<背景>
磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置を2035年までに日本の信頼できる病院に装置として一定完成した形で導入し、数年かけて、病院の中の実環境で使用して調整し、臨床応用を目指すという約束を果たすためには、まずは重水素共鳴に適したMRI装置開発と経頭蓋集束超音波装置の基本性能の確保が装置単体として求められます。それと同時並行して、(子どもの)人の頭部の模型(マネキン)の設計/制作が求められます。頭蓋骨をどうやってバルク(一定の大きさを持つ塊)として製造し、3次元的に正確に加工するか?という技術的課題が存在します。頭蓋骨以外に重要な技術開発項目は区画化されたヒドロゲルを形成し、頭蓋内の音響特性を人の組織の特性と類似させることです。もう一つの目的として従来の試験官で行われたex vivo(生体外)の実験の一部をヒドロゲル環境内で人の細胞で行う事への移行を促すという重要な項目もあります。ヒドロゲルは実際に人の細胞の間、土台を構築する間質に存在すると考えられるので、細胞の3次元構造、すなわち人工組織を形成する上で必須の基盤、材料です。ヒドロゲルで生体外で実施する場合、その延長線上には臓器を形成することがありますから、初期の段階においても組織化された状態での細胞実験が可能になります。ヒドロゲルで閉空間を確保することで生体内の同様の酸素濃度、無菌状態を作ることができる可能性があります。従って、ヒドロゲル内で細胞実験をすることは人の身体の中の環境に近づくことを意味するので、一部でマウスなど動物を犠牲にする必要がなくなります。倫理問題とも関係性を持つ重要な取り組みです。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置では実際に人(子ども)の頭の大きさ、音響特性と整合する模型を作り、緩衝材などの周辺環境の設計から、細胞を入れたときの特性確認まで行います。これはマウス、サルなど代替の動物では実現不可能なことです。初めから最終設計に近い形で装置開発することでコストの削減、開発期間の短縮を図ります。そのために乗り越えないといけない壁は、上述した様に模型を作ることです。簡単ではないですが、生体外の生命科学の実験そのものを進化させる明確な潜在性があるので、ここは逃げずに取り組むべき課題です。ヒドロゲルを頭蓋骨内で一定の体積ごとにメッシュ状に区画化し、取り外せる状態にしておき、特定の位置に培養条件にある細胞群を入れられるようにします。例えば、脳幹の脳腫瘍に対しての経頭蓋集束超音波の特性を確認したい場合には、脳幹の位置の区画化されたヒドロゲルを取りはずし、培養した癌細胞、神経系細胞などと入れかえ、それに対する超音波照射における特性確認を行う事を想定します。頭蓋内のあらゆる位置でヒドロゲルを入れ替えることができるように一定の体積でメッシュ状に区画化する事を試みます。
経頭蓋集束超音波装置開発のための頭部模型設計のヒドロゲル環境開発に限らず、ヒドロゲル全般でいえることです。生体外の実験では人の身体ではできない細胞の特性を調べることができます。例えば、人の身体はほとんど可視領域、それに近い波長の電磁波(光)を透過しないため、生体内の細胞に対して光を照射(光で励起)することも難しく、さらにそこから放射される光を検出する事も難しいです。しかしながら、光はエネルギーに応じた物質固有の情報をとることができる為、分子レベルの評価に適合するという大きなメリットがあります。例えば、炭素の三重結合を少なくとも一つ持つアルキン基はこの結合が強いため、その伸縮振動の振動数(波数)が特異的に高くなります。また、こうした三重結合を持つ物質が生体内にほとんどないことからその伸縮振動数伸2,100–2,300/cmはサイレント領域と呼ばれ、この振動数に応じた波長の光を放出するラマン散乱光を検出することができます。物質にアルキル基を薬物などに装飾すれば、この特異的な光の検出を通してアルキル基がタグとして機能し、細胞内外の薬物の挙動を追跡する事が可能になります(1)。ラマン散乱光は通常は微弱なため、生体内にある物質に対して体のバリアを乗り越えて、励起し、散乱光を検出することには適さず、人の身体の中で実施する事は(in vivo)基本的には非常に困難ですが、ヒドロゲルの環境であれば、より人の体内の環境に模した形で、こうした光を使った物質のトラッキングができる可能性があります。また、この記事のテーマである温度測定は、経頭蓋集束超音波装置の開発において最も基本的な性能評価の一つです。最終的には磁気共鳴や超音波の信号によって温度検出する必要性がありますが、実験段階では最終的な温度測定の正確性の評価、その参照データとして細胞内の正確な温度情報が必要となります。カーボン量子ドット(蛍光粒子)(2,5)、蛍光分子(3,4)両方とも検出の為には光信号が必要であり、in vivoでの実環境での評価は基本的には困難ですが、頭部の模型も含めてヒドロゲル環境内では実験(評価)系を構築する事が可能です。任意に励起発光装置、受光器を模型実験系内に設置できることは、子どもの頭部模型による経頭蓋集束超音波装置の開発構想の非常に大きな重要性(メリット)の一つです。今、現時点の市販品、研究で使われている類似する装置は、こうした開発ルートを通っていない可能性が高く、抜本的に装置性能を改善させるうえで欠かすことができない構想ではあります。こうした研究は(2-5)、私が提案した装置開発構想と非常にアラインする(ベクトルが揃う)ので、ここでその詳細について掘り下げることを決断しました。
<技術的背景/私の経歴/内容>
2014年から2019年まで日本人は連続してノーベル賞が続いた時代でした。2014年のノーベル物理学賞は日本人だけで占められました。赤﨑勇先生(名古屋大学)/天野浩先生(現:名古屋大学)/中村修二先生(現:サンタバーバラ大学)です。授賞理由は「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」です。この受賞は明らかに現在の気候変動・カーボンニュートラルが背景にあったと思われます。なぜなら、授賞理由に明記されているようにLEDは消費電力が低く、照明によるエネルギー問題の解決に少なくとも一定貢献しているからです。それ以前の物理学賞はどちらかというと基礎物理に依っていましたが、この時には応用物理に脚光が当たりました。なぜなら、今の電力消費を抑えられるLED照明における発光ダイオードの原理の発明に対してではなく、それの実用化、社会実装に貢献した先生方が独立して受賞されたからです。実は私は1997年に静岡大学に入学して、2000年に静岡大学工学部の藤安洋教授の研究室に属したときに、この青色LEDの材料である窒化物半導体の結晶成長の研究で出会うことになります。その後、大学院前期課程の2年間、トータル3年間、同じ研究を続けて、幸いな事に2003年にシャープ株式会社に入社した後も同じテーマで仕事をすることができました。従って、赤崎先生/天野先生/中村先生が具体的にどういった技術で貢献されたかというのは一般的に報道されているものを超えたより詳しいことを知っています。今日の温度計測の記事と関係があるので、良い機会なのでそれについて背景的なことと絡めながら少し詳しく説明します。
1990年代よりも前の世代の人は良く知っていると思います。当時、発光ダイオードは赤/橙色くらいの色しか世の中に存在しませんでした。緑、青は技術的に困難でした。なぜなら、発光ダイオードの仕様に耐えうる材料がなかったからです。赤、橙色は同じⅢ-Ⅴ属半導体ですが、Ⅴ属の部分が窒素とは異なり、リン(P)/ヒ素(As)などで構成されます。これらの材料には発光材料として十分特性の良い規則正しい結晶層構造を得るための格子整合する(ホモ:同種)基板がありました。すなわち、何が技術的障壁を律速していたか?それは発光ダイオードの母体(デバイス:PN接合構造)となる層上の材料を結晶成長させる優良な基板があるかどうか?ということです。窒化物半導体にはその基板(基盤)がありませんでした。結晶というのは身近な氷などでもそうですが、特定の(立方晶/六方晶などの)結晶構造を持ちますが、多くの場合、(経験則に依らない)第一原理計算などで定義される理論的な結晶構造(その基底の特性)ではなく、一定の格子欠陥を持ちます。この欠陥があると一般的にはその物質の物性がそれに(その不規則性)よって摂動される為、変化します。発光ダイオードの場合は、電子(電流)を光に変換しますがその変換(発光)効率はその欠陥によって変換時に熱に変わる為、低下します。従って、私などの技術者の目標は、どうやってこの格子欠陥(線欠陥は転位という)を減らすかを考える事にあります。多くの学問に義務教育で習う基礎学力があり、それがないと応用は成り立たないように結晶にもそういった基本的な要素があり、結晶を層状に成長させる土台となる基板の結晶、選択性が悪いとどのように上の結晶成長条件を最適化しても格子欠陥が多くなってしまいます。従って、半導体を成長させる良い基板があるかどうかはその上のデバイス特性のほぼ全てを決定するくらい重要な事です。(実は、シャープ株式会社が後に青色レーザーで事業化することに成功したのは、基板として高価であってもホモ基板であるGaN基板を早期に導入する事を決断したことにあります。)その重要な基板が緑/青はなかったから開発が遅れました。緑/青はⅢ-Ⅴ属窒化物半導体((Al,Ga,In(Ⅲ)/N(Ⅴ))で理論的に発光ダイオード/半導体レーザーを作製できることはすでにわかっていましたが、主要なGaNは非常に高温でしか結晶化せず(融点が非常に高く)、基板形成には適しませんでした。基板の場合は層状に成長させる薄い(十μm程度)結晶成長とは異なり、眼で見えるくらいの大きな体積の結晶の塊(バルク)が必要である事と、結晶欠陥を減らす必要がある事から液体から固めて作るような液相成長が好ましいとされます。骨の形成のところでいいましたが、気体から固体を得る場合には、気体の無秩序に動き回る性質によって、固相への変換の際に分子的な秩序を形成する事が一般的に難しいということもあります。それによってどうしても結晶欠陥が多くなりがちであり、大面積の結晶化にも不適です。また一定の体積を得るうえでも液体として固まった状態から固体(結晶)を得るほうが好ましいです。しかし、GaNの場合は物性上、液体にするには約2,500℃まで上げる必要があり、そのような高温環境を用意できないということがあります。GaN基板はないわけではありませんが、現在のLEDの市場販売価格に耐えうるような低価格では製造する事が現在でも難しいです。基板は当然、上に成長させる材料と同一の材料が好ましいです(ホモ基板と呼ぶ)。なぜなら、エピタキシャルな結晶構造は通常固体として一定引き継ごうとする性質があり、材料が変わると必ず格子欠陥を伴います。これは結晶成長の定説ですが、窒化ガリウムの場合はGaN基板の(特に低価格の)製造が原理的に難しいため、必然的に異種材料から適切な基板を探す必要性がありました。それがサファイヤ基板(Al2O3)です。サファイヤ基板は十数パーセント程度の格子不整合率で窒化ガリウム(GaN)を成長させることができます。しかし、それでも転位密度は10^9/cm2程度に高く、赤/橙色のGaAs/GaPに比べて5-7桁程度高く、十分な特性を得るための結晶性という意味では大きな乖離がありました。非常に説明が長く、専門的になっていますが、これを説明しないと赤崎先生/天野先生の功績を理解してもらうことは不可能です。この転位密度というのは実はすでに赤崎先生/天野先生の功績の後の数字です。