプロセスに限定されない。
このことの強みがあります。
膜たんぱく質としてもともとの機能がない
対たんぱく質をアポトーシス小体に装飾するときには
リボソーム形成段階で
もともと膜貫通性の形質を持つたんぱく質と
複合体化するようにmRNA遺伝子コードを調整します。
そうするとアポトーシス小体が生成されますが、
この時点ではアポトーシス小体は
任意の対たんぱく質は一定割合含まれているものの、
多くのノイズとなる不必要な膜たんぱく質が多く存在します。
従って、目的の対たんぱく質を守りながら
これらのノイズを選択的に除去する必要があります。
そのプロセスが細胞外小胞マスク技術です。
特定のたんぱく質を守るための媒体としても
マスク細胞外小胞を利用します。
この時のマスク細胞外小胞は小さいほうがいいため、
マスクエクソソームとも言えます。
このマスクエクソソームは
沈降媒体として利用するアポトーシス小体の
対たんぱく質に特異的にに結合するように
その対たんぱく質の対たんぱく質を装飾します。
このマスクエクソソームでは
選択的に認識する必要があるため、
生物発生の段階で対たんぱく質以外の
アポトーシス小体上のたんぱく質を認識しないように
一色性を持たせる必要があります。
その選択性のためには2つの方法があります。
そのマスクエクソソームを
ほとんど細胞として干渉しない
植物由来なども含めた全く形質の異なる細胞腫から
マスクエクソソームを取得することを考えます。
この場合、
生物発生の時点で特別な介入を必要としません。
もう一つの方法は
そのマスクエクソソームを生物発生させる段階での
プロセスに対して、一色性を保つように介入します。
エクソソームの生物発生は
Multivesicular bodiesの発芽(Budding)で
エクソソーム前駆体(小胞内小胞:Intraluminal vescles)。
これを起源とします。
そのためには膜を負の曲性をもって
強い力で曲げる必要があります。
その細胞膜が曲がるプロセスに関わるのは
母線が傾斜しているコーン上の膜貫通構造を持つ
テトラスパニンです。
このテトラスパニンは往々にして
複合体マイクロドメイン(Tetraspanin-enriched microdomain)。
これをエクソソーム上で形成します。
こうした複合体構造がエクソソームの形成を
より強く駆動するという仮説を立てます。
テトラスパニンの複合体は
リボソーム、小胞体での膜貫通構造の生物発生の時点で
転写、翻訳のプロセスで関与するmRNAのコーディングを
人工的に制御、介入することで
人工的な複合体構造、あるいは任意に膜貫通回数を
制御できる可能性があります。
人工的に複合体構造を作り、
その人工的な(テトラ)スパニンでもって
エクソソーム形成させます。
エクソソームの径は当然、膜の曲率が高くなれば
小さくなりますから、
発芽の時点で高く、より連続的な曲率を発生させるために
人工的に複合体化したテトラスパニンの
複合体数をかなり大きめにとります。
そうしてより小さなエクソソームができれば、
その後のプロセス、特性でいくつかのメリットがあります。
まず、径が小さいということは
表面積が小さくなるため、
膜たんぱく質が形成される面積がそれに応じて制約されます。
従って、膜たんぱく質の絶対量が少なくなるため
より一色性の表面構造を築きやすくなります。
人工的なテトラスパニン生物発生の段階で
アポトーシス小体の対たんぱく質に結合する
マスクエクソソーム上の対たんぱく質を
選択的に形成させるため
この人工的なテトラスパニンに
リボソーム、小胞体生成の段階から
うまく向きを合わせて複合体化しておきます。
これをmRNAコーディング制御で行います。
また、人工的テトラスパニンが
細胞内環境にある他のノイズとなる
膜たんぱく質をひきつけないように
構造的にアレンジして、ノイズを減らすことをします。
こうした構造の細かい制御ができる可能性があることが
このシステムの一つのメリットです。
形成したマスクエクソソームの径が小さければ、
その後のマスクエクソソームの分離精製のプロセスで
上述した大きさに応じた分離によって
そのマスクエクソソームを分離精製、単離することができます。
そうして出来上がったマスクエクソソームを
アポトーシス小体の相互作用させ、
選択的に残したい目的のたんぱく質を
結合によって遮蔽、蓋します。
その状態で、他の露出したタンパク質を
広範なたんぱく質分解酵素によって分解させます。
この時、完全に分解させなくても
結合として機能しなくなる程度の
構造改変でも構いません。
酵素分解プロセスを必要最小限にすることは
マスク領域をより高く保護するうえで重要です。
その後、マスク領域のたんぱく質と
結合したマスクエクソソームを
物理的、化学的プロセスで結合解消、除去します。
これでアポトーシス小体の
膜たんぱく質の一色性が実現可能な可能性が出てきます。
このアポトーシス小体を
例えば、血液、尿、唾液、脳脊髄液など
様々な液体生検に含まれる
細胞外小胞のうち、
特定の膜たんぱく質を持つ細胞外小胞だけを
沈降媒体アポトーシス小体と結合させます。
この
アポトーシス小体は1 - 5μm径を持つ
細胞外小胞の中では径、質量が大きいため、
複合体化した時の重さの違いを出すことができます。
その重さの違いによって
フローベース、密度勾配、コラムなどによって
溶液内で溶出する時間差、位置差を確保し
それに基づいて分離します。
その後、アポトーシス小体と
特定の膜たんぱく質を持つ細胞外小胞を分離して
分離精製は確立します。
しかし、私の目指す分離精製レベルは
小児脳腫瘍の検出限界以下の細胞レベルの
残存病変の血液内、脳脊髄液内からの分析。
これがあるので
ppmオーダーの精度の分離精製レベルを目指します。
そのためには分離精製レベルの次元を上げる必要があります。
結合親和性による分離は
その結合力そのものを分離精製のために生かすことができます。
アポトーシス小体と
任意の膜たんぱく質を持つ細胞外小胞において
その膜たんぱく質の発現量の程度や
その詳細な構造解像度で細胞外小胞を分離精製することが
求められます。
従って、付加的に結合親和性コーディングを行います。
構造がバックグラウンドデータによって詳細にわかれば、
その結合親和性を制御することで
細かい構造で決まる結合親和性の程度に基づいて
乖離のプロセスで脱離ストレス、力を
細かく制御することで
結合親和性に基づいて分離します。
すなわち、狙いの構造に対して特異的に
結合親和性が弱くなるように設計すれば、
小さな力を段階的にかけていき、
初めにアポトーシス小体から乖離した細胞外小胞が
目的の細胞外小胞となります。
細胞外小胞の特異性を上げるためには
膜たんぱく質の組み合わせコーディングが有力です。
すなわち発現量が多い複数の膜たんぱく質との結合を利用し
タンデムなプロセスで分離精製することで
その特異性をあげるというものです。
例えば
インテグリンαvβ3で初めに分けたものに対して
その次に発現量が多い
コネキシン43に基づいて
分離したものの中から
さらにこのコネキシン43に基づいてわけることで
細胞腫特異的な膜たんぱく質がなくても
膜たんぱく質の組み合わせ、掛け合わせの中で
より容易な条件で生じる細胞腫特異性にプローブします。
従って、細胞外小胞分離は多次元的なプロセスを含みます。
(1D)膜たんぱく質結合コーディング
(2D)結合親和性コーディング
(3D)組み合わせコーディング
少なくともこれらの次元が存在します。
(細胞外小胞の数の定量)
1mL当たり何個の細胞外小胞があるか?
これの定量に現在では課題があります。
例えば、血漿中に含まれる自然な細胞外小胞の濃度は
計測方法に依存して、おおよそ6桁の違いがあります。
これは、どれくらいの径、小ささの細胞外小胞を
その方法が検出するかにも依存すると考えられます。
細胞外小胞は、エクソソームよりも
さらに小さな径のものも存在し、
通常は、そうした径の小さなものほど
細胞膜資源を径に応じて少なくて済むので、
全体的な数としては、大きなものよりも顕著に増加します。
従って、
類似する条件で計量において6桁も数に違いが出ることは
おそらく、どれくらい小さな細胞外小胞を
検出し、数に含めているかに大きく依存すると考えられます。
具体的な定量分析には
ナノ粒子追跡解析(NTA)
動的光散乱(DLS)
画像フローサイトメトリー
これらがあります。
細胞外小胞の定量において人工知能の画像解析が
関与する余地があると思われますが、
2023年時点でまとめられた資料では(1)
この項目におけるAI利用については記述されていません。
(サイズ、形の決定)
細胞外小胞のサイズは直径で記されるものが多く、
楕円形や複雑な形状を数字として定量するまでの
正確性は求められていない可能性があります。
そもそも理想的な球形として仮に定め、
その直径の測定様式も
非常に多くの細胞外小胞を高スループットで示すこと。
このレベルですでに、大きな技術的障壁があります。
形に関しては、複雑なそれを数字化できないので
それを示すとなると
いくつかの抜き取りで
その細胞外小胞の実像を写真として載せて
明示するということになるかもしれません。
サイズ計測に関して、例えば、
低温電子顕微鏡で細胞外小胞を観察して
それで直径を計測する方法は正確ですが、
当然、プロセス時間は顕著に長く、
大量の細胞外小胞を個別に測長することには適していません。
拡散速度と粘性に基づいて
液体中の動きから粒子径を計算によって求める
水動力学的計測方法もあります。
しかし、この方法ではサイズが過大に評価される。
このことが多いとされています。
人工知能利用とは記載されていませんが、
このサイズ計測のところでは
ソフトウェア利用が示されています。
しかし、
アルゴリズムによって計測にばらつきが出るため、
どういったソフトウェア、バージョンを使ったのか?
それの明記が少なくとも求められるとされています。
(物質分析)※独自記述
細胞外小胞の物質(タンパク質、脂質、核酸、糖)分析は
小児脳腫瘍残存病変の分析において必須です。
液体生検から分析するときには
その細胞外小胞を再利用することがないので
分解して、マルチオミックス解析をすればいいと
現時点では認識しています。
実際に分離精製した細胞外小胞を商品として扱う場合には
その品質を保ちながら、
膜たんぱく質、膜特性、内容物を評価する必要性が出てきます。
抜き取り検査で、破壊を伴う物質分析。
このパターンも考えられます。
全数検査が求められると
非破壊で分析する必要があるため、困難を極めます。
こうした物質分析は種類だけではなく
その存在量を定量する必要が出てくる場合もあります。
また、糖やたんぱく質の場合は
それが膜表面にあるのか、内容物として存在するのか?
それらを分けて明記するとなると
また、分析のために難易度が上がります。
(フローサイトメトリー)※独自記述
サイトメトリーは細胞を定量する方法としても利用されます。
細胞に光を当てて、その光の散乱光を受光素子で検出します。
高スループットの方式です。
フローサイトメトリーは任意の光学系を通過する
細胞の経路を空間的に限定して、
その光学系を通過する物体への光の入射、散乱で
通過する物体を定量します。
これは細胞外小胞の定量にも利用されます。
こうしたフローサイトメトリーは
通過する空間設計を工夫することによって
個別の特性を持つ細胞外小胞を個別に定量することが
原理的に可能です。
例えば、通過する光学系内に
任意のモノクローナル抗体を固定相に結合させて
特定の波長を蛍光発光するようにしておき、
細胞外小胞が付着したところで
その細胞外小胞の物体付着に応じて
特定の波長をもつ蛍光発光の
物体結合特異的な散乱光を検出することで
フローサイトメトリーを付加的に機能化できます。
(遺伝子的タンパク質タグ)※独自記述
細胞外小胞の膜たんぱく質の存在を評価、定量する方法として
遺伝子的な形成したタンパク質タグが利用できます。
この場合、タグが結合したこと、
また、結合した数、
それを細胞外小胞に対して
視覚的、運動学的、光学的な方法などで
評価できるシステムを付加的に構築することが必要です。
(マルチオミックス解析)※独自記述
上述したように細胞外小胞の構成物質を分解して
タンパク質、脂質、糖を質量分析に基づいて
分析することが可能です。
この場合、たんぱく質、脂質、糖を
どういった区分で分析するかの選択肢があります。
分解しないでそのままの状態で分析
のちに分解してタンデムに分析する方法も考えられます。
タンパク質ではそのような方法がすでに提案され
トップダウンプロテオーム解析とされています。
この方式は、前処理に難しさがありますが、
より詳細な構造情報を手に入れることができます。
このようなフレームワーク、枠組みは
脂質、糖の質量分析でも利用できると考えられます。
物質の構造分析ににおいて
上述した質量分析のほかに
核磁気共鳴分析やクロマトグラフィーが補助的に利用できます。
(原子間力顕微鏡)
細胞外小胞を位置が固定されるように
固体表面(基板)上に付着させます。
針を当てて、針と細胞外小胞表面構造物との原子間力によって
輪郭をコントラスト差をつけて
イメージングしてきいます。
このとき針と細胞外小胞膜表面間に生じる原子間力は
細胞膜の機械的特性を反映しするので
形や大きさと同時に硬さなどの機械的特性を提示することができます。
(参考文献(3) Graphical abstract)
(回折限界蛍光顕微鏡)※独自記述
光学顕微鏡での空間分解能は検出のために利用する
レーザー光の波長によって上限が決まってきます。
おおよそ波長の半分くらいの空間分解能が限界になります。
しかし、蛍光発光顕微鏡では
そうした光の回折限界を超えた分解能を得ることができます。
その理由は、蛍光発光させる領域を
蛍光ラベル物質の構造を分子レベルで空間的に制限することで
その蛍光発光の領域がレーザー光のスポット径よりも
顕著に小さくすることが可能だからです。
STED(Stimulated Emission Depletion Microscopy)
PALM(Photoactivated Localization Microscopy)
STORM(Stochastic Optical Reconstruction Microscopy)
これらなどがあります。
例えば、細胞外小胞の製造の管理において
クラゲなどで存在する蛍光発光たんぱく質を
その遺伝子コーディングに従って
mRNAコーディング領域に
細胞外小胞マーカーとなるテトラスパニンなどと
タンデムに付加させることで
細胞外小胞の生物発生のプロセスや
細胞外小胞のサイズ、形、たんぱく質数、個数、単離性(凝集)。
これら研究開発、製造にかかわる
重要な項目を視覚的に高精度で確認できる可能性があります。
こうした蛍光発光による光検出は
同時に光の散乱や光の干渉(回折)を付加的に得ることで
信号雑音比(S/N比)の向上や
蛍光発光による局在的情報では得られない
幾何学的情報(サイズ、形)、物理的情報などを得ることが可能です。
これらを組み合わせることは
両者の弱点を補う一定の相乗効果があります。
(動的光散乱)※独自記述
水動力学(Hydrodynamic)は、
液体中の細胞外小胞の動的機序を考えるものです。
ブラウン運動のストークス・アインシュタイン理論に基づいて
拡散係数、液体の粘性、温度、ボルツマン定数、粒子径の関係性から
細胞外小胞の特性評価を行うものです。
液体中の速度を光散乱状態の時間変化を検出することで計算し、
それにより拡散速度を得ます。
液体の粘性、温度は既知ですから、
そこから細胞外小胞の粒子径を計算することができます。
この方式の一つの大きなメリットは
細胞外小胞の分離プロセスとサイズの計測を共有化できることです。
すなわち、細胞外小胞を拡散速度に基づき
サイズごとに時空間的に局在化させながら、
同時に、そのサイズや数を光散乱によって計測することができます。
(電子顕微鏡)※独自記述
上述したように電磁波(光子)を
イメージングのための媒体として利用する場合には、
イメージングにおいて最も重要な性能項目の一つである
空間分解能を考慮する必要があります。
特に、細胞外小胞→エクソソーム、Exsomereは
粒子径が100nm以下と小さく、
その中の細かい機能的な構造を詳細に評価するためには
分子レベル、すなわちÅオーダーの空間分解能が少なくとも必要です。
電子顕微鏡に利用される電子線の波長は0.037Åなので
電磁波、回折限界による空間分解能の制限をほとんど無視できます。
従って、電子線をサンプルに照射し、
その2次電子線を検出するSEMや
透過電子線を検出するTEMがあります。
特に透過電子線顕微鏡(TEM)は高い分解能が期待できます。
また、細胞外小胞は生体内の柔軟な構造を持つため、
温度によって、格子振動する場合、
分子レベルで像を得るときには、
こうした振動が像の正確性に影響を与えてしまいます。
多く含まれる水分など物質を高度に固定する意味もありますが、
一般的に細胞や細胞外小胞表面、内部の構造を正確にみるときには
物質、測定系を低温にする
クライオ電子顕微鏡が利用されます。
(拡大顕微鏡)(4,5)※大部分、独自記載
小さな物体を等方的に大きくできるということは
分子の構造分析や細胞外小胞の分析において付加価値をもたらします。
例えば、
エラスチンという細胞外マトリックスがあります。
通常は疎水性相互作用によって高度に
タンパク質構造が折りたたまれた構造です。
このエラスチンを骨格としたヒドロゲルを
水を多く含有しやすいヒアルロン酸などと
複合体化させながら分子構造を構築します。
複合体化させる水分子は、重水分子に変えることも可能です。
この時、エラスチンのフック弾性特性が
最大限、ヒドロゲルの体積変化に生かされ
その拡張が等方的であるように設計する必要があります。
一方で、細胞外小胞を埋め込むときには
液体中で適切な配置を維持しながら、
ヒドロゲル前駆体溶液中に浮遊する必要があります。
また、ヒドロゲルも
細胞外小胞を十分に収納できる体積で
制御しながら、マスとして形成される必要があります。
また、骨組みが形成過程で適切に配置されなくてはなりません。
こうしたプロセスは高度な最適化が必要です。
こうして細胞外小胞、あるいは膜たんぱく質を
ヒドロゲル等方的体積拡大を用いて
構造を保ちながら拡大できたら、
より詳細な分子幾何構造を分析することが可能になります。
私の細胞外小胞分離、細胞腫特異的薬物送達システム。
これらの細胞外小胞を中心としたプロジェクトは
非常に小さなスケールでの勝負となるので、
こうした「ヒドロゲル拡大構想」(4,5)は
一つの有効な分子、幾何情報を私たちに提供してくれます。
(核酸)
細胞外小胞は小さいものは30nm程度から
大きいものでは5μm程度のものまで少なくとも存在します。
その大きさ、プロセスによって収納できる核酸も変わってきます。
細胞内のDNAは通常、細胞核内に収納されていますが、
いくつかのケースで
細胞外小胞に(断片化された;Fragmented)DNAが含まれている。
このことが挙げられています。
DNAがダメージを受けることが
細胞核膜の破壊を誘導するのか?
