小児脳腫瘍を含めて小児がんは
高齢になって好発するがんとは別の病気。
このように捉えられることもありますが、
広義に考えると「がん」は「がんそのもの」であり、
小児がんも高齢で好発する肺がん、大腸がん
あるいは女性で好発する乳がんなど
罹患率が高いがんも基本的には一定の類似性があると思われます。
特にがん化の根源的な要素である
遺伝子構造について突き詰めていくと
その共通性が浮かび上がります。
ただ、子どものがんは
非常に高度に守られている中でも
顕性がんを発症するだけのエネルギーがありますから、
遺伝子的な観点も含めて
一般的には悪性度が高いと推定することができます。
この推論は正しくない可能性がありますが、
例えば、低年齢のマウスの一定数の癌細胞を
高齢のマウスに移植したら、どういうことが起こるか?
その実験をすれば
私のこの仮説を一定、検証できることになります。
クロモスリプシス
(Chromothripsis,or Chromosomal shattering)
(以下、染色体粉砕)は
染色体がバラバラに分解されて、
あるいは一部の構造が顕著に壊れる
すなわち少なくとも数十〜数千箇所にも及ぶ崩壊が起きて、
その後、(少なくとも一部)は修復されて、再構築されますが、
その修復は当然、複雑な染色体構造をコピーできず、
多くの構造的変異を残す現象です(1:Fig.1a)。
染色体粉砕は遺伝子的不安定性(構造不安定性)の極限の形式であり
おおよそ癌の30-50%で検出されます(1)。
ただし、この癌の30-50%という統計が、
細胞数におおよそ基づくのか?
それともそれが少しでも存在する個体の割合なのか?
それについてははっきりわかりません。
染色体粉砕を引き起こす物理的、化学的、生物学的メカニズムは
以下のように分類されますが、
基本的には一般的に生じる遺伝子変異の延長線上ある。
このように捉えることができます。
- 機械的ストレス(Mechanical Stress)
- 細胞分裂の異常
- 細胞骨格の歪み
- 流体力学的ストレス(血流や圧力)
- 酸素欠乏や栄養不足(環境ストレス)
- 細胞内、細胞核内への異物の侵入
- 高エネルギー放射線ストレス
- 酸化ストレス(Oxidative Stress)
- DNA修復機構の欠陥
- DNA損傷、修復機能を障害する化学的ストレス(抗がん剤を含む)
- 代謝ストレス(乳酸の蓄積など)
- テロメアの短縮と不安定性
- 核膜の崩壊(Nuclear Envelope Rupture)
- 異常な再複製(Replication Stress)
これら多様な原因が考えられます。
そもそも遺伝子構造、その組み合わせが守られながら
染色体の数を何兆個以上も増やしていくことができる
一つの本質的な理由は
DNAには
DNAの4つの塩基
- アデニン (A)
- チミン (T)
- グアニン (G)
- シトシン (C)
これら4つの塩基対があり
塩基対の組み合わせが構造的に以下に決まっているからです。
アデニン (A) - チミン (T):2本の水素結合で結ばれる。
グアニン (G) - シトシン (C):3本の水素結合で結ばれる。
そうすると
基本的には5'(5プライム)末端 と 3'(3プライム)末端において
原理的には片方の末端だけあれば、
それで自動的に結合する塩基が決まりますから
遺伝子構造の評価としての識別は片方の情報で事足ります。
遺伝子複製の最も本質的な事の1つ。
この塩基対で結合している
5'(5プライム)末端 と 3'(3プライム)末端の結合が外れ
それぞれに対して一義的に決まる他方の末端が結合することによって
DNAが分岐され、
それぞれ5'-3' あるいは3'-5'。
これら同じ構造の2つのDNAが形成されます(2:Figure 1)。
すなわち、片方の情報で事足りることが
プライム末端が独立して分岐して
2つのDNAコーディング構造を作ることに貢献します。
これは遺伝子構造の情報としての冗長性(Redundancy)。
これが可能にする産物です。
この冗長性は遺伝子修復にも生かされます。
上述した遺伝子的なストレスによって
コーディング領域の一部が壊れても
5プライム末端 と 3プライム末端どちらかの
構造(の一部)が残っていれば、
それに基づいて構造を修復して、
任意の決まってくる塩基対を生成することができます。
それによって遺伝子コードは守られます。
こうした遺伝子構造の情報としての冗長性は
一本の染色体、もっといえば2つのプライム末端だけではなく
相同となる染色体ペアによっても発揮されます。
ヒトのDNA配列は、非常に高い類似性を持っています。
ヒトの全ゲノムは約30億塩基対から構成されていますが、
その99.9%以上がほぼ同じです。
しかし、残りの0.1%(およそ300万塩基対)は個人間で異なり、
これが遺伝的な多様性を生み出します。
従って、染色体構造の一部を失ったとしても
ほとんどの配列が同じペアの染色体をテンプレートして
失われた遺伝子構造を修復することが可能です。
これを「相同組み換えによる修復」と呼びます。
従って、人の遺伝子は
非常に高い冗長性を有し、
それによって遺伝子構造の配列は修復を含めて
高度に守られているといえます。
ただし、遺伝子粉砕のように
場合によっては染色体構造がバラバラに粉砕されるか、
一気の多くのDNA構造が変化してしまうと
もはや、もともとが持つ遺伝子構造の情報としての冗長性が
担保する修復能力を超越した破壊となってしまいます。
そうすると
原理的に元のその人が遺伝的に受け継いだ
染色体構造、その中に含まれるDNA配列を再現することは
その細胞において永続的に不可能となってしまいます。
この染色体粉砕が
頻繁に分裂する成熟細胞の一部であれば、
代謝回転によって消滅し、除去されますが、
未分化の幹細胞や寿命の長い細胞で
染色体粉砕が残ると
もはや原型をとどめることがない染色体構造に
基づいた異常なたんぱく質生成が
体の中の細胞で続くことになります。
これは癌に限らず、生命活動を
場合によっては脅かす可能性があります。
遺伝子粉砕が起こりやすいかどうかは
それよりも軽い程度での構造変化である
単一を含む遺伝子変異が起こりやすいかどうかの延長線上にある。
このように考えることができます。
- 構造的な遺伝子安定性
- 遺伝子修復能力
- 選択的細胞死
- 遺伝子構造の位置安定性
- 染色体構造の独立性
- 染色体構造の適正配置
これらなどの機能が構造変化に対する強靭性に関わりますが、
10代後半から好発する骨肉腫が
非常に遺伝子粉砕の確率が高くなっているため(1:Fig.2)、
本質的には細胞分裂頻度。
これが最も強く遺伝子的な構造変化を誘導する
遺伝子粉砕確率に律速する因子である可能性があります。
なぜなら、この年齢の骨は
身長が伸びる成長期ですから
細胞分裂頻度が極めて高いからです。
細胞分裂したら遺伝子の端の構造は変わるし、短くなるし、
それだけ多くの遺伝子、染色体構造を
細胞内で合成する必要があります。
こうした構造変異ストレスは
生物、人の適応として構造ミスが入らないように
あるいはミスが入っても修復するように
あるいは修復できなければ、排除できるような
冗長な保護システムがあると考えられますが、
こうした機能に対して
先天的、後天的に不全が多因子で入ると
若い人であっても、癌になるということです。
そうした癌は、活発な細胞増殖を受けて
どんどん染色体構造を不可逆的に破壊していく力を有します。
骨肉腫の癌細胞自体は非常に悪性度が高いので
こうした癌が肺などに転移すると非常に予後が悪くなります。
これは、もともと骨という組織が
この年齢では成長する組織であるので
癌細胞以外の免疫系、骨系細胞、細胞外マトリックスが
協調的にがんに対する抑制機能を持っていても不思議ではありません。
なぜなら、急速に成長するため
組織が癌化するリスクが高いからです。
そうした癌化ストレスへの対抗性は
癌化する細胞内だけにおそらくとどまるものではありません。
例えば、骨は硬く、細胞外マトリックスがあるので
癌細胞の増殖を機械的に防ぐかもしれません。
実際に骨膜が癌の進行を抑えたという報告もあります(3)。
他の例では、
骨髄には豊富な免疫細胞がありますから
骨の腫瘍組織に対しては強く免疫機能が働くかもしれません。
骨の免疫(Osteoimmunology)の研究がありますが(4)、
骨の免疫機能が他の組織に比べて強いかどうかは
明らかではありません。
骨肉腫が生じたとしても
それが骨にある限りにおいては
一定の強い抗がん作用が体の自然な機序で働く可能性がありますが、
そうした悪性度の強い癌細胞が
循環器に乗って、
そうした癌抑制性のバックグラウンドが
骨のシステムよりも弱いかもしれない
肺などに転移すると
非常に厄介なことになるということです。
実際に転移が生じた場合の5年生存率は
好発年齢が若くて体が強いにもかかわらず、
約20-30%となります(5)。
上述したように細胞分裂は染色体粉砕リスクの一つですが、
こうした細胞分裂時に染色体粉砕を起こすメカニズムの一つが
細胞分裂時に娘細胞に適切な細胞核に配置されず
Micronuclei(微小核)に隔離されることにあります(1)。
隔離された染色体は細胞質内で細胞核とは独立した
小胞として存在するため、
元の細胞核に戻るのは難しく、
染色体そのもののタンパク質生成機能が失われます。
そうすると完全な機能を持った細胞核での
異倍数性、相同性修復喪失が生じ、
その後の染色体構造の壊滅的な変化、
すなわち、染色体粉砕が生じやすくなる可能性があります。
なぜなら、染色体の構造保持機能の一部が
相同な染色体構造が失われることで喪失するからです。
あるいは微小核は体積が小さいため(8;Fig.1)
その微小核の膜に染色体が収納されると
物理的圧縮ストレスを受けやすくなり、
それによって機械的に染色体構造が破壊されることがあります。
これがecDNAと関連しているかもしれません。
上述したように、微小核は娘細胞において
細胞核と独立した形で形成されるため(8;Fig.1)、
そのような染色体の配置ミスが生じると
微小核ではRNAを合成する能力はありませんから、
その染色体がコードするたんぱく質生成能力を失うことになります。
上で記述したように、
こうした細胞分裂後の娘細胞での
染色体のミス配置は
おそらく癌細胞で頻繁に確認される
Extrachromosomal DNA(ecDNA)(11)の原因の一つである。
このように推定することができます。
実際にこのような解釈は存在します(1)。
癌においては、原因となる遺伝子変異は
限定的な遺伝子が決定的な素因となっている。
このような観点もあります。
例えば、
乳がんでは80%の割合で11番染色体と17番染色体において
大幅に遺伝子変異が生じる遺伝子粉砕が起きているといわれています(1)。
このうち、17番染色体は
- TP53(17p13.1)
- BRCA1(17q21)
- ERBB2(HER2/neu)(17q12)
- TOP2A(17q21-q22)
これらなど乳がんと関連性が高いリスク遺伝子があるため
17番染色体粉砕が特に素因として高いかもしれません。
染色体粉砕の定義は(1:Fig.1a)のように
全体バラバラになることが必ずしも当てはまらず、
数百という遺伝子構造が一気に壊れる
染色体構造全体で見たときの部分的な崩壊も含まれます。
そうした崩壊が
小児脳腫瘍も含めてリスク遺伝子で生じたとき
(例えば、Diffuse Midline Glioma (DMG) 染色体3p)
癌化のリスクが高くなりますが、
人の染色体内のDNA全てが
細胞の機能に直結しているか不明です。
機能的な遺伝子の割合は9-80%と
かなり評価に偏差があります(7)。
想定よりも多くの遺伝子が余剰遺伝子として存在し、
直接的な細胞の機能に大きな影響を与えていないとしたら
ランダムに生じるかもしれない
染色体粉砕が細胞内で確認されても
それが必ずしも細胞の機能不全につながるかわかりません。
普通に材料の特性を考えると
すでに3次元構造ととして安定している染色体の
3次元構造が破壊される確率よりも、
その染色体をコピーして
新たに合成するときのほうが
構造破壊が生じやすいと考えて自然です。
(9:Figure 1)で示されるように
染色体を収納する細胞核膜は内側から
おおよそ細胞核膜の方向と一致する形で(平行方向に)
ラミン結合タンパク質(Lamin-binding protein)。
これを介して
メッシュ状に構成される
核ラミナによって構造的に支持されています。
また、細胞核にも細胞質のように
細胞骨格が存在し、
染色体、クロマチン、ヒストン、DNAの足場を提供しています。
- 核内アクチン(Nuclear Actin)
- スペクトリン(Spectrin)
- 核マトリックスタンパク質(Nuclear Matrix Proteins)
- SMCタンパク質(Structural Maintenance of Chromosomes)
- Emerin
- Nesprin
- Fibrillarin
- Nucleophosmin
- クロマチンリモデリング複合体
こららがあります。
上述したように
核ラミナは核膜を内側から保護し、
細胞核のフック弾性(伸縮できる能力)を確保している。
このように推定されます。
実際には、
細胞核は非常に高密度で
染色体構造で埋め尽くされているようです(10)。
従って、染色体の3次元構造は
このように細胞核内の空間占有率が高いとすると、
細胞核の形、弾性特性に密接に影響を受けるということです。
従って、細胞核膜や核ラミナ、
それをつなぐ結合タンパク質の機能は
染色体3次元構造の動性に密接に影響すると考えられます。
おそらく、最も構造的に欠陥が入りやすいと考えられる
染色体を複製するときには
その複製材料を合成する重合体化酵素(ポリメラーゼ)も
もちろん基本的に重要ですが、
幾何構造的な観点では、
染色体の構造が完全ではなくても
位置的に安定して存在することが
正確に複製するうえで、一つの重要な因子になる可能性があります。
染色体の端の構造、すなわちテロメアが短くなると
染色体の3次元構造の安定性は低下しますが、
安定性が低下するというのは
3次元構造の時間的な位置変化の大きさ。
このように言い換えることもできるので、
こうした位置変化がコピーするときに
構造的な欠陥をもたらすと考えることもできます。
だからこそ
高齢になってテロメアが短くなると
細胞分裂したときにDNA構造欠陥が入りやすい。
このような結果が生じると推定することができます。
前述したように
染色体の3次元構造の位置偏差は
ミクロには端の構造の安定性が寄与すると考えられますが、
より巨視的には、染色体3次構造の安定化のためには、
細胞核膜の形状が安定していることが求められるはずです。
極端に言えば、
細胞核膜の一部が顕著に凹んでいると
その領域の染色体は強く核内で圧縮されることになります。
それが遺伝子発現だけではなく
より深刻にはコピーするときの構造ミスにつながる事が懸念されます。
細胞分裂するときに
分裂した染色体構造の端の構造が正確に分離されることが
娘細胞の染色体構造の安定性、健全性を確保するうえで極めて重要です。
二重重心染色体は、通常、非相同の染色体や姉妹染色分体(sister chromatids)が端同士で融合することによって形成されます(1)。
この二重重心染色体が形成されると
染色体橋(Chromosome bridge)が形成され、
有糸分裂の際に空間的に染色体同士が引き放されたときに
このブリッジ構造が糸を引くように
離れた構造同士をつなぐ働きをします。
さらに、それに引きずられる形で核膜も引き延ばされます。
やがて、空間的に娘細胞がさらに離れ、
機械的限界に達するとこの架橋構造は引きちぎられます(1:Fig.3b)。
そうすると切断後の両側の染色体構造の端の構造が
引きちぎられた断面が一番端の構造となるため
端の構造の健全性がともに失われることになります。
核膜の脂質膜構造も同様です。
こうした端の構造が崩れることは
娘細胞の該当する染色体構造の顕著な不安定性につながります。
このように
染色体橋が形成されたり、
あるいは分裂時に微小核が生じると
娘細胞における核膜の形成に異常が生じます。
核膜は細胞質と細胞核の物質の交換に関わる空孔
「核膜孔複合体(nuclear pore complex、NPC)」。
これを多く含みますが、
上述した染色体の分裂時に異常が生じることによって
核膜の構造に異常が生じ、
この核膜孔の密度が減少することが確認されています(12)。
おそらく染色体の端同士が結合しやすくなるというのは
染色体端の結合活性のあるドメインが多く露出している状態であると
そういったことが物理的に起こりやすいと考えて自然です。
染色体端にテロメアにシェルタリン複合体が
高密度で存在したときには
染色体端の構造が高度に折りたたまれていることが
確認されています(13:Graphical Abstract)。
このいわばクローズド配座が
染色体端の結合活性を下げ、構造的に安定化させる、
染色体構造の独立性を保証する働きがあると考えられるため、
有糸分裂するときの二重重心染色体の発生確率
下げる可能性があります。
従って、私が大阪大学、慶応義塾大学に委譲する
「体内長寿命物質研究」。
これの中で一つの重要項目である
染色体構造の安定性。
その中で重要な端の構造の研究。
さらに、端の構造安定性を担保するシェルタリン複合体。
このシェルタリン複合体の完全性、非完全性は
私が注力する
非、稀細胞分裂細胞において特に重要な事だけではなく、
頻繁に細胞分裂する癌化リスクの高い上皮細胞においても
分裂後の娘細胞の
染色体構造の異常、それを包囲する核膜の異常。
これらへの影響を研究し、
その健全性を高めるための治療を創案することにおいても
非常に重要な意義を持ちます。
細胞核膜を内側からメッシュ状で保護する
核ラミナは
ラミンA,B,Cと分類されますが、
これらの代謝回転、寿命を調べることは極めて重要です。
特に非、稀細胞分裂細胞において
こうした物質の寿命、安定性、交換頻度は
ラミン依存的な核膜構造の安定化のための
人為的介入、医療に関わります。
例えば
頻繁に入れ替わるのであれば、
構造的に安定な核ラミナ(ラミン)を
生体外で生成して
それを核膜内側に輸送することで
核膜の構造の安定性、弾性を
長期的に、安定に保証することができれば、
上述したように
非、稀細胞分裂細胞の健全性に
大きく寄与する可能性があります。
ただ、代謝回転して交換することが
前提としてある場合、
そうした交換を前提とした環境が築かれている可能性があるため
その中で核ラミナたんぱく質の
自然な需要と供給のバランスを崩す可能性もあります。
上述したように
二重重心染色体は、通常、非相同の染色体や姉妹染色分体(sister chromatids)が端同士で融合することによって形成されます。
このように(相同も含めて)染色体の端同士が結合することが
細胞分裂以外にも、あるいは
非、稀分裂細胞において
遺伝子発現、修復、構造安定性にどのような影響をもたらすか?
