2025年3月11日火曜日

細胞腫特異的薬物送達システムの血管外滲出技術

<背景>
 トランスサイトーシス(血管外滲出)は特に脳神経系の細胞腫特異的薬物送達システムにおいて、脳神経系では血液脳関門があり、血管外滲出効率が最大で2桁程度低い事から、小児脳腫瘍の高度標的型薬物治療において、最も重要な課題の一つです。私が2020年9月から継続的に取り組んできた唯一の一貫した医療技術である(s)細胞種特異的薬物送達システムの実現の主要な律速因子です。上述した様に治療疾患対象を小児脳腫瘍と2024年8月20日に決定しました。その理由は、医療の部屋では継続的に小児医療に最も力を入れてきたことと、元々、医療の部屋を始めたきっかけが痛みのない癌治療、すなわち副作用の少ない癌治療の実現を考える事でした。これらの経緯から、必然的に対象疾患は小児がんとなり、小児がん全体に関しては、全日本の病院と連携して小児がんサバイバーシップ(生存者権)の高度な構築を目指します。一方で、上述した様に医療の部屋で医療技術として最も力を入れてきた細胞腫特異的薬物送達システムにおいては、領域ごと細胞種が非常に細かく区分された脳腫瘍である事と、現在の私の認識では小児脳腫瘍の内科の学会がなく、日本小児神経外科学会/日本小児血液・がん学会/日本脳腫瘍学会が小児脳腫瘍と近く、小児脳腫瘍に特化した学会はなく、日本脳腫瘍学会の治療プロトコルで示されているように外科(手術)が第一治療とされます。小児脳腫瘍の薬物治療については様々なカプランマイヤーカーブを世界のデータを見る限り、まだ課題は多いと判断され、この技術は果たせる役割は大きいと判断したからです。もう一つ、私が一貫して医療の部屋で力を入れてきたのは細胞外小胞であり、現在研究の主流であるバイオマーカーとしての利用よりも、私に関しては薬物送達媒体としての利用を想定して調査を進めてまいりました。現在、ドラッグデリバリーの分野ではmRNAワクチンの世の中の潮流もあり、アメリカを中心に合成ナノ粒子が薬物送達媒体として第一選択肢で主流です。細胞外小胞は自然の細胞から放出される粒子(小胞)で、大きさ/物質構成など多様性が高く、薬物として特性をそろえて最終的に製造することに大きな困難があり、現在、世界では薬物送達キャリアの選択肢として一部としては注目されているものの(127)、主流ではありません。では、私はなぜ細胞外小胞を薬物キャリアとして選択したのでしょうか?その一番の理由は、iPS細胞技術と非常に高い親和性を持つからです。この技術を日本で代表的な医療技術して進めていくにあたり、同じように(既に)日本の代表的な医療技術と連携/協力することは互いの技術の相乗的な発展につながるからです。例えば、iPS細胞技術によって分化誘導された神経系細胞から分泌されるエクソソームを細胞腫特異的薬物送達システムの薬物送達キャリアとして定めた場合、最終的な製造段階ではこの薬品の最も上流の工程は、iPS細胞技術による特定の神経系細胞の分化誘導にあり、いわば、iPS細胞がエクソソーム製造のための工場となります。当然、生産のため、多くのiPS細胞が必要になりますから、必然的に製造技術は段階的に向上し、洗練されることで価格も低下します。この生産技術がドラッグデリバリー以外の領域でも水平展開されると、iPS細胞が患者さんがお求めやすい価格で普及しやすくなります。そもそも山中先生がiPS細胞技術の「i」を小文字にしたのは、この技術の普及を考慮されてのことだと伺っています。日本政府としても数千億円投資してきた日本の代表的な技術ですから、当然、日本国民を含めて社会に価値あるものとして還元する必要があると考えられているでしょうし、私の技術がそれにベクトルを合わせることで、日本からの支援が得られやすくなるという公算と、そのような一部、打算的な事だけではなく、日本の代表的な技術が密接につながった医療技術に対して国民の皆様も愛着を持っていただけるだろうし、一部、税金の投資に対する納得も得られるだろうということです。私自身としては、この技術は小児脳腫瘍の治療の為であり、その対象は日本だけではなく、世界全体としている為、世界の国々とも協力しながら進めていくにあたり、よく日本の関係者の方と相談しながら、海外からの投資も呼び込みます。また、日本においてもこの技術の価値を一般的に訴求することで民間投資も促すことを継続的に行います。すなわち、公的資金だけに依存しない形で研究開発していく道も模索していきます。
 少なくとも私の中で磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発は重水ヒドロゲルの病変部位特異的送達も含めて細胞腫特異的薬物送達システム実現において必須であることを考えると直近でこの装置の開発の重要性は私の医療プロジェクトの中で相対的に上昇しました。その意思決定を駆動した一つの理由は私のキャリアにもあります。2020年の前の15年程度のキャリアは物性物理/光学などを専門としましたから、その長い私のキャリアを生かすことができると考えている部分もあります。もう一つは、重水ヒドロゲルを構成するたんぱく質は細胞外マトリックスとするのが自然であり、その合成のためiPS細胞工場を利用できます。このiPS細胞技術の発展にも関わる大切なコンセプトは崩れないと考えたからです。エクソソームは細胞レベルでの薬物送達が可能なので、この解像度はレベルが上がれば、確実に超音波焼灼を超越します。また、エクソソームと焼灼の技術は競合というよりも相互補完的という側面が強いです。重水ヒドロゲルの標的性が上がってくると内包するエクソソームを保護しながら近隣の毛細血管まで送達可能になりますから、そこから細胞レベルの段階的な薬物送達が可能になります。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の病変部位特異的な組織焼灼/機械的刺激/温度刺激は重水ヒドロゲルの造影が必要ですから、この技術開発はエクソソームによる細胞腫特異的薬物送達システムの重要な要素技術開発とも両立します。また、エクソソームの開発は、もう一つ重要な細胞腫特異的細胞外小胞分離技術とも要素技術が両立するため、その点を考慮すると重みづけを大きく変える事は出来ません。ただ、個人的にはエクソソームによる細胞腫特異的薬物送達システムの絶対的価値がほしいという強い思いがあるので、それはこれから研究開発する段階で注意深く発見していきます。基本的に重水ヒドロゲルは循環器の免疫応答とかも考えると骨格のたんぱく質は生体内にある自然な細胞外マトリックスを使いたく、質の良い線維芽細胞が欲しいのでiPS細胞工場は必要です。重水造影媒体が赤血球になったとしても安定的な特性を得るためにiPS細胞工場が必要です。私の医療プロジェクトの選択がもう一つ日本医療(産業)において重要なiPS細胞技術の特に「産業化」という所に影響を与える可能性があるので、それは現時点でもかなり意識しながら重みづけを調整しています。一方で、小児脳腫瘍で命を落とす子供を撲滅するというのはそれ以上に強い思いがあります。従って、それを実現するために最善の方法を選択したいという思いもあります。ゆえに、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発の重みづけを私の中であげることを決断したという経緯もあります。ただ、非常に複雑に交絡していて、説明が必要です。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の重水ヒドロゲルの造影技術は今の時点で全ての展望が鮮明に見えているわけではありませんが、再生医療の評価として利用できる可能性があります。iPS細胞由来分化後細胞群のたんぱく質の表面マーカーがある、あるいは/かつ、特定の免疫細胞/サイトカイン/ケモカインなどが集まる性質を有し、そこに造影可能な重水ヒドロゲルを設計して集めることができたら、どこにiPS細胞分化後の細胞が組織に生着しているかを「視覚的に」分析する事が可能になります。これが可能なら価値がありませんか?細胞外小胞の分離技術はiPS細胞の再生医療の評価の為に利用する事が応用の一つとして私の頭の中にはあります。これは液体生検になります。一方で、重水による造影の場合は、視覚的情報になります。基本的にはエクソソームによる薬物送達システムが完全に淘汰されないように価値を見つけていく必要はあり、それはiPS細胞工場の「産業化」という所に影響を与えますが、現時点でどのようなシナリオになったとしてもiPS細胞の技術に研究開発/産業応用において少なくとも悪影響はなく、明らかに好影響があると評価しています。


<技術的背景>
細胞腫特異的薬物送達システムには体の区画に応じ、多層的な標的機序を組み込む必要があります。患者さんの血液中に薬物を投与した後は、全身の血管を循環し、脳腫瘍であれば、腫瘍形成した脳の特定部位に薬物が効率よく送達される必要がまずあります。その後、腫瘍形成した付近の血液中から血管外滲出して腫瘍が形成される実質内に移動します。そして腫瘍を形成する癌細胞に付着し、細胞内に取り込まれて、細胞内で薬理を果たすように細胞内でも薬理が作用されやすい部位に送達されるように調整する必要があります。もともと、私が2020年に細胞腫特異的薬物送達システムを創案したときは、非常にシンプルな機序です。癌細胞特異的な表面タンパク質があるはずなので、それに特異的に結合するたんぱく質をナノ粒子の表面に装飾して、送達効率を向上させるというアイデアです。このわずかな言葉で説明されることに技術的なコアは収束します。しかしながら、薬物が投与されてから、癌細胞内で薬理を果たすまでの経路を詳しく/具体的に考えていくと、当然、細胞に引き寄せられる機序は大切なのですが、血管外滲出の機序も考える必要があります。特に脳腫瘍の場合は、血液脳関門があるので、脳神経系の薬物送達システムでは一番中心的に考えられる課題です。脳腫瘍が形成されたときには、血管進出しやすいような脳血管としては組織学的に不完全な血管系(blood–tumour barrier(128))が形成される可能性があり、何も技術的な工夫をしなくても脳腫瘍周辺に薬物は集まり、効率的に血管外滲出する可能性がありますが、小児脳腫瘍の場合は非常に亜型(サブタイプ)が多く、悪性度が高いものであっても、一般的に定義されるような上皮細胞に形成される突起(結節)のような塊のような組織ではなく、通常の神経系細胞と連携しながら(129,130)、間葉系幹細胞のように実質に混在/浸潤して存在するびまん性(拡散性)の癌もあります(131)。一般的に結節のように塊の固形組織を形成する脳腫瘍の場合は、手術適応性が高いですが、びまん性の場合、腫瘍組織の境界を定義する事が難しいため、悪性度が高い場合には特に治療が難航します。そうすると当然、薬物治療の依存が高くなるため、必然的に薬物治療を考える場合には、外科適用されにくい、境界が不鮮明なびまん性の脳腫瘍について考える重要性が上がります。このびまん性の癌に関しては血管系が通常の血液脳関門から大きく変性していない可能性もあることから、小児脳腫瘍の効果的な薬物治療を考える際には血管系の変性を加味しない、通常の血液脳関門がある事を前提として開発する必要があります。このような背景から、この記事では薬物キャリアとしてのエクソソームの血管外滲出をテーマとしています。