細胞膜核の破壊がストレスによって生じるから
その中に保護されているDNAがダメージを受けて
細胞質に滲出するかわかりませんが、
いずれにしても、
細胞の癌化など病的な状態では
通常、あまり存在しない細胞質にDNAが漏れ出すことがあります(6)。
そうしたDNAが細胞外小胞内に混入することがあります。
また、細胞死(アポトーシス、ネクローシス、フェロトーシス)した際に
大量の細胞外小胞が放出されますが、
その際に細胞核内にあるDNAも断片化されて
細胞外小胞内に含まれることがあります(7)。
従って、細胞外小胞にDNAがカーゴとして含まれている。
この場合、その細胞外小胞の分泌細胞に
何らかの異常があった可能性が高いです。
特に細胞死するときには
細胞にある染色体のDNAがすべて
細胞外小胞内か、環境内に放出されるので、
大きな細胞外小胞の中に多くのDNAが含まれている場合、
その細胞外小胞は細胞死の時に生じた。
この可能性が高いことが推測されます。
細胞死のシグナルを液体生検から検出することは重要です。
特に発達期の健康な子供では
連続的な組織の連携性が非常に密で
高度な制御下にあり、緩やかに組織が成長していくため
健康なプログラム細胞死である
アポトーシスの感受性が体全体で
大人の体に比べて高くなっていることが指摘されています(8)。
アポトーシス時の細胞外小胞は
通常の生存時に放出される細胞外小胞よりも
1つ当たりの絶対量としては当然多くなります。
なぜなら、
細胞を形成するすべての膜資源が切断されて
その一部が胞となって、
すべて環境中に放出されるからです。
さらに、アポトーシス時に放出される細胞外小胞は
通常の細胞外小胞よりも
細胞核内のDNA、たんぱく質(クロマチン)などの
通常、細胞外小胞の生物発生ではアクセスできない物質も
細胞外小胞のカーゴとして含まれることになります。
こうした物質は上述したように
細胞死時に生じた細胞外小胞の物質的マーカーとなります。
他方で、
こうしたアポトーシス時に含まれる
細胞外小胞を分離精製して、
マルチオミックス解析をすることで
健康な子供の体の中の細胞の状態を
通常の細胞外小胞よりも詳しく調べることができます。
ヒトの成長時の生体内の情報において
特に健康な子供(胎児を含む)の物質情報は
現時点では非常に限られるため、
それを簡易的な液体生検で分析できる可能性があることは
ヒト生物学(human biology)を大きく前進させる駆動力となります。
健康な状態を知ることで
逆に子どものころにかかる遺伝的疾患を
今までと違った観点で理解することにつながるかもしれないし、
子どもと高齢の方を比較することで
「老化とは何か?」
その根源的な問いの答えの一部を示すことができるかもしれません。
老化を知るために、高齢者を調べることが
すべての理解につながるとは限りません。
むしろ、老化が進んでいない
ヒトの人生の初期の時点の健康状態を正確に知ることで
老化についての理解が深まる可能性があるからです。
癌では、その付加的に存在する異常な悪性細胞を
放射線治療、
超音波治療(サーマルアブレーション)
薬物治療
(自然な機能を含めた)免疫。
これらによってより多く細胞死させ
組織を退縮、消滅させることが治療の目的です。
その時には
癌細胞が細胞死した事実、
癌細胞が細胞死したときに癌細胞内の物質。
これらを精密に分析することが
治療の評価、2次治療の方針決定において重要です。
細胞死したときに
細胞外小胞には上述したように
細胞核内の物質を含めて、
多くの癌細胞内の物質が細胞外小胞内に収納されるので
それを分析することで
例えば、放射線治療であれば、
今までよりもより正確に
放射線がどのように癌細胞を死滅に至らしめるのか?
それについて患者さん事、
癌細胞種精度でリアルタイムに理解できる可能性があります。
当然、薬物療法では薬理の確認にも利用できます。
こうした細胞外小胞の分離精製に基づく技術が成熟すると
癌治療を行った後に、残存病変の定量化のために
細胞外小胞を分析する可能性がありますが、
その機会に、癌細胞死由来の細胞外小胞を
分析することもできます。
いずれにしても、
細胞外小胞内にDNA断片が含まれている場合、
特別な注意が必要です。
一方で、RNAは細胞核膜を核孔を通過できるため
細胞内を細胞核を含めて、
比較的自由に移動し、分布することが可能です。
従って、mRNA、miRNA、siRNA、tRNAを含めて
多くのRNAが細胞質に含まれ
その一部は細胞外小胞に包まれ、細胞外に放出されます。
当然、新型コロナウィルスやインフルエンザウィルスなど
RNAウィルスに細胞感染している状態でも
RNAウィルスのRNAを細胞外小胞に取り込んで
循環器に放出され、
液体生検で検出可能な状態が生じることがあります(9,10)。
唾液によるPCR検査でウィルス感染の有無を診断できますが、
細胞外小胞で検出する場合は
手間を惜しまなければ、
感染細胞種が付加的にわかる可能性があります。
例えば、
オミクロン株の新型コロナウィルスでは
上気道の細胞には感染しやすいけど、
肺の細胞には感染しにくいことがわかっています。
これが、オミクロン株の人命に対する脅威の低さに起因している。
という認識も少なくとも一部ではあります。
こうした試験管で確かめられたことが
実際に人の体でも同じであるということの評価が
高精度細胞外小胞分離と
細胞腫特異的細胞外小胞内ウィルスRNAの検出で可能になります。
また、デルタ株は
新型コロナウィルス世界的流行で
最も人命に対する脅威を与える毒性の高い株でした。
幸いにも、この時にはmRNAワクチンが
ある程度、普及していたため、
予防的処置であるため、多くの人は認識していませんが、
The New England Journal of Medicineの
大規模、効果検証報告から(11)、
世界的に多くの命が「陰で」救われた。
あるいは致命的な後遺症から救われた。
特にデルタ株流行時期においては、
このように少なくとも一定の合理性をもって明言することができます。
なぜなら、東京大学の佐藤 佳 教授の精力的な研究によって
デルタ株は肺の細胞において
膜融合などを含めて、高い毒性を持っていることが
試験管で少なくとも示されていたからです(12)。
これは細胞の現象にかわりなく、
もし、生体内で同じことが起こっているとしたら
細胞死も含めて、こうした細胞現象を
肺感染細胞由来の細胞外小胞を特異的に分離精製し
その中のウィルスRNAを含めて、物質解析することで
試験管内(in vitro)、マウス(in vivo)で生じたことが
実際にヒトの生体内で生じていることの確認。
あるいは物質分析することで
何らかの付加的な物質的情報が得られる可能性もあります。
従って、細胞外小胞分離技術は細菌だけではなく
ウィルスも細胞内で作用し、増殖する以上、
少なくとも間接的にその作用機序、増殖機序、毒性、数、種類などを
詳しく分析することを可能にします。
例えば、エイズはまだ、根治させることができない
ウィルス感染、免疫不全疾患です(13)。
エイズウィルスがどの細胞種に潜んでいるのか?
細胞外小胞からRNAや
CD4 T細胞から出る細胞外小胞の包括物質分析
CD4 T細胞死時に生じる細胞外小胞の包括物質分析。
これらによって、
エイズに罹患されている患者さんにおいて
CD4 T細胞でどのようなことが生じているのか?
それを人のケースでリアルタイムで分析できる可能性があります。
また、エイズ感染がみられる
細胞膜たんぱく質の情報がえられれば
選択的にその細胞に有効に抗ウィルス薬を送達できる可能性もあります。
様々なウィルス性感染症がありますが、
試験管で細胞レベルでどういったことが生じているか?
物質的情報を含めて、把握することが
今のテクノロジーで実現することができますが、
実際にその事実が人の体内でも生じているか?
細胞外小胞による物質分析は
試験管と人生体内を架橋するものになります。
それによって試験管で細胞生物学を研究する
より高い駆動力につながります。
従って、細胞外小胞分離技術は
分子レベルの微小な世界での勝負なので
実際に実施してみると想像以上に難しい可能性が高いです。
通常、薬物送達では10^6倍の送達純度を達成することは
目標として極めて現実的なことからかけ離れています。
それだけ、自然のマテリアル相手に
ppmオーダーの純度で特異的に分離精製することは
薬物送達と同様に困難を極めることです。
確かに分離精製はできるけど、
目標の仕様に数桁到達しないということも想定されます。
しかし、
今は知られていない環境中のウィルスや
体の中に存在するウィルスについても
今までよりも詳しく検出できるようになるかもしれません。
環境管理、保全を含めて
広範に日本、世界の公衆衛生(Public health)に
関連する可能性があるため、
何とか成立、確立させたい技術ではあります。
(核酸の分析)※独自記述
細胞外小胞のRNAの配列分析のためにRNAseqが用いられます。
逆転写酵素で相補DNAに変換後、
4種類のヌクレオチド(A、T、C、G)を以下の方法で区別して
シーケンス情報を分析します。
(NAs1)蛍光発光シーケンシング
(NAs2)ナノポアシーケンシング、
(NAs3)SMRTシーケンシング、
(NAs4)半導体シーケンシング、
(NAs5)表面プラズモン共鳴技術
4種類のヌクレオチド(A、T、C、G)は構造が決定されているので
それぞれのシーケンス判別プロセスでは
あらかじめ決まった4つの物理的特性を個別に検出することになります。
従って、未知の任意の物質を分析するわけではないので
こうした分析のためのプロトコルは
4種類のヌクレオチドを個別に分析するために
システムが最適化されます。
初めに相補DNAにRNAを逆転写する理由は
RNAが一本鎖で構造的に不安定なので、
対応する構造が安定なDNAに変換するということです。
一方で、新型コロナウィルスの検出など
すでに対象となるRNA、すなわち遺伝子シーケンスがわかっている場合には
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)
PCRが一般的に用いられます。
すでに、調べる遺伝子コードが明らかなので
対象となる遺伝子特異的な遺伝子コードに
特異的に結合できるプライマーを用意します。
この時、アクセスする遺伝子コードはすべてである必要はあります。
例えば、20塩基対であれば、
それですでに1兆(10^12)通りあるため、
そのうちの1つを指定するということは
ほぼ確率的に特定のRNAを指定することになるため、
これくらいの20塩基対に結合できるプライマーを結合します。
このときもRNAは逆転写して
構造的に安定な遺伝子シーケンス情報を
引き継いだ相補的DNAに変換されます。
(細胞内小器官とEVカーゴ)※独自記述
核酸の段落で詳細に述べました。
細胞外小胞が放出されるときに細胞内がどういう状況にあるのか?
それによって、細胞外小胞内に含まれるたんぱく質、核酸、脂質などの
カーゴ、積載物が当然異なります。
細胞内の構造について細かく考えると
非常に重要なことがわかる可能性があります。
細胞内小器官には
1. 核 (Nucleus)
2. ミトコンドリア (Mitochondria)
3. リボソーム (Ribosomes)
4. 粗面小胞体 (Rough Endoplasmic Reticulum, RER)
5. 滑面小胞体 (Smooth Endoplasmic Reticulum, SER)
6. ゴルジ体 (Golgi Apparatus)
7. リソソーム (Lysosomes)
8. ペルオキシソーム (Peroxisomes)
9. 細胞質基質 (Cytosol)
10. 細胞骨格 (Cytoskeleton)
11. 中心体 (Centrosome)
12. バキュオール (Vacuoles)
13. 葉緑体 (Chloroplasts)
14. 小胞 (Vesicles)
15. 細胞膜 (Plasma Membrane)
主にこれらの組織があります。
それ以外にも細胞核内に46本の染色体があります。
これらは主にたんぱく質、核酸、脂質などで構成されます。
当然、識別可能な特異的な構造を少なくと保持しています。
細胞死のプロセスはこうした細胞内器官の物質が
細胞外小胞内外においてすべて環境中に
細胞から断片化されて放出されることになります。
従って、通常、生存している細胞外小胞から
放出された細胞外小胞のカーゴ内に含まれる
タンパク質、核酸、脂質などの構成と大きく異なるはずです。
上述した細胞内小器官の物質が
細胞外小胞に多様に含まれている場合には
それが細胞死によって生じた細胞外小胞である確率が
同然、上がります。
あるいは特定の細胞内小器官の物質が
突出して多ければ、
その細胞内小器官が何らかの異常ある状態の
細胞から放出された細胞外小胞である可能性があります。
一方で、ミトコンドリアなど
細胞内の多く存在する細胞内小器官は
一定の寿命で代謝回転している可能性があるため
その分解プロセスで生じた物質を
細胞外小胞が取り込む可能性も否定できません。
従って、
そうした細胞内小器官のカーゴ内の物質の有無
そのものが信頼性ある細胞死、損傷マーカーであるかは
より詳しい研究が必要です。
ただし
量と種類が重要で
あまりにも逸脱して量と種類が豊富であれば、
現時点でも、それは細胞死したときに放出された
細胞外小胞である可能性があります。
いずれにしても
細胞内の組織の特徴をよく考えます。
例えば、染色体の構造は細胞の形質を決める基本的な部位のため
ミトコンドリアのように代謝回転は当然しません。
従って、
細胞外小胞に染色体の物質がカーゴとして含まれている場合と
ミトコンドリアの核酸、たんぱく質が含まれている場合では
あるいはそれら両方が含まれている場合では、
その細胞外小胞から細胞内の情報を推定するうえでの
解釈の仕方が異なります。
細胞外小胞は通常はほとんど情報として得られない
細胞内の細胞内小器官や細胞核内の状態を
限られた物質から推定することを原理的に可能にします。
この「限られた情報」から
完全な細胞の情報を推定することは
人工知能の強化学習と親和性が高いです。
従って、うまくアルゴリズムを組めれば
将来的には、この分野の技術開発が進み、それが成熟化すれば
細胞外小胞のカーゴから
人工知能によって細胞内の情報が正確に推定できる可能性もあります。
こういったことは試験管レベルでも
まだ、十分に研究されていない領域です。
それが、健康な人を含めて
人の生体内で、生きた状態で、リアルタイムで
しかも採血など簡便な様式でわかる可能性があるということです。
(たんぱく質と分析)※独自記述
細胞外小胞は細胞の痕跡、
細胞の状態を映す鏡のような存在です。
特に細胞を構成する物質のうち50 - 70%はたんぱく質ですから
細胞外小胞内、膜上に存在するたんぱく質を
遺伝子シーケンスを含めて詳しく分析することは
上述した細胞内小器官の状態を含めて、非常に重要です。
しかし、液体生検で含まれる細胞外小胞は
体全体にある30兆個の細胞と数百種類の細胞種から
放出された細胞外小胞は混合されている状態です。
上述したように個別の細胞の状態を
細胞外小胞を媒体として探針することは
ppmオーダーの非常に高い精度の分離技術と
限定的な量から正確に分析する技術両方が求められます。
例えば、1個、数個といったたんぱく質を正確に分析するためには
それらのたんぱく質を確実に分離することが求められます。
タンパク質のコピー、増幅も考えられますが、
それをするためには遺伝子コーディングの把握が必要です。
遺伝子コーディングの情報が得られるということは
タンパク質の種類の重要な解析が終了しているということです。
従って、このたんぱく質の構造や種類を決定する
遺伝子コーディングが未知の状態で
その分析を高感度にするために
限られたたんぱく質の構造をコピーして増やすことは
今の技術では少なくとも難しいです。
従って、
限られたたんぱく質を確実に分離精製して
それを高感度で逆翻訳解析、プロテオーム解析することが求められます。
量が非常に限定的な場合は
この解析が困難を極める可能性があります。
あるいは、数が非常に限られる場合には
超解像度の顕微鏡を用いて、人工知能の力を借りながら
タンパク質構造を決定する選択肢も考えれますが、
解像度を回折限界以上に上げるために
蛍光発光させる必要があります。
しかし、選択的に蛍光発光させるためには
あるいは強化学習させるためには
多くの場合、たんぱく質の構造が
あらかじめ既知である必要あるため
タンパク質の種類、分析したい標的が
わかっていない分析においては
こうした手法を利用することができません。
上述したように細胞外小胞分離技術が原理的に可能なこと。
その理想的なことばかり述べているようですが、
実際には分離精製のためには
分子レベルの設計正確性が必要であり、
細胞外小胞の凝集、融合などの複合体化もあります。
また、分析できるたんぱく質、核酸の数も限られる可能性があります。
場合によれば、目で見えない
光学顕微鏡でも見えないレベルのスケールの物質が
溶液中に100万個あり、
その中の特異的な1個を確実に分離して、
その限られた数の物質を詳しく分析するようなものです。
これが容易ではないことは明らかです。
(ラマン分光法)※独自記述
物質に光を照射すると、物質の分子にある電子が励起されて
その電子の緩和過程で光が放出されます。
その時に入射光と出射光の波長、エネルギーは完全に一致せず
出射光の光の波長がシフトすることがあります。
これを非弾性散乱といいます。
通常、無機物質のように周期的な結晶構造を持っていると
それに応じてバンドギャップが定まり、
光の吸収端がそのバンドギャップに応じて定義されます。
しかし、たんぱく質などの有機高分子では
非常に複雑な3次元構造をとることから
一つのたんぱく質でも複数の吸収端を持ちます。
従って、
タンパク質の分子の電子を励起するときに
利用される光の波長は目的に応じて選択することができます。
ラマン分光ではラマンシフト信号のノイズとなる
蛍光発光の影響が極力すくない波長が選択されます。
それが、可視、緑の領域の532nmです。
しかしながら、532nmということは
スポット径は200nm程度までしか下げられませんから
焦点位置に小さい細胞外小胞であれば
すべて覆われる。
いいかえれば、
細胞外小胞の表面タンパク質、表面糖、脂質膜、
内容物を含め、すべての要素において
構成物質の吸収端分子の電子が励起されることになります。
従って、様々な物質から散乱光データが
混在して検出されることになります。
非弾性散乱でどれだけ波長シフトするかは
炭素、窒素、酸素、水素の結合の組み合わせによって
固有に変化します。
それらが総体としてスペクトルデータとして出力されるので
一つ一つのスペクトル強度は微弱になり、
それらを分析して、物質構造を正確に掌握することは
複雑な解釈が必要になります。
多変量解析や機械学習などが用いられます。
また、表面プラズモン現象などを利用して
微弱な信号を強化させるようなシステムもあります(14)。
(抵抗パルスセンシング)※独自記述
抵抗パルスセンシングは
細胞外小胞が浮遊する液体中に電流を流します。
細胞外小胞を圧力によって、拡散させ、
その拡散経路において
細胞外小胞の大きさレベルまで経路を閉塞させます。
そうすると閉塞させた領域では
電流が集まるわけですが、
細胞外小胞がその空間的に制限された領域を通過するときに
電流経路を妨げるので、抵抗が上昇します。
それを検出することで
細胞外小胞の粒子径を計算することができます。
その抵抗値から計算することもできるし
どれだけの時間、抵抗が上昇したか?