従って、如何に異種基板から結晶を得ることが難しいかを示しています。格子不整合がある基板は理想的な核形成が成立せず、層状の2次元的な結晶を得ることが難しいです。おそらく特に何も工夫(エンジニアリング)しなければ、粒々の不連続な膜しか基板上に成長させることができません。従って、まともな結晶成長すらできない状況です。赤崎先生/天野先生は窒化ガリウムと同列の材料である窒化アルミニウム(AlN)を数百度程度の低温でサファイヤ基板上に成長させる方法を考案しました。これは低温緩衝層と呼ばれます。窒化アルミニウムは窒化ガリウムよりもさらに高温で成長させる必要がありますが、結晶としての規則性は非常に悪いけど、有機金属で気相から成長させた場合には理想的な成長温度よりも顕著に低い温度でも柔らかい結晶として成長することを発見しました。当然、低い温度で成長しますから、結晶を構成する分子は任意の温度に対して真性な窒化アルミニウムよりはよく動きます。従って、イメージとしては液晶様の水のようです。その柔らかい物質が緩衝し、その上の窒化ガリウムの成長を可能にします。おそらく低温で形成した後、GaNを成長するときにその温度よりも高い状態において分子が一定液体様に動き、GaNの適切な分子配置を補助する働きがあると推定されます。すなわちサファイヤ基板/AlN低温緩衝層/GaN層という層構造において、低温緩衝層は格子不整合による結晶の不連続性を埋めるクッションのような機能を持ちます。それによりGaNという膜を成長させることが可能になりました。この時点でも上述した様に転位密度は10^9/cm2程度あり、従来のヒ素/リン系よりも顕著に高いです。ただ、この技術が後のノーベル賞につながった応用物理技術です。
他方で、触媒の分野でも基本的なことですが、化学反応を活発に起こすためには対象となる分子を如何に長い時間近づけるか(近接場に置くか)が重要になります。それは窒化ガリウムを有機金属の気相から結晶となる固体を得る場合でも同じです。サファイヤ基板上で高い温度で化学反応を起こして結晶として成長させるわけですが、流したガスを基板上に如何に近づけて、長く滞在させるかが基本的な構想としてあります。これは触媒の基本的構想と同じです。もう一人の功績者である中村先生は流したガスを上からガスで押さえつけることによってこうした化学反応を有効に促進する方法を発明しました。2フローMOCVDと呼ばれます。当時、中村先生は徳島県阿南市の日亜化学工業に勤められていました。これにより上に成長したGaNや発光層として機能するInGaN、PN接合を形成する層などLEDとして必要なあらゆる層の結晶性(性能)が実用化レベルまで向上しました。従って、中村先生の功績は青色LEDの実用化に当時不可欠だった装置開発に端を発します。日亜化学工業が今でも窒化物半導体のLED/レーザーにおいて日本でトップであるのは、こうした歴史があるからです。
このような専門的な事も含めて全体的かつ詳細な話ができるのは日本で限られた業界の人だけです。そういう意味では貴重です。なぜなら、この窒化物半導体のLED(あるいはレーザー)の技術はノーベル賞に発展した日本発の技術だからです。この分野の研究者/技術者の人はヒ素/リン系のⅢ-Ⅴ属半導体から世界を一定引っ張ってきた技術であるので高齢の方を含めて知識レベルが非常に高いです。その環境の中で私のキャリアは構築されたということです。
しかし、それでも転位密度はまだ、ヒ素/リン系の半導体と比べて顕著に高いです。では、なぜ、窒化物半導体は赤/橙色のリン、ヒ素系のⅢ-Ⅴ属半導体よりも転位密度が数桁以上大きいのに発光するのでしょうか?その詳細は未だはっきり証明されていません。ただ、その輪郭はある程度明確に示されています。それは発光層、エネルギーの低いポケット(量子井戸構造)として必要なInGaN層が特異な特性を持つからです。Ⅲ-Ⅴ属窒化物半導体は非常に特異な性質があります。周期表のⅢ属はB(ボロン)/Al(アルミニウム)/Ga(ガリウム)/In(インジウム)、、となっていきます。原子番号が大きくなれば、それで半導体を形成したときの(最外殻)電子の束縛エネルギーが小さくなり、励起から緩和したときに生じる発光エネルギーは小さくなります。この順々の特性を利用して、これらを混晶として混ぜると色んなエネルギー(色)のLEDを作ることができます。LEDに青と緑があるのはこの理由に依ります。GaとInと窒素を混合させたとき、GaN、InNの特性の差が格子的にもエネルギー的にも非常に大きくて、混ざり合わない性質があります。これをミシビリティーギャップが大きいと言います。スピノーダルラインというがあります。同じ結晶成長条件(温度)で混合状態として化学的に最も安定化する組成が2つに理論的に分かれるというものです。例えば、同じ成長温度で最も安定なのはGa:20/In:80とGa:80/In:20二つが存在するというようにです。実際にLEDの発光色を青色なら青色になる組成でGaとInを混ぜたときには、ここまで理論的に極端に分離しませんが、その分離の特性を一部反映し、空間的に相分離します。すなわちIn組成が高いところと低いところが生じます。それが量子ドット状になり(今日の記事と関連)、光に変換されるまえの電子がエネルギーの低いところに集まり、空間的な揺らぎを持って発光することになります。こうしたエネルギーの低いところは結晶欠陥が入っているところから離れているケースが多いためか、空間的に閉じ込められているためか、その両方か、なぜか発光効率が非常に高いです。ノーベル賞につながる、今では当たり前にあるLED照明の実用化の裏にはこうしたガリウムとインジウムが織りなす相分離という奇跡(軌跡)があったわけです。これがないと今でも青色LEDを窒化物半導体から実用化に耐えうる価格と性能で得ることは難しいと考えられます。
もう一つは深い不純物準位を形成し、実現が難しいp型GaNの水素結合離脱の為の窒素雰囲気アニールという発明もありますが、それについては割愛します。私がシャープに入社した2003年にはこの辺の基本的な課題はすでに乗り越えられていて、p型GaN結晶化の壁のため大学で難しかった窒化物半導体デデバイスの青色発光を入社してすぐ見れたときには感動したのを覚えています。
LEDはデバイスとして電子を光に変える機能がありますが、その発光デバイス自体は光から蛍光発光する特性も持っています。GaNとInGaNは電子を励起するためのエネルギーが異なり、InGaNほうが低いので、GaNは励起しないけど、InGaNだけを励起できるエネルギーレーザー光を選択的に照射したときにはInGaN層だけの蛍光発光を観る事ができます。蛍光発光の為には一旦励起された電子が空間的に閉じ込められ、一定の高い密度にならないと検出できるレベルの光にならないため、InGaN層からの光を観る事ができるのは、InGaN層が非常に薄くエネルギー的にも空間的にも非常に狭く制限されているからです。有機材料にしても基本的に蛍光を示すとはこうしたエネルギー的/空間的な制限条件が必要であるといえます。
(3,4)で示される有機分子のπ電子系は狭いエネルギー的・空間的な領域に電子を閉じ込めるため、効率的に蛍光を発します。π電子は分子の骨格上に局在し、自由に飛び出すことが難しく、エネルギー的に孤立した「有限のポテンシャル井戸」のような状態を形成するからです。(2,5)のカーボン量子ドットもナノメートルオーダーに粒子化し、特異的なエネルギーを持ち、電子を空間的に閉じ込めることで発光する事が可能になります。窒化物半導体でも温度が変われば、光のエネルギー/半値幅/発光効率全てが変わります。例えば、絶対零度に近い温度では格子欠陥が完全に不活性化し、発光効率は理論的には100%になります。格子振動幅が小さくなるため、エネルギーの揺らぎも小さくなり、発光スペクトルは急峻(低半値幅)になります。特に波長は小刻みに検出する事が可能なため、波長の温度特性のリファレンスデータがあれば、細胞内にこれらの物質を装飾、入れることができれば、特定の励起波長に対して蛍光発光の波長を検出することで温度を評価できるということです。また、それを視覚化すれば、温度分布をみることもできます。これにより集束超音波によって温度上昇させたときに細胞レベルでの可視化が可能な測定系を構築すれば、サブ細胞レベルで温度分布評価ができることになります。基本的には精度の問題があるので、波長だけではなく、半値幅、強度などのデータも統合すれば、より正確な評価ができる可能性があります。
(2,5)のカーボン量子ドットは合成が容易である/細胞への毒性が低い/膜透過性が高く細胞導入が容易である/蛍光波長の調整が可能/異なる測定モードで相互検証できるということがあります。従って、細胞内の温度を細胞の機能を損ねることなく評価するのに非常に適しているという事です。他にもpHセンシング/酸化ストレス検出や表面装飾により転写因子などを含めた遺伝子発現の動態評価やたんぱく質の動態評価できる可能性があります。
ミトコンドリアは細胞内の工場であり、クエン酸回路など化学反応が活発な細胞内小器官ですから、それに際して多くの熱が発生します。このミトコンドリアでの温度評価を行うことは細胞の活動を今までない精度で評価する上で不可欠な事の一つといえます。高い空間分解能/分析対象物への非侵襲性/発光機能の調整の観点から、分子量の小さな単一の発色団の有機分子を用いた温度測定が適切と考えられています。LEDでも発光層の格子欠陥が多い場合、適切な光で励起してもその光が熱に変わり、光に変換されないということがあります。こうした発光効率は有機物質でも生じます。また、励起光に対して発光する光の差であるストークスシフトが大きくないと、差別的に蛍光発光した光を検出できないです。こうした点においてトリフルオロアセチル基を用いた色素 FπFは優れていたとされます(3,4)。また、温度測定の為には参照となる温度変化しない蛍光発光と温度変化する蛍光発光の2色発光がより適しています。これを満たす材料でもあります(3,4)。
いずれにしても細胞の分析として光を用いることができれば、(1)のアルキン基の装飾も含めて、細胞レベルで温度も含めて様々な機能的な評価ができるということです。この試験管、シャーレ上で行うような実験系をできるだけそのまま構築できるように頭部の模型を含めたヒドロゲル環境の構築を大学、企業の専門家、技術者の方々と一緒に考えていく必要があります。
(参考文献)
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Kosuke Dodo, William J. Tipping, Hiroyuki Yamakoshi, Syusuke Egoshi, Toshiki Kubo, Yasuaki Kumamoto, Karen Faulds, Duncan Graham, Katsumasa Fujita & Mikiko Sodeoka
Alkyne-tag Raman imaging and sensing of bioactive compounds
Nature Reviews Methods Primers volume 5, Article number: 20 (2025)
(2)
加藤祐基 嶋崎幸穂 中馬俊祐 白矢昂汰 中根有梨奈 杉拓磨 岡部弘基 原田慶恵 外間進悟
カーボン量子ドットが切り拓く「細胞温度計測」:細胞内の微小な温度変化を検出
大阪大学/京都工芸繊維大学/広島大学/東京大学 プレスリリース
(3)
堀有琉斗 小西玄一 松本惇志 池ノ内順一
