2024年11月2日土曜日

iPS細胞技術の初期調査

(背景)
なぜ、今,iPS細胞技術について私は調査するのか?
それは、私の医療関連プロジェクトにおいて
iPS細胞は中核となる技術だからです。
具体的には
細胞外小胞の細胞リソースを
iPS細胞技術由来の細胞に依存することに決めています。
まだ、この4年間の医療の部屋のブログ活動で
iPS細胞のことは身近でありながら調査したことがありません。
私の立場においても、専門家レベルまではいかなくても
ある程度は知る必要がある。
それが背景となっています。


(iPS細胞の応用)
iPS細胞技術が医療的な応用として
可能にすることは多岐にわたります(1)。
(iPSCT1)薬物発見
(iPSCT21)細胞治療
(iPSCT3)遺伝子編集
(iPSCT4)(人工)臓器形成
それに加えて
(iPSCT5)細胞外小胞技術(分離、薬物キャリア)
(iPSCT6)細胞外マトリックス治療(Matritherapy)
これらです。

(iPSCT1)薬物発見
iPS細胞技術で患者さんの病態を再現して、
その病態の細胞に対して
数百、数千種類の候補薬剤を作用させて
細胞の挙動を分析することで
候補となる薬剤を絞り込みます。

(iPSCT2)細胞治療
CAR-免疫細胞の免疫細胞をiPS細胞から得ることで
免疫細胞の白血球型の不一致による
移植片対宿主病(Graft-versus-host disease:GVHD)。
これのリスクを低下させます(2,4)。
これで癌治療をはじめいくつかの疾患に対する
細胞免疫治療を可能にします。
加えて
間葉系幹細胞は細胞そのものが
細胞の創傷治癒に関与していますが、
こうした機能的な細胞をiPS細胞技術で作ることで
筋ジストロフィーなど
難治性遺伝的疾患の治療に利用されます(3)。

(iPSCT3)遺伝子編集
iPS細胞が可能にすることは
取得した患者さんの染色体構造、遺伝子情報を保持した状態で
細胞を多能性ある初期化することができるものです。
従って、患者さんの遺伝的背景の中で
細胞種を選択して効果的に
細胞レベルで制御可能な試験管で遺伝子編集して
細胞の様々な状態変化を分析することが可能になります。
また、その遺伝子編集した細胞そのものを
患者さんに移植することで
その細胞が生着し、勢力を増せば、
遺伝的疾患の根治を実現できる可能性があります。

遺伝子治療の最大の技術的障壁の一つは
特定の細胞を選択的に遺伝子編集して
かつ、遺伝子編集した効果を確かめて、
さらに遺伝子編集した細胞の勢力を拡大させることにあります。
こうした遺伝子編集の一つの手段は
ドラッグデリバリーシステムですが、
この方式では特異的送達のほか、
その効果の生体内での確認や
編集した細胞が組織の中で勢力を増すようにする
システムを組み込むことは
編集そのものに付加される技術的障壁です。

(iPSCT4)(人工)臓器形成
この3次元オルガノイド(人工臓器)を
iPS細胞技術が実現することは
一般的に「再生医療」とされ、
日本では一般的にiPS細胞技術が可能にすることは?
このように問われたときに
最初に挙げる出口、応用項目であり、
日本で実現が一番、期待されていることである
という認識にいます。
子どものころに心臓、肺、骨、骨格筋、腎臓、肝臓など
健康な生活においてきわめて重要な
臓器、組織に先天的奇形、機能不全が存在し
一部の臓器では臓器移植が必要な場合があります。
年齢が合うドナーがいなくて
移植まで長い時間、待機しないといけないことや
海外で移植するとなると膨大な費用が掛かるということが
課題として挙げられます。
日本は幸いにも山中先生の優しさにより
iPS細胞技術は営利第一優先の医療技術にはなっていません。
なぜなら、すでにciraから提供される
世界最高品質のiPS細胞が研究者には無料、
それ以外にも極めて安価に提供されています。
これは、一つ、従事されている方の
資源が一部、犠牲になっていることは認識する必要があります。
しっかり、日本として、国民レベルで
Ciraの財政状況を支えるということが大切になると思います。

もし、iPS細胞技術で3次元オルガノイドの作成が可能になれば、
原理的には患者さんの細胞
そうではなくても極めて質のよい選択された細胞で
組織の一つ一つの細胞を構築することが可能になるため、
非常に質のよい臓器が出来上がる可能性があります。
しかも、それが海外で臓器移植するよりも
安価に移植でき、待機の時間も減らせる可能性があります。

こうした3次元オルガノイドの形成は
体外ですべて臓器形成する必要性は絶対ではありません。
心筋シート移植などですでに可能になっていますが、
機能不全になった一部の組織を
iPS細胞で書き換えることによって
より効率的に機能回復させることができます。
これは、もちろん外科的にも可能であるし、
より発展的に内科でも適用することができます。

そうしたiPS細胞が生体内でどういう軌跡を描いて
生体内で勢力を増していくか?
それの評価が求められると考えられます。
その評価に貢献できる一つの方法を
私自身、考案しています。

(iPSCT5)細胞外小胞技術(分離、薬物キャリア)
iPS細胞で患者さん由来の
体の重要な基本構成要素であるあらゆる細胞を
時計を戻して作製できるということは
想像しているよりもはるかに大きな応用の可能性が
開けている可能性があります。
この項目は少なくとも2017年の総括の中では(1)、
示されていなかったことで、私が追加しました。

細胞外小胞技術は分離、薬物キャリアとして
その応用の裾野は富士山よりも広角で広がっています。
その細胞外小胞の品質を支えるのは
細胞外小胞を放出させる細胞ですから
より上流で細胞の品質がかかわっています。
原理的に高品質の細胞を提供できる
iPS細胞技術は
細胞から自然に放出される細胞外小胞を利用した
あらゆる技術と密接に関わります。

また、細胞外小胞技術が
iPS細胞技術が可能にする医療応用の評価に
役立てることができる可能性もあります。
例えば、iPS細胞技術で
染色体DNAに細胞外小胞収納物質である
miRNAコーディング領域に
識別可能かつ特異的なシーケンス(バーコード)を
遺伝子編集により、構築して
そのmiRNAを永久的に
細胞外小胞分離技術で分析することで
iPS細胞がすべて、
miRNA依存的に細胞外小胞で識別可能なマーキングがされます。
これによってiPS細胞の
生体内の振る舞いを分析することが原理的に可能です。
この評価は
iPS細胞技術が可能にする医療応用の
基本的な評価の一つになりうると私は考えています。

(iPSCT6)細胞外マトリックス治療(Matritherapy)
iPS細胞技術は細胞から放出される
主に間質、基質にある細胞外マトリックスの
資源である細胞源としても利用できます。

例えば、細胞外マトリックスの線維構造を
人工的に作成するときの
線維構造の構成要素である
様々な細胞外マトリックスを
線維芽細胞を工場として作り出しますが、
その線維芽細胞の質を支えるのが細胞なので
質の高い細胞を作り出せるiPS細胞技術は
細胞外マトリックス治療に色濃く影響を与えます。

線維芽細胞を上述した細胞治療の一環として
体の任意の組織内に生着、成長させることで
細胞を支える間質の機能、骨格が若返る可能性もあります。
例えば、
エラスチンは細胞外マトリックスの中では
体全体の1~2%を占め、存在量が多いです。
このエラスチンはたんぱく質の疎水性、親水性相互作用によって
非常に体積変化が大きく、かつ可逆的な
3次元構造をもつので
組織の筋肉のような可逆的な弾性(フック弾性)を可能にします。
骨格筋が健康な生命活動を支えることはいうまでもありませんが、
エラスチンは細胞外マトリックスの中で
筋肉のような働きをします。

しかし、このエラスチンは大人になると
ほとんど分泌しなくなり、その量は
加齢とともに減少していきます。
こうした非分泌性がありますから
当然、それに適応するために
エラスチン自身は体の中で非常に安定で寿命が長いです。
そうしないと一気になくなってしまうからです。

このエラスチンを人工的に増やすことが
必ずしも人の体において利点をもたらすかどうかは未知ですが
体の基本的な機能を細胞以外の観点で
長期的に支えるうえで
おそらく一つのカギとなるたんぱく質です。

このエラスチンを生体外で作製して
送達キャリアに詰め込んで、
任意の組織に送達させる場合、
あるいは、
エラスチンを分泌できる若い線維芽細胞を
細胞医療として生体内に生着、成長させる場合、
いずれにおいても
その資源の細胞としてiPS細胞技術が必要です。

細胞外マトリックスを使った治療(Matritherapy)。
これの他とは異なる潜在性は
細胞は常に状態を変えるし、
周りとの干渉も強いです。
細胞外マトリックスは酵素による分解があるにしても
細胞のように生きた、変化に富む
複雑な構成を有していませんから
比較的単純なモデルで医療介入できます。
また、エラスチンのように寿命が長い構造は
一度、移植に成功すれば、
その効果が長く続く可能性もあります。
マトリセラピーにはこうした機会があります。


(山中因子について)
Oct4たんぱく質はPou5f1遺伝子でエンコードされます。
細胞の未分化状態や多能性を維持するための調整役となる
「First master gene」と呼ばれています(5)。
体のどの細胞腫でも分化することができる
胚性幹細胞(Embryonic stem cells)の基本的な特性のために
絶対的に必要とされるたんぱく質です。
転写因子の調節によって、
このたんぱく質レベルは厳密に調整されています。
その調整能力から「可変抵抗のような(rheostat)遺伝子」。
このように呼ばれています。
量が少ないと細胞は分化し、多能性を失う方向に
細胞の運命が駆動されています。
量が多いと胚を支える胚外組織を構成する細胞への分化します。

Oct4の発現量を支える遺伝子は
SOX2、
NANOG
KLF4、
ESRRB (Estrogen-related receptor beta)
TET1 (Ten-eleven translocation 1)
OCT4自身
これらが挙げれています。
このうちSOX2、KLF4は山中因子の中に含まれます。
従って、OCT4, SOX2, KLF4の遺伝子は互いに
発現量において干渉、相互作用していると考えられます。

Oct4が増えると再プログラム化が促進されます。
再プログラム化とは未分化の多能性幹細胞に変換するプロセスです。
これはまさに、iPS細胞技術の初期化のプロセスそのものですから
取得した皮膚や血液の細胞において
Oct4の発現量をそれそのものの遺伝子導入や
その発現量を強化させるSOX2、KLF4を同時に遺伝子導入することで
増加させることが一つのカギであると考えられます。

もう一つの山中因子である
MYCはがん遺伝子としても知られます。

これは現時点で私の仮説で、
一応、Open AIで確認して、正しい可能性があるということです。
基本的に細胞が初期化するというプロセスは
ヒトの体の中では自然に起きないことです。
これは様々な生物学的な条件、制約があるからだと思われますが、
物理的、エネルギー的に考えると
初期化した多能性ある未分化のエネルギー状態が低く、
物理的に安定だと、分化誘導は起こりにくいです。
また、容易に初期化状態に戻るようなことが生じます。
こういったエネルギー的観点で考えると
未分化の多能性幹細胞状態というのは
エネルギーが高いと推測することもできます。
例えば、
分化した癌細胞ではない通常細胞は主に
酸化的リン酸化(OXPHOS)を利用してエネルギーを生成します。
しかし、多能性幹細胞の代謝は
主にエネルギーを必要とする癌細胞と同様の
解糖系を用いる代謝パターンを持っています。
(参考文献(7) Figure 1)
また、遺伝子へのアクセス性を上げる
クロマチンリモデリングなどの移動性が高いことが
全能性、多能性を支持しているとされています(8)。
こうしたある種のクロマチン不安定性(Chromatin instability)は
同じく、増殖能力が高い癌細胞でも示されています(9)。
おそらく、癌細胞は
もともとのエネルギー状態が高いので
癌幹細胞へ脱分化(一定の初期化)が生じやすいのではないか?
このようにも仮説を立てることができます(10)。

すなわちMYCを導入しないと
有効に多能性幹細胞に初期化しないのは
癌細胞が手に入れるような「エネルギー」のためである。
このようにも物理生物学的には考えられます。
生物学的には
ミトコンドリアなどを介した代謝機能の改変
遺伝子のアクセス性を高めるような
クロマチンリモデリング、構造動性を手に入れます。
MYCはがん遺伝子ともいわれますし、
細胞にエネルギーを加えるということは
細胞核の構造も不安定になりやすい。
このことが想定されるので、
核型異常(Karyotypic abnormalities)など
染色体の異常や遺伝子変異が入らないかどうかは
モニターする必要があるとされています(43)。
特にプライム状態からナイーブ状態に戻すときには
そうしたリスクがプロセスによっては
上がる可能性があるため注意が必要です(44)。
こうした遺伝子ダメージのリスクを減らすために
植物がとっているかもしれない戦略である
抗酸化物質の投与の効果を調べた報告がありますが、
DNA損傷や修復のシグナルである53BP1やpATMの発現は
少なくとも短期間で大きな変化はなかったとされています(45)。

しかし、こうした初期化のプロセスに入っても
細胞が元に状態に戻る「逆戻り」現象が起こり、
初期化する細胞の割合が低いことが示されています。
その逆戻りを防ぐのがLIN28という遺伝子です(47)。
このLIN28はヒトES特異的に発現している遺伝子の一つです。


(分化と増殖)
分化は一般的に染色体の有糸分裂を伴わない、
すなわち細胞の数が増えない、
細胞の形質の変化ととらえることができます。
その変化は、
閾値的でもあるし、漸次的でもあるとされています(Open AI)。
遺伝子を取り巻くクロマチンが
DNAへのアクセス性を変えることで
遺伝子発現量を調整し、
その発現量の漸次的な変化によって、
分化の移行が「初めは漸次的に?」駆動されます。
この変化がある閾値を超えると一気に細胞の形質が変わり
分化が成立するということです。
その形質とは具体的に代謝経路の変更、
糖、脂質なども含めた代謝産物の変更、
当然、たんぱく質の変化、
そういった物質的な変化と合わせて
細胞の大きさや形が大きく変化します。

一方で、 細胞分裂は有糸分裂によって駆動され
一般的には類似する形質を持った細胞数が増加します。
細胞周期の一部であり、細胞は
G1(成長)
S(DNA合成)
G2(準備)
M(有糸分裂)
このような段階を経て増殖します。


(脱分化、初期化について)
脱分化を考えるうえで植物の細胞がなぜ初期化しやすいか?
それを考える必要があります。
分化、脱分化を大元で駆動する因子は遺伝子なので、
遺伝子を取り巻くクロマチン、ヒストンなどの構造、
それを収納する細胞核、細胞核膜の構造を
比較的に考えることが必要です。

興味深いことに植物の細胞核膜に存在する
核小体の数、大きさが相対的に動物より大きいとされています(Open AI)。
この核小体の機能は
(NcF1)リボソームの合成
(NcF2)RNAの加工
(NcF3)転写の調整
(NcF4)細胞周期における役割
(NcF5)ストレス応答
これらなので、遺伝子発現レベルを
様々な環境変換に対して柔軟に調整できることを意味します。

例えば、癌細胞が癌幹細胞に脱分化する理由は
癌細胞が化学治療などによって
生存のため不利な条件に置かれたときに
その環境で柔軟に生き延びるために幹細胞化するかもしれません。
こうした環境への柔軟な適応による初期化が
植物でも生じている可能性があります。

では、構造生物学的にはどういったことが生じているか?
一般的に初期化の状態では
様々な細胞に分化するための「柔軟性」が必要になります。
そのためには様々な合図(クルー)に合わせて
遺伝子発現を任意に調整していく必要があります。
そのための必要条件は
DNAを構造的に取り巻くヒストン、
それらの3次元構造であるクロマチンの構造が緩み、
DNA遺伝子に転写因子がアクセスしやすくなることです。
あるいはそうしたクロマチン構造の変化が
駆動されやすくなる、すなわち動性が高まることです。

しかし、こうしたクロマチンの動性が高まることは
容易にDNAにストレス因子がさらされることになり、
DNAが損傷しやすいという諸刃の剣を持つことになります(13)。
ただ、野菜、果物で示されるように
植物は抗酸化物質を多く保有しています。
こうした抗酸化物質により
酸化ストレスなどからDNAが保護されていると考えられます。
他にも多様なDNA修復機能があります(14)。

こうしたことは人の多能性幹細胞でも当てはまります。
一般的にγH2AXなどのDNAダメージマーカーは高いとされています(15)。
そうしたDNAダメージに対して
以下のような修復機能が亢進されています。
Mismatch repair (MMR)
Base excision repair (BER)
Nucleotide excision repair (NER)
Homologous recombination (HR),
Non-homologous end joining (NHEJ)
こうした修復機能が働きやすくなるように
細胞周期も調整されます(16)。

遺伝子へのアクセシビリティーを上げるためには
ヒストンを緩めるための高い調整機構が必要です。
具体的には
ヒストンアセチル化、メチル化、リン酸化などの装飾。
複合体形成(SWI/SNF)
ヒストン交換
これらなどが挙げられます。