すなわち細胞外小胞の拡散速度からも
おそらくアインシュタイン・ストークス関係式より
粒子径を計算することができます。
こうした拡散速度は
ジオメトリを工夫し、
パルス信号間の時間を計測することで
より正確に見積もることができます。
また、そのパルス信号の数を計測することで
細胞外小胞の数を定量化することもできます。
(ウェスタンブロッティング)※独自記述
ウェスタンブロッティングは
細胞外小胞の大きさで分けるなら大きさで分ける分離方法を
前プロセスとして行います。
例えば、電気泳動法、濃度勾配などが考えられます。
もっと言えば、
細胞外小胞分離技術でも構いません。
ウェスタンブロッティングは
細胞外小胞からの発光信号に応じて
その数を計測するものです。
分離、発光による計測があります。
従って、発光のプロセスも蛍光発光でもいいし、
HPP(複合体化)-HRP(付加材料)反応による発光でも構いません。
(細胞外小胞分泌量調整)※独自記述
細胞外小胞の分泌量は少なくとも以下の要因で変化します。
(ExSF1)エンドソーム生成量
(ExSF2)エンドソーム-細胞膜結合、融合
(ExSF3)膜の変形
(ExSF1)エンドソームの生成量は様々な因子によって変化します。
細胞表面の受容体がリガンド結合によって
活性化するとエンドソーム量が増えることがあります。
例えば、レプチン受容体です(15)。
そもそも細胞がエンドソーム量を変えるように適応するのは
なぜか?それについて考えることも重要です。
「恒常性(Homeostasis)」という概念があります。
こうした概念は組織や人の体全体
あるいは免疫機能などで使われることがありますが、
単一細胞レベルでも恒常性を保つ機能があります。
例えば、細胞が栄養不足になれば
エネルギー取得のために
細胞は細胞外の多くの栄養素を効率的に取り込む必要があります。
従って、こうした場合
エンドソームはエンドサイトーシスによっても生じ、
このエンドサイトーシスがまさに
細胞外から物質を取り込む生物学的プロセスです。
従って、栄養不足になれば
エンドソーム量は増えることになります。
他方で
酸化ストレスなどで細胞に異常が生じたときも
その異常を周りに知らせる必要があるため
エンドソーム量を増やして
細胞外へ内分泌物質を多く放出します。
エンドソーム量は特にエクソソーム量と関連があるため
細胞の状態によって
エクソソーム量は様々な経路で変化する可能性があります。
(ExSF2)エンドソーム-細胞膜結合、融合に関しては
代表的な結合因子はRAB27A/Bです。
これを抑えると
細胞外小胞の分泌量が低下することは報告されています(16)。
(ExSF3)膜の変形に関しては
エクソソームに関してはテトラスパニンや
エクソソームを閉じる働きがあるESCRTなどが
その生物発生量に影響を与えると考えられます。
一方、細胞膜から直接、発芽(Budding)するプロセスで
形成されるエクトソーム(Ectsome)は
脂質ラフト誘導の細胞接着分子集合化や
それに付随した細胞接着分子の
アダプターたんぱく質(足場たんぱく質)。
これらが駆動因子になります。
Rho familyは細胞突起の一つであるfilopodiaの
駆動因子となります(17)。
エクトソームの生物発生については
いくつかのパターンがあるため(15,18)、
一つ一つの個別のプロセスの詳細が
明らかになっているわけではありません。
ただ、細胞膜の形を変えるための支持構造として
一般的なのがアクチンなどの細胞骨格なので
こうした細胞骨格の特異的な伸長や
それを促す物質的因子は
エクトソームの生物発生に関与している可能性があります。
もし、これがある程度、正しいとすれば、
エクトソームと判別するための物質的マーカーとして
特異的な細胞膜たんぱく質(BSG, SLC3A2など(19))。
これらだけではなく
エクトソーム生物発生時に隆起部分に
存在すると考えられる細胞骨格、
あるいはアダプターたんぱく質の一部が
カーゴとしての物質的マーカーとなる可能性もあります。
(細胞との相互作用)※独自記述
細胞外小胞は細胞間のコミュニケーション。
受容体結合を通じたシグナル誘導や
輸送媒体として
タンパク質や核酸などを細胞間で輸送する働きがあります(20)。
そのためには
当然、細胞外小胞は放出後、
異なる細胞と相互作用(結合、融合、取り込み)する必要があります。
こうした現象を区別して観察するためには
細胞外小胞は光学顕微鏡の分解能よりも
小さいものも含まれるため
超解像度の顕微鏡が必要になり、
その場合、蛍光発光させて動的ふるまいを追跡する必要があります。
いずれにしても
膜融合すれば、内容物がそのまま細胞質に放出されるし、
エンドサイトーシスされれば、
その一部は細胞質を横切って、
その細胞を貫通して移動することが可能になります。
(すなわち、トランスサイトーシス)
逆に言えば、細胞外小胞にトランスサイトーシス能力がなければ
細胞外小胞の及ぼす範囲は区画内に限られますから
血液中に多く流れ出すことはできません。
なぜなら、血液中に進出するためには
少なくとも一部は血管壁を超える必要があるからです。
実際に、血液中に
多くの細胞外小胞が検出されている事実がありますから
このことから、
細胞外小胞は細胞と相互作用する際
融合、あるいは細胞質内での分解を通じて
送達細胞に物質を放出するだけではなく、
トランスサイトーシスを通じて
細胞を構造を保護したまま、通過できる能力も有します。
他方で、エクソソームは
インテグリンの型によって
どの臓器に送達されやすいか(臓器向性:Organotrophy)。
それが決定されるという報告もあります(21,22)。
幾何生物学的には当然なのですが
このことから細胞外小胞の膜タンパク質と
細胞の膜たんぱく質は結合性を持ち、
それらの特異性が
どの細胞腫と細胞外小胞が高い親和性をもって
結合しやすいか、
また、それが細胞外小胞の濃度分布、
すなわち組織向性の一つの重要な決定因子になっている。
このことが示唆されます。
このような自然現象が
私が提案する細胞接着分子を利用した
細胞外小胞媒体による
細胞腫特異的薬物送達システムの枠組みの基礎となっています。
液体生検による
細胞外小胞分離技術の観点で
細胞外小胞と細胞との相互作用について考えると
細胞外小胞分離技術の
細胞膜上の付着物質や結合部位の分子構造の変化などは
その細胞外小胞が
細胞から放出されてから
どういう経路をたどってきたかという痕跡を示すものです。
例えば、肺の上皮組織から
血液中に流れ出るまでには
上皮細胞から放出されて、
間質、血管周皮、血管中膜、血管内膜の
組織的区画を少なくとも超える必要があります。
例えば、間質には細胞外マトリックスがあります。
血管内膜では内皮細胞内を通過する際に
一部の細胞外小胞は内皮細胞内の物質と
相互作用する機会があります。
あるいは内皮細胞の膜たんぱく質と
結合、離脱する機会があります。
血管に出れば、様々な代謝生成物が
膜上にコロナとして付着する機会があります。
これらが順に堆積するならば、
膜上の一番表面にあるコロナは
血管で付着したものかもしれません。
その下にあるものは
血管に出る前に付着したものかもしれません。
こうした物質に個別にアクセスして分析することは
細胞外小胞を分離すること自体よりも
さらに技術的な障壁が高いですが、
細胞外小胞にはこうした痕跡も残っているということです。
それは細胞外小胞が
様々な形で細胞と相互作用するからです。
(参照条件)※独自記載
研究開発をしていく上での基本的なプロセスは
何か条件を変えたとき、
細胞外小胞に機能を加えたときに
変えた条件の真の影響を見るために
変えた条件以外の項目で一致する
レファレンスサンプル、参照条件と特性を比較する必要があります。
何がバックグラウンドで存在するか?
条件を変えたことによって
どの機能が付加されたか?
それを把握するための比較サンプルは必要です。
(生体内の分析)※独自記載
人の体の中から自然に放出された
細胞外小胞をトラッキングするためには
上述したように、付着した物質の
層構造を分析することで
さかのぼって分析することが原理的に可能です。
あるいは
細胞外小胞の膜たんぱく質、膜構造、積載物すべてが
放出された細胞内の物質的情報の一部であるため
その物質を分析することで
細胞外小胞がどの組織、細胞種から分泌されたか?
それを推定することも可能です。
また、私が提唱する細胞外小胞分離技術の目的が
細胞外小胞を通じた生体内、
もっと言えば、細胞レベルの生体内の分析です。
細胞外小胞を薬物送達媒体
あるいは細胞外小胞そのものを
薬物(の一部)として利用する場合には
その細胞外小胞を
視覚的にも、物質的にも
プロキシ(代理マーカー)を用意すれば
おそらく可能です。
視覚的手段の一つとしては、磁気共鳴分析(MRI)を利用します。
プロキシとして、
細胞外小胞よりも物質として大きい
ヒドロゲルや細胞を使います。
それらの大きな代理マーカーと
生体外であらかじめ細胞外小胞を複合体化させます。
それが必要な理由は
磁気共鳴装置では
細胞外小胞1つ1つを追跡できるほどの
空間分解能と特異的信号検出を期待できないからです。
バックグラウンド信号が小さい励起分子、
かつ、大きな代理マーカーを立てる必要があります。
バックグラウンド信号が小さい
代替可能な励起分子は重水素です。
細胞には多くの水が含まれるので
それをあらかじめ重水に入れ替えます。
ヒドロゲルの場合は
タンパク質と水の複合体の水の成分を重水に変えます。
その状態で造影剤であるガドニウムを
有効に局所的に添加します。
また、実験的に証明された方法ではないですが、
磁気共鳴装置で人のケースで
循環器中の細胞外小胞の動きを
赤血球などの代理マーカーを通して
視覚化できる可能性があります。
物質的分析では
細胞外小胞に識別可能な核酸(バーコードmiRNA)、
あるいはたんぱく質(特異的アミノ酸配列)、
これらを内容物、あるいは表面に含有させます。
内容物に関しては
その細胞外小胞が送達された細胞で放出され
それがその送達細胞から放出される
細胞外小胞に
その識別可能な物質が内包され、
循環器に放出されれば、
液体生検からその特異的細胞外小胞を
高精度の分離精製できれば、
細胞外小胞が送達された細胞種を特定することが可能です。
あるいは
表面に装飾した特異的アミノ酸配列を持つたんぱく質が
離脱されやすいようにすれば、
途中の経路で通過した細胞種も
そのタンパク質から明らかになる可能性があります。
表面の物質が細胞内の環境で
内包物を出さずに離脱されることを期待します。
これは、RNAでも構いません。
例えば、リンカーとして
細胞質内で低下するpH依存的に乖離するようにすれば
初めに通過した細胞質で
選択的に離脱するシステムを組めるかもしれません。
細胞外小胞の生体内分析は多岐にわたります。
細胞死、細胞内小器官の状態、
癌細胞の生死、薬理の確認など
通常、直接的に生体内の組織を分析することなくして
分析ができない、いくつかのことが部分的に可能になります。
なぜなら、
液体生検で細胞外小胞の物質情報を
分離精製して扱うことができたら、
細胞内の物質情報の一部を
特異的に扱うことを許されるからです。
こうした生体内の多様な分析を可能にするためには
マスク細胞外小胞やRNAの任意設計、
人工スパニン生物発生、膜内形成などを要素技術として含む
細胞外小胞のバイオエンジニアリングや
それを一部要素技術として
超高精度の細胞外小胞分離技術が必要になります。
従って、
こうした技術の達成レベルによって
上述した細胞外小胞の生体内分析の範囲、レベルも
正の相関を持って変化します。
今、ここで述べていることは
その達成レベルが高くなった時を想定して
それによって可能になる生体内分析を想定しています。
(まとめ)
特に後半部分は
国際細胞外小胞学会がレポートに挙げている項目を参考にしながら
今の私の知識を持って、独自に記述させてもらいました。
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細胞外小胞関連技術におけるテトラスパニンの重要性 ~背景的な説明を含めて~
役に立つ研究が優先される事の是非について
特に大学や研究機関で議論されて久しいです。
社会に役に立つ研究ばかり優先されると
面白くないし、逆にイノベーション、発見もない
という意見、考え方もあると思います。
「役に立つ」という定義がどのように捉えられているか?
私の印象としては、
その国の経済的価値を生み出すかどうか?
経済的観点が優先されているようにも思えます。
ただ、経済とは主に金銭の交換であり
その本質的な源泉が付加価値であるとします。
では、その付加価値の源泉は?
人々の健康、幸せ、便利などが挙げられると思います。
今では、動物、植物などを含めた生物の利益、
その他、地球の自然資本に対する利益おあるかもしれません。
そのように上流を丁寧にたどっていくと、
「役に立つ」に対する観点もより広がるかなと思います。
そうした一般的に役に立たないと言われる研究が
その研究の利害関係者や将来の子どもにとっての
興奮、幸福につながるのであれば、
それは広義にみれば「役に立つ」では?とも思います。
一方で、今、基礎研究している事の応用がわからない。
研究している当事者の方ですら
そういう事があると思われます。
今、私がしている基礎研究は
明確な応用が見えていて、
おそらく実現すれば高い確率で経済的価値を生み出します。
そのような基礎研究というのは
当然、大学、研究機関でも行われますが、
経済的利益につながるとなると
他方で、企業(営利団体)も
積極的に関与できる条件が揃っています。
今まで何度も丁寧に申し上げてきた通り、
細胞外小胞の分離が高いレベルで出来ると
世界が変わる、くらいに思っています。
細胞生物学、医療だけではなくて
主に微生物の生態系の維持、調査にも波及します。
微生物は人の体内にも存在しますし、
それが90%という見積もりもあります。
食物連鎖の底辺にある動物である
昆虫などの生物多様性が失われる事が危惧されますが、
もっと底辺には微生物の存在があります。
生態系の底辺を支える微生物に探針を当てる事が出来る事は
それに専門的に関与する方々だけではなく、
世界に相当なインパクトがあると思っています。
他方で
基礎生物学や臨床である医療にも影響を与えます。
今、私が取り組んでいる事は
そうした出口、応用が見えているので、
正直、出来るかどうかに関して
心が躍るような面白みはあまりないのです。
企業の研究開発者がする
事業化への最適化のような感覚もある。
ただ、
普通の基礎研究よりは
課題が明確なので、何をすべきかがわかりやすい。
このことがあります。
従って、研究テーマに対するアプローチが
一般的な基礎研究とは異なります。
細胞外小胞の膜タンパク質の装飾。
それを利用した薬物送達システム構築、評価、
あるいは細胞外小胞分離、物質分離などにおいて
初めの基礎研究の段階から
製造、生産のことを考えながら行います。
例えば、
良品、不良品をどうやって確認、選別するか?
そんなこと基礎研究段階で考えないと思いますが、
案外、細胞外小胞に関しては
その生産の所ですら、
極めて高い専門的な技術、知識が必要です。
細胞外小胞の明らかに見えている課題は
様々な特性における異種性、バラツキの大きさです。
しかも、対象物が小さいから、
コントロール、ハンドリング、評価。
これらが難しいという事があります。
また、自然に存在するものなので
タンパク質と同様に凝集したり、
あるいは膜融合したりもします。
それを乗り越えることは容易ではないですが、
細胞外小胞が実際に細胞からどのような過程を経て
形成されていくか?
