2022年3月25日金曜日

標的タンパク質3次元構造から結合性タンパク質を設計

細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)において
1つの重要な技術要素は
標的細胞表面に特異的に発現された
タンパク質に高い親和性を持って結合する
表面タンパク質をナノ粒子の表面に装飾することです。
それを実現させる技術的一歩としては
すでに構造がわかっているタンパク質に対して
高い親和性を持って結合するタンパク質を任意に作製する事です。
実際に3次元構造だけわかっていて
残基や細かい形状など他の情報がない場合においては
結合サイトを見つけてそこに結合する
タンパク質を作製する事は難しいとされています(2-6)。
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Longxing Cao, Brian Coventry(敬称略)ら
医療研究グループは
Rosettaと呼ばれるたんぱく質構造予測
コンピューターを使って、
界面の相互作用を考慮に入れながら
3次元構造だけしかわかっていない
新しいタンパク質に対して
生み出すタンパク質を絞り込んでいきます)(1)。
その時により結合的に好ましいタンパク質を残して、
繰り返しシミュレーションを重ね精度を高めていく事をする
と理解しています(Focused search)(Ref.(1).Fig.1)。
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これによってより少ない情報、不確定な情報で
特定のタンパク質に結合するタンパク質を生み出すことが
できる可能性があるため、
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)でアンカーとして
指定できるタンパク質の選択性が
劇的に向上する可能性があります。
標的とする表面タンパク質の構造を
細かく調べなくても
ナノ粒子の表面タンパク質をデザインできる可能性があります。
そもそも体内にある表面タンパク質は
大きくはダイマーを形成したり
小さくても回転、ねじれ、遊離など
様々な変化があると思われるため、
骨格となる3次元情報からある程度結合しやすい
タンパク質を結合サイトを定めて、設計できる事は
求められると考えています。
--
現段階では改善の余地があるとされています。
例えば、極性の高い標的サイトでは
デザインが難しいとされています(1)。
あとは大きさが65のアミノ酸よりも小さい分子量なので
その大きさにおいて
細胞種特異的輸送系統に適用するときに
制限が出ないか?という問題もあります。
ただ、小さいということは
結合ポケットやくぼみに入りやすいため
結合力に依存しない形で、
形状として妨害されることで結合の制限がかかる
ということが生じにくい考えられます。
ナノ粒子にPEGなどをコートさせて
その先端にここで設計された
低分子量のアミノ酸を結合させることができるか?
といった技術的要素もあります。
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いずれにしても今回の
Longxing Cao氏, Brian Coventry氏らの発表は
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)を実現させる
1つのマイルストーンになると考えています。
また、何度か指摘しているように
タンパク質の構造予測や
任意のタンパク質に結合させる任意性を高める事は
当然、他の医療にも応用できることです。
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)を視野に入れて
研究されているなら、
それは副産物といえます。
例えば、タンパク質病理が代表的な
認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病などの
脳神経疾患に関しては特に
上述したタンパク質の技術の適用範囲が広く
それによってもたらされる価値も高いと考えられます。

(参考文献)
(1)
Longxing Cao, Brian Coventry, Inna Goreshnik, Buwei Huang, Joon Sung Park, Kevin M. Jude, Iva Marković, Rameshwar U. Kadam, Koen H. G. Verschueren, Kenneth Verstraete, Scott Thomas Russell Walsh, Nathaniel Bennett, Ashish Phal, Aerin Yang, Lisa Kozodoy, Michelle DeWitt, Lora Picton, Lauren Miller, Eva-Maria Strauch, Nicholas D. DeBouver, Allison Pires, Asim K. Bera, Samer Halabiya, Bradley Hammerson, Wei Yang, Steffen Bernard, Lance Stewart, Ian A. Wilson, Hannele Ruohola-Baker, Joseph Schlessinger, Sangwon Lee, Savvas N. Savvides, K. Christopher Garcia & David Baker
Design of protein binding proteins from target structure alone
Nature (2022)
(2)
Strauch, E. M. et al. 
Computational design of trimeric influenza-neutralizing proteins targeting the hemagglutinin receptor binding site. 
Nat. Biotech. 35, 667–671 (2017).
(3)
Silva, D. A. et al. 
De novo design of potent and selective mimics of IL-2 and IL-15. 
Nature 565, 186–191 (2019).
(4)
Baran, D. et al. 
Principles for computational design of binding antibodies. 
Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 114, 10900–10905 (2017).
(5)
Fleishman, S. J. et al.
Computational design of proteins targeting the conserved stem region of influenza hemagglutinin. 
Science 332, 816–821 (2011).
(6)
Dou, J. et al. 
De novo design of a fluorescence-activating β-barrel. 
Nature 561, 485–491 (2018).


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