<技術的概要>
細胞外小胞には大きさに偏差があり、現在想定している大きさの範囲は50-130nmです。述語体系上の定義ではエクソソームとなります。基本的にはエクソソームは小胞なので一定の大きさがあることから、腎臓など特定の臓器を除いては細胞間のルートで血管外滲出させるトランスサイトーシスさせる事はあまり期待できないため、細胞内(transcellular)のルートでトランスサイトーシスさせる事を考える必要があります。脳神経系の血管のバリア構造は上述した様に血液脳関門(blood-brain barrier)と呼ばれます。血液脳関門に限らず、一般的な血管壁構造の通過を考えるにあたり重要なことは次の7つの項目が考えられます。(01)できるだけ細い毛細血管への分布/(02)標的付近での内膜近接領域滞在時間向上/(03)小窩の利用/(04)細胞内小胞膜との強い結合/(05)基底での効果的な離脱/(06)局所的、かつ一時的に血管内圧を上げる事/(07)細胞内小胞化を誘導する膜タンパク質との結合。血管は径に沿って組織構造を変え、末端にいけばいくほど分布は局所的/細くなります。毛細血管の役割は実質の細胞への栄養供給が主な役割なので、全体的な傾向として径の太い血管よりも血管外滲出に優れます。これは脳神経系の血管でもおそらく当てはまります。従って、薬物を血管外滲出させるときには毛細血管への効率的な誘導と、毛細血管組織を評価して、組織学的事実に基づいて、効果的な血管外滲出機序を定義する必要があります。こうした自然な機序を利用するほかに、外因的に患部にエクソソームが送達されたのを確認して、集束超音波で血管を機械的に刺激して((06)の血管内圧上昇と関連)、血管外滲出を促す方法もあります(132)。現時点でどちらの方法にも依存することなく、技術的成功の確率を上げるために両方の技術開発を進める予定にしています。


<評価1>
 従来のドラッグデリバリーシステム研究では、人の身体で薬物の患部までの送達効率を評価する特別な重要性を謳った総括論文は私が調べる限り多くありません(133,134)。薬物が実際に患部に送達されているか評価するというのは、今この文章を読んだ人からすれば当たり前のことに様に思えるかもしれないですが、実際に人の身体は光はほとんど通過しませんから、光学顕微鏡などで体を損傷させず、体の深部を観察することが基本的には難しいので、少なくともかなり挑戦的なことではあります。私の分析では、逆に今までこれができる革新的な技術が臨床応用されていたとしたら、今の治療の主要選択肢が異なる可能性がありますし、現在不治とされる疾患のいくつかはそうではないかもしれません。それくらいインパクトがあり、重要な事です。バイオマーカーを代理(プロキシ)として見るという方法では、すでにいくつか世界で提案されているかもしれないですが、リアルタイムで画像でみるとなると相当挑戦的で研究レベルでも世界で例を見ないことです。それが可能になるかもしれないのが重水を使った磁気共鳴分析です(135)。水を含む安定的かつ大きな代理材料を用意してエクソソームと複合体化/ガドニウム添加/MRI測定範囲の限定などいくつかの工夫を重ねることによって観測可能な感度まで上げることを試みます。この時、エクソソームは造影の為には小さすぎる事と造影の為に重水素を高濃度で含有させることが困難なので、少なくとも重水と可換な水を含むエクソソームと複合体化できる大きな代理材料が必要で、その候補としては赤血球とヒドロゲルがあり、どちらでもいいし、過剰に選択性を限定すべきではないですが、赤血球の場合は細胞内に水を含みますが、アクアポリンから水がどんどん抜けていくため、造影時間が少なくとも限られます。この技術は東京大学と協力して実施したいと私は考えています。東京大学は伝統的にヒドロゲルの研究が盛んな事と(136)、ヒドロゲルは薬物送達として既に考えられて先行技術参照が可能な事(137)、ヒドロゲルは細胞外マトリックスと水を混合させるので、私の医療プロジェクトでの大きなテーマである細胞外マトリックス技術/プロテオーム解析と融合できる事、ヒドロゲル中の水は比較的固定的で安定な事などからおそらく最有力な選択肢になります。またヒドロゲルの水を重水にする研究は世界にまだほとんどなく、ヒドロゲル研究自体においても新たな知見を示す可能性もあるので、そうした新手としての魅力もあります。それをしかも重水のMRIで見て、かつリアルタイムで患部の薬物送達を観察しようということですから、直列的に世界に例を見ないことで、この研究をして逐次(英語を含めた)記者/新聞/論文発表すること自体が日本の研究開発力の世界へのアピールになると思います。その研究の臨床応用までの道筋はすでに明示しており、基礎医学報告だけに目的化されたものではありません。日本/世界の子どもの脳腫瘍の治療のため行わるものであり、その実現の為、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波の装置開発までしようという事です。それを日本国内の地域/企業の発展を考えてするわけですから、私の医療の部屋の活動を好意的に観てくれて支援して下さる専門家の方はこの価値は一定理解していただいているとは信じていますが、公的に支援する上での価値を評価する人は細かいことも含めてわからない部分もあると思うので、ここで訴求/明言するに至ります。追記することがあるとしたら、結局、医師(先生)の手から離れて、患者さんに薬剤が投与されたら、その後、薬物が体の中でどうなっているかはわからず、基礎/臨床試験の結果と患者さんの病態から推定するしかなく、薬物送達の評価はその間を埋める重要な評価という事です。今はまだ存在しない評価システム自体の構築ですから、成功したら当然、今まで誰も見たことがない現象をみるわけですから、何らかの未知の発見が生じても不思議ではありませんし、すでにこの記事を書いている途中に「必ずしもエクソソームはいらないかもしれない」という気づきもありました。2025年1月31日に報告させていただいた1次評価に記載したことですが、私が提案する医療プロジェクトは全ての技術が複雑に/有機的につながっているので、1つ失敗が全体に影響を与えますが、逆に1つの失敗を他の目的で補うことができるシステムになっています。例えば、ここで述べた薬物送達システムの評価は何か物理的な制約で「絶対に無理(簡単にはそう判断しない)」ということがわかってしまったとしても、エクソソームを使った薬物送達システム自体の開発が終了するわけでもなく、それはiPS細胞技術の発展にもつながります。また、評価装置開発も別の脳腫瘍組織焼灼/水頭症治療のための開窓形成など別の目的もあり、その目的は果たせる可能性があります。一つの医療技術項目が複数の目的を果たすようにしているので、1つの失敗が全体的に影響を与えてしまうというリスクもありますが、逆に失敗したときにリスクヘッジ戦略も構築しやすいということがあります。
 下述するように重水ヒドロゲルの分布を体の中で可視化できるという事は、重水ヒドロゲルに病変部位特異的送達機能があれば、体の外からリアルタイムで病変の位置がわかるようになります。幸いにも重水ヒドロゲルを造影できる磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置は同時に超音波に温度上昇/機械的刺激という基本的な治療機能がありますから、その治療機能に基づいて、病変部位を特定した状態でリアルタイムで外科的に治療できることを示します。当然、私は小児脳腫瘍の治療の為、この技術開発をしていくことに最も力を注ぎますが、これを読んだ専門家の方は利用範囲がこれだけではない事が明らかな事には気づかれると思います。例えば、炎症が生じている血管の部位がわかり、そこに対して(穏やかな)温度上昇/機械的刺激が数十μmオーダーで高精度にできるようになったら、特に冠動脈/大動脈など重要な血管など循環器の治療において何らかの変化をもたらさないでしょうか?この可能性を考えると当然、私が担当する研究開発がどういった進捗を示すかによると思いますが、その結果次第では、同時進行で脳神経系以外の領域でもこのコンセプトが生かせないかの検討は必要だと思われます。日本は(私も含めて油断しなければ)この研究開発を先導する事ができると私は考えています。なぜなら、この構想を実用化する企業の技術者としての目線も含めて分野横断的/全体的に理解しているのは私自身であり、私は日本人だからです。同じ日本人という共感も必要です。仮に日本以外の国の人が私のこの細かい技術的なノウハウを無料で掲載した医療の部屋を読んで着想を得て、日本よりも資源を投資して先に高性能な磁気共鳴/(経頭蓋)集束超音波装置を開発することになったとしても、私のこの医療の部屋が事実としてインターネット上にある限り、(ローカルなプロジェクトに関しては可能性はあるにしろ)日本を完全に無視して独自に国際的に大きなプロジェクトを進めようという話には少なくとならないと思います。もし、日本が国際的なグループに入れないとしたら、それは私のこの構想とは全く異なる様式でより医療において付加価値の高い構想が示された時だと思われます。従って、日本国の船に乗って、この構想を基に地図を描いて航路を決めて、生涯かけて一緒に航海するという事です。この船に搭乗する人はその覚悟があるかということです。私も気候(天気)のように心が変わる気分屋といわれていますし、その自覚があるから、私自身も変わらんといけんのんです。すでに2024年の7月から医療プロジェクトを考え、軌道修正しながらここまで来ました。途中、蛇行する部分もあったけど、私自身、気分屋でありながら、決めたことをしっかり気持ちを変えないでやり抜くという部分において変わってきているのは伝わっていると思います。1月31日の1次評価報告までしっかり約束は果たしました。年末年始も休まず活動しました。それでも(特に数年以上ブランクがある社会性も含めて)まだ不十分で変わらないといけないのです。でも変わる必要があるのは私だけですか?とは伝えたいです。このプロジェクトをするとなったら、海外と協力するにしても、日本としても私としても今までの歴史で未経験の困難なことに勇気を出して挑戦するわけですから、その決断を称えるべきです。当然、研究開発/産業化/(国内/海外)連携/コミュニケーションなどで失敗もあると思います。でも、失敗のたびに何が原因だったかを分析して繰り返さなければいいです。逆にその失敗の中での成功もあります。コミュニケーションで少し興奮して人を傷つけたりしたこともあるかもしれないけど、一方でこれは気持ちを込めて伝えてよかったという事もあります。