遺伝子の転写、翻訳段階から掌握することで
対策として見えてくるものがあります。
基本的に形成の鍵となる物質は
人為的に可変性がある様式で
コントロール、制御したいということがあります。
エクソソームに関しては
その物質の一つは、間違いなくテトラスパニンです。
じゃあ、
このテトラスパニンを遺伝子転写、翻訳の段階から
バイオエンジニアリングによって
遺伝子的に制御する事で
細胞外小胞の特性を我々の支配下に置きましょう。
このことが出発点としてあります。
本日の記事で述べた様に
テトラスパニンは複合体化すると
おそらく、エクソソームの形成を強く駆動します。
この前提が間違っていたら、また、考え直せばいい。
とりあえず、
今の段階ではこれが正しいとして進めます。
そうであるとするならば、
リボソームで翻訳され、小胞体で膜挿入される段階で
膜にテトラスパニン複合体が形成されるように
転写最終産物である
mRNAのコーディングを人為的に行い
その膜構造を私たちの制御下に置きます。
このテトラスパニンはN末端、C末端からなる
末端構造を直列につなぐ形の複合体化でもいいし、
末端間の膜貫通数を通常の4(テトラ)から
6、10、あるいはもっと大きくする事を考えます。
それをmRNAで初期合成段階から
人為的にそうなるように制御します。
こうした構造の制御の可変性が高いと
それによって、色んなことができるようになります。
自然に存在しない膜貫通数、複合体パターンの条件を構築できれば、
それ自体が生産において重要な
確認、評価の為のマーカーとなります。
あるいは、膜貫通数、複合体パターンは固定できますから
それによってエクソソームの特性を一定にしやすくなります。
従って、根本的な偏差、異種性の大きさの
課題を克服する一つの重要な要素技術となります。
さらに、
膜貫通数、複合体数が大きくなれば、
曲率が大きくなることが自然に考えれば想定されるので
通常、存在するエクソソームよりも径が小さくなる可能性があります。
特に私にとって一番目的である
不変のテーマ、小児脳腫瘍の治療への貢献においては
浸透率が2桁以上低い、バリア性の高い
血液脳関門を有する毛細血管からの
柔組織への滲出を考える必要があります。
この滲出効率を高めるのは
高い確率で小さいエクソソームである事が重要です。
なぜなら、小窩に入る特性である必要があるからです。
小さければ、小さいほど入りやすいし、
エクソソームは膜タンパク質を機能化できるので
小窩のタンパク質と結合させ、
トランスサイトーシスを駆動することができます。
こういうモデル、事情から
小さいエクソソームを安定的に欲しいという需要が
私には少なくともあります。
小さいエクソソームは
後プロセスで不必要なたんぱく質を酵素で
全て、除去、少なくとも構造を崩すときに
特定の必要なたんぱく質を残すための
バリア構造、マスクとしての利用にも適しています。
より部分的にカバーできるからです。
さらに小さいエクソソームは
表面積が径に応じて小さくなりますから
膜タンパク質の単色性、複色性制御が
空間的な制約でより容易になります。
加えて小さいエクソソームを
人為的に容易した人工テトラスパニン複合体で形成させれば
その影響が色濃く膜特性として反映されるため
テトラスパニンと複合体化させた
膜タンパク質の勢力を相対的により高めることができます。
また、通常、人為的なテトラスパニン複合体による
駆動以外の形成過程で生じたエクソソーム群の
径のバラつき範囲よりも
一段、二段と小さな径の範囲で
人為的テトラスパニン誘導のエクソソームの径が分布すれば、
それが生産において顕著な利点をもたらします。
なぜなら、
大きさで細胞外小胞を分ける事は
比較的容易に、高スループットでできるからです。
すなわち、
人為的テトラスパニン複合体誘導のエクソソームだけを
高効率に分離精製することが可能になります。
上述したことは
人為的テトラスパニン複合体の数が多くなれば
生物発生するエクソソーム(前駆体)の径が
小さくなるはずである。
この前提に基づくものであるため、
この前提が正しくないということになれば、
また、その時には一から考え直すことになりますが、
「通常よりも小さな」エクソソームを
人為的なマテリアルで制御して作れるようになることは
おそらく生産を考えると必須になると思います。
上で述べた様に様々な利点が考えられるからです。
また、人為的テトラスパニン複合体は
mRNA配列で構造が決定されるため、
そのmRNA配列の段階で
例えば、特異的な波長で蛍光発光するタンパク質。
これを複合体装飾できれば、
生産の際の
高分解の蛍光顕微鏡で
その存在、数、形、単離性(凝集)
これらを評価できる可能性があります。
小さい蛍光発光する分離されたエクソソームを
蛍光顕微鏡で数量を人工知能に(自動で)数えさすことができます。
こうした数々の視点は
医療であれば、小児脳腫瘍を治る疾患にする。
このような明確なビジョン、目標があるから生まれ、
その中でいくつかの数珠つなぎの素案が創出されます。
そもそも
脳神経系の薬物送達という目標がなければ、
小さいエクソソームを作ろうとも思わないはずです。
ただ、こうした内容のリスクは
まだ、実験的に何一つ確認していないという事です。
すべて直列的につながっているため、
様々な素案に影響を与えます。
例えば、
小さいエクソソームが
実際に実験したら想定と全く違う。
こういう可能性もあります。
私の今までの技術者としての経験上、
ほとんど私の頭で考えた事は
その通りにならなかったので、
修正しながら、お力を借りながら、
(私には難しいことだが)我慢強くやっていくしかない。
多分、この技術は価値があると思う。
それを、是非、
東京大学、京都大学、大阪大学、広島大学を始め
まずは専門的な事を知っている
あるいは、細胞外小胞を実験で扱ったことのある
研究者の方々に伺いたいです。
細胞外小胞関連技術成立の為の素案:人工テトラスパニン複合体形成、スパニンマーキング技術
細胞外小胞膜タンパク質のS/N比を上げる。
S:目的の膜タンパク質発現量
N:目的としない膜タンパク質発現量
(以下、S/N比はこの定義に従う)
これは細胞外小胞を使った医療技術において
基本的な特性項目となります。
薬物送達媒体としてエクソソームを利用する場合も
目的とする膜タンパク質の発現量の相対量が高ければ、
その膜タンパク質の特性に応じた
薬物キャリアとしての走化性、向性を示す。
通常はこのように考えられます。
しかし、これは、一定のバイアス、先入観があるため
実際には異なる結果が示される可能性があります。
ただ、現時点でこの高S/N比の薬物キャリアの
基本的な考え方に明らかに異を唱える人は少数だと思います。
昨日(10/8)に提案した
後工程で細胞外小胞のS/N比を上げるために
目的のタンパク質(S)だけを保護するための技術、
細胞外小胞マスクがあります。
これは沈降に用いる大きな細胞外小胞(アポトーシス小体)、
あるいは薬物キャリアとして用いる
小さな細胞外小胞(エクソソーム)。
いずれにおいても利用できるコンセプトで、
今、実現の為の素案段階で一つのカギとなるものです。
でも、マスクに使う小さな細胞外小胞も
植物の細胞などあまり干渉しない細胞外小胞を
利用するという案もありますが、
そのいわば、源流、大元となる細胞外小胞においては
後工程で逃げる事はできず、
生物発生の段階でのS/N比向上が求められます。
従って、いずれにしても
細胞外小胞の生物発生でS/N比を上げる技術を確立する事は
マスクの細胞外小胞の質だけではなく、
薬物キャリアとして利用するエクソソーム、
あるいは沈降媒体として利用するアポトーシス小体、
いずれにおいても一定の影響力を与えます。
Multivesuclar bodies内での
エクソソームの生物発生のプロセスでカギとなるのは
細胞膜の変形(負の曲性)です。
その曲がるプロセスにおいて必要な
4回膜貫通タンパク質で
かつ、構造母線に傾斜(コーン状)があるため、
特に配座の条件によって膜に力を与えることができる
テトラスパニンがあります。
だからこそ、エクソソームの代表的なマーカーは
このテトラスパニンとなります。
まだ、はっきりしたことはわかっていませんが、
おそらく、このテトラスパニンが多量体化した領域。
(Tetraspanin-enriched microdomain)
(参考文献(1) Figure 1)
これは単独のテトラスパニンよりも
エクソソーム(前駆体:小胞内小胞)のMVBs内での
生物発生をより強く駆動する可能性があります(2)。
ここまで書いて、気づかれた方いるでしょうか?
そうです。このマイクロドメイン。
S/N比向上の為に使える可能性があります。
すなわち
このテトラスパニン複合体を
リボソーム、小胞体の膜貫通形成の段階から
遺伝子的に直列につなげたmRNAを形質導入することで
人工的に複合体化させることです。
形成段階から向きを揃えて
合成、膜導入されるかは未知ですが、
これは追究する価値があります。
このテトラスパニン複合体を人工的に形成できるとなると
さらにそれに目的の装飾したい膜タンパク質(S)。
これをさらに直列でmRNA上で結合させ、
形成初期段階で(膜上で)複合体化させることで、
確率高くエクソソームの膜に誘導する事ができるからです。
こういった
テトラスパニン複合体-目的の膜タンパク質(S)。
これを人為的に、バイオエンジニアリングで
より多く細胞内で形成させる事で
生物発生段階で
エクソソームのS/N比の特にSを上げる事が出来きます。
また、こうしたテトラスパニン複合体が
他のタンパク質を引き付ける要素である
アダプタータンパク質結合ドメインなど
構造的に改変を加え、相互作用しにくくすることで、
他のノイズとなる膜タンパク質(N)も減らせる可能性があります。
いずれにしてもテトラスパニン複合体を
合成、膜導入段階で人為的に形成できるとなると
生物発生の段階で
エクソソームのS/N比を上げられる可能性もあるし、
ひょっとしたら
テトラスパニン複合体の数を増やすことで
そうしたS/N比だけではなく、
曲率も上げることができ、
より小さなエクソソームを安定的に形成できるようになるかもしれないし、
その数がより一定に制御されると、
形成されるエクソソームの径の偏差も減るかもしれません。
また、タンパク質からmRNAの逆翻訳解析は
コドンの冗長性から一定の不確定性がありますが、
人為的にmRNAでテトラスパニンを設計する機会があると、
そのmRNA配列の一部に識別可能な印をつけることができます。
すなわち、配列の一部を識別可能なバーコードにして
後で、逆翻訳解析した時に
その人為的mRNAで生成したテトラスパニン複合体を
完成したエクソソームからとトラッキング、追跡、確認できるようにします。
あるいは、もっと簡単には
テトラスパニンの多量体数や
テトラスパニンの膜貫通構造の数(例:4-2-3-4-3)。
(すなわちTetra-Di-Tri-Tetra-Tri spanine)
(参考文献(3) Figure 3)
これらによっても確認できるようにします。
そうすると
そうしたテトラスパニンがエクソソームだけではなく
他の様々な細胞外小胞の形成にどのように影響を与えているか?
それを追跡できるので、
細胞外小胞-細胞生物学の発展にも寄与しますし、
当然、私か注力する
細胞外小胞を利用した医療技術に大きく貢献する事になります。
これは、おそらく重要なマーキング技術になります。
「スパニンマーキング技術」
従って、テトラスパニン複合体を
遺伝子導入などを使って人為的に形成する技術は
今の素案の段階では、鍵となる技術です。
(参考文献)
(1)
Christopher S. Stipp
Laminin-binding integrins and their tetraspanin partners as potential antimetastatic targets
Expert Rev Mol Med. 2010 Jan; 12: e3.
(2)
Yuan Zhang, Yunfeng Liu, Haiying Liu & Wai Ho Tang
Exosomes: biogenesis, biologic function and clinical potential
Cell & Bioscience volume 9, Article number: 19 (2019)
(3)
Nikolas Hochheimer, Ricarda Sies, Anna C. Aschenbrenner, Dirk Schneider & Thorsten Lang
Classes of non-conventional tetraspanins defined by alternative splicing
Scientific Reports volume 9, Article number: 14075 (2019)
提案する医療技術の前提となる細胞外小胞への膜タンパク質装飾技術
iPS細胞技術との共創、
つまり、ともに構築する創造性。その付加価値。
それが細胞外小胞には確実にあります。
細胞種特異的薬物送達システムを日本でやるなら
iPS細胞技術の日本史を含めて考えると
その送達媒体は細胞外小胞であるエクソソーム。
これにしたほうが良いという事があります。
合成ナノ粒子、抗体薬物複合体、ヒドロゲル、ウィルスなど
色んなモダリティー(手段、方法)が
日本にあっても当然良いとなりますが、
細胞外小胞分離も含めて考え、
送達システムと分離技術を両方、日本でやるとなると
エクソソームを追究する方がいいということになります。
少なくとも私が実施するなら、
確実にエクソソームを選びます。そこに変更はありません。
加えて、私の出身が大阪ということと、
最も苦しい時(2024年1月-3月)に
一番味方になってくれたのが
京都、大阪ということがありますし、
(+The New England Journal of Medicine)
(これは結構、忘れてないです。)
iPS細胞技術は京都、奈良から生まれた技術です。
山中伸弥先生とビジョンが近いということもあります。
ただ、僕は色んな意味で
マラソンは完走できないタイプかもしれません。
このエクソソームは
2020年から2024年の医療の部屋のブログ活動で
細胞種特異的薬物送達システムと並ぶくらい
中心的なテーマで、
エクソソームは薬物送達媒体でもありますから、
これらの技術は密接に関わるということがあります。
私の医療、ブログの歴史を考えても
薬物送達システムとエクソソームは中心ということになります。
これだけの要素が揃えば、迷う余地がないという事です。
薬物送達システムに取り組まれる科学者、企業開発者が
エクソソームを避ける理由は、
エクソソームの膜タンパク質を
合成ナノ粒子、ウィルスのように制御できない。
このことが一つとしてあります。
色んな物質を無作為に取り込んでしまう。
このことがあります。
でも、遺伝子の転写、翻訳を使った
膜中の合成、挿入が自然な生物発生によって可能なので、
例えば、クリックケミストリーのような
架橋、化学反応が必要ないということもあります。
そうしたプロセスも
任意のタンパク質を個別に作製、精製する必要があります。
そういった反応前の精製や反応がいらないという事と、
膜に取り込まれる物質であれば、
基本的に構造は限定されないという事もあります。
遺伝子配列を変えることで
細かい構造の違いを反映させる事も可能です。
問題となる目的とするタンパク質以外の
多様なたんぱく質などの混在に関しては
「細胞外小胞(エクソソーム)マスク技術」
これで選択的に後プロセスで
目的以外のタンパク質を
広範なたんぱく質分解酵素によって分解、
あるいは構造を崩すということがあります。
このマスクにさらに小さいExomeres。
これを利用できるならそれも選択肢の一つです。
小さい小胞のほうが
より位置特異的にマスクできるという想定があるからです。
薬物キャリアとして想定している
エクソソームは小さいものを想定しているので
それよりも小さい径の胞(Exomeres)で
選択的にマスクする事を考えます。
この小さい径のExomeresの膜が
小胞体で形成される膜情報を引き継いでいるのであれば
原理的に装飾する事は可能ですが、
それを確認、精製するところに一つの課題があります。
基本的な構想としては
後プロセスで目的のタンパク質以外の
エクソソーム装飾タンパク質を酵素によって分解する。
この事が挙げられます。
単純に色んな事を考慮しないでアイデアを出すならば、
選択的に糖鎖を形成したり、
選択的に水和したりなどが考えられます。
私は、どのみち選択性のため
構造特異的な機能を組み込む必要があると考えているので
それなら細胞外小胞やExomeresを利用したほうが
技術を蓄積する上で好ましいと考えています。
だから
「細胞外小胞マスク技術」
これを代表的な素案として提示しています。
しかし、
これはあくまで素案であって、
当然、実験結果次第では変わる可能性があります。
エクソソームに関しては
◎生物発生の段階からS/N比を上げる
◎後プロセスでS/N比を上げる(Nを下げる)
S:目的とするタンパク質装飾量
N:目的としないタンパク質装飾量
このことが考えられます。
結局、自然のマテリアルを相手にするので
考えられる術はすべて行って
一定のロスがある中での乗算で
なんとか目的、仕様を満たすものを製造する。
という事になると思います。
今の私の提案の内容は学術的なものではなくて
どちらかというと製品化を目指す企業の研究開発部門が
実施するような内容です。
すなわち、私の中では基本的には
細胞種特異的薬物送達システムに関しては
実験を必要とする、
わからない事は依然として多く残るものの、
研究段階で確認するところを超えた部分が含まれる。
このことがあります。
S/N比を上げる事は
例えば、Sを上げるというところでは
テトラスパニンとの直列構造、アダプタータンパク質を介した
複合体化促進なども含めて
考えられる事が多くあるとは思いますが、
現時点で一番、私の中でボトルネックとなっている事は
マスクの為に利用する細胞外小胞の生産も含めた
全ての細胞外小胞の生産で言えることです。
それは
「どうやって良品、不良品を確認しますか?」
このことです。
細かい構造なんて個別に観る事ができません。
でも、その細かい構造が
機能化の為の鍵となる部分ですから
なんらかの方法で確認するしかありません。
そうすると考えられる事は
「ランダム抜き取り検査」です。
人工知能などを駆使しながら
できるだけ低倍率で、高スループットで
確認できる手法を開発する必要があります。
そもそも、この特異的タンパク質の装飾。
これをクリアしない事には何も始まりません。
私が考案している技術は
磁気共鳴などの分析も含めて
細胞外小胞への特異的タンパク質装飾が前提となっています。
少なくともこれらの技術を実際にするとなると
それに対する資源の投資の判断が必要になりますが、
そもそもこの細胞外小胞への特異的タンパク質の装飾。
これができないとなると
大部分の事が達成不可となるので、
まず、この技術が達成できそうかどうかを確認してから
資源の投資の判断をしても、全然、遅くはないです。
エクソソームを利用した細胞種特異的薬物送達システム。
あるいは、
細胞外小胞を用いた選択的沈降精製分離技術。
これらいずれにおいても
特定の膜タンパク質だけを特異的に膜装飾したい。
この需要があります。
しかし、これら細胞外小胞は
細胞からの自然な生物発生を利用するため、
薬物送達、あるいは選択的沈降に不必要な膜タンパク質が
高い確率で混在します。
それを克服するための様々な選択肢があると思いますが、
一つの考えられる方法としては
膜装飾として選択、残したい膜タンパク質以外の
膜タンパク質を何らかの方法で後工程で分解させる。
このことです。
実際に半導体では、こういった仕様を満たすためには
フォトリソグラフィーなどが用いられますが、
少なくとも細胞外小胞では
こういった技術をそのまま用いる事ができる
スケール、物質ではないということです。
そもそも分離技術に関しては
選択的沈降媒体は合成ナノ粒子でいいのではないか?
