2022年9月25日日曜日 0 コメント

薬剤送達動態を光で解析するための考察

細胞外小胞や合成ナノ粒子を使った
ナノ医療の主要な目的は
標的部位に特異的に薬剤を送達することです。
その中でナノオーダーの技術も必要になります。
それを臨床で応用させていく際には
「本当に標的治療が実現されているか?」
それを解析によって確かめる事は
(何らかの方法で)必須です。
そこが明らかでないまま開発が進んでいくと
どこかで行き詰まる事が考えられます。
予期しない重要な発見も見落としてしまいます。
細胞外小胞や合成ナノ粒子の
物質としての設計はもちろん重要ですが、
それをどのように解析するか?
というのは同じくらい大切です。
その中で
薬剤が本当に標的部位まで特異的に届いているか?
これを、本日紹介する光や
遺伝子などによるラベリング技術などを含めて
何らかの方法で解析する必要があります。
--
その中で、
細胞外小胞や合成ナノ粒子が
体内でどのような薬物動態を示しているか?
体内でどのように広がり、
本当に標的部位に特異的に到達しているか
調べる一つの方法は
それらの送達媒体を自発的に発光させる
ということだと考えます。
特に
細胞外小胞は複雑性を有しますが、
様々な受容体があるので、
その受容体に蛍光発光する物質を結合させて
その蛍光発光を見るという事が考えられます。
実際に細胞外小胞で追跡する研究が
Abir Mondal(敬称略)らによって示されています(6)。
一方で
Daisuke Ino(敬称略)らは
オキシトシンに対して
マウスのケースで脳にカニューレを差し込んで
サイト特異的にオキシトシンの蛍光発光を
確認しています(1)。
この時に重要なのは
安定的な結合親和性と、
リガンド特異性、
結合による下流経路の最小化、
蛍光発光の寿命の長さ、
これらです。
生体内での蛍光発光を安定的に評価するためには
これらの特性基準があります。
特に細胞外小胞の場合は選定できる表面受容体が
体内にある自然の受容体と一致、類似するので
そこから適切な結合因子を見つける事において
自由度が高く、有利かもしれません。
このように侵襲すれば、
生体内でのその場解析が可能になるかもしれない
ということです。
--
一方、
細胞内の信号の伝達物、セカンドメッセンジャーである
Caイオンを発光させて、細胞内の挙動を
可視化する研究もあります。
Wenchao Zhu(敬称略)らは
その蛍光発光効率を高めています(2)。
実際に細胞外小胞、合成ナノ粒子内に
Caイオンに反応する蛍光物質を入れておいて、
それを透明なゼブラフィッシュに注入する事で
細胞外小胞内のCaイオンによって
小胞が光った状態を維持し、
送達経路を時空間で可視化することができるか?
しかし、
実際にエクソソームの数と
蛍光発光させる物質の量を考慮に入れた時に
手順として現実的なものになるのか?
という視点も私にはあります。
結果では細胞一個の発光を見ているので
それくらい多くの数の小胞に入れる事が
多くの労力を有することになってしまい
非現実的なのか?
そこは私は未知ですが、
「細胞を光らせる事ができるならば、
細胞外小胞を光らせる事もできるのか?」
と考えました。
例えば、細胞内に蛍光物質を入れたら
ある程度、カルシウムイオン依存的に
エクソソーム内にそれらの蛍光物質が
含まれるということがあるかどうか?
それができれば、少し労力は軽くなるかもしれません。
一方で、
労力の問題は脇に置けば、
細胞外小胞や合成ナノ粒子内に
蛍光物質とカルシウムイオンを
同時に封入させることもできます。
重要なのは、カルシウムイオンや
蛍光物質が細胞外小胞や合成ナノ粒子に
守られて、外に流出せず
小胞外で偽発光しないような
システムを組めるか?ということです。
血中にもカルシウムイオンがあるため
特に蛍光発光の物質の小胞内の
閉じ込めが可能か?ということが重要です。
そういった視点もあります。
--
一方で、
Naoki Watanabe(敬称略)らによって開発された
多重高密度標識超解像顕微鏡IRIS
という解析方法があります。
解離速度の速い抗体を使い、
結合・乖離を繰り返す中で
多重解析することによって
分解能を数十nmまで下げる事を可能にしています(3-5)。
こうした方法はより細かい領域で
高解像度の分析をすることで
サブ細胞レベルの解析が可能になると考えられますが、
それよりも大きい組織や臓器全体を解析しようと思った時
現実的な時間で解析できる視野の問題で
適していない可能性があります。
しかしながら、
同じ方式で分解能を下げて荒く分析する事で
この測定法のメリットを生かしながら、
より広い視野での解析が可能になるかもしれません。
--
これらを総合的に考えると
細胞外小胞や合成ナノ粒子を
生体内で追跡していくか?を考える場合において
細胞外小胞やナノ粒子を
どのように発光させ、可視化するか?
この時には必ずしも「人の眼の」可視光である
必要はありません。
そしてそれをどのように検出するか?
これらの事に収斂します。
一般的に顕微鏡で高精度に観察してく時には
対象物に対してレンズを近づけていく必要があるので
生体内で観察していく際には
対象物との間に存在する組織による
隔たり、距離によって
ある程度制約をうけてしまいます。
多重に解析したり、
その中でコンピューター解析を組み合わせることで
そうした制約の一部は解消されるかもしれません。
また、
検出器を組織内に侵襲させる事で
組織深部の解析をすることが可能です。
しかしながら
エクソソームの大きさは100nmくらいで
人の身体の大きさは1mを超えます。
人の循環器の中での
エクソソームなどの薬剤の振る舞いを
観察しようと思ったときには
理想的には、
7桁のダイナミックレンジが必要となります。
従って、
エクソソーム、合成ナノ粒子一つ一つを
高精細に取りながら、
身体全体での薬剤の動態を可視化して
観察していく事は現実的ではありません。
また、生きたまま、そのまま、
その場観察する事にもいくつか制限があります。
人の場合は光が透過しにくいため
その点での限界もあります。
上述したこと以外に
対象物が動くことも制限になるかもしれません。
従って、いくつかの妥協や組み合わせが
必要になると考えられます。
例えば、
マウスなどのケースにおいて
まずは病変部位を特定し、
大きな臓器や組織ごとに
薬剤がどのように輸送されているかを見ます。
情報元は失念しましたが
そういう臓器別の薬剤送達の分析は
すでに可能だと認識しています。
臓器にも様々な細胞種がありますから
そこから臓器、組織をサンプリングして、
そこからスケールを下げていって
より細かい分析をしていきます。
しかし、そうした処理の間に
細胞外小胞や合成ナノ粒子が届いた痕跡が
消えてしまわないかという事も懸念されます。

(参考文献)
(1)
Daisuke Ino, Yudai Tanaka, Hiroshi Hibino & Masaaki Nishiyama 
A fluorescent sensor for real-time measurement of extracellular oxytocin dynamics in the brain
Nature Methods (2022)
(2)
Wenchao Zhu, Shiori Takeuchi, Shosei Imai, Tohru Terada, Takumi Ueda, Yusuke Nasu, Takuya Terai & Robert E. Campbell 
Chemigenetic indicators based on synthetic chelators and green fluorescent protein
Nature Chemical Biology (2022)
(3)
Qianli Zhang, Akitoshi Miyamoto, Shin Watanabe, Takao Arimori, Masanori Sakai, Madoka Tomisaki, Tai Kiuchi, Junichi Takagi, and Naoki Watanabe
Engineered fast-dissociating antibody fragments for multiplexed super-resolution microscopy
Cell Reports Methods 2, 100301, October 24, 2022
(4)
Takushi Miyoshi, Qianli Zhang, Takafumi Miyake, Shin Watanabe, Hiroe Ohnishi, Jiji Chen, Harshad D. Vishwasrao, Oisorjo Chakraborty, Inna A. Belyantseva, Benjamin J. Perrin, Hari Shroff, Thomas B. Friedman, Koichi Omori, and Naoki Watanabe
Semi-automated single-molecule microscopy screening of fast-dissociating specific antibodies directly from hybridoma cultures
Cell Reports 34, 108708, February 2, 2021
(5)
Tai Kiuchi, Makio Higuchi, Akihiro Takamura, Masahiro Maruoka & Naoki Watanabe 
Multitarget super-resolution microscopy with high-density labeling by exchangeable probes
Nature Methods volume 12, pages743–746 (2015)
(6)
Abir Mondal, K. A. Ashiq, Prashant Phulpagar, Divya Kumari Singh & Anjali Shiras 
Effective Visualization and Easy Tracking of Extracellular Vesicles in Glioma Cells
Biological Procedures Online volume 21, Article number: 4 (2019) 


2022年9月24日土曜日 0 コメント

エクソソーム仲介核膜タンパク質Lem2による核内RNA分解

細胞内では核酸、タンパク質、脂質などの
物質が異常に蓄積すると
細胞内の形質において様々な問題が生じます。
例えば、
この記事で焦点を当てている
RNAも分解されず蓄積すると
RNA-DNA混成による遺伝子不安定性が生じる
とされています(2)。
これは潜在的な癌化と関連があるかもしれません。
Lucía Martín Caballero(敬称略)らは
分裂酵母の核膜タンパク質であるLem2が
複数の構造とのヘテロ多量体の中で
様々な機能を持って
細胞核-エクソソーム仲介の
RNA分解を制御している事を示しています(1)。
その要約、背景と結果の一部を参照し、
その内容に対して、
RNA治療の観点での考察を加えました。
それらの内容を
読者の方と情報共有したいと思います。

//要約(1)//ーー
転写因子として不活性なクロマチンは
細胞核の周辺部に度々局在化しています。
しかしながら、
核膜(NE)が転写後の遺伝子抑制のためのサイトであるか
どうかははっきりとはわかっていません。
ここで
分裂酵母 (Schizosaccharomyces Pombe)の核膜タンパク質
であるLem2は細胞核-エクソソーム仲介のRNA分解を
制御していることが
Lucía Martín Caballero(敬称略)らの研究によって
示されました(1)。
Lem2の欠失は
RNA前駆物質、減数分裂転写産物の蓄積
細胞核周辺部からの
エンジニアリングされたエクソソームの非局在化。
これらを引き起こしました。
Lem2は直接的にRNAに結合せず、
その代わりに
エクソソーム標的のMTREC複合体とヒト相同体PAXTと
相互作用します。
それによってRNA引き寄せを促進します。
この経路はエクソソーム因子が合成される
核小体とは独立して生じます。
栄養の利用性は
減数分裂転写産物のLem2制御を改変します。
この経路は環境的に反応が早いです。
この研究は複数の空間的に特異的なRNA分解経路が存在する
事を示しています。
これらの間で、Lem2は
減数分裂転写産物とノンコーディングRNAsの
RNA監視を調和させます。
それはエクソソーム共同因子を
細胞核の周辺に引き寄せる事に寄って生じます。

//背景//ーー
真核生物の全遺伝子情報は広範に書き換えられていて
遺伝子内、遺伝子間の領域、反復成分から
センス、アンチセンスRNAsを生じさせます。
暗号化された不安定転写産物の蓄積は
RNA-DNA混成を通じて遺伝子不安定性を引き起こします(2)。
他のコーディング、ノンコーディングRNAは
連続的に書き換えられていますが、
特定の発達ステージの間に機能化します。
例えば、
分裂酵母の減数分裂mRNAsは表現されていますが、
栄養細胞内で急速に分解されます(3-6)。
継続的な監視がRNA転写産物の異常な蓄積を防ぐために必要です。
それは細胞核、細胞質経路両方で生じます。
しかしながら、
どのようにRNA分解経路が細胞核の中で調和されているか?
これについては十分に理解されていません。
転写因子のサイレンシングの中で
核周囲のアンカリング(固定化)の役割は
活発に研究されていますが、
転写後の抑制における細胞核組織の効果は不明瞭です。
--
真核生物の細胞核RNA分解は
細胞核エクソソーム、
タンパク質複合体である
Rrp6  (ribosomal  RNA  processing  6) 
Dis3/Rrp44(7)6
によって仲介されます。
RNA監視経路は基質特異性、RNAプロセシングに関与します。
それが
RNA2次構造をほどく
ポリアデニレーション、RNAヘリカーゼ活性を通して
エクソソーム標的複合体をアシストします(7)。
分解酵母では
これらの標的化複合体は
TRAMP(Trf4/5–Air1/2–Mtr4 polyadenylation) 
MTREC(Mtl1–Red1  core)
これらを含みます。
TRAMPは
non-canonical poly(A) polymerase(Cid14; Trf4/Trf5)
zinc-knuckle RNA-binding protein (Air1)
RNA helicase (Mtr4)
これらから構成されます。
分裂酵母TRAMPは動原体周囲の反復構造に由来する
転写因子を分解し、
CUT排除や低分子RNA(snoRNA)プロセシングにおいて
小さい役割(minor roles)を果たします(8-10)。
MTREC複合体は、NURS (nuclear RNA silencing)
として知られていますが、
Mtr4-like helicase Mtl1 
Zinc-finger domain protein Red1 (RNA elimination defective 1).
これらから構成されます。
MTRECはCUTs、減数分裂、
非スプライス転写産物の代謝回転を仲介します(10-12)。
また、これは
人のPAXT(poly(A)  tail  exosome  targeting)複合体と
相同な機能をもちます(13)。
MTRECは11-subunit super complex内で構成されます。
そこでは
Red1が異なるサブ分子で足場を組みます。
そして、Mtl1を通してRrp6を引き寄せます(11,12,14)。
MTRECを構成するサブモジュールは異なる活性を持ち、
Canonical Poly(A) polymerase  Pla1  
Complexes  Red5–Pab2–Rmn1,  
Ars2–Cbc1–Cbc2,
Iss10–Mmi1 
これらを含みます(10,15-20)。
--
エクソソーム標的と機能は分裂酵母の
減数分裂の転写産物代謝回転の観点で
よく理解されています。
YTHタンパク質Mmiは
DSR(determinant of selective removal)のシーケンスといsて
知られてたヘキサヌクレオチドモチーフ(UNAAAC)を
認識します(3,4,21)。
基質の結合はMmi1の2量体化と
パートナーErh1(enhancer of rudimentary homolog 1)との
相互作用を必要とします。
それ4量体のErh1-Mmi1複合体(EMC)を形成します。
EMCはRNA基質を取り込み、
それらの細胞核からの放出と転写を抑制します(22-26)。
MmiはSer-とPro-richタンパク質Iss10(also called Pir1)と結合し、
Mmi1-MTREC相互作用(結合のため)を架橋します(10,12,14,27)。
いくつかのDSR含有の遺伝子は
Mmi1-, Red1-, Rrp6依存的な様式で
H3K9meによって印がつけられます。
それは制御のためのもう一つの層を付加します(6,11)。
Rrp6相互作用とストレス暴露の間に
RNAiを使った選択的分解経路は
HOODs((heterochromatin domains)として知られる
いくつかの遺伝子座でのH3K9me蓄積の結果となります(28)。
栄養細胞の中では
エクソソーム因子は
1つ、または複数の核内フォーカスの中に
組み立てられます。
EMC含有のフォーカスは
Erh1とMmiの結合を必要とします(25,29)。
しかし、
Red1フォーカス形成やEMCでMTRECの共局在化のため
Iss10は重要です(14,27,29)。
減数分裂の間は
Issは不安定になり、Red1フォーカスは消失します(14,30)。
これはMmi1がMTRECから解離し、
Mei2ドット内へ崩壊します。
これはRNA結合したタンパク質Mei2と
ノンコーディングRNA sme2(meiRNA)からなる核構造です(3,31)。
sme2+遺伝子座でのMei2とmeiRNAはMmi1を回収します。
結果として、Mmi1依存性RNA排除を不活性化します(31-33)。
Iss10の分解と核内フォーカスの分解は
減数分裂転写産物の蓄積と同時に生じます(30)。

