2022年3月30日水曜日 0 コメント

前駆物質TMEM106Bを含む年齢依存的な脳のタンパク質病理と考察

地球のあらゆる自然システムは動的で、
循環を元に考える必要があると言っても過言ではありません。
例えば、地球温暖化の議論をするときに
温室効果ガスの大気中の濃度が議論の焦点となりますが、
その時には土壌、植物、人、海洋、動物、寿命(分解)など
様々な関係する要素の中で循環を考えて、
その動的平衡の中で議論する必要があります。
人為的の有無に関わらず、
その循環に(一時的にも)異常が生じれば、
何らかの問題となる結果が生まれると考えることもできます。

それは単一の個体である人でも同じです。
水、酸素、二酸化炭素、栄養素、熱など
体内と体外(環境)の中で複雑な循環があります。
その中で
高齢になると老化に関わる様々な病気のリスクがあがりますが、
その一つの理由は循環系の不全によって生じている
と考える事もできます。
例えば、
脳ではタウ、アミロイドβ、αシヌクレインなど
様々なたんぱく質が蓄積する事によって
アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症などの
病気が発症、悪化する事があります。

Michel Goedert, Sjors H.W. Scheres(敬称略)ら
医療研究グループの研究で焦点とされている
TMEM106Bはアミロイドタンパク質の前駆物質である
とされています(1)。
この前駆物質由来のタンパク質蓄積による
脳神経系疾患は若年層ではみられず、
高齢の患者さんのみで見られているとされています(1)。
このTMEM106Bは
リソソーム被膜貫通タンパク質なので
細胞質中にある胞であるリソソームに形成される
タンパク質であり(2,3)、
タンパク質の消化作用であるオートファジーと
深く関係のある細胞内小器官に形成されるタンパク質です。
タンパク質の消化ですから、
タンパク質の形成、分解の中での分解に関わり
タンパク質の恒常性、循環に関わる部分です。
脳の神経細胞は高齢になるとこの機能が乱れやすいとされています(4)。
このような消化機能不全が、
TMEM106B由来のアミロイド形成が年齢依存的に生じ、
高齢の患者さん特異的に見られた
と考える事も出来ます。
またリソソームはエンドソームのように
被膜に囲まれた胞として細胞質に形成されていることから
その中で食作用機能が乱れた場合
細胞外へエクソサイトーシスされる
ことも考えられます(5-7)。
それによって参考文献(1)Fig.3bに示されるように
TMEM106B由来のアミロイドタンパク質が
細胞外も含めて可視化されると考える事も出来ます。
つまり、単に細胞質に「むきだし」で形成されるタンパク質よりも
リソソーム(胞)に包まれた状態で形成されるたんぱく質の方が
細胞膜と膜融合しやすいため、
細胞外に放出されやすいのではないか?
という仮説です。
それによって、TMEM106Bが前駆物質となる
アミロイドβ、タウ、αシヌクレインなどのタンパク質は
神経系の細胞の間質に蓄積されるのではないか?
ということです。

//考察//--
今後、健康寿命を上げたり、人の寿命を延ばすことは
今の社会の中で需要の高いことです。
私が一つ大切と考えていることは
体細胞系と神経細胞系をある程度分けて考えることです。
神経細胞系では参考文献(4)で示されているように
タンパク質の循環が高齢になると脆弱になるといわれます。
老年医療に関わるある先生は
年齢が80代以上になるとこのようなたんぱく質の蓄積は
多くの人で見られるようになると言われています。
その中で、タンパク質の形成があっても
発病しない、病状が悪化しない条件を探す事も大事です。
一方で、
オートファジーを含む神経細胞の年齢依存的な
脆弱性がどのような機序で生じるのか?
ということを明らかにすることで
タンパク質の蓄積を防ぐことができるかもしれません。
これは一つ根本的なことです。
あるいは、タンパク質の分解を
TMEM106Bのような前駆物質を含めて
促すような補助的な治療も考えられます。

上述した作用が
特定の生活習慣(運動、学習、趣味、特定の行動)などで
起こるのであれば、
予防的な先進治療が根本的に難しい中においても
一定の成果を上げる事ができるかもしれません。