このことが前提としてあります。
その選択肢は「ありえる」ものとし、
今日は、とりあえずそこには焦点を当てません。
この記事では
あくまで、細胞外小胞(あるいは細胞)を沈降媒体として
選択的分離精製に利用する事を想定します。
選択的沈降の為には
重さによる違いが大きく出れば出るほど、
円滑な選択的分離ができるということがあります。
当然、選択的沈降に使う沈降媒体は重い方がいいわけですから
その沈降媒体として利用する細胞外小胞は
アポトーシス小体のような1μmー5μm程度の
大きな細胞外小胞が好ましいです。
あるいは選択的沈降媒体は細胞そのものでも構いません。
かりにアポトーシス小体を用いるとなると
最大で6桁から7桁、
複合体化した時に重さの差を出すことができます。
非常に大きな重さの差は
選択的沈降プロセスをより容易にすると推定されます。
問題は大きな細胞外小胞や細胞の表面積は大きくなるため
無数の膜タンパク質があり、
特定の膜タンパク質だけ選択精製する事が出来ない。
このことがあります。
多くの膜タンパク質が混在すれば、
当然、構造特異的なコーディング分離ができなくなります。
さらに結合親和性コーディングの一部も機能しなくなります。
選択的沈降の前提になっている仕様なので
これは現時点では必ず満たす必要があると考えています。
もし、特定の膜タンパク質だけ選択精製できるようになると
選択的分離における一つの大きな技術的障壁を超える事になります。
それを実現するための一つの方略は
「細胞外小胞マスク技術」です。
大きなアポトーシス小体(細胞外小胞)や細胞に対して
特定のタンパク質だけを残すために
別途、小さな細胞外小胞(エクソソーム)を用意して
それに保護したいタンパク質の対となるリガンドを装飾させます。
それで、アポトーシス小体や細胞と複合体化させます。
しかし、
生きた細胞の場合はエンドサイトーシスしてしまうため
このプロセスは簡単ではないかもしれません。
また、細胞はプロセス中に動いたり、
代謝生成物を出したり、あるいは分裂したりするので
何らかの工夫をしないと難しいかもしれません。
このように考えるとやはり
細胞外小胞であるアポトーシス小体が
良いように思えます。
このとき、一つの工夫の要素として
マスクするエクソソームを放出する細胞を
できるだけアポトーシス小体を精製した細胞と
形質が重複しない、全く異なる細胞にしたほうがいいです。
なぜなら、そうしたほうが
他のタンパク質による干渉を減らす事ができるからです。
極端な話、
狙いのリガンドを装飾できるのであれば
マスクするエクソソームのリソース細胞は
植物や人以外の動物由来のものでも構いません。
とにかく、自然な生物発生で
物質的に相互作用しない全く異なる細胞種にするのがいいと思います。
いずれにしてもエクソソームなど小さな細胞外小胞でマスクした状態で
他のタンパク質を酵素などで分解します。
タンパク質は全ての構造を除去する必要はないかもしれません。
あくまで目的は結合因子として機能しなくなるように。
このことがあるので、
できるだけ最小限の分解条件で
他のタンパク質を分解し、
細胞外小胞でマスクした部分だけ保護します。
その後、エクソソームで保護したタンパク質との結合を
物理的(機械的も含む)、化学的など
何らかの力で取り除きます。
これを実現するためには相応の条件だしが必要ではあります。
アポトーシス小体は大きなものが欲しいですから
アポトーシスの条件(駆動因子など)
アポトーシスさせる細胞種、年齢など
最適化して、できるだけ
大きなアポトーシス小体が得られるようにします。
大きな細胞外小胞を自然な細胞膜の萌芽によって得る
という事も考えられますが、
その場合、アポトーシス小体よりも小さいし、
アポトーシス小体は
細胞の細胞膜のほぼ完全な分裂なので
効率よく大きな細胞外小胞が生産されるという意味で
今の素案を出す段階においては、有力候補だと思われます。
アポトーシス小体を大きいものにしたいというのは
液体生検によって分離する細胞外小胞を
小さいものに限定しないということにも起因します。
大きなものを含めて
生体内の細胞外小胞を高精度に分離したいという事があります。
大きくなればなるほど、
選択的沈降を行う媒体の重さを大きくする必要があります。
場合によれば、選択的沈降を行う沈降媒体は
質量を大きくするため、凝集させる可能性もあります。
ただ、大きいものは絶対的な質量があるので
溶液中を比較的高い速度で沈降させることができるはずなので
桁で質量が重い沈降媒体を用意する必要があるかどうか?
これについてはわかりません。
上述したように小さな細胞外小胞のマスク技術は
細胞種特異的薬物送達システムで利用する
エクソソームでも当然利用できます。
但し、小さい胞同士のマスクが
大きい胞に対する小さい胞によるマスクのように
機能するかはわからないし、
現時点でどちらが技術的障壁が低いかもわかりません。
残る技術要素としては
アポトーシス小体の細胞膜にどうやって
狙いのタンパク質を装飾させるか?
このことが問われます。
当然、細胞の中、表面にある細胞膜そのものが
膜の資源となるはずですから
アポトーシスさせる前段階に
できるだけ狙いのタンパク質を多くする
その遺伝子発現を亢進させることが方略としてあると思われます。
また、CalreticulinやICAM-3など
アポトーシス小体のマクロファージへの食作用を促す
タンパク質亢進や
逆に食作用を防ぐCD47の抑制など
アポトーシス小体の安全な分解に寄与する
生物学的機能が見られる場合には
亢進されるタンパク質との干渉を上げたり
抑制されるそれとの相互作用を下げたりすることで
アポトーシス小体の膜タンパク質の装飾を
より安定化、促進できるかもしれません。
いずれにしても
細胞外小胞に開発リソースを集中するのであれば、
マスク技術も細胞外小胞に依存する事で
そうしたリソースを有効に利用できるということがあります。
こういう考え方は比較的支持されると思います。
少なくとも検証、追究の価値があります。
なぜなら、
マスク技術も含めて、
細胞外小胞の生物発生、精製技術の向上につながるからです。
すなわち、この技術を成立させる事は
細胞種特異的薬物送達システム。
細胞外小胞による分離精製技術。
これらを支える細胞外小胞の製造技術において
一定の相乗効果(シナジー)があるということです。
iPS細胞技術と細胞外小胞分離技術の共創
おそらくiPS細胞技術を研究されている方は
日本を始め、世界に多くおられますが、
その人たちの少なくとも一部の潜在的な需要として、
iPS細胞がヒトの生体内でどういった挙動を示すか?
それを追跡したいという事があると思います。
iPS細胞は現在の技術をもってすれば、
識別可能なmiRNAのDNAコーディング領域を遺伝改変して
識別可能なコーディングmiRNAを
細胞から永続的に生物発生させる事が可能だと思われます。
DNAは分化、増殖過程を経ても不変です。
むしろ、そういった条件を選択する必要があります。
miRNAは細胞外小胞のカーゴとして
iPS細胞技術によって分化した
あらゆる細胞から分泌されます。
それを(最終的には)人の液体生検から分析できるようにします。
iPS細胞技術では
人工臓器
臓器の書き換え
iPS-CAR免疫療法
iPS由来(間葉系)幹細胞による治療
、、、
色んな可能性が考えられます。
iPS細胞はこうした細胞の治療において
DNA改変による永続的な「印」をつけ、
その印をmiRNAコーディング、細胞外小胞分離によって
追跡できるようにします。
それによってiPS細胞がどういった挙動を示したか?
それをこうしたプロキシによって確認できるようにします。
細胞外小胞にはプロキシの他に
膜タンパク質、膜そのもの、他のカーゴによって
細胞種特異的な情報も含まれるからです。
バックグラウンドデータをしっかり構築すれば、
人工知能による画像データ処理で識別可能になるかもしれません。
臓器を全て入れ替えるというのは難しいさがあっても
一部の損傷部位をオーダーメードで入れ替えるとなったとき
こうした追跡機能が臨床前段階から効果的に利用できます。
CAR免疫治療においても、
導入した免疫細胞がどういった分化、増殖過程を経て
身体の中の免疫系を構築していくか?
それを確認できます。
こうした勢力図は白血病などの治療に用いられる
iPS細胞技術を用いた造血幹細胞移植や
もっと簡単にはiPS細胞技術を用いた輸血などでも利用できます。
さらに、こうした液体生検による追跡は
画像による追跡技術と密接に関連します。
言葉を変えれば、
こうした液体生検のプロキシを通じた追跡により
付加的に画像による視覚的な分析が可能になります。
細胞外小胞の分離技術により
iPS細胞由来の細胞の細胞外小胞の膜タンパク質の情報がわかるようになります。
これによって
磁気共鳴分析で分析可能な
重水を使った造影によって、
視覚的にiPS細胞由来の細胞が
今、リアルタイムでどこに存在しているか?
それを視覚的に分析できる可能性があります。
例えば、
その造影の為に赤血球の水、脂質膜水素を重水、重水素にして
重水造影が可能な様にします。
組織内への滲出を想定する場合には
シグナルが足りない可能性も出てきますが、
それはとりあえず脇に置いておいて、
赤血球に細胞外小胞を複合体化させて
細胞外小胞の脂質膜水素、水をそれぞれ重水素、重水にします。
これらの造影の為のプロキシである
赤血球、細胞外小胞は
iPS細胞DNA改変miRNAコーディングをカーゴとして含む
細胞外小胞に豊富に、あるいは特異的に含まれる
膜タンパク質を標的化して、表面装飾されています。
従って、大元の細胞に届きやすいように機能化されています。
細胞外小胞分離技術は難しいけど、
こうした数珠つなぎの可能性を開くため、
色んな応用を考えると、
私抜きになったとしても、やった方がいいです。
それでより多くの人が笑顔になれるとしたら
私も笑顔になれるでしょう。
私は何でもできるわけではない。色んな欠点、悩みがある。
細胞外小胞の定義は増殖能がないとされていますが、
おそらく代謝能力もないと思われます。
基本的に受動的な(パッシブ)変化はあっても、
能動的な(アクティブ)変化はあまりしないと考えています。
そうするとその瞬間、瞬間に
細胞から出る細胞外小胞は、
その生物発生する時間の細胞内の物質情報を保存している。
このように捉える事ができます。
比喩的な言い方をすれば、
細胞の部分的な物質情報を撮像する「カメラ」のような存在です。
そうであるとするならば、
読者の方は、生物、人の何を観たいでしょうか?
色々考えられることがあります。
細胞外小胞は細胞死する瞬間に
アポトーシス小体を含めて多くの細胞外小胞を放出します。
このアポトーシスした瞬間の物質情報が保存されて
そのいくつかは循環器に回るわけです。
こうした物質情報を分析したい。
あるいは/かつ、その物質情報の関心がある。
このような科学者の方はいると思います。
私もその一人です。
では、細胞死するときの物質情報が保存されているとして
これに関心を示す読者の方は具体的に何を観たいですか?
それ、ぜひ、聞いてみたいです。
私はそれに関心があります。
アポトーシスは細胞のプログラム死なので
健康な状態を保つ上でも必要です。
このアポトーシスの機能不全は
一つの癌細胞の特徴です。
それでも、癌細胞の一部はアポトーシスすると思います。
そうした場合、一部のアポトーシスした癌細胞の情報。
これは、一つ、重要な物質情報ではないでしょうか?
なぜなら、機能不全が生じている中でも
アポトーシスする癌細胞の物質情報が
どのようになっているのかがわかることは、
アポトーシス依存的な治療に貢献する可能性もあるし、
通常細胞と比較する事もできるからです。
アポトーシスは細胞の中身が外に漏れださないように
分割して、包まれる機序があり、
内容物が周りに多く出るような細胞死は
ネクローシスと呼ばれます。
この違いを液体生検で識別できれば、
患者さんのがんのリアルタイムの病態を
今までとは違った観点で評価、診断できる可能性があります。
上述した全てのことが、
個別のヒト、患者さんに対して分析できるようになる。
このことが言えます。
アポトーシスは細胞全体から細胞外小胞が放出される可能性があるので
通常の細胞膜から生じるエクトソームや
小胞内小胞を前駆体とするエクソソームよりも
多くの細胞内の情報を有している可能性があります。
また、そうした内腔内の情報自体が
アポトーシス時に生じた細胞外小胞を識別する
一つのマーカーとなる可能性もあります。
あるいは細胞死全体で考えると
神経細胞の細胞死も分析したいと考える方もいると思います。
最近の研究も合わせて考えると
一般的には生後数年を超えると
神経細胞はどんどん数が減っていくと考えられていますが、
全く、増殖しないかどうかはわかりません。
いずれにしても神経細胞が減っていくという事は
人が老化する過程でもあるので、
神経細胞が死亡するときに放出する
細胞外小胞を分析する事で
神経細胞がそうなるときの物質的な条件がわかる可能性があります。
神経細胞が異常に減っていくような
神経変性疾患に罹患している人たちの
神経細胞が死亡するときの物質的条件と
通常の人、あるいは神経細胞が増えている幼児の段階、
それらにおいてどのような違いがあるか?
それがわかることで開ける道があるような気もします。
他にも1型糖尿病などにおいても
β細胞が全くゼロになることはないでしょうから、
膵臓のβ細胞の細胞死の物質的な条件が知りたい。
この事があります。
糖尿病ではない人と細胞死の条件において
具体的に何が違うのでしょうか?
その物質条件を知りたいです。
実際に化学療法が狙い通り細胞内で作用したかどうか?
それも細胞死するときの細胞外小胞の
内腔に存在する物質情報にプローブする事で
確認できる可能性もあります。
今は、iPS細胞技術で病態の再現ができるので
すでに今の最新の技術で
できることが色々あると思いますが、
その時も細胞死の瞬間を捉えるチャンスとして
物質的に保存される細胞外小胞が利用できると思います。
アポトーシスは製造側の観点でも利用できます。
1μm-5μmの比較的大きな細胞外小胞、アポトーシス小体を放出します。
この細胞膜に発現するタンパク質を制御する事は難しいですが、
もし、それができると
アポトーシス小体は大きな細胞外小胞なので
細胞外小胞を使った沈降分離精製をより円滑に出来る可能性があります。
大きな細胞外小胞はおそらく精製効率が悪いので
細胞全体が小さな小体に分裂するような
アポトーシスを沈降の為の大きな細胞外小胞精製のために
利用する事は素案としては一つの有力候補です。
興味深いのはアポトーシス感受性は
小さい子どもはどの組織、臓器も高いです。
それは脳を含めてそうです。
これは連続的な組織が子どもの場合
非常に癌化しにくい事と関連があるかもしれません。
また、ごく一部の子ども、
小児がんが見られる患者さんにおいて
アポトーシスやネクロトーシスのバランスが
どのように健康な子供と変化しているか?
白血病も含めて疫学的にも分析する価値があります。
一方で、大人になると
こうしたアポトーシス機能は
骨髄、胸腺を除いて、ほとんどの組織、臓器が
そのアポトーシス感受性が下がり、
特に脳神経系と心臓が顕著に低下します。
このことから
脳神経系、心臓は同じ細胞を保存しながら
機能を維持していく事になると考えられます。
こういうプログラム細胞死感受性を低下させる事は
癌化にもつながりますが、
進化の過程で神経細胞と心臓の細胞に関しては
癌化しないようなシステムが働いている可能性があります。
一つ、意外なのが
比較的、再生機能が大きい肝臓が
大人になってアポトーシス感受性があまり高くない事です。
これは、ひょっとすると正しくないかもしれません。
大人の中でも
アポトーシス機能が比較的高い人とそれが低い人。
それが細胞外小胞の分析でわかるかもしれません。
あるいは20代、40代、60代、80代と
年齢に応じて変わってくるかもしれません。
どちらがいいか現時点で言えませんが、
こうした比較定量分析が液体生検から
(臓器、組織別で)出来る可能性があります。
また、子どもの発達期にアポトーシスが重要ならば、
移植の為の人工臓器を作製するときには
一つの機能としてアポトーシスが重要である
このことが示唆されます。
(参考文献(1) Fig.3)
上述した全ての前提が、細胞外小胞の分離技術であり、
循環器にほとんどなくて物理的に無理という事もありますが、
もし、できるとなると
相当、生物学、薬学、医学、医療は進むことになります。
色んな研究者の知的好奇心を刺激するテーマになると思います。
こうやって考えるだけでもその一部が実現されます。
(参考文献)
(1)
Rumani Singh, Anthony Letai & Kristopher Sarosiek
Regulation of apoptosis in health and disease: the balancing act of BCL-2 family proteins
Nature Reviews Molecular Cell Biology volume 20, pages175–193 (2019)
細胞外小胞にはMultivesicular bodies(MVBs)で
生じる小胞内小胞(ILVs)を前駆体としたエクソソームと
細胞膜から直接的に精製されるエクトソーム(Ectosome)があります。
エクトソームの生物発生の機序を
現時点では真面目に調べていませんが、
多少なりとも萌芽の時点で突起形成が関わっているのでは?
このように思う所があります。
細胞の突起にはフィロポディア(糸状仮足)(Filopodia)。
これがあります。
細長い突起状の構造物で
通常自然に生じるような細胞膜の波うち具合から
ある程度、アスペクト比で逸脱した突起であるという認識です。
このフィロポディアから
細胞外小胞が放出されるということが
日本からCell pressで報告されています。
特に神経系では大なり、小なりある細胞の突起から
エクソソームとは異なる様式。
すなわち細胞膜の直接的なBuddingで形成される
エクトソーム(Ectosome)は
神経系においてフィロポディア由来と区別は難しいかもしれなけど
フィロポディア由来の細胞外小胞も
エクトソームの一部であると仮に定義すると
非常に重要な情報を有している可能性があります。
少なくとも神経系においては
エクソソームとエクトソームを分離して分析したい。
この需要があります。
冒頭で述べた様にエクトソームが
多少なりとも細胞の波うちの凸の部分から多く生じるとすると
そうした部分というのは
神経系の形成初期、シナプス構造安定性など
神経系の連結において重要な役割を担っていると考えられるからです。
神経系は100兆くらいの連結性があるので、
全てを個別化して分析する事は不可能ですが、
脳神経全体という解像度よりも
少なくとも個別の野ごとの解像度を持つ様式で
神経系のエクトソームを包括的に分析したいということになります。
神経系のエクトソームのマルチオミックス解析。
どういった術語体系を参照し、定義すればいいでしょうか?
Ectoso-ome(エクトソーオーム)とすればいいでしょうか?
これはコネクトームとも目的上は重複します。
例えば、野ごとの神経系のエクトソーオームをするとき
動物の場合だと、
エクトソームが生じやすい介入を
特定の野特異的に行いつつ、
さらにmiRNAなどの識別可能なバーコード核酸を送達させ、
特定の野ごとの神経系のエクトソーオームをする。
そうしたことを複数回繰り返して
脳神経系の野解像度を持つエクトソーオームをする。
その介入したエクトソームを
バーコード核酸を通じて野特異的に確認するという事です。
この時、1回で複数のmiRNAを
それぞれ異なる野に送達させてもいいかもしれません。
この確認で必要になるのが
細胞種特異的薬物送達システムと
細胞外小胞分離技術です。
人の場合はエクトソームが生じやすい介入はできないけど
無害の様式でmiRNAバーコードを届けられるなら
それをすればいいし、
それがやはり危険であるとするならば、
マウス、霊長類などの実験結果を参照しながら
そのままの状態で血液、脳脊髄液などから
野特異的なエクソーオームをするのも価値があります。
少なくとも大なり、小なり、突起部分の
表面にある膜貫通タンパク質は詳しくわかる可能性があります。
今は、医療技術も発展していて
iPS細胞技術で脳オルガノイドは作れるので
別に組織化する必要は必ずしもないですが、
試験管レベルで
本当に神経細胞からエクトソームが生物発生するか?