Lucía Martín Caballero(敬称略)らが
Fig.7に示している様に
核内フォーカス内に
不要なRNA転写産物が様々な物質と複合体化しています。
様々な物質とは
Mmi1, Red1, MTREC, EMC, Iss10です。
これがエクソソームに輸送されることで
RNA転写産物は代謝回転し、
RNA生成、分解の中の恒常性が維持されると理解しています。
しかし、複合体構成要素の中の
Issが不安定になるとこれらの複合体は崩壊していきます。
それによって分解酵母における減数分裂の
転写産物蓄積を引き起こすと考えられます。
一方で、
この報告で焦点が当てられているLem2依存のケースで
Lem2がRNA一本鎖を捕獲しているMTREC, Red複合体
と相互作用し、Mmi1とはこれらの複合体を介して
間接的に相互作用し、核膜付近の細胞核周辺部に引き付け
さらに細胞核エクソソームを誘引し、
RNAを分解させると理解しています。
--
Iss依存的なフォーカスは
特定のRNA分解サイトを示します(27,29)。
--
転写因子として不活性なクロマチンと
抑制的なヒストン改変酵素は
細胞核の周辺へ回収されます(34)。
メチルトランスフェラーゼCIr4は
細胞核周辺のヘテロクロマチンにH3K9meをマークします(35)。
それはHP1(ヘテロクロマチンタンパク質1)
クロマチンドメインタンパク質によって認識されます(36,37)。
このヘテロクロマチンのプラットフォームは
Snf2-like/HDAC含有抑制因子複合体SHRECを引き寄せます。
それによってRNAポリメラーゼⅡ(PolⅡ)への
アクセスを制限します(38)。
いくつかのNEタンパク質は
ヘテロクロマチンのサイレンシング、細胞核周辺の局在化に
関与します(39-41)。
Lem2は
LEM(LAP2,emerin, MAN1)と
MSC(MAN1-Src1p C-terminal)
ヌクレオプラスミックドメイン
を含む内側細胞核被膜(INM)の
保護された不可欠のタンパク質です。
LEMドメインは動原体テザリングに関与しますが、
MSCドメインはヘテロクロマチンサイレンシングを
仲介します(39,42-44)。
Lem2はSHRECをヘテロクロマチンに引き寄せる事を促進します。
そのことがヘテロクロマチンのサイレンシングと
核構造化とリンクします(39)。
Lem2が遺伝子制御の他のモードと関与しているかどうかは
はっきりとはしていません。
--
ここで
Lucía Martín Caballero(敬称略)らは
ノンコーディングRNAsと減数分裂遺伝子の抑制における
Lem2の総合的な役割を明らかにしています。
それはヘテロクロマチンのサイレンシングの機能とは
異なります。
Lem2は細胞核のエクソソームと共同し、
MTRECサブユニットRed1とヒトの同族体と
物理的に相互作用しました。
Lem2はエクソソーム基質の細胞核周辺の局在化と
Mmi1とRec1によるそれらの認識において重要です。
Lem2によって支援されたRNA標的は
Iss10とErh1、核フォーカス内でのそれら複合体とは
ほとんど独立の機序です。
さらに
Lem2はCUT分解とsnoRNA3'プロセスに関与します。
多数のRNA分解経路が存在し、
特異的なサブ細胞核構造に局在化します。
Lucía Martín Caballero(敬称略)らは
Lem2が細胞核周辺において
標的となるエクソソームによるRNA分解と
共同して働くことによって
RNA恒常性のための監視を支援していることを示しています(1)。

//結果概要(1)//ーー
Lem2はノンコーディんグRNAsと減数分裂遺伝子の
抑制を仲介しています
Fig.1aよりLem2レベルを変化させ、
それが増加することによって
様々なRNA、減数分裂遺伝子が減少していることがわかります。
--
Lem2と細胞核エクソソームは
RNA代謝回転サイクルにおける監視において共同して働いています。
そのためのタンパク質分解においては
多数の分解経路を通じて生じてます。
また、
Lem2は異なる基質種が持つ特異的な経路と
連携することによってRNA分解において
広範な役割を担っていることが示されています。
--
Lem2はエクソソームへ走化性を示す
Exosome targeting factor Red1と相互作用します。
それらの複合体の中で
Lem2のMSCドメインがREd1との相互作用の中で
関与します。
--
Lem2は細胞核周辺でエクソソーム標的の
サイレンシングを制御します。
その制御は主に細胞核周辺部で生じる
ことが確認されています。
Lem2はFigure.7で示されるように
核膜のタンパク質なので、
その作用点は必然的に細胞核周辺部となる
と考えられます。
--
Lem2はエクソソーム標的因子との
RNA標的の結合を促進します。
--
Lem2はRNA認識の初期のステップで
重要な役割を果たします。
--
複数の経路がエクソソーム仲介の
RNA分解に関与します。
Lem2によるRNA制御は
核内フォーカスに関連する
エクソソーム因子と独立で生じます。

//RNA治療の観点での考察//ーー
この報告はRNAの分解の機序、重要性を示しています。
細胞外小胞や合成ナノ粒子で
RNA治療を行う際に、
注意しなければいけないのは
特にmiRNAを含め、RNAを細胞内に送達させる際に
その転写産物が異常に蓄積しないように
管理する必要があります。
言い換えれば、
分解するための機序を維持することと
その維持能力を超えないように管理する事が
必要かもしれません。
仮に、細胞単位におけるオフターゲットが生じ、
通常細胞のRNAレベルが
細胞外小胞や合成ナノ粒子を使ったRNA治療で
意図しない形で上昇してしまうと
それによってRNA-DNA混成により
遺伝子不安定性が生じ、
結果として癌化してしまう可能性もあります。
RNA標的化治療を行う際には
分解を含めたサイクルと標的性について
少なくとも確保する必要があります。

(参考文献)
(1)
Lucía Martín Caballero, Matías Capella, Ramón Ramos Barrales, Nikolay Dobrev, Thomas van Emden, Yasuhiro Hirano, Vishnu N. Suma Sreechakram, Sabine Fischer-Burkart, Yasuha Kinugasa, Alicia Nevers, Mathieu Rougemaille, Irmgard Sinning, Tamás Fischer, Yasushi Hiraoka & Sigurd Braun 
The inner nuclear membrane protein Lem2 coordinates RNA degradation at the nuclear periphery
Nature Structural & Molecular Biology (2022)
(2)
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21, 812–832 (2016).

2022年9月23日金曜日 0 コメント

ターゲットバリデーションのためのデグロンタグ技術

//(仮の)理解と考察//ーー
CRISPR-Cas9を使った遺伝子操作や
合成ナノ粒子や細胞外小胞を使ったRNA治療などでは
標的となるたんぱく質が存在します。
近年の分子標的療法でも
特定のタンパク質分解を目的とする薬もあります。
その薬の送達がうまくいって
「タンパク質が分解された時」に
身体の中でどのような変化が起きるか?
というのは未知の部分があります。
言い換えれば、
薬がどのような効力を発揮するか?
ということです。
しかし、
CRISPR-Cas9, shRNAなどの遺伝子操作では
下述するように
〇オフターゲット効果(特にshRNA(6,7))、
〇遅い活動機序、
〇POI(CRISPR)の不可逆的な変化、
〇POI抑制の範囲の滴定の不可。
これらの課題があります。
これらの技術は
小分子や生物学的な抑制剤で見られる
表現型の結果を度々反復しません。
Daniel P. Bondeson(敬称略)らは
Conditional degron tags (CDTs)という方法を使い
特定のタンパク質の増減を
可逆的な様式で可能にしています(1)。
このCDTsは下述するように
タンパク質分解薬剤を使った時の
融合されたパートナータンパク質分解の感度を向上させます。
急速な分解と、
薬剤除去後の可逆的な回復、
オフターゲットの確認性が与えられます。
特定の(?)タンパク質の増減の感度が上がる事によって
そのたんぱく質が薬理として
どのような機能性を有しているかの評価を助ける
と考えられます。
--
要約、背景部分は丁寧に参照し、
それ以外の多くの部分については
結果が示される図を中心に一部参照しました。
内容に関しては
特に上述したことを主に
概念的な理解、考察に重きを置いて
記事を作成しました。
その内容を読者の方と情報共有したいと思います。

//要約(1)//ーー
条件付きデグロンタグ(Conditional degron tags:CDTs)は
遺伝子的な操作の一般化可能性を持つ
薬理作用のある物質の薬物動態(薬物の動き)と
可逆的作用を組み合わせる
ターゲットバリデーションのための強力なツールです。
しかしながら、
CDT融合タンパク質の設計の成功は
多くの時間、
構成されるデザインの特別な目的のサイクル
失敗、
再設計などを必要とします。
この制限に立ち向かうため
Daniel P. Bondeson(敬称略)らは
5つの特別なCDTs
(AID/AID2, IKZF3d, dTAG, HaloTag, and SMASh)。
これらの活性を迅速に比較するための
システムを報告しています(1)。
16の特別なたんぱく質標的に対して
このシステムの有用性を示しています。
発現と分解は特異的なCDT、構成設計、標的に高く依存します。
どのCDTsも全ての標的に対して
効率的な発現及び/または分解を示しませんでした。
しかしながら
この系統的なアプローチは
それぞれの標的に対して
少なくとも一つの最適なCDT融合体、複合体の発見を
可能にします。
CDT戦略がもっと広範に可能になるために
Daniel P. Bondeson(敬称略)らは
コミュニティーの資源として利用できる
これらの試薬、詳細な手順を作りつづけてきました。

//背景//ーー
生物医学研究の主要な関心事は
新手の治療標的の発見です。
多くの標的が
全ゲノム関連解析、大規模な機能的実験で
生じてきています(2,3)。
しかし、度々、性質化する事が難しいです。
それが魅力的な機会と付随的な困難な課題を生じさせます。
新手の
細胞動態や機能を知りたいタンパク質
(protein of interest, POI)。
これの基本的な生物学的な機能は知られていません。
その機能を変化させる(摂動)の結果は
予測できません。
この未知は
治療効果と潜在的な通常組織毒性の両方を
見積もることと関連します。
不運にも
前臨床試験から予測した開発コンセプトをヒトで確認するための
コンセプト証明の効果、安全性を可能にする
ツールの生成は時間と資源を必要とします。
そのような物質は
標的認証研究の初期で利用できません(4,5)。
--
CRISPR/Cas9やshRNAを含む遺伝子的抑制戦略は
標的認証のため価値がある、一般化が可能なツールです。
しかしながら、
これらの方法は
〇オフターゲット効果(特にshRNA(6,7)5,6)、
〇遅い活動機序、
〇POI(CRISPR)の不可逆的な変化、
〇POI抑制の範囲の滴定の不可。
これらの課題があります。
これらの技術は
小分子や生物学的な抑制剤で見られる
表現型の結果を度々反復しません。
この懸念に立ち向かうため
転写後のタンパク質制御のための
化学的遺伝子システムが発達してきています。
これは
条件付きデグロンタグ(Conditional degron tags:CDTs)。
これとして参照されます。
このシステムは
分解薬剤(degader drug)による治療後すぐに
調整可能なたんぱく質分解に対して
複合体化されたタンパク質パートナーを敏感にさせる
タンパク質タグを働かせます(8-17)。
CDTsは
急速な分解動力
薬剤除去の後のタンパク質可逆的回復
分解薬剤のオフターゲット効果の可確認性。
これらが与えられます。
--
CDTsは初期の標的認証のための強力なツールとしての
約束を示しましたが、多くのPOIsに対する一般化可能性は
系統的に評価されてきませんでした。
これらの異なるCDTsを癌関連標的に適用した時
高く価値ある結果を見つけてきました。
それはこの研究に対するCDTsの使用のための
能力に顕著な影響を与えました。
2つの可能性が示されます。
特定のCDTsは強固な活性を持つ様々なPOIに対して
広範に使うことができます。
それぞれのPOIは独特な戦略を必要とします。
多数のCDT戦略の系統的な評価を必要とします。
--
Daniel P. Bondeson(敬称略)らは
16の異なるPOIsのN-terminusとC-terminusの
どちらかに融合させ
強いもしくは弱いプロモーター下で
V5融合として表現された
5つの異なるCDTsがどれだけ強固であるか?
その一般化可能性はどうであるか?を評価しました(1)。
重要なのは
どのCDTsも全ての標的に対して最適に
機能を発揮しませんでした。
その代わりに
発現レベルと薬剤誘導の分解は
予測できない様式で、変化に富んでいまいた。
異なるCDT融合の系統的な分析は
それぞれのPOIのため分解されたCDTsの確認を可能にしました。
最後に、二つのPOIsに対する機能的アッセイの中で
多数のCDTsを比較しました。
ワイルドタイプのタンパク質の発現と遺伝子的不活性
両方の表現型模写された
少なくとも1つのCDT融合タンパク質を確認しました。
これらの結果は
多数のCDTsの並列テストが
標的認証研究のためのPOI-CDT融合の急速かつ成功的な発展を
可能にすることを示しています。

//内容と考察//ーー
実際に、どのタグがどのタンパク質に感度があるか?
薬剤除去後のタンパク質量の復活の時系列データ。
タンパク質現象がもたらした機能(細胞成長)などが
調べられています。
その中でタンパク質特異性や回復率、時間、
細胞成長の度合いなどが示されました。
--
今の私の理解では
この技術を試験管から超えて、
生体内で生かすためには
「タグ」を生体内の狙いのタンパク質に
生体内にタグを投与する事によって結合させ
薬剤を投与してタンパク質の分解の感度を上げる
ということです。
この技術は「薬剤が作用した時の」
分解速度、感度に影響を与え、
また、薬効が失われたときに可逆性を持つという事です。
生体内での利用において重要なのは
本当に狙いのタンパク質が増減しているか?
この確認をどうするか?ということです。
標的化治療では
特定の細胞種、組織で特異的に働かせたいわけですが、
その部位においてタンパク質が本当に変化しているか?
というのをどう分析するかということです。
デグロンタグとタンパク質分解薬剤を共に
標的タンパク質がある組織、細胞まで
送達する事が一つ生体内の利用で重要なのであれば、
タグとタンパク質薬剤を共に
特異的に送達できる可能性がある
合成ナノ粒子や細胞外小胞は利用できるか?
という観点があります。
この案が的外れではないか?どうかということです。
ターゲットバリデーションとは
「疾患関連分子から創薬ターゲットを選定し、
創薬ターゲットを介した明確な薬効と安全性を証明すること。」
とあります(18)。
それのために試験管を超えて
このCDTsモデルで
動物モデルや人で行う際には
どのような必要条件があるか?ということです。
いずれにしても
細胞外小胞や合成ナノ粒子で狙いとしている
精密医療においても
ターゲットバリデーションは重要になります。