(病態の再現)
体細胞変異は生まれながらのGermline mutation(生殖細胞変異)。
これとは異なり、
後天的に体細胞に分化後、染色体のDNAが変異するすることです。
従って、体全体にこの変異が影響を及ぼすのではなく、
変異ストレスの結果、後天的に変異が起こった
細胞群だけ、そうした変異の影響を受けることになります。
こうした体細胞変異は
おそらくiPS細胞のよる初期化、脱分化が生じた後でも
染色体の遺伝子として引き継がれると考えられます。
例えば、
患者さんの癌細胞からiPS細胞技術により初期化したら
その癌細胞の体細胞変異を含めた
遺伝子変異が初期化後も引き継がれると考えられます。
他方で
皮膚から採取した場合も
もともとある生殖細胞変異と
環境中で光刺激などによって体細胞変異した遺伝子情報も
同じように多能性幹細胞になっても引き継がれると考えられます。
iPS細胞は「時計を戻す」と言われますが、
元ある遺伝子構造が元の状態に可逆的に戻るわけではありません。

一般的に
患者さんの病態をiPS細胞技術で初期化、増殖、分化させて
再現するときには、
先天的な生殖細胞変異が影響を与える
遺伝子的な影響が大きい疾患を再現することが一般的です(17)。

一方で、アレル遺伝子の2つが両方
体細胞変異において生じた疾患においては
その局所から細胞取得するのではなく、
ランダムに皮膚など違う組織から細胞を取得して
iPS細胞技術で病態を再現しようとしてもうまくいかないかもしれません。
アレル遺伝子が1つの場合でも
病態の再現が難しい場合もある可能性があります。

このように単一の遺伝子的な影響ではない
散発性が強い高齢時に罹患する
アルツハイマー病は95%が散発性(sporadic)であるため
完全に近い形で患者さん事、病態を再現することに
課題があることは指摘されています(1)。
基本的に、加齢に伴い、罹患しやすい疾患、
例えば、アルツハイマー病以外の
脳神経変性疾患であるパーキンソン病、
あるいは癌もそうですが、
その場所で、長い人生の中での
その人ごとの歴史があり、
個々のイベントが連続的に並列して
細胞の形質に刻まれているため、
違う取得しやすい組織から、iPS細胞を通じて
一定のリスク変異を遺伝子編集で導入したとしても
完全な個別の病態の再現は難しいかもしれません。
小児がんなども発症のメカニズムははっきりわかっていません。
リスク遺伝子はありますが、
それだけで発症が決まるわけではなく
例えば、免疫機能なども関係する可能性があります。
同じ子供の血液から細胞を採取して
iPS細胞技術で初期化して、
免疫細胞に分化させて、例えば、白血病を再現したとしても、
少なくとも一部の相違があっても不思議ではありません。
ただ一方で、
遺伝子的背景が同じで
一部、後天的な条件が違ったとしても
同じ疾患の細胞モデルを作ることができ、
それに対して、絞り込んだ形で
数種類の最終候補となる薬剤を試して効果を確認する。
このようなことは意義があると思われます。

遺伝的疾患の病態を再現する際に
同じ遺伝子的背景を持っていて
かつ、対象疾患の遺伝子変異、異常を
Crispr Cas9などで取り除く参照細胞。
(Isogenic iPSC controls)
これを作成し、分化後の病態の有無を比較することをします。
(参考文献(1) Figure 1)

iPS細胞から病態を再現するときに問題となるのが時間です。
例えば、遺伝的疾患の発症が5歳とすると、
受精してからおおよそ6年の時間が経過しますが、
iPS細胞で同じ程度の時間、待つことはできません。
従って、病態ができるだけ早く出るように
細胞の老化を促し、加速試験する必要があります。
そのために使われるたんぱく質が
早老症の原因タンパク質であるプロジェリン(progerin)です(21)。
このたんぱく質は染色体、その中に含まれる
クロマチンの3次元構造に干渉します。
具体的には染色体の端にある
テロメアの構造をもろくするといわれています(46)。
これにより、細胞が劣化します。

このようなたんぱく質によってAging-accelationすると
単一アレルの生殖細胞系列変異で、
一部、後天的な要素によって発病する散発的(Sporadic)な
発症のケースでも、
異なる細胞腫から初期化後、
病変細胞種に分化させた後のセカンドイベントが
実際の状況と異なっても、
ある程度、病態として再分類できるような発症が生じることが
筋萎縮性側索硬化症のケースで示されています(26)。
ほとんどの疾患が細胞の老化によって
遺伝子的背景にそって生じやすくなるということを示します。

例えば、小児脳腫瘍の中のmedulloblastomaに罹患している
患者さんの治療について考えます。
この癌腫は小脳で生じ、神経前駆細胞が起源とされているので
この小脳特異的な神経前駆細胞に分化させることは
困難が伴うかもしれませんが、
その細胞に分化させて、老化加速させれば
一定の確率で癌化することが想定されます。
その癌細胞が形質が一定ではなく、色んなパターンがある可能性もあります。
このmedulloblastomaを超音波によって壊死させて
残存病変を細胞外小胞の液体生検で検出して、
そのごく一部の物質情報、例えばRNA、DNAなど。
これらからどういった癌細胞が残っているかを推定します。
その時にiPS細胞で加速エージングした
癌細胞のうち、異種性があれば、
その限られた物質情報と最も整合する細胞群を選び出します。
細胞外小胞の中に収納できる低分子の薬剤の候補を選び出し
それらの候補をその細胞群に作用させて、
細胞死できる効率を見るとともに
細胞死したときに放出される
細胞外小胞内に収納されている物質を分析します。
そうして、患者さんにその薬剤を投与し、
残存病変が小さければ、視覚的には確認できませんが、
ctDNAや細胞外小胞で残存病変量を確認し、
かつ、細胞死したときに放出される物質を
細胞外小胞分離によって評価します。
実際に生体外でのiPS細胞薬剤スクリーニングの結果が
再現されるかを評価します。
残存病変に対する治療なので
少しだけ時間の猶予はあるかもしれないですが、
この方式での大きな課題の一つはプロセススピードです。
こうした小児脳腫瘍の病態再現については
H3.3K27M mutant histone H3.3変異において
Intrinsic pontine gliomaですでに確認されています(55)。


(老化と寿命延伸)
テロメアは細胞増殖の「切符」と言われることがあります。
ヨーロッパを中心とした評価では
テロメアの長さは年齢とともに
ほぼ線形に短くなります。
しかし、この長さは個人差が大きく、
テロメアの長さが一義的に
人の寿命の限界、120歳を決めているかどうかは
議論の余地が残ります。
というのは、
テロメアは約1,500〜3,000塩基対で
細胞死、アポトーシスに向かうといわれていますが、
120歳でもこの塩基対に達しない人がいると
外挿したときに推定されるからです(18)(Figure 1)。
ただ、ほとんどの人で
加齢とともにテロメア長さは短くなります。
従って、テロメアが寿命を決めている一つの主要な要因。
これについては、一定の合理性があると思われます。
ただし、テロメアと交絡するかもしれないですが、
老化、細胞の機能低下は他の因子も関与します。
(AgF1)遺伝子的不安定性(Genomic instability)
(AgF2)エピジェネティック改変の蓄積
(AgF3)たんぱく質恒常性の喪失(過少、過剰など)(Proteostasis)
(AgF4)オートファジー機能の低下(AgF3と関連)
(AgF5)幹細胞機能低下(Stem cell exhaustion)
(AgF6)細胞間コミュニケーション不全(過少、過剰)
(AgF7)慢性的な炎症
(AgF8)細菌叢の不全(Dysbiosis)
(AgF9)細胞の老化(テロメアと関連)
(AgF10)老化特有の分泌物の拡散(SASP secretome)
(AgF11)ミトコンドリア不全
例えば、これらが挙げられます(42)。


iPS細胞技術によって
大人の細胞を初期化したとき、
このテロメア長さはどうなるのしょうか?
Richard Allsopp(敬称略)は
iPS細胞技術でリプログラミングすると
テロメア長さが長くなったことを示しています。
これにはテロメラーゼという酵素によって
テロメアが延長することと
テロメアを維持する
alternative lengthening of telomeres, ALT
これが関わっている可能性が示唆されています(19)。

もし、テロメアが人の寿命の重要な決定因子の一つであれば、
iPS細胞技術や
それに類似する(癌化を誘導しない)
もう少し緩やかな回復を含めたテロメア伸長技術によって
寿命を延ばすことは原理的に可能です。

シカゴ大学のS. Jay Olshansky(敬称略)らの研究では
ここ数十年の日本を含めた長寿国寿命の推移をみる限り、
全員が100年生きるような時代は来ないかもしれない。
このような報告がされています(20)。
これは疫学的なデータを基にしています。

iPS細胞技術などによって
体のすべての細胞を初期化して、
適当な細胞種に分化誘導して、
それが組織に生着し、勢力を増していき、
バランスが保たれた状態で書き換われば、
寿命の延伸は可能になるかもしれません。

これは、例えば、全身性の遺伝的疾患である
ダウン症などの治療とも関係します。
このような寿命の延伸ができるということは
ダウン症の治療も同じような様式で可能になるかもしれない
ということです。
逆に言えば、ダウン症の根本治療は
人の寿命を延ばすくらい難しいことかもしれない
ということです。
ただし、これはiPS細胞技術が
21番染色体のトリソミーを解消できる。
このことを示すものではないことは留意が必要です。
あくまで、正常にした細胞を
全身にいきわたらせることの難しさと
その可能性についての議論です。

これを実現するためには評価が必要です。
例えば、iPS細胞に印をつけて、
その印を動物などの生体内で追跡するような
視覚的、物質的評価が挙げられます。

ただ、そうであったとしても
長年後天的に構築した全身に広がる抹消神経を含めた
神経連結をどう書き換えるのか?
という問題があります。
この神経系の問題は、一部、別問題として
全身の細胞を入れ替えることと同時に考える必要があります。


(人工臓器-オルガノイド)
腎臓などかなり複雑な臓器もありますが、
基本的に臓器を構成するうえで
大きな区分として考慮する必要があるのが
上皮、間質、内皮組織です。
例えば、肺であれば、
肺全体に動脈、静脈、
径の異なるそれらの血管網があり、
血管網の実質側に間質があり、
間質を挟んで上皮組織があります。
この上皮組織のさらに内側に肺胞と呼ばれる空間があります。
こうした組織の区画が集まって葉を形成し、
この葉が集まって肺となります。

内皮組織と関連がある血管は
当然、全身でつながっているので、
そうしたつながりを維持しながら
体の中で組織形成されます。
従って、細胞の系統樹として
肺の組織幹細胞と独立したリンクを形成していて自然です。
従って、
肺の組織幹細胞に分化させて
生体外でオルガノイドを形成したとしても
血管網がうまく形成されません(1,22)。
血管網は、内皮細胞特有の幹細胞を別途用意する必要があります。

間質での重要な機能は
組織の連続性や形に関わる間葉系幹細胞の機能、
組織の細胞外の骨格形成にかかわる線維芽幹細胞の機能、
その線維芽幹細胞から放出される細胞外マトリックス。
これらがあります。
当然、肺組織や血管組織の幹細胞だけでは
こうした機能を付加できませんから
臓器としての完全性のため
間質の重要な機能をすべて含めて組織形成していく必要があります。

次に考えるのが組織が出来上がるプロセスです。
それを考えるために重要なのが
ヒトの体が胎児から大人になるまで
どういったプロセスを経て、
臓器、組織の完全性を達成するかを定義することです。

肺は肺胞の大きさは胎児のころと
大人のころと大きくは変わらないといわれます。
しかし、肺の絶対的な大きさが異なります。
ということは、肺胞の数が違うということです。
一つ一つの肺胞の上皮、内皮、間質に関しては
肺全体の大きさほどの違いはないということです。

このことを考えると肺オルガノイドを作るプロセスとしては
まずは、少ない肺胞を確実に作製することから初めて、
その肺胞の数を徐々に増やしていくようなプロセスが必要です。
当然、肺を作るためには気管支の幹細胞も必要です。

後は肺のオルガノイドを作るときには
体の中を再現する必要がある程度あるので
イオン水など液体中に支持構造を設けて
浮かせて成長させる必要があるのではないか?
このように思います。
少なくとも大気中に暴露させた状態は自然ではありません。
この時にイオン水に
iPS細胞技術の特異的分化誘導でも課題はおそらく同じですが、
その培養液中に、成長因子、基質、酸素などを含めて
どういった物質を攪拌させながら
均一に供給し続けることができるか?
このような攪拌は流体力学的な
組織への物理的刺激にも関与させます。
例えば、
このようなことも必要かもしれません。

後は、その臓器形成プロセスを加速する必要があります。
10年、20年、臓器形成プロセスの時間を利用できないことは
当然なことなので、100倍程度は加速させる必要があります。
この速度でも1か月-2か月程度かかります。

当然、全く同じプロセスでは実現できませんから
いくつかの革新的な技術が必要です。
基本的には細胞の分化、増殖速度を上げる必要があります。
ただし、この裏側には癌化のリスクもあります。
また、細胞が有効に成長されやすくするために
あらかじめ、骨組みを形成しておく
ということも必要かもしれません。

このように一から生体外で組織をくみ上げるだけではなく、
臓器移植が必要な患者さんにおいて
その臓器全体の組織が必ずしも機能不全とは限りません。
例えば、心臓において一部奇形がみられるのであれば、
外科的に奇形を除去、連結などによって直しながら、
同じように外科的にiPS細胞から作った
必要な組織の幹細胞を一定の大きさで生着させる。
このようなプロセスも考えられます。
この生着させるプロセスは
必ずしも組織を開く必要はなくて
カテーテルで循環器から入れてもいいし、
同じように循環器から全身投与で内科的に入れてもいいです。
ただし、内科的に入れる場合には
目的の組織で選択的に生着するように
幹細胞をエンジニアリングする必要はあるかもしれません。


(分化誘導)
iPS細胞技術で多能性幹細胞(胚性幹細胞)に初期化した後、
それを医療において価値ある形で応用するためには
そこから様々な臓器、組織に分化していく
その系統樹を生体外で自在に制御していく必要があります。
しかし、
こうしたプロセスは胎児の初期段階で起こることで
どういった
相条件(固相、液相、気相)
物理的条件(機械的ストレス、浸透圧など)
化学的条件(たんぱく質、糖、脂質などの化学反応など)
環境的条件(温度、pH、イオン水、酸素濃度など)
時間的条件
これらのことは現在の科学では未知ですから、
生体外で任意の臓器、組織に多能性幹細胞から
任意の枝分かれさせ、分離精製することは容易ではありません。
往々にして、他の細胞種が混在することが指摘されています。

成長因子(32)、基質(細胞外マトリックス)(31)、
酸素濃度、pH、浸透圧、
分化促進剤、抑制剤。
これらが必要であります。
さらに
細胞が分化するための土台である基質の物理的特性が
分化する細胞系統に影響を与えるといわれています。
基質の
硬さ(33)、弾性(34)、トポロジー(幾何構造)(35,36)
これらが影響を与えます。
良い条件を探すためには
人の生体内から少なくとも物質的証拠をとる必要があると思います。
例えば、成長著しい子供の初期の時期に
生きた肺の様々な細胞種から放出された
物質的情報を液体生検から分離精製して
マルチオミックス解析することで
肺の組織の成長において重要な物質的情報がより詳しくわかるかもしれません。
それを培養液に含める物質の選択肢とすることは
少なくとも医療技術開発戦略の一つの方針となりうることです。

こうした混在の問題は、
混在した後に目的細胞以外は細胞死させて
純度を高めることでも解決可能です。
miRNA switch法などが開発されています(25)。

iPS細胞から特定の細胞種に分化したあと、
その細胞種としての機能完全性を手に入れるためには、
分化後の過渡期を過ぎて、成熟させる必要があります。
この成熟のためには
分化の時にも機能的に働く細胞外マトリックスや(53)
間葉系幹細胞や細胞外小胞が貢献することもあります(54)。

(薬剤スクリーニング)
iPS細胞は条件によっては
患者さんの遺伝的背景
(全DNA遺伝子配列、ヒストン装飾、クロマチン(3次元構造など))。
これを高い程度で引き継ぎながら、
患者さんの病態、疾患を再現することができます。

なかなか薬剤開発のために経済的、人的、時間的資源を
製薬メーカーだけではなく、研究機関においても
投資することができないような
希少疾患に対する薬剤開発において、
明るい展望を示すものです。

実際に臨床で使われている
人に対して安全性が確かめられている薬剤を
リパーポスとして利用することもできます。
それであれば、薬剤開発のための資源も
付加的に大きく必要ではなく
かつ、フェーズ1の安全性を確かめる
臨床試験も通過しやすいです。
そうした薬剤を千種類程度一気にためすことができます。

例えば、特定の薬剤によって効果が確かめられたら
その効果が生体内でも同じように起こっているか?
それを何らかの方法で将来的に確かめたい。
このことがあると思われます。

一つは、そうした薬理が働いたときに
細胞から後で生体外から分析可能な循環器に放出される
薬理と密接に関わる物質的痕跡を分析するということが考えられます。
手段としては細胞外小胞であっても、
あるいは、直接的な遊離物質であってもいいです。
また、細胞死の有無が重要であれば、
その細胞死の量の痕跡を示す物質も評価項目となります。