それについての研究は少なくとも黎明期です。
これについても大阪大学、慶応義塾大学に
研究対象検討項目として提案します。
このような端での染色体の複合体化は
シェルタリン複合体の重要性を浮き彫りにするからです。
染色体が微小核を作らずに娘細胞において
一つの細胞核内に正しく収まることが
細胞分裂の健全性、遺伝子特性の継承において重要です。
このように分裂時に染色体の一部において
空間的配置に逸脱が生じ、微小核を形成して
その染色体の機能の喪失につながる原因は
- 親細胞での染色体の適切配置
- 親細胞での染色体構造の独立性
これらが関わっている可能性があります。
従って、親細胞において
核膜、核ラミナの構造において
弾性に富む形で細胞核の形状を高度に保持し
各染色体の適正な配置を担保することと
各、染色体において特に複合体化の原因となる
染色体の端の構造をシェルタリン複合体において
3次元構造を圧縮し、不活性にしておくことが重要です。
小児がんも含めて、癌が顕性、
すなわち、癌、悪性新生物、悪性腫瘍の所見がある
状態に発展するまでには
段階的な腫瘍組織に発展があります(14:Figure 1)。
こうしたモデルは「組織レベル」ですが、
「単一細胞レベル」でも当てはまります。
すなわち、
主に染色体の遺伝子の段階的な変化です。
しかし、染色体粉砕は癌リスク遺伝子座で生じれば、
その変化は段階的ではなく、一気に進む可能性があります。
すなわち、数回程度の細胞分裂で(15)
その細胞が一気に顕らわな様式で癌化するということです。
染色体粉砕は小児がんに限らず
いくつかの癌腫で50%以上の割合でみられますが(15)、
これは、人の様々な癌抑制機能を突破して
顕性がんに進行するためには
細胞レベルでは染色体粉砕のように
大胆な変化が駆動因子として多くの場合必要と考えることもできます。
上述したように染色体粉砕が生じると
構造が分解されたDNAを含む複合構造体が
完全な染色体構造とは独立した様式で
細胞核内に放出されます(16,17)。
こうした染色体外の
Extrachromosomal DNAをecDNAと呼びます。
細胞核内にあるecDNAは染色体構造よりも
構造的に不安定であると考えられるので、
総体的にみれば
DNA構造の露出度は高いと考えられます(18)。
その中でタンパク質コード領域が含まれれば
一般的にその遺伝子発現活性は高いと考えて自然です。
少なくともこのような部分的な背景から
癌におけるecDNAの働きが着目されます(16)。
ecDNAは染色体の破片でもあるので、
どれくらい構造として分断されているかは程度があります。
- 染色体の長腕と短腕の交差部分であるセントロメアがない
- 染色体の端のテロメアがない
これらの(一部)環状構造をとるDNAが細胞核内に存在し、
その大きさは100kb - 数Mbです(16)。
こうした環状構造を作りやすい理由は
細胞内の自然な機序としての修復機能に一部依存する
と考えられます。すなわち
- 非相同末端結合(NHEJ)
- 代替的末端結合(alt-EJ)
これらがDNA末端の相同性に依存せずに再結合を行うため、
DNAの端の構造がつながりやすく
結果として環状構造をとると考えられます(16:Fig.2)。
こうした環状構造をとると、
完全な染色体構造と比較して、
エンハンサーとの空間的距離が径の小さい閉経路を作ることで
小さくなります。バイパス(短絡)されるので(16:Fig.1c)、
このようなシス因子によっても
遺伝子発現が高まる可能性があります。
また、こうした環状構造は
容易に他の同じ環状構造を持つecDNAと相互作用するので(16;Fig.1D)
そうしたトランス因子によっても
エンハンサーとDNAコーディング領域が相互作用し
遺伝子発現が強化される可能性があります。
染色体の一部が分断されると
一部、崩壊した構造が細胞の自然な適応として修復されるため
不完全なDNAのコピー数が増えると考えられます。
そうするとそのコードのたんぱく質発現量が増えます。
実際にがん遺伝子の発現が増強されたことは確認されています(19)。
さらに、放出されたecDNAは
染色体構造のように完全な構造ではありませんから
構造的に損傷しやすいと考えられます。
こうした遺伝子からたんぱく質発現される場合、
そのタンパク質には構造的な変異が入りやすいと推定されます。
ただ、環状のecDNAも含めて
完全な染色体構造内のDNAに比べて
- 変異が入りやすいこと
- 修復機能が働きにくいこと
こうした研究は、少なくともまだ十分ではありません。
染色体粉砕などによって、ecDNAを含む染色体の破片が
細胞核内に放出されると、
その細胞でのたんぱく質発現への影響だけではなく、
その破片がある状態で細胞分裂すると、
娘細胞への影響が懸念されます。
セントロメアはキネトコアを形成し、
キネトコアが微小管(紡錘糸)と結合し、
分裂の際の染色体の導線となるので
このセントロメアがないecDNAを含む構造は
細胞分裂の際、ランダムに配置されてしまいます(16,20)。
他方で
テロメアがないと容易に末端で複合体化し、
さらなる構造的な破壊につながる可能性もあります。
但し、紡錘糸とecDNAが結合しないわけではありません(16)。
その分子メカニズムははっきりわかっていません(16)。
細胞内のたんぱく質はオートファジーの機序で
分解、消化され、適正なたんぱく質量が調整されていますが、
細胞核内にあるecDNAも
一定割合、通常細胞でも生じるとすると
それが分解されず、どんどん蓄積していくだけではなく、
細胞核内で小片に分解され、核膜孔を通じて
細胞質に排出され、量が調整される機能があるかもしれません。
ただ、「ecDNA metabolism」というキーワードで
論文検索する限り、一致度の高い科学論文、研究は
まだ存在しませんでした。
しかし、
娘細胞における微小核の形成は
ecDNAの排除の重要なメカニズムかもしれません(16)。
免疫機能も含めて、ecDNA排除のメカニズムは
すでに考察されています(16)。
こうした遺伝子粉砕につながる物質は
ウィルス感染など外因的な要素によって生じる可能性もあります。
以下は、その具体的な情報です。
1- ヒトパピローマウイルス(HPV)
HPVのE6およびE7タンパク質は、
染色体が正しく並ばなかったり、
染色体が分裂中に遅れて移動したりする現象を引き起こします。
これにより、
紡錘体チェックポイント
(紡錘体の整列が完了するまで細胞分裂を進行させない制御)が緩み、
細胞が異常な分裂を行うことになります。
HPV-16 E6およびE7は、DNA損傷を引き起こすことが分かりました。
特に、E7は、リン酸化されたヒストンH2AXの核小体を増加させ、
DNA修復を促進する細胞周期チェックポイントを活性化させます。
このようなDNA損傷応答は、
細胞分裂中に染色体の安定性をさらに低下させ、
ゲノム不安定性を引き起こす要因となります(21)。
染色体構造の破壊、粉砕は、ecDNAを含めて
多くの断片を細胞質に生み出すリスクがあることや
当然、粉砕そのものによる
遺伝子発現の異常が生じること、
あるいは、
修復により、ecDNAが転写、翻訳能力を持てば
原理的にコピー数が増えるなど
細胞の機能を擾乱するかもしれない
いくつかの要素があるため、
特に、非、稀細胞分裂細胞種においては
染色体構造を高度に維持したい、保護したい。
このようなことが考えられます。
一般的に
高度に折りたたまれた構造は寿命が長いことから、
特に逆に構造を開くことを必要とする
コーディング領域ではなく、
遺伝子不安定性に関わる端の構造において、
高度な(あるいは適度な)折りたたみ構造、環状構造を形成し、
それを長期間維持することは大切になるかもしれません。
例えば、神経細胞ではたんぱく質病理が
様々な神経性疾患で生じます。
こうしたタンパク質の蓄積は、
細胞分裂しない神経細胞において
ecDNAが細胞核に蓄積されていることも一因かもしれません(22,23)。
こうした、染色体外のDNAがあることによって
コピー数が増え、たんぱく質が過剰に生成され
それが神経細胞のたんぱく質病理の素因の一つ
という推定です。
こういったことが現実として起こっている可能性があることから
上の染色体構造を3次元構造を最適化して
長期間維持することの重要性が示唆されます。
がん治療では度々、同一腫瘍組織内での
癌細胞の遺伝子形質異種性(intratumor heterogeneity)。
これが問題となります。
単一の薬理で癌細胞全てを細胞死に至らすことが難しいからです。
また、退縮に成功しても、再発した癌細胞は
従来の薬理に対して抵抗性を持つこともあります。
それが再発後の治療をより難しくしますが、
こうした癌細胞の遺伝子的形質の変化の軌跡を
「Tumor evolution」と呼びます。
特に悪性度の強い癌細胞は幹細胞化など、
一部、成熟度を逆行させたりしながら
頻繁に細胞分裂を繰り返しますが、
すでにこの記事で取り上げたように
そうした細胞の多くの細胞核に
- 染色体粉砕
- ecDNA
これらがみられる場合、娘細胞への遺伝子の継承が
非常に不安定となります。
これが、上述した腫瘍組織内の
癌細胞の遺伝子形質の偏差(intratumor heteorogeneity)。
これにつながる可能性があります(24)。
ecDNAはセントロメアを持たない場合もあり、
有糸分裂の際に微小管に安定して結合できない可能性もあり
娘細胞への分配はランダムになるかもしれない。
このように説明しましたが、
各ecDNAの娘細胞への分配はランダムではなく
ある程度、秩序だって分配されることが示されています(24)。
(Co-segragation)
従って、上の段落で述べた腫瘍組織内の遺伝子形質の異種性は
ecDNA起因でも生じると思われるものの、
想定よりは劇的に偏差しない可能性が示唆されます。
ecDNAも大きなものになればなるほど
DNAテロメアーゼなど周辺因子を含めた
染色体の機能を部分的に有することにになります。
従って、複製、分配がある程度、均等に行われることと
染色体同様の遺伝子選択圧があるということが示されています(24)。
ただし、ecDNAはコピー数を増やす傾向があると考えらえるため、
たんぱく質発現が増強しやすく、選択圧が働きやすいとされています。
例えば、
細胞分裂を促す遺伝子コード、
小児脳腫瘍であれば、
神経系細胞の未分化の状態を
より長く維持させるような遺伝子コードを含む染色体において、
その遺伝子コードを含む形で粉砕により分断されると
その遺伝子コードはコピー数増加によって増強されるし、
細胞分裂増強では、強い選択圧が働くため、
癌(腫瘍組織全体)の悪性度を高める可能性があります。
染色体粉砕は構造崩壊のパターンは無数にあると思われます。
多くの構造を残す場合には、
上述したように染色体が持つ機能を有することになりますが、
極端には非常に細かくバラバラになると、
もはや染色体の機能はほとんど喪失し、
その遺伝子の娘細胞への分配のランダム性は上がると思われます。
しかし、そうした分子量の小さな
染色体の破片が多くなると
細胞の適応として、微小核を作り
そうした小さな染色体の破片を
娘細胞のメインの細胞核から隔離するような
排除圧が働くかもしれません。
DNAは5'末端、3'末端の間に
アデニン (A) - チミン (T)
グアニン (G) - シトシン (C)
これらの結合を持ちます。
それらは水素結合なので決して強い結合ではありません。
DNAが外部から損傷を受けるときに
これらヌクレオチドの内部構造が壊れるよりも
この塩基対の水素結合部が外れて、
2本差が1本差に部分的になるほうが
おそらく物理的エネルギーが低くて実現するので
頻発すると思われます。
ecDNAでは3次元折りたたみ構造が緩み、
クロマチン、DNAアクセス性が高まっていると考えられるので
これら塩基対が損傷によって外れやすい状況になっていると想定されます。
そうすると1本鎖DNAが多く環境中にできます。
その1本鎖DNAができると
自然な細胞の適応として完全な2本鎖DNAとするために
一定の修復圧が働きます。
この時、複製は末端構造の端から順に合成されていき、
1本鎖に沿って、合成がどんどん進んでいきます。
すなわち、独立して他の部分で
端-ヌクレオチド連続構造を完成させてから
ドッキングさせるわけではありません。
常に、一方の1本差の塩基情報を参照しながら
適切な塩基を順に合成しないといけないので
当然、合成は1本鎖と接触して
あるいは近接したところで順に生じていきます。
一方で、アクセス性が高まったDNAにおいて
少なくともすべてが1本鎖ではなく
2本鎖の部分がありますが、
そうした部分において高い尾転写圧が働きます。
その転写の際にRNAを合成するわけですが、
その合成の時にも塩基対結合を一旦、合成の為解消して、
Rループを作ります。
このタイミングで1本鎖DNAが露出します。
修復と転写の2つの合成は
1本鎖DNAに沿って行われますから、
損傷を受けたDNAにおいて1本鎖と2本鎖が
同一の連続したecDNAにおいて混在している場合、
これらの修復、転写の合成が競合して、衝突することになります。
これらの衝突によって
物質合成が停止し、修復が遅延します(25)。
従って、1本鎖DNAが蓄積するため
環境では常に強い修復圧が働くことになります。
逆に言うとこうした強い修復メカニズムが
ecDNAの場合は完全な染色体と比べても多いことから、
この修復メカニズムを標的にすることができます。
その薬剤がCHK1 inhibitor, BBI-2779です。
CHK1というたんぱく質を
ecDNAは損傷修復のため必要とします(26)。
このように1本鎖DNAの修復に関わる物質は他にもあります。
- RECQファミリーのヘリカーゼ
-- WRN(Werner Syndrome helicase)
-- BLM(Bloom Syndrome helicase)
-- RECQ1
- PARP1(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ1)
- RAD51
- XRCC1
- DNAポリメラーゼ
- ATM(Ataxia Telangiectasia Mutated)
- RAD52
- Ku70/Ku80
- DNAリガーゼ
- Mre11-Rad50-Nbs1(MRN複合体)
- RPA(Replication Protein A)
- p53
- BRCA1/BRCA2
例えば、これらです。
ただ、こうしたDNA修復に関わる機能を抑制した場合、
より強い修復ストレスが入り、
上述した別の修復機構に関わる物質を亢進させて
細胞は適応しようとするかもしれません。
より、細胞死ストレスが抑制された
強い生存選択圧、ecDNAを持つがん細胞が残存する可能性があります。
従って、この治療を行う際には
その患者さんがコントロール可能な量になるまで
腫瘍組織を退縮させる必要があります。
一方で、上述したようにecDNAを
細胞核からどのように排除して、量を調節しているか?
その排除メカニズムがわかれば、
その排除圧を高めることで
絶対的なecDNAの量を減らせる可能性がありますが、
この場合も、そうした介入は
母体となる完全な染色体の構造粉砕を助長する可能性があり、
正味のecDNA量を人為的に減らすことに難しさがあるかもしれません。
これは癌治療において根本的なことです。
生命が地球上に誕生してから
数十憶年以上経過しています。
最初はおそらく1個の細胞から始まり、
植物、微生物、動物(人を含む)など
あらゆる細胞生物を考慮した
今、地球上に存在する細胞数は天文学的な数字です。
ヒト一人の中にも細胞は数兆個あるからです。
それだけ細胞が繁栄してきた理由は
結果として天文学的に増えて、生き残っているわけですから
細胞増殖圧 >> 細胞死圧
この不等式が多くの場合、成り立ってきたといえます。
そもそも残る癌細胞において、上述したような
細胞増殖圧 >> 細胞死圧
これが成立し、細胞増殖圧が強いからこそ
細胞死圧を高めるような治療を行ったとしても
組織に残るということになります。
こうした不等式の差がより大きければ
悪性度が高いし、
何度も進化することによって
より細胞死圧に強い癌細胞になる可能性もあります。
ただ、こうした進進行性が
必ずしも増殖圧を高める方向に行くか?