(参考文献)
(1)
Daniel P. Bondeson, Zachary Mullin-Bernstein, Sydney Oliver, Thomas A. Skipper, Thomas C. Atack, Nolan Bick, Meilani Ching, Andrew A. Guirguis, Jason Kwon, Carly Langan, Dylan Millson, Brenton R. Paolella, Kevin Tran, Sarah J. Wie, Francisca Vazquez, Zuzana Tothova, Todd R. Golub, William R. Sellers & Alessandra Ianari 
Systematic profiling of conditional degron tag technologies for target validation studies
Nature Communications volume 13, Article number: 5495 (2022)
(2)
Meyers, R. M. et al. Computational correction of copy number effect
improves specificity of CRISPR-Cas9 essentiality screens in cancer
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(3)
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Achilles genome-scale CRISPR screens in cancer cell lines. Preprint
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(4)
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(5)
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Nat. Chem. Biol. 11, 536–541 (2015).
(6)
Tsherniak, A. et al. Defining a cancer dependency map. Cell 170,
564–576.e16 (2017).
(7)
McDonald, E. R. 3rd et al. Project DRIVE: a compendium of cancer
dependencies and synthetic lethal relationships uncovered by
large-scale, deep RNAi screening. Cell 170, 577–592.e10 (2017).
(8)
Wu, T. et al. Targeted protein degradation as a powerful research
tool in basic biology and drug target discovery. Nat. Struct. Mol.
Biol. 27, 605–614 (2020).
(9)
Yesbolatova, A. et al. The auxin-inducible degron 2 technology
provides sharp degradation control in yeast, mammalian cells, and
mice. Nat. Commun. 11, 1–13 (2020).
(10)
Nishimura, K., Fukagawa, T., Takisawa, H., Kakimoto, T. & Kanemaki,
M. An auxin-based degron system for the rapid depletion of pro-
teins in nonplant cells. Nat. Methods 6, 917–922 (2009).
(11)
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protein degradation. Nat. Chem. Biol. 14, 431–441 (2018).
(12)
Nabet, B. et al. Rapid and direct control of target protein levels with
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(13)
Koduri, V. et al. Peptidic degron for IMiD-induced degradation of
heterologous proteins. Proc. Natl Acad. Sci. USA 116,
2539–2544 (2019).
(14)
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targeted by thalidomide analogs through CRBN. Science 362,
eaat0572 (2018).
(15)
Buckley, D. L. et al. HaloPROTACS: use of small molecule PROTACs
to induce degradation of HaloTag fusion proteins. ACS Chem. Biol.
10, 1831–1837 (2015).
(16)
Tovell, H. et al. Rapid and reversible knockdown of endogenously
tagged endosomal proteins via an optimized HaloPROTAC degra-
der. ACS Chem. Biol. 14, 882–892 (2019).
(17)
Chung, H. K. et al. Tunable and reversible drug control of protein
production via a self-excising degron. Nat. Chem. Biol. 11,
713–720 (2015).
(18)
三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
ターゲットバリデーションとは


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腫瘍組織全体におけるmiRNAsの役割とナノ医療

H I Suzuki, A Katsura, H Matsuyama & K Miyazono(敬称略)は
遺伝子発現の調整を行う
miRNAsの機能を癌病理に対して総括されています(1)。
癌に対しては、癌細胞だけではなく
腫瘍成長に影響を与えると考えられる
癌微小環境においても主要な項目として取り上げています。
それぞれに対する
miRNAsの関わりが示されています。
その内容を丁寧に参照し、
細胞外小胞の知識、情報、治療を視野に入れながら
記事作成をしていきました。
その内容を日本、世界の読者の方と
情報共有したいと思います。

//要約//ーー
癌の発生と進行は、
癌細胞それ自体の振る舞いと
腫瘍組織の発展によって定義されます。
それらの両方は
癌細胞と周辺の微小環境のクロストーク、相互作用によって
改変されます。
癌研究の発展は腫瘍組織周辺の微小環境の
持続的な進化、発展の重要性を示してきました。
それは、
腫瘍の形成、転移、治療に対する抵抗性を導きます。
MicroRNAs(miRNAs)はスモールノンコードRNAで
mRNAなどの転写因子遺伝子の制御の主要なプレイヤーとしての
機能を有します。

このmicroRNAは細胞外小胞(エクソソーム)が
細胞間のコミュニケーションにおいて生理に大きく影響を与えるための
媒体となる主要な内腔に含まれる積載物質です。
例えば、
癌生成特有のmiRNAsが癌細胞からエクソソームとして放出され、
その細胞が離れた組織の細胞に送達され、取り込まれた時
受け細胞は癌の形質に影響を受け、一部引き継ぐことになります。
具体例としては
miR-132には細胞形質同調に影響を与え
分化が速い細胞と遅い細胞の偏差を小さくし、
分化が同調して行われる機能があるとされています。
このmiR-132はこれらの分化速度が異なる細胞間で
細胞外小胞を介して輸送されます(2)。
--
これらのmiRNAsの機能は癌細胞の自律的な振る舞いの
多くの状況において
腫瘍促進、腫瘍抑制の両方の機能を持ちます。

場合によっては癌成長を促すし、
それ以外のケースでは抑制するケースもあるという事です。
従って、miRNAsを使った細胞外小胞の治療においては
両者の機能を併せ持っていることを十分に理解し、
促進を弱め、抑制を引き出すように設計する必要があります。
--
理論的に癌細胞の遺伝子調整ネットワークの不全は
通常の周辺細胞の(癌細胞への)改変の為の
駆動力の一つであると考えられます。
この脈略において
miRNAsのコア標的である
「miRNA regulons」は
腫瘍微小環境の様々な改変を含むため
研究が現在進行形で広がっていっています。
近年のmiRNAsの発展は
癌微小環境の進化の中でのmiRNAよる
2つの重要な役割を示しています。
1つは
細胞自立的ではない機序を通した微小環境に
癌細胞のmiRNAが転換すること。
もう1つは
近隣の細胞のmiRNAsが癌細胞の形質を安定化させること。
これらです。
これら2つの役割は癌微小環境における
miRNAsの長距離、短距離の伝達機能を
それぞれ象徴します。
miRNAsによる制御は
〇癌の血管生成
〇免疫逃避
〇癌-間質相互作用
これらに影響を与えます。
H I Suzuki, A Katsura, H Matsuyama & K Miyazono(敬称略)
の総括は癌微小環境のmiRNA仲介の制御の機序の理解を
任意に設計された治療介入の観点で要約する事を目的とします(1)。

//序論//ーー
癌治療における近年の進展は
いくつかの新世代の治療様式を生みだします。
その中で癌治療の予後は顕著に向上してきました。
しかしながら、
とりわけ進行性、難治性の癌では特に
まだ改善の余地があります。
従来の治療選択肢においては再発する可能性があります。
癌治療は癌組織内での
全ての癌細胞の根絶を理想的には狙いにしますが
近年では
癌細胞の標的と腫瘍組織の標的は同じではない
ということが強調されてきています。
癌の発生や進行は
癌細胞そのものの振る舞いだけではなく
腫瘍組織の発達によっても生じます。
つまり、
癌細胞と周辺の微小環境のクロストーク、相互作用によって
癌の発生や進行が制御されているという事です(3-5)。
近年の癌研究は
〇腫瘍組織の形成
〇転移
〇癌治療への耐性の獲得
これらを促進させる
腫瘍組織の微小環境の定期的な進化の重要性を
強調しています(5)。
--
腫瘍組織の微小環境は異種性が強く
〇線維芽細胞
〇内皮細胞
〇周皮細胞
〇免疫細胞
〇骨髄性間質幹細胞、前駆細胞
〇周辺の細胞外マトリックス
これらを含む様々な細胞種を含みます(3-5)。
これらの細胞は通常細胞由来であり、
腫瘍組織の発展の間に改変します。
例えば、
固形の多くのタイプは様々な度合いの
間質細胞浸潤、細胞外マトリックス蓄積
つまり線維形成を伴っています。
このような癌の腫瘍組織リモデリングは
癌細胞の成長、間質液の上昇などを可能にします。
それが抗がん剤の送達を阻害します(4-6)。
癌関連線維芽細胞(CAFs)は
これらの反応に多様な貢献をします(4,5)。
--
MicroRNAs(miRNAs)はスモールノンコーディングRNAsで
様々な細胞種内で転写後の遺伝子制御の
主要なプレイヤーです(7)。
細胞生物学の重要性を反映しながら
miRNAsは癌生物学で重要な役割を果たします。
様々なたんぱく質コード癌遺伝子、
腫瘍組織抑制遺伝子に加えて、
従来の研究では癌細胞の振る舞いの中での
多面的なmiRNAs役割を担っていることが示されてきました。
例えば、
〇継続的な増殖
〇細胞死の抵抗性
〇成長抑制因子からの逃避
〇不死性の獲得
〇組織侵襲表現型の獲得
これらなどです(3,8)。
例えば、
miR-34aは成長の制御
miR-2は細胞の増殖
miR-200ファミリーは上皮間葉転換。
これらに関わっています(9)。
--
加えて、
近年の研究では
癌細胞のmiRNAsは細胞非自律的な機序で
微小環境を改変する事、
遺伝子的な異常性がない近隣の細胞の
miRNAプロファイルが癌細胞の形質を獲得するように
改変する事。
これらが明らかになっています。
周辺の免疫細胞、内皮細胞、周皮細胞、線維芽細胞など
癌微小環境に対して癌細胞のmiRNAsの特徴が拡散します(10-14)。

この傍分泌的な癌細胞自身と周辺細胞群(微小環境)との
コミュニケーションの少なくとも一部は
癌細胞から放出される細胞外小胞が担っていると
考えられます。
従って、これらのコミュニケーションを不活性にする
つまり、癌細胞からの細胞外小胞放出を
薬剤によって抑える
という事は一つ治療の選択肢になると考えられます。
--
このような行動は
〇腫瘍組織の血管生成の制御
〇腫瘍組織への免疫細胞浸潤
〇腫瘍組織-間質の相互作用
これらを含みます。
--
H I Suzuki, A Katsura, H Matsuyama & K Miyazono(敬称略)
によって
癌細胞のmiRNA改変と腫瘍組織微小環境の間の関係性、
miRNA仲介の腫瘍組織微小環境の制御の機序を
可能な治療介入を考えながら
総括されています(1)。

//癌細胞内のmiRNAsの不全//ーー
哺乳類細胞では
miRNAsの一次転写産物(pri-miRNAs)は
miRNAコーディングシーケンスから
RNAポリメラーゼⅡ、Ⅲによって転写されます。
それは原理的に遺伝子間の領域
もしくは遺伝子のイトロン内に存在します。
ほとんどのpri-miRNAsは
細胞核内のRNaseⅢ活性を持つ
Drosha/DGCR8複合体によって
ショートヘアピンRNAs(前駆miRNA:pre-miRNAs)内へ
プロセスされます。
Pre-miRNAsは細胞質に輸送されます。
そして21-25ヌクレオチド長のmiRNA二本鎖を生み出すための
2次RNase III Dicerによってへき開されます。
二本鎖から由来する単一のRNAのらせん構造は
成熟miRNAsとしてArgonauteタンパク質(Ago1-4)内に組み込まれます。
それによって
RNA誘導のスプライシング複合体が形成されます。
一般的に
RNA誘導のスプライシング複合体は
miRNAsと標的mRNAsの間のシーケンス相補性を通して
様々な標的遺伝子の表現を抑制します(7,15)。

一般的に一種類のmiRNAは複数遺伝子表現を抑制する事が
知られています。従って、miRNAによる精密な遺伝子制御は
この非特異性から難しいとされています。
しかし、miRNAが純粋に不足していて
それによって不全があるとわかれば、
単純にそれを補うことで治療につながるかもしれません。
しかし、いずれにしても
miRNAを標的細胞までオフターゲットなしに
特異的に送達する技術がmiRNAを使った治療で必要になります。
そのためにはmiRNAsの送達媒体として考えられる
エクソソーム(細胞外小胞)や合成ナノ粒子を使う事ができます。
エクソソームを使う場合に、
その中でより回復への特異性を持たせるためには
エクソソームを標的化するために
エンジニアリングする必要が出てくると想定されます。
ただ、人のケースにおいて
エクソソームを標的細胞までオフターゲットなしに
任意に送達させる事は容易ではありません。
コロナ形成や免疫細胞、肝臓などによる除去など
送達のための様々な障害があります。
従って、コロナから特異的輸送のための
表面リガンドを守るシステムや
免疫細胞や肝臓でのクリアランスを防ぐための
細胞外小胞の適切な選定、
製造過程で生じるダメージの低減など
検討する事は多岐にわたります。
--
様々なメカニズムが癌内での異常な
miRNA発現に関係します(15,16)。
癌遺伝子や腫瘍抑制遺伝子の異常と同様に
miRNAsの改変が様々な機序によって
部分的に説明されることができます。
例えば、
〇染色体の欠失
〇遺伝子増幅
〇遺伝子変異
〇エピジェネティックサイレンシング
〇pri-miRNA転写の不全
などを含みます。
他方で
miRNAの生合成の過程、miRNAのプロセスが
広範なグループのmiRNAsや
特定のmiRNAs両方の抑制を説明するかもしれません(15,17)。

広範なグループのmiRNAsが不足している場合には
足りないmiRNAsをエクソソームで輸送する場合の
リスクは異なる通常細胞に取り込まれる事を考えると
大きくなると考えられます。
また、上述したようにmiRNAsだけで
遺伝子的な異常を全て修正できるわけではありません。
癌細胞を完全な状態で治療するというよりも
癌細胞自身に加えて周辺の微小環境も考慮したうえで
全体的に治療する方法がないか?
このような方向性が大切かもしれません。
ただ、ベースとして
細胞種特異的な薬剤送達システムが確立すると
そこからの適切な選択肢の自由度が大きく向上します。
従って、どのような薬剤を使って治療するか
というのを一旦置いておいて、
細胞種特異的輸送系統
(Cell-type-specific delivery system)。
これを実現するための要素技術を開発する事は
大きな意義があると考えられます。
--
加えて、様々なmiRNAプロセス制御因子
LIN28, KSRP, p53は
miRNAの生合成の各ステップで見つけられてきました。
この事は
miRNAの生合成において
多元的に制御されている事を意味します(15,18-20)。
近年の報告は
Hippo信号経路は細胞密度依存的な様式で
pri-miRNAプロセスを制御しています。
これはmiRNAプロセスにおいて
細胞と細胞の接触が関係している事を意味します(21)。