今は、難しさもありますが、
将来的にこうした分析が後で
人の液体生検で可能になると、
その方法、手順を前提に
iPS細胞技術を使った(リパーポス)薬剤スクリーニングの段階で
試験管、細胞実験モデルを構築することができます。
例えば、
細胞外小胞で分析するのであれば
薬理、効果と密接に関連するmiRNA、siRNAを
試験管、細胞実験から詳しく検出することが合理的です。
これらの低分子量RNAは細胞外小胞に内包されやすいからです。
そうすると
こうした薬剤スクリーニングの価値が
今よりもさらに高まる可能性があります。


(直接変換)
iPS細胞技術の課題の一部は、純度、時間であるとされています(1)。
特定の細胞に分化させる場合において
必ずしも多能性幹細胞状態を経由しなくてもいい。
このような考え方です。
直接変換の資源細胞としては
iPS細胞の資源細胞としても利用される
比較的柔軟に細胞型を変えることができる
線維芽細胞が利用されることが多いです。
(参考文献(23) Table 1)
上述した初期化に必要な山中因子が使われることなく
分化したい目的の細胞種固有の転写因子が利用されます。
例えば、
心筋細胞への直接変換には、Gata4、Mef2c、Tbx5。
これらなどが利用されます。

ただし、直接変換の場合は
初期化に際に生じるテロメアの伸長など
細胞の若返りは期待できないかもしれません。

しかし、直接的な変換なので
目的の細胞への純度と時間効率を上げることができます。


(全能性、多能性の程度)
2017年に山中先生らが総括された報告では(1)、
少なくともマウスでは
ほぼすべての細胞種にある程度、均等に分化できる
全能性がある胚性幹細胞(前期)である
「ナイーブ状態(Naive state)」が実現されていますが、
人のケースでは
分化細胞種にある程度偏りがある
多能性機能が完全ではない胚性幹細胞(後期)にあたる
「プライム状態(Primed state)」であるとされています。

2024年10月の現在において
人のケースでiPS細胞技術の初期化技術により
ナイーブ状態が達成されたかどうかは
私が調べる限り、わかりませんが、
ナイーブ状態を目指した研究は行われています(24)。
Cira(京都大学iPS研究所)ではすでに
ヒトiPS細胞において
ナイーブ状態が達成されている可能性があります(27)。


(分離精製)(28)
冒頭の背景部分で述べたように
主要に扱う媒体を細胞外小胞と決めたのは
iPS細胞技術が日本から発明されて、
医療技術の中で中核を担うからです。
2020年9月に
私が細胞腫特異的薬物送達システムを提案したとき(29)。
この時から、何とかこの技術をiPS細胞技術と関連付けたい。
このことは今から2年以上前の2022年9月にも明言しています(30)。

iPS細胞技術と細胞外小胞技術は
非常に重要な技術項目において
iPS細胞の分離精製の総括論文(28)を拝読して、
共有できる部分は多いのではないか?
このように考えています。

具体的には
細胞外小胞の薬物利用、
液体生検としての分析のためには
超高精度な分離精製技術が欠かせません。
すでにiPS細胞技術は
分化したときに混在した目的ではないノイズとなる細胞から
目的の細胞種を分離精製する技術はいくつか開発され
すでに実験が進められ、成果が出ている部分もあると思われます。

私が日本で細胞外小胞を扱う限りにおいて
技術をシェアするということは
資源を有効活用するという意味でも非常に重要なので
細胞外小胞をすでに扱っている団体から
分離精製技術について学習することはもちろんですが、
サイズ、生存の有無など
異なる特性はありますが、
京都大学iPS細胞研究所(Cira)から
教えていただけることも多いと思います。
まずは、そういった情報収集をしてから
出発するということは求められると思います。

細胞外小胞も重さやサイズに応じて分ける方法は多くありますが、
細胞でも遠心分離、沈降速度に応じて
細胞タイプを分けるということが標準的な方法です(28)。
(Centrifugal sedimentation, Differential pelleting)
溶液の密度を変えることで浮力が変わりますから
溶液の密度を変えた多層構造を作ることで
細胞を層ごと分離することが可能です。
(密度勾配分離、density gradient centrifugation)

iPS細胞の分離精製技術では分化後に分離精製するプロセスと
分化そのものの単色性、
すなわち特定の細胞種にだけ分化させる条件を探すこと。
これが重要になります。
上述したように物質的条件、化学、物理、幾何的条件が
多能性幹細胞からどういった細胞系統に分化していくか?
それの重要な決定因子となります。
細胞外マトリックスが基質として利用され、
その有用性が証明されていることから
実際の生体内の各組織の周辺環境を再現することが
基本的な方針としてあると思います。

その再現のためには、組織、そのものを詳細に理解する必要があります。
私の今までのブログ活動は、
iPS細胞技術の分離精製や3次元オルガノイド(再生医療)に
貢献できる重要な因子を含んでいるのではないか?
このように考えます。

-
少し、ここでそのことについて説明します。

私は世界に例をみないレベルで
細胞接着分子、細胞外マトリックス、細胞骨格について
調べてきました。あるいはその予定です。
細胞接着分子、細胞骨格は細胞表面、細胞内に存在するたんぱく質です。
細胞外マトリックスは組織の間質に主に存在するたんぱく質です。

当初、これらを調べる目的は
細胞腫特異的薬物送達システムの実現、
その技術の重要な要素としてでした。

調べてみて、分かったことは
細胞接着分子、細胞外マトリックス、細胞骨格は
非常に組織学と親和性が高いということです。
人、もっといえば生物の
体がどのような物質、支持構造で形成されているか?
それを基本的なことから理解することにつながります。

例えば、細胞骨格であるアクチン、微小管は
骨格筋ではサルコグリカン複合体とつながり、
この複合体は細胞膜を貫通して
ラミニンを通して、細胞外マトリックスとつながっています。
これが基本的な骨格筋に運動、連動を支持しています。
こうした
細胞骨格-細胞接着分子-細胞外マトリックス連携は
細胞接着分子としては細胞外マトリックスに対して
結合ドメインを持つインテグリンでも生じます。

こうした連携は単に運動だけではなく
細胞に機械的クルー(合図)を伝え
(Mechanotransduction)
それが細胞の増殖、分化に関わります。
だからこそ
iPS細胞を特定の細胞系統に分化させるときには
機械的特性も重要な因子になります。

例えば、内皮細胞と上皮細胞では
周りの環境が異なります。
内皮細胞には周皮細胞が張り付いていて
その周りに多層化されたコラーゲン層が存在することがありますが、
上皮細胞の場合は基底があり、
そこに向きが比較的そろった
細胞外マトリックス層があります。
細胞外マトリックスが細胞の周りにあることには変わりありませんが、
上皮組織と内皮組織では
周辺の幾何構造が大きく異なります。

こうした組織学は
より微視的な観点では、この段落で説明するように
iPS細胞技術から分化した細胞の精製に関わります。
一方、巨視的な観点では
組織シート、一定の大きさの組織
あるいは臓器、組織そのものを人工的に作製するときに
無視できない学問です。
基本的には神経、免疫系の違い、加速形成など
色んな制約がある中で
どうやって組織形成において重要な環境を
再現するかということがあると思われます。

組織特異的な
細胞接着分子、細胞外マトリックス、細胞骨格。
これらに関するマルチオミックス解析。
これらがベースになると思われます。
日本のライブラリ、レポジトリとして
これらの物質的情報を収納することは
ヒト生物学への貢献にもなると思われますが、
日本が力をいれている
iPS細胞研究やその応用である再生医療。
これらにも関連すると想定されます。
-

細胞外小胞でも大量生産を可能にするためには
何らかの様式で
近年発展著しい人工知能の力を借りる必要があります。
細胞外小胞のケースでいえば、
一部の物質的情報から
細胞種や全体の物質的情報を推論するようなことも想定内にあります。
一方で、
人工知能は画像分析においても力を発揮します。
異なる幾何構造をもつ細胞外小胞から特徴量を抽出し、
そこから細胞外小胞の分離精製に役立てます。

こうした分離精製において人工知能を利用することは
iPS細胞の分離精製技術でもすでに提案されています(28)。
従って、考え方としては
合理性があり、実情と乖離が少ないとも言えます。

流体を使った分離精製も一定の相違はあるものの
基本的な考え方として
細胞外小胞の分離と一致する部分があると思います。
流路に化学的結合、物理的引力によって
一定時間吸着すれば、
流れる速度によって分離精製することができるし、
その化学的結合は
表面特性によるより特異的な分離が可能になります。

例えば、iPS細胞の細胞治療は
造血幹細胞移植(28)、間葉系幹細胞移植(28)、CAR免疫治療。
代表的なものはこれらがあります。
そのほかにも血小板の輸血などがあります(37)。
しかし、原理的には
再生医療と不可分のところがあって、
高橋先生が取り組まれている神経系の移植(40)、
あるいはその細胞治療(38)
これらを含めて
すべての組織で利用することができます。

その時にiPS細胞技術の付加価値は
例えば、血小板であれば、患者さん自身の細胞から
血小板を作ることで、拒絶反応が起こりにくい
血小板血液を作製することができます(37)。
細胞の遺伝子的背景を
患者さんや患者さんの親族など
より近い細胞を選択できることがあります。

もう一つはiPS細胞を任意に機能化できるということです。
細胞腫特異的薬物送達システムのコンセプトは
iPS細胞による細胞治療でも利用可能です。
特定の組織、臓器に効率的に生着させるために
その組織に多く発現されている
特徴的な細胞接着分子を制御して
表面に発現させることで
より特異的、かつ安定的な生着が期待できます。
免疫細胞など細胞に対する攻撃性のある細胞を使えば、
将来的には特定のリスクウィルスに
感染している細胞だけを選択的に排除する。
このような細胞治療も可能になるかもしれません。
その時にはiPS細胞の機能化が必要になります。

こうした治療は一部、細胞外小胞でも可能ですが、
細胞と細胞外小胞という二つのモダリティーがあり、
この分離精製を含めて
一部の開発資源を共有化する中で
患者さんに提供できるようになると
色んな疾患に柔軟に対応できる
強靭な医療システムを将来的に構築できる可能性もあります。

細胞外小胞にはない細胞治療のメリットとしては
その細胞が幹細胞であれば特に
自己複製し、分化し、数を生体内で増やせることです。
iPS細胞技術は遺伝子的にバーコード、マーキングすることが可能なので
原理的にそれを追跡することが可能になります。
これも検証は必要ですが、
できれば、非常に大きな価値をもたらします。

こうした機能的なiPS細胞を生成分離する際には
表面タンパク質精度で分ける必要性も出てくるので
モノクローナル抗体介入などを含めた(39)
流路での化学的結合に基づいて分離する方法が必要になります。」

一方で、アインシュタイン-ストークス関係式で
定式化されるモデルに従い、
サイズでその流速から分けることも可能です。

空間的に区画を作り、流路を分けることで
自然な流れから分離できるし、
電気的、時期的な信号に応じて、空間的配置に違いをつけて
流路ごと、特性のそろった細胞を分離精製できる可能性もあります。
(参考文献(28) Fig.2)

例えば、私が提案した細胞外小胞マスク技術は
iPS細胞技術の分離精製でも利用できるかもしれません。
任意のiPS細胞を沈降媒体として利用します。
細胞は非常にサイズが大きいですから
その細胞膜には糖、たんぱく質など
物質的に干渉する様々な物質が多様に含まれます。
細胞外小胞マスク技術により
特定の膜たんぱく質以外を分解酵素により除去できれば、
その細胞を沈降媒体として利用できる可能性があります。
この場合、
遺伝子的な膜形成において
作用させる結合タンパク質を選択できるため
モノクローナル抗体よりも構造任意性があがる、
あるいはマウスなどを使う必要性がないこと、
これらにおいて利点があるかもしれません。
これも細胞外小胞分離技術、
あるいは細胞腫特異的薬物送達システムにおいて
検証すべき重要な技術なので、
こうした開発リソースを
iPS細胞技術と共有できる可能性があります。

これは細胞外小胞ではできないことですが、
miRNAスイッチという方法があります。
miRNAによって
細胞死を誘導するOFF、ONを両方作用させるということです。
すなわち
細胞死の誘導を阻害するたんぱく質の発現をOFFにしながら、
細胞死を誘導するたんぱく質をONにするという
Dualなシステムです(41)。
この時、miRNAの遺伝子発現の冗長性を利用します。
上述したスイッチは細胞死を強力に誘導しますが、
そのスイッチが働くかどうかは
他のmiRNAの存在の有無によって決定されます。
これらの細胞死に関わるmiRNAスイッチが
働かないようなmiRNAが
精製したいiPS細胞に存在する場合に有効です。
なぜなら、miRNAを特定の細胞だけに入れるというのは
技術的障壁が高いからです。
混ざった状態で共通的にmiRNAを入れて、
miRNAの転写、翻訳機能としての冗長性。
(すなわち、複数のmiRNAが転写活性を決めること)
これを利用します。
残したいiPS細胞にだけ、
スイッチが働かないようなmiRNAが存在する場合に有効です。

細胞外小胞分離と同様に
iPS細胞から分化させた各細胞種において
表面マーカーレベルでの精密な分離は必要とされるし、
それができれば、
iPS細胞技術のヒト生物学、薬学、医学、医療に対する
付加価値も分離制度の追随して上昇すると考えられます。
例えば、
神経系細胞は3000種類ありますが、
それらを区別するためには表面タンパク質、
もっといえば、分子構造レベルでの分離が必要になるかもしれません。
例えば、マイクログリアとマクロファージを分ける際にも
両者の細胞としての特徴は似ているので、
the purinergic receptor P2Y12 
transmembrane protein 119 (TMEM119)
これらなど表面タンパク質レベルでの分離が必要になります(73)。



(神経細胞)
「iPS細胞は人の寿命を長くできますか?」
このように山中先生が一般の方から質問を受けていた時、
神経系に関する解答がありました。
神経系をiPS細胞で作り変えるときには
少なくとも頭蓋内以外の臓器、組織にある
非神経系細胞をiPS細胞で新たに作り変える場合とは
異なる特別な配慮が必要とのことです。

神経細胞は数百兆といったオーダーの連結があるといわれています。
受精卵から受精して成長したときには
それがゼロからスタートですから、
例えば、60年生きた方は
おおよそ61年かけて
独自の数百兆というオーダーの神経連結を築いています。

60歳というと早い人では
神経細胞のたんぱく質の蓄積など
神経細胞の機能的低下が顕著にみられる場合もあるし、
実は、それはすべての人で起こっているかもしれません。

そうした機能を若返らせるために
iPS細胞で同じ遺伝子的背景を持った神経細胞を
何らかの方法で神経系に構築するとします。
でも、新しい、若いころの神経細胞を作ったとしても
神経の連結をどうしていいかわかりません。

もし、神経連結がその人の生きた痕跡とするならば、
それを生体外で一つ一つの連結を再現することはできないし、
高齢になったときに、
その人にとってどういった連結がいいのかもわかりません。

新しい神経細胞を入れたら
リハビリテーションのように
その新しい神経細胞をフルに使って
また、新たに神経系を構築していく必要があります。
その時には、今までの経験が必要ですから
部分的に構築してきた神経系の連結を使いながら、
それで補いながら、新しい神経系を
質のよい神経細胞で築いていくことになるかもしれません。

少なくとも心臓や腎臓などで行われる
完全な形の臓器移植は脳に関しては
明らかに現実的ではありません。

iPS細胞を研究されている方の中で
この記事で述べたようにテロメアが伸長する。
このことを調べている人はいると思うし、
実際に伸長するのであれば、
当然、人の老化、アンチエイジング、寿命延長
あるいは不老不死。
これらについても考えていると思います。

例えば、植物は何度草刈りをしても
また、同じように生えてきます。
植物の寿命をどのように定義するかによりますが、
一度、組織を失っても
また、新調されて類似する大きさに戻るわけですから
環境に大きな変化がなければ、不老不死。
このように言えなくもないです。
iPS細胞を発明された山中先生は
メディアで伺う限り、
奈良先端科学技術大学院大学で、植物学の先生と話したときに
「植物の細胞が初期化するのは普通だよ。」
このように言われて、
ヒトでもできるかもしれないと参考にされたようです。
私も、それは強く記憶に残っていたので
この記事で植物学について少しだけ調査しました。

おそらくiPS細胞を研究される方で
老化、アンチエイジング、健康長寿。
寿命延長、不老不死。
これらを考えられている中で
必ず直面する問題、考える必要のある項目は
この段落で述べる「神経系」だと思われます。

この神経系の問題が解決すれば、
画期的な医療が生まれない限り
すべての人が100歳まで生きられる社会は実現しない
可能性が高い(20)。
この今までの疫学的事実のフェーズが変わる可能性が
少なくともわずかに見えてきます。
なぜなら
iPS細胞技術は植物が行う初期化を
人工的な遺伝子導入技術によって可能にしたからです。
では、植物のように失った細胞を
また、取り戻して体全体を新しくするにはどうしたらいいか?
それを考えることになります。