生命現象における「熱」を視る小さな蛍光分子温度計の開発 ~温度変化による微小な極性変化を蛍光色素で可視化~
東京科学大学 プレスリリース
(4)
Alto Hori, Atsushi Matsumoto, Junichi Ikenouchi, Gen-ichi Konishi
D–π–A Fluorophores with Strong Solvatochromism for Single- molecule Ratiometric Thermometers
Journal of the American Chemical Society DOI: 10.1021/jacs.5c01173
(5)
Yuki S. Kato, Yukiho Shimazaki, Shunsuke Chuma, Kota Shiraya, Yurina Nakane, Takuma Sugi, Kohki Okabe, Yoshie Harada*, Shingo Sotoma
Fluorescent Thermometers Based on Carbon Quantum Dots with Various Detection Modes for Intracellular Temperature Measurement
Nano Letters 10.1021/acs.nanolett.4c06642
<背景>
磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発/臨床応用の実現は不運にも世界で小児脳腫瘍に罹患した子どもの運命を変えるためには必要不可欠な事です。命を落とすお子さんを0人にするだけではなく、救命可能な良性脳腫瘍を含めた治療の改善においても外科的な選択肢を手術/放射線以外に用意する上でも重要な事です。まだ、市場に提供されている装置では小児脳腫瘍に適用するためには装置性能/仕様/手順/実績など様々な点で不足しており、少なくとも一部は抜本的な対策が必要になります。この装置開発においていきなり人で試しながら性能確認/改善を行っていくわけにはいかないので、マウスなど動物でするということになりますが、マウスと人の頭部の大きさ/構造/形は大きく異なりますから、装置の設計が最終形と大きく異なることになります。少なくとも一部の性能確認を実施することができません。音響特性を類似させた人(特に子ども)の頭部の模型(マネキン)が必要になります。特に子供の脳は水分が多いですから、実質に関しては水分を含んだヒドロゲル構造によって音響特性を模倣する必要があります。経頭蓋集束超音波において最も音響特性に影響を与えるのはわずか5mm程度の頭蓋骨であり、人の頭部と類似する実験系(模型)を構築するにあたり、頭蓋骨をどのように人為的に再現するかが装置開発の重要なテーマの一つとなります。骨に関しては亡くなられた患者様の頭蓋骨をいただいてつなげるという方法もあるかもしれえないですが、人工的に合成する技術に関して少なくとも調査し、その実現可能性を探ることは医療プロジェクトを始める前の現時点でも求められることです。
<前提条件>
頭蓋骨を模倣した骨を形成する場合、基本的に骨の内部にある海綿骨を構造内に組み込むことは非常に複雑なプロセスを要すると思います。加工の後も考えてパターン化して組み込む必要がある為、初めから型を決めながらある程度生物学的プロセスに依存するような方法ではないと難しいと推定されます。初めの段階では緻密骨に近い構造を均等に全体に合成して、最終的にバルクから頭蓋骨の形に加工するときに、海綿骨がある状態での音響特性と均等な人工骨の音響特性を厚さを変えるなどして合わせるほうが全体的なプロセスとしてはシンプルになると思います。
<潜在的な課題>
骨をバルクで作るときには場合によれば(サブ)メートルオーダーの塊となる骨を作らないと骨の加工を施し、体の大きさを模した構造として連続性ある形で形成できません。そうすると必然的に問題となるのが、それだけ多くの前駆物質を用意できるかという事があります。骨を体の材料に類似した形で作るためには大量の細胞外マトリックスが必要です。リン酸とカルシウムと水は用意できても、骨格となる細胞外マトリックスの前駆物質としての量という基本的な問題があります。単位構造としても細胞外マトリックスを大量に抽出する事ができるか?そのためには大量の細菌もしくはiPS細胞が必要となります。これが明らかに現実的ではない可能性があります。バルク:1m^3/骨の密度:1.8 g/cm^3/コラーゲン重量比30%/単位細胞分泌量0.1μg/dayで計算すると1日でこの量を得ようと思うと約5,400億個の細胞が必要となります。場合によれば、数兆個レベルの細胞を管理できる設備が必要となります。場合よれば、1,000平方メートル程度の巨大な装置フットプリントを要するかもしれません。材料そのものを作る大きさが1m立法であっても、その合成を可能にする前駆物質、特にコラーゲンなど細胞外マトリックスの単位構造をiPS細胞から得ようとするとコラーゲン単位構造を用意するだけのプロセスでの細胞の管理だけで、それよりもはるかに大きな装置を要するかもしれません。さらに、コラーゲンをらせん構造に合成する必要があります。コラーゲンはHodge and Petruska’s quarter-stagger modelで示されるような1/4長さだけずれた3重らせん構造を取ります。体の中で自然に合成されるプロセスで温度/pH/水条件などで架橋なども含めて一番安定する配置である可能性がありますが、それを(サブ)メートルオーダーで人工的に合成するとなるとそうした環境をどのように再現して重合体化(複合体化)を駆動するかという問題もありますが、根本的な問題として規模とスピードが差があります。少なくとも体の中のコラーゲン合成は人工的に合成する場合に想定されるような規模とスピードにはなりません。何年もかけて成長と共に段階的に構築されていきます。その物理的な差があるので、顕著に合成効率を上げて、かつ類似する特性を得ることに物理的な限界があるかもしれません。また、合成したとしてもどうやって前駆状態としてそれだけの規模を配向させるかという問題もあります。そもそも大量の細胞からコラーゲン単位構造を分離/精製できるかという問題もあります。少なくとも磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発の為の頭部模型の骨形成においては、プロジェクトの前期の段階で必要とされる材料の為、完全に身体の構成材料と一致するバルクを得ることは現実的ではないかもしれません。小さなスケールでは工夫次第で下のモデルを使いながら、画期的な方法と材料を作れる可能性がありますが、骨に代替されるような大きなバルク結晶を得る必要が最終的にはあり、大きな結晶を得ること自体が小さなスケールで合成方法が確立されてもさらに難しさがある上、人の身体の中のコラーゲンを細胞から得るとなった時には、その材料を用意するために細胞分化誘導・培養技術/コラーゲン分離精製技術/コラーゲン重合体化・複合体化技術/ゲル形成技術、それぞれにおいて同様のスケール問題が生じるという事です。初めからこうした課題があるという事は見越しておく必要があります。小さなスケールでも体の中の材料を使うとなった時にはこれらの要素技術それぞれを高度に構築する必要があります。乗り越えれば今までにない世界は確かに広がっていますが、冷静にその難易度は概算でもいいので見積もっておく必要があります。
<生体内の骨の形成プロセス>
(9:Fig.14)で示されるように骨は間葉系幹細胞がまずは一塊の軟骨組織が形成されます(Fig.14B)。栄養性に富んだ軟骨細胞が中央部に集まります(Fig.14C)。それらは血管新生を誘導し、細胞に成長の為の栄養が送られます(Fig.14D)。内部に骨芽細胞が形成され、骨の組織が作られていきます(Fig.14E)。内部が段階的に広がっていき、緻密骨/海綿骨と分離し、やがて、骨髄が形成されます(Fig.14F)。両端部に軟骨が残り、骨端線がX線検査で所見される場合には、骨を成長させる原料となる軟骨細胞が境界面で多く残っている事を示します。上述した様に生体内での骨の形成には軟骨細胞や骨芽細胞が関わっていますが、Ⅰ型コラーゲンなど有機物質に対するヒドロキシアパタイトによる石灰化のプロセスの前駆物質の特異的な供給経路について報告されています(10)。具体的には特にリン酸塩など反応サイトでの結晶成長させるうえで過飽和を実現するのが難しい前駆物質は細胞からの供給経路において細胞外小胞に包まれている可能性があります(10:Graphical abstract)。この細胞外小胞はマトリックス小胞(Matrix vesicles)と呼ばれます。大きさはエクソソームの上限に近い150nm程度です(10:Figure 2B)。マトリックス小胞の内部は非常に特徴的な酵素構成を有しており、特にアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase)およびATPアーゼ(ATPase)が豊富に含まれている。これらの酵素は、カルシウムイオン(Ca²⁺)およびリン酸イオン(PO₄³⁻)の局所的な濃縮に寄与する。具体的には、ATPアーゼは細胞外のATPを加水分解してリン酸を生成し、アルカリホスファターゼはリン酸エステルを加水分解して無機リン酸を供給する。実はヒドロキシアパタイトの結晶化は細胞外小胞内部でも行われているかもしれません(10:Figure 3)。ヒドロキシアパタイトは細胞外小胞で一定の大きさに成長した後、コラーゲンに生着/結晶成長するのか、それとも別の機序として前駆物質からも結晶成長するのははっきりしたことはわかりませんが、(11:Fig.1b)コラーゲン繊維の「Hole:Gap region」にヒドロキシアパタイトが結晶成長するモデルが示されています。基本的に大人になってからでも生じる主に骨梁部にける骨芽細胞/破骨細胞による作用は骨のリモデリングなので骨組織の修復/維持となります。新たに積極的に骨を大きくしていくようなプロセスではありません。骨を大きく成長させるプロセスは主に軟骨から生じる成長期のプロセスです。軟骨は約80%が水分なので(12)、成長時にはリモデリング時と比べて、溶液/ゲルプロセスで比較的分子の動きが制約された中で成長していくプロセスかもしれません。
<骨の鉱物結晶性>