//癌関連miRNAsの細胞非自律的機能//ーー
全てではないにしろ、ほとんどの癌は
遺伝子的な不全の進化によって定義されます。
このように
通常細胞の癌微小環境内での改変は
癌細胞そのものの遺伝子的な制御ネットワークの
不全に大きく帰結するかもしれません。
癌周辺細胞を含む腫瘍細胞内でのmiRNAの不全は
細胞非自律的機序を通して腫瘍微小環境を改変します。

H I Suzuki(敬称略)らがFigure 2に示すように(1)、
複数のmiRNAsが独自の経路で遺伝子表現を改変し
それによって
線維芽細胞、免疫細胞、血管内皮細胞、周皮細胞
細胞外マトリックスなどを含めた
癌微小環境の改変を通じて
血管生成、炎症、免疫抑制、
癌細胞の運動性(上皮間葉転換)など
様々な腫瘍組織成長に関連する機能を誘発します。
--
このような脈略において
miRNAsのコア標的、miRNAレギュロンは
今述べた様に癌微小環境の様々な改変因子を含みます(10-14)。
このタイプの制御は
タンパク質コード癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子としても
描写されてきました。
例えば、
KRAS変異はは膵管腺がんの発展の初期イベントですが、
膵管の上皮細胞からGM-CSFの産生を促進します。
これにより抗腫瘍免疫性を抑制する
免疫抑制のGr1+CD11b+骨髄細胞を引き付けます(22,23)。
この節では
腫瘍環境の3つの要素
〇血管
〇細胞外マトリックス
〇免疫細胞
これらにおける癌関連miRNAsの影響について焦点を当てます。
-----
(腫瘍血管生成の抹消部制御)
関連するmiRNAs: miR-9, miR-126
--
上皮間葉転換は癌転移において重要な過程です。
〇miR-200, miR-103/107, miR-205, let-7, miR-9
これらの上皮間葉転換制御miRNAsの中で(24)
miR-9は血管内皮成長因子Aの制御を通して
腫瘍組織の血管生成を同時に修正することを示します(25)。
乳がん細胞では
miR-9はMYCとMYCNによって誘発されますが、
Eカドヘリンを標的とし、
細胞の運動性、浸潤性を向上させます。
miR-9によるEカドヘリンの抑制は
βカテニン信号を活性化させます。
その後、VFGF-A発現を亢進させ、
癌血管生成を向上させます(25)。
この報告はmiRNA標的が腫瘍組織の進行の中で
細胞自立的、非自律的制御因子に
多角化する可能性を示します。
--
この可能性はmiR-126の研究によっても強化されます。
その発現により
乳がん、胃がん、結腸がんを含む
いくつかのタイプの癌において抑制されます(26-28)。
Tavazoie SF(敬称略)らは
miR-126は内皮組織引き付けに関与する
複数の標的の制御を通して
細胞非自律的に転移を抑制したことを示しました(26,29)。
乳がん細胞内での内因性のmiR-126は
転移のコロニー形成を抑制することに関与しました。
また、
miR-126サイレンシングすぐに転移の結節発達は
密度の高い脈管構造を示しました。
miR-126は
転移細胞からの
c-Mer tyrosine kinase receptor (MERTK)と
insulin-like growth factor binding protein 2 (IGFBP2)
の可溶型の分泌を抑制します。
次に
内因性のmiR-126の抑制は
〇IGFBP2/IGF1/IGF1R信号の上昇
〇GAS6/MERTK信号の低下
これらによって内皮への引き寄せを促進します。
それは
MERTKリガンドGAS6とMERTKの間の競合によって制御されます。
原発性の乳がん細胞の
MERTK、IGFBP2、PITPNC1を含む
miR-126の8つの標的遺伝子の過剰表現は
複数のコホート研究で
転移フリーの生存期間の低下と関係がありました(29)。
miR-126の8つの標的遺伝子は
miR-126のコア標的遺伝子の構成要素となります。
それはmiR-126レギュロンと呼ばれます。
それは癌と血管内皮組織の相互作用における
miR-126の抗転移活性とリンクします。
--
加えて、乳がん細胞の転移における
miR-126の特徴的な機能について報告されています(30)。
単一のmiRNA前駆物質から
非対称的なmiRNA生合成を決定する
正確な機序はまだ定義されていませんが、
miR-126の前駆物質は
同程度の量の5p, 3p miRNA種を生産します。
pre-miR 126, miR-126, miR-126*から由来した
2つの成熟miRNAsは癌細胞から
Stromal cell-derived factor-1 alpha (SDF-1α)
Chemokine (C-X-C motif) ligand 12 (CXCL12)
次に
Chemokine (C-C motif) ligand 2 (CCL2)。
これらの表現を標的とすることが示されています。
これらの抑制効果を通して、
それらは間葉系幹細胞と炎症性単球の
腫瘍間質への引き寄せを抑制します。
最終的には乳がん細胞によって
肺の転移を抑制します。
それらの報告の中で、
miR-126/-126*は
原発腫瘍サイトの中で
転移抑制活性を主要に示していそうです。
転移の結節形成よりもむしろ
それが当てはまるかもしれません(30)。
-----
(腫瘍細胞の免疫表現型の制御)
関連miRNAs: miR-135b
--
癌微小環境の中のmiRNAsの役割は
特に固形癌で近年の報告で示されました(10-13)。
しかし、
H I Suzuki(敬称略)らは
血液の悪性腫瘍において
miRNAsの特徴的な微小環境関与を発見しました。
その発見は
miRNA改変が
癌細胞そのものの免疫表現型の制御と
腫瘍微小環境の改変の主要な原因となっている
ことを示しています(31)。
miR-135bは結腸がんや肺がんなど
様々な癌タイプで過剰発現していますが(32,33)30,31、
Nucleophosmin-anaplastic lymphoma kinase (NPM-ALK)-positive
Anaplastic large cell lymphomas (ALCLs)、
NPM-ALK-STAT3 (signal transducer and activator of transcription factor 3) pathway
の下流経路で過剰表現されていることが示されました(31)。
この腫瘍タイプでは
NPM-ALK癌遺伝子がLEMD1発現、
STAT3の活性を通じて
miR-135bの宿主遺伝子を強く促進します。
FOXO1はmiR-135bの標的として確認され、
NPM-ALKの癌遺伝子活性に関与します。
--
並行して、
H I Suzuki(敬称略)らはmiR-135bの免疫調整特性を確認しました。
興味深いことに、miR-135bはIL-17産生免疫表現型を与え、
ALCL細胞において
様々な末梢のT細胞リンパ腫の
ゲノムワイド発現プロファイルによって
それが与えられました(31)。
このALCLの免疫表現型の形質の偏りは
Tヘルパー17細胞のそれと重なります。
それは、miR-135bによる
Th2マスター制御因子STAT6とGATA3の標的と関連します。
そのことは
miR-135bが標準的なリンパ球分化の間に
変異性を持つ対立性分化プログラム活性を歪めることによって
IL-17産生の免疫表現型を産生する事に関与します(34,35)。
miR-135b抑制はALCL細胞内の
IL-17A, IL-17F, IκBζ, IL-6, IL-8の
発現レベルを抑制します。
miR-135bのサイレンシングは
グランザイムB、パーフォリン1
ALCLsに高く発現されている細胞毒性分子の
発現を弱めます。
そのことは
miR-135bがALCL免疫表現型において
広範な効果を実行している事を暗示します。
IL-17の炎症性の役割に従って、
miR-135のブロックは
ALCL細胞や線維芽細胞の共培地の中での
傍分泌炎症反応を弱めました。
また、腫瘍の血管生成を低下させました。
それは生体内でも示されました。
通常のリンパ球に関連する
リンパ腫免疫表現型に従う機序は明確ではありませんが、
腫瘍免疫表現型の改変に対して
腫瘍生成キナーゼ関連miRNAによって生じた
独特な関与が示されました。
-----
(血管生成と細胞外マトリックスリモデリング)
関連miRNAs: miR-29
--
miRNAsとGATA3転写因子の間の関連は
一連の乳がん発達を描写します(36)。
乳腺の中では
GATA3は血管内腔の上皮細胞分化、維持において
必要です。
その発現は予後不良と関連する
内腔乳がんの進行の間には減少しています。
GATA3は乳がん細胞の分化を促進し
転移を抑制し、癌微小環境を改変させます。
それはmiR-29bの発現を通して生じます(36)。
GATA3-miR-29b軸は
癌抑制的な機能を持ちます。
GATA3が発現している細胞でmiR-29bが欠失すると
間葉の表現型、転移を促進します。
力学的な見識として
miR-29bの様々な標的が見つかっています。
例えば、
〇VEGF-A
〇ANGPTL4
〇platelet-derived growth factor
〇LOX 
〇matrix metalloproteinase 9(MMP9)
これらです。
これらは転移を促進するための
血管生成、コラーゲンリモデリング、 
タンパク質分解に関与します。
ネズミの同所性乳がんモデルにおける
miR-29bの導入は
原発腫瘍静に関する随伴効果なしに
血管の発展、コラーゲン合成を減らしました。
その結果、
転移の発生、サイズを減らしました。
このmiR-29bの転移抑制効果は
miR-29bのレギュロンである
VEGF-A, ANGPTL4, LOX, MMP9の再導入によって
緩和されました。
この事は
miR-29bによる微小環境標的制御の重要性を強化します(36)。
この研究では、
腫瘍組織の微小環境の改変における
miR-29bに対する多面的な役割を顕わにしました。
血管生成と細胞外マトリックスリモデリング両方が
影響を受けました。
miR-29bはNPM-ALK陽性ALCLs内で抑制されます。
それによってGATA3が抑制されます(37)。
このGATA3-miR-29b軸は
様々な癌種で当てはまるかもしれません。
加えて、
鼻咽腔癌では
miR-29cの抑制は
COL1A2, COL3A1, COL4A1, lamininγ1。
これらを含む
細胞外マトリックスタンパク質表現を
誘発すると報告されてきました(38)。
-----
(腫瘍-免疫クロストークによる抹消部改変)
腫瘍微小環境の進化の重要な特性は
抗腫瘍免疫反応からの逃避です(5)。
腫瘍のこのような免疫逃避は
腫瘍微小環境の特性に従って
2つのカテゴリーに分類されます(39)。
1つの主なタイプは
T細胞の浸潤やケモカインプロファイルに伴う
T細胞炎症性のプロファイルを示すことです。
このような特性を獲得した
腫瘍組織は
PD-L1, IDO, 制御性T細胞のような
免疫システムの抑制エフェクターの作用によって
免疫的な攻撃に対する耐性を有します。
もう一つの主要なタイプは
このT細胞炎症性表現型を欠失し、
免疫的な攻撃から免疫システムの排除を通して
逃れることです。
後者の機序が働いている腫瘍組織では
高密度の間質、
免疫抑制的な骨髄細胞の蓄積が
確認されるかもしれません。
代わりにT細胞の浸潤は少なくなります。
癌細胞におけるmiRNAの制御不全は
両方のタイプの免疫的な逃避に関与します。
miR-126/126*によるSDF-1aの制御や
miR-29bによる腫瘍組織間質反応の修正は
免疫逃避の後者のカテゴリーに関連するかもしれません(30,36)。
--
近年の分析では逃避の前者のカテゴリーの
免疫システムの抑制的な活性化に対する
miRNAsの関与を明確にします。
人のメラノーマでは
miR-30bとmiR-30dの高い発現レベルは
頻度の高い転移、早期の再発、
低い全生存に関与します(40)。
miR-30b/-30dは
GalNAcトランスフェラーゼGALNT7を標的とし
免疫抑制的なサイトカインIL-10の分泌を
その次に促進します。
これは免疫細胞の活性化を減少させ
制御性T細胞の引き付けを強化します。
それによって転移が促進されます。
--
付加的に、
肝細胞がんでの研究では
miRNA仲介の細胞非自律性の機序によって
制御性T細胞の機能が強化されます。
肝細胞がんでは
門脈腫瘍血栓(PVTT)が予後不良と関連します。
肝臓組織内でのB型肝炎の持続的な存在は
TGF-β活性を強化し、
それがmiR-34aを抑制します(41)。
miR-34aはp53の転写標的として知られていますが、
miR-34aは細胞増殖において
顕著な効果を持ちません。
しかし、
制御性T細胞の引き付けの為に重要な
CCL22の産生を抑制します。
miR-34a, CCL22, FoxP3の発現レベルの間の
逆相関はHBV+原発腫瘍、PVTTサンプルで確認されています。
miR-34aの回復は
免疫的に異常がないマウスにおいて、
肝臓腫瘍細胞の成長、
制御性T細胞の浸潤、転移を抑制します(41)。
データは免疫逃避での
miRNAsの活性な関与を示しています。
TGF-βによる免疫抑制的な機序を明らかにします。
それは腫瘍組織の間質で豊富に表現され、
腫瘍組織の発達において様々な役割を持っています(42)。
--
他の報告では免疫的な反応における
いくつかのmiRNAsの関与を明らかにしています。
グリオーマでは
miR-124の抑制は
グリオーマ幹細胞の免疫抑制的な活性
T細胞のエフェクター反応の抑制に関与しています(43)。
miR-17-92の多シストロン性のクラスターにおける
miR-17-5pとmiR-20は
乳がん細胞からIL-8, CK8, CXCL1の分泌レベルを
改変することによって
癌細胞の移動と浸潤を抑制する事を示しました(44)。
頭と首のがんでは、
腫瘍抑制的なmiR-145はSOX9とADAM17を標的とし、
次にIL-6の産生を抑制すると報告されてきました(45)。
-----
(多数のmiRNAsによる環境因子の改変)
それぞれのmiRNAsは
様々な機能を発揮するある範囲の遺伝子を
潜在的に標的とします。
その機能は癌抑制的、促進的、
両方を含みます。
上述した一連のmiRNAレギュロンは
腫瘍組織促進、抑制的の為の標的の例です。
他方で
もう一つのシナリオが描写されます。
一連のmiRNAsは収束的に転移関連遺伝子を標的とします(46)。
メラノーマでは
miR-199a-5p, miR-199a-3p, miR-1908を含む
一連の向転移性のmiRNAsは
連結的にApoEを標的とします(46)。

miRNAsは複数のmRNAに作用すると言われていますが、
生理機能の観点で言うと
転移など特定の機能に対して
上述したように複数のmiRNAsが「収束的に」
関与するということです。
この時、
そのmiRNAs構成要素の1つでも欠ければ、
その表現に影響を与えるのか?
もしくは
1つ書けても相補的な機序において
機能を維持することができるのか?
それによってmiRNAs治療の方略が変わってきます。
--
癌細胞からのApoE分泌は
癌細胞の浸潤、内皮細胞の引付を抑制します。
それによって
転移や血管生成を抑制します。
miR-126/126*によるSDF-1αの制御は
このような制御として分類されます(30)。
それぞれのmiRNAsが生物学的な効果を引き起こす
力を失う時には
複数のmiRNAsの改変のコンビネーションによって
転移を達成するための閾値が変わるかもしれません。