そのエクトソームには
連結において重要な膜タンパク質が含まれているか?
それを調べる事はできます。
液体生検に対する細胞外小胞の分離技術が実現すると
最高に理想的な場合は
健康な人の脳神経系の連結に関する
膜タンパク質の状態は全領域で
リアルタイムで得られる可能性が生まれます。
当然、脳神経系の疾患のある人も同様です。
それらを比べる事も人のケースでできます。
あるいは、子どもの脳神経系の発達時における
神経形成において重要な物質情報が得られる可能性もあります
問題はエクソソームとエクトソームをどう分離するか?
1つは内腔に細胞骨格があるかどうか?
それが判断基準になると思います。
なぜなら、少なくもフィロポディア由来の細胞外小胞は
小胞形成空間の近傍に細胞骨格が含まれると考えられるからです。
そうしたことは、小さい突起からでも起こるかもしれません
あとは、サイズがあります。
もう1つは表面の膜タンパク質に含まれる
細胞接着分子の内腔側に引き込まれる
アダプタータンパク質の付き方が違うかもしれません。
なぜなら、細胞膜表面のほうが
アダプタータンパク質が
完全に細胞骨格などと複合体化していて
それらの物質を細胞質のMVBsにある状態よりも
豊富に含んでいる可能性があるからです。
もし、MVBsにそうした連結があると
このエンドソームは細胞骨格に
非常に動きを制限されることになります。
そうしたことが「果たしてあるか?」という事です。
脳腫瘍は大人でも珍しい腫瘍の一つです。
希少がんに位置づけられるかもしれません。
特に子どもの場合はそうです。
しかし、高グレードのグリオーマを始め、
致死率の高い、現在の医療をもってしても完治が難しい癌種もあります。
子どもは、基本的に大人よりも生存率が高いですが、
それでも、難治性の脳腫瘍がある事は事実です。
現在の
外科(物理的摘出)、
放射線(高エネルギー細胞死)、
内科(薬物治療)。
これに加えて、
(1)集束超音波による治療。
(2)細胞種特異的薬物送達システム。薬物動態評価。
(3)投薬条件の最適化(空腹、超音波照射など)。
(4)ctDNA、ctRNA、細胞外小胞による微小残存病変評価。
(5)細胞外小胞分離による残存病変癌細胞形質評価。薬剤選択。
(6)iPS細胞技術との形質整合。細胞の再現。
(7)iPS細胞技術による薬剤スクリーニング。
これら7項目が小児脳腫瘍の治療に加わり、確立されてくると
さすがに治療実績は今と変わってくると思われます。
私に対する信用の有無。
私の社会的存在の有無。
私がそれをやるかどうかの有無。
重要なのは、それによって
これらの7項目の私が提案した技術は決して消えるわけではない。
このことです。
かなり高い確率で上の7項目が実現したら
小児脳腫瘍の治療実績は変わると思います。
集束超音波は思ったよりも低温から細胞死が起こる可能性があります。
すでにイスラエルのメーカーが
それを具現化しているわけですから、
これの実現可能性はおそらく高いです。
あとは、トランスデューサーの
位置制御などの性能をどこまで上げられるか?
それによって、治療実績も変わってくると思います。
これができると
外科的な摘出が難しい深部組織を含めた組織を
放射線とは違ったモデルで組織を壊死させることができるため、
そこで確実に治療モダリティーの拡大が生じるという事です。
小児脳腫瘍は色んな部位にできるので、
こういった場(物質波、音)による介入は
確実にその位置を任意に狙えるので適しています。
小児脳腫瘍を治る疾患にするためには
集束超音波は必要になると思います。
投薬条件は、脳へ送達させる場合には特に必要だと思います。
おそらく、空腹になると脳に届きやすくなります。
もともと、血流の多くは脳神経系に行くので、
その部位に送達されやすいということはありますが、
さらに空腹、安静などの適切な条件があるはずです。
こうした血流の評価は
動物で重水を使った代謝磁気共鳴解析できるので
それで、脳に送達されやすい条件を観ればいいという事になります。
この時には超音波などを照射して、
さらに局所性を高める事ができるか?
それの検証も考えられます。
例えば、マウスでそれとfMRIなどで血流と関連付けておいて、
実際に患者さんに治療するときに、
fMRIで血流を観て、薬物動態のベースとなる
血流の局所性を評価できるか?
このことがあります。
これも、特に空腹などはすぐにでもできることです。
Circulation tumor DNAに関しては
日本から良い報告がでたので、
そのままの勢いで出来るのではないかと思われます。
特に説明するまでもありません。
細胞外小胞の分離技術は一番、実現が難しいです。
でも、これができれば、本当に色んなことができるし、
さらにその中で発見もあるし、
薬物送達システムや
小児脳腫瘍の一般的な治療にも波及します。
残存病変の癌細胞物質を高純度で扱えることは
極めて貴重な機会です。
それを元に適切な薬剤を選択することができます。
これは今、現在進行形で行われている治療にも適用可能です。
また、表面タンパク質の特徴が分かれば、
抗体薬物複合体の適切な選択、
あるいは将来的には細胞種特異的薬物送達システム。
これによる治療にも生かす事ができます。
また、ちょっと手続きとしては時間がかかるかもしれないけど、
患者さんの取得可能な細胞から
iPS細胞技術で病態再現した脳腫瘍、癌細胞の中から
細胞外小胞分離で得られた
同じ患者さんの残存した癌細胞の物質情報と近いものを選び出して
それを培養する事で
より患者さんの残存癌細胞に近い細胞を見つけることができる。
この可能性もあります。
そうすると細胞に対して数百種類以上の薬物をスクリーニングして
一番、効果のある薬剤を選択できます。
あるいは、他の患者さんでもいいから、
小児脳腫瘍の癌細胞をiPS細胞技術でストックしておいて、
その癌細胞の中から、
患者さんの残存癌細胞との類似性を
細胞外小胞の物質と評価できれば、
厳密には同じではないけど、一定の効果があるかもしれません。
この場合、プロセスが速くなります。
どう考えても
私の信用があろうが、なかろうが、
私が社会に存在してようが、なかろうが、
私が実際にやるか、やらまいかに関わず、
この分離技術は確かな価値として残したし、
将来の事を考えると、やっぱりやった方がいいと思います。
細胞種特異的薬物送達システムは
細胞種まで生物学的分解能を高めた送達システムです。
基本的な原理としては
送達したい組織の細胞種に多く(理想的には特異的)に
発現している膜タンパク質に
高い結合親和性のある膜タンパク質を
ナノ粒子などに装飾する事を考えます。
私の場合は、エクソソームに膜タンパク質を装飾する事を考えます。
さらに、標的を元々、移動、組織浸潤、細胞接着などの機能を有する
細胞接着分子などに定めます、
細胞接着分子は
インテグリン、カドヘリン、コネキシン、クローディンなどがあります。
こうした細胞接着分子はサブタイプや
転写因子多様性(例えば、選択的スプライシング)などによって
構造が多様であり、
そうした多様性が体の中の細胞や細胞外小胞の
臓器向性を決めているため、
そのような身体が自然に持つ組織特異的な送達システムを
最大限利用しながら送達システムを構築する事を考えます。
エクソソームに任意の膜タンパク質を装飾するプロトコルは
まだ、研究分野でも確立されていませんが、
ある程度は、自然な生物発生を利用して実現できる事が想定されています。
すなわち、MVB(Multivesicular body)で
エクソソーム前駆体である小胞内小胞(Intraluminal vesicles)が
発生するときにはESCRTやテトラスパニンが駆動因子の一部になります。
こうしたタンパク質に誘導される形で
エクソソームの膜に発現されるように
幾何的構造をよく考えながら装飾するという事です。
ESCRTに関しては主にカーゴなので
膜タンパク質に装飾させる事は難しさがあるかもしれません。
上述したような
細胞接着分子は自然なエクソソームの生物発生において
エクソソームの膜に含まれている事が確認されています。
体内には血管壁、間質(細胞外マトリックス)など
いくつかの区画があり、それらがバリア機能を有します。
しかしながら
こうした細胞接着分子を介した膜装飾が臓器向性を示すという事は
送達させたい細胞種に対して、
そこに送達しやすい膜装飾をすることで
ある程度、組織解像度の薬物送達システムが実現する。
このことを立証するものでもあります。
しかし、
厳密には特に血管壁を効率的に超えていくような設計が必要です。
そのうち、一つの重要な要素となるのが、
小窩を通じたトランスサイトーシスです。
小窩は「ツボ」のような形をしており、
入り口が少し窪んだような形をしていますが、
ここを通過できる大きさが
少なくとも細胞外小胞では最も小さなスケールのそれが必要です。
すなわち30-50nm程度のエクソソームでないと
その小窩におそらく入ることができません。
特に、
血管からの組織内滲出を考える場合には
毛細血管からの滲出を考える事が重要です。
なぜなら、元々、毛細血管は物質の交換の機能を主としているからです。
従って、
薬物送達を考える場合には
毛細血管に有効に薬物(キャリア)を送達し、
その毛細血管の滲出機序をうまく利用して、
エクソソームなら、エクソソームの送達効率を高める事を考えます。
上述したように
毛細血管にもトランスサイトーシスに関わる小窩がありますから
その小窩に効率的に入るように大きさ、
あるいは近接場への誘導、小窩内での寿命の向上。
これらを考える事が重要です。
こうした小窩からエンドサイトーシスされると
小窩の周りには往々にしてエンドサイトーシスした後の
エンドソームを外側から構造的に守るクラスリンなどが形成されるため、
トランスサイトーシスしやすいということがあります。
薬物送達システムで見逃されがちだけど必須となるのが
薬物動態の分析でです。
実際に薬物が標的とした組織、もっといえば細胞種まで
どれくらいの効率で送達されているのか?
それを分析する事です。
理想的には投与した瞬間からトラッキング(追跡)できればいいですが、
これをすることは困難なため、
脳腫瘍ならその腫瘍組織の周辺の薬物濃度を評価する。
それでも最低条件を満たすことになります。
この分析は2つの方法があります。
1つは画像解析による分析です。
まだ、世界に例をみない事ですが、
磁気共鳴装置でそれができる可能性があります。
具体的には、
エクソソーム造影の為のプロキシ(代理マーカー)として
赤血球、血小板、白血球などの循環器細胞。
あるいはヒドロゲルを使います。
また、励起させる元素は重水素を使います。
重水素は水素に比べてラーマー共鳴周波数が1/6程度なので
原理的に局所磁場が小さくなるため、
シグナルは水素に比べて1/6程度に減少してしまいます。
また、磁気共鳴装置の空間分解能は
エクソソームよりも大きな細胞やヒドロゲルを
造影の為の代理マーカーとして利用したとしても、
それら単体よりも有意に大きいため、
原理的にボクセル空間占有率を100%にすることはできません。
従って、
高いシグナルを得る事が難しいです。
細胞を利用するときには
細胞内の体積占有率が最大で80%程度ある水。
これを重水に変えたいですが、
この水は回転率が非常に速く、20秒くらいで入れ替わってしまうため
十分な分析時間を確保しようとすると
水の回転率を意図的に下げるような介入が必要となります。
ただ、薬物送達はストレートに組織に届くとすると
計算上、1m程度の距離だとすると
血流の速さから5秒程度の時間で届くため、
水の回転率よりも短い時間で届きます。
従って、分析可能である可能性がありますが、
それでも、時間を確保するためのある程度の介入が必要になる
可能性があります。
水の回転は細胞内外のイオンの交換による浸透圧によって生じます。
このイオンの交換は非常に多様な経路で生じる為
このイオンの交換自体を下げるという事は難しいかもしれません。
それよりも水チャンネルであるアクアポリン(AQP)。
これを不活性化する事がより効果的です。
一方で
ヒドロゲルを重水に変える事も考えられます。
ヒドロゲルはタンパク質と水の複合体だからです。
重水ヒドロゲルの研究は少なくとも
磁気共鳴分析での薬物造影代理マーカーとして利用する事は
私の調べる限りにおいては例をみないことです。
しかし、原理的には水を重水に変える事は可能です。
ヒドロゲルを薬物送達媒体とした送達システムは考えられているし、
これを最大限利用する事は一つの重要な方略です。
すなわち、
エクソソームを重水ヒドロゲルで覆う。
あるいは細胞を重水ヒドロゲルで覆う。
細胞の一部を重水ヒドロゲルで覆う。
これらなどが考えられます。
重水を造影マーカーとした磁気共鳴解析は
体内にほとんど自然に重水が含まれないため、
S/N比(信号雑音比)。これは取れる可能性が高いですが、
絶対的なシグナルが弱いという欠点があるため、
これを高めるための直列的な対策が必要です。
基本的には薬物送達媒体の重水体積占有率を最大化する。
このことがあてはまりますが、
空間分解能さげる、時間分解能をさげる(繰り返し測定)。
これらの対策も必要になるかもしれません。
他方で、
重水素による分析は組織造影ができないため、
同じ条件で水素励起による組織造影を行い、
それらの重ね合わせをする必要があります。
もう一つの方法は、
細胞外小胞、
識別可能なバーコードmiRNAを代理マーカーした分析です。
これをするための前提としては
細胞外小胞を高精度に分離する事が求められます。
例えば
脳腫瘍の癌細胞に薬物キャリアがどれくらい届いたか?
その癌細胞の細胞外小胞を識別できれば、
その細胞外小胞にどれくらいバーコードmiRNAが含まれているか
その逆転写解析によって明らかになります。
このmiRNAは元々細胞外小胞に含まれやすい核酸であるので
それを識別可能なプロキシとして利用するという事です。
少し調べる限り、エクソソームは
◎インテグリン
◎カドヘリン
◎クローディン
◎コネキシン
これらの細胞接着分子が含まれることがあるとされている。
同時に含まれているかどうか、
それについては、もう少ししっかり調べないとわからないが、
50nmエクソソームの表面積
A(ex) = 8 * 10^-15 (m^2)
1つの受容体の占める面せ液
A(re) = 8 * 10^-18 (m^2)
これらなので、仮に細胞接着分子の
表面積占有率が1%でも
一つの50nmエクソソームに含まれる
細胞接着分子受容体の数は10個ということになる。
表面積占有率が100%なら、1000個なので
実際に、バイオエンジニアリングするとなると
表面のタンパク質の制御は難航するかもしれない。
50nm径というと一番小さな細胞外小胞のスケールなので
それでも、これだけ多くの表面タンパク質を含みうる
ということから、
エクソソームはテトラスパニン、インテグリンなどが
表現として代表的ではあるが、
少数のものも含めて調べていくと
上述した細胞接着分子を含めて多様かもしれない。
1次元目の構造コーディングによる分離は
思ったよりも精度がでないかもしれない。
そうすると2次元目の結合親和性コーディングが重要になってくる。
また、この3次元目の組み合わせコーディングは
この概念の目的とするところは
プロセスを分けたうえで
タンデムに膜タンパク質の構造コーディングを行うことであるから、
2次元目の記事で示した結合親和性コーディングでの
ホモ、ヘテロいずれかの複数結合とは
少し意味合いが違ってくる。
すなわち
3次元目では1回目の分離でインテグリンでわけたら
2回目はクローディンでわける。
そういったプロセスとして分けた形で
分離精製することも示すものである。
原理的には乗算で効いてくるはずである。
ただ、1次元目の構造コーディングが
想定以上に機能しない可能性があるので
この3次元目もそのロスに応じて、効率が下がってくる。
こればかりはやってみないとわからない。
いずれにしても素案としては存在する。
この分離技術は最終的にコストを考える場合、
工数、プロセス時間などを考慮する必要があるが、
少なくとも研究段階では
1か月、2か月時間がかかろうが
分けられるならやる価値が十分にある。
私ならやる。
その理由はもう説明するまでもない。
今の生物学、薬学、医学、医療の研究、
特に医学、医療の基礎研究の対象として
「健康状態」
これの研究が遅れているように思われます。
常識的として重きを置かれているのは
「病気、疾患」「病状」「病理」「病態」
これらの理解の為の研究です。
病気によれば、患者さんの生死にかかわる問題ですから
多少、リスクがあっても、
それを研究、あるいは医療介入を行うことができます。
しかし、健康な人、というとそうはいきません。
例えば、ワクチンがあります。
新型コロナウィルスのmRNAワクチンは
The New England Journal of Medicineの臨床結果からして
予防の効果がある事は間違いないですが、
こうした臨床応用の研究に
一般の人も含めてアクセスできる状況にないからです。
厳密にいうと
アクセスは可能です。
なぜなら、この時期の新型コロナウィルスの発表は
おおよそ世界の科学論文はフリーにしていたからです。
でも、当然、一般の方が英語で書かれた論文を
理解できるはずもありません。
これは、日本の結果ではないので
確かに日本人に対して当てはまるかどうかはわかりせんが、
予防医学の本質の理解の欠落が見られる
様々な憶測の見解がみられた。
ワクチンの大罪のような言葉もあったかもしれない。
ものすごく効果があるワクチンでも
健康な人に投与するとなるとそれは容易ではない。
このことがコロナ禍でより顕著に示されました。
あるいは、骨髄バンクの取り組みもあります。
名古屋大学病院の先生と
1人の女性の方が頑張って、
日本の骨髄バンクの先駆的な組織を作ることに貢献されました。
そのときも
健康な人の骨盤に向けて
針を12本も指すわけですから、
そんな取り組みを健康な人にお願いするというのは容易ではありません。
今は「末梢血幹細胞移植」というより安全な方法でできるから
それがより広がっているということもありますが
それでも、血液を提供する人に躊躇がないわけではない。
細胞外小胞の分析は液体生検による血液だけではなく、
原理的には尿、唾液でも採取可能です。
もちろん、血液がいいということになりますが、
尿でも唾液でも取れるという事は
「健康な人」の身体の中を詳細に調べる事ができるという事です。
すなわち
尿や唾液はさすがに提供者で懸念を示す人は少ないだろう。
また、採血も健康診断などで普通にしていることです。
多くの健康な人の身体の中の情報がとれますよ。
もちろん、問題がないわけではありません。
同意なしに勝手にすると倫理問題(プライバシーなど)になります。
これがこれからの
生物学(特に人)、薬学、医学、医療の研究。
どういったインパクトをもたらすでしょうか?