局所的、一時的なわけですから
成り立たないケースはあると思います。
ただ、
再発した顕性がんが治療が難しくなるという
一般的なケースを一部この簡略的な枠組みで
説明できる可能性があります。
確かに休眠(dormancy)という選択肢もありますが、
(なぜなら、寿命を延ばすことも繁栄につながるから)
一般的に、あるいは総体的には
進化の選択圧は細胞死圧を逃れるように進んでいくはずです。
そうしないとその細胞群は絶滅するからです。
おそらく生命が最初に誕生したときには
1個の細胞ができて、数が増え、消滅して、
また、1個の細胞ができて、数が増え、消滅して、、、
このような発生と絶滅の波があったかもしれません。
その時の細胞と比べると
今の人を含めた一つ一つの細胞は
それだけ多くの世代にわたって命をつないできたわけですから、
非常に環境的ストレスに対して
強い防御機構を備えていると想定されます。
逆に言えば
生命が誕生したときの細胞は非常に脆弱だったかもしれません。
こういったことが非常に限られた時間、空間でありますが、
個体内の癌細胞においても生じる可能性があります。
癌細胞も一旦は子孫への生命の伝達時に
細胞が1個の精子と卵子に収束しますから、
完全な実態としては消えることになりますが、
それでも、ずっと多細胞生物、人を悩ましてきた細胞であり、
それが世代を超えて繰り返し、共通的に生じるとなると
癌細胞もそれなりの生命力を保持しているといえます。
がん治療で最も大切なことの一つは
一番適応が生じていない最初の治療で
確実に腫瘍組織(癌細胞群)を消滅させることです。
すなわち、残存病変の評価と
それをほぼゼロにすることが大切になります(27,29)。
言い換えれば、
人の体という環境において
進化の選択圧を強制的に切るために
癌細胞を絶滅させるということです。
そのうえで、癌細胞を大量に短期間死滅したときの
物質拡散で起こる腫瘍崩壊症候群を管理することです(28,30)。
その管理方法は
- (外科的摘出)
- 利尿促進
- 水分補給
- 循環亢進
- 尿路温め、機械的刺激(超音波など)→結晶剥離
これらが挙げられます。
従って、
私が小児脳腫瘍の世界の死亡者数をゼロ。
これを将来的に本当に実現するためには
- 外科的摘出
- 放射線
- 超音波焼灼
- 細胞腫特異的薬物送達システム
- 抗体薬物複合体
- 分子標的治療
- 免疫的治療
- 遺伝子的治療
- 従来の抗がん剤
あらゆる方式で最適の治療を提供し
確実に癌細胞を初期の治療で消滅させることが求められます。
特に子供が命を脅かすような悪性度の高い癌細胞は
それが治療の後、残存し再発すると
さらに治療が難しくなる可能性があるため、
少なくともある程度強い細胞死ストレスが必要になります。
後遺症を配慮するとなると、
- 損傷しやすい部分を保護
- 癌細胞特異的送達
- 癌細胞特異的薬理利用
- 元来の子どもの多様な癌抑制機能の補助(免疫など)
- 外科的にできるだけ少なくする
これらなどの対策が必要です。
もう一つの癌治療の戦略としては
上述した進化の過程から考えるということです。
ヒト(ホモサピエンス)が20万年間。
これだけ生きてきた、繁栄した事実があります。
そのためには数万回子孫(出生率を考慮)を残す必要があります。
(実際は子孫は枝分かれするので、受精、出産回数は天文学的数字)
その必要条件は
- 生殖適正年齢まで生きる
- 生殖細胞の保護
これらが少なくとも求められるはずです。
これらは生命を脅かす深刻な疾患にならないような
防御機構がより高く働いているのではないか?
そういう推定も一定成り立ちます。
そうしたときに
- 適正年齢までの人の体のあらゆる細胞。
- 特に生殖細胞
- もっと大きなスケールでの協力機構
これらを徹底的に調べることの重要性が浮き彫りになります。
例えば、
これらの細胞の細胞核内の構造はどうなっているか?
遺伝子はどういった構造をとり、どのように保護されているか?
健康な子供の細胞間のコミュニケーションはどうなっているか?
あるいは、iPS細胞で細胞を多能性胚細胞まで
初期化したときに生じる細胞の変化。特に細胞核は?
そうした中で
癌抑制性を見つけて、
そうした生命が構築してきた自然な防御機構を
人為的に顕性がんになった少数の人たちに対して利用する。
特に、子どもや若い人の癌では
年齢が若いことには変わりないですから、
健康な子供が有しているような体の防御機構を理解して
それを治療に生かすことが重要になるかもしれません。
例えば、精子の細胞核は他の細胞とどのように違うでしょうか?
精子の核は非常に小さく、
クロマチン構造が非常に凝縮されているとされています。
このように高度に折りたたまれることで、
遺伝子が強固に守られているかもしれません。
例えば、
癌細胞では巨核化という現象が
小児脳腫瘍をはじめ、組織学的に多くみられます。
従って、細胞核を何らかの方法で
圧縮するような治療を行うという新たな戦略も浮かびます。
例えば、小さくなるような核ラミンを送達して、
核膜を機械的に圧縮するような治療が考えられます。
但し、卵子は細胞も成熟細胞よりも10倍大きく、
それに応じて細胞核も大きいとされています。
卵子は細胞分裂する必要があるからです。
癌細胞は細胞分裂させたくないですから
やはり、この点からも
巨核化を防ぎ、細胞核をコンパクトにする
外因的な介入が考えられます。
一部の癌においては、ecDNAの変異が
顕性がんの発症の主要な要因になっている可能性があります。
例えば、尿路上皮がんでは
顕性がんに発展するまでのクローナル分裂の中で
APOBEC酵素や顕性がんに発展した後に
化学療法によって形成される治療抵抗性などは
ecDNAが関与していることが示されました。
この治療抵抗性のおいて、
CCND1遺伝子の増幅は主にecDNA形成SV内で起こることがわかった。
このように報告されています(31)。
私が調べる限り、知る限りにおいて
まだ、研究は少なくとも黎明期にありますが
染色体粉砕を構造的観点で考えるうえで重要なことです。
遺伝子の構造は2重らせん構造であり、
5'末端、3'末端がそのらせんの導線となり、
その間にヌクレオチド、塩基対が存在します。
上述したように
塩基対は結合力の弱い水素結合で結びついています。
これが、環境に応じた柔軟な着脱を可能にしており、
転写などの際に結合が解消され
1本鎖のDNA塩基情報に従い、
RNAが合成され、転写が成立します。
一方で、こういった着脱能力は
外的ストレスで容易に結合が解消することを意味し、
その空間的隔離に引っ張られる形で
末端構造も機械的、あるいは化学的ストレスで
構造が破壊され、修復なしにおいて
永続的に鎖構造の1つを失うことで、
1本鎖構造が露出します。
ただ、この1本差領域が小さければ、
その1本鎖をテンプレートにすれば
細胞の修復機能によって比較的容易に
構造を再構成することができ、修復でき
染色体はある程度のレベルで可逆的に回復します。
しかしながら、上述したような
転写と修復の競合が生じて、
1本鎖の面積が大きくなってくると、
1本鎖で露出する時間が長くなります。
この1本鎖の状態では
残りの末端構造も不安定になることから
そのタイミングで強いストレスがかかると
もう一方の鎖構造も破壊され、
その遺伝子座の両方を完全に失ってしまいます。
これを「Double strand break」と呼びます。
こうしたDSRに対する修復機能もありますが(32)、
1本鎖が残った状態での修復機能よりも困難で
プロセスとして遅くなることから、
DNA、クロマチンの破壊が生じやすくなります。
言い換えるとDNA、ヒストン、クロマチン、染色体は
常に
「破壊」と「修復」
これらの均衡状態にあります。
もう一つの軸として「保持」があります。
こうした中で、「破壊」のストレスが高くなると
あるいはタイミングが悪く、
場所が重なることなど偶発的な要素によっても、
染色体構造はどんどん崩れていきます。
従って、
染色体粉砕は一気に生じるというよりも
段階的に生じ、破壊が修復や保持を上回り、
もはや可逆的な修復が不可能になった状態。
このように定義することもできます。
おそらく染色体の構造の完全性が失われれば
失われるほど、容易に破壊されるようになります。
ただ、一方で、細胞核が大きく変形するなど
外的ストレスが広範に一気に生じた場合には、
一気に構造が壊れる変化もあるかもしれません。
子供の細胞など、一般的に状態が良いものに関しては
染色体粉砕のために
こういった強いイベントが必要かもしれません。
上述したようにどういったプロセス、
構造的軌跡を描いて染色体粉砕が生じるのか?
破壊までの矢印が短絡されているケースが多く、
その研究はまだおそらく黎明期にあります。
上で述べたようにecDNAには一定の代謝回転があるかもしれない。
そのように仮説を立てました。
実際に
癌で確認されるようなMbサイズの大きなecDNAではなく
それよりも1000倍以上小さなサブkbサイズの小さなecDNA。
これは通常の細胞の恒常性の中で確認されます(33)。
確かにこれには合理性があります。
ecDNAの大きさはいわば染色体の損傷の証ですから
それが小さいものは
通常の細胞の恒常性の中で生じるような
損傷の一環であるといえます。
こうした小さなecDNAは娘細胞への分裂系統の中で
あるいは非、稀分裂細胞では
同じ細胞の時間発展の中で
一方的に蓄積されていくわけではなく、
- 微小核収納、
- 核膜孔からの排出
これらなどの代謝回転で必要とされるかもしれげnない
機能を有しているかもしれません。
放出されたDNAは一部、プリン体を含むため、
細胞外に放出され、循環器を回って
肝細胞で尿酸に変換され、
腎臓で仕分けされ、尿として排出する。
このような一連の排出プロセスが考えられます。
高齢の人に対して
- 活発な運動習慣のある人
- 座りがちの生活の人
これらにおいて循環器でのDNAの違いがみられた
という報告があります(34)。
興味深いのは
CaチャンネルであるITPR2に関わるDNA(35)が
運動習慣のある人に多く見られたということです(34:Figure 3)。
運動をすると骨格筋だけではなく
心臓の拍出、血管の収縮など
カルシウムの恒常性維持が重要になります。
従って、カルシウムイオンチャンネルの需要が多くなり、
結果として、そのチャンネルの遺伝子が
より多くの頻度でオープンとなり、
クロマチンアクセス性が高まっているから
より多くの機会でその遺伝子座が細胞から
ストレス損傷によって外れ、
修復されたり、ecDNAになり、
それが循環器に出ているとも推測できます。
ここから、上述したように
染色体から外れた少なくも小さな(kbレベル)DNAは
何らかの方法で細胞核から細胞質、循環器に放出されている
ということを示すものです。
但し、細胞死の産物が主かもしれません(33)。
一方で、
座りがちな人に顕著に増えていたのが
MMP-1を抑制するAGBL4です(34:Figure.3 / MMP-1との関連:35:3.6)。
MMP-1は骨格筋の細胞外マトリクスであるコラーゲンを分解する酵素で
成長、運動の時の筋線維のリモデリング、再構築において
重要な機能があります(36)。
従って、運動機会が低下すると
こうした酵素の需要が低下し、抑制機能がある
遺伝子が亢進され、その遺伝子の破片が循環器にでるということです。
これはすなわち、
eccDNAのレベルを循環器でみれば、
その遺伝子が高まっているということの痕跡を見れる可能性。
それを示すものです。
これは染色体粉砕、ecDNAと本質的に関連する
重要な事実を示す可能性があるものです。
ここからもかなり重要な話になります。
骨格筋は多核性の細胞です。
従って、細胞核が複数ありますから
それだけ染色体の数も多くなります。
骨格筋が頻繁に強く動かされると
一つとして、収縮に関わるカルシウムの調整の需要が多くなるため
カルシウムチャンネルの発現を亢進させることをします。
そうするとカルシウムチャンネルの発現に関わる
遺伝子座は頻繁にオープンになります。
そうすると裏の側面として
カルシウムチャンネルの遺伝子座が変異したり、
あるいは抜け落ちたりする可能性が高まります。
しかし、筋肉は頻繁に動かすことが前提とされているため
そうした変異のリスクは「多核性」。
すなわち染色体を多く用意することで
そうしたリスクを回避するシステムがあります。
ある程度、上限はあるにしても
筋肉に関しては、しっかり定期的に運動したほうがいい
このように言えると思います。
しかし、
同じ筋組織である平滑筋細胞は
細胞核が1つが一般的とされています。
興味深いのは心筋細胞で
心筋細胞は一部、双核性細胞であるとされています。
(おおよそ20-30%程度)。
ただ、骨格筋細胞よりは細胞核が平均的に少なく、
骨格筋のように頻繁な収縮運動が生じると
収縮に関わる遺伝子座が活性化され
それによるリスク(構造変化)耐性が弱いと考えられます。
だからこそ
循環器の高血圧が問題となります。
筋肉は肥大してもあまり問題とならないし、
頻繁な強い圧力に対して機能として強靭です。
言い換えると、非常に頻繁な収縮運動で
必要とされる遺伝子発現の亢進の裏側に存在する
変異のリスクを多核性とすることで分散しているということです。
その分散能力は
血管の収縮機能がある平滑筋にはほとんどない。
ということです。
従って、血管の収縮は機能として必要ですが、
その程度は、適度にしないといけません。
運動においても、血管に過度にストレスを与えることのないように
特に血管病理を持つ人や
高齢の方は気を付ける必要があります。
本当に、体は合理的に、良くできているということがわかります。
だからこそ、細胞一個の生命誕生から
今の繁栄した細胞の機能差の観点が私から出てきます。
生存のためのゲイン(利得)をとって、
その裏側にあるリスクは
他の多様な因子で分散、低減されるようになっています。
体(細胞)の多くのネットワークが様々なスケールで
細胞の生存にとってある一定で有利になるようにできています。
例えば、細胞核膜の内側の核ラミナの
メッシュ構造もその典型です。
小児脳腫瘍の世界でなくなる人をゼロにする。
この目標が無謀なことはわかっています。
でも、こういった生命が何億年もかけて築いてきた
フレームワークに触れると
その目標に近似させるための医療戦略が見えてきます。
これはその医療を実現するための社会でも当てはまるかもしれません。
ecDNAは端同士の構造が結合しやすく環状DNA(Circular DNA)。
これを作る傾向にあります。
この環状DNAはポリマーとして自己誘導(self-attraction)機能があることと(38)、
もともと、ヒストンなどのたんぱく質と
非常に密に結合する特性がありますから、
タンパク質との相互作用が強いと考えられます。
そうすると完全な染色体から独立した環状ecDNA
あるいは高度に不完全な染色体構造となった環状ecDNA。
これらは細胞核内で均等に分布するような
エントロピー増大の法則から逸脱し、
時間発展と共に凝集する過程をとります。
結果として、10、100の凝集状態(Condensation)をとります(33)。
そうするとシス因子以外の
トランス因子でのプロモーターによる
遺伝子発現増強が起こりやすくなります。
こうした凝集状態は2本鎖、二つとも構造が崩壊する
Double strand breakがecDNAにあると助長されます(33)。
遺伝子の複製が行われるS期であったり、
あるいは卵母細胞など
細胞分裂を前提としている細胞では
当然、遺伝子を増やす必要があるので、
その修復過程や付加的に合成した染色体を
一時的に収納するための付加的なスペースが必要です。
従って、
細胞分裂が活発な未分化の細胞
あるいは悪性度の高い癌細胞、
遺伝子複製周期にあるS期は
神経系細胞など細胞分裂しない成熟期に比べて
相対的に細胞核を拡張させる必要があります。
このような拡張期には
当然、遺伝子構造の変化や遺伝子同士の好ましくない結合。
これらなどが生じやすくなります。
もっとマクロにいえば、ヘテロクロマチン状態です。
ecDNAを含めて、こうした異なる遺伝子座の干渉は
癌で度々みられるfusion変異を説明します。
例えば、小児脳腫瘍の髄芽腫でも見られます(39)。
従って、遺伝子の機能としては
状況に応じて発現状態を変えたいということがあるので
構造的な弾性は当然必要となります。
それを巨視的に担保するのが
細胞核膜のフック弾性です。
それを支えるのは細胞核膜の脂質膜材料構成と
その内側に張り巡らされた核ラミナのフック弾性です。
ただ、染色体としては
相同な染色体も含めて、当然、非相同な染色体に対して
染色体ごと、構造的な独立性を保持したいということがあると思います。
また、同じ染色体内でもシス因子として
異なる遺伝子座において完全に固定的に結合状態を
形成したくないということがあると思います。
そのためには
遺伝子がヒストンに巻き付いたときに
その全体的な構造において表面を結合不活性状態にしたい
このことがあると思われますし、
そうしたヒストンに巻き付いた遺伝子を単位構造と見たとき
その単位構造の並びにおいて
3次元的に複雑に折りたたみたいということもあると思います。
しかし、折りたたんだ時に干渉しないようにもしたい。
それが非常に密集している状態が
いわば、非分裂細胞でみられる染色体の状態であり
そうしたことがすべてで生じていると
染色体は高度に密集し、
それに応じて細胞核も小さくていいということになります。
ただ、これは私の仮説であり、検証は必要です。
DNAが核膜孔を通じて、出入りすることが
ローダーを含めて、
一定の分子量以下でできるということになると
mRNAによるたんぱく質生成とは異なる様式で
遺伝子的治療ができるということになります。
癌抑制性のTP53をコードする
小さなecDNAを設計できれば、
すぐに変異は入るかもしれないけど
ある程度、娘細胞に伝承する形で
細胞の適切な細胞死を誘導できるかもしれません。
DNAの構造はphosphate-deoxyribose backone
(リン酸-デオキシリボース骨格)と呼ばれる
構造が3'~5'の方向に沿ってらせん構造を支える導線として存在します。
上述したように間の4種類のヌクレオチド構造は
弱い水素結合で結びついているため、結合が解消しやすいです。
ここの着脱が縦断だからこそ、
細胞分裂や転写の際にDNAやRNAをテンプレートに基づいて
合成することができます。
この裏側の側面として、意図しない形でも
結合が解消しやすく、
リン酸-デオキシリボース骨格同士が離れて、
漂うようになってしまいます。
しかし、DNAの損傷が決定的となるのは、
このリン酸-デオキシリボース骨格の構造が切断されたときです。
従って、DNAの損傷の大元を考える際には
このリン酸-デオキシリボース骨格の切断を考える必要があり、
この骨格のどこの結合が弱いかを特定することです。
結合が弱い部分は
リン酸基と酸素の間のホスホジエステル結合。
この部分です。