実際に骨の合成環境はゲル相を介するとなると理想的である可能性がありますが、実際の骨中にあるヒドロキシアパタイトの結晶性はX線開設測定の半値幅から見積もると決して高くはなく、カーボネート、ナトリウム、マグネシウムなどの不純物が(サブ)パーセントオーダーで混入しており、結晶学的な不純物濃度としては極めて高いです(1)。従って、実際に人工的に骨を形成する場合には鉱物化するヒドロキシアパタイトの結晶性を任意に調整できる余地がありますから、それに応じて通常の骨よりも硬度の高い骨を形成できる可能性がありますが、逆に、このような不純物混入がないと硬くなりすぎて、実際にインプラントする骨としては適さない可能性があります。少なくとも実際に骨に複合体化する無機物質の結晶には非常に多くの不純物が混入している可能性があるという事は念頭ん置いておく必要があります。また、骨に鉱物化されているヒドロキシアパタイトは化学量論比ではCa:P = 5 ; 3(Ca/P=1.67)ですが、それよりもカルシウムが少ないとされます(1)。カルシウムが一定、ナトリウム/マグネシウムなどで置換されているか、Ca空孔があるかもしれません。繊維内の石灰化(ヒドロキシアパタイト形成)は独自の構造を示します。一軸配向(uniaxial orientation)を示すことが知られています。但し、子豚の大腿骨の骨の断面解析のヒドロキシアパタイトの配向特性の結果を見ると配向度を示す(Hermans' parameter/S=0 ランダム/S=1 一軸配向)によると002方向に対して0.3が最大で位置により揺らぎが大きいです(5:Figure 4)。通常、コラーゲン繊維は骨の成長方向に対して縦に延びると考えられるので、そのコラーゲン繊維の強い方向に対して結晶が配向している場合、断面を切ったときのX線回折で観察されるヒドロキシアパタイトの結晶方向は002面(c軸配向)です。しかし、実際にX線のピークを見るとおおよそc軸から40°傾いた121面が強く出ています(5:Figure 2h)。ただ、121面のX線ピークはブロードで002面はシャープであることから配向した結晶においては角度が安定するけど、傾いて成長した場合は角度が不安定であることを示します。実際には人のケースでは異なるかもしれないし、骨の部位によっても異なるかもしれません。例えば、配向特性の高い七面鳥の腱ではヒドロキシアパタイトがトランプのカードのように層状に配向するとされます(6)。
<コラーゲン高次構造合成技術>
骨のバルク結晶の形成の為には鉱物化の前段階としてのコラーゲン配向性を持ったヒドロゲルを得る必要があります。単位コラーゲンは特定のたんぱく質としての構造を持ちますが、それらが一定の配向性を持って繊維化して、3重らせん構造を作る物質は超分子(あるいは高次分子構造)と定義できます。実際に生物学的なプロセスに依存して高次分子構造を形成する速度/スケールでは顕著に不足する事と、そういった自然の間質条件を大きなスケールで形成し、その後、構造を水分子から分離して精製する事が原理的に難しいことから、単位コラーゲン分子を得ることができたら、そこから少なくとも一定、人工的に介入して非常に効率的なプロセスで骨の有機物質としての特性として必要条件を満たす高次構造を構築する必要があります。その点において既存の超分子合成技術を参照する価値が存在します。超分子構造では初期的前駆状態から一定の大きさを持った単位構造が出来上がると、その構造自体が基板となり、その基板上で基板自体が形成された核形成とは異なる条件で核形成が生じます。これを二次核形成(Secondary neucleation)と呼びます(7:Fig.2)。一方で、iPS細胞などでコラーゲンの単位構造を分離精製した後に高次構造を形成する場合は、単位構造を前駆物質と見なして、それらのピースを3重らせん構造になるようにつなぎ合わせていく非常に効率的な合成プロセスを考える必要があります。そのコラーゲン単位構造そのものを人工的な代替物/模倣品で人工合成し、3重らせん構造を作る場合は超分子構造合成のプロセス(7:Fig.2)を踏んで高次構造を形成していく必要があります。コラーゲン単位構造がiPS細胞/細菌などから十分な量を用意でき、分離精製できる状態にある場合には、3重らせん構造と単位構造の構造的な関係性を正確に解析して、それらをつなぎ合わせている物質を明らかにして、単位構造と架橋物質を効率的に合成し、高次構造形成プロセスを定義する必要があります。一方で、iPS細胞でコラーゲンを得る場合には、その分泌機会を利用して、単位構造独立した物質生成を試みるのではなく、分泌環境を体の環境に近い簡便に用意できる環境を用意して、自己組織化をやや促して、完全な高次構造とはならなくても、その途中プロセスまで一定誘導した後に分離精製するほうが、分離精製プロセス自体も分子量と分子特異性が高いため容易になるだけではなく、その後の3重らせん構造の完成品までの合成プロセスを簡略化できるというメリットもあります。培養したiPS成熟細胞(骨芽細胞/軟骨細胞)を液体の中に浸し、骨に適したⅠ型コラーゲンを分泌させます。骨の形成の場合には非常に大きなバルク結晶が必要なため、その前駆物質を細胞に依存するのは本質的に筋が良くない可能性があります。医療プロジェクトに関してはできるだけ前半工程はiPS細胞工場に集約する事を考えますが、経頭蓋集束超音波装置の開発の為の頭部模型の骨材料やこの記事で付加的に焦点を当てている移植の為の人工骨バルク結晶の形成においては、完全に人工的に精製しやすい前駆材料から最終的なコラーゲン高次構造(超分子構造)を作るようなプロセスが好ましいかもしれません。有機成分/無機成分の合成、それらの複合体化、固形化のプロセスを完全に独立させないで一連の合成プロセスで実現できれば理想的ですが、この記事では分離して考えています。すなわち、この章では骨の有機物質であるコラーゲンの高次構造の合成について焦点を当てています。基本的にコラーゲン、あるいは類似するたんぱく質を骨の有機物質としての必要条件を満たす形でどうやって手に入れるかというのは非常に難しい問題です。結晶成長はS字カーブを描くことが多いです。初めは遅く、中間で最も速くなり、やがて飽和するというプロセスです。一つの根源的な理由は結晶が大きくなると反応するサイトがある体積に占める表面の割合が小さくなることです。従って、エピタキシャル成長のように成長面が保たれ、層で成長していく場合には、歪などの蓄積でクラックが入る可能性がありますが、持続的な成長が可能であるという推定です。基本的には成長面(点)で化学反応が持続的に起これば、(体積成長率は変わっても)増えていく分子の量は変わらないはずなので、コラーゲンを重合体化させる場合にはその点を考慮する事が重要になります。むしろ、超分子の2次的核形成などが生じると特に、成長に従い成長面積は増えるはずなので、常に成長のために必要な前駆物質の過飽和状態を成長圧が高まっても持続的に維持する事が効率的な成長では求められます。2次核形成が側鎖同士の結合によって駆動されるのであるとしたら(8)、コラーゲンにおけるピリジノリンなどの架橋物質(Cross-linker)が直線構造から逸脱しキラルな成長を駆動する前駆物質となると考えられます。おそらく一定の分子量の直線構造として重合体化しないと2次核形成が成立しない理由は、それぞれの単位構造が2次核形成サイトの資源となる側鎖を有していたとしても、核形成から連続した構造として成長するためには一定の密度の同時核形成が必要だからではないかと考えられます。すなわち、1つの核から放射状に大きくなり成長するのではなく、複数の核から成長し、会合して連続した重合体構造として成長するという事です。基板上のエピタキシャル成長でも同じようなモデルが成立します。但し、このモデルでは会合したときの構造の不整合によって構造欠陥が入る可能性があります。
<鉱物化合成技術>
骨の生体鉱化に関して、最近の研究では、骨構造の最も基本的なレベルである相互に貫通するナノ構造を、比較的簡単なアニオン性ポリペプチドを使用して複製できることが分かっています(1)。バルク構造(固相)を構築するためには気相から化学反応によって構築する方法と、液相から形成させる方法があります。Polymer-induced liquid-precursor(PILP)は液相鉱物前駆体からバルク(一定の大きさを持つ塊)の骨を成長させることを考えます。気相よりも液相の方が固相へ相転換させるときの化学ポテンシャルの変化が穏やかであり、気体のように自由に動き回っている分子の状態ではなく、液相として比較的束縛された状態から固相へ相転換し、骨が得られるため、骨に限らず様々な結晶成長において元来の結晶構造の安定性に準じた格子欠陥の少ない規則性の高い結晶が得られるということがあります。一般的には相転換させてバルクの結晶を得るときには、揮発しない程度に成長速度をゆっくりにすることが求められます。エネルギー的に安定になるような分子の動きには一定の時定数が必要であり、その時間に応じて(十分な形成時間によって)適切な結晶配置が整えられるからです。骨を作るときには、自然/人工のポリマーいずれにしてもコラーゲンのようならせん構造を持つ単位構造体が必要ですが、バルク結晶を得る前の前駆体の状態において、このポリマーの分子自体が液体のように動き回るわけではありません。このポリマーは多糖のように陰イオン性があり、その電荷密度によって水分子をひきつける性質があります。前駆体が液体様の振る舞いをするのは、ポリマーと複合体化された水分子に依存します。ヒドロキシアパタイトもCa陽イオン/PO陰イオンがあり、極性を持ち、水分子をひきつけます。従って、水分子を豊富に含む溶液中にポリマーとヒドロキシアパタイトを混合させたときには、微視的には元来ポリマーに結合する最もヒドロキシアパタイトの結合において安定性(結合性)が高い電荷の高い部分は水和します。ヒドロキシアパタイトも水和します。その水和とは微視的な空間的広がりを見れば、水分子が液晶のように配向することになることですから、それらの水分子の配向性に誘導されるようにヒドロキシアパタイトはコラーゲンなどのポリマーの結合サイトに誘導されることになります。水分子は液体として流動的(適度に動的)で、ヒドロキシアパタイトのコラーゲンに対する近接場において緩衝分子(バッファー分子)のような役割とシャトル(輸送媒体)としての働きがあります。これにより、離れた位置から安あ定して最適な結合サイトで結合し、鉱物化が促進されることになります。
骨の生体鉱化に関して、最近の研究では、骨構造の最も基本的なレベルである相互に貫通するナノ構造を、比較的簡単なアニオン性ポリペプチドを使用して複製できることが分かっています(1)。バルク構造(固相)を構築するためには気相から化学反応によって構築する方法と、液相から形成させる方法があります。Polymer-induced liquid-precursor(PILP)は液相鉱物前駆体からバルク(一定の大きさを持つ塊)の骨を成長させることを考えます。気相よりも液相の方が固相へ相転換させるときの化学ポテンシャルの変化が穏やかであり、気体のように自由に動き回っている分子の状態ではなく、液相として比較的束縛された状態から固相へ相転換し、骨が得られるため、骨に限らず様々な結晶成長において元来の結晶構造の安定性に準じた格子欠陥の少ない規則性の高い結晶が得られるということがあります。一般的には相転換させてバルクの結晶を得るときには、揮発しない程度に成長速度をゆっくりにすることが求められます。エネルギー的に安定になるような分子の動きには一定の時定数が必要であり、その時間に応じて(十分な形成時間によって)適切な結晶配置が整えられるからです。骨を作るときには、自然/人工のポリマーいずれにしてもコラーゲンのようならせん構造を持つ単位構造体が必要ですが、バルク結晶を得る前の前駆体の状態において、このポリマーの分子自体が液体のように動き回るわけではありません。このポリマーは多糖のように陰イオン性があり、その電荷密度によって水分子をひきつける性質があります。前駆体が液体様の振る舞いをするのは、ポリマーと複合体化された水分子に依存します。ヒドロキシアパタイトもCa陽イオン/PO陰イオンがあり、極性を持ち、水分子をひきつけます。従って、水分子を豊富に含む溶液中にポリマーとヒドロキシアパタイトを混合させたときには、微視的には元来ポリマーに結合する最もヒドロキシアパタイトの結合において安定性(結合性)が高い電荷の高い部分は水和します。ヒドロキシアパタイトも水和します。その水和とは微視的な空間的広がりを見れば、水分子が液晶のように配向することになることですから、それらの水分子の配向性に誘導されるようにヒドロキシアパタイトはコラーゲンなどのポリマーの結合サイトに誘導されることになります。水分子は液体として流動的(適度に動的)で、ヒドロキシアパタイトのコラーゲンに対する近接場において緩衝分子(バッファー分子)のような役割とシャトル(輸送媒体)としての働きがあります。これにより、離れた位置から安あ定して最適な結合サイトで結合し、鉱物化が促進されることになります。