(参考文献)
(1)
Manuel Schweighauser, Diana Arseni, Mehtap Bacioglu, Melissa Huang, Sofia Lövestam, Yang Shi, Yang Yang, Wenjuan Zhang, Abhay Kotecha, Holly J. Garringer, Ruben Vidal, Grace I. Hallinan, Kathy L. Newell, Airi Tarutani, Shigeo Murayama, Masayuki Miyazaki, Yuko Saito, Mari Yoshida, Kazuko Hasegawa, Tammaryn Lashley, Tamas Revesz, Gabor G. Kovacs, John van Swieten, Masaki Takao, Masato Hasegawa, Bernardino Ghetti, Maria Grazia Spillantini, Benjamin Ryskeldi-Falcon, Alexey G. Murzin, Michel Goedert & Sjors H. W. Scheres 
Age-dependent formation of TMEM106B amyloid filaments in human brains
Nature (2022)
---
Author Affiliations
Medical Research Council Laboratory of Molecular Biology, Cambridge, UK
Manuel Schweighauser, Diana Arseni, Melissa Huang, Sofia Lövestam, Yang Shi, Yang Yang, Wenjuan Zhang, Benjamin Ryskeldi-Falcon, Alexey G. Murzin, Michel Goedert & Sjors H. W. Scheres
Department of Clinical Neurosciences, University of Cambridge, Cambridge, UK
Mehtap Bacioglu & Maria Grazia Spillantini
Thermo Fisher Scientific, Eindhoven, The Netherlands
Abhay Kotecha
Department of Pathology and Laboratory Medicine, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN, USA
Holly J. Garringer, Ruben Vidal, Grace I. Hallinan, Kathy L. Newell & Bernardino Ghetti
Department of Brain and Neurosciences, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Tokyo, Japan
Airi Tarutani & Masato Hasegawa
Molecular Research Center for Children’s Mental Development, United Graduate School of Child Development, University of Osaka, Osaka, Japan
Shigeo Murayama
Department of Neurology, National Center Hospital, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
Masayuki Miyazaki
Department of Neuropathology, Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology, Tokyo, Japan
Yuko Saito
Institute for Medical Science of Aging, Aichi Medical University, Nagakute, Japan
Mari Yoshida
Division of Neurology, Sagamihara National Hospital, Sagamihara, Japan
Kazuko Hasegawa
Department of Neurodegenerative Disease and Queen Square Brain Bank for Neurological Disorders, UCL Queen Square Institute of Neurology, London, UK
Tammaryn Lashley & Tamas Revesz
Tanz Centre for Research in Neurodegenerative Diseases and Department of Laboratory Medicine and Pathobiology, University of Toronto, Toronto, Canada
Gabor G. Kovacs
Institute of Neurology, Medical University of Vienna, Vienna, Austria
Gabor G. Kovacs
Department of Neurology, Erasmus Medical Centre, Rotterdam, The Netherlands
John van Swieten
Department of Clinical Laboratory, National Center of Neurology and Psychiatry, National Center Hospital, Tokyo, Japan
Masaki Takao
Department of Neurology, Mihara Memorial Hospital, Isesaki, Japan
Masaki Takao
(2)
Nicholson, A. & Rademakers, R. 
What we know about TMEM106B in neurodegeneration. 
Acta Neuropathol 132, 639–651 (2016).
(3)
Feng, T., Lacrampe, A. & Hu, F. 
Physiological and pathological functions of TMEM106B: a gene associated with brain aging and multiple brain disorders. 
Acta Neuropathol 141, 327–339 (2021).
(4)
Ralph A Nixon
The role of autophagy in neurodegenerative disease
Nature Medicine volume 19, pages983–997 (2013)
(5)
Sandra Buratta
Lysosomal Exocytosis, Exosome Release and Secretory Autophagy: The Autophagic- and Endo-Lysosomal Systems Go Extracellular
Int J Mol Sci. 2020 Apr; 21(7): 2576.
(6)
Mohammad AliSamie
Lysosomal exocytosis and lipid storage disorders
Journal of lipid research Volume 55, Issue 6, June 2014, Pages 995-1009
(7)
Samrat T. Kundu, Caitlin L. Grzeskowiak, Jared J. Fradette, Laura A. Gibson, Leticia B. Rodriguez, Chad J. Creighton, Kenneth L. Scott & Don L. Gibbons
TMEM106B drives lung cancer metastasis by inducing TFEB-dependent lysosome synthesis and secretion of cathepsins
Nature Communications volume 9, Article number: 2731 (2018) 

2022年3月25日金曜日 0 コメント

標的タンパク質3次元構造から結合性タンパク質を設計

細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)において
1つの重要な技術要素は
標的細胞表面に特異的に発現された
タンパク質に高い親和性を持って結合する
表面タンパク質をナノ粒子の表面に装飾することです。
それを実現させる技術的一歩としては
すでに構造がわかっているタンパク質に対して
高い親和性を持って結合するタンパク質を任意に作製する事です。
実際に3次元構造だけわかっていて
残基や細かい形状など他の情報がない場合においては
結合サイトを見つけてそこに結合する
タンパク質を作製する事は難しいとされています(2-6)。
--
Longxing Cao, Brian Coventry(敬称略)ら
医療研究グループは
Rosettaと呼ばれるたんぱく質構造予測
コンピューターを使って、
界面の相互作用を考慮に入れながら
3次元構造だけしかわかっていない
新しいタンパク質に対して
生み出すタンパク質を絞り込んでいきます)(1)。
その時により結合的に好ましいタンパク質を残して、
繰り返しシミュレーションを重ね精度を高めていく事をする
と理解しています(Focused search)(Ref.(1).Fig.1)。
--
これによってより少ない情報、不確定な情報で
特定のタンパク質に結合するタンパク質を生み出すことが
できる可能性があるため、
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)でアンカーとして
指定できるタンパク質の選択性が
劇的に向上する可能性があります。
標的とする表面タンパク質の構造を
細かく調べなくても
ナノ粒子の表面タンパク質をデザインできる可能性があります。
そもそも体内にある表面タンパク質は
大きくはダイマーを形成したり
小さくても回転、ねじれ、遊離など
様々な変化があると思われるため、
骨格となる3次元情報からある程度結合しやすい
タンパク質を結合サイトを定めて、設計できる事は
求められると考えています。
--
現段階では改善の余地があるとされています。
例えば、極性の高い標的サイトでは
デザインが難しいとされています(1)。
あとは大きさが65のアミノ酸よりも小さい分子量なので
その大きさにおいて
細胞種特異的輸送系統に適用するときに
制限が出ないか?という問題もあります。
ただ、小さいということは
結合ポケットやくぼみに入りやすいため
結合力に依存しない形で、
形状として妨害されることで結合の制限がかかる
ということが生じにくい考えられます。
ナノ粒子にPEGなどをコートさせて
その先端にここで設計された
低分子量のアミノ酸を結合させることができるか?
といった技術的要素もあります。
--
いずれにしても今回の
Longxing Cao氏, Brian Coventry氏らの発表は
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)を実現させる
1つのマイルストーンになると考えています。
また、何度か指摘しているように
タンパク質の構造予測や
任意のタンパク質に結合させる任意性を高める事は
当然、他の医療にも応用できることです。
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)を視野に入れて
研究されているなら、
それは副産物といえます。
例えば、タンパク質病理が代表的な
認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病などの
脳神経疾患に関しては特に
上述したタンパク質の技術の適用範囲が広く
それによってもたらされる価値も高いと考えられます。