ただ、五員環構造とこのリン酸基の
単純な繰り返し構造なので
基本的に周期的に結合が解消しやすい部分が多数存在する。
ということです。
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小児がんを含む癌における染色体粉砕と波及効果、細胞生物構造遺伝子学の基礎
小児脳腫瘍治療の観点を含めた腫瘍崩壊症候群(Tumor lysis syndrome)
小児脳腫瘍をはじめ、
体の中にできた癌細胞が組織化し、
特に大きな腫瘍を形成した場合、
あるいは散在していても絶対的な癌細胞が多い場合、
外科などによって物理的に細胞を摘出する場合を除いて、
化学療法、放射線療法、
あるいは将来的に集束超音波による焼灼によって
癌細胞(腫瘍組織)を壊死させたとき、
大量の癌細胞内の物質が循環器に流れ出ることになります。
癌細胞内には通常と異なる物質成分がありますし、
通常ある物質であっても量が異なります。
それらが壊死によって一気に循環器に流れ出ますから、
少なくとも一時的に
体の中の特に循環器の物質のバランスが崩れる可能性があります(1)。
このようなことで引き起こされる症状を
腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)といいます。
具体的には以下の物質の上昇で
それぞれ体に悪影響を与えます。
- カリウム(Potassium)
血中カリウム濃度の上昇(高カリウム血症)により、
心電図異常、不整脈、最悪の場合心停止を引き起こす。
筋肉のけいれんや麻痺を誘発する可能性があります。
- リン酸 (Phosphate)
高リン血症によりカルシウムと結合して
低カルシウム血症を引き起こし、
筋肉けいれんや神経障害を誘発します。
カルシウムリン酸塩の沈着により、
腎不全のリスクを増加します。
カルシウム濃度が低下すると心臓にも影響を及ぼします。
左心室の収縮機能が低下する(1)ことで
血液の拍出能力が低下する
あるいは不整脈につながる(1)可能性があります。
上述した神経障害の中にはてんかん(seizures)が
主に含まれます(1)。
また、カルシウムは神経伝達を制御する
主要な因子の一つなので、
神経系の神経伝達に異常が出る可能性もあります。
高リン血症(Hyperphosphatemia)は
化学療法から24-48時間以内に生じ
以下の症状を呈することがあります。
- mental symptom: 精神症状
- Weakness: 筋力低下
- Cramps: 筋痙攣(けいれん)
- Hyperreflexia: 反射亢進
- Tetany: テタニー(筋けい縮)
- Renal failure: 腎不全
これらです(3)。
- 核酸由来物質 (尿酸: Uric acid)
高尿酸血症により腎臓で尿酸結晶が形成され、
急性腎不全を引き起こす可能性があります。
尿路閉塞のリスクがあります。
キサンチン蓄積も腎機能や
尿路を塞ぎ、激しい痛みや血尿を引き起こす可能性があります。
高尿酸血症(Hyperuricemia)は
化学療法から48-72時間後に生じます(3)。
高リン酸血症よりも1日程度遅れる理由は
核酸のプリン体から尿酸への肝臓での代謝過程がある
からであると考えられます。
従って、高尿酸血症は前駆状態で
高リン酸血症よりも介入の猶予があると考えることができます。
高尿酸血症によって生じることのある臨床症状は以下です(3)。
- Nausea: 吐き気
- Vomiting: 嘔吐
- Lethargy: 倦怠感(けんたいかん)
- Oliguria: 乏尿(ぼうにょう)
- Anuria: 無尿(むにょう)
- Anorexia: 食欲不振
- Hematuria: 血尿(けつにょう)
pHが5.0になるとになると、7.0に比べて
尿中の尿酸の溶解度が13倍低下するため(3:Table 2)、
結晶として析出しやすくなります。
尿酸は結晶とは関係のないメカニズムによって
も急性腎障害を引き起こす可能性があります。
これには、
- 腎血管収縮
- 自動調節の障害
- 腎血流の減少、酸化、および炎症
これらが含まれます(11)。
- 乳酸 (Lactic acid)
乳酸性アシドーシス(血液が酸性に傾く)のリスクがあります。
酸塩基平衡が崩れ、呼吸困難や臓器不全の原因となります。
- 細胞内酵素
ロクターゼ、プロテアーゼなどが
局所的な炎症や組織損傷を悪化させる可能性があります。
- サイトカイン (Cytokines)(11)
壊死した腫瘍細胞や周囲の癌微小環境
腫瘍組織中に浸潤した免疫細胞が放出します。
サイトカインストームを引き起こし、
全身性炎症反応症候群(SIRS)やショックを誘発する可能性があります。
特にインターロイキン-6(IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)。
これらが問題となります。
- 細胞膜由来の脂質 (Phospholipids, Lipid mediators)
壊れた腫瘍細胞膜由来の物質です。
血液中の脂質濃度上昇(脂質異常症)し、
炎症や血栓形成を助長する可能性があります。
- DNA/RNA フラグメント
血液中の遊離核酸として免疫系を活性化し、
炎症を引き起こす可能性があります。
自己免疫反応を誘発する可能性。
- 腫瘍特異的抗原
壊れた細胞から放出されるタンパク質があります。
免疫反応を引き起こし、
場合によっては自己免疫疾患のリスクを増加します。
さらにこれら物質を一部含む
癌細胞崩壊時に大量に放出される、
アポトーシス小体を含む細胞外小胞があります。
これらの一部は、マクロファージによって消化されますが、
この量があまりにも多いと
免疫的な活性を含め、
あるいは通常細胞への物質の取り込みを含む
体に悪影響を与える可能性があります。
例えば
細胞外小胞内の癌細胞由来のmicroRNA(miRNA)や転写因子が
正常細胞の遺伝子発現を調節し、
2次的な癌の進行や炎症性疾患を助長する可能性があります。
こうした物質の放出によって
体の中の
- イオンバランス(electrolyte balance)
- 代謝生成物バランス(metabolic balance)
これらが崩れ
- 急性腎傷害
- 不整脈
- (脳卒中やてんかんなどの)発作
- 多臓器不全
これらが生じ、死に至ることがあります。
実際に死に至るケースは稀ではありません。
アメリカの調査では腫瘍崩壊症候群に罹患した
患者さんの21%が命を落としたという報告があります(1)。
癌別でみると、この死亡率は過少評価されているかもしれません。
- 血液系悪性腫瘍(28 -59%)
- 膵臓癌および胆道癌(100%)
- 消化管間質腫瘍(67%)
- 肝細胞癌(58%)
- 大腸癌(54%)
- 胃癌(50%)
このような統計結果があります(1)。
従って、もし、私が小児脳腫瘍の内科的治療の効果を上げたら
この腫瘍崩壊症候群で子供の命を失うことになるかもしれません。
今までの外科的な摘出。
これも含めて、最適解を見つける必要があります。
当然、体の割合に対する腫瘍組織の大きさがリスクなりますから
体の小さな子供の特に脳腫瘍において
特に短期的に有効な治療、
すなわち、一気に腫瘍組織を崩壊させるような治療に至った場合、
壊死した大量の物質が循環器に短期的に流れることになるので
こうした体の中の物質バランスが崩れることによって
多様な臓器不全、あるいは後遺症につながる可能性もあります。
一般的には
子どもの場合、
体の表面積に対して 300g/m^2以上の
大きな腫瘍組織が存在する場合には
こうした腫瘍崩壊症候群が生じるリスクが上がるとされています(1)。
こうした過渡的な物質バランスの異常に対する処置としては
- どういった物質の量が異常になっているかの
評価、モニタリング(現状把握)
- 腎灌流を促すための水分補給(hydration):水で薄める
- 腎灌流を促すための利尿
これらによって特に異常値になっている物質の把握、
それに合わせた適切な処置、
また、迅速に物質バランスを回復させるために
体全体の循環、排出、灌流を促すことが挙げられます。
ただし、こうした処置を行っているときには
血圧、脈拍、呼吸、体温などのバイタルサインを
しっかり監視しながら行う必要があります。
例えば、尿酸値が顕著に上昇し、
腎臓、尿路閉塞のリスクが上がっているときには
- キサンチンオキシダーゼ阻害薬(Allopurinol)
- 尿酸オキシダーゼ酵素(Rasburicase)
これらによる医療介入も検討されます(1)。
小児脳腫瘍であれば、
その脳腫瘍が大きければ大きいほど、
子どもの脳組織が小さければ小さいほど、
その脳腫瘍を
内科的治療、放射線治療、焼灼(アブレーション)。
これらなどによって壊死させたときには、
それぞれの癌細胞や炎症性免疫細胞、
あるいは組織間質にある細胞外マトリックス
腫瘍によって形成された血管組織。
これらの細胞内、細胞外にある物質(その断片)が
その崩壊した組織から放出されます。
そうした物質の影響は
近くの脳組織により強く影響を与えることになります。
イオンバランスの変化によって
浸透圧が変化し、浮腫が生じる可能性もあります。
こうした浮腫は
当然、脳腫瘍の場合は脳神経系で生じやすくなります。
あるいは神経毒性や
免疫系を惹起させる炎症反応なども
脳組織で生じやすくなります。
従って、こうした影響を小さくするには
腫瘍組織崩壊によって放出される大量の物質を
速やかに全身の循環器で灌流を促し
薄める必要があります。
また、利尿を促し、物質を交換させる必要があります。
あるいは
腫瘍組織崩壊時に生じる物質の放出を
ゆっくりにさせることはできないか考える必要があります。
<循環器の灌流促進と物質の希釈>
- 十分な水分補給 (Hydration)(2)
静脈内輸液(IV輸液)を使用して、血流量を増やし腎灌流を促進。
患者に対して維持液量の2〜3倍を、
5%デキストロースを含む
0.2%塩化ナトリウム溶液として静脈注射で投与します(3)。
化学療法の2日前から始め、
治療が終了する2-3日まで続けます(3)。
- 利尿薬の使用(3)
ループ利尿薬(例:フロセミド)を投与し、尿量を増加させる。
これにより、腎臓を通じた物質の排泄を促進します。
<腫瘍組織崩壊時の物質放出を緩やかにする方法>
これに関しては現在確立されていません。
化学療法や放射線療法を低用量・段階的に実施し、
腫瘍の壊死を徐々に進行させるということがありますが、
進行性の強い小児脳腫瘍の治療においては
このような時間的猶予は存在しないので、
それとは別の効果的な方法が挙げられます。
例えば、
癌細胞が細胞死したときに
一部の物質は細胞膜に覆われて放出されます。
その細胞外小胞の寿命を人為的に長くできれば、
例えば、脂質2重膜の構造安定性を上げるような物質があれば、
物質の一部は細胞外小胞に覆われるので
その放出が緩やかになる可能性があります。
ただし、細胞外小胞は通常細胞同士の物質交換にも関わる
普遍的な細胞間コミュニケーション機能であるため
それに介入することのリスクは同時に存在します。
<放出された物質の中和・代謝促進>
- 血液透析(Hemodialysis)(4)
腎不全や重度の電解質異常が発生した場合、迅速に血液を浄化します。
高カリウム血症や尿毒症の予防・治療として利用されます。
- 代謝補助薬の使用は(推奨されない)
炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)により
代謝性アシドーシスを予防し、腎臓での尿酸やリン酸の排泄を促進します。
腫瘍崩壊症候群(TLS)の予防と管理の一環として、
尿をアルカリ化するために
重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)を使用することが
伝統的に推奨されてきました。
しかし、アルカリ性尿は尿酸の排泄を促進する一方で、
キサンチンやヒポキサンチンの溶解度を
大幅に向上させるわけではありません。
具体的には、キサンチンの溶解度は
pH 5.0では5 mg/dL、
pH 7.0でも13 mg/dLと低く、
これらの代謝物が増加する状況、
例えばアロプリノール治療後などでは、
キサンチン結晶が腎尿細管内に沈着し、
キサンチン閉塞性尿路症(xanthine obstructive uropathies)
これを引き起こす可能性があります。
さらに、尿のアルカリ化に関連する潜在的な合併症として、
以下の点が挙げられます:
- 代謝性アルカローシス(体内が過度にアルカリ性になる状態)
- リン酸カルシウムの沈着
(これにより腎結石や他の障害を引き起こす可能性がある)
これらのリスクと、尿アルカリ化の有効性に関する
明確なエビデンスが不足していることを考慮すると、
腫瘍崩壊症候群の予防と治療の目的で
重炭酸ナトリウムを使用することは現在推奨されていません(2)。
すなわち
尿のアルカリ化は
キサンチン蓄積を解消する効果が
限定的であるにもかかわらず、リスクが大きいということです。
高リン酸血症は高尿酸血症よりも
正常値に戻すことが難しいため(11)、
アルカリ化するとリン酸カルシウムの
尿中の溶解度が下がるため(3:Table 2)
リン酸カルシウムが蓄積されやすくなります。
従って、尿酸を分解できるrasburicaseが利用できる時には
特に、尿のアルカリ化は避けるべきです(11)。
<炎症反応の制御>
- ステロイド療法は(推奨されない)
デキサメタゾンを使用して炎症を抑え、腫脹や浮腫を軽減を試みます。
デキサメタゾンなどのステロイドは
逆に腫瘍崩壊症候群を誘導するかもしれません(5)
こういった想定される医療介入は
当然、患者さんの体示す数値をみながら行うことが求められます。
また、上記は生成系AIが示した医療介入ですが
推奨されない介入も含まれていたので注意が必要です。
こうした循環器が示す数値を体全体で平均化することなく
小児脳腫瘍であれば、脳の循環器系の局所的な
数値を計測することも重要になります。
体全体の分布がマッピングできればより理想的です。
以下は、Howard–Puiによる
実験室および臨床的腫瘍崩壊症候群(TLS)の定義です。
----------
<実験室での腫瘍崩壊症候群(Laboratory TLS)の基準>
※患者さんの血液検査に基づき腫瘍崩壊症候群の兆候と
判断される基準
- 尿酸: 8.0 mg/dL(475.8 μmol/L)以上(成人の場合)、
または年齢に応じた正常範囲の上限を超える、
または基準値から25%以上増加
- カリウム: 6.0 mmol/L以上、または基準値から25%以上増加
- リン酸: 成人で4.5 mg/dL以上、または子供で6.5 mg/dL以上、
または基準値から25%以上増加
- カルシウム: 7.0 mg/dL未満(1.75 mmol/L)、
またはイオン化カルシウムが4.5 mg/dL未満(1.12 mmol/L)、
または基準値から25%以上減少
----------
<臨床的腫瘍崩壊症候群(Clinical TLS)の基準>
実験室での腫瘍崩壊症候群の基準を満たし、
かつ以下のいずれかを伴う場合:
- 腎機能障害: クレアチニン値が正常値の1.5倍を超える、
または基準値から0.3 mg/dL以上上昇
- 心疾患: 高カリウム血症や低カルシウム血症による症状
(不整脈または突然死)
- 神経学的症状: 低カルシウム血症による症状
(けいれん、手足の痙攣)
この定義に基づき、腫瘍崩壊症候群は、
実験室での異常所見に加えて
臨床的な症状が現れる場合に診断されます。
----------
もし、私が将来的に目指す小児脳腫瘍に対する治療が
世界の5年生存率が100%となるような
圧倒的な奏功を実現するということの
その裏にはそれだけ多くの腫瘍組織を
お子さんの体内で選択的に細胞死させることを示します。
特に
- MRIガイド経頭蓋集束超音波
- 細胞腫特異的薬物送達システム
これらによって外科的な負担を減らし
非侵襲で腫瘍組織を内科的貢献を上げて消滅させ、
治療が奏功した場合には
この腫瘍崩壊症候群(Tumor lysis syndrome)のリスクが上がります。
多分、それは間違いなく生じます。
そうではなくても、実際に、
ここ3年程度の調査では、癌治療の改善が見られた結果を
おそらく反映して、
腫瘍崩壊症候群(TLS)の発症率は16%から23%に上昇しています(1)。
エビデンスは不足していますが、
歴史的にほとんど小児白血病を含めて血液系の癌における
腫瘍崩壊症候群のリスクはほとんどありませんでしたが(1)、
近年の治療でそのリスクが上がってきています。
ただ、血液性の癌は
腫瘍組織をあまり形成せず、全身の循環器に分布し、
腫瘍組織のように癌細胞、免疫細胞
細胞外マトリックス、血管など
癌微小環境のマテリアルを同時に多く含まないので
近年、効果的な標的治療によって
腫瘍崩壊症候群のリスクは上がっているとはいえ
小児脳腫瘍に比べては、そのリスクは小さいかもしれません。
例えば、
- 白血病(5.1%)(6)
- 肝細胞がん(17%)(1)
- 肺がん(13%)(1)
- メラノーマ(10%)(1)
これらのデータが示されています。
実は、脳腫瘍は腫瘍崩壊症候群のリスクは非常に低いといわれています。
これはなぜでしょうか?
おそらく、その理由は、脳腫瘍治療の多くは
外科的な摘出に治療の多くを依存しているからであると考えられます。
そこまで、掘り下げた記述は存在しません。
従って、
もし、将来的に脳腫瘍の内科的治療、焼灼の比重が
最先端の治療によって上がってきた場合、
これまで示されてきた疫学的結果は変わる可能性があります。
ただ、小児白血病で
Burkitt leukaemia (26.4%)(1)
と腫瘍崩壊症候群が多い理由は、
外科的治療に依存せず、全て内科的な治療で
より効果的に、短期的に多くの癌細胞を消滅させているから。
ということが考えられます。
従って、
原理的には固形がんを内科的に消滅させたほうが
癌微小環境の物質もあるわけですから
腫瘍崩壊症候群が生じやすいと考えられますが、
現在の疫学結果でそれに矛盾があるのは、
癌の種類によって外科的腫瘍組織摘出と内科的治療の比重が異なり、
それが腫瘍崩壊症候群のリスクに密接に関わる因子だからです。
それはたぶん、間違いないと思われます。
体の中の特に循環器の物質を調整するのは
物質をろ過して、選択的に排出する機能がある腎臓です。
従って、小児脳腫瘍、小児白血病に罹患している患者さんにおいて
腎機能に異常がある場合には、
より、腫瘍崩壊症候群(TLS)に対する配慮が必要です。
実際に
腎機能に異常がある高齢者(患者さん)のほうが
腫瘍崩壊症候群(TLS)への感受性が高いことが示されています(1)。
腫瘍崩壊症候群で一番配慮が必要な物質は尿酸です。
なぜなら、腫瘍が崩壊する前後で
一番、血中濃度の変化が一般的に多い物質だからです(1:Fig.1b)。
では、なぜ、尿酸があがりやすいのか?