//腫瘍組織間質細胞内のmiRNAsの隣接役割//ーー
線維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、免疫炎症性細胞など
様々な細胞種が癌成長のための好ましい
腫瘍組織微小環境の形成に関与します。
これらのうち、
通常の線維芽細胞とは対照的に
癌関連線維芽細胞は細胞外マトリックス産生を増加させます。
そして、癌で活性化されたサイトカイン、ケモカインを
分泌させ、腫瘍形成を促進します(5,47-50)。
癌関連線維芽細胞がどのように通常の線維芽細胞から
生じるかは明らかではありません。
特定の癌種では
癌関連線維芽細胞は腫瘍組織由来の傍分泌信号によって
通常の線維芽細胞から生成されると考えられています(47,48)。

この「傍分泌の機序」はエクソソームが関与しているかもしれません。
実際に癌細胞から放出されるエクソソームによって
血管内皮細胞から癌関連線維芽細胞に分化した
という報告もあります(119)。
また、癌関連線維芽細胞から放出されたエクソソームが
膵臓がん細胞のケースで
癌細胞の生存と増幅を向上させたという報告もあります(120,121)。
この傍分泌の様式で線維芽細胞への分化や
線維芽細胞と癌細胞の相互作用において
エクソソームが関与していると考えられます。
その送達物質の一つの重要な物質は
本総括(1)で扱われているmiRNAsの可能性があります。
実際にH I Suzuki(敬称略)らがFigure 3に示すように(1)、
癌関連線維芽細胞の複数のmiRNAsが
腫瘍組織進行に関わっています。
--
癌関連線維芽細胞の腫瘍組織を支える許容力は
癌細胞が欠失した状態でも
多様な経路によって持続可能です(47)。
最近の研究では
癌抑制因子p53の遺伝子異常の存在、
癌関連線維芽細胞のフォスファターゼ、テンシンホモログの
遺伝子異常の存在が示されています(51)。
詳細な遺伝子分析では
遺伝子改変は実際は希少です(52,53)。
そのことは
他のエピジェネティック機序が
癌関連線維芽細胞表現型を安定化させている事を示します。
この脈略において、
通常の線維芽細胞と癌関連線維芽細胞の
miRNAプロファイルは異なる事が明らかにされています。
癌関連線維芽細胞のの表現型のいくつかの特徴は
miRNA制御不全に関与します(11)。
加えて、miRNAの機能は
他の腫瘍組織関連細胞種の変化とも関連します。
破骨細胞、骨髄性由来抑制細胞(MDSCs)、
癌関連マクロファージ(TAMs)。
これらを含みます。
腫瘍組織微小環境での
このような変化の近接効果、
間質細胞のmiRNAsの制御不全について焦点を当てます。
-----
(癌関連線維芽細胞のリプログラミング)
関連miRNAs: miR-31, miR-214, miR-155
--
卵巣がんの患者さんにおいて
原発性の癌関連線維芽細胞と近接する通常線維芽細胞の
miRNA発現プロファイルの比較を実施し、
癌細胞との共培地で通常線維芽細胞から生成された
誘導型癌関連線維芽細胞(iCAFs)と
通常の線維芽細胞とのmiRNA発現の比較も
同様に行われました(54)。
この研究は
癌関連線維芽細胞では
miR-214とmiR-31の抑制、
miR-155の亢進を確認しました(54)。
興味深いことに
miR-214とmiR-31の導入、
miR-155のサイレンシングによって
癌関連線維芽細胞表現型が通常の表現型に変化しました。
この事は可逆的な変化において
miRNAsの直接的な関与を示します。

この事は、癌微小環境において
重要な役割を果たしている線維芽細胞において
細胞外小胞によるmiRNAsの送達によって
癌関連表現型を通常の表現型に戻せることを示しています。
例えば、
癌細胞自身ではどうなるのか?
あるいは他の微小環境細胞である
血管内皮細胞や周皮細胞、免疫細胞ではどうか?
このような視点が生まれます。
通常細胞から癌細胞に変化する機序は
少なくとも私の中では明らかではありませんが、
癌細胞から通常細胞の表現型にmiRNAsによって
戻るのであれば、それは大きな発見になります。
miRNAsを通した標的治療の可能性が
大きく高まる事を意味します。
--
CAFs, iCAFs, miRNA-reprogrammed CAFs(miR-CAFs)すべては
CCL5, CCL20, CXCL8/IL-8を含む
いくつかの向腫瘍生成ケモカインの
高い発現レベルを示します。
CCL5はmiR-214の直接的な標的になるように示されます。
CAFsとmiR-CAFsは
卵巣がん細胞に共に注入された条件で
その成長を促進しました。
癌細胞の共培地によって浸潤が上昇しました。
これらの効果は
CCL5の中和の後すぐに崩壊し、
CCL5がmiR-CAFsの腫瘍改変因子として鍵を握っている
ということが示されました(54)。
この結果は卵巣がんがmiRNAsのアクションを通して
線維芽細胞から癌関連線維芽細胞へ
リプログラミングされていることを示します。

miRNAsの主な輸送媒体がエクソソームであるとすると
エクソソームは癌微小環境における
線維芽細胞の表現型にmiRNAs依存的に
送達媒体として関与していることを示します。
--
加えて、
miR-31の抑制は子宮内膜がんから分離された
癌関連線維芽細胞内で報告されています。
miR-31の抑制は標的SATB2を亢進させ、
腫瘍細胞移動性を向上させます(55)。
子宮内膜がんの癌関連線維芽細胞の
miR-148aの抑制も報告されています(56)。
-----
(癌関連線維芽細胞内でのPTEN-miR-320の近接効果)
癌関連線維芽細胞は
〇α-smooth muscle actin
〇fibroblast-specific protein
〇platelet-derived growth factor-B
〇fibroblast activation protein
これらのような
癌関連遺伝子の亢進を示します(49,57)。
加えて、
periostin, p53, PTEN, podoplanin。
これらを含むいくつかの他のマーカー発現レベルの改変が
固形癌の予後結果に関連している事が報告されてきました(57-59)。
間質細胞でのPTENの機能廃止は
上皮細胞の乳腺腫瘍の発達を促進します(59)。
特異的なmiRNAはPTENの腫瘍抑制活性に関与します(60)。
PTENが欠失している線維芽細胞内で
特徴的な発現パターンを示すいくつかのmiRNAsのうち
miR-320はPTENの下流経路で働く腫瘍抑制因子と
認められています。
miR-320はETS2, MMP9, Emilin2を標的とし、
その抑制は腫瘍特異的なセクレトームを誘発します。
そのセクレトームは
MMP9, MMP2, BMP1, LOXL2から構成され
血管生成と癌細胞浸潤を強化します。
miR-320-Ets2関連分泌性レギュロンの発現は
人の通常の乳房の間質と腫瘍組織間質を分離します。
これは乳がん患者さんの臨床結果と関連します(60)。
-----
(腫瘍組織でのmiR-15aとmiR-16-1の共抑制)
特定のmiRNAsは
癌細胞と癌関連線維芽細胞両方において
全体的な腫瘍抑制機能を示します(61)。
iR-15aとmiR-16-1は
染色体領域13q14でエンコードされた
性質が明らかな腫瘍抑制的miRNAsです。
それが、慢性リンパ性白血病、前立腺がんなどで
度々欠失されています(62,63)。

このような癌細胞や微小環境において
全体的に腫瘍抑制機能を示す
miRNAs(miR-15aとmiR-16-1)は
癌治療のため
細胞外小胞、合成ナノ粒子で輸送するmiRNAsの選択肢としての
有力な候補となります。
--
miR-15aとmiR-16-1は
BCL2, cyclin D1, Wnt3aを標的にする事によって
前立腺がんの腫瘍抑制因子として機能します(63)。
miR-15aとmiR-16は
ほとんどの前立腺がん患者さんの
癌関連線維芽細胞において抑制されています。
miR-15aとmiR-16の回復は
癌関連線維芽細胞の増殖と移動を抑制します。
さらに、
miR-15aとmiR-16は
2つの新手の標的を抑制します。
FGF2とFGFR1受容体です。
これらは間質、癌細胞の両方において
増殖と移動を強化します。
miR-15aとmiR-16の再構成は
生体内で間質細胞の腫瘍組織促進活性を抑制します(61)。
いくつかのmiRNAsは
癌細胞と腫瘍微小環境内で
全体的な腫瘍組織抑制因子として機能します。
しかしながら、
制御不全の機序は
癌細胞と微小環境では異なるかもしれません。
治療的介入の観点から
このタイプのmiRNAの回復は
癌細胞と腫瘍微小環境を共に標的にすることを
助けるかもしれません。
-----
(骨転移のmiRNA仲介破骨細胞分化)
溶骨性の骨の転移は
乳がんあ肺がんなど多くの癌種で度々確認されます。
それは異常な破骨細胞の活性と関連します(50,64,65)。
骨への転移性の乳がん、膀胱がん細胞種からの
馴化培地の全破骨細胞処理は
miRNA発現の特性変化を誘発しました(66)。
miRNA発現によって誘導された骨の転移性癌細胞種は
sICAM1仲介のNF-κB活性を通して変化します。
破骨細胞形成間に抑制された
いくつかのmiRNAsの過剰発現は
Calcr, TRAF6を含む
様々な破骨細胞遺伝子を抑制します。
また、破骨細胞分化を抑制します。
miR-141, miR-219のような
miRNAの静脈を通した輸送は
溶骨性の骨転移を減らしました。
2つのmiRNA, miR-16とmiR-378は
破骨細胞生成を向上させます。
その血漿中のレベルは骨への転移と関連があります。
そのことは
これらのmiRNAsが優れたバイオマーカーである
ということを示すかもしれません(66)。
これらの発見は
骨への転移の間の異常な破骨細胞形成は
miRNAsによって担われる鍵となる生理機序である
ことを強調します。
-----
(MDSCs内のmiRNAsの近接機能)
※Myeloid-derived suppressor cells (MDSCs)
--
腫瘍浸潤免疫細胞内において
MDSCsは免疫抑制において重要な役割を担います。
腫瘍組織の進行を可能にします(50,64,67-70)。
MDSCsはGr-1とCD11bマーカーの発現によって
性質化される骨髄系細胞であり、
Tリンパ球の活性を抑制する能力を持ちます。
MDSCsは骨髄内で継続的に生成される
未成熟骨髄前駆細胞の逸脱の後、生じると考えられています。
これはマクロファージ、樹状細胞、顆粒球への
通常の分化プログラムから生じます(69,70)。
MDSCの細胞数は骨髄、腫瘍形成マウスの血液
がんの患者さん内で上昇しています。
それが癌微小環境に蓄積されます(64,67)。
MDSCsは異種性があり、
Ly6G^low/Ly6C^high monocytic MDSCs
Ly6G^high/Ly6C^low granulocytic MDSCs
Polymorphonuclear MDSCs
これらに分けられます(69,71,72)。
これらの細胞は
Arginase, 
Nitric oxide (NO)
Reactive oxygen species (ROS)
これらの産生を通して
CD4+, CD8+T細胞の抗腫瘍機能を抑制します。
また、
制御性T細胞の貯蔵部位に移動します。
さらに、
NK細胞の活性を抑制します(70)。
加えて、
MDSCsは免疫非依存的な様式で
MMP9産生を強化する事によって
腫瘍組織進行を促進します。
--
同型4T1の乳腺腫瘍があるマウス内で
Gr1+CD11b+MDSCsのmiRNAプロファイルが行われました(73)。
それで
miRNA-494が腫瘍組織に広がっているMDSCsの
最も顕著に亢進しているmiRNAsとして確認されました。
miR-494の導入は
単球性、顆粒球性のMDSCs両方で確認されています。
また、
肺がん、メラノーマ、リンパ腫、結腸がんを含む
5つの他の腫瘍もモデルで確認されました。
IL-6, GM-CSF, TGF-β1を含む
腫瘍由来の因子の間で
TGF-β1はMDSCs内のmiR-494の亢進に関与しています。
miR-494はPTENを抑制し、
Akt活性を向上させ、MDSC生存を支援します。
さらに
miR-494は免疫抑制に必要なアルギナーゼや
多数のMMPs(MMP2, MMP13, MMP14)の発現を強化します。
miR-494のサイレンシングは
MDSCsの免疫抑制能力を低下させ、
腫瘍組織成長、転移を抑制しました。
miR-494は腫瘍組織関連MDSCsの拡散、維持において
重要な役割を担っています。
miR-155とmiR-21は
GM-CSFとIL-6によるMDSCの誘導の間に
発現レベルが高くなります。
これらの高レベル発現は
腫瘍組織形成マウスで確認され、
単球性、顆粒球性のMDSCsの産生を促進しました。
TGF-βはMDSCsが拡散されるように
その発現が促進されています。
構造物理的には
miR-155とmiR-21はSHIP-1とPTENを標的とし、
MDSC機能の為に重要なSTAT3信号経路を活性化させます(74)。
これが人のケースで当てはまるかどうか
さらなる研究が必要です。
--
MDSCs内で、STAT1とSTAT3の転写因子は
NOとROSの産生のために重要です。
MDSCsのいくつかの効果は
Janus-activated kinase 2ーSTAT3軸によって
仲介されます。
それは腫瘍由来因子によって刺激されます(70,71,75)。
二つのmiRNA、
miR-17-5pとmiR-20aはMDSCs内で
STAT3を抑制するために示されました(76)。
これらのmiRNAsは腫瘍組織と共存下で減少します。
miR-17-5pとmiR-20a両方は
ROSとH2O2の産生を減らします。
抗原特異的なCD4+とCD8+T細胞における
顆粒球性のMDSCsの抑制機能を緩和させます(76)。
miR-17-5pとmiR-20はMDSCを改変させる
追加的な薬剤作用可能な標的かもしれません。