骨が実際にどのようにヒドロキシアパタイトで鉱物化されるか?七面鳥(turkey)の腱はラーゲンの鉱物化の研究において、モデル組織としてよく使用される材料の一つです。コラーゲン繊維が規則正しく配列しており、ミネラリゼーションの進行を観察しやすく、骨と類似したヒドロキシアパタイトの沈着を示します。コラーゲンの繊維構造の切れ目に誘導され、そこで核形成し、そこから一定の大きさまで結晶成長していく様子が示されます(1:Fig.2)。この時に温度、湿度(水分量)、細胞外マトリックスなどの影響によってヒドロキシアパタイトの結晶性が決定されると推定されます。具体的にどういう条件が良い結晶を得るためにいいかはわかりませんが、少なくとも核形成部位にヒドロキシアパタイトの前駆物質を有効に誘導するために細胞外マトリックスや水分子は重要な役割を担っていると考えられます。実際にヒドロキシアパタイトが合成される化学反応式は(10Ca^2+)+(6PO4^3-)+(2OH)- → Ca10(PO4)6(OH)2であり、この反応式が成立するのは細胞内ではなくコラーゲン繊維近傍です。コラーゲン付近でカルシウムやリン酸を局所的に濃縮し、過飽和になることで反応が進行します。水も一定電離している必要があります。このカルシウムイオンやリン酸イオンの濃縮/過飽和による静電気力によって水が強く極性化/電離し、ヒドロキシアパタイトが形成されると考えられます。ここからは完全に専門的な話でありますが、分かりやすく説明するのでついてきてください。結晶成長は化学反応によって結晶化しますから、複数のイオンなどの分子を集めて合成させます。例えば、窒化ガリウムなどではトリメチルガリウム(有機金属)とアンモニアを反応させます。平衡分圧の問題でアンモニアをトリメチルガリウムの100倍以上のモル比で供給する必要があり、結晶を得る為の結晶化の成長速度はほぼ、トリメチルガリウムの供給量で律速します。すなわちアンモニアを十分に供給している状態で有機金属であるトリメチルガリウムの供給量を微調整しながら成長速度を調整します。ヒドロキシアパタイトではカルシウムイオン、リン酸イオン、水が合成の為の前駆物質になりますが、どれが不足しやすいか?水とカルシウムは体内に豊富にありますから、水溶性の低いリン酸イオンが少なくなる傾向にあります。従って、ヒドロキシアパタイトのコラーゲン上の成長ではリン酸イオンの供給量によって結晶成長速度が律速する可能性があります。実際に、低リン酸血症になり、リン酸が不足すると鉱物化が阻害され骨軟化症(osteomalacia)が生じます。重要なところですが、複雑なので詳細な説明が必要です。体の骨の形成において現代の生活で不足しやすいのは吸収を考慮したビタミンDなどの影響も含めてカルシウムです。むしろ動物肉などの消費が増え、リン酸は腸管での吸収率が高いことも含めるとむしろやや過剰気味です。従って、骨の恒常性の観点から全体的な材料として不足するのは水/カルシウム/リン酸でいえばカルシウムです。しかし、ヒドロキシアパタイトの鉱物化はアモルファス状態を介するという見解もありますが、水を豊富に含む溶液プロセスであるという見解もあります。リン酸の前駆物質であるリン酸二水素カルシウム(CaHPO4)とリン酸水素カルシウム(CaH2PO4)はカルシウムクエン酸塩に比べて水溶性が約10,000倍低いです。。従って、骨の鉱物化/結晶成長が水を介する溶液プロセスであるとするとリン酸前駆物質は飽和状態で量がカルシウムに比べて4桁以上低いですから、リン酸前駆物質の量によって鉱物化の速度がほとんど律速するということです。また、リン酸二水素カルシウムにはカルシウムを含むことから、鉱物化においては明らかにリン酸モル分量が成長を律速すると考えていいと思われます。良い結晶を得るためにはイオンの移動速度が小さく、成長速度を律速するイオンの供給量が平衡状態に近い少なめの方が欠陥の少ない結晶が得られる可能性があります。ただ、これらイオンの挙動は体の中は空洞はほとんどないので、細胞外マトリックスに捕獲されたり、水分子が豊富にあることから液相に近い分子の挙動で供給されると考えられるため、液相成長、もっといえばゲル特性のような環境での成長の為、気相成長などに比べて非常に高い結晶性が得られる可能性があり、一気に速く合成したとしたとしてもほとんど結晶欠陥は入らない可能性があります。こうした動きを律速する一つの条件は細胞外マトリックスと水分子なので、これらの適切なバランスが鉱物化の特性を決定する重要な因子であると推定されます。
ここから人工骨の合成において重要な発見があります。コラーゲンなど細胞外マトリックスの線維構造を一定構築し、それを水を溶液中に浸し、カルシウムやリン酸イオンを供給し、温度、圧力などの成長条件を制御することで、一気に骨の結晶をバルクで得るような現在のイメージがあります。少なくもと有機金属気相成長法のように基板上に薄くゆっくり成長させる気相成長は適していません。非常に大きな結晶が必要なことから、液体から一気に固めるようなイメージです。この時、溶液は完全に液体状の水よりもヒドロゲルのような固体に近い状態で細胞外マトリックスを揃えて構築した後、カルシウムやリン酸イオンを均等に供給して、成長させると、より分子の移動をゆっくりにしながら成長させることができるため良い結晶が得られる可能性があります。ゲルといっても完全なゼリーではなく、かなり液体に近いイメージですが、ここも結晶成長を決める重要な要素です。結晶成長は気相成長、液相成長とありますが、液相成長からさらに固相に近いゲル状の条件で前駆状態を形成し、そこから一気に骨の組織をバルクで得るということです。ゲルにすることで母体となるコラーゲンなどの細胞外マトリックスの線維構造の位置も一定固定することができます。この構想はゾル・ゲル法と類似します。結晶成長の基本的な原理を考えると非常に合理的な技術戦略であると評価できます。ゲルという相を結晶成長に認めると色んな視点が見えてきます。液体に近い状態から固体を得るまでの相の連続的な制御という視点もあります。すなわち、液相から固相を得るまでの相転換が閾値的ではなく、中間のゲル相をとり、そのゲル相の遷移時間を制御することによって、非常に大きなバルク結晶でありながら、結晶として非常に高い秩序を持った欠陥の少ない結晶が得られるという可能性です。ゾル・ゲル法を含めて結晶成長の専門家としては非常に興味深いです。
実際にコラーゲン繊維や他のプロテオグリカンなどの細胞外マトリックスなどの有機成分に対して、無機成分であるヒドロキシアパタイトがどのような大きさ/分布で形成しているかははっきりわかっていません(私が調べる限り詳細な解釈ができる報告が存在しない)。従って、コラーゲン繊維(内部)でヒドロキシアパタイトが核形成するかどうかもわかりませんし、コラーゲン繊維は鉱物化する土台としては狭すぎるという見解もあります(3)。従って、実際に人工骨をバルクで合成するときには、モデルとなる骨の詳細な解析と明確な形成モデルを構築する必要があります。ただ、バルクで人工骨を合成する場合には、自然に軟骨にある細胞から骨が形成されるよりも顕著に速いスピードで合成することになるため、体の中の自然のプロセスから速度の観点で必ず逸脱するため、ゲル相成長をするにしてもある程度、手探りの状態で草を分けて未知の道を切り開いていく必要があります。
骨の材料(細胞外マトリックス/カルシウム/リン酸/水)や形成プロセスを考慮すると、おそらくゾル・ゲル法のようなゲルという段階を経て、バルク結晶を得るプロセスは適合性/合理性のあるプロセスであると推定されます。ただ、ゆっくりすぎる成長が過剰な離脱を生む可能性は否定できません。ゾル・ゲル法のような構想で骨を作ることはおそらくまだ研究レベルでも調べる限り、世界で見当たらないので完全な草分けとして研究開発していくことが求められます。下述するようにゾルゲル法では比較的液性の高いゾル(コロイド)の状態を前駆状態としますが、骨の場合はⅠ型コラーゲンを中心とした細胞外マトリックスの配向特性が重要となる為、形成プロセスんにおいてどのようにそのような配置を駆動するかは考える必要があります。ゾルの状態から成長を駆動するのであれば、パターン化された型が必要ですが、型から抜くときにその型の部分が空洞化するため、その型そのものが生分解性であり鉱物化の中で材料に溶け込んでいくようなシステムが必要になります。あるいは一定の流れを作りながら配向特性を誘導するようなプロセスも考えられます。
ゾルゲル法は、実際に液相と固相の相転換をゲル相という間の相を設けて段階的に進行させていく方法であり、私の構想と一致します。結晶性の高いバルク結晶を得る方法としては理想的な方法と定義することができます。水やエタノールなど溶媒の中に前駆物質となる粒子が溶解または懸濁している状態をゾルと呼びます。この状態から徐々にゲル状態に温度/pHなど周りの環境を変化させていくことで変化させていきます。ゾルゲル法はセラミックの合成などで利用され、セラミックは酸化アルミニウムやシリカなどの合成プロセスで反応式に骨のように水を含みません。従って、最終的な材料の中にはほとんど水を含まないため、相転換の合成プロセスの中で必ず水を蒸発させる乾燥プロセスが必要となります。しかし、骨の場合には上述した様に反応式に水を含み、実際の骨の含水率は20-25%程度と約1/4程度と高いことから、従来のゾル・ゲル法の乾燥プロセスは必要かもしれないですが、水を一定残しながら相転換させることができるため、より理想に近い漸次的な変化を伴う液相/ゲル相/固相変換が可能かもしれません。少なくとも高温では水が蒸発するため、一般的なセラミック合成で利用されるゾル・ゲル法の温度300-1,500℃よりは低い温度でプロセスを完結させる必要があります。骨の合成の時間はバルク結晶を得るときには通常のセラミック焼成のプロセスよりは顕著に長い時間がかかるかもしれないし、むしろできるだけ長い時間をかけてゆっくり形成していく方が結晶性の良いものができるかもしれません。実際に骨の形成においては上述した様に液体から始めるためには細胞外マトリックスの配向特性をどうやって駆動するかを付加的に考える必要があります。ヒドロゲルから開始するにしても、その前のヒドロゲル形成が必要なため、骨におけるゲル相成長の場合は、一般的なヒドロゲル形成法(加重重合/縮合反応/イオン交差リンク/光重合/テンプレート法)などと組み合わせて、骨を形成する前駆状態を最適化し、最終的に骨を形成していくことになります。その時に、骨形成のために付加的に必要なカルシウムやリン酸イオンをどういったタイミングで均一に分散させ、一定の最適な自由度を持った移動度をゲル内(溶液内)で実現するか考える必要があります。例えば、カルシウムやリン酸イオンを注入するときには少し温度を上げて、ヒドロゲル前駆状態を少し液性に戻して、反応させ、鉱物化させていくような若干の可逆的プロセスが必要かもしれません。いずれにしても人工骨のゲル相成長は従来のゾル・ゲル法の構想とは近いものと一定、異を放つ世界で未だ例を見ない先進的な合成方法の開発が必要となります。