神経系における一つの考え方を示します。
ただし、現時点でこれは高い科学的な根拠はありません。
あくまでも仮説です。

初めは
「100(int)」の組織が「真性(intrinsic)」な組織です。
すなわち、両親から授かった組織です。
こうした真性な神経細胞は
神経細胞自体は長い寿命があり、固定的ですから
それでも、生き物ですから経年劣化していきます。
特にたんぱく質が蓄積し、最終的には死滅します。
こうしたことは若いうちから徐々に生じます。
しかし、
神経系は残っている組織で密な連携性によって
こうした劣化を補完する働きがあるため、
若いうちは特に部分的に神経系を失ったとしても
そうした機能喪失は顕在化した形で現れません。
でも、確実に神経系は失われていきます。

その組織を少しずつiPS細胞由来の神経細胞で入れ替えたら
どうなるでしょうか?
例えば、120年の寿命を考えたときに
30歳から
10年ごと10%ずつ細胞を入れていくことを考えます。
すなわち
30歳「90(int)」「10(iPS)」
40歳「80(int)」「20(iPS)」
、、、
100歳「20(int)」「80(iPS)」
、、、
120歳「100(iPS)」
こうすると30歳の時に入れたiPS細胞は
120歳の時点で90年たちますからやはり劣化します。
だから、130歳でまた10%新しいiPS細胞由来神経細胞を入れます。
そうすると120歳の時点で
親から授かった自然な神経細胞はほとんどなくなります。
ただし、10年ごと10%の細胞が細胞死するという
仮の設定です。120歳で脳神経細胞がすべて細胞死する
ということはないでしょうから
厳密にはこうした比率は成立しないことにはなります。
それを前提にしたうえで、
仮に、こうした漸次的な移植をしたときに
「自分が自分である」という自己同一性はどうなるか?
このことが問われます。
神経系が相補的、かつ漸次的な変化で形成されると考えると
こういった少しずつの入れ替えの場合は
自己同一性の問題は解決されるのではないか?
このような観点も生まれます。
少なくとも脳の場合は特別な外傷や腫瘍形成、
あるいは循環器の不全を伴わない限り、
機能低下は閾値的ではなく、数十年かけて生じます。
もし、そうであるとするならば、
新しい細胞を入れるならば、
少しずつ時間をかけて入れていけばどうなるか?
このような逆の問いも生まれます。

もちろん、倫理的な問題があるし、
これを人のケースで臨床試験を行うとすると、
まずは、脳の機能が著しく低下して、病的な状態にある人に対して
数十年かけて臨床試験を行わないといけません。
30歳という、まだ、健康状態に不安のない人に
そのような医療介入を行うことは現実的ではありません。
臨床試験ができたとしても100年規模になるし、
健康な人にはワクチンの接種でも問題になるくらいですから
極めて重要な脳にそれを入れるとなると
問題が著しく先鋭化します。

また、もう一つの問題は上での少し申し上げましたが
神経系は頭蓋内だけではないということです。
末梢神経も含めると循環器と同じように
全身のネットワークがあります。
神経系の再構築を考えるうえで、
末梢神経を無視して考えることはできません。

少なくともここではあくまで
「iPS細胞技術は寿命を延ばすことができるか?」
それに対する一つの思考実験です。

もう一つは、なぜ、私がiPS細胞の記事の中で
神経細胞を入れたのか?
それについて、一部の背景を申し上げます。

出生率が2を下回ると、
男女ペアで出産が実現される限りにおいては
人口は当然、減っていきます。
なぜ、その国の産業が成熟し、豊かになると
出生率が下がる傾向にあるのか?
その本質的な理由は、私は未知です。
現実問題として
日本は出生率が2を下回ったのは1974年ですから
すでに50年経過しています。
従って、単にインターネットなどの
若い人の嗜好や経済的理由だけでは
説明できない部分もあると思います。

特に今のように出生率がどんどん下がっている
過渡的な時期においては、人口ピラミッドが
高齢のほうにピークを持つようになりますから、
その時期では若い人が相対的に少なくなります。

そうすると高齢時の健康について
考える重要性は当然上がります。
上述したように散発性の疾患が
細胞の加速老化によって
遺伝子的背景をある程度共通的に引き継いで生じる。
このようなことがあるので、
老化は、あらゆる疾患の一つの基本的要素といえます。
そうした場合、
全身の細胞が老化する高齢時の健康とは何なのか?
それを定義する必要性も出てきます。

必ずしも頭脳の機能が高い。
このことが高齢時の健康をけん引するかはわかりません。
頭脳の機能が高いことで、精神疾患にかかるリスクが
逆に高くなるという可能性もないとはいえないからです。

ただ、ここで明記している理由は、
抹消も含めて神経系の機能が低下することと
非神経系の臓器、骨格筋、骨などの機能が低下すること。
本人の幸福度はとりあえず、脇においておいて、
どちらが社会的負担が大きくなるか?

これを考えないといけない理由は、
先ほどの人口ピラミッド、年齢別人口構成にあります。

私自身も、もうすぐ高齢になり、
自分の子供を含め、若い人に負担をかける
可能性があるわけですが、
高齢の方、一人当たりの社会的負担において、
若年層が少ないことで
若い人、一人当たりの負担が増えるということです。

少し具体的にいうと
高齢者施設の箱は作れても、
そこで働く人、資金を確保できないということもあるし、
特に地方においては十分な医療も提供できない。
人もいない、お金もないということも生じます。

体が不自由になってくるということと
頭が機能しなくなってくるということ。
どちらが重要な問題か?ということです。
どちらも重要ということになりそうですが、
頭が機能しなくなると、本人の自覚はなくなるかもしれないですが、
その方の生活を守るために
親族、社会福祉、医療などの外的な負担が増加します。

少し、神経細胞について段落を設けた理由の一部を
説明するのに言葉を要しましたが、
神経細胞、もっと言えば神経系をどう維持するのか?
それについて考えることは
医療の発展だけではなく
特に今の日本の過渡期においては
社会保障の問題にまで波及します。
いずれこうした問題は世界でも顕在化するかもしれません。
-

上述したように細胞外マトリックスの中に
エラスチンという伸び縮みできる
筋肉のような働きをする物質があります。
組織の弾性を維持するうえで欠かせないたんぱく質ですが、
残念ながら、成人を過ぎると分泌量が顕著に低下するといわれています。
しかし、高度に折りたたまれた構造をとるため
酵素などによる分解ストレスに強く、
エラスチンの寿命は長いといわれています。
すなわち、少しずつ量が減っていくということです。

このような特徴は、細胞でみれば、神経細胞でも当てはまります。
神経細胞も連結した状態で活発に細胞分裂すると
連結が維持されないかもしれない
という問題がおそらく生じるために分裂しないし
免疫細胞、間葉系細胞のように動き回ることもありません。
神経系は連結を含めて考えると
再現が単純なたんぱく質による細胞連結の組織に比べて
難しいため、少なくとも回転率は高くありません。
というよりも組織の入れ替わりは
基本的に生じないのかもしれません。

そうであるとするならば、
神経細胞には一度、広義の学習によって
連結を築いてもらったら、
それをできるだけ固定的に長く保持してもらう必要があります。

細胞生物学的により具体的にいうと
細胞死(アポトーシス、ネクローシス、フェロトーシス)が
基本的に抑制されてほしいということです。

神経系が細胞死を防ぐメカニズムは多様です。
(CD-PM1)神経栄養因子
(CD-PM2)ミトコンドリア機能維持
(CD-PM3)アポトーシス実行因子、関連遺伝子抑制
(CD-PM4)適正イオン濃度の厳密な調整
(CD-PM5)酸化ストレスの抑制
(CD-PM6)適正たんぱく質量の調整
(CD-PM7)害となる物質の分解
(CD-PM8)癌化の高度な抑制(アポトーシスを抑えるうえで必要)
(CD-PM9)効率的なエネルギー生成
(CD-PM10)周りの細胞との連携(神経連結を含む)
これらが挙げられます。

上の背景を含めて考えたいのは「神経連結」です。
特に運動の機能を支える
小脳にあるプルキンエ細胞は多くの触手、突起があります。
最大で1つの神経細胞あたり10万個の連結が可能であるとされています。
上述したように
神経細胞はイオン濃度、たんぱく質濃度のバランスが必要です。
あるいは神経栄養因子の交換も必要です。
極端な話、神経細胞が何もつながらないまま
独立で存在している場合と
最大で10万個の神経細胞が並列に相補的に働いている状態では
神経細胞単位の活動の安定性は当然変わってきます。
例えば、
特定の細胞が特異的なストレスを受け、疲弊してきたら
他の細胞が物質的に助けることをするかもしれません。

神経連結が密なほうが
必ずしも脳神経機能が正常、健康とは言えませんが、
バランスが取れた状況で、
神経系が精緻につながっていると、
結果、神経細胞の寿命は長くなるし、
神経細胞が一部失われても、その機能を補えるかもしれません。

神経系はその機能に関わる訓練をすれば、
非常に効率的に、可塑的に構築されるということが
細胞生物学的に生じると思われます。

ここで、上の背景とつながります。

すなわち、高齢になっても、脳の機能を保つためには
若い時から、運動、知的活動、社会的活動なども含めて
人に与えられた機能を積極的に使っていくことが必要ではないか?
このような結論に達します。
もちろん、
環境内の汚染物質の基準値以下
感染症などの予防
アルコールの過剰摂取を避けること
循環器の健康
規則正しい生活(睡眠)。
これらの脳神経に与える公衆衛生、生活習慣も大事ですが、
それだけではなく、頭を使うことがおそらく重要です。
頭を使うというと勉強をすること。
このような先入観がありますが、
そうではなくて、運動なども含まれます。
ヒトとの会話も頭を使うことになります。
これは、社会的活動です。
社会的活動で無視できないのが就労です。
働くことも非常に重要かもしれません。
フルタイムではなくても、定年を超えて長く働いた方と
定年を超えて無職の方の健康寿命を比較したら
統計的に優位な差が出るかもしれません。

高橋先生が研究されていますが、
iPS細胞技術が脳神経の機能回復に貢献できることは
将来的に生じる可能性はあると思います。
ただ、すべての患者さんの頭を開くわけにはいかないので
循環器からどうやって神経細胞を
実質内で生着させるか?
特に血液脳関門をどう突破するか?
神経細胞は血液中に通常は流れ出ないと思われるので
循環器からアプローチするためには
特別なバイオテクノロジーをおそらく必要とします。
このことと、
新しい神経細胞が既存の神経細胞と連動して機能するか?
特に高齢になって、
新しい神経細胞が神経系の中に入って機能することは
自然なメカニズムではほとんどないか
あるいは皆無である可能性があるので、
こうした連動性は思っている以上に難しいかもしれません。


(老化と遺伝子構造の関係)
確か、エルヴィン・シュレーディンガー先生だったか
昔の著名な物理学の先生の著書の中で
「人は食べることでエントロピーを低くしている。」
このような明記がありました。
物質は、そのままにしておけば、バラバラになって
適当な空間的配置をとり、安定化します。
これはエントロピー増大の法則とされますが、
基本的に人の体も、当たり前ですが
生きているから形が保たれています。
当然、死ねば、土に帰ることになります。
物質的にはバラバラになります。
程度の差はあれ、人が死に向かうと、すなわち老化すると
こうした形の規則性は失われる方向に動くと思われます。

遺伝子はヒストンの周りにDNAが巻き付いて
非常に密集した3次元構造をとります。
そうしないと天文学的に長いDNAの構造を
微小な細胞核に収納できないからです。

そのような密集した3次元構造が緩んで
遺伝子への転写因子のアクセス性が高まることは
タンパク質を発現させるうえで必須のことですが、
こうした巻き付きは
エントロピー増大の法則からすると
経年劣化すると緩んでくると考えるのが自然です。
異なる物質が3次元的に規則的に絡まっていることのほうが
何らかの制御下に置かれた力が働いているからです。

例えば、伸び縮するゴムも
時間がたつにつれて、伸縮性が上がることはまれです。
むしろ、時間がたってくると
伸び縮する能力が低下して、
ゴムでものをくるんでいたら、
その包囲網が経年劣化して緩まってきます。

クロマチン3次元構造が緩んでくると
色んなDNA配列にアクセスすることが可能になります。
物質的に分解する酵素、活性酸素などが
DNA構造を破壊することもより簡単になります。

もし、高齢になりエントロピー増大がわずかに起こり
遺伝子の密な3次元構造が緩んでくると
全体的にストレス、分解物質が
高度に守られたDNAにアクセスしやすくなり、
結果、多くのDNAの構造が破壊されることにもつながります。

タンパク質の折りたたみ構造は疎水性相互作用によって
生じていることが多く、
その場合は、中心の疎水性コアから
構造が崩れていくことがあるとされますが、
DNA遺伝子などの2重らせん構造は
端の自由度が高いことと、疎水性相互作用が弱いことで
3次元構造において外部からの力に脆弱であるとされています(Open AI)。
染色体の端にあるのはテロメアなので、
特に染色体の高度に折りたたまれた3次元構造の維持のためには
テロメアの3次元折りたたみ構造の完全性が重要になります。
このテロメアが細胞の老化によって短くなり、
折りたたみ構造が崩れてくると
端から染色体構造の折りたたみ構造が緩んでくる可能性があります。

これが老化の一つの本質である可能性があります。
上述したように老化を促す早老症の原因物質の一つである
プロゲリン(Progerin)はテロメアをもろくするといわれています(46)。
従って、染色体の遺伝子の3次元構造の保持、崩壊が
細胞の老化に深くかかわっていることが示唆されます。

逆にいうとiPS細胞で細胞が若返るのであれば、
染色体の3次元折りたたみ構造がどのように変化するのか?
これを評価できると重要な知見が得られる可能性があります。
3次元の折りたたみ状態が高いと
分子構造的には安定ですが、内部エネルギーは高いです。
すなわち、緩んだ状態から折りたたみ状態に戻すためには
エネルギーが必要です。
さらに、上述したように
クロマチンリモデリングなどの移動性が高いことが
全能性、多能性を支持しているとされています(8)。
従って、複雑なクロマチン構造を積極的に動かす必要があるため、
特にナイーブ状態では、細胞は多くのエネルギーを必要とします。
だからこそ、解糖系の代謝になるとも考えられます。
少なくとも、一度、老化した状態から初期化するためには
細胞に余分なエネルギーを与える必要がありますから、
染色体構造の変化や変異のリスク(43)を避けるため
どのように細胞にエネルギーを与えるかは大切になると思います。
例えば、ゆっくりエネルギーを与えると
癌化のリスクが下がる可能性があります(Open AI)。
ゆっくりかつ、あるいは安定的に
エネルギーを与えるための条件は
(Sl-T1)低毒性のベクター
(Sl-T2)誘導性プロモーター(例: Tet-On/Tet-Offシステム)(メチル化の調整)
(Sl-T3)OCT4、SOX2、KLF4、MYCなどの因子を段階的に導入
(Sl-T4)培養基、成長因子の添加
(Sl-T5)酸素濃度を低め
(Sl-T6)安定したエネルギー供給(徐放性のデリバリーシステム(例えば、ハイドロゲル))
これらが挙げられています(Open AI)。
実際にTetは多能性特異的遺伝子の発現を高める
酵素活性を有するとされています(48,49)。
なぜなら、メチル化の調整が
クロマチンアクセシビリティーに関わり、
この遺伝子柔軟性が多能性獲得のカギとなるからです。
(参考文献(50) Figure 3)

神経細胞は長く同じ状態を保つわけですから
それに対して一考の余地があります。
1つの細胞が10万もの細胞に最大で連結するわけですから
ここに一つのヒントがあるような気もします。
すなわち、細胞の協力です。
そうすると、頭と体全体を動かすような運動、連動は
実は、すごく大切なのではないかとも思えます。

iPS細胞技術は、一度、部分的に老化した細胞を
初期化によって若返られることが可能ですが、
遺伝子構造をどのように戻すか?
この観点が重要になります。
iPS細胞技術は、体細胞になったとき、
あるいはリプログラミング過程で
遺伝子に損傷が入るリスクは
少なくとも一定存在するため、
遺伝子修復について配慮することも大切になると考えられます(51,52)。


(細胞外小胞)
iPS細胞由来の細胞外小胞は
間葉系幹細胞を中心に治療のモダリティーとして研究されています(56,57)。
私が調査する限り、まだ、世界では研究されていないこととして
各種、病態再現した細胞も含めて、
iPS細胞技術を利用すれば、細胞種解像度での分離ができます。
それぞれの細胞を人為的に
細胞死(アポトーシス、ネクローシス、フェロトーシス)させたとき
そこから放出されるアポトーシス小体を含めた
細胞外小胞がどういった数、大きさのものが放出され
内容物、膜構成、表面物質はどうなっているか?
これを知ることは
細胞外小胞分離技術と関わります。

細胞外小胞分離技術では細胞死したときの細胞外小胞を
人の体の中の細胞の状態をリアルタイムで分析する
一つの重要な物質的情報源とします。

例えば、神経細胞が細胞死したときに
放出される細胞外小胞はどうなっているか?