(参考文献)
(1)
Longxing Cao, Brian Coventry, Inna Goreshnik, Buwei Huang, Joon Sung Park, Kevin M. Jude, Iva Marković, Rameshwar U. Kadam, Koen H. G. Verschueren, Kenneth Verstraete, Scott Thomas Russell Walsh, Nathaniel Bennett, Ashish Phal, Aerin Yang, Lisa Kozodoy, Michelle DeWitt, Lora Picton, Lauren Miller, Eva-Maria Strauch, Nicholas D. DeBouver, Allison Pires, Asim K. Bera, Samer Halabiya, Bradley Hammerson, Wei Yang, Steffen Bernard, Lance Stewart, Ian A. Wilson, Hannele Ruohola-Baker, Joseph Schlessinger, Sangwon Lee, Savvas N. Savvides, K. Christopher Garcia & David Baker
Design of protein binding proteins from target structure alone
Nature (2022)
(2)
Strauch, E. M. et al. 
Computational design of trimeric influenza-neutralizing proteins targeting the hemagglutinin receptor binding site. 
Nat. Biotech. 35, 667–671 (2017).
(3)
Silva, D. A. et al. 
De novo design of potent and selective mimics of IL-2 and IL-15. 
Nature 565, 186–191 (2019).
(4)
Baran, D. et al. 
Principles for computational design of binding antibodies. 
Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 114, 10900–10905 (2017).
(5)
Fleishman, S. J. et al.
Computational design of proteins targeting the conserved stem region of influenza hemagglutinin. 
Science 332, 816–821 (2011).
(6)
Dou, J. et al. 
De novo design of a fluorescence-activating β-barrel. 
Nature 561, 485–491 (2018).


2022年3月12日土曜日 0 コメント

老化様癌細胞を中間状態とした2段階癌治療

癌を内科的に治療するときには
一般的には化学療法、放射線療法、免疫療法などが
選択されます。
その時の目的は、大きく成長した癌細胞、
あるいは外科で取り除く周りの癌細胞などを
「細胞死」させる事によって排除することです。
元々、増殖能力のある活発な癌細胞、その組織を
死滅、退行させるためには、
それ相応のストレスを与える必要があります。
例えば、抗がん剤による治療で有れば、
投与量、頻度を増やす必要があるかもしれません。
癌治療の場合は一概にはいえないのですが(2)、
抗菌剤などは使用量が増えると抗菌耐性を持つ菌が
現れやすいともいわれます。
実際に癌の治療でも薬剤抵抗性が
投与依存的に変わり、薬剤が多いほうが
抵抗性が生まれやすいという場合もあるかもしれません。
そういった遺伝的な変異、好ましくない進化だけではなく、
一般的に投与量が増えると、
身体への負担が大きくなります。
化学療法は一般的には特異的標的性を有しない状態での
投与となっているので、
癌細胞以外の通常細胞にダメージを与える事もあるかもしれません。
あるいは食欲などが下がる悪液質が
抗がん剤の量が増えると生じやすいという事も
あるかもしれません。
そうした観点から薬剤の量をできるだけ減らした状態で
癌細胞、組織を退行させたいという需要はあると考えられます。
しかし、投与量を減らし中途半端に生き残る事が
上の推察と逆行しますが、参考文献(2)で示されているように
抗がん剤抵抗性を示す事も考えられます。
ーー
Liqin Wang, Lina Lankhorst & René Bernards
(敬称略)からなる医療研究グループは、
治療の段階を2つにわけて連続的に行う
「ワンツーパンチ戦略(One-two punch approach)」。
その順序の中で
癌細胞老化⇒老化細胞除去薬。
この2段階に分ける事を想定して、総括されています(1)。
ーー
この治療戦略の中で最も重要な記述だと(筆者が)考えた部分は
いくつかの抗がん剤(*)による化学療法では
〇低用量⇒癌細胞老化
〇高用量⇒癌細胞細胞死
この事が当てはまるとされているところです(3-5)。
-
(*)
Topoisomerase I and II inhibitors
Platinum­ based compounds
Alkylating agents,
Microtubule inhibitor
など。
-
つまりボクシングで例えられるワンツーパンチのうち
一回目のパンチとして
比較的低用量で癌細胞を老化させます。
そして、間髪を入れず、二回目のパンチで
老化した癌細胞と老化細胞除去薬で取り除くという
2段階のプロセスを踏みます。
ーー
おそらくこのような2段階のプロセスを踏むことは
下述する課題ももちろんありますが、
メリットがあると考えられます。
例えば、
物理の世界では電子がエネルギー障壁を乗り越えるときに
その障壁の間となるエネルギー準位があって、
2段階にわけて飛び越えようとした場合、
1回で飛び越えるよりも「低エネルギー」で
超えられるというのがあります。
イメージとして
2mの壁を人がよじ登ろうとするときに
そのまま登ろうとするよりも
階段があって位置エネルギーが分けられている方が
楽に登れるという事は容易に想定できます。