それについては不明ですが、
一つの理由は、尿酸の元となる
プリン体(特にアデニンやグアニン)はDNAの成分で
このDNAは通常は細胞核に収納されていますから
その多くが循環器に出ることはありません。
しかし、癌細胞が消滅すると
細胞核にある、あるいは細胞外にある(7)、
染色体内のDNAが一気に循環器に放出されるため
プリン体濃度が上がり、それによって尿酸が上がると考えられます。
従って、内科的治療に強く依存する白血病や
将来的に脳腫瘍を含めて焼灼や内科的治療への依存を
高めていくことを考える場合には
特に治療後の尿酸の適正管理が求められます。
尿酸オキシダーゼ酵素(Rasburicase)
これの使用の検討、
この薬剤へのアクセス性が重要になります。
1回の治療に日本円で10万円程度必要かもしれません。
基本的に高価であることが指摘されています(1)。
投与量は患者さんの癌腫、癌の大きさ
内科的治療の依存度、実際の尿酸値などを含めて
よく検討する必要があります(1,8,9)。
基本的に尿酸が高まると尿酸が結晶化し
それが関節部に蓄積すれば、痛風となりますが、
もっと深刻なのは
腎臓のろ過部に沈着することです。
これで腎臓のろ過機能(GFR)が急激に低下し
急性腎傷害のリスクが高まる可能性があります。
ろ過部に循環器の物質が集まることと、
尿酸が過飽和になって結晶化することで
ろ過部細孔(4~8nm)より
尿酸結晶ドメイン(1~10μm)が大きいため
腎臓はろ過できず、メッシュ部に尿酸結晶が堆積し、
プロテオグリカンなどによって固定もされることで
そこにある程度、長寿命で堆積して
腎臓のろ過機能を低下させる可能性があります。
ただし、腎臓の糸球体のろ過部で
尿酸の結晶化が起こる可能性は低いとされています(Open AI)。
尿酸の結晶化が生じるのは
遠位尿細管と尿細管です(10)。
尿細管で尿酸の結晶化が起こりやすい理由は以下です。
- 尿酸の溶解度が低い
尿のpHが5.5以下になると尿酸の溶解度が大幅に低下し、
尿酸の結晶(尿酸塩)が形成されやすくなります。
- 尿管内での尿滞留
尿管の狭い構造や一時的な尿流の遅延が起こると、
尿が局所的に滞留する可能性があります。
- 尿酸の結晶化が促進される温度条件
尿管内の温度は体温に近いですが、
尿が腎臓から尿管に流れる際に
わずかな冷却が生じることがあります。
- 尿の濃縮
尿管を通る尿は、腎臓で濃縮された後の状態にあるため、
尿中の尿酸濃度が高いことがあります。
- 尿管の流速の変化
尿管では尿が蠕動(ぜんどう)運動によって排出されますが、
流速が一時的に遅くなる箇所があります。
- 尿管壁との相互作用
尿管の内壁には微小な凹凸があり、
これが結晶化の核となる場合があります。
- 尿酸の過剰産生や排泄障害
高尿酸血症(プリン体代謝異常など)がある場合、
尿中に過剰な尿酸が排泄されます。
基本的に血液で上述したようなことが生じると
血栓ができるなど、命にかかわりますが、
尿の場合は、乱流への生命活動への感受性が
血液よりも低いため、
逆に尿酸などの物質が結晶化して詰まりやすい
ということが挙げられるかもしれません。
例えば、プリン体の元となるアデニンやグアニンなどの
DNAの成分を肝臓の細胞で尿酸生成できなくなるように
癌治療を講じたときに未然に分解して防ぐアプローチがありますが、
これは、DNAそのものを破壊するアプローチであり
こうした医療介入は非常に危険を伴います。
従って、生成された尿酸が過飽和し結晶化する前に
分解する尿酸オキシダーゼ酵素(Rasburicase)が有力です。
私の専門は結晶成長ですから、その観点で申し上げると
基本的に物質が気相、液相から結晶成長するためには
多くの場合、過飽和状態を作る必要があります。
例えば、
窒化ガリウム(GaN)の結晶成長では
窒化ガリウムは尿酸結晶と同じように六方晶が安定ですが、
その六方晶の結晶に格子整合する基板であるほうが
局所的な過飽和が実現しやすく
核形成、結晶成長しやすいです。
こうした条件がより尿管で生じやすいということです。
結晶成長の観点から言うと
結晶化した尿酸を表面から分解していくよりも
尿酸結晶とその基板の界面が
結合力としては一番弱く、不安定であると考えられるので
尿酸結晶そのものを分解することを考えるよりも
むしろ「尿酸結晶を剥がす」という観点のほうが合理的かもしれません。
その場合、少なくとも
尿酸結晶とその基部の界面の結合状態、物質を
より詳しく調べる必要性があります。
尿酸結晶を効率的にはがすことができれば、
それが尿として体外に放出されるため
尿酸結晶起因の腎機能低下を防ぐことができるかもしれません。
こうした結晶化は
- リン酸カルシウム
- キサンチン
これらでも起こり、腎臓に蓄積する可能性があります(1:Fig.2)。
基本的に結晶化する前に制御するという
従来の考え方が基本ですが、
結晶化してしまった後も、
どのような基部との界面、結合状態をもって
ろ過部で安定化、固定化されているか?
それを明らかにします。
そうすることで
- 核形成、(局所的)過飽和(吸着)を防ぐ
- 結晶化後、界面状態を不安定化、解消させる
これらのアプローチにつながる可能性があります。
これは超音波による物理的刺激によっても
結晶化した物質が壊れるよりも
界面が不安定化し、剥がれるという可能性もあります。
治療において、最も重要なことは
体が本来持つ機能を維持することです。
体の中の物質的なバランスを整える最も基本的な臓器は腎臓なので
腎臓の機能をどうやって健全に保つかを考える必要があります。
また、一方で
物質の変化が少ないほうが当然いいわけですから、
その絶対的な変化量を小さくすることと
同じ変化量であれば、
その変化の時間を長くすることが求められます。
他の観点では
同じ時間変化量であれば、
その物質変化の領域を広げたいということがあります。
すなわち、全身に分散させる、局在化させないということです。
これらがベースであって
それでも異常があれば、これらを実現するために
それぞれのイオンを含めた物質濃度を調整する薬剤を使うということです。
腫瘍崩壊症候群、
それが顕性ではなくても、
体内の腫瘍組織を消滅させ、
それが体の中に循環するということは
DNAなど通常多くは循環器に存在しない物質を放出させ、
主にキサンチン、尿酸の
主に尿管による結晶化によって
腎機能が過渡的に低下します(1:Fig.4)。
ただし、腫瘍崩壊症候群による腎機能低下が
結晶化によるものであれば、
その結晶化を尿路の流れをスムーズにすることで
あるいは機械的、化学的刺激、pHの調整などによって
結晶化物質の固着を解消し、排出すれば、
腎機能は回復する可能性があります。
元々、尿細管で結晶化するというのは
尿酸など結晶化する物質が
局所的な過飽和になることが一つの大きな原因であり
それが固定されることなので、
基板との結合条件と過飽和の原因。
これらをつかむことが重要になります。
このモデルにおいて
(特に溶液からの)結晶成長の専門家が
貢献できる部分はあると思われます。
尿酸はリン酸カルシウムと共存する形では
尿中の結晶化が促進される可能性があります(11)。
その理由は
尿酸はリン酸カルシウムと反応し
尿酸カルシウムとなります。
この尿酸カルシウムの尿中の溶解度は
pH5.5では10倍低いです(1mg/100mL → 0.1mg/100mL)。
従って、10倍結晶として析出しやすくなるため
尿管が詰まりやすく、腎障害を起こしやすくなります。
結晶化した尿酸、リン酸などを含めて
尿として排出することができれば
腫瘍崩壊症候群のリスクを減らすことができます(11:Figure 1)。
尿管結石も尿管が結晶化して詰まる疾患ですが、
これに超音波刺激による機械的ストレスによって
半分の患者さんに対して
完全な尿管結石の排出が可能になっています(12)。
これはカナダからの2024年の報告なので非常に新しいですが
この超音波技術は
尿管内の結晶化防止にも利用できる可能性があり
特に内科的治療、焼灼によって
癌細胞の多くを短期間に細胞死させた場合、
腫瘍崩壊症候群に発展させない予防的処置として
将来的に標準治療の一つとなるかもしれません。
超音波は比較的安全なので
子どもにも利用できる可能性があります。
ただし、尿路を超音波で刺激することによって
腫瘍崩壊症候群の原因となる
尿酸、リン酸カルシウムなどの結晶沈着を崩壊できるかは
まだ、臨床的証拠がないため、検証が必要ですが、
検証する価値があると思われます。
また、超音波は温度を上げることができるので
温度を上げると原理的に物質の溶解度が上がるので
それによっても結晶化を防ぐことができます。
すでに集束超音波による焼灼によるがん治療が
腫瘍崩壊症候群のリスクを上げるという報告が
限られたものですがありますから(13)、
細胞腫特異的薬物送達システムや
MRIガイド経頭蓋集束超音波による腫瘍組織焼灼は
外科的摘出の負担を減らすものの
体内で細胞死した大量の細胞の物質を
効率的に尿として排出させる必要があるので
この治療とセットで
尿管を超音波で温めて、機械的なストレスを与えながら
尿管での結晶化を温度と力で相乗的に防いで
腫瘍崩壊症候群への発展のリスクを防ぐ必要があります。
利尿剤、水分補給とともに
この超音波による尿管の刺激は
上述した私が開発する技術とセットになるかもしれません。
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小児水頭症は
- 先天的組織異常
- 感染症
- 脳内出血
- 神経管欠損
- 脳腫瘍
- 心臓の不全
これらなどの素因があります(13)。
ここでは小児脳腫瘍の併存のケースを腫瘍に頭に置きながら
記述を進めていきますが、
内容としては全体を包括するものとなるため
感染症も含めて、
そのような病因で水頭症を呈した場合にも
一定、適用できるような内容になることを目指します。
ただ、水頭症に関しては
組織の異形成、感染症、出血などを病因とした
胎児から生じうる病態がより深刻となります(3)。
なぜなら、脳腫瘍併存の水頭症は
頻度は高いものの、腫瘍が狭窄の原因となっていることが多く
多くの場合、腫瘍を切除したり、退縮させることで
流れが戻ることが多いとされているからです(13)。
胎児のときの診断基準として
子宮内の超音波検査で
脳室の拡大が10mm以上であるとき(3)。
このようにされていますが、
母体の中にいるわけですから、診断は以下の理由で難しいです。
- 脳の発達段階の個体差
- 画像解像度の制限
- 一過性の脳室拡大
- 水頭症の原因の多様性
- 基準値の曖昧さ
- 脳室拡大以外の症状の確認困難
- 胎児の動きによる影響
- 早期診断の限界
ただ、根本には超音波計測機器の仕様、特性もあると思うので
子宮に合わせたトランスデューサーの設計など
診断を改善させる余地はエコー装置に存在するかもしれません。
脳内には脳血管系(血流)とは別に脳室の脳脊髄液があります。
この脳脊髄液の水圧が上昇することによって
頭蓋内の圧力が上がり、場合によっては脳が膨張し、
水頭症を呈します。
水頭症には流路が閉じ込められる
- 非交通性水頭症(閉塞性水頭症)
脳脊髄液の吸収が問題となる
- 交通性水頭症(非閉塞性水頭症)
- 正常圧水頭症(NPH)
これらがありますが、
小児脳腫瘍で併存する水頭症の場合は
閉塞性水頭症が多いとされています。
腫瘍とは組織の異形成であり、
往々にして突起である結節を作り、
それが脳脊髄液の流路である脳室の経路を幾何学的に障害すると
それによって、液圧が上昇します。
ただし、脳脊髄液の量や流れは
- 脳室を覆う上衣細胞の繊毛
- 脳脊髄液の産生、吸収
- 脳血管(動脈、静脈)による拍動
これらによっても影響を受けるため、
脳腫瘍によってこれらの機能が障害されれば、
脳脊髄液の水圧があがり、水頭症を呈することがあります。
子どもの頭脳部の外周は生後1年の成長率、拡大は
その後よりも顕著に速いので(3)、
特に病変がなくても拡大があるわけですから、
水頭症の初期の兆候を診断することに
難しさがあるかもしれません。
早産というが子供の水頭症のリスクなり、
その病因は特に血流が豊富なところの
血管のダメージ、出血です。
それが「Germinal matrix」です(3)。
ここは筋肉やコラーゲンなど
組織を支える物質があまりないため、
組織学的に脆弱でダメージを受けやすいとことです。
特に分娩時は、血圧が急激に変わるので
分娩から48時間以内に出血が生じやすいです。
こういったことを未然に防ぐために
- 出産前のグルココルチコイド
- 出産前の硫酸マグネシウム
これらの投与が選択肢となります(3)。
ここからは私の考察であり、
個人的な見解にならないようにOpen AIで検証しますが
この段落に関しては、科学論文による調査が
難しい領域の為、信頼性確保のため
断ったうえで記述します。
2022年にThe New England Journal of Medicineの
総括論文で発表された小児、新生児の水頭症の
(私の中では)一番重要であると考えられる
「予防的な処置」の中で
脳室拡大が生じる初期の段階で
利尿剤や腰椎穿刺(ようついせんし)、
あるいはシャントなど何らかの方法で
過剰になった脳脊髄液を(おそらく一時的であっても)
排出することが重要であるとされています(3)。
もちろん、この予防的処置は
その水頭症の原因が何であるか?
それにもよると思われます。
例えば、先天的な組織異形によって
脳脊髄液のルートが狭窄され、水頭症が生じている場合においては
一時的な利尿剤や排出の処置の効果は限定的かもしれません。
ただ、そうであっても、
胎児、新生児、乳児の組織というのは
非常にダイナミック、動的なので
成長に伴い解消する可能性があります。
初期のころに脳室拡大が顕著に起こって
組織学的なダメージを受けると
その後の健全な成長に影響を与えてしまいます。
従って、
水頭症の兆候はできるだけ早く見つけて
あるいはそうしたリスクがある場合(早産など)は
予防的処置を含めて、水頭症発展を防止するか
生じたとしても速やかに解消することに
ある程度、共通的な重要性があると判断できます。
水頭症の診断を高精度に行うためには
水頭症が水分の流れの異常によって生じるということであれば、
胎児の時期を含めて、
そうした水分の流れを高精度に分析することが求められ、
それが最も本質的な診断につながると思われます。
原理的に困難である可能性がありますが、
元々、超音波エコー検査は解像度の問題はありますが
ダイナミックな評価には一定の親和性があるため、
水の速度の評価には適している部分があると思われます。
また、高エネルギーの放射線のように
胎児の健康を阻害する測定でもないので、
そういう意味では安全性という意味で可能性があります。
胎内のさらに胎児の体の中の
非常に小さな領域の水の流れを見るというのは
原理的に無理という可能性はありますが、
超音波のトランスデューサーの
超音波発信の最適配置、精度をどこまで上げられるか?