<評価2>
評価1では重水MRIによる薬物送達評価について記述しましたが、その方式だけに依存せず、バイオマーカーによる分析の可能性も追究する余地があります。1次評価として報告を上げました通り、細胞外小胞分離は非常に重要なテーマで私の医療プロジェクトの骨格を成します。細胞腫特異的な細胞外小胞分離が可能になることがあります。薬物キャリアであるエクソソームがmiRNAなど細胞への痕跡を残すマーカーとなる作用/物質を作用させたい薬物と同封します。癌細胞から出る細胞外小胞を細胞種特異的な分離によって検出し、識別可能なmiRNAなどのマーカー(プロキシ)を検出することで薬物が癌細胞に到達されたかどうかの確認と(より高度ですが)定量を行います。これにより画像診断とは独立して癌細胞への薬物送達評価が原理的には(机上の理論では)可能になります。また、この時、癌細胞から放出された細胞外小胞をアポトーシス小体などもも含めて包括的に分析する事で、アポトーシス小体の分析により癌細胞死を分析できるだけではなく、様々な種類の細胞外小胞に含まれる物質を膜情報、表面タンパク質などを含めて包括的に分析する事が可能になり、患者さん毎の癌細胞の形質を評価できることにつながります。今述べたように表面タンパク質の情報は主に細胞外小胞の膜たんぱく質として一部反映されますから、その分析により、細胞取得的薬物送達システムで必要な癌細胞特異的な表面タンパク質を識別する事が可能になります。


<評価/血管外滲出技術>
重水ヒドロゲルの中にエクソソームを埋め込み重水素に磁気共鳴条件を合わせて若干ガドニウムで信号をシフトさせて重水を検出することでより重水ヒドロゲルの組織中の特異性を上げて検出し、水素共鳴条件の組織画像と重ね合わせて、最低条件として脳腫瘍部周辺のエクソソームが内包された重水ヒドロゲル濃度を評価します。今まで公表していない事として実験条件の提案があります。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発で必要になる人の脳神経系と物性を合わせた積み木状(区画状)のマネキンを共用します。そのマネキンの任意の区画に循環器特性を有する液体上内に浮遊させた任意の濃度の重水ヒドロゲルを設置します。それでどれくらいの重水ヒドロゲルならば検出可能かをテストする事と、その重水ヒドロゲルの画像を人工知能に特徴量を学習させて、人工知能のソフトウェア上でも検出感度を上げられるように画像推論のアルゴリズムを開発します。画像推論のアルゴリズムは重水ヒドロゲルのMRI画像上の数字データを高次元につなげたり、わけたりしながら、様々な数式テンプレートをカーネルとして畳み込み解析をして、解析項目を考えられるだけ抽出して関数列の番地に割り当て、その関数列と数式の関係性を評価する中で一番ふさわしい数式を特定する事を試みます。この時、超音波解析でも重水ヒドロゲルの解析が人工知能の画像推論/特徴量抽出で可能になる可能性があるため、共通の実験装置で超音波反響/散乱/透過信号からすでに存在するとわかっているマネキンの状態で継続的にデータを取ります。もし将来的に磁気共鳴が必要ないとなると独立した超音波装置だけで薬物送達のリアルタイム評価ができるようになるかもしれないし、MRIと合わせると体全体の循環器も含めてより広範囲に薬物分布を追跡できるようになる可能性があります。また、超音波による気泡生成による薬物の血管外滲出の技術が報告されています(139)。重水ヒドロゲルの少なくとも患部の薬物濃度評価は実際にそこに薬物がある事がわかっているわけですから、そのタイミングで超音波をリアルタイム画像に合わせて照射することができ、場合によれば、重水MRIの信号強度の変化から薬物が開放され、血管外滲出したかどうかも画像でリアルタイムで評価できる可能性があります。これは一段も二段もレベルが高度になり、単に超音波気泡生成による血管外滲出の手順に顕著な付加価値を与えます。(4:Fig.1A)に示す通り、毛細血管は太い血管の間を網目状に分布しています。このように細い血管は機械的に破壊してもすぐに止血されるかもしれないので、もし血管壁を一定破壊することが許容されるのであれば、この記事で定義するような詳細なトランスサイトーシス機序は必要なく、そのまま時空間で制御された形で実質にヒドロゲルから解放されたエクソソームが癌細胞がある実質内にするかもしれません。子供の頭の大きさ/特性に合わせたマネキン設計/磁気共鳴経頭蓋集束長超音波装置開発/細胞腫特異的薬物送達システム評価/脳特異的薬物送達システム血管外滲出。これらが全て有機的に連携されます。重水ヒドロゲルを重水素励起のMRIで可視化すると、血流に乗って癌細胞に周りに一定集まりやすいかもしれないので、局所癌細胞、腫瘍の診断にも使え、薬物を滲出させた後に位置を記憶して、予備的に焼灼照射することも考えられます。将来的に脳神経系に限らず、体内の薬物標的化した物質が可視化できるという事は、薬物治療そのものを変革する潜在性があります。特に磁気共鳴/経頭蓋集束超音波はそれによる治療も可能になるので、その潜在性は非常に高いです。従って、これは時間がかかっても簡単に諦めてはいけません。重水ヒドロゲルは毛細血管の大きさに合わせ、毛細血管中の多滞在時間を最適化すること/(免疫系誘導性も含めて)ヒドロゲルのたんぱく質成分に病変部位標的性を組み込むことで薬物を病変部位に非常に細かいレベルで集めることができたら、その重水ヒドロゲルが病巣がある場所を信号で示してくれますから、小児脳腫瘍をはじめ、癌ではそのままリアルタイムで超音波信号で癌細胞を焼灼することができます。しかも磁気共鳴/経頭蓋集束超音波はあらかじめ、組織分析で大きな代表的な病巣を明らかにしている場合には、その(周辺)部分の細胞を刺激することで代謝を変えて、薬物をより集めることができるかもしれません。そうすると重水ヒドロゲルの病巣シグナルの信頼性がより高くなります。これは癌に限らず、神経系でいえば、炎症が生じていたり、神経異常が生じているところに重水ヒドロゲルを集める事が出来たら、その部分を経頭蓋集束超音波で低強度で病変部位特異的に神経刺激することもできます。重水プロキシ材料としては自然装飾できる特に循環器にある細胞も選択肢ですが、設計の自由度が高く重水の保持率も高い重水ヒドロゲルが一番の候補です。人工性が高く、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置を含めて人の叡智を結集した技術の結晶である最先端医療工学が、自然が何億年もかけて作り出してきた病気に対して、ここまでのことができる(可能性がある)というのは私も含めて関係者の大きなモチベーションになるのでその点でも重水ヒドロゲルが好ましいです。一方で、これでエクソソームによる細胞腫特異的薬物送達システムがいらなくなるかというとそうではありません。細胞レベルでの標的性は超音波焼灼よりも薬物が優れます。また、重水ヒドロゲルが完璧に細胞レベルで病巣の位置を示すことができるかわかりません。段階的な送達が実際には必要になるかもしれません。焼灼に対してより細かい予備的なアドジュバント治療で細胞レベルの標的性を有する薬物治療が必要になります。重水ヒドロゲルの中にガドニウムなど強磁性材料を高密度で入れたいです。重水ヒドロゲルのベースとなる検出感度を上げるだけではなく、その位置で血管外滲出(BBB opening)/組織焼灼のいずれにしても重水ヒドロゲルからより多くの磁性材料が周りに拡散します。重水素/水素励起いずれのMRIでも信号強度の変化/動きを見ることで超音波照射の重水ヒドロゲルへの作用(重水ヒドロゲルの分解など)の確かな証拠が得られる事と一定の時空間での物質拡散の状況の分析する事が可能になります。ただ、今はまだ実験もしていない状況です。どんな(不都合なことも含めた)結果が出てくるかわかりませんから、有望であると考えられるアプローチに関しては並列的に研究開発を進めていくことが大切ですし、そうしないと小児脳腫瘍という難病に立ち向かうことは決してできません。臨床医学は甘くはなく多くの場合厳しい結果を示します。


<世界の臨床試験の状況>(58:Supplemental information)
