2022年12月20日火曜日

COVD-19重症におけるSARS-CoV-2-Mタンパク質特異的CD8+T細胞機能不全

日本では特にすでに顕著ですが、
今後世界的に高齢化率が高まっていきます。
医療が発達すると
高齢まで生きられる人が増える為、
高齢の方をどのように感染症から守るか?
というのは日本だけではなく
世界のこれからの重要な問題であると考えられます。
新型コロナウィルス、インフルエンザにおいても
特に重要なのが、
重症化をどのように防ぐか?
ということです。
重症化はその患者さんやご家族はもちろんですが、
医療スタッフや社会にも影響を与えます。
言い換えれば、
重症化の治療が高度化して、
重症化率を小さくすることができれば、
感染症における医療や経済への負担を
小さくすることができます。
その点を考えても
新型コロナウィルス、インフルエンザともに
重症化の生理機序を理解する事は
非常に重要な問題になります。
--
Hideki Ogura(敬称略)らは
新型コロナウィルスの重症化した患者さんの
回復後の血液から、
重症化に関わると考えられる
免疫的な痕跡を明らかにしています(1)。

新型コロナウィルスの重症化を決める要因は
1つではないと考えられますが、
特に感染初期の急性期においては
Ⅰ型インターフェロンが十分に分泌して
働くことが重要であると考えられています。
逆に言えば
不十分なⅠ型インターフェロンは
重症化のリスクを高めると考えられています(2)。
このⅠ型インターフェロンは
T細胞から放出されることが考えられますが、
Hideki Ogura(敬称略)らは
そのT細胞を特定しました。
それは新型コロナウィルスの
エンベロープ膜のタンパク質である
Mタンパク質に特異的に働く
CD8+T細胞が関わっていることが示されています。
(Fig.1b)
重症化した患者さんでは
このMタンパク質に働くCD8+T細胞が疲弊していて
その機能が低下している事が確認されています。
免疫チェックポイントのPD1が
高まっていることが示されています。
(Fig.4d)
これによりⅠ型インターフェロンが
十分に機能しなかったことが示唆されます。
さらに中等症の患者さんでは
このMタンパク質特異的CD8+T細胞は
エフェクター表現型に偏っていましたが、
重症の患者さんでは
その偏りが崩れていたことが確認されています。
(Fig.4c)
PD-1の発現が本当にインターフェロンの産生を抑えるか?
これについては議論の余地があるとされています(4,5)。
しかし、
Hideki Ogura(敬称略)らは
「Severely exhausted PD-1」の発現は
Ⅰ型インターフェロンの産生を抑えるかもしれない
と議論されています(1)。
もし、PD-1の発現がⅠ型インターフェロンの産生を
抑えるのであれば、
免疫チェックポイント阻害薬は
重症の患者さんにおいて検討される余地がある
かもしれません。
実際にPD1抑制剤は
急性期を過ぎた状態での
免疫異常性が調整されたという報告もあります(3)。

(参考文献)
(1)
Hideki Ogura, Jin Gohda, Xiuyuan Lu, Mizuki Yamamoto, Yoshio Takesue, Aoi Son, Sadayuki Doi, Kazuyuki Matsushita, Fumitaka Isobe, Yoshihiro Fukuda, Tai-Ping Huang, Takamasa Ueno, Naomi Mambo, Hiromoto Murakami, Yasushi Kawaguchi, Jun-ichiro Inoue, Kunihiro Shirai, Sho Yamasaki, Jun-Ichi Hirata & Satoshi Ishido
Dysfunctional Sars-CoV-2-M protein-specific cytotoxic T lymphocytes in patients recovering from severe COVID-19
Nature Communications volume 13, Article number: 7063 (2022) 
(2)
Hadjadj, J. et al. Impaired type I interferon activity and inflammatory
responses in severe COVID-19 patients. Science 369,
718–724 (2020).
(3)
Cristian Loretelli et al.
PD-1 blockade counteracts post-COVID-19 immune abnormalities and stimulates the anti-SARS-CoV-2 immune response
JCI Insight. 2021 Dec 22;6(24):e146701
(4)
Rha, M. S. et al. PD-1-expressing SARS-CoV-2-specific CD8(+) T cells
are not exhausted, but functional in patients with COVID-19.
Immunity 54, 44–52.e43 (2021).
(5)
Rha, M. S. & Shin, E. C. Activation or exhaustion of CD8(+) T cells in
patients with COVID-19. Cell Mol. Immunol. 18, 2325–2333 (2021).


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