それによって実現性は左右されます。
従来の見方では、
脳の深部に存在するうろこ状の脈絡叢が
脳脊髄液を生み出し、脳室からくも膜下腔へ流れ出し
くも膜顆粒を通して静脈系へ吸収されるとされていました。
1900年初頭に考えられた
脳脊髄液の循環のこのモデルは
現在ではいくつかの観点において修正されています。
脳脊髄液の生成は頭蓋内の他の部位でも生じ、
その流れは多方向性を持ち、
上述したように最終的には脳動脈、静脈の拍動となりますが
その源泉として心臓の拍動性によって影響を受けます(12)。
なぜなら、そういった力がないと
脳脊髄圧、流れを有効に生み出せないからです。
また、脳脊髄液の吸収は多数の部位で起こります。
従って、脳脊髄液の液圧は
循環器も含めた比較的脳全体で制御されている。
このように捉えられます。
これらの事が現在では明らかになっています(4)。
下述するように、小児脳腫瘍と水頭症が併存するケースは
非常に多いわけですが、
必ずしも脳室の結節などによって
脳室流路を幾何学的に障害していなくても、
血管も含む脳組織の異常な組織形成によって
脳脊髄液の流れ、量に異常が出て
水頭症を呈する可能性も否定はできません。
水頭症は小児脳腫瘍を呈する子どもの約半数(56.7%)が
罹患しているという統計もあります(1)。
また、診断時に先に水頭症を呈しているケースも多く(51.5%)、
脳腫瘍の早期診断、発見にも貢献しますし、
脳腫瘍において
(特に脳圧の増加が顕著な場合は)水頭症を速やかに
外科的に解消することは治療として求められます。
ただし、脳腫瘍の場合は
外科医に癌を切除した場合、
あるいは放射線治療、薬物治療で腫瘍組織が退縮した場合、
脳脊髄液の流れが再構築されることがあるため、
実際には多くの小児脳腫瘍の患者さんにおいて
水頭症のみに焦点を当てた特別な治療が
施されていない場合が多いとされています(13)。
これは言い換えれば、
腫瘍組織そのものが水頭症の原因となっているからです。
下述する経頭蓋集束超音波は
受信機を用意する必要がありますが、
それを用意すれば、脳圧を非侵襲で計測することが原理的にできます。
これは、水頭症の治療において
基本的な物理的特性なので、
この測定が非侵襲でできるとなると
小児脳腫瘍起因の水頭症以外の一般的な診断、管理、治療。
これらに役立つ可能性がありますが、
脳腫瘍においても、術後、治療後、
脳腫瘍が摘出、縮小した後に
本当に脳脊髄液が滞りなく流れているかどうかを
間接的に確認するための脳圧の管理、評価。
これに役立つ可能性があることと
経頭蓋集束超音波は
水頭症の流路の確保や脳腫瘍
そのものを焼灼できる可能性があるため
この装置を研究開発する意義は
神経、精神疾患への治療応用も考慮に入れると、
特に小児、子ども脳神経系の医療を改善することにおいて
非常に高いと評価することができます。
今の眼球超音波(視神経鞘径の測定)では
局所的な、空間解像度を持った脳圧の測定は難しいと考えられます。
脳圧は頭蓋内ですべて均一ではなく、
異常が生じている場合においては、
局所的な圧力上昇も考えられるため、
脳関髄液、血液などの4次元的動態の空間分解評価に
原理的に優れる受信機能搭載経頭蓋集束超音波の開発は
非常に重要です。
ただ、焼灼機能との併用を考えた場合の
発信、受信機のダイナミックレンジの限界など
かなり挑戦的な開発にはなりますが、
実現すれば、余りあるメリットをもたらす可能性があります。
すでに脳の超音波検査は
標準的な小児水頭症の標準的な評価として
胎児を含めたあらゆる年齢で、挙げられています(13:Fig.5)
そのほか、CT、MRIもあります。
ただ、今のプローブ型の超音波検査では
年少の子どもの場合、頭蓋骨厚が小さいことと
絶対的な頭蓋内のサイズが小さいこと
また、実質の水分が多いことなどから
大人よりは評価として適していますが、
元々、脳の超音波検査は難があります。
おそらく頭蓋骨を避けるために頸部から
プローブすると思われますが、
それでも脳室の圧力の評価を高精度で行うことには
一定の課題があると思われます。
どちらかというと
脳室の拡大の評価としては
視覚的な情報を高精度に提供するCT、MRIが主要です。
新生児、乳児では泉門(fontanelle)(2:Anatomy)が開いています。
この泉門は脳の発達の為、頭蓋内の容積を調整する働きがありますが、
この年齢の子供において脳脊髄液の流れが滞ると
あるいは量が多くなると、外圧がかかり、
泉門がその圧力を吸収して、頭蓋径を大きくしてしまいます。
従って、この年齢の子どもにおいて水頭症が生じると
泉門が開いていることにより
あるいは頭蓋骨がまだ骨組織として柔軟なことによって
頭部が膨張してしまいます。
こうした圧力を吸収する組織となっているため
新生児、小児では水頭症が生じたときの
痛みなどの臨床症状が出にくいということがあります(3)。
もともと、泣くという以外に
新生児、乳児は自分の症状を説明することができませんが、
それに加え、症状が出にくいことが
この年齢における水頭症診断を難しくしています。
ただし、水頭症の程度、年齢、脳圧によっては
乳児期など年少の子どもにおいても
以下の症状が生じることがあるので注意です。
- 乳頭浮腫(視神経の腫れ)
- 嘔吐
- 過敏性
- 徐脈や無呼吸(他に原因が見当たらない場合)
臨床現場では、一部のお子さんにおいて
急速に状態が悪化することがあります。
従って、物理的に診断する必要があります
- 脳の径の増加(頭部の形状)
- 泉門隆起
- 頭蓋縫合の解離性
これらが挙げられます(3)。
ただし、泉門隆起は一時的に生じることがあるため
これが絶対的な水頭症診断条件にはなりません。
一方で
成長に伴い泉門が閉じ、おおよそ1歳半くらいまで続きます。
従って、この年齢から遠ざかるにつれて
水頭症による頭蓋径の顕著な変化が生じにくくなりますが、
圧力を体積変化で組織学的に吸収しにくくなるため
水圧(脳圧)、脳室拡大が実質を押しのけて起こりやすくなります(13)。
それに伴い、
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 乳頭浮腫
- 上方注視まひ(Conjugate Gaze Palsies)※
※上を向いた目が動かない
- 複視
- 倦怠感
- (時折)発作
これらの典型的な臨床症状が示されます(3)。
第三脳室の異常、拡大が眼の機能に異常が出やすい理由は
はっきいわかりませんが、考えられる一つの理由として
眼の神経が交差して密集する視交叉(Optic chiasm)が
第三脳室の前方やや下側に隣接しているため
脳室が拡大すると視神経がまとめて影響を受けるため
上方注視まひや複視など視覚機能に影響が出やすい可能性があります。
水頭症臨床研究ネットワーク
(Hydrocephalus Clinical Research Network)は、
24ヶ月未満の修正年齢(早産による修正)の乳児に対する
治療の臨床的な基準を開発しました。
治療基準を満たすためには、
乳児に明確な脳室拡大(ventriculomegaly)の証拠が必要で、
これは簡便で検証された線形比(前頭–後頭角比が0.45以上)
これを用いて評価されます。
上述した臨床症状を含めて以下の診断基準があります。
- 修正年齢に対して頭囲が98パーセンタイル以上
- フォンタネル(頭蓋骨の隙間)の膨隆
- 縫合線の開大
- 上方注視麻痺(上を向いた目が動かない)
- 視神経乳頭浮腫(視神経の腫れ)
- 嘔吐や不機嫌(他に明確な原因がない場合)
- 徐脈や無呼吸(他に明確な原因がない場合)
加えて、進行した例では
〇徐脈
〇乳頭浮腫
〇第6脳神経麻痺(外転神経麻痺)※
※通常、眼球が内転してしまう症状を伴います。
これらを呈することがあります。
Ventriculoperitoneal shunt (VP shunt) は、
水頭症(hydrocephalus)の治療法の一つで、
脳室から過剰な脳脊髄液(CSF)を
体外へ排出するために使用されます。
この手術では、脳室にチューブを挿入し、
そのチューブを腹膜(peritoneum)へと接続します(5)。
腹膜は脳脊髄液を吸収する役割を果たすため、
この方法で脳脊髄液の流れを改善します。
ただし、、脳室腹腔シャント(VPシャント)は
処置する年齢が年少になればなるほど失敗率が上がります(3,6)。
VPシャントは通常、永続的、長期間
体の中に挿入されるものなので、
当然、成長期の子供は成長しますから
その成長に対して、物理的に固定的な
チューブは大きさが合わなくなります。
また、子どもの脳脊髄液は水分以外の固体成分
すなわちたんぱく質や細胞が大人に比べて多いため、
チューブが目詰まりしやすいということがあります。
また、絶対的に体が小さいため
施術そのものの難易度が高いことと
腹部の筋肉や皮膚が薄く、弱いため、
シャントの固定性に問題が出ることがあります。
まとめると
- 体の成長(チューブの変形)
- 脳脊髄液の粘性(チューブのつまり)
- 体の大きさ(チューブの設置)
- 皮膚、筋肉の薄さ(チューブの固定性)
これらが失敗率の高さに関係している可能性があります。
他方で、未熟な幼児への
脳脊髄液シャント手術を避けるための
他の革新的な臨床試験は
現在のところ成功していません。
例えば、
- 脳室から針によって脳脊髄液を排出(7)
この選択肢があります。
その他には、私が実現を目指す
- 経頭蓋集束超音波(HIFU:ハイフ)があります。
以下が、その概略です(10)。
集束超音波治療
集束超音波は、脳室内の水頭症患者の生活の質を改善し、
治療コストを削減する可能性を持つ非侵襲的な治療技術です。
この新しい技術は、正常な組織を損傷することなく、
超音波エネルギーのビームを
脳内の深部のターゲットに正確に集中的に照射します。
動作原理
集束超音波は、ビームが集まる部分で
精密なアブレーション(組織の熱的破壊)を引き起こし、
1つまたは複数の開口部を作り出します。
これらの開口部は、脳室内に含まれる
脳脊髄液(CSF)が通過するための穴を作り、
その結果、脳脊髄液が循環し、
クモ膜絨毛によって再吸収されるようになります。
初期の結果は有望ですが、
この技術が臨床で利用可能になるには、
まだ多くの研究と開発が必要です。
利点
水頭症の治療の主な選択肢には、外科手術があります。
一部の患者にとって、集束超音波は手術の代わりとなる
非侵襲的な選択肢を提供する可能性があります。
集束超音波は非侵襲的であり、
手術による創傷治癒や感染といった懸念を伴いません。
ターゲットとなる部位に達する際、
周囲の正常組織を損傷することなく治療を行うことができ、
必要であれば繰り返し治療を行うことも可能です。
こうしたことは通常組織の遺伝子的損傷のリスクが高く、
また、焦点性、即時性が低い放射線治療では難しいです。
ただ、経頭蓋集束超音波では
子どもの小さな脳に対して3次元的な位置を正確に合わせて
解剖学的に合理的な流路を形成する必要があります。
また、集束超音波のトランスデューサーの位相精度の限界から
高い空間分解能を得ることが原理的に限界があり、
非常に高精度に狙ったところだけを
焼灼(しょうしゃく、アブレーション)して
組織に穴をあけるためには技術的な習熟が必要です。
また、上述したように水頭症の原因が
必ずしも組織学的に明確であるかどうかもわかりません。
そうした場合、解消するための
組織幾何条件の目標設定が不明確になる可能性もあります。
ただし、経頭蓋集束超音波による焼灼は
2歳以下の年少の子どもにおいても
脳腫瘍の消滅だけではなく、水頭症の解消においても
将来的に適用可能となる可能性があります。
経頭蓋集束超音波は脳腫瘍そのものの
腫瘍組織壊死にも利用できる可能性があるため(8,9)、
水頭症の治療と同じ施設、設備、施術者で
両立できる可能性もあります。
従って、経頭蓋集束超音波装置を
広島大学、東京大学、産業界との協力のもと
私が2035年に東京大学病院に納入して
2039年に東京大学病院で治験を実現するというのは
単に脳腫瘍の治療だけではなく
多くの場合、併発する水頭症を解消するための
一つの重要な手段を医療機関に提供するという観点でも
極めて重大な意義をもたらします。
従って、
- 細胞腫特異的薬物送達システム
- 細胞腫特異的細胞外小胞分離システム
- MRIガイド経頭蓋集束超音波装置
これらの医療プロジェクトはいずれも
日本を代表する東京大学と共同で実現を目指しますが、
私の主要な時間、知的、経験的資源を割く
医療プロジェクトの中でも最も重要な取り組みとなります。
これが、私の1次評価の結論です。
ただし、2次評価の状況によって変わるかもしれません。
すなわち、海外との関係性も含めて
私の一存で決定できることではありません。
水頭症の治療において、
- 第3脳室をターゲットにするVentriculoperitoneal(VP)シャント
- 第三脳室底開窓術(ETV: Endoscopic Third Ventriculostomy)
これらが代表的である理由は、
以下のような解剖学的および機能的な要因によります。
<位置的、組織学要因>
第三脳室は脳脊髄液の循環経路における中心的な位置にあり、
側脳室、中脳水道、第四脳室を繋ぐ役割を果たします。
側脳室→第三脳室→中脳水道→第四脳室→くも膜下腔
これらという経路の中で、
第三脳室は狭窄や閉塞が起こりやすい場所です。
特に、中脳水道(Sylvian Aqueduct)の閉塞による非交通性水頭症では、
第三脳室が拡張して圧力が上昇することが多いため、
ここを標的にした治療が合理的です。
脳室の容積は
第三脳室:正常時は約 1~3 mL。
第四脳室:正常時は約 2~3 mL。
側脳室:正常時は20 mL以上(左右合計)。
このようになっており、
圧倒的に側脳室の容積が多いです。
第三脳室は脳脊髄液循環の中枢となりながら、
その容積が小さいため、
少しの循環的擾乱が組織学的な拡大を招いてしまいます。
従って、
水頭症となる一番の原因は
体積変化をあまり吸収できなくて、
かつ、循環経路の中で中枢にあり、狭窄されやすいことから
第三脳室に水頭症の原因があることが多いです。
<外科的要因1>
第三脳室の底部(特に正中孔付近)は
解剖学的にくも膜下腔と近接しており、
比較的簡単に人工的な流路を形成することができます。
第三脳室底開窓術(ETV)では、
第三脳室底を穿孔して
脳脊髄液を直接くも膜下腔に流す治療法が有効であり、
この手術の標的として第三脳室が選ばれることが多いです。
<外科的要因2>
第三脳室は側脳室よりも中心部に位置し、
頭蓋内の他の重要な構造物と隣接しているため、
シャントを配置する際に適切な流路の確保が容易です。
第三脳室から脳脊髄液を排出するシャントを設置すると、
脳脊髄液が腹腔内で再吸収される効率が良いとされています。
第三脳室を選択することで、
脳室の深部構造が安定しやすく、持続的に排出が可能です。
<病理的要因>⇔これについて別の観点で後述します。
第3脳室周囲の構造物(視床、視床下部、松果体など)は、
水頭症の病態において圧迫を受けやすく、症状の発現に直結します。
視床下部や脳幹周辺の構造が圧迫されると、
意識障害、内分泌異常、眼球運動障害などが生じます。
第三脳室の減圧や脳脊髄液の正常な流れの回復が、
これらの症状の改善に直接関わるため、
第3脳室を治療対象にする意義が大きいです。
<疫学的要因>
非交通性水頭症(流路閉塞が原因)は水頭症全体の中でも多く、
特に第三脳室および中脳水道の閉塞が原因となることが多いです。
このため、第3脳室を標的にした治療が
治療プロトコルの中心となっています。
上述したように第三脳室は
小児脳腫瘍で障害されやすい内分泌機能と密接に関わる
視床下部、松果体、下垂体と隣接します。
この第三脳室が圧迫され、組織学的に拡張すると
比較的小さな実質である
視床下部、松果体、下垂体の部位の組織が
強く機械的ストレスをうけることになります。
それによって脳神経内分泌組織、細胞の機能が
その強い機械的ストレスによって機能障害を起こす可能性があります。
従って、
小児脳腫瘍で水頭症が生じている場合には
放射線治療、薬物治療などによる
長期的な遺伝子的障害に加えて、
力学的な圧迫による組織、細胞障害を受ける可能性があり、
内分泌機能の異常のリスクが上昇する。
このことが懸念されます。
従って、水頭症を解消することは
そのお子さんの予後を管理可能なレベルに抑える
必要条件の一つであるとも考えられます。
ただ、
第三脳室の影響と子供のホルモンを通じた成長の影響は
想定しているよりも複雑です。
というのは
VPシャントによって水頭症の治療を受けた子供においても
視床下部、松果体、下垂体に関わるような
ホルモンの異常がみられる可能性が指摘されているからです。
VPシャント、バイパス経路作製による
脳圧の制御が与える子供の成長への影響について検討されています(11)。
この報告によると
シャント手術を受けた水頭症の子どもは、
思春期前に緩やかな身長の伸びを示し、
思春期には加速した成長をするものの、
最終的な身長は低い傾向があります。
このような子どもの多くは、
成長ホルモン(GH)の刺激に対する反応が低下しており、
下垂体の体積が減少していることが報告されています。
その原因は明確ではありませんが、
生理的でない頭蓋内圧(ICP)が関与している可能性。
これが考えられています。
生理的ではない内圧の関与という観点は
頭蓋内圧の自然な、適切な変動が
松果体、視床下部、下垂体の
ホルモン制御、ホルモン応答に影響を与えている
可能性を示唆するものです。
実際にシャント処置も完全には成熟しておらず、
個人差はありますが、
場合によれば脳脊髄液を過剰排出してしまいます。
そのように脳室が低圧になった場合でも
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- かすみ目
- めまい
これらなど、脳圧が上がったときと
類似するような症状がでることがあります(13)。
第三脳室は脳の中心部にあり
その周りには人、もっといえば生物の
基本的な生理機能(生きていくうえで不可欠な機能)が
集中的に集まる部位です。
また、中心部にあるから
幾何構造的に外周部に比べて体積が小さくなります。
その第三脳室が拡張するというのは
その周りの小さな部位を強く引っ張ることになります。
従って、小さな力でも
大きな体積の物質を引っ張るよりも影響は大きくなります。
この力学的ストレスは成長阻害が懸念されますが、
その解消が不自然な形で、人工的に行われた場合においても
その周りの組織、細胞の正常な成長を保証しないかもしれない。
このことが推定されます(11)。
溜まった脳脊髄液をどのような出口戦略によって
解消していくか?
より自然な機能を温存しながら
自然な流路を用意することができるか?