MRIガイド/経頭蓋集束超音波の状況を脳腫瘍に限定してまとめます。日本に関しては脳腫瘍の臨床試験はなく、パーキンソン病に対する組織焼灼(tharmoablation)を50人の患者さんを対象に行っています(Zhengzhou,China; Fujisawa,Japan:NCT04002596)。世界唯一のMRIガイド経頭蓋集束超音波装置の市販商品であるExAblate Neuro 4000の対象疾患となっている本態性振戦に関して、患者数100人の規模で多拠点で臨床試験が行われています(Beijing, China;Chang Hua,Taiwan, Multiple sites(Ehime Fujisawa Hokkaido Hyogo Kumagaya Osaka Tokyo), Japan NCT03253991:Study Completion/2023-02-02 )。脳腫瘍に関してはNCT00147056 Boston, Seattle,USA, NCT01473485 Toronto,Canada, NCT03028246 Miami(以上/組織焼灼), USA, NCT03744026 Paris, France, NCT04063514 Santa Monica,USA, NCT03712293 Seoul, South Korea, NCT03322813 Baltimore, USA, NCT03616860 Toronto,Canada, NCT03551249 Boston,Baltimore, Charlottesville, USA, NCT03714243 Toronto,Canada, NCT04021420 Paris, France 2(以上/血管外滲出)。組織焼灼の臨床試験であるNCT00147056/NCT01473485に関しては、進捗状況がわかっていません。NCT03028246は子供/若い人に対する良性脳腫瘍に対するExAblate 4000を利用した安全性と利用可能性評価です。結果に対しては公表されてません。NCT03744026は経頭蓋ではなくカテーテルを挿入した超音波装置であるSonoCloud-9に関する臨床試験です。フェーズ1/2が報告されています(143)。超音波での血管外滲出の効果はガドニウムの血管外滲出をT1加重MRI分析で間接的に行っています(143:Fig 3)。超音波照射からガドリニウム造影剤の投与までの時間が長くなるほど、T1W画像における造影効果が低下するという有意な負の相関が得られていることから血管組織が超音波照射によって破壊されていることが示唆されますが、まだ、組織解析としての分解能に課題があると思われます。(142:Fig 2)のMRI画像を見る限り、信号強度が上昇しているかなり領域が広く、太い血管も含めて広範に血管を破壊している可能性がり、改善の余地がある事が示されています。NCT04063514は低グレードのグリオーマが対象であり結果が示されていません。 NCT03712293はExAblate 4000(type 2)を用いた脳腫瘍抗がん剤TMZに対する血管外滲出の安全性の評価であり、結果が示されていません。NCT03322813はExAblate 4000(type 2)を用いた脳腫瘍摘出施術を計画している患者さんに対する補助的な薬物治療における超音波キャビテーションによる血管外滲出の安全性と実現可能性評価です。結果は示されていません。 NCT03616860/NCT03551249はExAblate 4000(type 2)を用いたTMZの血管外滲出における安全性の評価です。結果は示されていません。NCT03714243は乳がんの脳転移に関する臨床試験であり、ExAblate 4000(type 2)の安全性と実現可能性における評価です。NCT04021420はメラノーマの脳転移に関する臨床試験であり、SonoCloudの安全性と効果を調べます。進捗状況は未知です。


<内容>
 細胞外小胞の血管内皮のトランスサイトーシスを考えるうえで最も重要なことから記述していきます。細胞外小胞の一番の可能性(機会)は薬物キャリアとして利用する細胞外小胞の資源細胞の細胞種選択性にあります。必ずしも成熟細胞である必要はなく基本的にほとんどの細胞種から分泌されるので、未分化の神経幹細胞などからも分泌されます(22)。神経幹細胞から放出される細胞外小胞は血管壁で囲まれた独立した区画を超える機能がないと、グリア細胞や神経細胞に分化し、柔軟な神経系の構築が実現されないので、内皮組織としてバリア機能が高い血液脳関門(Blood brain barrier)を超える能力があります(23)。こうした血管外浸潤機能は神経系細胞から分泌される細胞外小胞の特性を比較的に一つ一つ紐解いていけば、物質的に明らかになることもあると思われますが、それがわかったとして、合成ナノ粒子でその機能を搭載していくときには、人工的な物質合成が少なくとも一定必要になります。確かに細胞外小胞は物質的に複雑で制御が難しいですが、進化の過程で構築されてきた非常に精緻な自然の合成機能を複合的に利用できるため、自然に即した形で機能を発揮することができます。自然の機能を引き出しながら目的とする機能を発揮するようにエンジニアリングという事です。製造管理の難しさ/同封できる物質の限定性という弊害を一旦は考慮しないとすると、細胞外小胞は血管外滲出させるためには小さければ、小さいほどいいです。例えば、エクソソームよりも小さい細胞外小胞のとしてExomere、Supermereが発見されています(138)。また、血管外滲出する初めの機序として細胞内に取り込まれるエンドサイトーシスが必要で、そのためには細胞膜変形が必要です。その膜変形を駆動するためには一定の受容体結合強度が必要で少なくとも1つのケースではその力が600nMであったとされています(24)。7桁も結合力は膜受容体結合条件で変化するため(36 pM to 23 mM)(24)、膜変形に耐えうるエクソソームの内皮細胞への必要とされる最低限の結合力が存在することが示唆されます。基本的に同時に多価で結合できることは結合力を高めるので、エクソソーム膜上に隣接する膜たんぱく質の組み合わせが内皮細胞のエンドサイトーシスに関わる細胞接着分子を含めた受容体の組み合わせと整合することが重要になります。組み合わせが単一の膜たんぱく質に比べて多様になることから、血管進出させたい脳の特定の領域の毛細血管の内皮細胞の小窩などエンドサイトーシス/トランスサイトーシスに関与する部位での受容体の組み合わせを調べることにより、組み合わせへの複合的な整合度によって段階的な結合力の可変因子を手に入れることができます。強いほうが好ましいのであれば、複数の受容体の個別の受容体毎強く結合するような装飾が好ましいということになります。エンドサイトーシスに関わる膜たんぱく質は以下、代表的な受容体があります。クラスリン受容体(Clathrin-coated receptors)/トランスフェリン受容体(Transferrin Receptor)/アポリポプロテインB受容体(Apolipoprotein B Receptor, ApoB Receptor)/カバーリン受容体(Caveolin-coated receptors)/マニトール受容体(Mannose Receptor)/細胞内シグナル伝達受容体(Cellular Signaling Receptors)/EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)/インターナル化受容体(Internalization Receptors)。他方で、細胞接着分子は以下があります。カドヘリン(Cadherins)/クラウディン(Claudins)/ゾヌリン(Zonulin)/インテグリン(Integrins)/PECAM-1(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1)/Vascular adhesion molecule 1 (VCAM-1,known also as CD106)。これらに糖鎖が結合することで結合活性に影響を与えます(30)。また細胞質側から細胞骨格の再構成を駆動するRho GTPase経路などが関与します。エクソソームを血管外滲出させるためにトランスサイトーシスさせるためにはエクソソームを細胞膜/細胞質など蹴細胞内経路のあらゆる過程で環境中に存在する他の脂質膜と融合しないようにする必要があります。また、一方で、細胞質でのエクソソームの安定性(寿命)を上げ、平均自由工程を上げてトランスサイトーシス確率を上げるためにはエンドソームなどより大きな小胞に保護されていることが好ましいので、細胞外小胞が内皮細胞上の受容体と結合して細胞膜変形により細胞内に侵入するプロセスでエンドソーム形成されることが求められます。上述した様に脳神経系のあらゆる血管系の内皮細胞上にあるエンドサイトーシスを駆動する上述したものを含めた受容体/細胞接着分子と多価で結合する事/あるいは分子レベルで結合親和性を調整する事が求められます。例えば、大きな動脈で結合しにくく、脳幹の橋の内部の毛細血管の特定の細胞接着分子に特異的に高い結合親和性のたんぱく質を装飾できれば、その結合起因での特異的薬物滲出機序を分子レベルで組み込めることになります。一つ一つの組織の細胞に対して個別の受容体/細胞接着分子の詳細な分子構造がわかればいいですが、それは非常に骨の折れる巨大な資源(時間/金融/人/環境)を擁する仕事になるので、より限定的な情報から人工知能/コンピューターで推論したいという需要があります(5-19)。私が提案する数式テンプレート形成による高次畳み込み分析による自然データ系列に対する適用数式メタ解析(メタ強化学習)では、世の中に存在する数学/物理学/化学などあらゆる数式を代表テンプレート形成により計算コストを下げて評価する事を目指します。これはもともと自然現象を説明するために発見された数式も多く含まれ、適切な評価ができれば、自然現象の概念性の理解を伴う形で適用性の高い数式を限定する事が出来、そこから構造分子推定の為の末端アルゴリズムを組むときに人の理解により改変を加える事ができる可能性が向上します。ただ、これが可能か現時点で全くわかりません。少なくとも様々な次元で議論を重ねて研究開発していく必要がある事です。現時点でいえることは、初めの数式の特定の時には、常時使用する末端アルゴリズムの構築のためのメタ解析なのでその計算の為に数日~1か月(修正の必要のない確実な計算であれば1年など)時間を擁しても問題のない事です。従って、テンプレートの普遍性なども含めて一貫性のあるシステムを熟考し、組むことが重要になります。