免疫細胞は癌細胞周辺の循環器を通して
腫瘍組織に働きかけると考えられます。
一般的に
ナノ粒子やCAR細胞技術は
免疫細胞や血液性の癌細胞に対して
先行して発展しており、
多くの臨床的研究を生んでいます(122-125)。
循環器に対する標的化は
組織に入り込んだ病変部位に対する標的化よりも
容易である可能性が考えられます。
ニボルマブなど免疫チェックポイント阻害薬が
肺がんなど固形癌に対しても成果を上げている(126-127)のも
循環器からアクセスする免疫細胞に特異的に
働きかけるからかもしれません。
基本的に固形癌に対しても
送達特性に優れている(かもしれない)
免疫系統に薬剤を働きかけるほうが
高い奏功を得られるという法則があるかもしれません。
従って、
細胞外小胞を使って癌治療する際も
骨髄由来抑制細胞(MDSC)の機能を
miRNAsなどを通じて機能を癌抑制に改変させるような
miRNAs積載を考えると有効性が高いかもしれません。
いくつかの観点を加えて追記すると
固形の癌に対する治療は
癌細胞そのもの、
癌微小環境などが挙げられます。
癌微小環境は今述べた免疫細胞に加えて、
血管内皮、血管周皮、線維芽細胞、細胞外マトリックスなどです。
癌細胞へのアクセスは
非常に入り組んだ構造が
癌微小環境で築かれていることから
薬剤アクセスがブロックされる傾向にあるということです。
そうした輸送効率が上がりにくい中で
「優先順位として」
免疫細胞を第一に一番良い状態にするように
標的化治療をするということが
第一次としての良好な結果が得られやすいかもしれません。
従って、
MDSCに特異的に発現する受容体、表面リガンドを探し
それに高い親和性を有する表面リガンドを
合成ナノ粒子や細胞外小胞表面に高密度で装飾し、
細胞外小胞や合成ナノ粒子内にMDSCの癌促進表現型を抑える
miRNAsや薬剤を搭載し、
特異的輸送を試みるということです。
免疫細胞の改変は
標的治療の歴史から見て
現時点で比較的成功を収めているので
免疫系と細胞外小胞、合成ナノ粒子の関係を調べていく
ことは重要です(128)。
-----
(癌関連マクロファージ自己調整能)
関連miRNAs: miR-511-3p
--
癌関連マクロファージは癌微小環境において
骨髄系細胞のもう一つの重要なタイプです(50,64,70)。
自然の中で異種的でありますが、
癌関連マクロファージは
IL-4, IL-10, IL-13, グルココルチコイド,
TGF-βによって形質が歪められた
活性化したM2マクロファージと
性質を共有します。
活性化したM1マクロファージと比較して、
それは腫瘍組織排除を支援しますが、
癌関連マクロファージは
組織リモデリングと免疫改変因子の産生を提案します。
それは
VEGF-A, FGF2, CXCL8, 肝細胞成長因子、MMPsを含みます。
癌の浸潤、細胞外マトリックスの合成、
血管生成、免疫抑制を強化します(64,70,77)。
癌関連マクロファージは
miRNAsの発現パターンと役割において
まだよく知られていませんが、
近年の報告ではmiR-511-3pは
癌関連マクロファージの制御性機能を実行します(78)。
癌関連マクロファージの
miRNAsの発現パターンと役割はよく知られていませんが、
近年の報告は
miR-511-3pは癌関連マクロファージの
制御性機能を実行します。
マウスでは
癌関連マクロファージは
マンノース受容体(MRC1/CD206)は
高いレベルで発現されている事が調べられています。
miR-511-3pはMRCのイントロンでエンコードされていますが、
活性化したマクロファージや癌関連マクロファージで
MRC1+は豊富に表現されています。
癌関連マクロファージのmiR-511-3pの過剰発現は
向腫瘍遺伝子を抑制し、腫瘍成長を生体内で抑制しました。
miR-511-3pは癌関連マクロファージの
向腫瘍機能を制限し、
MPC1の負のフィードバックループを形成しました(78)。
miR-511-3pの修正は向、抗腫瘍表現型から
癌関連マクロファージをスイッチすることは
利益があるかもしれません。
miR-155は癌関連マクロファージの表現型を改変するために
報告されてきました(79)。

//癌関連微小環境における細胞外小胞の役割//ーー
上述したように
癌や間質におけるmiRNAの発現パターンの改変は
癌と間質に関する長距離、近距離の効果を
それぞれもたらします。
加えて、
腫瘍の間質細胞は癌細胞のmiRNAsの改変のため現れます。
卵巣がんでは、MDSCsは癌細胞の共培地環境で
miR-101の導入を通して
癌細胞の幹細胞様の特性を強化しました(80)。
癌関連マクロファージは
miR-328とmiR-30eの抑制によって
CD44とBmi1の発現レベルを上昇させます。
特に胃腸の癌ではそうです(81,82)。
コラーゲンリモデリングは
膵管腺がんにおいて
腫瘍抑制的にlet-7 miRNAの抑制に関与しています(83)。
これらの結果は癌細胞や腫瘍間質の
miRNAネットワークの改変を提案します。
--
miRNAsは細胞のコミュニケーションの中で
より直接的な役割を果たしていると考えられています。
miRNAsは細胞外液の中で様々な形式で存在しています(84-88)。
その分泌性miRNAは
エクソソーム、マイクロベシクル、アポトーシス小体
高密度リポタンパク質、RNA結合タンパク質との複合体
など様々な送達媒体の中に含まれています(84-88)。
エクソソーム、マイクロベシクル、アポトーシス小体を
含む細胞から放出される小胞の径は
30nm~5μmに変化しています。
集団的に細胞外小胞と呼ばれます(89,90)。
とりわけ、
エクソソームは
最も小さい被膜の小胞(30-100nmのサイズ)は
細胞のコミュニケーションを仲介する
miRNAsの直接的な送達媒体として
活発に研究されています(91)。
細胞外小胞miRNAネットワークにおける
分泌性miRNAsの効果は明確ではありませんが、
近年の研究では
細胞外miRNAsは細胞外小胞内に組み込まれ
受け細胞まで運ばれ、遺伝子制御を仲介している
ことが示されています(91,92)。
加えて、
細胞外小胞中のmiRNAsは
バイオマーカーを発達させるための
有望なルートを有しています。
--
腫瘍組織微小環境では
細胞外miRAsは双方向の間質-腫瘍のコミュニケーションを通して
腫瘍組織進行に影響を与えていると考えられています。
nSMase2はセラミド生合成を制御しますが、
エクソソームmiRNA分泌に関与します。
nSMase2酵素レベルはセラミド生合成を制御しています。
それはエクソソームによるmiRNA分泌に関与します。
nSMase2酵素レベルは癌細胞内で強化され
nSMase2は乳がんモデルで
腫瘍血管生成や転移を促進します(91,93)。
内皮組織の活性化は腫瘍細胞内で
nSMase2を必要とします。
転移性癌細胞から放出されたエクソソームによって
強化されます。
さらに
内皮の受け細胞内での血管生成のmiRNAとして
癌細胞から放出されたmiR-210が関与します(93)。
証拠は乏しいが、
反対の方向における細胞間のコミュニケーションの
可能性が提案されてきています(94)。
miR-223はIL-4活性化のマクロファージから
エクソソームを通じて乳がん細胞まで輸送され
共培養環境の癌細胞内で機能を発揮します。
対照的に
miR-223はマクロファージから肝細胞がんへ
輸送されます。
それは細胞接触やギャップ接合により生じ
エクソソームではないとされています(95)。
従って、
細胞外でのmiRNAsの輸送モードは複雑です。

マクロファージなど病変部位に積極的に働く
「移動性に富んだ」免疫細胞は特に
エクソソーム以外に
免疫シナプス、細胞接触、ギャップ接合といったような
細胞、そのリガンド同時の接着、結合によって
生じる伝達システムがあると認識しました。
これらの強固な結合に関わる機序で
癌細胞特異的に標的化できれば、
より免疫治療の効果が向上するかもしれません。
--
加えて、
miR-1は人の膠芽腫の中で抑制され
細胞外小胞機能を仲介する事で示されました(96)。
膠芽腫細胞内のmiR-1の過剰発現は
生体内で腫瘍成長、血管生成、浸潤性を弱めます。
このような効果は
miR-1の細胞外小胞輸送と関連があります。
miR-1はAnexin A2を抑制し、
膠芽腫由来の細胞外小胞内で
最も豊富に含まれるたんぱく質の一つで
細胞外小胞の機能を改変すると提案されています(96)。
さらなる調査が
腫瘍組織微小環境の細胞外miRNAsによって
価値ある見識が生むために必要です。

//微小環境因子がmiRNA発現に与える影響//ーー
多数の報告が
多くのタイプの癌のmiRNAプロファイルの中で
改変されてきたと示しています。
人の癌におけるこのような改変は
それぞれの癌種における特異的な信号経路の不全によって
引き起こされますが、
それは
低酸素状態、酸性など
癌微小環境内で生じる一般的なイベントの結果と
なるかもしれません(97)。
miR-210、miR-155、miR-372/373、miR-200bを含む
多数のmiRNAsは低酸素状態に反応して
これらの発現レベルをダイナミックに変化させる
ことを示しています(14,98-102)。

これは重要な報告です。
癌細胞や腫瘍組織内で存在するmiRNAsの量が
状況によって変われば、
miRNAsによる治療の最適量もその都度変わる
ということです。
従って、
合成ナノ粒子や細胞外小胞でmiRNAsの治療を考える際、
ある程度、幅を持ってmiRNAsを正常化していく
ことを考える必要があります。
--
miR-210は人の癌の低酸素状態の鍵となる
制御因子であることが示されています(99,103,104)。
miR-210は低酸素状態誘発因子によって
特定の転写レベルで誘導され、
多数の遺伝子や癌関連経路を制御します。
miR-210の亢進は様々なタイプの癌で
頻繁に観測されてきましたが、
腫瘍形成内のmiR-210機能における報告では
結論がそれぞれ異なります(104,105)。
miR-210はephrinA3(EFNA3)を標的とし、
血管生成を促します。
そのことはmiR-210は
低酸素腫瘍組織、間質で
様々な機能を持っていることを示します。
加えて、
近年の報告では
miRNAsとRNA結合タンパク質の間の
クロストークの程度に低酸素状態は影響を与えます(106)。
単球性の細胞では
内因的に表現されたmiR-297とmiR-299は
VEGF-A3'非転写領域でCA-richエレメントに結合する事によって
酸素正常状態内でVEGF-A発現を抑制します。
低酸素状態は
細胞核のリボ核タンパク質Lの細胞質転座を誘発し、
CA-リッチ要素と結合します。
miRNA機能を抑制する事に寄って、
VEGF-A抑制を抑えます(106)。
このように
腫瘍微小環境はmiRNA発現を改変するだけではなく
miRNA機能も変化させます。
それはmiRNA modulatorsの働きを制御することによって
生じます。

リボ核タンパク質などmiRNAに結合するタンパク質によって
miRNAs自身も転写や非転写などその機能が
調整されているということであると理解しています。
--
他方で、
全ての腫瘍組織のmiRNAプロファイルの改変は
注意深く読み取る必要があります。
なぜなら、
癌や間質の変化の結果は
間質の内容物によって影響をうけるからです。
これは、特定のmiRNAs改変が
癌と間質両方で誘導されうるからです。
腫瘍組織内の細胞種特異的なmiRNA変化は
よく理解されていませんが、
いくつかの研究では
改変されたmiRNA発現が
様々な固形腫瘍組織の特定の細胞内区画に
閉じ込められていることが示されました(107-109)。
miRNA発現パターンの変化は
乳がんの特定の上皮亜集団に閉じ込められ、
このような変化は
細胞種、腫瘍組織種によることが
その場観察、免疫組織化学アッセイの組み合わせの
データによって明らかになっています。
miR-21の高いレベルの発現は
様々な血液性、固形性の腫瘍によって観測されます。
肺がん、前立腺がん、膵臓がんでは
このように観測されますが、
乳がんと結腸がんの癌関連線維芽細胞では
観測されません(108)。
miR-155の発現は、
様々な癌で度々亢進されますが、
免疫関連細胞に主要に制限されました(108)。
加えて、
癌関連線維芽細胞のmiR-21の主要な亢進は
食道扁平上皮がんで報告されています(110)。
腫瘍組織に対して行われた
全体的なmiRNAプロファイリングの結果は
腫瘍微小環境内で
miRNAの環境依存的な役割を理解するために
注意深く読み取る必要があります。
複数の遺伝子はそれぞれのmiRNAによって
潜在的に標的にされますが、
病因論におけるmiRNAsによって果たされた役割は
環境によって影響を受けることが示されています(111)。
GenMiR++, FAME, CoSMic, GFAは
miRNA標的予測情報と生物学的発現データを
統合しますが、
miRNAsの環境依存的な役割の理解を発展させる
かもしれません(37,112-116)。

//miRNAsによる腫瘍微小環境の標的化//ーー
腫瘍組織微小環境におけるmiRNAの研究が
治療の標的として機能するかもしれない
miRNAsリストを拡大するかもしれませんが、
いくつかのmiRNAsは
癌細胞と微小環境の間の
クロストーク仲介に加えた
これらの微小環境の直接的な改変因子として
確認されてきました。
miR-125bは内皮細胞内で
VEGF-A, 局所貧血, 標的化されたVEカドヘリン発現を
伴う刺激のすぐに亢進されてきました(117)。
miR-125bの全身の投与は
非機能性血管の形成を誘導し、
生体内で腫瘍組織成長を抑制します。
これは治療潜在性があるかもしれない事を示しています。
他方で、
miR-155は免疫刺激性miRNAです。
ポリエチレンイミンベースナノ複合体を使った
腫瘍組織浸潤の樹状細胞へのmiR-155の
選択的積載は免疫抑制から免疫刺激へ
表現型を改変するものです。
卵巣がんモデルで抗腫瘍免疫性を誘発します(118)。
加えて、
免疫促進のmiR-124の全身性注入は
一連のグリオーマを欠乏させ、
miR-124-誘発のT細胞の養子免疫伝達は
T細胞依存的な様式で
抗腫瘍活性を示します(43)。
腫瘍微小環境はmiRNA仲介の癌治療において
直接的に標的とされうります。

//結論//ーー
この総括では
腫瘍組織の微小環境内でmiRNAsによって
役割が果たされた近年の発展を要約してきました。
それらの発展は
腫瘍間質細胞内で癌細胞機能の非細胞自律性制御と
miRNAsの直接的かつ近接的な役割を通した
腫瘍組織間質における
miRNAsの間接的、長距離のインパクトを明かに
するものです。
--
腫瘍形成のmiR-9と腫瘍抑制的なmiR-126は
レギュロン
(miR-9—E-cadherin; miR-126—MERTK, IGFBP2 and PITPNC1)
を通じて血管生成を制御します。
腫瘍抑制的miR-29bとレギュロン
(VEGF-A, ANGPTL4, LOX and MMP9)
これらは乳がんにおいて
細胞外マトリックスのリモデリングと血管生成を
改変するものです。
それは
腫瘍転移のグローバルな制御を導きます。
NPM-ALK陽性のALCLは
腫瘍形成miR-135bはリンパ球細胞を
STAT6とGATA3を制御する事によって
傍分泌炎症反応を刺激するために活性にさせます。
メラノーマでは
腫瘍形成miR-30b/dと
腫瘍抑制的なmiRNAグループ
(miR-199a-5p/3p and miR-1908)。
これらはGALNT7とApoEの制御を通して
免疫抑制と血管生成を制御します。
加えて、
免疫抑制的なmiR-34aは
肝細胞がんにおいて
TGF-β信号とCCL-22仲介の免疫抑制とリンクします。
これらの細胞非自律性効果は
腫瘍の微小環境の多くの状況で示されます。
血管生成、免疫逃避、腫瘍-間質相互作用を含みます。
腫瘍組織進行は
卵巣や前立腺がんなど複数の癌種において
癌関連線維芽細胞内の多数のmiRNAs
の改変によって支援されます。
miRNAは破骨細胞、MDSCs、TAMsなどを含め
他の細胞の異常な機能に関与します。
これらの発見は
miRNAsが腫瘍組織内で
環境的な変化に対して広範な影響を持つからです。
これは遺伝子の制御性ネットワークの不全によって
先導されます。
さらに、
癌や間質細胞両方での
miRNAやレギュロンは臨床的なバイオマーカーだけではなく
腫瘍微小環境の標的のための
潜在的な治療標的となりうります。
--
miRNA異常性が治療反応や抵抗性に
どのように影響を与えるかは
将来の研究で明らかになるでしょう。
加えて、
癌細胞、間質細胞、細胞外miRNAsの重要性の間の
miRNA仲介の相互作用が示されています。
さらなる調査が細胞外液内の
様々な形式のmiRNAsの独特な関与に対して
深い見識を与えます。
これはmiRNA様分子の生体内運動の理解を強調するものです。
またmiRNA様の送達媒体の治療的なアプローチを
発展を可能にするものです。
様々な腫瘍組織区画内のmiRNA仲介の遺伝子ネットワークの
標的は癌組織を治療するための、
あるいはよりよい治療反応を達成するための
新手の解決策を生むかもしれません。