骨の構造に関しては骨自体が他のソフトな組織に比べて寿命が長いですから、明らかになっていますが、体の中の形成プロセスについては謎に包まれています(1)。実際に試験管で最も基本的なナノレベルでの合成を試みても骨に近い構造を得ることには成功していないとされます(1)。実際に溶液プロセスでヒドロキシアパタイトを形成する場合にはアモルファス状態のリン酸カルシウムを経るという報告もあります(4)。
骨を鉱物化させるうえで最も本質的で重要な事はカルシウム/リン酸/水の前駆物質であるカルシウム/リン酸の塩の水分子中の溶解度(飽和分子量)の差異に帰結します。CaHPO4(リン酸二水素カルシウム)は、水の溶解度が0.2g/L、CaCl2の水の溶解度が811 g/Lでありモル比はCaHPO4/CaCl2 = 2.0×10^-5です。従って、リン酸分子の飽和分子量が5桁程度カルシウム分子に比べて少ないことから、糖たんぱく質と水分子で生じたゲルからゲル相成長させるときに鉱物化において一番律速する因子は反応サイトでのリン酸分子量であり、水分子を含むコラーゲンの間の領域においてどのようにリン酸分子を反応サイトに効率よく誘導するかを考える事です。一番基本的なパラメータ(因子)としてはゲル化した粘性の高い水分子中のリン酸分子の移動度です。質量が小さいことが移動度を上げるので、何かと複合体化する事は質量を大きくすることにつながり、全体的なリン酸分子の核酸においては好ましくないかもしれません。後は温度です。温度が高ければ移動度が上がります。攪拌、すなわち流れを作ることも移動度を向上させます。pH、水分子領域をややアルカリにすることでリン酸イオン濃度を高まります(反応性が高まります)。圧力も変更させます。水分子がやや電荷によって束縛されている状態では、一定、分子量を維持したまま系の体積を変えられるはずなので、反応段階では体積を上げて、系の圧力を下げて、分子の移動を促進し、反応が進んで固まってきたら、今度は体積を下げて(やや高程度に)圧縮し、そのタイミングで同時に水分を抜くことを考えます。このリン酸供給の効率を上げないとバルクで骨を通常の軟骨から形成される骨よりも場合によれば10,000倍(10年⇒0.001年:約9時間)程度の高い速度で高い結晶性で成長するのは基本的に困難です。質の良い豆腐を作るように液相から固相までの連続したゲル相の相転換の制御をプロセス中の条件(温度/流れ/pH/圧力/脱水率)を最適な程度/タイミングで変えながら行う必要が(おそらく)あります。
<加工食品製造過程からの着想>
体の中のコラーゲンはたんぱく質であり、人の身体の中の物質を使って骨を液体/ゲルを経て固体として成長させるというプロセスは無機物質を含むという観点では人工的にセラミックなどのゾル・ゲル法を上述した様に参考にできますが、一方で、生物のタンパク質から(加工)食品を作る工程を着想にプロセスを考える事もできます。例えば、液体/ゲルから固体を得る食品加工プロセスで代表的なのは豆腐とチーズがあります。豆腐は豆乳からゲル状の寄せ豆腐となります。この時ににがりとなる塩化マグネシウムを入れることでゲル化するといわれています。最後に圧縮して水分を抜くことで豆腐になります。実際にこの塩化マグネシウムを入れるような工程が、コラーゲンに対してカルシウム/マグネシウム/ナトリウム(化合物:塩類)、リン酸(化合物:塩類)を入れて、ヒドロキシアパタイトを形成し、相を固体に近づけていくプロセスを一定類似します。参考にできるところは圧力を変えることです。骨の形成過程においても固相を得るプロセスで系を圧縮して、水分を適量抜くことが適用できる可能性があります。
<研究開発/実用化の意義>
もう気づかれている方は日本/世界にいると思いますが、この研究開発/臨床応用実現は極めて臨床医療の発展において重要な問題を内在しています。日本/韓国/スイスなどの長寿国を先頭にこれから世界は高齢化の時代に入り、シニアヘルスの考え方が世界的に勃興してくると思われます。すなわち、高齢期をどのように心身共に健やかに過ごすかを考える事です。その中で例えば女性でいえば、50代以降で閉経を経験するわけですから、エストロゲン補充を含めて閉経後の変化を円滑にする医療は間違いなく10年/20年後には臨床現場で広く一般的に適用されると思います。男性は女性ほど閾値的な変化はありませんが、健康寿命をどう上げていくかにおいて医療そのものが病気を治すだけではなく、健康問題に積極的に関与していく時代が来ると思います。すなわち、病院は病気を治すところの他、健康を手に入れるところという認識が加わるという事です。私はそうなると思っていますし、病院は辛いところではなく、幸せを手に入れるところに一定変わればいいなと思っています。そういう思いを一部で持って、小児がんサバイバーシップで健康、持続的幸福の問題と今、まさに対峙しています。だからこそ、呼吸法や臥位筋緩和は医療機関で実施してほしいと思っています。記事の中でも、そのような事を想定してすでにそのように明記しています。それは背景には病院は健康、幸せを手に入れるところにしたいという思いがあるからです。今、クリニックレベルではすでに健康に対する介入を専門的に実際に行っているところがあると思いますが、こういったことをわざわざ病院で実施する私が描く狙い一つは、介入を受ける人のデータを承諾を得て取るという事です。すなわち、臨床研究報告につなげるということです。例えば私が提案するものであれば、呼吸法/運動/ストレッチ/臥位筋緩和などがありますが、こうした誰でも当たり前のできることをもう少しやり方、個別性などを工夫して、科学的にしっかりデータを取ってエビデンスを構築していくことで、将来の世代の持続的な健康へ貢献するという事を両立させるという事です。これならクリニックレベルから設備が整っている病院レベルまで役割分担しながら実施する価値が出てきます。
筋肉と骨はすごく重要です。適切な脂肪組織もそうです。これらの組織は非常に大きいからです。例えば、それまで健やかに生活していた高齢の方が階段から転倒するなどして骨折するとそこから一気に健康寿命が下がることがあります。骨折は単に体の支持基盤が脆弱化するだけではなく、筋肉や脳(2)にも影響を与えます。メンタルの問題にも発展します。骨を高齢期まで健全に保つ重要性は健康寿命のため、筋組織と同様に高いと思いますし、骨は特に整形外科による医療介入の余地が大きく、骨は一定無機物質を含むことから科学技術/バイオエンジニアリングが介入し、価値を生み出しやすい領域だと思います。逆に言うとソフト材料や細胞は少なくとも骨よりは複雑で/変化するので難易度が高いです。
この研究は骨をバルク(一定の塊)で作ることを試みます。私の中での主要な目的は小児脳腫瘍の治療に必須となる磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置開発の為の頭部模型の為の骨の形成にあります。従って、音響特性が実際に近ければ、結晶の質自体は多少悪くても構わないというところがあります。でも、上の方法では液相と固相の間の相を考慮しながらバルクの結晶成長を考える構想ですから、極めて理想に近い条件で結晶成長できることにあります。そうであるなら、この機会を利用して非常に特性のよい、結晶性の良い、(埋め込む骨の領域を考慮し)特性を可変に制御できる骨を作りたい、骨結晶成長技術を確立したいという気持ちが芽生えてきました。その背後にある気持ちは、日本/世界の整形外科に対する貢献です。バルクで人工骨を作り、任意の大きさ、形に加工できる技術を手に入れることで、骨折や重度の骨粗鬆症を抱えた患者さん対して移植(インプラント)できるようにしたいということです。骨に海綿骨があるのは、骨芽細胞/破骨細胞などによるリモデリング機能や造血幹細胞の収納などの機能が前提としてある中で適応的に形成されたものと考えられ、リモデリングがない、固定的な骨においてはむしろ海綿骨がなく、すべて緻密骨であるほうが機械的強度という観点では好ましいです。非常に優良なインプラントできる骨の材料に対して、ゲル相成長は将来的に基幹技術の一つとなる可能性があるので、それも視野に入れて、頭部模型や体の模型の骨格を集束超音波装置開発、特性確認のために作っていくことを考えます。これはゲル相から成長しますから、当然、実質のヒドロゲルの技術も必要となります。身体をできるだけ再現するというのはこうしたつながり(医療価値連鎖)を生むという事の一つの証明です。従って、できるだけ材料を人の生体内に近づけて技術を構築していくことを考えます。日本の医療プロジェクトの中で実施するヒドロゲルの技術は多くの付加価値を生む極めて重要な技術です。集束超音波の実験環境の整備を体の模型を作って行うことはこれだけに収束しない、整形外科を含めた医療における価値連鎖を生む潜在性があります。
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<背景>
細胞腫特異的薬物送達システム、広義には薬物送達学において、生体内の非侵襲でのリアルタイムの薬物の可視化は非常に重要な技術項目です。薬物送達は字のとおり、患部(病変部位)までの薬物の送達について一番深く考える学問だからです。従って、薬物が体内でどのように分布するかを知ることは基本的骨格であると定義できます。しかしながら、その分布を一番典型的な顕微手法である日常人が環境中で暴露する波長範囲の光(電磁波)で可視化しようとしても、一番、浸透性の高い近赤外線(650-1000nm)でもわずか5mm程度しか浸透しません(1:Fig.1)。分析の空間分解能を上げる為、光の波長を短くするともっとその浸透度は低下します。従って、生体内の薬物分布を光で非侵襲で観察する事は基本的には極めて困難です。子どもにも繰り返し分析できるような安全な方法で体の深部画像造影を実現しようとすると音波(超音波)/磁場-ラジオ波(MRI)に(今後革新的な技術が出る可能性がありますが、現在では)ほぼ限られると認識しています。従って、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置は二つの安全で深部画像取得ができる可能性がある物理的手法を組み合わせた手法ですから、X線/γ線など高エネルギー線でも画像診断ができるということもありますが、高エネルギー被ばくがない安全な様式で特に子供の脳に対して深部画像を得る方式として、現在想定される様式としてはほぼベストな様式と定義できます。磁気共鳴分析ではラーマー周波数に基づいて体の中に豊富に存在する水の中の水素を励起して信号取得するわけですが、これを重水素とすることもできます(2)。重水素は人の身体の中に150ppm(0.015%)しかないため(3)、特異的に信号をとることに適しています。すなわち、薬物送達媒体が重水素を豊富に含む物質であれば、この重水素信号に基づいて、磁気共鳴分析(MRI)でその分布を追跡できる可能性を示します。重水信号は水素よりも磁性が低いため、6倍程度感度が低い事と、MRIの空間分解能が1mm程度であることを考えると分子レベルの薬物に対して重水素を含む物質を複合体化させても検出できる信号強度に達しません。少なくとも通常の薬物よりも大きな代替となる物質(プロキシ)が必要であり、十分な大きさと薬物送達機能を両立できる可能性がある物質として重水ヒドロゲルがあります。まだ、名前も定義されない物質で世界でほとんど例を見ない物質です。重水は水素結合/運動性が水よりも弱いためゲル化が難しい可能性があることと、資源として希少であり、それを作る特別な価値が見出されないと考えられていた部分もあると思います。しかし、MRIで薬物代替材料として造影できる可能性を考えると重水ヒドロゲルの顕著な価値が浮かび上がります。