 例えば、腎臓は糸球体で血管外滲出を一定促し、フィルタリングして尿排出機能がありますから、血管内皮構造が異なり、周期的な細孔が含まれます(25:Fig.2b)。こうした血管外滲出を前提とした血管には物質を透過させるための特別なルートが用意されている可能性があるので、脳神経系の物質交換の機能を持つ毛細血管も一番細い系の末端部のそれを含めて細かい組織構造をこうしたルートがないか疑いながら調べることが重要になります。少なくとも中膜の平滑筋は毛細血管にないといわれています。細胞外小胞が内皮細胞に入るメカニズムh大きく分けて以下、5つあります(3)。(01)クラスリン依存エンドサイトーシス(clathrin-dependent endocytosis)/(02)カベオリン依存取り込み(caveolin-mediated uptake)/(03)マクロピノサイトーシス(macropinocytosis)/(04)脂質ラフト仲介取り込み(lipid raft-mediated internalization)/(05)ファーゴサイトーシス(食作用:Phagocytosis)。例えば(02)(05)は細胞外小胞が大きくなると細胞内への取り込みとしてはより支配的になると報告されています(26,27)。上述した様に薬物送達キャリアとして細胞外小胞を利用することは物質/特性多様性から特に製造管理の上で困難を伴います。一方で、細胞外小胞が持つ特別なメリットとしては細胞を持つ生物が長い間をかけて構築してきた自然の適応システムを利用できることです。例えば、脳細胞に走化性を持つ細胞から分泌された細胞外小胞は血液脳関門の障壁を超えやすいようにエンドソーム分解を抑制する遺伝子発現を促します(Rab7の減少)(31)。このことから上で推定した様にトランスサイトーシスの為には細胞質内でのエクソソームの安定性(長寿命)が重要であり、そのためにはエンドソーム保護とエンドソーム安定性が重要である事がこの適応機序から示されました。このRab7の減少が細胞外小胞が物質的に内包するmiRNA/siRNAによって生じていると仮定すると、後述するSacrificedエクソソーム、すなわちエクソソームトランスサイトーシスを向上させるために特化した補助的なエクソソームの構想も生まれるし、あるいは機能を区別せずに同封することもできます。細胞外小胞をトランスサイトーシスさせるためには内皮細胞に対する近接場、近傍に長く滞在させる事が大切です。通常、内皮細胞の内腔側の表面には負に帯電したヘパリン硫酸プロテオグリカンなど多糖構造の集合、グリコカリックスがあります(32)。必ずしも正に帯電する事がいいかはわかりません。むしろ逆に程度を最適化して負に帯電しているほうが細胞膜表面での選択的結合が可能かもしれません。また、細胞外小胞の内容物は一定割合、内皮細胞質に滲出しますから、それが内皮細胞内で自然に生成される細胞外小胞内に再封入されるようにエクソソーム誘導因子であるテトラスパニンなどを遊離タンパク質として内容物に入れることも考えられますが、当然、再封入されるエクソソームは患者さんの身体の内皮細胞からの自然発生ですから人為的ながん細胞への標的性は失われます。一般的に微小血管、毛細血管は通常の内皮組織よりも2桁以上、リーキーで物質を透過しやすいと言われています(4)。これは同じ血管でも径が細い方が物質を透過しやすいです。これは脳神経系の血管でも当てはまるかもしれません。一つの理由は、血管径に依存して、バリア構造の膜厚が小さくなるからです。例えば、中膜にある平滑筋は毛細血管にはなく周皮細胞が運動の一部を担います。毛細血管の最小径は5μm(5000nm)くらいなので、毛細血管の径は5-10μmであり、例えば、血管径5μmに対するエクソソームに複合体化させる重水MRI造影の為の重水ヒドロゲル最適な比(30-70%)と形など工夫することによって、最も小さい血管径での重水ヒドロゲルの拡散長を極小化(最小化)でき、安定的な血管外滲出を促せるかもしれません。この点からも重水MRI造影を重水赤血球ではなく、生体外で任意に設計できる重水ヒドロゲルの方が適しているといえるかもしれません。この時、拡散長が狙い通り、毛細血管の動脈の最も細い一定の領域で閾値的に低下すれば、重水MRI/経頭蓋集束超音波でそれを解析するときに速度の違いが感度の良い検出を補助するかもしれないので、この機序を組み込むことは薬物キャリア造影の為にも重要です。大きさ/形に限らず、血管滲出させたい血管径を定め、閾値的に拡散長を低下させる機序を組み込むことは解析も含めて考えると非常に高い発展性があります。(4:Fig.1A)に示されるように毛細血管は網目状になっていて、全て足し合わせた距離は長いので、拡散長をあまり短くしすぎるのも弊害があるかもしれません。細い毛細血管は多くの出血のリスクがないため、血管滲出の為、経頭蓋集束超音波で刺激するときには、血管壁を破壊してもいいかもしれません。もし、そうであれば、血管外滲出を分子レベルで詳細に考える必要もなくなります。この観点は重要です。
 (53:Figure.2)に示すように脳血管の周りには星状膠細胞が足突起を伸ばしていて、(140:Figure 1)に示すように血管周皮と足突起の間にはPrivascular spaceがあります。この時、細胞外小胞は脳脊髄液/間質液を通じてこの血管周皮と足突起の間にあるスペースを循環し、適当な位置で足突起中/間を通過すると考えられます。この時、流れに従うため足突起に非特異的に捕獲されない方がいいか、間に分布しやすいように切れ目の存在する物質に引き寄せられる方がいいか現在では未知ですが、滲出を促進するための開発余地があります。また、特にびまん性癌細胞など癌細胞が実質内に拡散しているときには自然にがん細胞に引き寄せされると考えられる炎症性星状膠細胞/マイクログリアに血管外滲出したエクソソームが便乗できるようなシステムも組み込むことも考えられます。これらの細胞は野特異的な形質を持つため(50:星状膠細胞/141-Figure.1:マイクログリア)、シャトル機序をエクソソームに組みこむときにはこの特異的な形質を利用できないか追究する余地があります。特に難治性の小児がんの一つ膠芽腫(glioma)は年少の子どもは未分化性の神経系細胞が癌化する事や(47)、成熟細胞では星状膠細胞が癌化する事があります(48)。大人のように大脳新皮質(前頭前野)に集中するだけではなく、脳幹を含めた脳のレイヤーの高い層(Ⅳ-Ⅵ)にまで分布します(141:Figure 2)。小児脳腫瘍のがん細胞は領域ごと異なる特質を示し、特異的な膜たんぱく質を標的化できる可能性があるため、この標的性を十分に脳の実質内で生かすためには実質内のエクソソームのバックグラウンドの拡散長ができるだけ長くなるように脳実質内にある拡散阻害要因を洗い出す必要があります。脳実質は負に帯電したプロテオグリカンが多く、エクソソームの拡散を妨げるので静電引力が働きにくいように表面電荷を最小化する事が重要かもしれません。また、当然、エクソソームの大きさは小さいほうが拡散長は上がると考えられます。子供の脳は水分が多いため、間質液の流れも含めて、水中でのエクソソームの拡散についても考慮が必要です。水に捕獲されにくい適度な疎水性が好ましいかもしれません。
 (4:Fig.1C/D)のように血管内皮には小窩(Caveolae)があります。この内皮の窪みにエクソソームが侵入する事が出来たら、細胞内に有効に取り込まれ、トランスサイトーシスされる確率が上がると推定されます。もともと大きな物質のトンランスサイトーシスは小窩を通じて発見されたという経緯があるので(37)、エクソソームを血管外滲出させるときには小窩に入れることは基本的な選択項目となると考えられます。(4:Fig.1)を観察すると小窩の入り口が50nm程度であることがわかります。小窩は深さが100nm以上と深く、場所によっては実質側にある小窩と重なり、内皮横断距離が非常に短いものもあります。従って、小窩の中にもトランスサイトーシス効率が高い個体が存在する事が示唆されます。血管外側の小窩は少ないので、位置が重なっていて細胞質横断幅が顕著に狭い位置にできる小窩の表面タンパク質などの構造的な特徴が(あるかわかりませんが)知りたいです。エクソソームは30-150nm程度といわれている為、小窩に入ることができる大きさはエクソソームの中でも小さい領域の小胞を必要とするかもしれません。但し、小窩は食作用のあるマクロファージにもあるため(34)、小さなエクソソームはマクロファージに消化されやすい可能性があります。従って、免疫細胞の捕獲されにくいシステムを構築する必要があります。マクロファージは循環器に分布しますから、免疫監視からのエクソソームの保護のためにも重水ヒドロゲルは有効かもしれません。しかし、こうした小窩は脳、網膜、睾丸では少ないとされています(34)。但し、それがないというわけではありません(relatively infrequent)。小窩(Caveolae)に発現されているCaveolin-1はギャップ接合であるコネキシン37,40,43とco-localize、すなわち共存かつ局所化しています(36)。従って、上述した小窩が内/外で重なった領域はイオン電導における低抵抗経路になり、荷電しやすい領域となるかもしれません。そうするとイオンの流れに乗りやすいようにギャップ接合をエクソソームに装飾するとイオンが流れやすい/膜容量が大きい/細胞質横断距離が短い小窩に引き寄せられやすいかもしれません。但し、コネクソンは物質の内外の流れに貢献するギャップ接合を形成するため、他の細胞接着分子と比べてエンドサイトーシス誘導活性は低いかもしれません。アルブミンは脂肪酸やステロイドホルモンを輸送する働きがあります(34)。小窩を通じたアルブミンのトランスサイトーシスが生じる為(34)、小窩に入る径のエクソソームに事前に重水ヒドロゲルに複合体化させるときにエクソソームにアルブミンと複合体化させて固定しておき、重水ヒドロゲルから解放されたときにアルブミン依存的にトランスサイトーシスさせる方法も考えられます(39)。小窩を形成するCaveolin-1が正常に機能している事は血管内から適切な物質を適切な濃度で実質にある細胞種に届ける上で非常に重要である可能性があります。このCaveolin-1をノックアウトさせるとカドヘリンなどの接着結合がオープン化されます(38)。これは、物質が細胞質を通したトランスサイトーシス経路を失った結果として補償的に生じたと捉える事も出来ます。観点を変えて言い換えると、このような補償効果は小窩がトランスサイトーシスの経路として主要な役割を担っているという証拠であり、エクソソームをトランスサイトーシスさせたいのであれば、小窩の中に有効に分布させることが好ましいことを示唆します。一方で、小窩を積極的に利用して物質をトランスサイトーシスさせることは血管新生を促す可能性があります。毛細血管は血管のリモデリングが活発である事/小窩は細胞膜の曲部であり受容体が集まる、物質が集まるところである事/小窩は窪みがあり、細胞の機能を決める細胞核/染色体(遺伝子)に近く、物質的に作用しやすい事などが小窩が機能的に血管新生を促す理由かもしれません。