通常の満期の妊娠期間は
◎37~40週
早産は
◎28週から36週
超早産(極低出生体重児)
◎28週未満
このようになっています。
従って、
12週間、つまり3か月程度早く出産するケースもあるということです。
このように早産児は満期産児に比べて
子宮内に在胎する時間が顕著に短いわけですから
その期間に胎盤、脱落膜、母親の血液から
羊水、臍帯血を通じて供給される
栄養、ホルモン、(幹)細胞など成長に必要な物質を
適性に受け取る機会が奪われることを意味します。
特に成長初期には
自己増殖能と多能性を持つ幹細胞を十分に生着させる必要があり、
成長初期に当たる胎児において、
臍帯血の幹細胞は非常に重要であると推測されます。
その供給期間が短くなることは
潜在的に組織の成長の基礎が損なわれる可能性があります。
脳だけではなく、
心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、目、骨など
身体のあらゆる組織において当てはまります。
特に超早産ではない後期早産児においては
特に問題なく成長するケースも多くありますが、
超早産児を含む一部の子どもにおいて
成長後に上述した様々な組織の成長不全の
リスク上昇に潜在的につながっている可能性はあります。
例えば、早産児の疾患の対象として
度々扱われる脳では
神経細胞が密に存在する
皮質にあたる脳の灰白質の厚み、表面積は
胎児から生後1年間で過渡的な成長期を迎えます。
その後、成長はなだらかになります(ref.(9) Fig.2より)
子どもの頭の比率が大人に対して
非常に大きいのはこのためです。
子ども多くの場合は除外されますが。
一般的に成長が急峻であるということは
細胞の増殖頻度が高いことを微視的に意味します。
細胞の増殖頻度が高いと遺伝子的な変異の確率が
一般的には高まりますから、
癌化するリスクも高まります(10)。
通常は、多彩な協力システムによって制御されていますが、
一方で、それは綱渡り状態でもあると言われています(10)。
それが速いとなると異常が生じやすいと考えるのは
自然の道理であると考えられます。
従って、
子どもの脳腫瘍が脳幹など大人がほとんど罹患しない
部位も含めて脳全体に様々な種類の脳腫瘍が生じうるのも
(ref.(11) Fig.2)
おそらく成長速度が速いことも起因していると想定しています。
上述したように少なくとも
幹細胞は組織の成長に関わっており、
実際に神経系の血管形成にも関与しているという報告も
子羊のケースですがあります(12)。
実際に臍帯血の由来の細胞治療が
新生児に対して行われた実績がすでにあります(8)。
少なくとも2021年の時点で世界全体で
206人の子どもに対して治療が施されています(8)。
上述したように臍帯血は
おおよそ1回あたりの出産で80mLしか採取できませんが、
それでも早産児に対して
臍帯血由来の細胞治療を行うにあたって
そこから採取可能な細胞量は必要量に達しているとされています(99)。
臍帯血の中には様々な細胞が含まれています。
◎造血幹細胞
◎間葉細胞
◎内皮前駆細胞
◎T細胞
◎NK細胞
◎樹状細胞
◎制御型T細胞
◎単球由来抑制細胞
◎体性幹細胞
これらの細胞は傍分泌によっても
組織形成において様々な利点があります(100-102)。
例えば、培養された臍帯血の単核細胞は
サイトカイン、成長因子を放出します(103)。
これらの分泌物は
発達、神経保護、再生を
脳の炎症や血管生成を促すことによって改善しています(100,106)。
一方、造血幹細胞も
血管生成の促進を通じて
虚血性障害を緩和させ、神経生成を促しました(104,105)。
上述した内皮前駆細胞や体性幹細胞も同様の効果があります。
従って、臍帯血内の多様な細胞が協働して
新生児の身体の成長を促進させる事ができるということです。
実際に細胞治療が行われたケースでは
気管支肺異形成症や低酸素虚血性脳障害のいずれかに
罹患しているケースが半数以上を占め、
投与された細胞種は
単核細胞が54.2%で
同種異系の臍帯血か臍帯の間葉系幹細胞が33.3%
となっています。
現時点では動物による臨床前研究では
肺、心臓、脳において抗炎症、再生効果が確認され、
人においては少なくとも重篤な有害事象はなく
安全性が許容範囲にあるということです(8)。
それぞれの研究において
細胞種、用量、タイミングなど違いがあり
統一的な条件での大規模な臨床試験は行われていません。
人における効果確認のためには
さらなる協同的な臨床試験が必要であるということです(8)。
早産児において妊娠後期に受け取る大切な物質の内、
上述した幹細胞は含まれるかもしれません。
すでに気管支肺異形成症や低酸素虚血性脳障害など
重篤な疾患がみられるお子さんにおいては
幹細胞による治療が試みられています。
Shailaja Mane(敬称略)らの報告によると(25)、
母乳の幹細胞は時間の経過につれて
顕著に減少していくといわれています。
逆説的に考えると初乳には多くの幹細胞が含まれているという事です。
従って、分娩直後のクリティカルな時期に
授乳を円滑に行えるかどうかというのは
その後の赤ちゃんの組織形成を支える重要な要素の一つである
幹細胞供給という事においても大切な可能性があります。
また、上述したように
臍帯血から得られた幹細胞を補充するサポートが
特に超早産児において意義があるかどうか?
今後の研究の一つの視点になると考えられます。
(参考文献リンク)
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