細胞死したときに放出される細胞外小胞は
本当に、私の想定通り
細胞核の物質を内容物に多く含んでいるか?
それが物質的マーカーとなりうるか?

他方で、細胞死の時に生じる細胞外小胞だけではなく、
通常、細胞が正常に活動している状態で放出される
細胞外小胞は、どういった分布(大きさ、数)、物質情報になっているか?
細胞死したときに放出される細胞外小胞を含めて
癌細胞、他の病変細胞では
通常の細胞から放出される細胞外小胞と
どのように数、サイズ、形、物質的情報が異なるか?

こうしたiPS細胞をつかった細胞外小胞の研究は、
後に
脳脊髄液、血液、尿、唾液などから
細胞外小胞を物質マーカーとして
高精度に分析することを前提、目的として想起されています。
世界には、
細胞外小胞を細胞種レベルで高精度に分析することは確立されていませんし、
そういった研究も、まだおそらく行われていないので
その分離技術と密接に関連する
あるいは物質的なデータバックグラウンドとなる
iPS細胞を使ったこのような研究も
私が調べる限りにおいては行われていません。


(末梢神経と感覚、運動、反射)
骨格筋、内臓筋、平滑筋、心筋などの筋細胞、
皮膚、間接などの感覚系、
内臓、腺など自律神経系は末梢神経と連結しています。

iPS細胞で体のこうした組織と末梢神経、中枢神経系を
再現することは難しいかもしれないですが、
疑似的に
末梢神経系が上述した細胞に送る物質を与えたときに
どういった細胞生物学的活動をするかは調べることができます。

末梢神経系に対して非神経系の細胞が
物質的受容を通じて、どのように活動を改変しているか?
それについてはまだ、未解明の部分もあると思われるし、
実際に
内臓とかのオルガノイドを作る際にも
末梢神経に対して、どのように活動を改変するか?
それについて確認することは意義があることだと思われます。

必ずしもiPS細胞技術由来の末梢神経との連結を再現しなくても
具体的に末梢神経がどういった物質を送っているかがわかれば、
その物質を指定して、細胞、組織に加えることで
神経系が及ぼす非神経系体細胞への影響を分析することができるかもしれません。
その時にはiPS細胞技術で末梢神経に分化させ(58)、
その末梢神経細胞から分泌される物質を包括的に分析することで
具体的にどういった物質が非神経系体細胞に作用しているか?
それがわかる可能性があります。


(転写、翻訳)
iPS細胞技術で高い多能性を実現するうえで
もともとの胚性幹細胞の遺伝子的特質を理解することは大切です。

多能性を持つ胚性幹細胞はクロマチンの脱メチル化が進んでいて
通常なら転写因子がアクセスできないDNAにも結合できる状態で
転写活性が非常に高まっています(61,62)。
しかし、クロマチンアクセシビリティーが高まって
DNA転写多様性は高まりますが、
無作為にたんぱく質を産生するわけにはいきません。
胚性幹細胞の自己再生(self-renewal)や分化を適正に行うために
転写、翻訳システムは非常に厳格に調整されています。
下述するように
リボソームでのたんぱく質の生合成の活性は高まっていますが、
低いたんぱく質グローバル合成(low global protein synthesis)、
すなわち、合成されるたんぱく質が限定的になっています(61)。
たんぱく質量も少ないとされていますが、
こうした量を制限することは
各種細胞への分化へ駆動されたときに、
タンパク質群を迅速に消去し、
新しい転写、翻訳系統にスイッチする能力に貢献します(61)。

少し言葉を変えてまとめると
胚性幹細胞は様々な細胞や自身の細胞に再生するなど運命が多様ですが
この選択性の高さに対応するために
DNAのグローバルなアクセスを可能にして、
転写後の翻訳過程をタイトに制御しているといえます。

例えば、カロリー制限やラパマイシンという薬剤は、
mTORを抑制することで寿命を延ばす効果が確認されています。
mTOR(mechanistic Target Of Rapamycin)とは、
細胞の成長や増殖、タンパク質合成、栄養の取り込みなど。
これらを調節する重要なシグナル伝達経路です。
mTORは、栄養が豊富で成長が必要な環境では活性化され、
細胞の成長やタンパク質合成を促進します。

胚性幹細胞の寿命が長いのは
タンパク質合成を下げるために機能が抑制されるmTORの
結果であるかもしれないとされています(61)。
このmTOR活性では初期のナイーブ型の胚性幹細胞のほうが
プライム型よりも低いと考えられているので
初期化のレベルを上げていくときには
タンパク質合成をmTOR依存的に(不活性化により)下げることが
重要かもしれません。
(参考文献(61) Fig.3)

上述したように
多能性幹細胞は全体的な翻訳率が低いという特性があります(61)。
翻訳過程には、
(T-EC1)アミノ酸の供給
(T-EC2)リボソームの合成
(T-EC3)mRNAの移動
これらなど多くのエネルギーを消費します。
全体的な翻訳率を低く保つことで、細胞はリソースを節約し、
不要なエネルギー消費を抑えます。
細胞が特定の必要なタンパク質に対して
選択的に翻訳を行うことを可能にします。
これはリボソーム生合成にかかわるRiBi遺伝子が豊富であることと
(参考文献(61) Fig.4a)
特定の遺伝子だけ翻訳されるように
高度にmiRNA、siRNAが機能しているからであると想定されます。
これにより、細胞は特定の機能や
ストレス応答など環境の変化に応じ
たタンパク質のみを効率的に合成でき
無駄な合成を避けることができます。
この目的の達成のため多能性幹細胞は
mRNAを長時間保持し、
必要な時に消費できるようにします。

この最終転写産物であるmRNA量は
多能性幹細胞のほうが分化、成熟後の特定の細胞よりも多いかもしれません。

最終転写産物であるmRNAの翻訳効率を決める重要な因子の一部は
低分子量のmiRNA(59,60), siRNA(60), tRNAです。
他にはmRNA構造中に存在する3ʹ UTRの長さも関係しています。
胚性幹細胞ではmRNA翻訳が駆動されにくいように
3ʹ UTRは短くなっています(66)。

iPS細胞ではナイーブ型の多能性幹細胞の需要が高いですが、
そのナイーブ型の特性を支える代表的なmiRNAが以下です。
miR-372-373(ヒト)ファミリー
miR-302ファミリー(63)
miR-181a
miR-134
miR-145
miR-21
miR-29ファミリー

これらのmiRNAは通常、山中因子を含む
Oct4
SOX2、
NANOG
KLF4
これらの遺伝子導入によって、発現が高まるとされています。

iPS細胞で初期化した細胞の特性には一定のばらつきがあると思われます。
もし、集団の中で、特性の良い誘導ナイーブ型多能性幹細胞があれば、
それを抜き取り、破壊して、
重要なmiRNAやsiRNAをqPCRで解析し、
そのシーケンス(種類)と量を解析します。
そうすうとナイーブ型において理想的なmiRNA,siRNAの種類と量が定義されます。

全体的にその量に近づくように調整できれば、
質の良いナイーブ型の多能性幹細胞が得られるかもしれません。
そのような量の微調整はmiRNAやsiRNAなどの
低分子量のRNAを直接、量と種類を調整して導入したほうが
より細かく調整できるかもしれません。

もっとグローバルに概念を発展させると
もともと存在する胚性幹細胞や
特性の良いナイーブ型多能性幹細胞の
遺伝子的特性を詳細に調べることで
その状態との差異を埋めるための方法が想起されます。

染色体内のDNA配列は個体ごと細胞種に関わらず、
ほとんど一致していますが、
どの遺伝子がどれくらいの量で転写、翻訳されるかによって
細胞種が決まるといってもいいすぎではありません。
そうしたTranscriptional and Translational controlは
単に細胞内の遺伝子構造、物質的構造、幾何構造だけで決まりません。
周りとの力学的(64)、物質的な相互作用によっても決定されます。

組織の硬さというのは組織ごとに異なること既知のことです。
例えば、骨は硬いし、脳の実質は柔らかいです。
こうしたやわらかさは細胞内のアクチンなどの
細胞骨格の流動性によっても決定されますが、
一方で、細胞外マトリックスによっても決まります。
特に一番、細胞外マトリックスとして多いコラーゲンの
水分量が組織の硬さに大きく影響を及ぼします。
水分量が多くなると組織はやわらかくなります。
(参考文献(65) FIGURE 1)
こうした組織の硬さは細胞外の外側の力を含みますが、
細胞内の形質、細胞種を決める
翻訳、転写制御に影響を与えています(64)。

胚性幹細胞は組織にまだ定着していませんから
どちらかというと外側の機械的特性としては
同じく移動性のある血液系細胞や
間葉系幹細胞などが好むような間質構成がであることが好ましいです。
具体的には、分化させるときには
培養液に構築する細胞外マトリックスは
やわらかいほうが好ましいかもしれません(65)。

iPS細胞も含め、多能性幹細胞は
自己再生能力、増殖能を持ちます。
この時に遺伝子がコピーされますから
有糸分裂が生じます。
一般的に有糸分裂が生じるときには
クロマチンアクセシビリティーが低下するといわれています。
なぜなら、有糸分裂の過程で
構造的に3次元的に密集するからです。
従って、オープンになったクロマチン構造は
クローズ配座に変更されることになります。
しかし、
多能性幹細胞は上述したように
グローバルなDNAのアクセス状態にある必要があります。
従って、
有糸分裂によって細胞数を増やすプロセスは
こうしたアクセス状態の維持に対して障害要因となります。
有糸分裂した後
クロマチンアクセシビリティを迅速に回復させるために
あるいは、アクセス部位を記憶するために
目印となる物質が必要です。
これをMitotic bookmarkingといいます。
マウスのケースではSRRB/NR5A2が
目印の働きをするといわれています(74)。
このようなbookmarkingは
有糸分裂を起こる過程で、
転写因子がDNAに結合したままの状態が維持されることです。
従って、上述したSRRB/NR5A2以外にも
結合したままの状態を維持する転写因子は
マウスでも、人でも多くあると考えられます。


(神経細胞の多様性)
iPS細胞技術は細胞を初期化するプロセスも重要ですが、
ナイーブな胚の状態に初期化した後に、
任意の特定の細胞種に分化させる技術が必要になります。
この分化の制御の上で、核となる情報は
Transcripotomic、
すなわち、主にmRNAのオミックス解析をして
転写、翻訳のパターンを調べることです。
言い換えれば、どういったたんぱく質が発現しているか?
それを調べることになります。
これが、分化した後の細胞種の形質を決定します(67)。

人の脳の神経細胞は非常に多様な転写パターンをとります。
31種類のスーパークラスター、
461種類のクラスター
3313種類のサブクラスターをとる。
このような報告もあります(68)。

iPS細胞技術に期待されている、
あるいは活発に研究されていることは
人の脳の病態の再現であると考えられます。
なぜなら、マウスの脳と比べて
神経細胞の量は人の場合、1,000-10,000倍多いとされています。
人は脳を進化させた動物であるため、
人の脳の疾患の研究をするためには
人の神経系の細胞を手に入れる必要があります(69)。

脳の疾患を正確に把握するためには
厳密にいえば、Connectome、
すなわちその連結を再現する必要もあります。

また、上述したように最低でも3000種類くらいの
転写パターンの異なる神経系細胞があるわけであり、
領域ごとに異なる転写パターンを持ちます。

従って、困難なことですが、
iPS細胞技術に期待されることしては
こうした3000種類以上の神経系細胞の
転写パターンをある程度の精度で再現することです。
それによって
各神経細胞種の細胞生物学が詳しくわかるようになります。

おそらく、分化後の転写パターンの中に
その細胞の運命を決める重要な遺伝子発現があるはずです。
上述したような
トランスクリプトームは転写パターンの
データベースを構築していますから
それが、iPS細胞から各神経系細胞種に分化させるときの
バックグラウンドデータになると思いますが、
その転写産物の中から
分化、細胞の運命を決める重要な転写産物を選定する必要があります。
ここに一定の困難性があるのではないか?
このように推察します。

このトラススクリプトームのデータと
おそらくiPS細胞から神経系細胞に分化するときには
ヒトの体の中では最大で3000種類の細胞種に分化するわけですから、
どういった分化、運命で細胞種が決定されるかの
安定性は、他の非神経系の細胞種よりも不安定ではないか?
このように推測します。
もし、そうであれば、それは神経細胞の特性をそろえる
ということの難しさ、その課題を露呈しますが、
一方で、偶然、様々な培養、分化条件で
混在した神経系細胞それぞれの
転写因子のパターンは、
データベースにあるトランスクリプトームのデータと照合しながら
あるいは、実験条件を振り返りながら、考えることで
それぞれのタイプの神経細胞に制御して分化させることの
重要な情報、ヒントを示すかもしれません。
言いかえれば、
分化後に神経細胞が混在するのであれば、
それが逆に機会、チャンスになる可能性があるということです。

脳神経系の疾患では
すべての脳の領域が不全になるかどうかはわかりませんし、
これは個人差があるかもしれません。
例えば、
統合失調症、自閉症などの神経系の疾患は
症状が非常に軽い人もいるし、
それぞれが示す臨床症状にも偏差があるかもしれません(70,71)。
それは、それぞれの人が持つ遺伝子的背景に従って
神経細胞が分化していったときに
神経細胞に異常がでる細胞種のパターンが
一つは異なることが挙げられるかもしれません。

例えば、神経細胞の細胞種まで解像度を上げて
iPS細胞技術で神経細胞に分化できる技術が確立すると
このような、より精度の高い病理、病態解析が可能になります。

加えて、こうした神経細胞のそれぞれの細胞種が
生体外で任意に手に入ることは
細胞腫特異的薬物送達システムでも役に立つし、
私が目指す小児脳腫瘍の治療でも非常に欲しい情報です。
特に小児脳腫瘍は大人に比べて
様々な脳実質内に生じるからです(72)。
従って、脳腫瘍の細胞の異種性が高く、
それぞれの細胞種の表面タンパク質などの情報があることは
例えば、特異的に薬物を送達するのにも役に立ちます。

また、それぞれの神経細胞種と血管の相互作用は
各脳領域の血管系の細胞(内皮細胞、平滑筋細胞、周皮細胞など)と
血液脳関門の構造や物質情報を得るのにも貢献するかもしれません。
というのは、
血管系の細胞が分化して、組織形成するときに
周りの神経系の細胞からの機械的、物質的影響が
その細胞種の形質に影響を与えている可能性を想定しているからです。


(遺伝子治療)
散発性疾患(Sporadic disease)とは
家族歴や遺伝的要因とは関係なく、偶発的に発症する
病気のことを指しましすが、
散発性疾患が遺伝的な原因がないかどうかはわかりません。

例えば、散発性ALSの患者さんの遺伝子的背景を持った
病変部位ではない細胞からiPS細胞技術により
リプログラミング、初期化して、
神経細胞に分化させて、加速エージングしたら
少なくとも「何割かの一部の細胞において」
ALSの病態が再現されたと理解しています(26)。

これは未知の遺伝子も含めて
ALSに罹患した患者さんがリスク遺伝子を
生まれながらに一部、保有していることを示唆するものです。

高齢時にかかる癌も散発性といえなくはないです。
しかし、エピジェネティックな変化と体細胞変異のベースとして
家族から引き継いだ生殖細胞系列の変異
あるいは特異的な遺伝子配列が関係すると考えられます。

例えば、実際にはわからないことですが
胃がんにかかりやすい遺伝的背景を持った人でも
生まれてからすぐに胃がんにかかるわけではないし、
一生の間で必ず胃がんに罹患するわけでもありません。
これはなぜでしょうか?