実際には小窩には血管新生を促す以下の受容体が多くあります。VEGF受容体(VEGFR)/ウロキナーゼ受容体(uPAR)/eNOS/TGF-β受容体(34)。一般的には血管新生を抑制する事が癌治療では求められますが、血管新生するところが細胞レベルで癌細胞に通じていれば、その血管新生の誘導性を利用して、薬物を癌細胞に誘導することは考えられなくもないので、従来の常識に対して先入観を持たずに進めていく必要があります。一方で、Caveloin-1は癌の形成を抑制するという報告があります(40)。これはおそらくカベオリンが直接的に癌抑制と関連があるのではなく、カベオリンが抑制されると血管外滲出機序が失われる為、カドヘリン接着接合がオープンになり、細胞間壁が開き、栄養などの物質が癌細胞に届きやすくなるからカベオリンの発現は癌抑制になるということです。カベオリンの発現が健全で血管も正常で、トランスサイトーシスに応じて物質交換する機序が保持されている状態は正常な栄養供給状態ですが、これで癌が抑えられるという事は癌細胞のエネルギー需要は異常であり、それは増殖性の高い(悪性度の高い)がん細胞では顕著で、血管のリモデリングが必要であることを示唆します。但し、脳腫瘍に関してはカベオリンは癌細胞の幹細胞化/転移に関連があり、過剰発現する事は予後不良に関連があるとされています(41,42)。従って、脳腫瘍のがん細胞は小窩によるトランスサイトーシス機序を生存のために積極利用していることを示唆しますし、特に拡散性のある間葉形質を持つがんに関しては、細胞間物質輸送に関連する内皮結合組織のVE-cadherin(142)発現抑制だけではなく(報告例はほとんどない)、カベオリンの発現を高めて物質(細胞も(?))の血管内外の交換を活発化させていると考えられます。小窩の密度も適応で違うかもしれないので(高濃度になっている可能性がある)、小窩を利用してトランスサイトーシスさせて薬物を侵入させることは、脳腫瘍のがん細胞への薬物送達としては効果的である可能性があり、一方で、その利用より、小窩を過剰に活性化させないように配慮する必要があります。予後不良の神経膠腫でカベオリン発現が高まっている事は、間葉形質を持つがん細胞がカベオリン依存的に小窩を移動の為、利用していることも示唆します。実際にどのような動的機序で小窩を利用しているかはわかりませんが、例えば、そのプロセスで小窩の窪みに合わせるように細胞が形を変えて突起形成しているかもしれません。これは重水ヒドロゲルの設計にも生かすことができます。すなわち、脳腫瘍のがん細胞が多いところに毛細血管の小窩が仮に多いとしたら、小窩は一定の形/大きさをもった窪みですから、その窪みを鍵穴としてその鍵穴に特異性をもって鍵として埋め込まれるような形の数十nmオーダーの突起形成をすることで、重水ヒドロゲル特異的送達が可能かもしれません。また、イオン電導性の高い小窩は誘電率が高まっている可能性もあるので、突起形成するところの電荷量を局所的に上げる事や、小窩にある受容体に結合性が高いヒドロゲルの骨格であるたんぱく質を露出させて結合させるなどエンジニアリングの詳細な工夫が考えられます。いずれにしてもグリオーマ(癌細胞)がどのようにカベオリンを利用しているか?その事実をとることで、重水ヒドロゲルの設計のヒントが得られる可能性があります。この重水ヒドロゲル病変部位特異的送達技術はエクソソームの送達だけではなく、重水ヒドロゲルイメージングによる病変部位特異的な経頭蓋集束超音波によるがん細胞焼灼という現在の臨床医学の地図を大きく動かす潜在性がある革新的な治療に関わる重要な要素技術です。
 なぜ、脳の血管系の物質進出は最大で2桁程度異なり、脳血管関門といわれるのか?それを可能にしている組織的特徴は何か?何が大きくその特性を律速しているか?それについては明確ではありませんが、血液脳関門を形成する血管系の内皮細胞の細胞間は斜めに切られています。それによってバリア構造を障壁能力と相関がある距離が大きくなります。細胞間をつなぐ細胞接着分子は密着結合を形成するクローディン1,5(45,46)、オクルーディン(44)が担います(4)。これらの密度も違うかもしれません。確かに細胞内の物質進出を決める小窩の密度も異なるといわれていますが、どちらかというと細胞間の物質進出が非常にタイトに制御されているのが脳血管径かもしれません。
 子どもは5歳までは腸内細菌、免疫系が発達期、過渡期にあり5歳以降になると腸内細菌のα多様性、β多様性が安定してきて大人の水準に近づきます。免疫系もこうした腸内細菌の影響を受けて成熟してきます。従って、川崎病も始め、子どもが特異的に罹患する免疫系疾患は閾値的では決してないですが、5歳が一つの目安になっています。川崎病では5歳を超えると疫学的に罹患する割合が激減します。5歳までの免疫系の未熟性の従来の考え方に改変が必要だといわれる報告もありますが、川崎病も含めて様々な小児性疾患が5歳くらいを程度に疫学的に差が出ているという事実は無視はできません。また、特に年少の授乳期にある2歳以下の子どもにおいては母親の母乳から母親が獲得した免疫系を受け取る必要があります。特にIgG抗体は重要で、母親が獲得したIgG抗体が常時、乳児の循環器の中で監視している事で補償的に様々な疾患から子供を守ります。その場合、IgG抗体が子どもの中に入るルートは当然、消化器からですから腸の粘膜、上皮組織、間質(免疫系)、外膜、中膜、内膜を超えて血管内に侵入する必要があります。子どもの場合、絨毛構造が未成熟なため、大人に比べて、物質の浸透率が高いですが、そのことがIgG抗体の内腔から血中への浸透性に貢献します。この機能がとりわけ重要だからです。IgG抗体は(55:Fig.1c)で示すようにFcRn受容体に挟まれる形で非常に強固にエンドソームに固定されます。このことがリソソーム分解から逃れ、高いトランスサイトーシス効率に関わる可能性があります。こうしたFcRn受容体は膜貫通タンパク質ですから、エンドソームが仮に分解されても、膜と複合体を形成して残る事になります。こうした膜は、またエンドソームの再形成や融合に寄与するため、最後まで一貫してエンドソームが守られ、反対側に到達しトランスサイトーシスを実現しなくても膜とFcRn受容体とIgG抗体が複合体化している事で細胞膜とIgG抗体が固定されている為、仮に初期のエンドソームが一度分解圧に耐えられず、分解したとしても、再度エンドソームとして復活し、トランスサイトーシス機序のレールに乗る可能性もあります。エンドソームは細胞質では分解/融合など動的で決して安定的ではありません(57:Figure 2)。子供が母乳から受け取ったIgG抗体が分解されず確実に血液内で環境中から受け取る病原体に対抗するために、FcRn受容体は強力な機序でIgG抗体を保護します。その機序は(55:Fig.1c)のようにIgG抗体がFcRn受容体に鍵と鍵穴のように「がっちり」固定されている事で可能になります。このことからも、幾何学的な構造一致は重要であることが示されます。潜在的に自由に形成できる重水ヒドロゲルを設計するときには癌細胞がある領域の小窩に捕獲されるために周辺の小窩の形を分析して、その形に整合するように設計して、誘導機序(電荷/たんぱく質)を設けることは、エクソソーム薬物送達/焼灼の為の病変シグナルどちらにおいてもカギとなる技術かもしれません。IgG-FcRn受容体の結合性にはpH依存性があり、リソソーム分解が進みやすい酸性条件では結合性が高まり、細胞からの放出過程で進む中性条件では結合性が弱まります。従って、この強固な固定は分解が起こりやすい時、pH依存的に特異的に生じます。こうした巧みな戦略に依りトランスサイトーシスを実現しています。では、こうしたことをヒントに細胞外小胞のトランスサイトーシス効率を上げるためにはどうしたらいいでしょうか.例えば、αvβ3インテグリンは酸性条件で活性が高まります(56)。これは血管内皮に発現される代表的な細胞接着分子、インテグリンサブタイプです。これがエンドソーム内に多く存在する状態でエクソソームをエンドサイトーシスさせ、エクソソームがこのαvβ3と結合活性を強く持つように設計しておけば、酸性条件でαvβ3インテグリンと多価で結合し、エクソソーム-αvβ3インテグリン-細胞膜複合体が安定的に存在することで細胞質内でFcRn受容体とIgG抗体のようにオートファジーによる分解圧に耐えながら、血管外へ滲出できる可能性が高まるかもしれません。但し、αvβ3インテグリンは血管内皮に普遍的にある細胞接着分子の為どうやって標的部位だけで結合活性を得るかのシステムは考える必要があります。ベースとして複合体化させる重水ヒドロゲルが既に標的性を持っていれば、この問題の一部は解決します。すなわちαvβ3インテグリン強く結合するRGDドメインを含むリガンドをエクソソーム膜に装飾し、それを病変部位まで重水ヒドロゲルで保護し、重水ヒドロゲルが病変部位まで特異的に送達され、超音波信号などによって外因的にエクソソームが開放されて放出されたときにはじめてインテグリン結合リガンドが露出し、病変部位の血管のαvβ3インテグリンと結合します。コンセプトとしては細胞内では細胞膜と強固に複合体化していて、かつ、入り口、出口ではそれが弱まるような機序にすることですが、重水ヒドロゲルのシステムではαvβ3インテグリンが持つ自然なpH依存的な機序を利用する事ができます。
 重水ヒドロゲルに対してMRI信号の強度を上げるために磁性材料を高密度で封入したいという研究開発側としての需要があります。エクソソーム単体の解像度で分析する事は不可能ですが、重水ヒドロゲルの集団的な信号の中に含まれるより大きな集団としてのエクソソームの挙動を集束超音波装置によるキャビテーション後に一定時間、重水ヒドロゲルの破壊からエクソソーム分散まで連続的に追跡、視覚的に分析するためにもエクソソームにガドニウムを含め鉄を主体とした磁性材料(フェリチン/マグネティックタンパク質)を複合体化させることを検討します。いずれにしても、毛細血管/主要血管の重水ヒドロゲルの分布を分離して分析する必要があります。両者は血流の速度、向きが違います。毛細血管は磁気共鳴装置の空間分解能の1ボクセル内でも網目構造を作る為、隣接するボクセルを含めたベクトル特性は足し合わせによって消滅する可能性がありますが、主要血管はその分解能でベクトル速度特性が一定残ります。また血管は曲がったりしますから、その速度変化を洗い出すことによってそのボクセルの信号の主要血管/毛細血管の仕分けができる可能性があります。人工知能/コンピューターシミュレーション(計算)を使ったソフトウェア技術を上げて、毛細血管を分離して観察するためなど目的を明らかにしてそれに合わせたソフトウェア技術を構築する必要があります。これは主要(太い)血管を保護しながら、お子さんの脳神経系に医療介入していくうえで重要な観点になるはずです。