従って、癌細胞を消滅させるまでのエネルギーを
考えた時に1つのプロセスで行うよりも
異なる機序の連続したプロセスで行う方が
結果として「低エネルギー」で出来る可能性を
物理的に考えて想定しました。
低エネルギーでできるということは
原理的に体への負担が少ない形で
癌細胞を消滅まで持っていく事ができる可能性がある
ということです。
但し、エネルギーのベクトルが大きくずれていて
2つのプロセスの連結性が低い場合には
一方でエネルギー損失も大きくなるかもしれません。
ーー
この癌細胞老化を経た2段階治療の課題としては
癌細胞が確かに老化しているという証拠となる
バイオマーカーが確立していないという事と、
もっと厄介な問題としては
そのバイオマーカーが異種性があるということです(1)。
例えば、
Senescence­associated secretory phenotype(SASP)。
これは老化細胞の分泌物なので
これがバイオマーカーになるだろう
という提案もあります(1)。
しかし、このSASPは細胞種によって
異なることが示唆されています(6)。
他にもバイオマーカーとして
Oxylipin
Cleaved uPAR
これらが提案されています(1)。
またSASPは短期では免疫細胞の引き付けや
周辺癌細胞を老化させるなど良い効果がありますが、
長期的には癌細胞増殖に関わるなど
悪影響が強くなるとされています(1)。
従って、2段階目の老化様癌細胞除去を
できるだけ早いタイミングで確実に行うことが
求められると考えられます。

いずれにしてもワンツーパンチの2段階の治療を行う
治療においてはその中間状態である
癌細胞老化状態を分析できるようにする事は
必須であると考えられます。
癌の場合は、休眠状態などもあり、
細胞周期が止まったり、細胞死信号が弱まっている
状態というのは他にもあるので
それとの差をどうやって定義するか?
という点も考える必要があります。
ーー
もう一つの観点として、
2段階目において老化細胞除去薬を使う代わりに
それと似た特質を持つ免疫機能を利用するという
方式も考えられます。
元々、身体には老化細胞を免疫によって
除去するという機能があるからです。
例えば、
NK細胞が老化様癌細胞を認識して
細胞死させる機序も存在します。
(参考文献(1) Fig.4より)
従って、老化細胞を取り除く機序が強い
免疫細胞の標的性や活性を上げるような
治療を2段階目に設定する事も選択肢として考えられます。

//考察//--
このような老化細胞を除去する方式は
癌細胞以外の老化細胞も除去できるというメリットがあります。
一方で
Liqin Wang, Lina Lankhorst & René Bernards(敬称略)は
対象となる患者さんの老化細胞が多く存在する場合には
その多くを除去することで
組織の連結性が失われて、副作用が強くなるかもしれない
という警鐘が鳴らされています(1)。
例えば、血管組織の健全性は人の健康において
非常に重要です。
その血管組織が老化細胞を(一気に?)取り除く事によって
リーキー、穴が開いてしまうと
身体のいずれかの部分において大きな不具合が出てしまう
可能性も考えられます。
特に脳については注意が必要です。
これは老化細胞除去薬を使用する場合において
癌に対して行う時だけではなく
一般的に言える事であるとされています(1)。

(参考文献)
(1)
Liqin Wang, Lina Lankhorst & René Bernards 
Exploiting senescence for the treatment of cancer
Nature Reviews Cancer (2022)
(2)
Li-Juan Wang et al.
Dose-dependent effect of tamoxifen in tamoxifen-resistant breast cancer cells via stimulation by the ERK1/2 and AKT signaling pathways
Oncol Rep. 2013 Apr;29(4):1563-9. 
(3)
Roninson, I. B. 
Tumor cell senescence in cancer treatment. 
Cancer Res. 63, 2705–2715 (2003).
(4)
Lee, M. & Lee, J. S.
Exploiting tumor cell senescence in anticancer therapy. 
BMB Rep. 47, 51–59 (2014).
(5)
Petrova, N. V., Velichko, A. K., Razin, S. V. &  Kantidze, O. L. 
Small molecule compounds that  induce cellular senescence. 
Aging Cell 15, 999–1017 (2016).
(6)
Jochems, F. et al. 
The Cancer SENESCopedia:  a delineation of cancer cell senescence. 
Cell Rep. 3, 109441 (2021).


2022年3月8日火曜日 0 コメント

3つの機能を持つ抗体による乳がん治療

癌細胞の増幅と退行は
癌細胞増幅機能と免疫機能とのせめぎあいで決まっているとも言えます。
抗がん剤、放射線治療などを行えば、
その天秤は変わりますが、その際中であっても
免疫機能は常に癌組織に働きかけています。
正常に働けば、免疫機能は癌組織を退行させます。
ーー
このような自然に持つ免疫機能の働きを使って
癌組織を退行させようとするのが
癌免疫療法です。
従って、退行させるには医療介入を行わない状態に比べて
免疫機能を相対的に高める事が必要になります。
ーー
Edward Seung, Zhen Xing(敬称略)ら
医療研究グループはヒトの遺伝子を入れた
マウスに乳癌を成長させ、
その乳癌に対して巧みな方法で
この乳癌組織を退行させる事に成功しています(1)。
ーー
その巧みな方法とは
〇複数の免疫細胞の機能を高める。
  CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞、B細胞など。
〇癌細胞傷害を直接的に与える。
これらの両立を1つの抗体で実現しています。
その抗体とはRef.(1).Fig.1aに示されているように
①Anti-HERS、②Anti-CD3、③Anti-CD28
これらの3つの機能(tri-specific functions)を持っています。
①は直接的に乳癌細胞を攻撃します(ref.(3) Fig.1)。
②、③はCD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞(2)の機能を高めます。
②、③が両立しているときに
CD4+T細胞、CD8+T細胞は特異的に機能が高まっています。
(Ref.(1) Fig.1cより)
またB細胞やNK細胞なども増えています。
(Ref.(1) Fig.5aより)
ーー
今回、CD4+T細胞の細胞数、機能が高まったことで
癌細胞増殖に関わる細胞サイクルを止める事ができています。
また、CD4+T細胞の機能として
〇CD8+T細胞を機能を補償する。
〇癌細胞をサイトカイン依存的に攻撃する。
〇B細胞などの機能を高める。
これらがあります(Ref.(4) Fig.2)。
従って、CD4+T細胞はCD8+T細胞、B細胞の機能を
高まっている事に対して、関係している可能性があります。
ーー
このように抗体に免疫細胞の機能を高める機能を
組み込むことを
〇T細胞受容体様抗体(5)
〇T cell engager
このように呼びます。
ーー
上述したように複数の機能を持つことで
乳癌のタイプであるHER2の発現量が少なくても
(HER2 densities as low as 25,000 copies per cell)
効果があるとされています(1)。
従って、HER2標的療法に抵抗性がある
乳癌の患者さんにおいても適用できる可能性があります。
ーー
実際に従来の抗体治療Trastuzumabでは
1年以内に9割の患者さんが治療抵抗性を持つ
といわれています(6,7)。
これは抗HER2抗体だけの単一機能です。
この条件では抵抗性が生まれやすいということです。
一方、
上述した3つの機能を持つ抗体は
この乳癌に発現しているHER2受容体に加えて
2つの経路(CD3,CD28)で
複数の免疫細胞(T細胞、NK細胞、B細胞)
の細胞数、機能を高める効果を併せ持っています。
特にCD4+T細胞は
精製状態で乳癌細胞を消滅させることができた
という結果もあります(Ref.(1) Fig.2b)。
従って、「複数の経路」での治療系統となっているので
抵抗性が生まれにくい抗体療法となることが期待されます。
ーー
副作用は動物による調査では許容できる
とされています。
すでに3つの機能を持つ抗体の臨床試験が
HIVや癌で行われています(1)。