その実現に当たっては
3次元的に、非侵襲で焼灼できる可能性のある
- 経頭蓋集束超音波
あるいは
- 内視鏡的第三脳室造窓術(ETV)の改善
- 圧力や流量をより自然に調整できる新しいシャント技術
これらが
脳腫瘍のお子さんの健全な成長を含めた予後を
改善するうえで一つの重要なコンポーネントとなります。
内視鏡的第三脳室造窓術は
三脳室の底に小さな穴を開け、CSFの自然な流出経路を確保する方法なので
施術としては経頭蓋集束超音波の焼灼に近い方法です。
インドとアメリカで89人の
中脳水道狭窄による水頭症の治療において
内視鏡的第三脳室造窓術と脳室腹腔短絡術(VPシャント)の
生存率の比較をしています(16)。
それによると
内視鏡的第三脳室造窓術では751日、
脳室腹腔短絡術(VPシャント)では454日でした。
その理由は明らかにではありませんが、
推測されるに、
VPシャントのほうが確かに脳圧を下げられるですが、
適切な位置に穴をあけて流路を作るほうが
より自然な形で脳圧を下げることができるので
特に中脳水道狭窄においては適している可能性があります。
中脳水道狭窄は良性、悪性かからわず、
腫瘍などの結節ができたときに生じる
水頭症と原理的に原因が近いので、
この結果はさらに
従来の手術と異なり皮膚や頭蓋骨を切開する必要がない
非侵襲で組織を焼灼して穴をあけて
流路を作ることができる可能性のある
MRIガイド経頭蓋集束超音波装置の開発の
一つのモチベーションになります。
ただし、内視鏡的第三脳室造窓術は脳室縮小の効果は中程度で
失敗のケースもあります。
特に失敗は術後、6か月以内に生じやすく、
新生児など子供が年少になると
その失敗率は最大で50%程度まで上昇してしまいます(3)。
組織に高精度に穴をあけるというのは
当然、組織が未成熟で小さくなればなるほど
高精度な施術が必要になるし、
患者さんの固定が難しくなるので、
失敗率が年長の子どもに対して下がるということは
生じえないと思われます。
将来的な理想をいえば、
脳脊髄液の流れというのは血管の流れと連動しており、
一か所で狭窄してそれが決定的な原因になっているケースもありますが、
全体的な循環器のバランスが崩れていることで
生じているケースもあるかもしれません。
そうなると全体的な治療の精度を上げるとなると
王道としては、新生児も含めて
脳全体の循環器の流れを正確に計測することが求められます。
これがMRIガイド経頭蓋超音波装置で可能になるかわかりませんし、
それ以外のもっと最適な方法があるかもしれないですが、
MRIガイド経頭蓋超音波装置の場合は
MRIも超音波も両方、流体の流れを追えることと
頭に装着するので子供の動きを一部、キャンセルできることがあります。
それでも一定の困難性は少なくとも残ると思われますが、
水頭症の治療の改善を図るためには
その前提として適切な評価、診断が必要になるので
それを包括する可能性のある
全頭部、循環状態の評価、
これはコンピューターにアシストしてもらうことも含みますが、
それが私の世界の医療(3)に対して提案としてあります。
新生児や乳児など
小さな子どもで通常の脳室腹腔シャント(VPS)が適用できない場合、
一時的な脳脊髄液の転置、分散が必要と判断される場合には
ベントリキュロサブゲールシャント (ventriculosubgaleal shunt)。
これが適用されます。
脳室(脳内の液体で満たされた空間)に溜まった脳脊髄液(CSF)を
頭蓋骨の外、頭皮下に誘導するための
一時的な手術療法です(14:Fig.3,Fig.4)。
頭皮下に流された脳脊髄液は、徐々に周囲の組織によって吸収されます。
通常、このシャントは恒久的な解決策ではなく、
後日、成長に応じた別のシャント(たとえば腹腔シャント)を設置するまでの
暫定的な方法として使用されます。
このシャントによる持続時間の平均は
水頭症の原因にも依存しますが、おおよそ40-60日程度です(15)。
このようにシャント、短絡経路の目的地は
必ずしも腹腔ではなくてもよく
心房でも構いません。
(17:Ventriculoatrial shunt)
このとき心臓の4つある部屋の中では右心房が一番で適切です。
その理由を説明します。
右心房は、体全体から戻ってきた静脈血が集まる部位であり、
心臓の中で最も静脈系に近い部分です。
脳脊髄液(CSF)が右心房に直接接続されることで、
全身の循環系にスムーズに組み込むことができるからです。
もう一つは
右心房の心筋は、心室の心筋に比べて比較的薄い構造をしています。
外部からシャントを挿入する際、
心筋への損傷リスクを抑えることができるからです。
また、腹腔よりも物理的に近いので
短絡経路(チューブ)の絶対距離を小さくすることができます。
ただ、侵襲する組織が
生命活動において非常に重要な心臓になるので
その心臓に侵襲することは一定のリスクを伴います。
完全に外にシャント、短絡経路を用いて
脳脊髄液を排出することもできます。
(18;External ventricular drains)
しかし、これも頭皮にシャントする場合と同じで
永続的に外部環境と脳内をアクセスできるような
環境を維持することはできないし、
この方法は外部との干渉が大きくなることから
より感染症への配慮が必要となります。
体内で流路が完結する腹腔へのシャントでも
感染症のリスクが3-11%あるといわれています(13)。
この感染率は医療環境が整わない低中所得国では
この割合が上がるといわれています(13)。
こうしたシャントによる感染症予防のための
基本的な手順です(13)。
これが外科全般に言えることで
医療環境が整った施設では自明な事ですが
ここではそうであっても明記することにします。
- 手術部位の皮膚を適切に洗浄
- 手の洗浄(フルスクラブ)
- 手術布(ドレープ)の配置後に新しい手袋に交換
- 手術中にヨウ素を含浸させた皮膚カバーを使用
- 二重手袋の使用
- 切開直前に抗生物質を投与
- 抗生物質が含まれたカテーテルを使用
- シャントチューブに直接触れない「ノータッチ」手法
-- 鉗子(フォーセップ)やクランプなどの器具
-- 専用器具(イントロデューサー)
-- 滅菌された保護シート
-- 滅菌キャップ
- 手術終了前に部位を抗生物質で洗浄
ここまで
- 頭皮、右心房、腹腔へのシャント(短絡)
- 侵襲による穿孔
これらの方法が水頭症解消のための選択肢となりますが、
絶対的に優れているかどうかはわかりませんが、
将来的な選択肢として
MRIガイド経頭蓋集束超音波装置による
非侵襲の焼灼による穿孔形成による流路確保。
これの需要があると思われます。
多分、シャントの施術よりも
MRIガイド経頭蓋集束超音波装置による施術のほうが
将来的に人工知能、コンピューターガイドの比率を上げて
治療を進めるためのシステム設計が容易である
と考えられます。
日本においては将来的に「医師不足」
もっといえば「習熟した医師不足」ということは考えられるし
東京と(例えば)北海道の僻地では
医療の質に差が出る可能性もあります。
遠隔での手術の可能性も考えると
原理的に画像解析ベースでできる
かつ機材ベース(人の手が直接的に必要ない)でできる
MRIガイド経頭蓋集束超音波装置は
やはり選択肢としてほしいです。
頭部の手術より、難易度、危険度はあがりますが、
心臓の手術にも装置の仕様は大分変わりますが、
技術的に水平展開できる可能性もあります。
他の部位の腫瘍摘出もそうです。
水頭症に限らず、外科的な負担が下がる可能性があるので
こうした様々なベネフィットを2次評価で議論していきたいです。
完全に自動化すると責任問題になるので
外科医、放射線医の立ち合いの元、行っていくことを想定します。
内視鏡的第三脳室造窓術
(ETV: Endoscopic Third Ventriculostomy)では
通常、造窓の直径は5~10mm程度が理想的とされます。
これより小さすぎると流路が不十分となり、
再狭窄のリスクが高まります。
どれくらいの精度が必要かわかりませんが、
今のMRIガイド経頭蓋集束超音波装置の空間分解能は
おおよそ1mmくらいなので
現時点で無理な分解能ではないですが、
施術者の操作制度の誤差もあるので、
将来的にはもう少しスポット径を狭めたいということがあります。
シャント(短絡)した後(特に異常があった場合)
に生じうる診療症状は以下です。
- 易刺激性
- 運動能力低下
- 食欲低下
- 吐き気、嘔吐
- 頭痛
これらです(13)。
原理的に
MRIガイド受信機能搭載集束超音波装置は
MRIでも(その場合、受信機能は必要ない)、
超音波でも(受信機能要)
施術しながら、血流、脳脊髄液流を
局所的に定量化しながら、
第三脳室の適切なところを焼灼できる可能性があるので
術後にどうしても生じる過剰、過少排出による
副作用が出にくい可能性が出てきます。
装置開発、施術者においては
非常に困難を極めるが、
こうしたことは画像、数字データに基づくので
人工知能やコンピューターがアシスト(支援)してくれます。
以下は、水頭症の生活に質に関連する要因を洗い出したものです。
それぞれについて水頭症既往歴のある子どもの状況を考慮し
詳しく説明したものを記述いたします(13:Box 1)
<Individual factors(個人要因>
- Aetiology(病因)
水頭症の原因(先天性、中枢神経系感染、出血、腫瘍など)は、
治療法や予後に直接影響を及ぼします。
たとえば、先天性水頭症の場合は早期診断と適切な治療が必要で、
出血が原因の場合は脳損傷の程度が
生活の質に影響を与えることがあります。
- Treatment sequelae(治療後遺症)
シャント手術や内視鏡的第三脳室造窓術(ETV)の後遺症には、
感染、シャント閉塞、過剰ドレナージ(過剰排出による低圧化)などがあり、
これらが患者の生活の質に影響を与える可能性があります。
- Management of comorbid conditions(併存疾患の管理)
水頭症に伴うてんかん、運動障害、視覚障害などの併存疾患の管理は、
日常生活の自立性や社会参加能力を左右します。
これらの合併症の早期発見と治療が重要です。
- Cognitive health(認知機能の健康)
水頭症患者は、特に小児期に適切に管理されなかった場合、
学習障害や発達遅延を伴うことがあります。
適切な教育支援や認知リハビリテーションが必要です。
- Emotional health(感情的健康)
水頭症は感情の制御に関わる
視床下部、下垂体、あるいは松果体など
ホルモン制御に関わる脳神経系部位を
隣接する第三脳室の拡大によって傷害する可能性があります。
また、脳腫瘍の場合は、化学治療、放射線治療などによっても
障害される可能性があります。
そうした原因で生じた感情的問題に加えて
水頭症に伴う身体的制限や社会的孤立感が、
うつ病や不安障害などの感情的健康を憎悪させる可能性があります。
心理的サポートが重要です。
- Physical health(身体的健康)
運動機能の障害、筋力低下、姿勢制御の困難など
これらが生活の質に影響します。
理学療法や作業療法が重要です。
- Family socioeconomic status(家族の社会経済的地位)
家族の経済状況や教育水準は、
患者が適切な治療やリハビリを受けられるかどうかに影響します。
低所得家庭では、医療費負担が生活の質を制約する可能性があります。
<Local factors(地域要因>
- Access to emergent care(緊急医療へのアクセス)
シャント閉塞や感染症などの緊急事態に
迅速に対応できる医療施設へのアクセスは、
患者の生命と生活の質を左右します。
地域医療体制の充実が必要です。
従って、日本、韓国などを中心に将来的に
医師不足が懸念されますが、
医療施設へのアクセス性に加えて
遠隔治療や自動化推進による省力化なども
検討していく必要があります。
- Access to specialized care teams and treatments
(専門治療チームと治療へのアクセス)
水頭症の専門的な診断と治療を行える医師や施設へのアクセスが、
患者の治療成績に直結します。
特に手術の成功率や治療後の合併症管理に影響します。
- Access to coordinated, longitudinal care
(統合的かつ長期的なケアへのアクセス)
水頭症は慢性疾患であり、治療後も継続的なフォローアップが必要です。
医療、リハビリ、心理支援などを統合したケアが生活の質を向上させます。
水頭症併存の小児脳腫瘍患者において
内分泌系の異常リスクが高まるのであれば、
この内分泌系の保護を考慮した急性期治療と
慢性期管理が必要です。
どうしても生じる心理的支援などは
24時間オンライン/オンデマンドカウンセリングや
その相談でのかかりつけの相談員との出会い、
可能であれば、その相談員が務める医療機関へのアクセス。
それが必要です。
オンライン/オンデマンド相談は
現在の臨床心理士の就業の機会を拡大するものです。
必ずしも通常の病院業務を障害するかわかりません。
むしろ、収入、待遇なども含めて相乗効果をもたらす可能性もあります。
<Global factors(グローバル要因)>
- Hydrocephalus aetiology distribution(水頭症の病因分布)
発展途上国では中枢神経感染症による水頭症が多く、
一方で先進国では先天性や腫瘍に伴うものが多い傾向にあります。
この病因分布が治療法や予後の違いを生みます。
先天性、腫瘍を伴う水頭症が
発展途上国で民族的に少ないというデータがないのであれば、
感染症は衛生の問題による付加的な要因なので、
発展途上国のほうが水頭症罹患率が高いと想定されます。
それは疫学データで示されています(19;Fig.2)。
特にアフリカ、中南米が多いです
ただ、日本、オーストラリア、韓国、中国も
医療環境が整っている割にはやや多いです。
従って、遠隔手術、人工知能、コンピューターアシスト手術を
MRIアシスト経頭蓋集束超音波装置で実現することは
世界の子どもの脳神経系の公衆衛生(Public Health)に関わります。
- Health-care infrastructure(医療インフラ)
医療機器の普及状況、医療スタッフの専門性、治療技術の質。
これが患者さんの予後を大きく左右します。
特に、遠隔地や低所得国では
医療アクセスが制限されることが課題です。
- 腹腔、左心房、頭皮、外部などへのシャント
- 侵襲による高精度な第三脳室穿孔
- 非侵襲による高精度な第三脳室穿孔
これらを状況に応じて使い分け
最善の治療を効果的に構築できる医療体制が
世界的に必要とされます。
私はThe Lancet Groupから
「日本だけ良ければいいのか?」
それを今、問われています。
- Access to prenatal care(産前ケアへのアクセス)
先天性水頭症の早期診断は、適切な妊娠中ケアに依存します。
超音波やMRIによる胎児診断が普及することで、
出生前に治療計画を立てることが可能です。
超音波、MRIは
MRIガイド経頭蓋集束超音波における
主要要素となる測定方法であることは自明ですが、
基本的にはこれらの測定方法の技術革新を促すことになるので
適切な妊娠時のケアにつながる可能性があります。
今、The Lancet Groupや
The New England Journal of Medicine誌からの
「もっと重篤に子どもの健康が脅かされている事は世界にある」
このことが私に伝えられています。
例えば、家庭内暴力、感染症、妊娠、出産時の異常。
これらです。
子どもの健康において妊娠、出産時の
母子の健康は、その後の子ども、母親の一生の健康に関わるため、
私のメインの活動で小児脳腫瘍の活動を障害しない形で
上述した装置の開発が、同時に
妊娠、出産、あるいは感染症の脳神経の問題。
これらに対して、低中所得国の問題にアドレスできるのであれば、
それは、非常に喜ばしいことです。
- Nutrition and food fortification(栄養と食品強化)
栄養不足や葉酸欠乏症は神経管閉鎖障害を引き起こし、
水頭症の原因となることがあります。
食事の改善や食品の葉酸強化は発症リスクを低減します。
これは妊娠時の母親の生活習慣に関わる問題です。
それ以外にも
ホルモンをしっかり補充するためには
成長期にコレステロールなどを含む
良質なたんぱく質を過不足なくとることも重要です。
たんぱく質以外に
脂質、糖質、食物繊維(じゃがいも、野菜)、
抗酸化物質(果物、野菜)など
肥満を防ぎながら、
バランスよく日常的に摂取していくことが
子どもの健康のベースとなります。
- Country socioeconomic status and level
(国の社会経済的地位と水準)
高所得国では治療技術や医療インフラが充実している一方で、
低所得国では基礎医療へのアクセスすら困難な場合があります。
これが患者の生存率や生活の質に影響します。
次に、神経系の細胞が水頭症による頭蓋内圧の上昇により
過剰な圧縮応力を受けた場合に想定される
主に細胞生物学的な影響について整理します。
神経細胞(ニューロン)、グリア細胞、神経内分泌細胞が
過剰な圧縮応力を受けると、
細胞は次のような影響を受ける可能性があります:
1. 神経細胞(ニューロン)の反応
- 機械的損傷:
圧縮応力が過剰である場合、神経細胞の細胞膜や
細胞内構造(特にミトコンドリア、ゴルジ体、軸索など)が
損傷を受けることがあります。
これにより細胞の機能が低下し、神経伝達が障害されます。
- アポトーシス(計画的細胞死):
圧縮応力が持続すると、
ニューロンは細胞内のストレス応答機構を起動させ、
最終的にはアポトーシスを引き起こすことがあります。
特に、神経細胞は極めて感受性が高く、
圧力の変化によるストレスは細胞内カルシウム濃度の上昇、
ミトコンドリア機能不全、活性酸素種(ROS)の増加などを引き起こし、
細胞死を促進します。
- 神経機能の低下:
圧縮による機械的変形が神経伝達経路に影響を与えることで、
運動や感覚機能の喪失、認知機能の低下などが生じる可能性があります。
2. グリア細胞の反応
- アストロサイトの活性化:
アストロサイトは神経系において重要な支持細胞であり、
過剰な圧縮応力により活性化され、
炎症反応を引き起こすことがあります。
この活性化により、サイトカインや化学物質が放出され、
さらなる神経損傷を引き起こす可能性があります。
- オリゴデンドロサイトの損傷:
オリゴデンドロサイトは神経の髄鞘を形成し、
神経の伝導を助けますが、
圧縮ストレスによって損傷を受けることがあり、
髄鞘の破壊や神経伝導の遅延を引き起こします。
これが多発性硬化症などの神経疾患に関与することがあります。
- ミクログリアの活性化:
圧縮応力によりミクログリアが活性化され、
炎症反応を引き起こすことがあります。
過剰な炎症は神経細胞を傷害し、
慢性化すると神経変性疾患を引き起こすことがあります。
3. 神経内分泌細胞の反応
- ホルモン分泌の異常:
神経内分泌細胞はホルモンや神経伝達物質を分泌しますが、
過剰な圧縮応力がこれらの細胞にストレスを与えると、
ホルモン分泌のバランスが崩れ、
内分泌系の障害を引き起こす可能性があります。
これにより、ストレス反応を調節する副腎や
甲状腺の機能が影響を受けることがあります。
- 細胞機能の低下:
神経内分泌細胞の膜受容体が圧縮応力により損傷を受けると、
細胞間コミュニケーションが乱れ、
体内の調節機能(例えば、血糖値、血圧、体温など)に
障害が出る可能性があります。
4. 総合的な影響
過剰な圧縮応力は神経細胞、グリア細胞、神経内分泌細胞に対して
以下のような総合的な影響を及ぼします:
- 神経伝達の障害:
神経細胞やグリア細胞の損傷が神経伝達に直接的な影響を与え、
感覚や運動機能が低下します。
- 炎症反応の増加:
グリア細胞の活性化やホルモン分泌異常が炎症反応を引き起こし、
慢性炎症が神経変性を引き起こすリスクを増加させます。
- 細胞死の促進:
持続的な圧縮応力は細胞死(アポトーシスまたはネクローシス)を引き起こし、
組織の機能喪失を招きます。
5. 遺伝子的、機械的影響
機械的ストレスは当然、細胞核にも影響を与えるため、
細胞核内にある染色体の配置、干渉性にも影響を与える可能性があります。
また、よりミクロにはクロマチン、DNAアクセス性が変わり
それによってたんぱく質生成の種類、程度が変わる可能性があります(20)。
また、組織、細胞の自然な適応として
外部圧力が長期間にわたって過剰に生じると
機械的に硬くなる可能性があります。
それは物質的に説明すると
間質ではコラーゲンなどの産生が過剰になったり、
細胞内では細胞質の細胞骨格、細胞膜膜内の核ラミナなどが
過剰になる可能性もあります。
柔軟性が低下する可能性があるので
若くて弾力ある機能が喪失することになるので
組織、細胞としての老化を促進する可能性があります。
また、機械的シグナルそのものが
すでに構築された神経系、組織の連結を破壊する可能性もあります。
QoL(Quality of Life、生活の質)は、
個人の健康状態や生活全般に対する主観的な評価を示す指標であり、
病気や障害が個人の日常生活や感情面に
どのように影響を与えるかを測定するために使用されます。
QoLを評価するために多くのツールや尺度が開発されています(13)。
以下は、具体的なQoLの指標や尺度についての詳細な説明です。
1. 短縮版(SF)QoL尺度
- SF-36(Short Form 36)は、広く使われるQoL評価ツールで、
①身体的健康
②精神的健康
③社会的機能
④役割の制限
⑤痛み
⑥活力
⑦精神的な健康状態
⑧全体的な健康評価
これら8つの領域に関する情報を収集します。
SF-12やSF-8など、SF-36の短縮版もあり、
特に対象者が多忙であったり、
長時間の質問票に答えることが難しい場合に便利です。
⇔
生活の質のは、SF-36でも定義されるように
身体的、心理的、社会的な観点が主要に含まれるということです。
これらはサバイバーシップ(生存者権)の骨子ですから、
(小児)がんサバイバーシップを成熟化させるということは
すなわち、それは顕性疾患既往歴のある人の
生活の質高めることそのものであるといえます。
言い換えれば、
人の生活というのは身体的、心理的、社会的。
これらの3つの要素によって支持されているということです。
どれに対する健全性、健康も欠くことができないということです。
2. Barthel-Index(バーテル指数)
- Barthel-Indexは、患者の日常生活動作(ADL)の自立度を
評価するための尺度です。
特に、麻痺や高齢者における身体的な自立度を測定します。
-- 食事
-- 移乗
-- 整容
-- トイレ動作
-- 入浴
-- 歩行
-- 階段昇降
-- 更衣
-- 排便コントロール
-- 排尿コントロール
これらなどの基本的な日常活動に対する依存度を
0から100点のスコアで評価し、
スコアが高いほど自立していることを示します。
従って、このバーデル指数というのは
身体的、心理的、社会的という
高い生活レベルまでほ包括する指標ではなくて、
基本的な生活レベルが保証されるか?