例えば、健康な人の身体の組織の恒常性を
細胞外小胞によって理解出来たら、
科学、医療に対して具体的にどういった進展をもらたすでしょうか?
今までは主に病気への理解でした。
例えば、胎児から成人するまで
人の身体はどういった軌跡で組織、臓器を成長させるのでしょうか?
あるいは、
成人した後の組織、臓器はどうやって
その大きさが保たれているのでしょうか?
あるいは、
高齢期になった時に、そうした組織、臓器の機能は
細胞レベルでどういった低下がみられるのでしょうか?
具体的に物質として、若い頃と何が違うのでしょうか?
例えば、身体の中の傷、炎症が収まり
組織が修復するときには、
細胞生物学的にどういった軌跡を描いて
それが可能になるのでしょうか?
こうした事が細胞外小胞を高度の分離精製すると
理解できるようになる可能性がある。
特に子どもに対する研究は不足しているわけですから
その中の物質情報の一部に
安全な形でアクセスできる事は
子どもの健康や病気に貢献することになります。
私は、当然、こういった重要性を理解して
今、こうして細胞外小胞の分離技術を
医療の部屋を通じて、無料で、世界に公開しています。
昨日の記事で、
細胞種特異的薬物送達システムの
細胞外小胞のバイオエンジニアリング技術を利用して
構造特異的に細胞外小胞を
選択的に沈降させる案について記しました。
これが1次元目の重要な分離項目、対策ですが、
この技術は実は、もう一つ非常に重要な側面があります。
それは結合親和性コーディングという技術です。
これは成功すれば、
私の「頭の中」では非常に高解像度に分離することにつながる
一方で、
結合親和性を制御しながら結合活性を持たせることは
1次元目の構造特異的に分ける技術項目よりも
数段、技術的な難易度があがります。
これは結合が弱い、強いでわける技術です。
どちらにしろ、重い物質と複合体化させて
その重さによって、沈降させる場合には、
分離した細胞外小胞を特異的に分析するために
その複合体化を解消させる必要があります。
どうせ、そうしたプロセスを踏むのであれば、
それ自体を分離技術として生かしましょう。
このことがあります。
すなわち、狙いの細胞外小胞との結合を弱くすれば、
より弱い力によって結合が解消されます。
その力は
電場、磁場、超音波などの物理的な力でもいいし
酵素など反応を用いた化学的な力でもいいです。
いずれにしても
制御可能な外的な力で結合を解消させるときに
狙いの細胞外小胞の結合力を制御する事で
力を適切に調整する事で分離しましょうということです。
当然、結合が弱ければ、結合が解消した時に
重さが顕著に変わりますから、
その重さの違いによって、浮上するなどして
分離が可能になります。
ただ、
こうした浮上の時間は私が想定しているよりも
もっと、遅いかもしれません。
この分離技術は、想定しているよりも時間がかかるかもしれない。
それでも、少なくとも研究レベルではやる価値があります。
一方、結合を強くしても
それ以外の結合が弱い物質を取り除くことができますから
標的の細胞外小胞との結合を強くして
その場に残すことで、分離する事も可能です。
当然、物質の都合によって
弱くしかできない場合と強くしかできない場合。
これらの両方が想定されます。
この結合親和性コーディングによる
細胞外小胞の分離は2次元目の技術項目ですが、
基本的に通常あり得ない領域で
結合力を強く、あるいは弱くすることで
特異的に細胞外小胞を分離しようとするものです。
この結合親和性は1対の結合力という軸だけではなく、
複数の同時結合という数の軸もあります。
当然、結合している数が大きくなれば、
それだけ結合力は高くなります。
例えば、その数が1つから2つに変わると
単純計算では2倍となりそうですが、
タンパク質同士の結合の場合、
必ずしもそういった線形的な変化にならない
可能性があるのではないか?と推定しています。
こうした複数の結合を想定する場合は
ホモ(同種)でもいいし、ヘテロ(異種)でもいいです。
こうした複合結合を想定して設計して
かつ、構造による結合親和性を変えるということも考えられます。
その時、結合親和性の
ダイナミックレンジ、偏差の違いを意識して
どちらが良いかを選択することになります。
また、こうした結合は
実際は想定よりも密着して生じる可能性もあるので
膜タンパク質単独だけではなく、
細胞外小胞表面にあるグリコカリックス。
これによっても結合性が変わるかもしれません。
ただ、もしそうであるとするならば、
1次元目の構造による沈降の分離能力が下がる事になります。
なぜなら、
細胞外小胞に共通的に存在する
グリコカリックス同士が干渉、結合するとなると
構造特異性が発揮されなくなるからです。
それが当てはまるのであれば、
この2次限目の結合強度による分離の重要性、負担が高まります。
今日、Nature誌のCollectionで
ショウジョウバエの脳における
コネクトーム、
ちゃんと読んでないから正確なこといえないが
神経系の連結に関わる物質の包括的評価。
これに対する複数の論文が公表されました。
原理的に
細胞突起由来、フィロポディア由来
細胞外小胞を分析する事は
こうしたコネクトームの一部を掌握する事に繋がります。
しかも、それがショウジョウバエではなく、
人であり、さらに死体(ご遺体)からではなく、
生きた人で、しかも、リアルタイムでわかる可能性があるという事です。
実際に神経系から
フィロポディア由来の細胞外小胞がどれくらい出ているかによるし、
それをどれくらい特異的に、高精度に検出できるかにもよる。
神経系の細胞突起は
当然、初期の連結だけではなく、
シナプスの構造安定性にも関わります。
従って、神経系のコネクト。
これにおいて非常に重大な役割を果たします。
もし、私の記事を読んで、
こういった事を読み取って、今日の発表の一部の動機になったら
本当に、世界のあなたがたは
私の記事から重要なことを読み取っている。
このことが示されます。
今までの精度を圧倒的に凌駕する
細胞外小胞分離、
もっといえば、(遊離)物質分離。
これを実現するための鍵となる技術は
構造特異的に細胞外小胞(あるいは物質)を沈降させる事です。
その為には
細胞外小胞のエンジニアリングが求められます。
基本的に細胞外小胞の構造の違いにプローブする対象となるのが
主に膜タンパク質です。
確かにグリコカリックスや膜そのものにもアプローチはできます。
しかし、
ここでは主に膜タンパク質に焦点を当てます。
こうした膜タンパク質は、
当然、膜の表面にあり、ほとんどが脂質膜を貫通する
膜貫通タンパク質です
この細胞外小胞の膜の資源、リソースは
細胞膜、エンドソーム膜などの細胞内の膜です。
この形成過程を考えると
原理的には膜タンパク質の内、
少なくとも膜タンパク質同士が干渉できる
主に細胞接着分子に関しては
細胞外小胞にある程度、自然な形で
エンジニアリングして装飾できるはずである。
このように考えられます。
ただ、エクソソームのILVs(interluminal vesicles)での
形成過程はESCRTやテトラスパニンが関わっているため
膜にある物質を無差別的に膜構造として取り込むのではなく、
こうした形成過程に関わる物質と
結合性などがある干渉できる物質にある程度は限定されます。
しかし、
分類を細胞外小胞まで広げると
エクトサムは細胞膜の直接的な萌芽(Budding)によって
形成されるため、こうした細胞外小胞を利用すれば、
エクソソームとは少し異なる様式で
細胞外小胞をエンジニアリングする事が可能です。
この技術は細胞種特異的薬物送達システムの
基本的に必要とされる技術項目であるので、
どちらにしても
「ここはクリアしなければ、何も始まらない。」
このことがあります。
今、ここで私は簡単そうに書いていますが、
実際にそれをモノとして実現するとなると
もっと言えば、生産して産業化するとなると
これは、相当難しいかもしれません。
どれくらいのレベルでできるようになるかはわかりませんが、
こうしたタンパク質特異性に基づいて
細胞外小胞、物質的な分離を試みる時には
(実際にモノとして生産できるかは置いておいて)
結合性の制御も原理的には可能なはずなので
この記事とは別次元で
さらに特定して細胞外小胞の分離が
「文書上」「頭の中」ではできるはずだとなります。
従って、構造特異的に
別の沈降媒体として細胞外小胞。
(あるいは細胞でもいいのですが
もっといえば、構造を持つ人工物でもいいのですが)
これを用意して、選択的に沈降させる事は
その後の別次元の分離にもつながり、
現時点の見積もりでは
この技術は不可欠であるとしています。
ただ、目的はあくまで
液体生検中にある細胞外小胞や
タンパク質、核酸、脂質、糖などの物質を
非常に高精度に分けることなので、
こうした私の構造特異的なコンセプトを
根底から覆すようなイノベーティブな方法がない。
このようには絶対的には言えません。
構造特異的に細胞外小胞を分ける事は
あくまで手段の一つであって、目的ではありません。
目的は、細胞外小胞を非常に高精度にわけることです。
それができるようになると
おそらく色んな分野にインパクトがあると思います。
それについては、ある程度、考えられる範囲は
今までの記事で説明してきたので
ここでは、再度、それを確認して明示する事はしません。
初めの時点では
分離する目的の細胞外小胞に対して
ダイナミックに大きさ、質量を変えた媒体が
必要になるかもしれません。
細胞外小胞の重さはフェムトグラムオーダーなので
(少なくとも私が)頭の中で描く世界の現象よりも
かなりの程度で軽い物体なので
そもそも、ほとんど沈まないかもしれません。
この分離がどれくらいのレベルでできるかによって
それに対する付加価値は当然、大きく変わります。
例えば、神経系の連結の初期には
神経細胞が細胞内の細胞骨格の重合体化
それによる伸長を受けて、
細胞の形を変え、触手を伸ばします。
そうした顕著な細胞突起から放出される
細胞外小胞も存在する可能性があるので、
その特異的な細胞外小胞を特異的に分離して
その物質を調べる事ができたら、
神経系の構築の初期の現象の一部がわかります。
それも、実際の生きた人から
それを採血という極めて負担の軽い方法で
取得する事ができます。
これは、健康な人でも調べる事ができます。
例えば、神経系が構築されるときには
一体、どんな物質がその細胞突起の先に存在するのか?
それが細胞外小胞の膜タンパク質からわかる可能性があります。
また、細胞骨格の構造の一部や
ひょっとするとミトコンドリアもわかるかもしれません。
また、どういった脂質膜構造を取っているか?
それについても調べる事ができます。
しかし、こうした刹那的な細胞生物学に
人のケースで、採取可能な形でプローブ(探針)するためには
こうした神経系細胞突起の細胞外小胞の
実在を認めて、それを分離して、
その実在の確からしさを評価する必要があります。
従って、こうやって「文章」「頭の中」の
世界では簡単に書きますが、
実際にこれを実現するとなると
色んな技術的な制約があり実現不可能である。
このようになるかもしれません。
例えば、
そうしたフィロポディア由来の細胞外小胞は
ほとんど、血液中にないという可能性もあります。
それは、今のレベルではわかりません。
レベルを上げていくと、それに伴って出来る事が増える。
今、私がこの医療の部屋で述べている可能性は
極めて、高度なレベルの分離技術が実現した。
この仮定に基づくものであって、
実際にはそれよりも数桁以上低い感度になる可能性もあります。
そうすると出来る事もそれに応じて少なくなります。
今の少なくとも科学論文を見ていて、
こうした細胞外小胞の分離の技術を
追究している報告は見受けられません。
もし、本当に高レベルの分離技術が可能であれば、
マウスとかいった代理の動物ではなく、
人のケースで、しかもリアルタイムで
採血によって、
細胞死プロセスなども含めた
色んな細胞生物学にアクセスすることができるはずです。
そうした報告もありません。
もっといえば、
試験管上で細胞死した時に細胞外小胞を調べる事は
特に高度な分離技術を必要とすることなくできるはずですが、
そうした報告も私は知りません。
しかし、実際に試験管で細胞死した細胞外小胞を調べてみると
想定外の事が起こり、
思ったよりも細胞生物学の事が理解できないかもしれないし、
それとは逆に、
今までの常識を覆すような結果が得られる可能性もあります。
それは、今、文書上でわかりえない世界になります。
いずれにしても
細胞外小胞の分離技術において
バイオエンジニアリング技術を使って
別途、沈降可能な細胞外小胞などの媒体を用意して
構造特異的に沈降、精製分離させる事は
別次元の分離技術をあわせて考えると
少なくとも追究価値のある、重要な技術候補である。
このように考えられます。
しかし、この記事は
主に科学論文に基づく紙面上の情報に基づいて考えられているため、
実際に実験現場の経験などが含まれないため、
こうした見積もりに
少なくとも一部、あるいは大きな乖離、誤りが存在する。
それを否定する事はできません。
細胞外小胞の一般的な定義は増殖能がない事ですが、
おそらくこの定義の中に「代謝機能がない事」も含まれないか?
細胞突起のフィロポディア由来の細胞外小胞には
ひょっとすると細胞骨格と合わせえて
ミトコンドリアを含むことがあるかもしれないけど、
そのミトコンドリアが細胞のように
細胞外小胞でも機能するという確固たる証拠はない。
もし、細胞と大きく上記の点で異なるとすると
細胞外小胞は「物質の保持」という点で価値をもたらす。
それは遊離物質にもない機能です。
従って、バイオマーカーとして利用が検討されていますが、
私が発明した細胞種特異的細胞外小胞分離技術と合わせると
単に、病気があるかないかというレベルの話ではなくなってくる。
即時的な細胞生物学をプローブ、探針するための
重要な証拠としての価値が浮かび上がってきます。
そのためには何としても
非常に高解像度、高精度で細胞外小胞を分離する技術。
これが必要になってきます。
もともと、細胞外小胞は小さなものは
光学顕微鏡でも見えにくいくらいの大きさなので
凝集問題も含めて、非常に管理が難しいという事があります。
しかし、そうであっても
それが成功した時の価値を考えると
この技術開発は絶対にやったほうがいいということになります。
私が、この技術開発に力を入れる事に変わりないし、
小児脳腫瘍の死亡者数をゼロにするという
目標にも変わりはないです。
ただ、断っておくが、
ちゃんと私のやっている事の価値を理解できる人と組むし、
この目標は、多くの人と「うまくやっていかないと」無理なので
基本的にこの目標を達成する事は
私の対人関係能力からして無理であると思っています。
ただ、子どもは助けたいし、
小児脳腫瘍の子どもの命を救うための
「技術」「創案」「知恵」「知識」などの
知的資産を含む情報、技術は提供します。
この細胞外小胞分離技術は、成功すれば、
小児脳腫瘍の子どもの命を救う事にもつながります。
超高解像度の細胞外小胞分離技術において
必須となるのが、人工知能による評価です。
人工知能は結局はコンピューターである限り、
数字の羅列を分析する事に変わりないので、
そうした数字に可換な画像データの
特徴量を抽出する事に優れます。
未知の特徴量はあるかもしないけど、
本質、概念を理解できる人が
あらかじめ、考えられるあらゆる特徴量を定義する事。
これは、アルゴリズムを組むうえで
少なくとも助けになるはずです。
ましてや、細胞外小胞を分けるという
強い目標が私にはあるわけですから、
その目的に応じた最適な人工知能プログラム設計、
あるいは特徴量の抽出が存在するはずです。
今日は、その特徴量について考えます。
(Fq1)サイズ
サイズは細胞膜の端と端の距離ですから、
サイズを人工知能が認識するときには
細胞膜の「数字上の定義」が必要になってきます。
従って、それが特徴として現れるような
画像データ取得条件でなければなりません。
例えば、
細胞膜である脂質二重層のコントラストが
明るくある必要がります。
あるいは、細胞外小胞と環境との界面において
明確なコントラストの差がある。
また、そうした差が連続的に連なっている必要があります。
こうした考え得る特徴量の定義から
人工知能にサイズを定義させる必要性があります。
サイズは細胞外小胞の特性パラメータにおいて基本的なことです。
また、おおよそサイズで質量が決まってくる部分もあります。
なぜなら、脂質2重層と水でおおよそ質量が決まってくるので
水の保持条件を間違えなければ、
おおよそ、大きさで質量が決まってきます。
大きさで質量がおおよそ揃ってくるという事は
分離技術において重要な機会を与えます。
基本的に細胞外小胞は非常に小さくて
重さも5.76フェムトグラム(5.8 * 10^-15g)。
これくらいしかないので
こういったレベルでの重さの違いを識別して
分離に生かす事は相当なレベルで困難なことですが、
しかし、物理的に分離において
重さが重要なパラメータであるには変わりありません。
さらに、その気相、液相、固相。
いずれにおいてもその降下速度に影響を与える
表面積も、おおよそ大きさで揃ってくる部分があります。
従って、サイズというのは
基本的に細胞外小胞の定義そのものでも基本的なパラメータですが、
その極めて重要な応用の一つである
細胞外小胞分離技術においても
サイズは基本的なパラメータで有り、
人工知能に自動で評価させたい項目です。
(Fq2)形状
Yueting Wu(敬称略)らがFig.1に細胞外小胞のSEMイメージを示しています。
これを見ると、私は相当難しいことをやろうとしてる。
このことが像からわかるということです。
単に凝集というよりも、
膜融合しているようにも見えます。
従って、細胞外小胞の分離を考える際には
ある程度、複合体としての扱いも想定しないといけない。
このことがわかります。
ひょっとすると一生かかってもできないかもしれない。
そういうレベルの事を私はやろうとしています。
でも、できれば非常に大きな価値をもたらす。
形状もそんなに理想的な円や楕円でもありません。
複雑な形状を取っているし、
そうした形状はおそらく安定ではありません。
従って、形状という特徴量は容易に変わるうるものなので
それを人工知能が考慮して、
細胞外小胞の分離のための
信頼性ある特徴量として抽出する事はチャレンジングです。
細胞外小胞がどういった形状をとるか?
それは中に含まれる水分によっても大きく影響を受けると思われるし、
細胞膜の硬さにも影響を受けると思われます。
細胞膜の硬さは脂質二重層の脂質構成の影響も大きいので、
細胞外小胞がどういったプロセスで形成されるか?
具体的にはILVsで形成されるエクソソームか
それとも、細胞膜でそのままbuddingされるエクトサムか?