それは、細胞レベルで見たら、胃に癌細胞はできている。
その確率は、胃がんにかかりやすい遺伝子的背景を持った人は
そうでない人に比べて、ベースとして高い。
これはあると思います。
しかし、
癌細胞ができたら、体の自然な防御機構として
上皮組織から癌細胞を追い出したり(75)、
免疫細胞が検知して、細胞を細胞死、排除したりします(76,77)。
このような免疫系へのシグナルに
末梢神経(80)、細胞外小胞(81)が関係することもあります。
そうした、病変細胞の排除機構は
こうした細胞間、免疫細胞との連携だけでなく、
単一細胞レベルでもおそらく生じます。
主にウィルス感染などで活発に研究されていますが、
おそらく、細胞の機能が周りに比べて
明らかに悪化すると健康な状態であれば
細胞がプログラム死(アポトーシス)することもあると思います(78)。

このアポトーシス感受性は
子どものころは高いとされているので(79)、
子どものころにも状態の悪い細胞が
低くても一定の割合できている可能性がありますが、
非常に敏感にそれらを排除していると考えられます。
もともと、そうした確率が低いうえに
さらに防御機構も高いので、
子どもは高齢のころのように癌など
疾患にかかるリスクは低いことと関連していると思われます。
ただ、積極的に細胞数を増やしていく必要があるため、
細胞分裂の頻度が大きいとすれば、
それは成長過程特有のリスクともいえます。

こうした病変状態の前の健康状態の組織の恒常性は
病変自体の研究よりは遅れていると思われます。
特にヒトのケースでは、
健康な人の組織を取得するわけにはいかないので
そもそも研究の基本的な手順の中で壁があるので
研究が進まなくて当然ということになります。
そうすると
人の液体生検で物質の一部を検知したり、
iPS細胞技術などで人のアクセス可能な細胞から
健康な3次元オルガノイドを作製し、
その中で、どういった病変細胞の防御機構があるか?
それを調べていく必要があります。

逆に言うと、癌になるときには
色んな負のイベントが重なったときに運悪くなる(82)。
このようにも考えられます。
例えば、
感染症などにかかって、免疫機能が乱されているときに
胃の細胞が体細胞変異やエピジェネティック変化なども
重なり、多くの癌(前駆)細胞ができてしまい、
それが組織に排除されずに定着してしまう。
こうしたことがトリガーになる可能性もあります。

こうした病気になる確率は、ベースとして
高齢になると上昇します。
一つの見方では、高齢になると
全身の細胞が老化します。
その老化を示す細胞生物学的特徴は
遺伝子の3次元構造にあります。
ヒストンの改変、クロマチンの立体構造、
脱メチル化などによって(83)
DNAが外部シグナルによってダメージを受けやすくなり
細胞の機能が確率的に不全になりやすくなります。

こうしたことと生まれながらにもつ
遺伝子的背景が関係します。

子どものころにかかる希少疾患は
周りの細胞の年齢は若いわけですから、
遺伝子変異が疾患に与える影響は大きく、
より決定的であるともいえます(84)。
それでも、遺伝子変異だけが病気を決定するわけではありません(85)。

しかし、こうした子供のころにかかる希少疾患は
その人から細胞取得をして、
iPS細胞技術で初期化して、病変細胞に分化させ
加速エージングをかけたときには
散発性の高齢になってかかりやすい癌などに比べて
病態を再現しやすいということはあると思います。

実際に実験に参加したことがないので推測の域を出ませんが、
こうした病態を再現するときには
すべての細胞が目的の疾患の特徴を示す
病変細胞にはならないのではないか?と思われます。
一部の細胞が病変細胞になり、
それを選択的にピッキングして、
それを増殖させることで病態を再現していると思われます。

もし、これが当てはまるとすれば、
やはり、病気にかかるかどうかは確率的です。
また、iPS細胞技術での病態再現は
おそらく体の中でそれが生じるよりも
「容易に」生じると思われます。
言い換えれば、
より遺伝的な背景が病気に与える影響が大きくなる。
このように思われます。

なぜ、そう思うか?
それはiPS細胞の生体外の培養環境は
体内の病気に対する防御機能が極めて弱いからです。
例えば、
連続的な組織が病気の細胞を追い出す(75)。
このようなシステムは
当然、組織を十分に形成していなければ働きません。
また、生体外では免疫機能も完全では当然ありません。
免疫機能と連携する末梢神経系もありません。

こうしたことをより厳密に考えて、議論していくことは
遺伝子治療において非常に重要なことです。
だからこそ、この段落で私は背景説明として含めました。

そもそもリスク遺伝子を通常に戻す。
このことはどういう価値をもたらすのか?
それを考えるうえで
上述したような遺伝子と病気の関係について
考える必要があるからです。

もう一つ考える必要があるのが、
生殖細胞系列の遺伝子変異が与える細胞種への影響です。
生殖細胞系列の遺伝子変異は
子孫にとってはグローバルな変異となりますが、
それが必ずしも全身の細胞種の異常につながるわけではありません。
なぜなら、
細胞腫ごと、どういった遺伝子をオープンにするか?
すなわちその遺伝子配列に基づいたたんぱく質を合成するか?
これが異なるからです(86)。
言い方を変えれば、
問題となる遺伝子変異があっても
細胞種によっては、それがクローズになっているため(87)
その遺伝子変異に基づいたたんぱく質が合成されないからです。

だからこそ、例えば、筋萎縮性側索硬化症では
運動神経だけが選択的に機能不全になります。
感覚神経などがそうならないのは
それらの機能を持った神経細胞が
どういった遺伝子をオープンにしているかが異なるからです(88,89)。

こういった議論をなぜ、
私は遺伝子治療とiPS細胞技術の段落でしているのでしょうか?
この段階で、それに気づかれている人はいるでしょうか?

遺伝子治療において、苦しいのは
生殖細胞系列の遺伝子において
「すべての細胞種において」
それを遺伝子編集において直さないといけない場合です。

しかし、実はそのようなケースはまれで
多くの場合、問題となる生殖細胞系列遺伝子変異は
特定の細胞種だけで問題となるので、
その細胞種を系統樹、組織形成、恒常性をよく理解しながら、
選択的に遺伝子変異することで、
その遺伝子が与える体へのリスクを
顕著に減らすことができるということです。
例えば、
ALSであれば、運動神経だけが問題なるのであれば、
運動神経だけの神経細胞を変えればいいということになります。
しかし、機能的には運動神経だけのようですが、
実は、よく調べるとそうではないかもしれない。
そういった
そのリスク遺伝子が、直したい遺伝子が
どういった細胞種で転写され、問題となっているか?
それを調べることにおいても
iPS細胞技術を利用することができます。
今述べた
ALSであれば、実はマイクログリアも問題かもしれません(90)。
もし、そうであるとするならば、
マイクログリアも遺伝子編集で直す必要が出てきます。

なぜ、最後に遺伝子治療の段落を設け、
これだけ長い背景を書いているのか?
それはiPS細胞技術には遺伝子治療に対しての
非常に大きな可能性があるからです。
しかし、その可能性について
まだ、日本を含め、世界では
病態再現などに対して、積極的には議論されていないようです。
遺伝子治療(Gene tharapy)は
その人の運命を変えるほど、影響力のあるものです(91)。
iPS細胞技術には
従来から積極的に議論されている
薬物送達システムによる生体内の遺伝子治療にはない
独自の強みがあります。
それについての私の考えを
少なくともここで提示する必要があります。

iPS細胞技術を用いた遺伝子治療は
再生医療と部分的に不可分(わけることができない)です。

基本的なコンセプトを説明します。

問題となる遺伝子変異があったとします。
例えば、肺に問題があるとします。
その時には対象となる遺伝子変異があります。
その遺伝子変異は生殖細胞系列の変異です。
従って、その変異は
皮膚の線維芽細胞にもその生殖細胞系列の変異があります。
その線維芽細胞から
iPS幹細胞技術によって初期化します。
どのタイミングで遺伝子変異を直すかどうかは
大きな問題ですが、ここでは初期化の時点で直すとします。
そうして、遺伝子変異を直した幹細胞を
肺の組織の系列の細胞種に分化させます。
この時に
その患者さんの遺伝子変異が
どういった疾患に対してリスクがあって、
その遺伝子変異が発現され、細胞に影響を与える細胞種が
わかっているとします。
その時に必要となるのは
分化、成熟細胞は一定の周期で入れ替わるわけですから
その入れ替わり後に成熟細胞を供給する
大元の幹細胞の遺伝子が肺に対して正常でなければなりません。
その組織の成熟細胞の供給元となる
幹細胞を患者さん由来の拒絶反応が起こりにくい
細胞で、問題となる遺伝子変異だけを解消させて、
体の中に生着させることによって、
問題となる遺伝子変異が解消された成熟細胞に
どんどん細胞が書き換わっていくことになります。
ただし、
この患者さんのさらに未分化の幹細胞は
当然、遺伝子変異が残っていますから、
供給した遺伝子変異解消した幹細胞の生体内の寿命。
これを把握しておく必要があります。
また、この幹細胞は自己再生しますから、
他の同じ種類の幹細胞にも変化します。

こうした治療のコンセプトは
「Stem cell-based thrapy」と呼ばれます(92)。

そうすると必要になるのが、
iPS細胞の追跡評価技術です。
こうした遺伝子編集し、リスク遺伝子変異を解消した
肺の幹細胞がどういった軌跡を描いて
肺の組織を書き換えていくか?
それを永続的に評価していくシステムです。
これを実現するための方法は1つではない可能性がありますが、
そのうちの一つは、私が提唱する
iPS細胞のmiRNAコーディング領域の
識別可能なバーコード技術です。
miRNAは細胞外小胞から血中に出ますから、
その細胞外小胞を確実に分離して、
その細胞外小胞から細胞種と量をトラッキングできれば、
iPS細胞で遺伝子編集した細胞が
患者さんの肺の組織をどういった勢力図で書き換えていくか?
それを少なくとも部分的に評価する物質的情報が得られます。

遺伝子治療というのは
こうした細胞の組織内の恒常性をよく理解する必要があるため、
単に病変部位の遺伝子を書き換えるだけではなく、
その永続性を保証し、
患者さんの病気に対する運命を変えるためには
こうした困難なシステムを確立する必要があります。

ただ、iPS細胞技術なら
少なくとも神経細胞以外の疾患に関しては
こういった困難な壁を越えられる可能性があります。

こうした組織を入れ替えるということは
再生医療でも組織を部分的、全体を入れ替えるわけですから
iPS細胞技術による遺伝子治療と不可分ということです。

iPS細胞技術は確実に特定の細胞種の遺伝子を編集することができます。
しかも、それは患者さん、当事者の細胞でできる。
ナノ粒子などを使った生体内編集では
その細胞種に特異的に届けて、確実に編集する
このことに一定の難しさがあります(93)。
さらに
iPS細胞技術では問題となる細胞が手元にあるわけですから
その細胞を調べる機会が与えられます。
それは生体内にある幹細胞を生体内で操作する場合には
おおよそ存在しないチャンスとなります。

だから、マウスなどの動物で
組織がどのように書き換わっていくか?
それを細胞の系統樹も含めて、正確に理解することは
再生医療だけではなく、
この遺伝子医療においても色濃くその影響が波及します。
遺伝子医療は、
遺伝子変異がこの段落での冒頭で述べたように
ほとんど全ての疾患の確率に影響を与える
ベースとなっているとすれば、
それを選択的に解消して、勢力を上げていけることは
そのベースとなる確率そのものにアプローチできることになります。
すなわち
病気になる確率を下げることができます。
ただ、
遺伝子の影響は往々にして単一ではないため、
それで、病気にならないわけではありません。
従って、せっかく苦労して遺伝子治療するわけですから
遺伝子編集する際には、複数のリスク遺伝子を
できるだけ正確に特定して
それを確実に解消することが求められます。
ゲノムワイド分析などが利用できます(94)。
この正確性によって確率が変わってきます。
これが実現されれば
ほぼ確実に患者さんの運命は変わります。

では、なぜ、神経系の疾患は難しいか?
基本的に神経系の疾患の中で
特に神経細胞に不全がある場合には
その成熟神経細胞が書き換わらないからです(95)。
神経細胞は連結を基本としているので、
組織が固定的です。
だから、書き換える機会がそもそもないのです。
その神経細胞に直接的に
遺伝子編集物質を送達して、書き換えるしかありません(96)。
他にもあるかもしれないけど、
少なくともその選択肢しか私は見えていません。
一方で、
周りのグリア細胞
(マイクログリア、星状膠細胞、乏突起膠細胞など)
これらの細胞は幹細胞で書き換わる可能性がありますが、
神経系は血液脳関門があるため、
内科的なアプローチで書き換えることは難しいです。、
少なくとも経頭蓋で細胞を導入する必要性が高くなるため、
本当にリスクがある人しか介入する機会がありません。
しかし、
神経系以外の細胞も移植が必要かもしれません。

とにかく書き換えるということは
細胞のリネージ、どういった成熟過程を描いていて
入れ替わっていき、勢力が増すか?
それをちゃんと理解して、評価することが求めらますし、
そうした系統樹ごとの細胞種の遺伝子と転写の関係、
それに付随したリスク遺伝子を理解する必要があります。

例えば、骨髄には造血幹細胞があります。
すべての血液細胞(赤血球、白血球、血小板など)に
分化する能力を持っています。
従って、小児脳腫瘍でも、
血液系の細胞に影響に影響を及ぼす
リスク遺伝子が存在する場合もあります。
そうした場合、造血幹細胞を
iPS細胞でリスク遺伝子を解消した状態で移植できると
リスクを別の観点で下げることができるかもしれません。
その時に同様に骨髄に存在する間葉系幹細胞も移植すれば、
これらは骨、軟骨、脂肪、血管などに分化する能力のがありますから
より多くの組織の運命を変えることができます。

ここまで書いてきて気づかれた方もいると思います。
体の疾患において未分化の細胞の重要性です。
高齢になり、あるいは特定の強いイベントにより
骨髄にあるような未分化の細胞の遺伝子に問題が生じると
それが多くの分化後、成熟後の細胞に影響を及ぼしてしまいます。
そうしたことは、高齢になると起こりやすくなりますから、
仮に生まれたときにリスク遺伝子がなくても、
こうした散発性、後天的なイベントによって
全く家族経歴とは異なる疾患にかかることもあります。

逆に言うとiPS細胞だけではなく
私が注力する細胞腫特異的薬物送達システムでも
未分化の細胞に選択的にアプローチする方法を見つけることが大切です。
ただ、未分化の細胞は通常、循環器に流れ出ることはなく
高度に守られていて自然です。
なぜなら、未分化の細胞は
このiPS細胞の記事で述べたように
多くの運命をたどる選択性がありますから、
グローバルにDNAがオープンになる傾向があります。
従って、DNAがダメージを受けやすいため、
それを守る強靭なシステムが必要です。
細胞内にもあります。
例えば、ダメージに対するアポトーシス感受性が高いです(97)。
それは組織内でとる位置にも存在する可能性が高いです(98)。
細胞外マトリックス(99)も移動性だけではなく、
外部ストレスからの保護に関与しているかもしれません。
循環器は場合によってはウィルスなどにも暴露されやすいところのため
未分化のダメージを受けやすい細胞は
人の進化の過程の選択圧で循環器に出にくい形質があって自然です。
ただし、循環器の内皮細胞など
組織形成に必要な幹細胞は循環器に放出されます(100)。
逆に言うと
循環器からアプローチしにくいところがあります。
幹細胞が環境からシグナルを受け取るときに
利用される細胞外小胞などの内分泌系を逆用することなどが
有効なアプローチとして存在します(101,102)。
従って、人為的に未分化の細胞の遺伝子を変えることは
細胞内の排除、防御の仕組みを含めて、
通常の成熟細胞を変えるよりも大きな壁があると思われます。

そうすると強制的にiPS細胞で未分化の細胞を変えて
外科的に移植することが現実的な手段となります。
でも、そうすると
それを実施するためのリスクがあがるため
本当に病気のリスクがある人しかそれを実施できません。
このようなジレンマがあります。