重水ヒドロゲルで生体内でトラッキングができるようになると、重水ヒドロゲルにおいて骨格となるたんぱく質を適切に機能化して、病変部位により特異的に集まるように設計すれば、その信号に応じて生体外から病変部位をリアルタイムで視覚的にマッピングできる可能性があり、それは今までにない医療介入の機会を提供します。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置はMRI分析と同時に温度上昇による組織焼灼が可能なので、その分布に応じて即時的に病変部位の細胞を壊死させることができます。その細胞ががん細胞であれば、壊死させることは医療介入として当然価値があります。今まで造影から見出された腫瘍形成部位のがん細胞を取り除くためには外科によって開頭を通じて物理的に取り除くか、高エネルギーの放射線によって細胞死させるかどちかに依存していました。当然、外科での開頭は侵襲と損傷のリスクが都度あるため、脳腫瘍の再発など繰り返し施術する事のリスクが必ず存在します。放射線被ばくも同様です。放射線も今まで予防的に広範囲非特異的に照射することもありますが、病変部位をより細かく重水ヒドロゲルによって地図化できると病変部位だけを介入することができるようになります。しかも、その方法が遺伝子損傷の少ない温度によって介入できる可能性が経頭蓋集束超音波ではあります。新生児も含めて子供の脳腫瘍の繰り返し治療できる方式として、外科/放射線以外の新手の方法で、これ以上の方法は現時点では私は思いつきませんし、改善を重ねれば、本当に将来的に特に年少の子どもに対する小児脳腫瘍の治療の第一治療選択肢になるくらいの潜在性を持っているので、小児脳腫瘍で亡くなる子供を世界で0人にするという目標を現実的にするためには、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発は欠かすことができず、最重要であると位置づけています。この治療方式をより理想に近づけるためには、病変部位送達特異性を有した重水ヒドロゲルの設計/合成/製造技術が必要です。また重水ヒドロゲルはエクソソーム/抗体薬物複合体/遊離薬剤など構造の内部により小さな機能化された薬物キャリアや薬物を複合体化させて封入することが原理的に可能なため、細胞取得的薬物送達システムの実現の為の一つの有力な要素技術であり、この技術の実現性を外科的な腫瘍焼灼に加えて兼ね備えます。従って、標的性を有した重水ヒドロゲルの技術は必須の技術であり、従来の水素ベースのヒドロゲルの基本的なところから常に重水ヒドロゲルへの適用、造影の為の代替材料としての適性を考慮して調査する必要があります。
<概要>
ヒドロゲルは場合によれば体積比で1000倍程度の水分子を収納できます。体の中に自然に存在するヒドロゲル成分として代表的なのはヒアルロン酸があり、ヒアルロン酸は水となじむ高い親水性を持つ多糖からなります。親水性ですから水は塊にならず、ヒアルロン酸の多糖の骨格構造におおよそ沿って水分子が均等にひきつけられることになります。しかし、これだけでは体積比で3桁程度高い水分子を構造内に収納することはできません。その鎖構造に対して水分子の多層からなる安定的な層構造を形成しないと99.9%以上の含水率は達成できません。そのためにはたんぱく質や多糖からなる親水性の骨格構造内に電場が必要で、その場に応じて液晶のように水分子を配向させ、水分子を安定化させる必要があります。その骨格構造は適度な網目構造であることがゲル化のためには好ましく、高分子構造の架橋構造(クロスリンカー)が必要で、そのリンカーを形成する結合様式が共有結合性で強いほうがゲルとしての構造安定性を高めると考えられ、こうしたゲルは不可逆性の永続的なゲル構造と定義されます。このような共有結合性を持つヒドロゲルはケミカルヒドロゲルと呼ばれます(4)。一方、物理的なヒドロゲルは水素結合/疎水性相互作用/分子間力/分子の絡まりなどを利用して(8)、pH(18,19)/温度(20,21)/電場(22)/磁場(23)/イオン濃度(26)/光(24,25)など環境条件で結合状態が変化するヒドロゲルでReversible hydrogelと呼ばれます(5)。例えば、温度で変化するのであれば、機械的刺激だけではなく、集束超音波による温度上昇で分解を駆動できる可能性があります。また、そういった外因的刺激がなくても、癌微小環境のpHの変化によって分解を選択的に駆動できるかもしれません。そうであれば、集束超音波刺激がなくても癌周辺まで(重水)ヒドロゲルがエクソソーム/薬物を送達して、選択的に薬物を癌微小環境で放出してくれる可能性があります。温度も逆に体温程度で自律的にゲル化するようにすれば、それよりも低温で保存した注射では液体の状態で注射ができ、体内に入り、温度上昇した時点で自己組織化によりゲル化させることができるかもしれません。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波の実験/研究開発用装置に設置するマネキンの周囲の頭蓋骨内の実質部分の模倣材料としてのヒドロゲル設計を考えるときには変性しにくい安定なケミカルヒドロゲルが好ましいかもしれません。
<重要内容>
おそらく糖鎖装飾を含めると体の中にある多様な細胞外マトリックスがヒドロゲルの骨格として利用できると推定されます。その中でも、体の中で親水性が高くゲルとしての保水性に優れる代表的な材料はヒアルロン酸です。多糖からなる構造でベースとなる構造そのものがすでに親水性で保水性に優れます。まだ、研究レベルでもiPS細胞から分化誘導した特定の細胞種から製造されたヒアルロン酸を含む細胞外マトリックスをベースとしたヒドロゲルの研究はないと思われます(調べる限り見つかりません)。この構想では、どのような事が可能になるでしょうか?ヒアルロン酸を分泌する代表的な細胞種は線維芽細胞です。しかし、ウーパールーパーの皮膚でのコラーゲンの産生は表皮細胞(ケラチノサイト)という報告があります(9,10)。ヒアルロン酸に関しても水を多く含む層を形成する組織においては保湿の為にヒアルロン酸が多く存在すると考えられます。ヒアルロン酸はコラーゲンやエラスチンなど比較的寿命の長いたんぱく質成分に比べて寿命が短く回転率が高いため継続的な生産が必要であり、線維芽細胞以外の組織特異的な細胞種が特色あるヒアルロン酸構造の供給源になっている可能性もあります。水の多い膜構造は体の中には角膜(眼)、滑膜(関節)、粘膜(消化器/呼吸器)など水分量の多い層構造が存在します。例えば、角膜では扁平上皮細胞がひだを形成して最上層にあり、その上に涙液層があります。この扁平上皮細胞が細胞種特異的なヒアルロン酸を産生して、涙液層に供給している可能性もあります。このような特殊な細胞腫に純度を上げて分化誘導させることは多くのコストが必要かもしれないですが、iPS細胞では非常に状態の良い若い細胞で工業生産に耐えうる潤沢な細胞数を持って、特定の細胞種に分化誘導できる潜在性があります。おそらく(9,10)の報告からして、細胞外マトリックスが実は線維芽細胞以外からも分泌されていたという事自体が発見なので、実際に体の中で細胞からどのように細胞外マトリックスが合成されて、複合体化なども含めてどのように細胞外に放出されるかの詳細な情報はまだないと思われるので、実際に実験しないとわからないことです。(重水)ヒドロゲルの骨格形成の為の親水性(荷電性)の糖鎖を含むたんぱく質や多糖は人工合成や細菌による合成もできます。ただ、ヒアルロン酸にしても、下述するように100倍くらい自然にあるもので分子量に差があり、人工合成では大量生産や高分子量合成が難しい可能性もあります。細菌による合成も含めて最終的にどれが最適かは現時点で情報不足で判断できませんが、特に日本で医療プロジェクトの中で進めていくという事になると、iPS細胞技術で分化誘導させた特定の分泌細胞種を材料合成の工場にすることが好ましいと私は判断します。例えば、上の水を多く含む眼、関節、消化器、呼吸器などに存在する分泌細胞それぞれで合成されるヒアルロン酸の分子量の分布が異なるかもしれません。あるいは磁気共鳴/経頭蓋集束超音波実験装置のマネキンの実質設計におけるヒドロゲルの設計をする際には脳の組織を模倣するわけですから、脳神経系の細胞種の中でヒドロゲル形成する骨格物質を合成させた方が類似する特性を自然に得られやすいかもしれません。このマネキン自体も常に改善していく必要のある材料で、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の特性改善の為の装置開発は仮に1号機を出せても、その後もおそらく長く続くので、その装置の性能改善の為の実験環境として質の良いマネキンが必要だからです。質が良くなるとデータの信頼性が上がるので質の高いデータベース構築ができるため、人工知能も含めたソフトウェア開発の質もそれに応じて改善します。初めは実環境に近いデータベース構築は難しいかもしれません。経頭蓋以外の領域でもモデルとなる仮想的な体が必要なので、そのモデル材料を作るときにも各環境に則したヒドロゲルの技術は必要です。細胞外マトリックスパッチ治療やエラスチン/コラーゲンなどを充填する治療も同様に細胞外マトリックスの合成が必要ですが、それもiPS細胞技術を上流にしてそこから分化誘導された細胞種を工場にしたいです。この技術開発に便乗(と共有化)できるのでその点でもヒドロゲル合成の為の骨格材料をiPS細胞技術分化誘導の細胞種から合成する事は好ましいです。エクソソームの分泌細胞としてiPS細胞技術分化誘導の細胞種を利用する事も決定していますから、その点でも資源を有効活用できます。ここまで色んな事にiPS細胞技術を上流技術として共通化して利用すれば、もし、私の医療プロジェクトが成功して、産業化できるとなれば、分化誘導技術も含めて生産技術が段階的に改善していきますから、全体的な価格は確実に下がります。また、生産の為の大きな工場を関西(大阪)に作るとなれば、(個人的な事ですが)生まれ故郷/地元への貢献にもなります。どのみち研究開発/産業化で苦労するなら、ここで資源を投資して苦労したほうがきっと報われます。
<合成技術>