//考察//ーー
H I Suzuki, A Katsura, H Matsuyama & K Miyazono(敬称略)らが
Figure 2に示すように
癌細胞内の複数のmiRNAが亢進、抑制されることで
癌微小環境に影響を与え、
それを含めた腫瘍組織進行に関与します。
例えば
(抑制)
miR-126, miR-29a, miR-34a
(亢進)
miR-9, miR-135b, miR-30b, miR-199a-5p, miR-199a-3p, miR-1908
これらの増減で癌微小環境依存的に
腫瘍組織は進行してしまいます。
従って、
抑制されているmiRNAsを細胞外小胞で輸送し、
亢進しているmiRNAsはmiRNA inhibitorを
細胞外小胞で輸送します。
その時に、それぞれの癌環境が
どのようなmiRNAsの状態になっているかわからないまま
上述した関連するmiRNAsの調整を図るよりも
理想的には
それぞれの患者さんのがん細胞のmiRNAsに関する形質を
癌細胞特異的に評価する事が好ましいです。
それによって
miRNAsの調整がより精密になります。
また、その解析ができるという事は
細胞外小胞や合成ナノ粒子で治療した後、
「確かに狙いのmiRNAs調整ができている。」
という分析ができる事を意味します。
一方で、
分析の他には細胞外小胞で確実に標的細胞まで
輸送する必要があります。
しかし、実際の生体内の現象は複雑で
100%通常細胞へのオフターゲットのない送達は
現実的には難しいかもしれません。
従って、
働きかけるmiRNAsの狙いの増減が
通常細胞で生じた時に
通常細胞の形質をどのように変える恐れがあるか?
この事はオフターゲット送達がある程度生じることを
想定して、事前に調べておく必要があります。

//細胞種特異的輸送系統(※)の観点//ーー
(※)Cell-type-specific delivery system
--
H I Suzuki(敬称略)らが示すように(1)
特に組織常在型の固形癌の治療においては
転移を含めた腫瘍組織全体を考えていく必要があります。
癌細胞だけではなく
〇線維芽細胞
〇内皮細胞
〇周皮細胞
〇免疫細胞
〇骨髄性間質幹細胞、前駆細胞
〇周辺の細胞外マトリックス
これら癌微小環境を含めてです。
これらは治療の難しさを示しますが、
細胞種特異的輸送系統においては
逆に一つの大きな機会を示します。
実際に
Catarina Roma-Rodrigues(敬称略)らは
Figure 3に示すように(129)
血管系、免疫系、線維芽細胞系、癌細胞系
4つの特異的な表面リガンドを「並列に」
装飾する事を提案しています。
例えば、
腫瘍組織を装飾する細胞外マトリックスや
血管内皮など
「薬剤送達の入り口」になりうるところの
標的性を高めて、
「腫瘍組織の近くまで」
薬剤を輸送する事を考えます。
近くまで薬剤が「ナノ粒子、小胞に守られて」
輸送されれば、仮に密度の高い入り組んだ構造であっても
癌細胞を含めた腫瘍組織への
薬剤送達効率は向上すると想定されます。
組織近くから薬剤放出されるからです。
この時に、必ずしも
癌細胞自身に標的性を有している必要はないかもしれません。
様々な「癌特異的な」細胞系が集まっているからこそ
そこには標的化のための様々な特異的サイトが存在する
可能性があるということです。
合成ナノ粒子や細胞外小胞で
腫瘍組織を消滅させていく際には
微小環境を含めた標的サイトを検討する価値があります。
また、前述したように
CAR免疫細胞技術や免疫チェックポイントの技術(122-127)を
組み合わせることで
「可動性の高い」免疫系と
「常在性の」微小環境を含めた腫瘍組織両方を
攻撃できる可能性があります。
実際にニボルマブと抗がん剤との
コンビネーション療法(127)はそのような観点がある
と理解しています。
一方で、
免疫細胞由来のエクソソームを使うことで
癌関連免疫系の働きと送達媒体としての両方の機能を
組み込むことができる可能性もあります。

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2022年9月22日木曜日 0 コメント

Author correction: 薬剤送達システムにおける細胞外小胞と合成ナノ粒子の比較

1人の人間ができる事というのは限られているので自分の世の中で果たす仕事の中での領域をよく考える必要があります。自分の容量を大きく超えてそれをしようとすると様々な判断において適切ではないケースが出てくるかもしれません。しかし、どのような選択肢をとったとしても世の中がどう動くか?というのは複雑な社会において予測することはできません。結果を見て、良くないと思ったときに軌道修正していくしかありません。今、世界の方々は「国際的な協力関係」を非常に大切にしていると認識しました。しかし、その中で日本だけではなく、各国の国益をどう確保していく必要があるのか?ということを考えているはずです。その国益をどう確保するのか?つまり経済性に関わる事ですが、今までどちらかというと発展途上国、ジェンダー平等、子供など社会の中で強くない立場にいる人に手を差し伸べた際により必要とされてきたという風に感じています。率直に言うと「あまり利益をあげにくい」ところです。従って、私が経済性の所に舵をきると大きな違和感が生じてしまいます。実際に私は子供に対する医療を良くしたいとはずっと考えています。そこは変化はありません。冒頭で述べた自分の社会の役割の領域はどこにあるのか?というのをもっと冷静に考える必要があります。世界の皆様が国際的な協力関係を重要視している事は伝わりました。少し自分の考え方、取り組みにおいて軌道修正したい(Author correction)と思います。ただ、日本も少子高齢化の中でもあるし、企業の賃金が上がらずに、生活に苦しんでいる若い人は多くいます。そこに少し貢献したいと思いましたが、おそらくそこは冒頭で述べた私の社会の中の役割の領域から少し外れるところかもしれません。技術においても細胞外小胞と合成ナノ粒子の技術はコラボレーションすることでより付加価値が生まれるかもしれません。

本日はKenneth W. Witwer(敬称略)らの
細胞外小胞と合成ナノ粒子の比較の中での
コメントを参照しました(1)。
考察や追加的な調査を加えました。
その内容について日本、世界の方と情報共有したいと思います。

//要約//ーー
細胞から放出される生物学的なナノ粒子である
細胞外小胞は高い複雑性を持つ薬剤輸送キャリアです。
細胞外小胞ベースの薬剤輸送は
身体の分子輸送のための
自然に備わっている内的な機序を巧みに利用します。
合成ナノ粒子からの臨床的見識を有した
細胞外小胞の生物学、製造は
薬剤輸送の領域を前進させるものであると考えられます。

//内容//ーー
合成ナノ粒子は1990年以来、
臨床的な薬剤輸送として広く使われてきました(2)。
ナノ輸送戦略は
体内での薬剤などの治療媒体の時空間での分布を向上します。
つまり、ナノ粒子を使った薬剤輸送の
1つの大きな目標は、病変部位への薬剤の標的性を上げる事です。
これにより、副作用を減らし、
治療効果を高まる事を狙いとします。
輸送効率を向上させるため、ナノ粒子の
大きさ、形、表面特性を最適化します。
しかしながら、
複雑な分子標的戦略は
臨床試験では繰り返し失敗してきた歴史があります。
例えば、
BIND-14。
癌に豊富に含まれる前立腺特異的被膜抗原(PSMA)に
結合する表面リガンドを持つポリマーナノ粒子です。
これは、細胞種特異的輸送系統
(Cell-type-specific delivery system)。
これのコンセプトと一部、重複します。
リガンド標的ナノ輸送アプローチの臨床的な失敗は
ナノ粒子と生物内の環境の間の複雑な相互作用によります。
それは表面リガンドの結合部位をマスク、隠す
コロナの形成や免疫原性を引き出すことです(2)。
このような相互作用は
臨床前研究では現れないかもしれません。
なぜなら、
コロナや免疫原性に関わる補体タンパク質の
多くの物質は人と動物では顕著に異なるからです。
加えて、
リガンドのタイプ、方位、密度、表面パターンは
標的分子に結合し、その最適な輸送のために極めて重要です。
計算ツールはどのように設計パラメータが
ナノ、生物の相互作用に影響を与えるか?
理解するために必要です。
--
市場におけるナノ医療の主要な材料はシンプルなリポソームです。
これは、2つまでの治療媒体と
球形の2重層を形成する4つまでの脂質、lipidoidからなります。
リポソームは治療の輸送媒体として広範に
臨床現場で使われます。
例えば、
小分子、ペプチド、RNAを輸送します(2)。
患者さんの臨床結果を向上させるための
ナノ輸送の本当の潜在性の実現のためには
もっと複雑な多機能のデザインが必要であると考えられます。
薬剤輸送系統の最適な設計は
生物学的な環境のそれに似た
複雑なレベルのそれが必要になるかもしれません。
それによって
免疫細胞によるクリアランス、食作用や
血中に含まれる酵素などによる劣化
内皮組織や細胞壁などの物理的な障壁、バリア
これらの関門を超えて
標的部位までの走行を成功させるかもしれません。

例えば、身体の細胞外小胞の中で
最も長距離の移動が可能になる設計を
生体内から学ぶことでヒントが得られるかもしれません。
例えば、
癌細胞の転移で最も離れた組織に転移するときに
関係する細胞外小胞がどのようなデザインになっているか?
もちろん、量で圧倒するという戦略かもしれません。
あるいは複数の細胞を介して移動するかもしれません。
癌細胞は非常に多くのエクソソームを放出します。
一方で、冗長だと思っていた構成要素、複雑性が
実は走化性において重要な機能を有しているということが
あるかもしれません。
従って、細胞間のコミュニケーション、ネットワークの中で
距離の長いそれを可能にしている細胞外小胞を探し、
その設計から何らかのヒントを得るということです。
細胞外小胞であれば、
その細胞由来の細胞外小胞をそのまま使う事が可能です。
癌細胞のように疾患に関わるそれに関しては
病気に関わるものを取り除いて、設計する必要は
もちろんあります。
--
加えて、制御された細胞種特異的、病変部位特異的な
輸送系統のための戦略は
好ましい時空間薬剤アクションを担保するための
機能を組み込む必要があります。
しかしながら、
全身性のナノ粒子輸送系統における
複数の機能を統合することが
コスト的に現実的か?
臨床グレードの生産に耐えうるか?
ということは不透明です。

生産プロセスが難しければ難しいほど
実現した時の生産要素技術が多く、高度になるため
成功した企業のポジションは維持されやすくなります。
細胞外小胞はおそらく生産技術は
相当洗練させる必要があるため、
企業によって大きな差が出る可能性があります。
参入障壁は高いですが、
実現した時のメリットを考えると
1つの見方としては魅力的であるとも解釈できます。
日本は内燃性の自動車産業が強く、
かつ優良な中小企業も多く存在するため
複雑な生産技術に関しては歴史的に見て
有利に働く可能性があります。
分野は医療と輸送機器で異なりますが、
どこでどうつながるかはわかりません。
また他の化学産業などでも
歴史的に見て精緻にコントロールされた
複雑な生産体制を築いてきたという事はあるかもしれません。
一般的には
例えば、東京の交通システムをみればわかります。
世界に類を見ない非常に入り組んだ交通網が
ほぼ遅延することなしに運行する事が可能になっています。
細かくコントロールするという文化が
細胞外小胞に求められる生産複雑性と整合する
可能性があります。
--
細胞外小胞は
原核生物、真核生物細胞によって
放出されるナノ粒子です(3,4)。
細胞外小胞は
大きさ、形、構造に関してはリポソームと似ています。
しかしながら、
もっと複雑なプラズマ膜、(リン)脂質2重層を持っています。
内腔に存在する積載物質や膜表面にある分子に加えて
数百を超える異なる脂質、タンパク質、糖質タイプがあります。

これだけ多くの種類の細胞外小胞があり、
異種性に富んでいるということは
選定の難しさ、管理の難しさは当然ありますが、
改善の余地は常に多く残されるということになります。
ネットワーク上にある無数の科学論文から
有用な情報を探すときのように
その病気にあった、あるいはユニバーサル性に富んだ
優れた細胞外小胞デザインを探すことは
開発する側の人間からするとエキサイティングである
という風にポジティブに考えることもできます。
--
細胞外小胞は様々な病理、生理学的プロセスにおいて
短距離、長距離の細胞間のコミュニケーションにおいて
重要な役割を担っています。
生体分子を受け細胞まで輸送する
細胞外小胞の能力は
薬剤輸送において魅力的あると考えられています。
細胞外小胞は
培養された細胞からの任意の馴化培地から
あるいは生物の組織、液体から得られます。
また
電気穿孔法、押出、超音波など
様々な方法によって
輸送し、作用させたい薬剤などの物質を
細胞外小胞に搭載する事ができます(4)。
ナノ医療の中の多数のデザインや製造挑戦は
身体の中の分子積載物の輸送のための
細胞外小胞構造の進化的淘汰を巧みに利用することによって
バイパス、省略することができます。

細胞外小胞が製造したピュアな状態で
そのまま身体の中の経路を通って、
作用させたい病変部位に輸送される事は考えにくいです。
変化することを前提に考える必要があります。
そのための冗長的な設計が必要かもしれません。
要は、細胞種特異的輸送系統では
「絶対に残したい」機能があります。
それをどのように守るかを考える必要があります。
その時に進化的淘汰の考え方が一つとして
あるのかもしれません。
--
しかしながら、
薬剤輸送のための細胞外小胞の潜在性に関しては
まだ発揮できるかは不透明です。
なぜなら、
細胞外小胞の分離や形質分析などが難しいからです。
この事が
基礎的、それを臨床へとつなぐ
トランスレーショナル研究を阻んでいます。