//考察//--
このような複数の機能を持つ有能な抗体に対して
薬剤を複合体化させる抗体薬物複合体を形成することで
上の機能に加えてさらに
化学療法で治療する事はできないか?
それによってまた癌治療の経路を増やすことが期待できます。

(参考文献)
(1)
Edward Seung, Zhen Xing, Lan Wu, Ercole Rao, Virna Cortez-Retamozo, Beatriz Ospina, Liqing Chen, Christian Beil, Zhili Song, Bailin Zhang, Mikhail Levit, Gejing Deng, Andrew Hebert, Patrick Kirby, Aiqun Li, Emma-Jane Poulton, Rita Vicente, Audrey Garrigou, Peter Piepenhagen, Greg Ulinski, Michele Sanicola-Nadel, Dinesh S. Bangari, Huawei Qiu, Lily Pao, Dmitri Wiederschain, Ronnie Wei, Zhi-yong Yang & Gary J. Nabel
A trispecific antibody targeting HER2 and T cells inhibits breast cancer growth via CD4 cells
Nature (2022)
(2)
CD antigens expression in NK cells
https://jp.sinobiological.com/research/cd-antigens/nk-cell
(3)
Ricardo L. B. Costa & Brian J. Czerniecki 
Clinical development of immunotherapies for HER2+ breast cancer: a review of HER2-directed monoclonal antibodies and beyond
(4)
Rong En Tay, Emma K. Richardson & Han Chong Toh
Revisiting the role of CD4+ T cells in cancer immunotherapy—new insights into old paradigms
Cancer Gene Therapy volume 28, pages5–17 (2021)
(5)
細胞内がん抗原を標的とするT細胞受容体様抗体の効率的取得法の開発
研究開発代表者:磯部 正治
富山大学 大学院理工学研究部
https://www.amed.go.jp/program/list/06/01/i-biomed/subject/2015/09/index.html
(6)
Pohlmann, P. R., Mayer, I. A. & Mernaugh, R. 
Resistance to trastuzumab in breast cancer. 
Clin. Cancer Res. 15, 7479–7491 (2009).
(7)
Vu, T. & Claret, F. X.
Trastuzumab: updated mechanisms of action and resistance in breast cancer. 
Front. Oncol. 2, 62 (2012).


2022年3月5日土曜日 0 コメント

分娩時の胎児-新生児移行を安全に進める為の技術要因

//背景//--
分娩、出産を境に赤ちゃんは閾値的な環境の変化を経験します。
血液中の酸素飽和度は子宮内では50-60%であり、
そこから10分程度で85~95%まで酸素飽和度を上げる必要があります。
そのため分娩後の初期の呼吸時には経胸腔圧力が陰圧にあり
液体(羊水?)を気道から肺の間質へ輸送され、
肺の通気、血中酸素飽和度、肺動脈の拡張を促進する
と言われています(2)。
--
このような過渡期である分娩後の数分間は
短期、長期間にわたる赤ちゃんの健康に関わるとされています(1)。
前述したように酸素の飽和度が劇的に変わるため
分娩後の呼吸の状態を適正に管理することは重要な因子です。
一般的には
満期産児の85%は分娩後、10-30秒以内に
特に外的な支援が必要なく移行する事ができます。
一方
10%:呼吸刺激、気道を開ける
5%:陽圧通気
0.3%:心臓マッサージ
0.05%:アドレナリン投与
これらが必要であるとされています(3)。
--
このように早産児も含めて、一部の新生児は
特に重要とされる生まれてから数分間において、
医療スタッフによる適正な管理が必要です。
そのための技術というのは近年進歩してきていますが、
また十分、浸透していない状況です。
その理由としては
〇フットプリントも含めた装置の移動性が乏しい
〇利点があるというエビデンスがない
〇利用する際に訓練が必要
これらが挙げられています(1)。
--
Natalie Batey(敬称略)ら医療研究グループは
新生児のケアのための技術を総括されています(1)。
本日は独自の調査を加えながら
その内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。