 トランスサイトーシスのためには膜の構成だではなく、膜に結合している特定のタンパク質が重要な役割を果たします。カベオリンは小窩などに多く発現されています。この小窩からエクソソームがエンドサイトーシスされることでエンドソーム膜の外側にカベオリンが装飾されます。これがカベオラを形成し、カベオラは安定した構造であるため分解酵素の影響を受けにくく、小胞は安定化されます。カベオリンはエンドソーム上に高密度で装飾され(64:Fig.2)、エンドソームを外側から保護する働きがあるからです。また、空間的にもリソソーム分解を受けにくく、細胞膜に移動しやすい形質があるため、少なくとも一部が反対側の細胞膜に到達し、トランスサイトーシスが実現されます。カベオリンはエンドソームを分解するオートファジー活性を抑える(144)だけではなく、エンドソームの細胞質内のレールの働きをするかもしれないアクチン(145)/微小管(145)/分子モーター(ダイニン(146))と相互作用する可能性があり、細胞骨格を通じた安定的な細胞室内輸送が実現されているかもしれません。一方で、クラスリンはエンドサイトーシス機序の代表的なたんぱく質です。クラスリンもカベオリン同様にエンドソームの外に装飾されると小胞を安定的に保つ働きがあります。カベオリンと同じように外側から保護する働きがあります(64:Fig.2)。外側に網目構造を作り、エンドソームの直接的な露出を減らします。本質的には寿命が長いことが必須なので、これが主にトンランスサイトーシスに関わっていると考えられます。
従って、エクソソームの高効率トランスサイトーシスの為にはクラスリンやカベオリンが高濃度で集まっているところからより多くのエクソソームをエンドサイトーシスさせる事が重要です。カベオリンはコネクソンと共局在する傾向にありますが、それ以外にはインテグリン、カドヘリン、ICAM-1があり、特にICAM-1が共局在する傾向にあります。カベオリンは脂質ラフトに集中するので(65)、脂質ラフトと相互作用を高めるようなエクソソームの膜選択が重要になります。GPIアンカー付きタンパク質は脂質ラフトに集まる性質があり(147)、正電荷を帯びることがある事から(148)、一般的に細胞膜が負電荷を帯びることを想定すると、細胞膜で構成されたエクソソームにおいて脂質ラフト部に静電引力で特異的にひきつけられるように適度に負電荷を帯びていることが重要です。カベオリンは上述した様に細胞骨格であるアクチンと結合活性があります(67)。アクチンは膜変形のための局所的な網目構造の構築によりエンドサイトーシスを駆動する可能性があることと、エンドソームの輸送に関わるかもしれません。上述したようにエンドソームを輸送するためには微小管の分子モーターが必要であり、順行性/逆行性を持つキネシン/ダイニンと相互作用するかどうかが微小管の細胞質内の分布(72:Figure 1)を考慮するとトランスサイトーシス効率を向上させるため重要です。エクソソームには2つの機能を持たせる事ができます。1つは薬物キャリアとしての主要エクソソーム(Main exosome)です。もう1つは補助のエクソソーム(Adjuvant exosome)です。主に補助エクソソームは転写産物であるmRNAを搭載し一時的に任意のタンパク質を高める機能を持たせます。miRNAでも代替可能です。発現を弱める時にはsiRNAが利用されます。例えば、v-SNAREsは小胞膜に局在し、小胞の膜融合を促進します(68)。t-SNAREsは標的膜に局在し、t-SNAREsは細胞膜との融合を助けます(68)。v-SNAREsは細胞内小胞の連携性を高めるため、エンドソームの安定化に貢献します。t-SNAREsは細胞膜との融合に関わるのでエクソサイトーシスに貢献します。従って、v-SNAREs、t-SNAREsの分泌量を一時的に薬物キャリアと同期させて標的となる血管内皮で増加させることを試みます。血液脳関門においてv-SNAREs、t-SNAREsが薬物キャリアが送達されたタイミングで同じ細胞で発現が高まるとトランスサイトーシス効率を一時的に高める可能性があります。RNAによる遺伝子発現の調整はDNAのように効果が永続しないので、そうした影響は薬物が送達される一時的なものに原理的にとどめることができます。病巣部位毛細血管に標的化した2つのエクソソームを(あるいは標的化した重水ヒドロゲルに2つのエクソソームを同時に封入し)同期させてトランスサイトーシスを高めるたんぱく質発現を亢進させることで一時的に内皮細胞のゲート(門)を開放させることを試みます。その他に、N-ethylmaleimide sensitive factor(NSF)はエンドソームが細胞膜と融合してエクソサイトーシスする際に重要な役割を果たします(70)。v-SNARE、t-SNAREの機能をより有効に生かす上で欠かせないのがMunc18ですSNAREタンパク質の機能を調整する役割を持っています(71)。従って、v-SNARE、t-SNAREの発現量を高めて、より内皮組織内で細胞内小胞(エンドソームの輸送を円滑にするためにはMunc18の機能も同時に高める必要があります。逆に、protein kinase A (PKA), or protein kinase C (PKC)は v-SNARE、t-SNARE、微小管をリン酸化し、活性を弱める働きがあるので、エンドソームの移動性、トランスサイトーシス効率を下方制御低下させる働きがあります。従って、これらの酵素をsiRNAで一時的に抑える事も有効かもしれません。トランスサイトーシスはparacellularとtranscellularルートがある事は上述しました。すなわち細胞の間をすり抜けるルートと細胞質を通って通り抜けるルートがあります。内皮組織や上皮組織は高度に組織化された形で物質の浸透性を制御していますから、例えば、細胞質を通り抜けるルートが阻害されるとそれを補償するために細胞間のルートを開くような機序が働きます。それは細胞間の連結に関与する密着結合(tight junction)のアダプタータンパク質であるSec6、Sec8、Sec10が関与しています。従って、アダプターたんぱく質密着結合を形成する細胞接着分子の発現を亢進させて、paracellularルートの血管外滲出活性を抑えるることは、内皮細胞の適応としてtranscellularルート、すなわちトランスサイトーシス活性を上げるように適応する可能性があります。
 脳神経系は腎臓と同じく多くの血液を必要とします。おおよそ心臓拍出量の20%が脳神経系に行くので脳への薬物送達を行う場合には全身投与が採用されることが多いです(86)。また、毛細血管の総計400マイルの長さのち、85%は脳で占めると見積もられています(101,102)。癌が脳に転移しやすいのは(9-17%)(101)こうした拍出量や血管の多さに起因しているかもしれません。従って、上述したように空腹状態であるとか、特異的に脳のエネルギー消費量を上げる事でこの割合よりも多くの薬物を脳神経系に局在化させる事ができる可能性があります。従って、静脈投与による全身の循環器の中でどのように脳の病変部位に薬物を有効に送達させるかを考える長距離の走化性を実現する上で脳神経系は他の臓器よりも適しています。脳では神経活動の高い肺白質で毛細血管密度が高くなっています。これは神経活動にエネルギーを要するからであり、そのエネルギー供給に毛細血管が貢献している事を示します。従って、経頭蓋集束超音波による機械的刺激で神経活動を局所的に制御する事が出来たら、それにより癌増殖性を一時的に亢進させるリスクはありますが、病巣の部位の代謝活動を上げることによって血流に乗って重水ヒドロゲルなど薬物送達媒体/造影媒体を病変部位の毛細血管に有効に送達できるかもしれません。このような長距離の走化性は薬物送達システムにおいて血管外滲出の前のより巨視的な観点で考える必要のある項目です。その際、細胞外小胞では大きさに応じて細胞外小胞の免疫細胞によるクリアランス効率が異なります(87)。大きな細胞外小胞はよりクリアランスされやすいとされます。重水ヒドロゲルでは血液中に多く存在する水(重水)でほとんど占める為、大きさに応じた免疫細胞のクリアランスが細胞外小胞とは異なる可能性がありますが、循環器での免疫反応性は一定の注意が少なくとも必要です。エクソソームや合成ナノ粒子では循環器でのコロナ形成が問題となり、それが設計した標的性を低下させる懸念があり、それを防ぐために特別な設計が必要です(149)。例えば、エクソソームのクラスタリングなどが対策として考えられます。ただ、造影媒体として用意する重水ヒドロゲルがエクソソーム(あるいは遊離薬物)を複合体構造の中に封入し、保護した状態で病変部位まで特異的送達してくれるとなると、こうした潜在的な循環器での異物の付着の問題は大きく緩和されることになるいます。この観点でも特異的送達機能のある標的型の重水ヒドロゲルを設計/合成することは重要になります。エクソソームを血管外滲出させた後、脳の実質内でがん細胞へ特異的に細胞種レベルの解像度で通常細胞とは切り分けて送達させる際には細胞表面の細胞内浸入が可能な膜たんぱく質と高い親和性で排他的に結合する必要がありますが、そこまでの導線を考える際には炎症性星状膠細胞/マイクログリアなどが想定されるという事は既に前述しました。それ以外の方法としては間質には細胞外マトリックスがあり、それが細胞などの移動に関与しますから、エクソソームのがん細胞までの輸送のプロセスを考えるうえで間質に網目状に形成される細胞外マトリックスを利用することを考える事も必要です。脳腫瘍は放射状構造を持つ特に高分子量型のテナスシンCの発現が亢進されているケースがあります(91)。テナスシンCはRGDドメインを持ちインテグリンと結合します。