そのために必要な機能評価といえます。
3. Health Utilities Index Mark 3(HUI-3)
- HUI-3は、健康状態に関する多次元的な評価を行う尺度で、
個人の身体的、精神的、社会的機能を評価します。
「視力」
「聴力」
「会話」
「歩行」
「器用さ」
「感情」
「認知」
「痛み」
これらをスコア化します。
HUI-3は、健康状態のユーティリティ値を測定するために用いられ、
経済的評価や医療施策の評価にも利用されます。
これらは基本的機能といえますが、
バーデル指数はやや生活においての具体的機能といえますが、
こちらのHUI-3は生物としての感覚を含めた基本的機能といえます。
4. Paediatric Quality-of-Life Generic Core (PedsQL Core)
- PedsQLは、子供の生活の質を評価するための尺度です。
年齢に応じた異なるバージョン(PedsQL 4.0、PedsQL 3.0など)があり、
子供がどのように
身体的、心理的、社会的な困難を感じているかを評価します。
-- 身体的機能
-- 感情的機能
-- 社会的機能
-- 学業的機能
-- 社会心理的機能
-- 全体的な機能
これらなどが測定されます。
PedsQL Coreは学業も含まれていることから
子どもにとっての生活の質が特異的に評価されます。
ここでは、社会心理ということについて考えます。
上の項目では
感情的、いわば心理的、社会的機能があるわけですが、
それとは独立して社会心理というのが
独立した機能評価項目として
子どもの生活の質の中で含まれるのは
どういった意義をもたらすでしょうか?
子どもは学業の中でクラスメートや先生と
社会的な関係を築く必要があります。
- クラスの中でのリーダーシップ性
- 集団の中での自分の役割
- 先生への敬意などの関係性
- クラスメートとの友情関係、社会的距離調整
- (今では)SNS上での関係(学外を含む)
これらなどがあります。
そうした中で、
- 社会の中でうまく心理的な健康を築けるか?
- 集団の中でいじめられることはないか?
- 自己を主張できずに過剰に我慢して生活していないか?
- 社会に疲れたら、ガス抜きする自分の場所は存在するか?
こういったことが社会心理的機能に含まれます。
まとめると「人社会(集団)の中での心理的健康」です。
この健康はもちろん、大人になっても必要なことです。
5. Paediatric Quality-of-Life Fatigue (PedsQL Fatigue)
- PedsQL Fatigueは、子供に特化した疲労の評価尺度です。
子供が日常生活においてどれだけ疲労感を感じているかを測定し、
慢性的な疲労が子供の生活の質に与える影響を評価します。
特に慢性疾患や治療中の子供に対して重要な評価指標となります。
6. Overall Health Score (OHS)
- Overall Health Score (OHS)は、
患者自身による総合的な健康状態の評価を示します。
患者が自分自身の健康状態を
全体的にどのように感じているかを評価するもので、
通常は0から100のスケールで表されます。
高いスコアは良好な健康状態を意味し、
低いスコアは健康問題があることを示します。
これは客観的な評価というよりも
どちらかというと主観的な評価といえます。
7. Wechsler Intelligence Scale for Children (WISC-R)
- WISC-R(Wechsler Intelligence Scale for Children Revised)は、
子供の知能指数(IQ)を測定するための検査です。
認知機能の評価に用いられます
-- Verbal Comprehension Index (言語理解指数 VCI)
言葉を使った推論能力、理解能力、考える能力を測定します。
個人が言葉で情報を解釈し、
アイデアを明確に表現する能力を評価します。
この指数の課題には、語彙、類似性、一般知識などが含まれます。
⇔
生成系AIの一部はラージ言語モデルでプログラム化されているので
世界中から専門的な事も含めて、
言語データに基づいた情報が
ほぼ待機なく得られるようになりました。
生成系AIによって出力される文章は
個性的な文章は含まれず、定型文に近いです。
言語の本質的な理解というのをどうやって計測できるでしょうか?
それは私たちが当たり前として「理解」と言っている以上に
客観的に評価をするのが難しいかもしれません。
そもそも「本質」というのが哲学的な意味合いも含むからです。
私は重要な一つの指標として
与えられた文書情報に対して
「自分の表現で言い換えることができる」
「それに対して人に説明できる」
「それを具象、抽象できる」
これらがあると思われます。
上述したように「類似性」というのは非常に重要です。
そもそも概念化、物理学的定式化というのは
本質的には実世界を誤差なく説明できるものではありません。
そこには一定の「近似」「不確定性」「不正確性」があります。
しかし、そうした中でも
人が文明を開き、繫栄し、知的社会を築くことに成功しているのは
一つの重要な要素として「類似性」の発見にあります。
「これとこれの現象が似ているな」
それが一つは物理法則の発見の源泉だからです。
こうした類似性は実験の中で見いだされることがありますが、
人は、コミュニケーションの道具である
文章情報からも見出すことができます。
これは、おそらく
見た目に揺らぎがある「犬」を
子どもが「ワンワン」といえる能力からして
遺伝的に刻印された能力も含むかもしれません。
-- Visual Spatial Index (視覚空間指数 VSI)
視覚的および空間的な推論能力、視覚情報を分析して
理解する能力を測定します。
この指数の課題には、視覚的パターンや物体
を操作・配置する能力をテストする問題が含まれます。
パズルやブロックデザインのような
空間推論を必要とする問題が一般的です。
-- Fluid Reasoning Index (流動的推論指数 FRI)
新しい問題を解決するために柔軟に考える能力を評価します。
以前学んだ知識に頼らずに
抽象的な思考や論理的な問題解決能力、
そして新しい状況に適応する能力を測定します。
課題には、パズルを解いたり、
創造的な思考を必要とするパターンを
見つけたりする問題が含まれます。
-- Working Memory Index (作業記憶指数 WMI)
課題を実行しながら短期記憶で情報を保持し、
操作する能力を測定します。
注意力、集中力、作業記憶内で情報を管理し
使用する能力を評価します。
課題には、数字の列を覚えたり、
複数のステップの指示に従ったりする問題が含まれます。
-- Processing Speed Index (処理速度指数 PSI)
個人が簡単またはルーチンの視覚情報を
どれだけ迅速かつ正確に処理できるかを測定します。
視覚的な情報を素早く処理する速度を評価します。
符号検索やコーディング、
似たアイテムを素早く一致させるなどの課題が含まれます。
この指数は、複雑な推論ではなく、
認知タスクの効率性を反映します。
これを日本の大学入試に当てはめて考えてみましょう。
東京大学、京都大学では文科系、理科系に関わらず、
2次試験でも国語、数学が必須科目となっています。
東京大学では問題文の文字数が多い、問題数が多い
ということが特徴として挙げられます。
東京大学が学生に求めている能力は
「処理能力」「言語理解指数」
これらです。
東京がビジネスの街であることと、
ニューヨークのように時間の流れが速く
作業を効率的にこなす人の需要が高い。
このことが背景としてあるかもしれません。
一方、
京都大学は特に英語の問題が顕著ですが、
比較的問題数が少なく熟考が求められます。
「流動的推論指数」
すなわち、新しい問題を解決するために柔軟に考える能力。
こうした能力を必要とします。
ただし、言語を理解する能力は
生成系AIの登場で必ずしも与えられた広範な
言い回しの文章を理解する必要はなくなりました。
生成系AIは定型文に近い形の文章であるので
この文章を最終的に本質的に理解できる能力が
これからの世の中で問われることになります。
空間能力に関しても
今までは平面の画像を立体的に頭の中で展開する
能力が必要でした。
今はまだ生成系AIのように普及していませんが、
仮想空間が生成系AIのように普及してくると
こうした立体的な画像の認識をサポートしてくれるので
今までのように頭の中で必ずしも
3次元、4次元画像を推論、想像する能力が
必要とされなくなるかもしれません。
子どもに求められる知能。
現在の大人社会を反映して必要とされるものが
その時代、時代で変わるものだと思われます。
極端な話
狩猟採取の時代で求められる能力は
明らかに現代社会とは異を放つものです。
どちらかというと獲物を確実に捕まえる
あるいは獲物を限られた道具で料理する
運動、知的能力が必要です。
今、これからの時代、
子どもが大人になったときに何が必要とされるでしょうか?
往々にしてのジレンマは
大人の就労市場の変革は
教育市場よりも迅速であるということです。
それは、なぜか?
一つの根本的理由は、資本主義社会にあります。
すなわち、金融資産の優先度が高いことあります。
かいつまんでいうと、
変えていかなければ、金融資産を得られないから
それだけ私を含めて大人は子供よりも
緊張感があって、必死ということです。
今の教育現場では40、50年前に標準化された
カリキュラムで動いています。
その時のカリキュラムは
その当時の社会的背景をもとに作成されています。
だから、今、社会の現場では
ほとんどの人が知的労働ではパソコンを使っているのに
教育現場ではいまだ、紙の勉強が当たり前になっています。
これは「改革の遅れ」ですが、
その本質には「大人はそれだけ必死」ということがあります。
変わらないと寡占化、独占化が生じるからです。
なぜ、私はこの段落でこうしたことを話しているか?
それはIQが子供の幸せ、生活の質と相関がある。
このような研究結果や試算があるからです。
「そうではない部分がある。」
そう考えている部分があるからです。
子どもに求められる能力は
その時代に即して変わるものです。
大人の社会が先に変わるわけですから、
その大人が就労市場でどういったことをしているか?
あるいは世界で最も成功している場の人たちは
果たして今何をしているのか?
それを分析することなしに
子どもの能力と幸せ、生活の質を語ることはできません。
少なくともここ20、30年の企業の時価総額の推移をみる限り、
アメリカの西海岸の企業が大きく成功を収めました。
今もその傾向が変わりません。
あまりにも西海岸が勝つから、
アメリカ政府は平等性の観点で問題視しています。
その時価総額の絶対値が圧倒的に上がっています。
では、こうしたアメリカの西海岸の企業では
今、何が必要とされているでしょうか?
日本に視点を移しましょう。
日本の知の最高峰である京都大学の学生ではなく
最も知識が今高い研究現場の方々は
今、何をしているでしょうか?
その仕事の質のためにどのような能力が必要でしょうか?
もっと優れた人が集まるベンチャーなどではどうでしょうか?
GDPが圧倒的に高いニューヨーク、東京では
大人の能力として何が必要とされるでしょうか?
その能力開発のために最も基礎的に必要なことは
子供にとって何でしょうか?
狩猟採取の時代と現代社会ほどの乖離はなくても
すなわち、
子どもとして必要な共通なものはありますが、
それでも、最低でも
「もう少しパソコンを使って勉強する」など
今の時代に即した形での基礎学力の習熟が必要です。
逆に、恐れずにいうとすると
今、アメリカの西海岸の一番優秀な人たち(団体)が
日常で実施している事、その中で必要な能力に
直結することを小学校くらいからやりはじめたお子さんは
仮に身体的、心理的なチャレンジがあっても
そんなことは圧倒的に跳ね返すことができるくらい
先行的なアドバンテージを得られるということです。
だから、基本的に情報戦になります。
日本で東京の人が勝つのは、
その情報戦に優れているからです。
私のこの情報に対しても一番真剣に反応するのは
どちらかというと東京の裕福な親御さんです。
だからこそ、私の
2015年から2021年の取り組みはある意味失敗に終わりました。
なぜなら、たぶん、教育格差を広げてしまったからです。
少なくとも地方の学生さんに対して
平等な情報流布を試みましたが
データ上、そのようなシフトは起こりませんでした。
本当にハンディキャップのある人たちのことを考えるなら
「そんなの世界の人が読むSNSにあげるなよ」
このことになりますが、
世界に広がるチャンスがあるからこそ
少なくとも一定の情報拡散を実施しています。
ただ、子どもに実際に教育をして
本当に必要な能力を身に着けさせるというのは
思っている以上に難しく、時間、労力が必要なので、
私のこうした(うわべだけの)概念だけでは
少なくとも大きくは子供の能力開発には貢献しないと思っています。
もっと具体的な教育、伝授が必要とされます。
8. Functional Independence Measure for Children (WeeFIM)
WeeFIM(Functional Independence Measure for Children)は、
特に小児の機能的自立度を測定する尺度です。
日常生活動作(ADL)を評価し、
子供がどの程度自立しているかを示します。
自立度が高いほどQoLは向上し、
逆に支援が必要な場合は生活の質が低下する可能性があります。
総括
これらのQoL評価尺度は、
患者や子供が経験する身体的、精神的、社会的な影響を
包括的に測定することを目的としており、
特に病気や障害を持つ人々に対して
生活の質の向上を目指した治療や支援の方針を決定する際に
重要な指標となります。
それぞれが異なる側面に焦点を当てており、
個別の状況に応じた評価を行うことで、
より効果的な支援や治療を提供することが可能です。
水頭症は、生物の基本的機能に関わる頭脳の中心部にある
第三脳室の体積拡大を伴うことが多いので、
上述したように子供の基本的な生活や成長に関わる
脳の部位が障害されるリスクがあるので、
少なくとも治療を受けた人は
継続的な管理維持、評価(アセスメント)は必要ですが
世界の実情として
おおよそ水頭症既往歴のある人の20%しか
こうした継続的な医師(先生)による維持管理を受けていない
とされています(13)。
水頭症の治療を受けた子供が
その後、どのような経過を辿ったか?
それについての縦断的研究は世界で十分ではありませんが、
ノルウェーから2010年に発表された
1985年から1988年から分析された20年の縦断分析では、
138人の既往歴のある人において
20年間で21.7%の人が命を落としたとされています。
初めの十年の死亡率が特に高いです。
これは現在ではもう少し改善されている可能性がありますが、
シャントは体の中に永続的に残るため
そうした影響もあって、
命を落とす人の割合は、この年齢層にしては相当に高いということです。
従って、これは治療を改善する必要がある。
もっと具体的にはシャントに対して
代替できる治療手段を医療に提供する必要があります。
こういった脳室の拡大は
水頭症と関連がなくても自閉症や統合失調症でみられることがあります。
逆に水頭症に罹患することで
特にこれらの疾患の好発年齢になったときに
発症リスクが上がるという可能性も考えられます(21)。
組織のバランスが崩れるということなので
精神疾患のリスクは上がるかもしれません。
従って、脳の適正な組織のバランス、成長を温存、確保しながら
どうやって最短で水頭症を解消できるか?
それが今後求められるし、
感染症など予防することが可能な病因に関しては
社会的な改善が必要になります。
上述したシャント(短絡経路)は
精度は求められますが、第三脳室から頸部を伝って排出される
ルートにシャントで合流させれば自然な流れになるし、
主要血管と合流させて、排出させることもできます(22)。
こうしたシャントの材料も
もっと体に優しい堅牢な材料があるかもしれません。
例えば、
- ハイドロゲル (Hydrogels) →特にココ
- ポリカプロラクトン (Polycaprolactone, PCL)
- コラーゲンおよびエラスチン複合材料 →特にココ
- チタンやチタン合金
- グラフェン (Graphene)
- ポリ乳酸-グリコール酸 (PLGA)
- セルロースナノファイバー (Cellulose Nanofiber)
これらなどが挙げられます。
(私が1次評価としての意向としてある)
大阪大学、名古屋大学にマトリセラビーを譲渡できた場合、
細胞外マトリックスを設計することを
特に大阪大学でするので、
こうしたシャント、人工血管などを
細胞外マトリックスパッチ技術の水平転換として
応用してもらえれば、
水頭症の患者さんに対して
今よりも体への適合性の高いシャントを
しかも、より短い経路で実現できる可能性もあります。
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