//体温調節//--
生まれたばかりの赤ちゃんは体温調節する能力が乏しい
といわれています。
従って、分娩室における温度管理は最も重要な要因の
1つであると考えられてます(1)。
環境の温度は23-25℃
また特に早産児においては
36℃以下の低体温を避ける必要があります。
病気に罹ったり、命を落としたりするリスクは
36.5℃以下では温度が下がるにつれて高まるとされています(4)。
こういった適切な温度管理のためには
実際に体温を管理するという事の他に
暖めるための道具が以下、挙げられています。
〇ブランケット、毛布
〇プラスチックラップ
〇温熱マット
これらです(1)。
特に早産児においては
当然、頭部を出して呼吸を確保した状態で
プラスチックバックやラップで新生児を包むことは
費用的にも負担のない形で効果的であると言われています(1)。
また、湿気を含む温風(heated humidified gas)
これらを頭部を除く体を包んだプラスチックバックに
流した場合、脳への損傷と死亡を防ぐことができた
とされています(5)。

//臍帯遅延結紮//--
臍帯の締め付けを分娩後、少し遅らせる事(臍帯遅延結紮)。
これについては
早産児(在胎期間34週以下)は最低30秒以上。
それ以上の在胎期間では最低60秒以上。
これらが、すぐの蘇生が必要ではない場合において
推奨されるとされています(6,7)。
遅らせて臍帯を締め付ける事で
心臓の心室前負荷が高まり
臍帯締め付けの前に肺の通気が起こる際に
血流が力学的に安定して移行することが示されています(8)。

//分娩室でのモニタリング//--
元気な新生児は出生直後から啼泣し、血流が活発で
肌が赤みがかっています。
陣痛発来前の子宮内環境が思わしくなかった子供や
分娩中に酸素濃度の移行がスムーズに行かず
出産直後、低酸素状態になった子供は
産声を上げず、肌は血の気のない青白いことがあります。
呼吸状態、心拍の状態によっては
蘇生処置が必要になります。
そのような蘇生に対する監視を分娩室でする必要があります。
その蘇生の方法は以下です。
〇バック、マスクを使った通気
〇1回換気量、吸気圧の準備
  Provision of adequate tidal volume and inspiratory pressure
〇心圧迫
同時に、蘇生に対する反応を評価します。
〇胸壁が上昇しているか
〇心拍の監視
〇(通気?)リークの評価(Leak assessment)
〇酸素運搬
〇目標酸素飽和度の維持(maintenance ofsaturation targets)
ILCORは
心拍モニタリングの為の心エコー検査(ECG)
酸素飽和度維持のためのパルスオキシメーター
これらを推奨しています(9,10)。

//呼吸機能のモニタリング//--
分娩前後で、急激な酸素濃度変化を経験する新生児において
呼吸を自律的に行うことができるかは
1つの絶対的な監視要件です。
その呼吸機能をモニタリングする必要があります。
自発的な呼吸が難しく、通気が必要な場合は
1回換気量の制御が非常に重要になります。
その1回換気量が多く、制御不能の状態になっていると
〇炎症の伝搬(inflammatory cascade)
〇気管支肺異形成症の傾向
〇脳室内出血
これらが懸念されます(11)。
このような懸念があるので、
高頻度換気法と呼ばれる呼吸補助技術があります(12)。
通気する回数を増やして、1回通気量を減らすという方法です。
それによって肺などの損傷を最小化する事ができます(12-14)。
大人に比べて成長前の肺や脳の組織は
新生児は非常に細やかで、繊細です。
従って、そこに「一気に」高い液圧、気圧がかかると
組織の連結性が損なわれて、
破壊されてしまうからであると考える事ができます。
従って、適切な制御は当然の事
目標の酸素飽和度維持の達成のための
適切な周期、量での通気が求められると考えられます。
--
前述した通気時の胸壁の拡張、心拍エラーの評価は
特に早産児では難しいという事を考慮に入れると
1回通気量の即時のフィードバックシステムは
新生児の健康状態向上に貢献します(15-18)。
--
The Florian and Monivent systems。
これのような呼吸機能モニタリングシステムは
〇1回換気量
〇圧力波形
〇ガスフロー
これらのフィードバック評価が可能になっています(19-21)。
しかしながら、これらのシステムを使いこなすには
熟練、訓練が必要であるとされています(22)。
--
また、このような呼吸機能のモニタリングの
可視化が必ずしも新生児の臨床結果に対して
正の成果をもたらすかどうかは確定的ではなく、
さらなる臨床評価が必要であるとされています(1)。

//電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT)//--
EITは電極を新生児の身体に着けて、
その抵抗、インピーダンスから身体の内部状態を
モニタリングするシステムで、
安全性が高く、非侵襲で、放射線などの被ばくもない
身体に優しい方法です。
主にリアルタイムで肺の通気量について決定する
為に使われます(1)。
具体的には
〇well infant(23)
〇サーファクタント導入後(post surfactant)(24,25)
〇最適な通気選択(26)
〇継続的な肺の膨張(27,28)
〇抜管の評価(29)
〇身体の位置(30)
〇気管内チューブの位置(31,32)
〇吸引の効果(33)
〇気胸の発見(34,35)
これらの評価の為に使われています。

//ビデオ喉頭鏡検査(Videolaryngoscopy)//--
緊急時に気道確保を行う事は赤ちゃんにとって
ストレスの大きい手順で有り、
それをうまく行うためにはスキルが必要であるとされています(1)。
ビデオ喉頭鏡検査によって見えにくい喉の部分を
可視化する事によって、1回の挿管で
成功する確率が高くなります(36,37)。
緊急時には酸素濃度が下がっていますから
できるだけ速やかな挿管、通気が必要になります。
従って、ビデオ咽頭鏡検査を補助的ツールとして使うことで
低酸素状態による後遺症を防ぐことができます。

