2022年3月4日金曜日

満期産児における抗体製剤ニルセビマブのRSウィルス呼吸器感染症に対する予防効果

RSウィルス感染症は下部呼吸器感染症であり
小児科領域では注目度の高い重要な疾患と言われています。
2歳までにほぼすべての小児が罹患して、
時として細気管支炎や肺炎を合併して重症となることがあります(1,2)。
この感染症は、心肺系、免疫系に基礎疾患がある場合において
重症化リスクが高いと言われています(3)。
母体から抗体移行があるにも関わらず、
ブレークスルー感染するといわれています。
現在の所、ワクチンはなく、
モノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)
が早産や基礎疾患がある場合において適用となっています(4)。
交絡因子を考慮にいれる場合において
パリビズマブの高リスク群における
感染予防効果は74%といわれています(6)。
ーー
同様の抗体製剤であるニルセビマブ(Nirsevimab)は
RSウィルス融合タンパク質のF1、F2サブユニットに結合する
モノクローナル抗体であり、
これらの結合部位の保存性は高いと考えられています(1)。
つまり、変異などが起こりにくいサイトである
と認識しています。
ーー
すでに早産児(在胎期間:29週~35週)において
このニルセビマブは感染予防として70.1%の効果があった
という事は示されています(5)。
しかし、現在、少なくとも日本では
抗体製剤投与の対象とはなっていない
満期産児や在胎期間35週以上の新生児に対しての
RSウィルスに対する予防効果は示されていません。
そこでLaura L. Hammitt(敬称略)ら国際的な医療研究グループは
これらの条件でフェーズⅢ治験として
ニルセビマブのRSウィルスに対する予防効果を評価されています。
投与から150日間の評価期間の間で
ブレークスルー感染は1.2%の子供で見られたものの
偽薬群と比べて、感染予防効果として74.5%が認められました。
一方で
このニルセビマブの投与による副反応は
偽薬群と比べて顕著な差はありませんでした。
ーー
今後この製剤の適用について検討されると考えられます。

(参考文献)
(1)
Laura L. Hammitt, M.D., Ron Dagan, M.D., Yuan Yuan, Ph.D., Manuel Baca Cots, M.D., Miroslava Bosheva, M.D., Shabir A. Madhi, Ph.D., William J. Muller, Ph.D., Heather J. Zar, Ph.D., Dennis Brooks, M.D., Amy Grenham, M.Sc., Ulrika Wählby Hamrén, Ph.D., Vaishali S. Mankad, M.D., et al., for the MELODY Study Group*
Nirsevimab for Prevention of RSV in Healthy Late-Preterm and Term Infants
The New England Journal of Medicine 2022; 386:837-846
(2)
RSウイルス|Respiratory syncytial virus
新潟大学
https://www.med.niigata-u.ac.jp/pub/respiratorysyncytialvirus/
(3)
RSウイルス感染症とは
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html
(4)
RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html
(5)
Griffin  MP,  Yuan  Y,  Takas  T,  et  al. 
Single-dose nirsevimab for prevention of RSV in preterm infants. 
N Engl J Med 2020; 383: 415-25.
(6)
Hannah C. Moore et al.
Effectiveness of Palivizumab against Respiratory Syncytial Virus: Cohort and Case Series Analysis
The Journal of pediatrics vol.214 p.121-127 E1


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