特にインテグリンαvβ1/αvβ6と結合する特性がありますから(150)、このタイプのインテグリンを装飾させるかどうかを検討する余地があります。コネキシンの6量体であるコネクソンは半接合(Hemi-channel)となり、対となる細胞や細胞外小胞のコネクソンと接合することでギャップ接合が完成し、チャンネルを通じた物質の交換が可能になります。このチャンネルは1.2kDaくらいまでの物質ならば通過する事ができるのでsiRNAは通過できる可能性があり、細胞外小胞にsiRNAを搭載し、特定のたんぱく質発現を抑制することで癌の治療を行う場合には細胞接着分子の標的がん細胞での細胞内浸入は必ずしもこの物質に関しては要しないということになります。コネキシン43は脳腫瘍でも発現されています(96,97)。コネキシンはヘテロ6量体を形成する事が出来、チャンネルの構造単位を異種的に柔軟に変更できるため、もし、癌細胞でコネキシンの特異的な異種の組み合わせがあれば、その組み合わせに完全に一致する形でエクソソームに異種コネクソンを装飾出来たら特異的なギャップ接合形成が脳腫瘍のがん細胞特異的に実現するかもしれません。脳腫瘍がある場合には、腫瘍組織を取り巻く星状膠細胞やマイクログリアの形質、血管の構造が変わります(90:Fig.2a)。炎症性物質による誘導も含めて、そうした血管構造の改変は脳特異的な免疫様形質をもつマイクログリアだけではなく、体全体の免疫系であるマクロファージ/T細胞などのリンパ系免疫細胞の脳実質へのアクセス性を増加させる可能性があります。通常、これらの免疫細胞は少なくとも多くは存在しませんが脳腫瘍があるとそのケモカインなどの炎症性物質や血管構造(Blood tumor barrier)が特異的に発現する細胞接着分子によって免疫細胞が病変部位に引き付けられます。例えば、細胞接着分子の一つであるpセレクチンは通常の血液脳関門ではほとんど発現が見られませんが、腫瘍組織があると周辺の特異的な血管ではそれが発現され(114)、通常は少ない免疫細胞をより多く引き付け、脳の皮質に引き込むことになります。このpセレクチンを誘導している受容体はTNF受容体である可能性があります。このTNFも通常の血液脳関門の内皮細胞にはほとんど発現が見られずBlood tumor barrierに特異的に発現されているとされています(90)。このpセレクチン/TNFは小児脳腫瘍の各サブタイプで毛細血管に本当に発現されているかの確認は必要ですが、一定の炎症性を伴う形で発現が亢進されている場合には、重水ヒドロゲル/エクソソームの送達キャリアの標的たんぱく質として重要である可能性があります。実際にすでに典型的な小児脳腫瘍で小脳にできる髄芽腫(Medulloblastoma)のナノキャリアのターゲットとして指定されています(115)。このp-セレクチンはナノ粒子のトランスサイトーシスにも関わっているため(115)、エクソソームをp-セレクチンに結合させると、免疫細胞と同じように(免疫性誘導機序を利用する形で)脳腫瘍がある脳実質への侵入を可能にするかもしれません。実際に小児脳腫瘍では頭蓋内実質のあらゆるレイヤーに腫瘍組織形成する可能性があり、重水ヒドロゲル/エクソソームを任意の領域に特異的に送達するためには、たんぱく質の構造を正確に把握する必要があります。すでにたんぱく質を構造レベル(アイソフォーム)で識別して治療を行う構想は発表されています(120)。人の場合、遺伝子でコード化されるたんぱく質の90-95%は選択的スプライシングを経験し、たんぱく質構造を決定する最終転写産物のmRNAの配列が同じDNA配列構造に対して多様性を持つと見積もられています(121)。この構造分析の為にはトップダウンプロテオーム解析が必要です(122)。実際にこうした転写因子による構造多様性は特に脳神経系で細胞種特異的に生じている事があり(123)、細胞種特異的薬物送達システムを実現する上で遺伝子コードだけに縛られない、アイソフォームまで踏み込んだ詳細な構造を掌握する事が必要です。実際にプラスミドでトランスフェクションするときには成熟mRNAでアイソフォーム解像度で発現させるタンパク質を一致させることが大切になります(120:Fig.2b)。こうした正確性は、抗体薬物複合体の特異的送達性にも関わります(120)。実際に日本でも注目されている胃がんの治療の標的であるクローディン18.2はクローディン18の選択的スプライシングによる産物です(125)。モノクローナル抗体は特に抗体と薬物を複合体化させる抗体薬物複合体は細胞腫特異的薬物送達システムとモデルは類似するので、モノクローナル抗体でサブタイプ精度での構造一致が臨床で一定の奏功を示していることは、目指す方向に大きな誤りはないということを示唆します。上述した様にテナスシンCは脳腫瘍と関連の深い細胞外マトリックスですが特にそのアイソフォームであるAlternatively spliced domain D of Tenascin Cが脳腫瘍に多く発現されています。従って、この構造的特徴を標的とするR6N抗体は脳腫瘍の治療のため有効であると考えられています(120,126)。従って、テナスシンCをエクソソーム治療の標的として、アイソフォーム精度で装飾させるリガンドの構造を設計する事の重要性がここに浮かび上がります。
 重水ヒドロゲル/エクソソームの脳腫瘍への薬物送達/病変造影を試みるとき、これらの媒体の病変部毛細血管分布を効率化する事が重要です。そのためには毛細血管の特徴について、特に脳について知る必要があります(153)。この節ではそれについて詳述します。毛細血管は中膜/外膜はなく、内皮細胞のみで形成されているとされています(151)。従って、毛細血管からのエクソソーム血管外滲出を想定する場合には上述したように平滑筋/周皮細胞は考慮する必要はなく、内皮細胞のトランスサイトーシスを主に考え、外側に形成される星状膠細胞の足突起包囲を送達のために回避/利用するかを考えます。脳腫瘍なども含めて血管に炎症が生じているときには毛細管と静脈の間にある少し太い血管であるpost-capillary venules(ポスト毛細管細静脈)からも免疫細胞やたんぱく質などの滲出が生じることから(151)、この部分からのエクソソーム進出を考える事も重要です。脳血管系の毛細血管は肺/皮膚と同様に窓構造がありません(non-fenestrated capillaries)。従って、毛細血管の中では物質滲出効率が低いです。但し、脳腫瘍部での局所の毛細血管では窓構造が血管形成の異常によって生じる可能性があります。毛細血管にはアルブミンが高濃度で存在します。アルブミンは血管壁近くに分布し、毛細血管の浸透圧を調整する働きがありますから、アルブミンと類似した機序/アルブミンに誘導される/中央部に分布する(赤血球など)と一定反発する形で重水ヒドロゲルを分岐前の太い血管にある時から血管壁近くに多く分布するようにすれば、分岐での抵抗を減らし、毛細血管にアルブミンと同様に多く分配することができるかもしれません。血小板も血管壁周辺に多いので血小板の形などの特性や血小板との相互作用を利用することで血管壁近くに分布させることができるかもしれません。特に炎症が生じている部分では血小板の分布が異なる可能性があるので、もし、脳腫瘍周りの毛細血管で多くなっているようであれば、血小板を重水ヒドロゲル送達の為に利用することも考えられます。他の93%の毛細血管と形態的に区別がつかない毛細血管の7%が、赤血球の速度が平均値+2標準偏差を超えるほど非常に速いことが観察され、これは通過チャネルの存在を示唆しています(152)。これらのチャネルは通常、物質交換の主な役割を果たさないため、血液の流れが速くても、細胞間の栄養や酸素の交換には直接的な関与がないことが特徴です。通過チャネルは、血液の供給を効率化するために存在し、例えば、局所的な血流量を速くすることで、周囲の組織に迅速に血液を送る役割を担います。(153:Figure 1)に示されるように毛細血管は血流速が毛細血管ごと脳内で異なります。おそらく栄養供給、血管外滲出効率が高くなっている毛細血管は流れが遅いと考えられるので、悪性度の高い癌細胞が多いところの血液需要が多い場合には、その周辺の毛細血管の血流速が低下し、ベースラインとして物質が高濃度で集まりやすいかもしれません。傾向としては径が細い毛細血管は流速が遅く物質が交換されやすいと考えられるので、より径の細い毛細血管でも有効に分布できる大きさ、形の重水ヒドロゲルを設計を検討することが大切です。毛細血管前の拡張(Precapillary Dilatation)が神経伝達により分岐部で生じ、血管径を調整して(153:Figure 9)、細い血管部周辺の組織に対する栄養供給を局所的に上昇させるように調整すると考えられる働きがあります。この時に重水ヒドロゲルが血管中央に多く分布しているとほとんどが血管系の多いほうに分布されてしまうため、血管壁に血小板やアルブミンのように沿うように近くに分布している必要があります。そうすれば、径に依存せず、均等に細いほうにも分岐後に分布されます。おそらく血液中で細胞に対する栄養に関わる物質は血流の中央ではなく周辺部に高濃度で分布していると思われます。空間的に血管外に近いということもありますが、分岐で流れの速い血管径が太いほうに中央部に分布すると流れてしまうからです。重水ヒドロゲル/エクソソームもより物質交換する脳腫瘍がある局部に分布したいのであれば、血管中の特性として流れの中で血管壁に沿うように/近くに分布するような基礎的な特性を搭載しておくことが重要です。また、ヒドロゲルを小窩に鍵/鍵穴の関係で固定されるように微小構造を設計するときに、その鍵穴へのはまりやすさは血流速度にも依存すると思われます。すなわち流れが速くなれば、固定されにくいという事です。これはこのコンセプトに限らずエクソソームを毛細血管の内皮細胞に固定する時でも同様ですが、癌細胞がある栄養供給が豊富な毛細血管の血流がとりわけ遅いとしたら、その流速で特異的に固定される程度の結合力を定義し、それに合わせて設計することで、速い流れのところでは固定されないけど、血流が小さくなるとシャアストレスが弱くなり、結合するようになるという特異的結合システムを構築できる可能性があります。



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