//拡張現実(Augmented reality (AR))//--
ホログラムによって分娩室で実際に行われる処置の
3次元立体動画を空中に浮かび上がらせることで
経験不足の医療スタッフのトレーニングに利用することができます。
例えば、挿管をよりスムーズに成功させ
新生児のリスクを最小位するためには
咽頭鏡検査とそのホログラム画像両方によって
よりトレーニングが効果的になったと報告されています(38)。

//ビデオ録画//--
挿管を始め、分娩室で行われる処置は
報告、改善、訓練の観点からもビデオ録画で
記録していく事は好ましいとされています(1)。

//遠隔治療・リモート相談//--
遠隔治療は、まだ十分に熟練した医療スタッフがいない
地域に対して、適切な器具、装置の使い方を
現地に行くことなく指導するのに適しています。
時間やコストの削減になります(1)。
例えば、今後技術が発展して
熟練者の分身をホログラム画像で
遠隔地の空間内に映し出して、
それに合わせて手順を付加的に説明するようなことができれば、
より直接的な指導を現場に行くことなくできる
可能性があります。

//視標追跡(Eye-tracking)//--
医療スタッフが視標追跡できるグラスをかけて
蘇生や挿管など治療を施している時の
視点がどこにあるか?ということを正確につかむことによって
より適切な指導に繋がることが期待できます。

//人工知能の活用//--
上述したように今までの分娩室の処置、治療を
ビデオ録画しておくことは重要ですが、
それをどのように活用するか?
という点においては工夫が必要です。
膨大にあるデータを1つ1つ確認する、
あるいはそれを整理するためには膨大な労力が必要です。
それが、医療施設をまたいで共有化されれば
なおそういったコストは高くなります。
その際、画像認識で実績のあるAIによって
特定の処置、治療を分析させ、
その評価関数を定める事によって、
過去から蓄積してきたビデオ録画データを
より今後の治療や現状分析において有効に使うことが
できる可能性があります。

//人的因子//--
ビューマンファクターとは、この場合
分娩室で使う装置や処置において
よりお子さんの安全を確保するために考慮しなければならない
医療スタッフ側の因子の事です。
実際には装置が故障する事も考えられますが、
そうではなく、人の操作ミス、判断ミス、選択ミス
などが考えられます。
そのためには適正なガイドライン、その共有
また決定をサポートするツール(1)などが必要です。

//まとめ//--
上述したことを総括すると
分娩の際においてはお子さんの心肺機能において
如何に適正に胎児から新生児に移行できるか?
また、産後、体温を適正に維持できるか?
これらの目的があります。
早産、帝王切開などを含めた出産の状況に合わせて
上述したことのリスクは変わってきます。
健康状態との乖離が生じたときには
速やかに医療処置によって近づける必要があります。
特に出産後、数分は不可逆性の高いタイミングです。
その中で様々なリスクを包摂して、
如何に適切な胎児-新生児移行を確保できるか?
人工知能やホログラムなど現在のテクノロジーを使いながら
質の高い医療が提供できる施設や人を
増やしていく必要があると考えます。

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2022年3月4日金曜日 0 コメント

満期産児における抗体製剤ニルセビマブのRSウィルス呼吸器感染症に対する予防効果

RSウィルス感染症は下部呼吸器感染症であり
小児科領域では注目度の高い重要な疾患と言われています。
2歳までにほぼすべての小児が罹患して、
時として細気管支炎や肺炎を合併して重症となることがあります(1,2)。
この感染症は、心肺系、免疫系に基礎疾患がある場合において
重症化リスクが高いと言われています(3)。
母体から抗体移行があるにも関わらず、
ブレークスルー感染するといわれています。
現在の所、ワクチンはなく、
モノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)
が早産や基礎疾患がある場合において適用となっています(4)。
交絡因子を考慮にいれる場合において
パリビズマブの高リスク群における
感染予防効果は74%といわれています(6)。
ーー
同様の抗体製剤であるニルセビマブ(Nirsevimab)は
RSウィルス融合タンパク質のF1、F2サブユニットに結合する
モノクローナル抗体であり、
これらの結合部位の保存性は高いと考えられています(1)。
つまり、変異などが起こりにくいサイトである
と認識しています。
ーー
すでに早産児(在胎期間:29週~35週)において
このニルセビマブは感染予防として70.1%の効果があった
という事は示されています(5)。
しかし、現在、少なくとも日本では
抗体製剤投与の対象とはなっていない
満期産児や在胎期間35週以上の新生児に対しての
RSウィルスに対する予防効果は示されていません。
そこでLaura L. Hammitt(敬称略)ら国際的な医療研究グループは
これらの条件でフェーズⅢ治験として
ニルセビマブのRSウィルスに対する予防効果を評価されています。
投与から150日間の評価期間の間で
ブレークスルー感染は1.2%の子供で見られたものの
偽薬群と比べて、感染予防効果として74.5%が認められました。
一方で
このニルセビマブの投与による副反応は
偽薬群と比べて顕著な差はありませんでした。
ーー
今後この製剤の適用について検討されると考えられます。

(参考文献)
(1)
Laura L. Hammitt, M.D., Ron Dagan, M.D., Yuan Yuan, Ph.D., Manuel Baca Cots, M.D., Miroslava Bosheva, M.D., Shabir A. Madhi, Ph.D., William J. Muller, Ph.D., Heather J. Zar, Ph.D., Dennis Brooks, M.D., Amy Grenham, M.Sc., Ulrika Wählby Hamrén, Ph.D., Vaishali S. Mankad, M.D., et al., for the MELODY Study Group*
Nirsevimab for Prevention of RSV in Healthy Late-Preterm and Term Infants
The New England Journal of Medicine 2022; 386:837-846
(2)
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新潟大学
https://www.med.niigata-u.ac.jp/pub/respiratorysyncytialvirus/
(3)
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国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html
(4)
RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html
(5)
Griffin  MP,  Yuan  Y,  Takas  T,  et  al. 
Single-dose nirsevimab for prevention of RSV in preterm infants. 
N Engl J Med 2020; 383: 415-25.
(6)
Hannah C. Moore et al.
Effectiveness of Palivizumab against Respiratory Syncytial Virus: Cohort and Case Series Analysis
The Journal of pediatrics vol.214 p.121-127 E1