細胞外小胞、特にエクソソームで難しいのは
スケールが細胞よりも2桁程度小さいことです。
100nmオーダーを精彩に分析するとなると
光で見る場合にはいくつかの制限が出てきます。
とくに生体内は赤外領域の透過率が高いので
その波長から考えられる分解能では
一般的には難しいと考えられます。
--
とりわけ
細胞外小胞種の間の異種性と
細胞外小胞以外の自然に存在するナノ粒子の存在は
細胞外小胞の分離を難しくします(3)。
特性として重なる部分があるからです。
加えて、
細胞外小胞が合成ナノ粒子よりも
生体互換性や特異的輸送において優れていると
考えるのは判断としては早計です。

細胞外小胞の潜在能力を引き出すためには
合成ナノ粒子よりも複雑な分、
様々な要素技術、工夫、解析手法が必要だと考えられます。
すでに合成ナノ粒子よりも
生体互換性、特異的輸送において優れている
という認識は少なくとも私にはありません。
むしろ、そうなるように
様々な事を考えて、さらにまた考えて、
時には失敗して、試行し続けていかなければ
ならないということです。

//薬物動態学//ーー
ナノ医療の挑戦は
循環器から急速なマクロファージ依存的な
肝臓での除去があります。
肝臓内でのナノキャリアの押収は
病変部位特異的輸送機序によって防ぐことができます。
例えば、
合成ナノ粒子の場合は
サイズ、形が重要です(2)。
多くの臨床的に承認された合成ナノ粒子は
PEGによって機能化されます。
それによってマクロファージによる取り込みを
減らすことができます。
また、循環器内での寿命を数時間から数日まで
あげることができます。

Raoul V. Lupusoru(敬称略)らがFigure.1に示した
図からわかるようにPEGは長い繊毛のような
構造がナノ粒子の周りを覆います。
従って、他の細胞はPEGに守られて
核となるナノ粒子にアクセスしにくくなります(12)。
もちろん電荷や反応性や他の条件もあると思いますが、
基本的には接触を面から点にするという発想は
細胞外小胞を設計するときにおいても
利用できる可能性があります。
--
しかしながら、
PEGの利用はいくつかの欠点もあります。
細胞外小胞はキャリアの本来持つ特質において
免疫的なクリアランスを防ぐことができる種もあります(2)。
しかしながら、
血中から全身に送られた細胞外小胞は
急速な肝臓によるクリアランスを経験します。
循環器での寿命は数分程度であります(4)。
また
細胞外小胞に様々な手を加える事で
マクロファージによる取り込みを誘発してしまう
可能性もあります。
例えば、
分離過程、薬剤搭載過程、ラベリング過程などです。
しかしながら、
マウスの研究では
心臓の細胞由来の細胞外小胞は
主に胸腺、睾丸、肺、腎臓に蓄積しました。
肝臓による取り込みは少なかったです(5)。
この事は
体内に形成される自然な細胞外小胞は
肝臓でのクリアランスを経験しにくいかもしれません。
加えて、
どのように細胞外小胞の生物学的な生成、
ドナー細胞、分子構成などが薬物動態に影響を与えるか?
これについてはわかりません。
特定の細胞外小胞のタイプは
寿命が長く、肝臓での除去を超えて特定の
組織、細胞に届くような形質を有しているかもしれません。
適切な細胞外小胞の分離に関する
実験的なデザイン、認証、形質分析は
薬剤キャリアとしての細胞外小胞の潜在性を評価する上で
非常に重要です。
合成ナノ粒子との直接的な比較は度々避けられます。
しかしながら、
合成ナノ粒子と比較する事で
薬物毒性や効果に関する細胞外小胞の利点を
評価する事ができます。

合成ナノ粒子はすでに臨床で使われていますから
合成ナノ粒子と比較しながら、改善していくことは
研究、開発デザインとしては一つの道かもしれません。
--
合成ナノ粒子輸送媒体を超えるかもしれない
生体内分布プロファイルに加えて
細胞外小胞ベースの薬剤送達システムは
もう一つの利点を持ちます。
それは、
薬剤搭載の為の細胞プロセスを巧みに利用できる事と
表面を任意に装飾できるということです(4)。
細胞は
標的リガンドを発現できるように
あるいはRNAやタンパク質を内包できるように
遺伝子的にエンジニアリングできます(4)。
薬剤搭載と細胞外小胞の表面改変のための
細胞機構の利用は利点があります。
なぜなら
RNAやタンパク質はナノ粒子を合成する間に
劣化やダメージを受けてしまうからです。
加えて、
細胞外小胞の受け細胞の被膜への
エンドサイトーシス、融合イベントは
細胞内輸送を促進します。
それは、
細胞外小胞に搭載された治療媒体が
特定の細胞内器官、区画に特異的に送達される
ことを促進するかもしれません。
近年の研究では
細胞は細胞外小胞内で
特定のsiRNAを豊富に含むように
遺伝子的にエンジニアリングする事が示されました。
それにより
マウスのケースで合成ナノ粒子よりも
このsiRNAの輸送において
10倍の改善がみられたとされています(6)。
細胞外小胞キャリアの優位性は
siRNAが細胞質内でリソソームから抜け出し
その領域で局在化する事に帰結します(6)。
siRNA仲介の遺伝子ノックダウンの効果は
細胞外小胞と受け細胞種。
これら両方に依存します。
常在型のマクロファージのような
いくつかの細胞種は
高レベルの細胞外小胞によって送達された
siRNAを蓄積します。
しかし、
最小のターゲットノックダウンを示しました(6)。
この結果は
生体内分布や細胞内送達に関する
細胞外小胞の異種性を考慮する必要がある
ということを示します。

//生体適合性//ーー
ナノ医療は遊離型の従来の薬剤よりも
度々、少ない副反応を示します。
なぜなら、
治療媒体の健康な組織への少ない暴露である
からです。
また、非水溶性小分子を可溶にするための
毒性のある添加剤を加える必要もないからです。
実際に
いくつかのナノ粒子は
遊離性の薬剤と比べて等価の効果に基づい
て臨床承認を受けています。
一方で、安全性は向上しています。
PEGを含む臨床的に承認されたナノ粒子は
補体を活性化し、
希少なケースでは
生命に関わる過敏正反応を示します。
しかし、このリスクは
注入速度を抑える事で緩和する事ができます。
--

免疫惹起に関わる幼児期において
アレルギー対策においても
アレルゲンへの暴露を少しずつにすることで
アレルギーを防ぐことができるという事が
一部で当てはまります。
ナノ粒子や細胞外小胞は
免疫的な副作用が生じる可能性がありますが、
上述したように
少しずつの量を投与することで
このようなリスクを緩和する事ができるかもしれません。
--
細胞外小胞のベースの治療は
まだ、臨床承認を受けていません。
しかし、
初期の臨床フェーズでは
癌免疫治療に対して樹状細胞由来の細胞外小胞を
自家移植して、効果が確かめられています。
また、同種異系(他家移植)において
間葉系幹細胞由来の細胞外小胞が
再生医療や抗炎症性疾患の治療の為に使われ
臨床試験が行われています(7)。
これらの治験の多くは
軽い、中程度の副作用であると報告されています。
一般的に細胞外小胞の投与は安全である
という風に結論付けられています(7)。
同種異系の細胞外小胞は
治療を受ける人において他の人の細胞なので
免疫的な副作用が生じてしまうリスクが懸念されています
しかしながら、
血液中には10^10/ml(10の10乗/ml)の
高濃度の細胞外小胞が含まれています。
これは身体の全ての細胞種から循環器系へ放出されています。
確かに輸血はめったに免疫的な副作用を引き起こしません。
このことは同種異系の細胞外小胞が
安全性上のリスクを示すことが起こりにくいことを示します(4)。
しかしながら、
同種異系(他家移植)の細胞外小胞の欠点は
自己移植の細胞外小胞に比べて
肝臓でのクリアランスを加速させてしまうかもしれない
ことです。
加えて、
臨床初期フェーズの結果では
許容できる安全性は示されましたが、
細胞外小胞の内容物は
細胞外小胞にダメージを与えることなく抜き取る事が
できないものですが、
内容物は、
好ましくない副作用を引き起こすかもしれません。
しかし、
治療的な形質を持つ間葉系幹細胞から
細胞外小胞を得る場合、
内容物が治療において相乗効果を持つ可能性もあります。

//将来の展望//ーー
現在、50を超える臨床承認されたナノ薬剤があります。
それらのすべては
少数の構成要素からなるシンプルなデザインです。
数百の構成要素からなる複雑なナノ粒子の合成は
大規模な臨床グレードの製造とは
整合性を持たないかもしれません。
細胞外小胞は
多機能を持つ薬剤輸送媒体の潜在性を実現するための
有望な代替の選択肢です。
好ましい輸送特性を持つ細胞外小胞を発見する事に加えて、
製造やその大規模化、コスト低減の困難性を
どのように克服するかは大きな課題です。
細胞外小胞のドナー細胞として
不死化細胞を使う事は
細胞外小胞の生産バラツキ、形質変動性を最小化する
上で好ましいかもしれません。
しかし、そこには安全上の懸念があります。
なぜなら、不死化させるために必要な物質が
細胞外小胞内に搭載されてしまうかもしれないからです。
大規模な培地が必要です。
例えば、
〇stirred-tank o
〇fixed-bed bioreactors
〇chemically defined culture medium 
〇medium with xeno-free supplements, 
これらです(8,9)。
細胞外小胞のミメティックスは
押出、超音波によって細胞膜を破壊した後に
形成されることができます。
しかしながら、
このプロセスは被膜の形状に影響を与えます。
血小板や赤血球は
細胞外小胞のミメティックス最適なドナー細胞です。
なぜなら、
それらは核物質を持たないからです。
その核物質は免疫システムの危険信号として働きます。
従って、
一旦、修正が加わった細胞外小胞でも
免疫システム依存的な副作用を受けにくい
という事であると考えられます。

このように細胞外小胞はドナー細胞を
目的に応じて変えられます。
その豊富な選択肢を持つことは
細胞外小胞をナノキャリアとして利用する事の
1つの大きな利点であると考えています。
また、iPS細胞など、細胞の初期化を経由して
様々な細胞に分化する事ができる技術を
細胞外小胞のドナー細胞として利用する事もできます。
--
細胞の培地の代わりに
人の組織や生体液は細胞外小胞の資源として
利用する事ができます。
確かに
人の血漿から生物学的なナノ粒子の
大規模な臨床の為の製造がおこなわれてきました。
例えば、
リポタンパク質治療の治験が
数千人規模で行われました(10)。
しかしながら、
生体液や組織から細胞外小胞を分離する事は難しいです。
なぜなら、
馴化培地に比べて、より複雑な構成物質を含むからです。
特定の応用においては
高い純度を持った細胞外小胞の準備は
必要ないかもしれません。
もし、相互因子を取り除いたら、
効果が減少するかもしれないからです。
例えば、
ガンマ線が放射された抹消血液単核球から
得られた分泌物は
細胞外小胞単独よりも治療効果が優れていました(11)。
他のケースでは
細胞外小胞の機能や薬剤搭載に干渉する要素や
有害事象を発生させる要素から
細胞外小胞を分離させる必要があるかもしれません。
規制機関は
細胞外小胞ベースの薬剤製品において
どのタイプの放出評価基準が承認されるかの
決定段階にあります。
他の生物学的物質の存在は
必ずしも規制におけるハードルにはなりません。
物理化学、有効性テストが
バッチ間の一致や効果を保証する限りにおいては
規制におけるハードルにはなりません。
一方で
人由来ではない細胞外小胞ソーム
例えば、牛乳、果物、藻などが調べられています。
しかし、血中に投与されると
免疫的な反応を示す恐れがあり、
その応用は制限的かもしれません。
--
臨床試験における治療用の細胞外小胞は
遠心分離機
タンジェンシャルフロー・フィルトレーション
で通常分離されます(7)。
しかしながら、
細胞外小胞の臨床試験の多くは
小人数規模でしか行われていません。
遠心分離機で仕分けする場合、
大量に生産する事が難しいからです。
さらにこの方法では
細胞外小胞がダメージを受けたり、凝集します(4)。
タンジェンシャルフロー・フィルトレーションは
大規模な製造に対する適合性があります。
細胞外小胞の構造を保護しながら、
部分的に純度を上げることができます。
分離された後、
細胞外小胞は内容物を搭載するためエンジニアリングします。
また
「Best-of-both-world」
つまり、二つの異なったものの長所をそれぞれいかしながら
合成ナノ粒子の製造プロセスを生かしながら
エンジニアリングします。
ほとんどの臨床試験では
サリン、スクロース抗凍結剤を
細胞外小胞を-80℃で貯蔵するために使用します。
代替として
凍結乾燥はいくつかの細胞外小胞の積載物、機能に対して
適合しているかもしれません。
それによってシンプルな貯蔵、分布、
治療現場での再構成が可能になります。
--
既に実績がある合成ナノ粒子と細胞外小胞の領域の
交流を深め、コラボレーションする事は
細胞外小胞を使った医療の実現性を高めてくれると
考えられます。

//考察//ーー
新型コロナウィルスのmRNAのワクチンの普及によって
脂質ナノ粒子の製造ラインは世界的に大きくなり、
コストパフォーマンスも上がっていると想定されます。
実際に、数千円程度で接種できるという事は
薬剤として少なくともコストの面で
すでに市場競争力が十分にあるということです。
これを新型コロナウィルスワクチン以外に生かそうと
考える事は自然です。
mRNAワクチンの輸送先は
主に樹状細胞であると考えられます(ref.(13), Figure.1)。
従って、血中以外の輸送に関しては
まだ改善の余地があります。
その輸送先、選択性においては
おそらく細胞外小胞の方が広範であるとも考えられます。
また、感染症のワクチンにおいても
免疫的な理由で接種できなかった人の一部は
免疫原性が生じにくい細胞外小胞を使ったワクチン
接種が可能になるかもしれません。
おそらく
本気で臨床応用を考えようと思ったときに
細胞外小胞の懸念材料となるのは
現実的に見て「コスト」「生産性」だと思います。
従って、
基礎研究はもちろん大切ですが、
細胞外小胞を利用した薬剤送達システムを考える場合には
非常に洗練された生産技術を確立する必要があります。
逆に懸念する団体、人が多ければ多いほど
チャンスであるとも言えます。
なぜなら、非常に高い生産技術は模倣が難しいからです。
細胞外小胞は裾野が広いため応用性も高いです。
そこから様々な経営的な選択肢が生まれるはずです。
従って、
世の中がmRNAワクチンの流れの中で
合成ナノ粒子に傾いているという潮流の裏側には
細胞外小胞というチャンスがあるとも考える事ができます。
ある程度、本物の、潜在性を引き出した
細胞種特異的輸送系統
(Cell-type specific delivery system)。
の機能を搭載した細胞外小胞を
市場競争力を持った形で実現するためには
最低でも5年くらいはかかると思います。
ここに資源を集中させるかどうかは
それぞれの企業の経営判断によると考えます。

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