遺伝子治療は、ある種、生物の防御機構に逆らうところがあり、
それを実現することは容易ではないということです。


(参考文献)
(1)
Yanhong Shi, Haruhisa Inoue, Joseph C. Wu & Shinya Yamanaka 
Induced pluripotent stem cell technology: a decade of progress
Nature Reviews Drug Discovery volume 16, pages115–130 (2017)
(2)
Tatsuki Ueda, Sara Shiina, Shoichi Iriguchi, Seitaro Terakura, Yohei Kawai, Ryotaro Kabai, Satoko Sakamoto, Akira Watanabe, Kohei Ohara, Bo Wang, Huaigeng Xu, Atsutaka Minagawa, Akitsu Hotta, Knut Woltjen, Yasushi Uemura, Yuzo Kodama, Hiroshi Seno, Tetsuya Nakatsura, Koji Tamada & Shin Kaneko
Optimization of the proliferation and persistency of CAR T cells derived from human induced pluripotent stem cells
Nature Biomedical Engineering volume 7, pages24–37 (2023)
(3)
Megumi Yokomizo-Goto, Nana Takenaka-Ninagawa, Chengzhu Zhao, Clémence Kiho Bourgeois Yoshioka, Mayuho Miki, Souta Motoike, Yoshiko Inada, Denise Zujur, William Theoputra, Yonghui Jin, Junya Toguchida, Makoto Ikeya & Hidetoshi Sakurai
Distinct muscle regenerative capacity of human induced pluripotent stem cell-derived mesenchymal stromal cells in Ullrich congenital muscular dystrophy model mice
Stem Cell Research & Therapy volume 15, Article number: 340 (2024) 
(4)
Hisashi Yano 1, Keiko Koga 2, Takayuki Sato 2, Tokuyuki Shinohara 2, Shoichi Iriguchi 3, Atsushi Matsuda 2, Kazuki Nakazono 2, Maki Shioiri 2, Yasuyuki Miyake 3, Yoshiaki Kassai 2, Hitoshi Kiyoi 4, Shin Kaneko 
Human iPSC-derived CD4+ Treg-like cells engineered with chimeric antigen receptors control GvHD in a xenograft model
Cell Stem Cell. 2024 Jun 6;31(6):795-802.e6.
(5)
Dana Zeineddine,1,* Aya Abou Hammoud,1,2,3,* Mohamad Mortada,1 and Hélène Boeuf
The Oct4 protein: more than a magic stemness marker
Am J Stem Cells. 2014; 3(2): 74–82.
(6)
Corey Lourenco, Diana Resetca, Cornelia Redel, Peter Lin, Alannah S. MacDonald, Roberto Ciaccio, Tristan M. G. Kenney, Yong Wei, David W. Andrews, Maria Sunnerhagen, Cheryl H. Arrowsmith, Brian Raught & Linda Z. Penn
MYC protein interactors in gene transcription and cancer
Nature Reviews Cancer volume 21, pages579–591 (2021)
(7)
Perrine Dahan 1, Vivian Lu 2, Robert M T Nguyen 1, Stephanie A L Kennedy 1 3, Michael A Teitell 4
Metabolism in pluripotency: Both driver and passenger?
J Biol Chem. 2019 Apr 5;294(14):5420-5429.
(8)
Ana Bošković 1, André Eid 1, Julien Pontabry 1, Takashi Ishiuchi 1, Coralie Spiegelhalter 1, Edupuganti V S Raghu Ram 2, Eran Meshorer 2, Maria-Elena Torres-Padilla 
Higher chromatin mobility supports totipotency and precedes pluripotency in vivo
Genes Dev. 2014 May 15;28(10):1042-7
(9)
Xuelan Chen, Albert S. Agustinus, Jun Li, Melody DiBona & Samuel F. Bakhoum
Chromosomal instability as a driver of cancer progression
Nature Reviews Genetics (2024)
(10)
Dinorah Friedmann-Morvinski and Inder M Verma
Dedifferentiation and reprogramming: origins of cancer stem cells
EMBO Rep. 2014 Mar; 15(3): 244–253.
(11)
N Niu, I Mercado-Uribe & J Liu
Dedifferentiation into blastomere-like cancer stem cells via formation of polyploid giant cancer cells
Oncogene volume 36, pages4887–4900 (2017)
(12)
Jinyang Li1,2,3 and Ben Z. Stanger
How Tumor Cell Dedifferentiation Drives Immune Evasion And Resistance to Immunotherapy
Cancer Res. 2020 Oct 1; 80(19): 4037–4041.
(13)
Clara Bergis-Ser, Meega Reji, David Latrasse, Catherine Bergounioux, Moussa Benhamed & Cécile Raynaud
Chromatin dynamics and RNA metabolism are double-edged swords for the maintenance of plant genome integrity
Nature Plants volume 10, pages857–873 (2024)
(14)
Miriam Szurman-Zubrzycka,* Paulina Jędrzejek, and Iwona Szarejko
How Do Plants Cope with DNA Damage? A Concise Review on the DDR Pathway in Plants
Int J Mol Sci. 2023 Feb; 24(3): 2404.
(15)
Haritha Vallabhaneni, Deborah A. Hursh
Chapter 8 - Replication-associated DNA damage in induced pluripotent stem cells
Current Topics in iPSCs Technology Volume 17 in Advances in Stem Cell Biology 2022, Pages 177-196
(16)
Andy Chun Hang Chen,1,2 Qian Peng,2 Sze Wan Fong,1 Kai Chuen Lee,1 William Shu Biu Yeung,1,2,* and Yin Lau Lee1,
DNA Damage Response and Cell Cycle Regulation in Pluripotent Stem Cells
Genes (Basel). 2021 Oct; 12(10): 1548.
(17)
Keiko Imamura 1, Yuishin Izumi 2, Akira Watanabe 1, Kayoko Tsukita 1, Knut Woltjen 1 3, Takuya Yamamoto 1 4, Akitsu Hotta 1 4 5, Takayuki Kondo 1, Shiho Kitaoka 1, Akira Ohta 1, Akito Tanaka 1, Dai Watanabe 6, Mitsuya Morita 7, Hiroshi Takuma 8, Akira Tamaoka 8, Tilo Kunath 9, Selina Wray 10, Hirokazu Furuya 11, Takumi Era 12, Kouki Makioka 13, Koichi Okamoto 14, Takao Fujisawa 15, Hideki Nishitoh 16, Kengo Homma 15, Hidenori Ichijo 15, Jean-Pierre Julien 17, Nanako Obata 18, Masato Hosokawa 18, Haruhiko Akiyama 18, Satoshi Kaneko 19, Takashi Ayaki 20, Hidefumi Ito 21, Ryuji Kaji 4, Ryosuke Takahashi 20, Shinya Yamanaka 1 22, Haruhisa Inoue 23
The Src/c-Abl pathway is a potential therapeutic target in amyotrophic lateral sclerosis
Sci Transl Med. 2017 May 24;9(391):eaaf3962.
(18)
Troels Steenstrup,1 Jeremy D. Kark,2 Simon Verhulst,3 Mikael Thinggaard,4,5 Jacob V. B. Hjelmborg,1,6 Christine Dalgård,7 Kirsten Ohm Kyvik,8 Lene Christiansen,1,6,5 Massimo Mangino,9,10 Timothy D. Spector,9 Inge Petersen,1 Masayuki Kimura,11 Athanase Benetos,12,13,14 Carlos Labat,13,14 Ronit Sinnreich,2 Shih-Jen Hwang,15 Daniel Levy,15 Steven C. Hunt,16 Annette L. Fitzpatrick,17 Wei Chen,18 Gerald S. Berenson,18 Michelangela Barbieri,19 Giuseppe Paolisso,19 Shahinaz M. Gadalla,20 Sharon A. Savage,20 Kaare Christensen,4,5,6 Anatoliy I. Yashin,21 Konstantin G. Arbeev,21 and Abraham Avivcorresponding author11
Telomeres and the natural lifespan limit in humans
Aging (Albany NY). 2017 Apr; 9(4): 1130–1142.
(19)
Richard Allsopp1
Telomere length and iPSC re-programming: survival of the longest
Cell Res. 2012 Apr; 22(4): 614–615.
(20)
S. Jay Olshansky, Bradley J. Willcox, Lloyd Demetrius & Hiram Beltrán-Sánchez 
Implausibility of radical life extension in humans in the twenty-first century
Nature Aging (2024)
(21)
Justine D Miller 1, Yosif M Ganat, Sarah Kishinevsky, Robert L Bowman, Becky Liu, Edmund Y Tu, Pankaj K Mandal, Elsa Vera, Jae-won Shim, Sonja Kriks, Tony Taldone, Noemi Fusaki, Mark J Tomishima, Dimitri Krainc, Teresa A Milner, Derrick J Rossi, Lorenz Studer
Human iPSC-based modeling of late-onset disease via progerin-induced aging
Cell Stem Cell. 2013 Dec 5;13(6):691-705.
(22)
Madeline A Lancaster 1, Juergen A Knoblich
Organogenesis in a dish: modeling development and disease using organoid technologies
Science. 2014 Jul 18;345(6194):1247125.
(23)
Kenichi HORISAWA*1 and Atsushi SUZUKI*
Direct cell-fate conversion of somatic cells: Toward regenerative medicine and industries
Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2020 Apr 10; 96(4): 131–158.
(24)
Yan Bi, Zhifen Tu, Jianfeng Zhou, Xuehao Zhu, Hong Wang, Shaorong Gao & Yixuan Wang
Cell fate roadmap of human primed-to-naive transition reveals preimplantation cell lineage signatures
Nature Communications volume 13, Article number: 3147 (2022) 
(25)
Kenji Miki 1, Kei Endo 2, Seiya Takahashi 3, Shunsuke Funakoshi 4, Ikue Takei 3, Shota Katayama 3, Taro Toyoda 3, Maki Kotaka 3, Tadashi Takaki 3, Masayuki Umeda 5, Chikako Okubo 3, Misato Nishikawa 3, Akiko Oishi 3, Megumi Narita 3, Ito Miyashita 3, Kanako Asano 3, Karin Hayashi 3, Kenji Osafune 3, Shinya Yamanaka 6, Hirohide Saito 7, Yoshinori Yoshida 8
Efficient Detection and Purification of Cell Populations Using Synthetic MicroRNA Switches
Cell Stem Cell. 2015 Jun 4;16(6):699-711. 
(26)
Koki Fujimori, Mitsuru Ishikawa, Asako Otomo, Naoki Atsuta, Ryoichi Nakamura, Tetsuya Akiyama, Shinji Hadano, Masashi Aoki, Hideyuki Saya, Gen Sobue & Hideyuki Okano 
Modeling sporadic ALS in iPSC-derived motor neurons identifies a potential therapeutic agent
Nature Medicine volume 24, pages1579–1589 (2018)
(27)
Cira ニュース
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/other/241015-130000.html
(28)
Melanie Generali, Yoshihiko Fujita, Debora Kehl, Moe Hirosawa, Maximilian Y. Emmert, Jun Takahashi, Simon P. Hoerstrup & Hirohide Saito
Purification technologies for induced pluripotent stem cell therapies
Nature Reviews Bioengineering (2024)
(29)
https://new-komadas-world.blogspot.com/2020/09/blog-post_2.html
(30)
https://new-komadas-world.blogspot.com/2022/09/ips.html
(31)
Louise Hagbard 1, Katherine Cameron 2, Paul August 3, Christopher Penton 3, Malin Parmar 4, David C Hay 2, Therése Kallur
Developing defined substrates for stem cell culture and differentiation
Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2018 Jul 5;373(1750):20170230.
(32)
Nathaniel S. Hwang, Shyni Varghese, and Jennifer Elisseeff*
Controlled differentiation of stem cells
Adv Drug Deliv Rev. 2008 Jan 14; 60(2): 199–214.
(33)
Rene Olivares-Navarrete 1, Erin M Lee 2, Kathryn Smith 3, Sharon L Hyzy 1, Maryam Doroudi 4, Joseph K Williams 5, Ken Gall 3 6, Barbara D Boyan 1 2, Zvi Schwartz 1
Substrate Stiffness Controls Osteoblastic and Chondrocytic Differentiation of Mesenchymal Stem Cells without Exogenous Stimuli
PLoS One. 2017 Jan 17;12(1):e0170312
(34)
Bin Wang 1, Xiaolong Tu, Jin Wei, Li Wang, Yong Chen
Substrate elasticity dependent colony formation and cardiac differentiation of human induced pluripotent stem cells
Biofabrication. 2018 Oct 30;11(1):015005
(35)
Yufeng Zhang 1, Wei Fan, Zhaocheng Ma, Chengtie Wu, Wei Fang, Gang Liu, Yin Xiao
The effects of pore architecture in silk fibroin scaffolds on the growth and differentiation of mesenchymal stem cells expressing BMP7
Acta Biomater. 2010 Aug;6(8):3021-8
(36)
Chandrasekhar R Kothapalli 1, Roger D Kamm
3D matrix microenvironment for targeted differentiation of embryonic stem cells into neural and glial lineages
Biomaterials. 2013 Aug;34(25):5995-6007. 
(37)
Naoshi Sugimoto 1, Junya Kanda 2, Sou Nakamura 1, Toshiyuki Kitano 2, Masakatsu Hishizawa 2, Tadakazu Kondo 2, Shin Shimizu 1, Akiko Shigemasa 1, Hideyo Hirai 3, Yasuyuki Arai 3, Manabu Minami 4, Harue Tada 4, Dai Momose 5, Ki-Ryang Koh 5, Masayuki Nogawa 6, Naohide Watanabe 7, Shinichiro Okamoto 7, Makoto Handa 8, Akira Sawaguchi 9, Nobuki Matsuyama 10, Mitsunobu Tanaka 10, Tomoya Hayashi 10, Akihiro Fuchizaki 10, Yoshihiko Tani 10, Akifumi Takaori-Kondo 2, Koji Eto
iPLAT1: the first-in-human clinical trial of iPSC-derived platelets as a phase 1 autologous transfusion study
Blood. 2022 Dec 1;140(22):2398-2402.
(38)
Soshana P. Svendsen & Clive N. Svendsen 
Cell therapy for neurological disorders
Nature Medicine (2024)
(39)
Kaitlyn Bacon 1, Ashton Lavoie 1, Balaji M Rao 2, Michael Daniele 3, Stefano Menegatti 4
Past, Present, and Future of Affinity-based Cell Separation Technologies
Acta Biomater. 2020 Aug:112:29-51. 
(40)
Tetsuhiro Kikuchi, Asuka Morizane, Daisuke Doi, Hiroaki Magotani, Hirotaka Onoe, Takuya Hayashi, Hiroshi Mizuma, Sayuki Takara, Ryosuke Takahashi, Haruhisa Inoue, Satoshi Morita, Michio Yamamoto, Keisuke Okita, Masato Nakagawa, Malin Parmar & Jun Takahashi
Human iPS cell-derived dopaminergic neurons function in a primate Parkinson’s disease model
Nature volume 548, pages592–596 (2017)
(41)
Yoshihiko Fujita 1, Moe Hirosawa 1, Karin Hayashi 1, Takeshi Hatani 2, Yoshinori Yoshida 2, Takuya Yamamoto 1 3 4, Hirohide Saito 1
A versatile and robust cell purification system with an RNA-only circuit composed of microRNA-responsive ON and OFF switches
Sci Adv. 2022 Jan 7;8(1):ea
(42)
Isabelle R. de Luzy, Michael K. Lee, William C. Mobley & Lorenz Studer
Lessons from inducible pluripotent stem cell models on neuronal senescence in aging and neurodegeneration
Nature Aging volume 4, pages309–318 (2024)
(43)
Jason Halliwell, Ivana Barbaric & Peter W. Andrews
Acquired genetic changes in human pluripotent stem cells: origins and consequences
Nature Reviews Molecular Cell Biology volume 21, pages715–728 (2020)
(44)
Yishai Avior 1, Kevin Eggan 2, Nissim Benvenisty 
Cancer-Related Mutations Identified in Primed and Naive Human Pluripotent Stem Cells
Cell Stem Cell. 2019 Oct 3;25(4):456-461.
(45)
Lan Luo, Miho Kawakatsu, Chao-Wan Guo, Yoshishige Urata, Wen-Jing Huang, Haytham Ali, Hanako Doi, Yuriko Kitajima, Takayuki Tanaka, Shinji Goto, Yusuke Ono, Hong-Bo Xin, Kimikazu Hamano & Tao-Sheng Li 
Effects of antioxidants on the quality and genomic stability of induced pluripotent stem cells
Scientific Reports volume 4, Article number: 3779 (2014) 
(46)
Anna Kychygina, Marina Dall’Osto, Joshua A. M. Allen, Jean-Charles Cadoret, Vincent Piras, Hilda A. Pickett & Laure Crabbe 
Progerin impairs 3D genome organization and induces fragile telomeres by limiting the dNTP pools
Scientific Reports volume 11, Article number: 13195 (2021) 
(47)
Koji Tanabe 1, Michiko Nakamura, Megumi Narita, Kazutoshi Takahashi, Shinya Yamanaka
Maturation, not initiation, is the major roadblock during reprogramming toward pluripotency from human fibroblasts
Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Jul 23;110(30):12172-9. 
(48)
Xiao Hu 1, Lei Zhang 1, Shi-Qing Mao 1, Zheng Li 1, Jiekai Chen 2, Run-Rui Zhang 1, Hai-Ping Wu 1, Juan Gao 1, Fan Guo 1, Wei Liu 1, Gui-Fang Xu 1, Hai-Qiang Dai 1, Yujiang Geno Shi 3, Xianlong Li 4, Boqiang Hu 4, Fuchou Tang 4, Duanqing Pei 2, Guo-Liang Xu 5
Tet and TDG mediate DNA demethylation essential for mesenchymal-to-epithelial transition in somatic cell reprogramming
Cell Stem Cell. 2014 Apr 3;14(4):512-22
(49)
Jonas Cerneckis, Hongxia Cai & Yanhong Shi
Induced pluripotent stem cells (iPSCs): molecular mechanisms of induction and applications
Signal Transduction and Targeted Therapy volume 9, Article number: 112 (2024) 
(50)
Bárbara do Nascimento Borges 1
Epigenetic alterations in canine mammary cancer
Genet Mol Biol. 2022 Oct 24;45(3 Suppl 1):e20220131
(51)
Lu Gong, Xiao Pan, Haide Chen, Lingjun Rao, Yelin Zeng, Honghui Hang, Jinrong Peng, Lei Xiao & Jun Chen 
p53 isoform Δ133p53 promotes efficiency of induced pluripotent stem cells and ensures genomic integrity during reprogramming