それによっても変わるし、
もともと細胞種が持っている脂質膜の構成にも影響を受けます。
もう一つ難しいこと。
例えば、Fig.1Bをみたらわかるように(1)、
像をみて、一体、どれが細胞外小胞で
どれが、それ以外の物質ノイズなのかがわからない
という問題もあります。
従って、この技術は私が言葉でここで定義できるほど
単純、理想的ではないし、
少なくとも「そんな簡単じゃねえ。出来た気になるな。」
このことが自他ともにあるということです。
こうした形状は「画像上」は
撮像方法によってはコントラストの分布に影響を与えます。
例えば、Fig,1A.Bをみると
細胞外小胞ごとに小胞内でコントラストの分布が違います。
こうしたコントラストの個別の違いは
画像データの数字分布として定量でき、
それは人工知能に取り込むことが原理的に可能です。
(Fq3)複合体パターン
基本的に細胞外小胞の分離においては
すべて個別の細胞外小胞にしたいということがありますが、
おそらくこれは技術的に無理ということになるかもしれません。
そうした場合、予め、複合体であるということを前提に
分離技術開発を進めていく必要があります。
像をみていると(Fig.1(1))
完全に表面上で凝集しているのではなく、
一部は細胞外小胞に実体事取り込まれているようにも見える。
つまり、完全に物質として融合している領域がありそうだ。
このことが分析出来できます。
そうした場合、
どれくらいの体積が他の細胞外小胞に融合体として
とりこまれているかの割合や
複合体として何個の細胞外小胞がつらなっているか
あるいはどういった位置、パターンでつながっているか
これらなどの特徴量が想定されます。
もし、仮に細胞外小胞の膜融合が複合体の中で生じているとすれば
そのバックグラウンドとしてのモデルが必要になります。
そうしないと特徴量を抽出した後の解釈が難しいです。
基本的な細胞膜の融合の機序を詳しく
内容として調べて、理解していく必要があります。
(Fq4)輪郭
細胞外小胞の輪郭は膜タンパク質、テクスチャー、
付着物質など様々な影響を拾って像、
コントラストに反映されると思います。
Fig.1の像を観ていても(1)、
輪郭のコントラストが違う事が人の眼でみてもわかります。
従って、こうした輪郭のコントラストは
人工知能で特徴量として抽出する事が可能です。
(Fq5)統計的な偏差、ばらつき
大きさをあらかじめ合わせたとしても、
上の3つの特徴量の中で、
特に形状、複合体形成においては
統計的なバラツキもあると思われます。
最終的に非常に高精度に分けた状態においての
統計的なバラツキは細胞外小胞の起源、
すなわちどういった細胞種から、
あるいは、メカニズムで放出されたか?
その重要な項目となる可能性があります。
(Fq6)測定手段依存性
細胞外小胞を分析する中で
それを分析するためのモダリティー、手段はいろいろあります。
例えば、参考文献(1)ではSEM(Fig.1A)とTEM(Fig.1C)では
細胞外小胞としての像としてのコントラストパターンが異なります。
光学顕微鏡でみたら、また違うだろうし、
蛍光発光させてもそうだと思います。
従って、人工知能で処理する上での特徴量として
像を得るための解析手段の違いによる依存性もあります。
(Fq7)スペクトル波形
大きさの分布、細胞膜の硬さなどは
画像とは違った様式、すなわちスペクトルデータとしても取得可能であり
統計的なデータを定量化する事に優れます。
この統計とは
多くの細胞外小胞という集団としての解像度と
一つの細胞外小胞の物質統計としての解像度、
両方が存在します。
わかりやすくいうと
前者は、大きさのバラつきはスペクトルの半値幅で定量できます。
後者は、膜の硬さを蛍光発光で調べる時に
その蛍光発光の時定数の広がりは
細胞膜の硬さの偏差を示すので、
一つの細胞外小胞の脂質構成の偏差を定量することができます。
こうした偏差データの数字化は
画像データから正確に抽出する事が
人工知能をもってしても、難しい場合があるので
モダリティーを大きくスペクトル取得に変えて
その数字データ、関数から評価していく軸が存在します。
(参考文献)
(1)
Yueting Wu 1, Wentao Deng, David J Klinke 2nd
Exosomes: improved methods to characterize their morphology, RNA content, and surface protein biomarkers
Analyst. 2015 Oct 7;140(19):6631-42.
宇宙、地球には天文学的な数の物質があります。
生物、人、もっといえば、人間一人の身体の中においても
その数のスケールは構造ベースで考えると天文学的になります。
そうした数は定量できる次元を超えています。
自然に、全く何一つ同じものはない。
それはまるでフェルミ粒子は同じ量子状態をとれない。
このことにもつながるように思えます。
しかし、人は、そうした自然の異種性、非同一性の中に
人だけが主に構築する「概念」を持ち込み、
一定の精度で集合を作り、
それを概念上は同一のものとして定義します。
そうしたいわば、近似が
少し大げさですが私たちの近代的生活を支えています。
その「概念」とは特定の解像度で分離した集合として定義する。
このようにもいえます。
その概念は頭の中だけで形成されることもあります。
芸術、数学がその代表であり、
より近代的なところでは人工知能、仮想空間がそうです。
分類学(Taxonomy)という学問があります。
生物を種々な共通的な特徴によって分類し、
体系的にまとめ、生物多様性を理解する。
このように定義されます。
広義にいえば、数学も含め、あらゆる学問は
人による理解を伴なうモノであり、
生物が共通的に持つ感覚から超越した領域を含みます。
こうした「理解」「概念」のために
人は簡単な言葉でいえば「分ける」という事を
ひたすらしてきました。
この「分ける」という取り組みが、
間違いなく今日の人類の繁栄に関係しています。
超高解像度細胞外小胞分離技術は、
物質の構造解像度で、物質を「分ける」という事を目指します。
人が部屋の中を掃除するときを考えます。
衣類、ゴミ、常備薬、書物、食品など
生活に必要な様々な「物質」がありますが、
片づける時には、傾向として
こうした分類可能な生活要因を個別に分ける事をします。
人には上述した「概念化」も含めて
「分ける」という事が極めて生活の中で基本的な事なので
超高解像度細胞外小胞分離技術と
仮に、たいそうな名称で定義しています。
根本は「分ける」ということなので、
その内容を知ると、極めて普通の事で
この技術の背景に存在する重要性を多くの人は気づきません。
もし、そこに気付いているなら、
すでに世界の誰かが、この技術を発明し、
それを実用化し、すでに普及しているはずです。
超高解像度細胞外小胞分離技術は
物質間の結合と重さの違いに着目して
物質を分離する事を目的としています。
この物質を分けるという事は
人間の営みにおいて極めて基本的、かつ普遍的な事なので
元々、出発点が医療ではありますが、
その適用範囲は
あらゆる学問、あるいは人の生活に関わります。
この技術が実現した時の応用が「無数」にあるのは
その分けるという行為が
今まで人間がしてきた近代的生活のプロセスの中で
基本的必要要件の一つだからです。
少し、私が目指す領域とは離れた応用について
ここで少し考えてみましょう。
世界に80億人の人が生活しています。
その生活の中で排出される膨大なゴミがあります。
日本では、そのゴミは適切に処理され、
それが道端に散乱していることはありません。
しかし、区画化されたごみ捨て場に
誰もいない早朝にカラスが来て、
排出されたごみがあたりに散乱することがあります。
でも、誰かが掃除をして、また、綺麗に保たれます。
今では、ゴミはある程度は分けられます、
ゴミ処理場でのごみの処理において、
ゴミを分類して、焼却など適切な処理を行うための
労力、エネルギーは膨大です。
上述したように散乱したごみを綺麗にする
人がいるから、道端は綺麗に保たれ
それによって衛生状態も維持されます。
そこにも人による労力が費やされます。
もし、こうしたごみを非常に高精度に分ける技術があれば、
生活の中でのごみの処理、リサイクルは非常に楽になります。
私が開発する超高分解能細胞外小胞分離技術と
こうした生活の中でのごみ処理問題は
スケールが違うので当然、そのまま当てはめることができませんが、
広義に基本的なコンセプトに着目すると
新たに効率的にごみを処理するプロセスに貢献するかもしれません。
例えば、
私の分離技術では「重さ」に着目しますが、
ごみを「重さ」と「沈降速度」で簡便に分ける事で
ゴミ処理において何か付加価値をもたらすことはないか?
「分ける」という事は
このような全く異なるスケールでの分類の応用としても
生かす事ができるくらい普遍的な事です。
従って、私が、分子構造レベルで
結合性、重さ、沈降速度に主に基づいて分けるというシステムは
単に医療だけではなく、
宇宙を含めた工学、生物学、薬学、
それに紐づく様々な分野において貢献しうることです。
分けるという事は地味なことですが、
上述したような人間の営みにおいて基本的な事であるがゆえに
その応用は無数にあり、
それによってもたらされる付加価値は膨大であるという事です。
少なくとも、それに私は気づいたという事です。
従って、この総括では
その「無数」に存在しうる応用において
一つ一つ具体的な応用を示すことはしませんし、
とても、そうした応用を1人の人間が全て包括する事は不可能です。
日本を始め、世界には
多くの人がいて、知識、知恵、経験などの知的資産があります。
また、応用を可能とする技術的資産もあります。
私が出発点として示した
この普遍的な分離技術を是非、
極端な話、技術に関わらない主婦の方も含めて
色んな観点で考え、
人の持続可能かつ近代的な生活に貢献してほしいと思います。
こうした「分離」について
私とは同じ方式ではないけど、産業界も
日々、考えられている方々はいるとは思います。
私も取り組んでみると思っている以上に難しいかもしれない。
でも、基本的にやる価値のあること。
そういう位置づけです。
分子構造分解能を持つ
超高解像度の細胞外小胞分離技術は
その分離を細胞外小胞に限らず、物質迄含めると
応用範囲は非常に広いですが、
私個人としては、生物学、薬学、医学、医療。
その中でも特に医療。
もっといえば、小児医療。
さらにしぼれば、小児脳腫瘍。
これの顕著な改善のために、この超高精度な分離技術を適用します。
この総括ではそうした目的に応じて
内容をある程度絞って、書き記します。
私の目的の最も下位、具象、核にあるのが小児脳腫瘍です。
従って、脳神経内にある
癌細胞から出る物質を「分ける」事を目指します。
それを実現するために考えているより具体的な手段は
癌細胞から放出される細胞外小胞を
採血を通して、1ppmの精度で検出し、分離精製する事を目指します。
1ppmとは1 part per millionですから
全細胞外小胞10^6個から1個の精度で分離精製する事を示します。
そのためには
分離するためのS/N比。
ここにおける
S(シグナル)は、癌細胞由来の細胞外小胞を検出する精度
N(ノイズ)は、癌細胞由来ではない細胞外小胞を検出してしまうレベル
このように定義すると
分離精製の精度である10^6のS/N比では足りません。
その精度では1ppmしか含まない癌細胞の細胞外小胞環境にある時、
半分以上の無視できないレベルで
癌細胞由来ではない細胞外小胞を検出してしまいます。
それくらいの数しかない癌細胞を99%含むような
分離精製を実現するためには
少なくとも1ppmよりも2桁程度高いS/N比を実現する必要があります。
すなわち、S/N比:10^8ということです。
この精度は、細胞外小胞を実際に薬物キャリアとして利用する
あるいは液体生検のバイオマーカーとして利用するために
実務経験として扱ったことのある人にとっては
明かに度を越えた難しさであるという事は自明です。
では、具体的にどういった技術で
特定の細胞種、上の例では脳神経系の癌細胞の細胞外小胞を
非常に高精度に識別して、分離精製する事ができるでしょうか?
まずは、それについての概要を説明します。
癌細胞由来の細胞外小胞の生物発生機序は一つではないですが、
非常に小さなExomereなど、発生機序が未だはっきりしない
ものを除けば、おおよそ共通なことがあります。
細胞質にある物質を内腔に含み
その内腔を囲む膜は細胞膜から生成されます。
また、細胞膜上の膜タンパク質は
そのまま細胞外小胞の膜タンパク質として引き継がれます。
こういった
細胞外小胞の物質は癌細胞の情報そのものですから
その物質情報だけではなく、
幾何学的、電気的に現れる特徴も含めて
癌細胞由来の細胞外小胞を分離精製する事を試みます。
そのための方法を一つの限定する事はしませんし、
それが可能なあらゆる方法が技術開発の対象となりますが、
今、1次評価の現時点で想定している事は
モノクローナル抗体による免疫沈降のコンセプトに倣い、
結合性、重さ、沈降速度による分離です。
より具体的には
癌細胞由来の細胞外小胞に特徴的に発現される、
あるいは統計的に多く発現される膜タンパク質に
特異的な結合親和性を持つ膜タンパク質を装飾した
分離精製媒体である細胞外小胞を
エンジニアリングによって別途用意し、
それらの結合によって、重さによって差別化し、
その重さの違いによる沈降速度を精度よく利用して
溶液内で分離する事を試みます。
こうした方法は極めて先進的ですが、
それでも上述した1ppmしか含まれない
癌細胞由来の細胞外小胞を精度よく分離精製するために
求められる仕様には
一つの分離メカニズムでは到底、到達しません。
例えば、脳腫瘍の表面タンパク質に着目したプロテオーム解析、
すなわちSurfacomeのデータを見ると、
Receptor-type tyrosine-protein phosphatase eta
これであるDEP-1と呼ばれる表面タンパク質。
(参考文献(2) Figure 8)
これは癌細胞で約48倍(log2:5.61)発現されています(1)。
このThe protein tyrosine phosphatase (Ptp) familyと
一般的な癌との関連は指摘されています(3)。
しかし、
最も通常細胞と差が現れたこのタンパク質でさえも50倍の差です。
従って、もし、特異的な結合でもって
細胞外小胞で分離する事を試みても、
せいぜい1/100程度の精度、すなわちS/N比10^2くらいが限界です。
もし、S/N比を7桁、8桁高めるためには
これと合わせたタンデム(直列)な対策が必要になります。
言い換えると、複数の乗算される高次の対策が必要です。
基本的に、今、1次評価の時点で
私の頭の中にある素案は下の5つです。
(1D)タンパク質特異性:発現量の多い対タンパク質の装飾
(2D)結合力特異性
(3D)組み合わせ「AND」;タンパク質構造/結合力
(4D)重さ特異性:沈降速度
(5D)細胞外マトリックス-インテグリン仲介沈降
(6D)膜の硬さ
(6D)の硬さ、柔らかさは蛍光発光の寿命で定量化できる可能性があります。
この硬さ、柔らかさは
反発係数として物理的に現れてきますから
柔らかい物質は、衝突によって速度減衰率が高くなります。
こうした衝突回数を任意に調整して
その回数が揃うような幾何構造を構築し
それで硬さによる速度差が出やすくなるようなシステムを考えます。
これに加えて、
バックグラウンド、参照データを集め、
癌細胞由来の細胞外小胞の幾何学的、電気的データが
下記に示す、様々な特徴量に対して
特異的に明示されると
その結果から想起される
別の次元の分離プロトコルが生じる可能性はあります。
(特徴量)
サイズ:粒子の直径や長さ(例えば、ナノ粒子追跡法で得られるサイズ分布)。
形状の均一性:球形か楕円形か、などの形状的な偏りを示す指標(例えばアスペクト比)。
表面テクスチャ:表面の滑らかさや粗さを反映した特徴。
凸性:粒子が凸形かどうかを示す指標。
輪郭の複雑さ:フラクタル次元などを用いて輪郭の複雑さを計算。
膜の厚みや密度
上述した特徴量の細胞外小胞の統計的なバラツキ
上述した特徴量のサイズ依存性
付着物質
例えば、形のアスペクト比に差がある場合には
長軸の長さが大きくなりますから、
一定の円形の大きさの穴を形成し、
「長軸だけ」ひっかかるようにするなどの方法も考えられます。
この時、事前に重さに応じて
おおよそのサイズをあわせて分離精製する事を想定します。
そうして調整した条件でフィルターを掛ける事で
アスペクト比に応じた分離が可能になるからです。
表面テクスチャーは、摩擦に差がでるかもしれません。
この摩擦は物質との接触による
減速度に影響があるので
その摩擦力に依存する減速度に応じて
沈降速度に差をつける事で分離の可能性が出てきます。
実験する前なので、わからないことだらけですが、
エクソソームは30nm-150nmであり
光学顕微鏡でも見えにくいレベルなので、
基本的に非常に取り扱い、評価が難しいということもありますし、
溶液中で
単体として沈降させる事は難しく、
密度の小さいエタノールでも
その沈降速度は思っているよりも遅いかもしれません。
今のイメージとしては
気体(気層)、液体(液層)、固体(固相(フィルター様)。
これらと反発力、浮力、重力
これらをうまく組み合わせれば、
なんとなくエクソソームの精製分離において
落下速度の違いをうまく生かせる気がしますが、
それもはっきりはわかりません。
(参考文献)
(1)
Valeria Governa 1, Hugo Talbot 1, Kelin Gonçalves de Oliveira 1, Myriam Cerezo-Magaña 1, Anna Bång-Rudenstam 1, Maria C Johansson 1, Ann-Sofie Månsson 1, Karin Forsberg-Nilsson 2, György Marko-Varga 3 4 5, Julio Enríquez Pérez 6, Anna Darabi 6, Johan Malmström 7, Johan Bengzon 6 8, Charlotte Welinder 1, Mattias Belting 9 2
Landscape of surfaceome and endocytome in human glioma is divergent and depends on cellular spatial organization
Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Mar 1;119(9):e2114456119.
(2)
Janine Krüger 1, Sebastian Brachs 2, Manuela Trappiel 1, Ulrich Kintscher 3, Heike Meyborg 4, Ernst Wellnhofer 4, Christa Thöne-Reineke 5, Philipp Stawowy 4, Arne Östman 6, Andreas L Birkenfeld 2, Frank D Böhmer 7, Kai Kappert
Enhanced insulin signaling in density-enhanced phosphatase-1 (DEP-1) knockout mice
Mol Metab. 2015 Feb 12;4(4):325-36.
(3)
Sofi G. Julien, Nadia Dubé, Serge Hardy & Michel L. Tremblay
Inside the human cancer tyrosine phosphatome
Nature Reviews Cancer volume 11, pages35–49 (2011)

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