2022年3月3日木曜日 0 コメント

CARベース療法の広範な適用可能性

様々な疾患において
「特定の細胞を取り除く」ということが重要です。
癌組織で有れば、癌細胞。
自己免疫疾患であれば、自己抗原を分泌する免疫細胞。
組織の線維化、老化であれば、それらの細胞。
もともと、このような細胞を取り除く機序は体内にありますが、
罹患していれば、それらが制御不能な状態になっているため
外因性の中で病状を治す、制御する必要があります。
この場合、問題となる細胞を取り除くのを助ける
機序を治療の中で組み込む必要があります。
キラーT細胞は細胞傷害性を持つため、
上述した「特定の病因となる細胞だけに」
攻撃性を持つようにプログラムさせることができれば、
目的を実現する事が期待できます。
その具体的な方法として「CAR-Tベース療法」があります。
ーー
Haig Aghajanian, Joel G. Rurik & Jonathan A. Epstein
(敬称略)からなる医療研究グループは
CAR-Tベース療法の癌治療を超えた広範な利用可能性について
総括されています(1)。
そのFig.1で示されているように
上述した問題となる細胞は標的となり得る
特異的な表面タンパク質を発現しています。
例えば、
自己免疫疾患であれば、B細胞表面に
自己抗原特有の表面タンパク質があります。
感染症で有れば、ウィルス表面の抗原が標的となります(2)。
この表な標的に結合するキラーT細胞を
細胞内(3,4)、もしくは細胞外(5)でデザインできれば、
目的の細胞「だけ」を細胞死させる事が期待できます。
この特異性があがれば、
例えば、従来の自己免疫疾患で問題となっていた
B細胞無形性などを防ぎながら、
自己抗原を抑えて免疫を制御する事が期待されます(6)。
ーー
今の述べた様に細胞内で免疫細胞のリプログラミングをする場合には
RNAなどを使って体内の免疫細胞内で目的となる
タンパク質を細胞外に形成させるために
新型コロナウィルスのワクチンのように
脂質ナノ粒子を輸送媒体として
RNAを輸送することが考えられます。
その際、脂質ナノ粒子の標的性を上げるための
表面物質の工夫などが必要だと考えられます(1)。
この場合、生体内の「自分の」細胞を使えるため
他人の細胞を移植するよりも免疫異常のリスクを減らすことが
できる可能性があります。
また自家移植よりも時間とコストを減らすことができる
可能性もあります。
従って、追究する価値のある方式です。
ーー
今述べた様に、CAR-T細胞は毒性や副作用も報告されています(7)。
1つの考えられる理由としては、
T細胞表面に発現されている表面タンパク質は一つではないので
それによってオフターゲットが生じてしまう可能性がないか?
一方で、自家移植の場合は
リプログラミング時の制御性が高ければ、
そういったリスクは小さいと考えられますが、
他人の細胞を使う場合においては当然、
副作用のリスクは上がってきます。
自分の細胞を使う場合にはコストと時間がかかるのも
デメリットの一つです。
このようなことを考慮すると
移植片対宿主病が生じにくいとされるNK細胞を
CAR療法の細胞として選択する事も考えられます。
また、制御型T細胞も同様に生じにくいとされてます(1,9,10)。

//考察//--
細胞種特異的輸送系統では
表面に標的細胞に特異性を持つ物質を結合させて
標的性を高めたナノ粒子を輸送媒体とします。
この時、ナノ粒子が今使われている脂質ベースであれば、
輸送後、長期間残る事がなく分解されます。
一方で、
T細胞や、免疫細胞を使って
標的化治療をするCAR免疫療法では
細胞自身が免疫的な特定の機能を持っていることで
一定の薬理を得る事が期待されます。
一方で、J. Joseph Melenhorst氏らの
10年にわたる長期的な評価では
こうしたT細胞などが生着した後、
体内に残ることが報告されています(11)。
従って、CARベース治療をする際に当たっては
その後、長期的に残る事を想定しておく必要があります。
もちろん、このことが継続的に治療する上での
メリットとなることも考えられます。

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Am. J. Transplant. 17,  931–943 (2017).
(10)
Noyan, F. et al. 
Prevention of allograft rejection by use of regulatory T cells with an MHC-specific chimeric antigen receptor. 
Am. J. Transplant. 17, 917–930 (2017).
(11)
J. Joseph Melenhorst, Gregory M. Chen, Meng Wang, David L. Porter, Changya Chen, McKensie A. Collins, Peng Gao, Shovik Bandyopadhyay, Hongxing Sun, Ziran Zhao, Stefan Lundh, Iulian Pruteanu-Malinici, Christopher L. Nobles, Sayantan Maji, Noelle V. Frey, Saar I. Gill, Lifeng Tian, Irina Kulikovskaya, Minnal Gupta, David E. Ambrose, Megan M. Davis, Joseph A. Fraietta, Jennifer L. Brogdon, Regina M. Young, Anne Chew, Bruce L. Levine, Donald L. Siegel, Cécile Alanio, E. John Wherry, Frederic D. Bushman, Simon F. Lacey, Kai Tan & Carl H. June 
Decade-long leukaemia remissions with persistence of CD4+ CAR T cells
Nature (2022)


 
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