Scientific Reports volume 6, Article number: 37281 (2016) 
(52)
Daniel Blakemore 1, Nuria Vilaplana‐Lopera 1, Ruba Almaghrabi 1, Elena Gonzalez 1, Miriam Moya 1, Carl Ward 2,3, George Murphy 4, Agnieszka Gambus 1, Eva Petermann 1, Grant S Stewart 1,†, Paloma García 1,†,✉
MYBL2 and ATM suppress replication stress in pluripotent stem cells
EMBO Rep. 2021 Mar 28;22(5):e51120. 
(53)
Zaida Álvarez 1, J Alberto Ortega 2, Kohei Sato 3, Ivan R Sasselli 4, Alexandra N Kolberg-Edelbrock 5, Ruomeng Qiu 3, Kelly A Marshall 6, Thao Phuong Nguyen 7, Cara S Smith 5, Katharina A Quinlan 8, Vasileios Papakis 6, Zois Syrgiannis 3, Nicholas A Sather 9, Chiara Musumeci 10, Elisabeth Engel 11, Samuel I Stupp 12, Evangelos Kiskinis
Artificial extracellular matrix scaffolds of mobile molecules enhance maturation of human stem cell-derived neurons
Cell Stem Cell. 2023 Feb 2;30(2):219-238.e14. 
(54)
Shohei Yoshida 1, Shigeru Miyagawa 1, Satsuki Fukushima 1, Takuji Kawamura 1, Noriyuki Kashiyama 1, Fumiya Ohashi 1, Toshihiko Toyofuku 2, Koichi Toda 1, Yoshiki Sawa 3
Maturation of Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Cardiomyocytes by Soluble Factors from Human Mesenchymal Stem Cells
Mol Ther. 2018 Nov 7;26(11):2681-2695
(55)
Daniel Haag 1, Norman Mack 2, Patricia Benites Goncalves da Silva 2, Britta Statz 2, Jessica Clark 2, Koji Tanabe 3, Tanvi Sharma 2, Natalie Jäger 2, David T W Jones 4, Daisuke Kawauchi 5, Marius Wernig 6, Stefan M Pfister 7
H3.3-K27M drives neural stem cell-specific gliomagenesis in a human iPSC-derived model
Cancer Cell. 2021 Mar 8;39(3):407-422.e13.
(56)
Qingguo Zhao, Bo Hai, Jack Kelly, Samuel Wu & Fei Liu
Extracellular vesicle mimics made from iPS cell-derived mesenchymal stem cells improve the treatment of metastatic prostate cancer[
Stem Cell Research & Therapy volume 12, Article number: 29 (2021)
(57)
Marta Adamiak 1, Guangming Cheng 2, Sylwia Bobis-Wozowicz 1, Lin Zhao 2, Sylwia Kedracka-Krok 3, Anweshan Samanta 2, Elzbieta Karnas 1,4, Yu-Ting Xuan 2, Bozena Skupien-Rabian 3,4, Xing Chen 2, Urszula Jankowska 4, Magdy Girgis 2, Malgorzata Sekula 4, Arash Davani 2, Slawomir Lasota 1, Robert J Vincent 2, Michal Sarna 4,5, Kathy L Newell 6, Ou-Li Wang 2, Nathaniel Dudley 2, Zbigniew Madeja 1, Buddhadeb Dawn 2, Ewa K Zuba-Surma 1
Induced Pluripotent Stem Cell (iPSC)-Derived Extracellular Vesicles Are Safer and More Effective for Cardiac Repair than iPSCs
Circ Res. 2017 Nov 8;122(2):296–309
(58)
Nathalia C Oliveira 1 2, Fabiele B Russo 1, Patricia C B Beltrão-Braga 
Differentiation of peripheral sensory neurons from iPSCs derived from stem cells from human exfoliated deciduous teeth (SHED)
Front Cell Dev Biol. 2023 Jul 13:11:1203503
(59)
Eric Huntzinger & Elisa Izaurralde]
Gene silencing by microRNAs: contributions of translational repression and mRNA decay
Nature Reviews Genetics volume 12, pages99–110 (2011)
(60)
Bo Hu, Liping Zhong, Yuhua Weng, Ling Peng, Yuanyu Huang, Yongxiang Zhao & Xing-Jie Liang 
Therapeutic siRNA: state of the art
Signal Transduction and Targeted Therapy volume 5, Article number: 101 (2020) 
(61)
James A. Saba, Kifayathullah Liakath-Ali, Rachel Green & Fiona M. Watt 
Translational control of stem cell function
Nature Reviews Molecular Cell Biology volume 22, pages671–690 (2021)
(62)
Aydan Bulut-Karslioglu 1, Trisha A Macrae 1, Juan A Oses-Prieto 2, Sergio Covarrubias 3, Michelle Percharde 1, Gregory Ku 3, Aaron Diaz 4, Michael T McManus 3, Alma L Burlingame 2, Miguel Ramalho-Santos 5
The Transcriptionally Permissive Chromatin State of Embryonic Stem Cells Is Acutely Tuned to Translational Output
Cell Stem Cell. 2018 Mar 1;22(3):369-383.e8.
(63)
Callum J. C. Parr, Shota Katayama, Kenji Miki, Yi Kuang, Yoshinori Yoshida, Asuka Morizane, Jun Takahashi, Shinya Yamanaka & Hirohide Saito 
MicroRNA-302 switch to identify and eliminate undifferentiated human pluripotent stem cells
Scientific Reports volume 6, Article number: 32532 (2016)
(64)
Fiona M. Watt & Wilhelm T. S. Huck 
Role of the extracellular matrix in regulating stem cell fate
Nature Reviews Molecular Cell Biology volume 14, pages467–473 (2013)
(65)
Lucas R Smith 1, Sangkyun Cho 1, Dennis E Discher 
Stem Cell Differentiation is Regulated by Extracellular Matrix Mechanics
Physiology (Bethesda). 2017 Dec 6;33(1):16–25
(66)
John D Blair 1, Dirk Hockemeyer 1, Jennifer A Doudna 2, Helen S Bateup 3, Stephen N Floor 4
Widespread Translational Remodeling during Human Neuronal Differentiation
Cell Rep. 2017 Nov 14;21(7):2005-2016.
(67)
Cira ニュース
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/241017-100000.html
(68)
Kimberly Siletti 1, Rebecca Hodge # 2, Alejandro Mossi Albiach # 1, Ka Wai Lee 1, Song-Lin Ding 2, Lijuan Hu 1, Peter Lönnerberg 1, Trygve Bakken 2, Tamara Casper 2, Michael Clark 2, Nick Dee 2, Jessica Gloe 2, Daniel Hirschstein 2, Nadiya V Shapovalova 2, C Dirk Keene 3, Julie Nyhus 2, Herman Tung 2, Anna Marie Yanny 2, Ernest Arenas 1, Ed S Lein 2, Sten Linnarsson 1
Transcriptomic diversity of cell types across the adult human brain
Science. 2023 Oct 13;382(6667):eadd7046. 
(69)
Karthikeyan Ardhanareeswaran, Jessica Mariani, Gianfilippo Coppola, Alexej Abyzov & Flora M. Vaccarino
Human induced pluripotent stem cells for modelling neurodevelopmental disorders
Nature Reviews Neurology volume 13, pages265–278 (2017)
(70)
Sherri G Liang 1, Tiffany A Greenwood 1
The Impact of Clinical Heterogeneity in Schizophrenia on Genomic Analyses
Schizophr Res. 2014 Dec 10;161(0):490–495
(71)
Anne Masi 1, Marilena M DeMayo 1, Nicholas Glozier 1, Adam J Guastella 1
An Overview of Autism Spectrum Disorder, Heterogeneity and Treatment Options
Neurosci Bull. 2017 Feb 17;33(2):183–193
(72)
Lily Keane, Mathilde Cheray, Klas Blomgren & Bertrand Joseph 
Multifaceted microglia — key players in primary brain tumour heterogeneity
Nature Reviews Neurology volume 17, pages243–259 (2021)
(73)
Jennifer M. Pocock & Thomas M. Piers
Modelling microglial function with induced pluripotent stem cells: an update
Nature Reviews Neuroscience volume 19, pages445–452 (2018)
(74)
Almira Chervova, Amandine Molliex, H. Irem Baymaz, Rémi-Xavier Coux, Thaleia Papadopoulou, Florian Mueller, Eslande Hercul, David Fournier, Agnès Dubois, Nicolas Gaiani, Petra Beli, Nicola Festuccia & Pablo Navarro
Mitotic bookmarking redundancy by nuclear receptors in pluripotent cells
Nature Structural & Molecular Biology volume 31, pages513–522 (2024)
(75)
Shunsuke Kon, Kojiro Ishibashi, Hiroto Katoh, Sho Kitamoto, Takanobu Shirai, Shinya Tanaka, Mihoko Kajita, Susumu Ishikawa, Hajime Yamauchi, Yuta Yako, Tomoko Kamasaki, Tomohiro Matsumoto, Hirotaka Watanabe, Riku Egami, Ayana Sasaki, Atsuko Nishikawa, Ikumi Kameda, Takeshi Maruyama, Rika Narumi, Tomoko Morita, Yoshiteru Sasaki, Ryosuke Enoki, Sato Honma, Hiromi Imamura, Masanobu Oshima, Tomoyoshi Soga, Jun-ichi Miyazaki, Michael R. Duchen, Jin-Min Nam, Yasuhito Onodera, Shingo Yoshioka, Junichi Kikuta, Masaru Ishii, Masamichi Imajo, Eisuke Nishida, Yoichiro Fujioka, Yusuke Ohba, Toshiro Sato & Yasuyuki Fujita
Cell competition with normal epithelial cells promotes apical extrusion of transformed cells through metabolic changes
Nature Cell Biology volume 19, pages530–541 (2017)
(76)
Daisuke Hirayama 1, Tomoya Iida 1, Hiroshi Nakase 
The Phagocytic Function of Macrophage-Enforcing Innate Immunity and Tissue Homeostasis
Int J Mol Sci. 2017 Dec 29;19(1):92.
(77)
Melissa B Lodoen 1, Lewis L Lanier
Natural killer cells as an initial defense against pathogens
Curr Opin Immunol. 2006 Jun 12;18(4):391–398
(78)
Dominik Brokatzky a, Oliver Kretz b, Georg Häcker a,c,
Apoptosis Functions in Defense against Infection of Mammalian Cells with Environmental Chlamydiae
Infect Immun. 2020 May 20;88(6):e00851-19. d
(79)
Rumani Singh, Anthony Letai & Kristopher Sarosiek 
Regulation of apoptosis in health and disease: the balancing act of BCL-2 family proteins
Nature Reviews Molecular Cell Biology volume 20, pages175–193 (2019)
(80)
Chien-Sin Chen ,Coline Barnoud , Christoph Scheiermann 
Peripheral neurotransmitters in the immune system
Current Opinion in Physiology Volume 19, February 2021, Pages 73-79
(81)
Puja Kumari 1, Skylar S Wright 1, Vijay A Rathinam 1
Role of Extracellular Vesicles in Immunity and Host Defense
Immunol Invest. 2024 Jan;53(1):10-25.
(82)
Jeffrey V. Sutherl , John C. Bailar III 
The multihit model of carcinogenesis: Etiologic implications for colon cancer
Journal of Chronic Diseases Volume 37, Issue 6, 1984, Pages 465-480
(83)
Zunpeng Liu a,b,c,d,e, Juan Carlos Izpisua Belmonte h, Weiqi Zhang e,i,j,∗∗, Jing Qu b,c,d,e,∗∗∗, Guang-Hui Liu
Deciphering aging at three-dimensional genomic resolution
Cell Insight. 2022 May 25;1(3):100034. 
(84)
Shira Rockowitz 1,2,3, Nicholas LeCompte 1,2,3, Mary Carmack 1,2,3, Andrew Quitadamo 1,2,3, Lily Wang 1,2,3, Meredith Park 4,5, Devon Knight 4,5, Emma Sexton 4,5, Lacey Smith 4,5, Beth Sheidley 4,5, Michael Field 6, Ingrid A Holm 2,3,7, Catherine A Brownstein 2,3,7, Pankaj B Agrawal 2,3,7,8, Susan Kornetsky 9, Annapurna Poduri 3,4,5, Scott B Snapper 3,6, Alan H Beggs 2,3,7, Timothy W Yu 2,3,7, David A Williams 3,10, Piotr Sliz
Children’s rare disease cohorts: an integrative research and clinical genomics initiative
NPJ Genom Med. 2020 Jul 6;5:29. 
(85)
Andrew Vanlallawma, Doris Lallawmzuali, Jeremy L. Pautu, Vinod Scaria, Sridhar Sivasubbu & Nachimuthu Senthil Kumar
Whole exome sequencing of pediatric leukemia reveals a novel InDel within FLT-3 gene in AML patient from Mizo tribal population, Northeast India
BMC Genomic Data volume 23, Article number: 23 (2022) 
(86)
Shilu Zhang, Saptarshi Pyne, Stefan Pietrzak, Spencer Halberg, Sunnie Grace McCalla, Alireza Fotuhi Siahpirani, Rupa Sridharan & Sushmita Roy
Inference of cell type-specific gene regulatory networks on cell lineages from single cell omic datasets
Nature Communications volume 14, Article number: 3064 (2023)
(87)
Elior Rahmani, Regev Schweiger, Brooke Rhead, Lindsey A. Criswell, Lisa F. Barcellos, Eleazar Eskin, Saharon Rosset, Sriram Sankararaman & Eran Halperin 
Cell-type-specific resolution epigenetics without the need for cell sorting or single-cell biology
Nature Communications volume 10, Article number: 3417 (2019) 
(88)
Stanislav Tsitkov, Kelsey Valentine, Velina Kozareva, Aneesh Donde, Aaron Frank, Susan Lei, the Answer ALS Consortium, Jennifer E. Van Eyk, Steve Finkbeiner, Jeffrey D. Rothstein, Leslie M. Thompson, Dhruv Sareen, Clive N. Svendsen & Ernest Fraenkel
Disease related changes in ATAC-seq of iPSC-derived motor neuron lines from ALS patients and controls
Nature Communications volume 15, Article number: 3606 (2024)
(89)
Oliver J. Ziff, Jacob Neeves, Jamie Mitchell, Giulia Tyzack, Carlos Martinez-Ruiz, Raphaelle Luisier, Anob M. Chakrabarti, Nicholas McGranahan, Kevin Litchfield, Simon J. Boulton, Ammar Al-Chalabi, Gavin Kelly, Jack Humphrey & Rickie Patani
Integrated transcriptome landscape of ALS identifies genome instability linked to TDP-43 pathology
Nature Communications volume 14, Article number: 2176 (2023) 
(90)
Justin You 1ORCID,Mohieldin M. M. Youssef 1ORCID,Jhune Rizsan Santos 1,2ORCID,Jooyun Lee 1,2ORCID andJeehye Park 1,2,*ORCID
Microglia and Astrocytes in Amyotrophic Lateral Sclerosis: Disease-Associated States, Pathological Roles, and Therapeutic Potential
Biology 2023, 12(10), 1307
(91)
Donald B. Kohn, Yvonne Y. Chen & Melissa J. Spencer 
Successes and challenges in clinical gene therapy
Gene Therapy volume 30, pages738–746 (2023)
(92)
Duc M. Hoang, Phuong T. Pham, Trung Q. Bach, Anh T. L. Ngo, Quyen T. Nguyen, Trang T. K. Phan, Giang H. Nguyen, Phuong T. T. Le, Van T. Hoang, Nicholas R. Forsyth, Michael Heke & Liem Thanh Nguyen 
Stem cell-based therapy for human diseases
Signal Transduction and Targeted Therapy volume 7, Article number: 272 (2022) 
(93)
Dan Wang, Phillip W. L. Tai & Guangping Gao
Adeno-associated virus vector as a platform for gene therapy delivery
Nature Reviews Drug Discovery volume 18, pages358–378 (2019)
(94)
Emil Uffelmann, Qin Qin Huang, Nchangwi Syntia Munung, Jantina de Vries, Yukinori Okada, Alicia R. Martin, Hilary C. Martin, Tuuli Lappalainen & Danielle Posthuma
Genome-wide association studies
Nature Reviews Methods Primers volume 1, Article number: 59 (2021) 
(95)
Dong Feng Chen & Susumu Tonegawa 
Why do mature CNS neurons of mammals fail to re-establish connections following injury–functions of Bcl-2
Cell Death & Differentiation volume 5, pages816–822 (1998)
(96)
Eloise Hudry , Luk H. Vandenberghe
Therapeutic AAV Gene Transfer to the Nervous System: A Clinical Reality
Neuron vol.101 839-862 (2019)
(97)
Julia C Liu 1, Paul H Lerou 2, Galit Lahav 1
Stem cells: Balancing resistance and sensitivity to DNA damage
Trends Cell Biol. 2014 Apr 7;24(5):268–274
(98)
File:Hematopoietic and stromal cell differentiation.jpg
(99)
Shoujun Chen 1, Michael J Mienaltowski 1,a, David E Birk 1,*
Regulation of Corneal Stroma Extracellular Matrix Assembly
Exp Eye Res. 2015 Apr;133:69–80
(100)
Mariusz Z Ratajczak 
Circulating stem cells in physiology and pathology - recent studies published in Stem Cell Reviews and Reports
Stem Cell Rev. 2018 Oct;14(5):627–628.
(101)
Meng Kou, Li Huang, Jinjuan Yang, Zhixin Chiang, Shaoxiang Chen, Jie Liu, Liyan Guo, Xiaoxian Zhang, Xiaoya Zhou, Xiang Xu, Xiaomei Yan, Yan Wang, Jinqiu Zhang, Aimin Xu, Hung-fat Tse & Qizhou Lian
Mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles for immunomodulation and regeneration: a next generation therapeutic tool?
Cell Death & Disease volume 13, Article number: 580 (2022)
(102)
Elżbieta Karnas 1,*, Patrycja Dudek 1, Ewa K Zuba-Surma 1,
Stem cell- derived extracellular vesicles as new tools in regenerative medicine - Immunomodulatory role and future perspectives
Front Immunol. 2023 Jan 24;14:1120175.


 

0 コメント:

コメントを投稿

 
;