2025年7月4日金曜日

植物の生理学と人体の対比

<目的>
植物全体的な機能、すなわち生理の理解と、ヒトの組織、臓器を対比させる新たな学域の開拓を目指します。各組織に対比させるという事は人が一般的に罹患する疾患との対比も行いやすくなります。そこに新しい視点が存在します。


<根(roots)>
根は豆から発芽したときの最初の組織、臓器です。機能としては、土壌に身体を固定する固定機能、水や無機栄養を吸収し、上部に供給する栄養吸収機能、ホルモン(オーキシン、サイトカイニンなど)を感知・産生し、全体の成長に影響を与えるシグナルの中枢、環境(温度、水分、微生物)を感知し、応答する外界との接触点といえます。このような根の摂食、外界の暴露性を考えると機能的には消化器、特に小腸に近い特徴を持ちます。一方で、ごく初期の発達に関していうと脳幹・脊髄など最初にできる中枢神経構造にも近いです。土などの外界と接し、温度、圧、化学物質などを感知するという意味では同じような感覚器が発達した皮膚や手足の末端部とも言えます。植物は動物と異なり「移動できない」ため、根が腸・感覚器・固定器官の機能を1つに統合しているとも言えます。


<茎(stem)>
葉や花、果実を持ち上げ、光を受けやすくする構造的支柱としての支持機能、根から吸収した水や無機養分、葉で作られた光合成産物を全身に輸送(道管・師管)する輸送機能、成長点(分裂組織)があり、縦方向に成長を続ける成長制御機能、ホルモンやシグナル物質の伝達路として働くシグナルの中継点、日照・重力・物理的刺激に応じて屈曲や成長方向を変える環境応答などの機能があります。体全体の支持の役割を持つ脊柱(背骨)と脊髄系や物質を運ぶ血管、リンパ管などの循環器、外部環境に応じて全体に動性を与えるという点で筋組織のような働きがあります。また、成長を支えるという意味では人の成長を支える軟骨、骨端線を含めた骨格の働きもあります。


<葉(leaf)>
葉は主に光合成(エネルギー生成)、蒸散(水分調整)、気孔によるガス交換(O2とCO2)などを行います。エネルギーを生成、調整、貯蔵するという観点では肝臓、あるいは脂肪組織のような働きがあります。酸素と二酸化炭素のガス交換を行うという観点では肺を中心とした呼吸器、蒸散による水分調節を行うという観点では皮膚のような働きがあります。


<花(flower)>
花の雄しべ、雌しべは受粉など生殖に関わる為、精巣、卵巣、陰茎、膣、子宮などの生殖器に対応します。また、フェロモンなど匂いを発し、感知することから、人の嗅覚、視覚などの感覚器や匂いを発生させるという意味では皮膚に存在する皮膚常在菌のような役割もあります。


<果実>
果実の機能は種子の保護、栄養供給、貯蔵、 成熟・甘味・香りの生成による動物誘引、水分供給、発芽環境の調整(物理的・化学的)、防御物質の生成(抗酸化物質・毒素など)、成長制御(ホルモンの分泌)など多機能に渡ります。皮膚・免疫系、肝臓、脂肪組織、感覚器官、腎臓・循環系、内分泌など様々な人の機能と対比させることができます。


<細胞壁(cell wall)>
植物の細胞壁の細胞膜の外側にある食物繊維の層は、細胞の膜の一部としてみなすのではなく、動物の細胞でいう組織を支える基質のような構造を支持するような役割で、細胞外マトリックスような機能があるといえる。


<癌>
癌は人とは切っても切り離せないごく身近な疾患です。医療が発達した今でも癌を撲滅する事は難しく、それは不可能ではないかとも思います。その癌は、一定の傾向があり、未成年がかかる癌は、脳腫瘍や白血病が多く、その他も含めると希少疾患の分類に入ります。すなわち、未成年が癌に罹患する確率は極めて低いです。これは、癌が密接に細胞の老化と関連がある事を示します。癌は遺伝子、染色体の異常とも言い換えることができます。そのような遺伝子の構造を異常にさせる、破壊させる力は先天的なものもありますが、多くは生を得てから環境から受けるストレスに依拠します。従って、そのストレスを多く受ける消化器、呼吸器、皮膚などの癌が一般的に人のケースでは多いのが特徴です。また、癌は細胞増殖の異常なので、主に細胞を短い周期で入れ替え、細胞増殖頻度の高い上皮組織などの結合組織で生じることが一般的です。この観点で考えると、植物の場合は結合組織があり、動性に富み、成長を支える茎、根、特に根は消化器のように多くの栄養物質を土から取り込むことから、癌が生じやすいと推定する事ができます。さらに、葉や果実のように体を守る二次代謝生成物、それを分泌する葉緑体が少ないことから、細胞、組織の異常が生じやすいとも推察されます。さらに葉は落ち葉として容易に切り離すこともできます。この明確な証拠はありませんが、植物が動物と異なるのは頑丈な細胞壁があることです。言い換えると一つ一つの細胞の周りに基質となる食物繊維、人でいう細胞外マトリックスような組織が密に形成されている事です。これにより、悪性腫瘍組織が結合組織内に浸潤しにくいという特徴があります。 細胞壁は「分子レベルのコンクリート」のような存在であり、浸潤性を完全に拒む構造を持ちます。従って、原理的に植物は悪性腫瘍形成に対する耐性が非常に強いといえ、それが動物、人よりも長寿命を可能にする一因であると推定されます。このことは逆に人の癌でも、細胞外マトリックスを最適にする、すなわちⅠ型コラーゲンの構造としての完全性を守る事の重要性を示唆するものです。もっと言えば、Ⅰ型コラーゲンのらせん構造の間を埋める水分子の構成や配座を支える物質の補酵素として働くビタミンCが癌を予防する上で、あるいは治療後の再発防止を含めた予後を支援する上でカギとなるといえます。ビタミンCを最も効果的に摂る方法は寿命が短いため、こまめに果物、トマト、キュウリをそのまま旬の状態で生で切らずに食べる事です。さらにいうと、水の構成もコラーゲンの構造を支えるうえで重要です。コラーゲンの3次元構造を支える水和層としての水の特性において、硬度、集団的トポロジーがどのようであればいいか現時点の世界の最先端の研究でも答えは明示されていませんが、AIの現時点の推論では、適度なバランスが重要であるとされています。例えば、日本の軟水は、比較的、多様な地層条件を通って、地下に流れ出すので、バランスの上で優れている可能性もあります。


<循環器疾患>
植物は心臓、筋肉のようなポンプ機能がなく、水ポテンシャル差、すなわち水圧の差によって循環させるため、いわゆる生活習慣病の一つである高血圧のような症状は起きませんが、水圧差の異常による循環器の異常は存在します。流れる水の物質のバランスの異常、例えば、人でいう高脂血症のような水の中の脂質量が多くなることは植物も細胞間で循環器を通して脂質の交換をするので原理的に生じうると推定されます。また、植物は人、動物のように神経系を持たないので、体全体のバランスを整えるためのシグナル伝達は前述したようなシグナルを生み出す根から茎、葉、花、果実にほとんどは循環器を通したシグナル伝達物質輸送に依存していると推定されます。従って、人の脳神経系疾患のような症状は原理的に神経細胞が存在しないのでないといえますが、より広義に捉えると、こうしたシグナル伝達物質の生成、輸送、受容の異常が人でいう脳神経系の疾患と言えるという解釈もできます。
 

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