永続性あるケミカルヒドロゲルでは架橋構造をどのように制御して構築するかが合成の為の一つのカギとなります。現在、最も有望な合成方法としてはクリックケミストリーが挙げられます(11)。クリックケミストリーでは、特定の官能基(例:アジド-アルキン環化付加反応など)が選択的に反応するため、副反応が少なく、望ましいヒドロゲル構造を効率よく作成できます。クリック反応は一般的に定量的に進行し、不完全な反応や副生成物が少ないため、高収率でヒドロゲルを合成できます。これにより、材料の無駄を減らし、一貫性のある製品を得られます。クリックケミストリーの代表的な反応 - 銅触媒アジド-アルキン環化付加反応(CuAAC)/ストレインプロモート環化付加反応(SPAAC) - は、生体分子と干渉せず、生体環境でも使用可能です。これにより、細胞培養、組織工学、ドラッグデリバリーなどの生体適用に適したヒドロゲルを作製できます。水中や生理的pHで進行することが可能であり、高温や強酸・強塩基を必要としません。そのため、タンパク質、ペプチド、細胞などの生体成分を保持しながらヒドロゲルを作製できます。クリック反応は短時間で完了するため、プロセス時間を短縮でき、大量生産や再現性の向上につながります。クリックケミストリーを利用すると、ヒドロゲルの架橋密度や物理化学的特性(弾性、膨潤率、分解速度など)を精密に制御できます。これにより、医療やバイオエンジニアリングに適したヒドロゲルを設計できます。具体的な反応様式としてDiels–Alder反応があります。共役ジエンとジエノフィル(通常はアルケンまたはアルキン)との間で進行する[4+2]環化付加反応であり、触媒を必要とせずに温和な条件下で効率的かつ選択的に進行することから、生体適合性材料の作製において有望な手法とされています。(13:Figure 1)に示されるようなプロセスを経て環状構造が架橋部に形成されることで、構造的に強いクロスリンカーがヒドロゲルの骨格構造間で構築されます。この反応の特徴は、可逆的であること、外部条件(温度、pH)によって反応を制御できること、そして副生成物を生じないことにあります。ヒアルロン酸にジエンまたはジエノフィル基を導入することで、Diels–Alder反応を利用した架橋が可能になります。例えば、ヒアルロン酸のヒドロキシル基またはカルボキシル基にフラン(ジエン)やマレイミド(ジエノフィル)を化学修飾することで、Diels–Alder反応を通じて選択的に架橋反応を行うことができます(14)。特に、この反応は水溶液中で生体に優しい中性条件でも進行するため、細胞を含む三次元細胞培養の基盤材料として非常に適しています。Diels–Alder反応は可逆性を持つため、特定の温度範囲では架橋が解離し、温度を下げることで再架橋が可能です。この特性を利用することで、刺激応答性(例えば温度に応じた可逆的なゲル化と溶解)を持つ物理的ヒドロゲルに近いヒアルロン酸ヒドロゲルが作製できます。Diels–Alder反応により形成されたヒアルロン酸ヒドロゲルは、その後の修飾反応に適した官能基を導入することも可能です。特に、チオール-エン(thiol-ene)光架橋は、紫外線または可視光を用いた迅速かつ高効率な反応であり、光の照射位置を制御することでヒドロゲルの時空間的なパターニングを実現するために有用です(12)。チオール-エン反応は、チオール基(-SH)とアルケンまたはアルキンの二重結合が光開始剤(例えば2-ヒドロキシ-4′-メトキシアセトフェノン、Irgacure 2959)を介して光照射によりラジカルを生成し、ラジカル開裂型反応を引き起こすことで進行します。ヒアルロン酸ヒドロゲルに適切なチオールまたはアルケン基を導入することで、局所的な光照射によりヒドロゲル内部に選択的な架橋を付与し、空間的なパターンを形成できます。この手法により、複雑な構造や異なる物理化学的特性を有する領域を同一ヒドロゲル内に作り出すことができ、細胞培養における組織構造の再現や、薬剤の放出部位の精密制御が可能となります。さらに、光架橋の進行速度が速く、数秒から数分の光照射で完了するため、細胞や生体分子を損傷から守りつつ、複雑な三次元構造を精密に構築できます。
それ以外の化学的架橋形成方法については以下です。Azide-Alkyne Huisgen Cycloaddition(アジド-アルキン ヒュイズゲン環化付加反応)はアジド基(–N3)とアルキン基(–C≡C)が反応して安定な1,2,3-トリアゾール環を形成します。Thiol-ene Photocoupling(チオール-エン フォトカップリング)は、チオール基(–SH)とアルケン(–C=C)との間で光開始剤を介して進行するラジカル付加反応です。光開始剤に紫外線(UV) or 可視光を照射することで、開始剤が分解しフリーラジカルが生成されます。これがチオール基を活性化し、アルケンとの付加反応を進行させます。Aldehyde-Hydrazide Coupling(アルデヒド-ヒドラジド カップリング)はアルデヒド基とヒドラジド基の縮合により、脱水反応が進行しヒドラゾン結合を形成します。pH 5.5〜7.4の生理的条件で効率的に進行し、pH変化に応じて結合の解離・形成が可能です。Enzymatic Crosslinking(酵素的架橋反応)はホースラディッシュペルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼによる架橋があります。Disulfide Crosslinking(二硫化架橋)は、チオール基を酸化して二硫化結合(–S–S–)を形成する反応です。生体内の還元環境(例:グルタチオン存在下)では分解可能であり、薬物放出制御に利用されます。Crosslinking by Radical Polymerization(ラジカル重合による架橋)はフリーラジカルを生成し、ビニル基を持つモノマー間で架橋を形成する手法です。光、熱、または化学的開始剤を用います。Crosslinking by Condensation Reactions(縮合反応による架橋)はヒドロキシル基(–OH)やアミン基(–NH2)とカルボキシル基(–COOH)の間で脱水縮合を起こし、エステル結合またはアミド結合を形成します。生体適合性ポリマーの設計に使われます。
ヒアルロン酸などの親水性のある骨格構造がどのように3次元構造を形成するかがゲルとしての特性を決める推定されます。(6:Figure 2/3)などから骨格構造に反応性あるペアの化学装飾をすることで架橋構造が構築されますが、骨格構造がどういった配向特性を取るかはこうしたペアとなる組み合わせ、密度、位置以外に反応を進める環境因子によっても影響を受けると考えられます。例えば、溶液中で反応を進める場合、粘性の低い溶液を攪拌しながらゆっくり反応を進めると全体的にランダムな構造になると思われますが、その状態でマイクロ構造を作りたいときには、作りたい形状の型(金型)を用意して、このような分散性の高い条件でヒドロゲル合成を行うとその型に応じた任意のデザインができるかもしれません。技術的なハードルが高いかもしれないですが、数十nmオーダーの型を作って、局所構造を作ることができたら、小窩にはまるような微小突起のあるヒドロゲルができるかもしれません。前述したように数十nmオーダーの精度で金型を作成することは非常に難易度が高いですが、近年のナノリソグラフィーや微細加工技術がこうした数十nmオーダーの金型設計を可能にするかもしれません。
<DNAのクロスリンカーの可能性>
DNAは、特に相補的な鎖を用いることで、可逆的にクロスリンクを形成できる特性を持っています。例えば、二本鎖DNAや、特定の短いDNA配列を用いることで、温度やpHなどの外部刺激に応じてクロスリンクが解消したり再形成されたりすることができます。この性質を活用すると、ヒドロゲルが環境条件に応じて物理的または化学的に変化することができます。これにより、動的に変化する環境に適応するヒドロゲルを作成することが可能となります。DNAは非常に高い特異性を持つため、特定のDNA配列を持つ分子とのみクロスリンクすることができます。これにより、特定の分子や細胞と選択的に相互作用するヒドロゲルを設計することができ、例えば薬剤のターゲット化や細胞認識を改善するために利用できます。また、DNA配列を用いることで、外的な刺激(特定の酵素、温度、pH、特定のイオンなど)によって、特定の反応や変化を誘発することが可能になります。DNA分子は螺旋構造を持つため、柔軟であり、ヒドロゲル内で自由に伸縮することができます。DNAクロスリンクを使用することで、ヒドロゲルは伸縮性や弾力性を持ちながらも、組織に優しく、低侵襲での使用が可能となります。これにより、薬物送達システムや組織工学において、柔軟な支持体として利用することができます。DNAは他の分子と容易に結合する能力を持っているため、ヒドロゲルに特定のターゲット分子(抗体、薬物、フルオロフォアなど)を結合させヒドロゲル構造内に固定する事が可能になります。DNAは特異的なシーケンスを制御して例えば大腸菌など細菌由来で合成して精製することができるため、特異的な構造を人工的合成プロセスに依存することなく制御して取得することができます。応用が生命科学/医療である以上、クロスリンカーも含めてできるだけ人の身体の中にある自然な材料で構成したいということがあります。DNAの製造も細菌ではなあく、iPS細胞から分化誘導できる人由来の細胞種から任意のシーケンス、分子量のDNAを細胞外に抽出できる技術が欲しいです。それを開発する事が最終的に色んな応用につながり、しかも、上流技術がiPS細胞に集約される為、特に日本において非常に効果的な研究開発系統を構築できる可能性がります。そういう観点からDNAクロスリンカーが(重水)ヒドロゲルのクロスリンカーとして最も利用したい選択肢と(私は)現時点で指定しています。ヒアルロン酸を利用したヒドロゲルのクロスリンカーとしてDNAを利用した報告は多くはありません(32)。但し、ヒアルロン酸とDNAは共に負電荷を帯びているためヒアルロン酸とDNAを結合させるためには(32:Scheme 1)で示されるようにN-(2-aminoethyl) maleimide hydrochloride(AEM)などの架橋物質が必要です。AEMはアミノ基でヒアルロン酸のカルボキシル基とマレイミド基でDNAのチオール基と結合し、架橋することができます。DNAはリン酸基を多く持ち、強い負電荷をもつため、DNA自身もヒドロゲル特性に必要な水分子を強くひきつけることができます。2価の正電荷を持つMg/Ca/Znイオンでもヒアルロン酸と分子レベルで架橋できるかもしれません。DNAは折りたたみ構造や環状構造をとれるため、直線状のヒアルロン酸のクロスリンカーとして機能するときに負電荷を帯びた3次元構造の構造自由度を上げる働きがあり、機能的なヒドロゲル構造に貢献する可能性があります。
DNAは化学装飾があるもののアデニン(A)/チミン(T)/グアニン(G)/シトシン(C)の4つが水素結合によって結びついた微視的構造としてはパターン化された構造です。しかし、DNAはこの4つのパターンの配列や割合によって高分子として非常に多様な特性をとることができます。5'-GCGAAATTTTCGC-3'はヘアピン構造(Hairpin Loop)と呼ばれ、中央の「AAATTT」をループにし、両端の「GCG」と「CGC」が水素結合を作ることでヘアピンを形成することができます。5'-GGAATTCCTTGG-3' と 5'-CCAAGGAATTCC-3'が互いに相補的な領域で交差し、四分岐構造を作ります。任意の3次元構造はDNA origami構造とも呼ばれます(33)。基本的な特性としてGCリッチな配列は3本の水素結合を持つため、融解温度が高くなり安定になります。ATリッチな配列は2本の水素結合であるため、融解温度が低くなります。GC/ATの割合を連続的に変えることによって細かい温度特性の制御が可能です。DNAの特定部位に化学修飾を加えることで、pH、光、温度などの刺激に応答可能です。ゾベンゼン修飾DNA(5'-GCG-(アゾベンゼン修飾)-CGC-3')は紫外線(照射でシス-トランス異性化を起こし、構造を開閉することができます。従って、光で構造を改変するヒドロゲルにすることができ、焦点化された光(レーザー)ナノプローブ構造によって自在にゲル特性を変えることができ、例えば、外側だけ安定なゲルにして内部は液体とゲルが混ざるようなヒドロゲル構造を構築することもできます。逆に最外周部の液性(濡れ性)を局所的に高めることも原理的に可能です。i-Motif構造(34:Figure 3)/イミン結合によりpH依存的なヒドロゲルができ、癌微小環境など賛成条件で構造を自立的に変えることも可能で、癌治療のドラッグデリバリーシステムとしても利用できます。このように物理的特性に依らず、酵素分解性のあるDNAクロスリンカーで構造化された重水ヒドロゲルを投与、モニタリング後、タイミングを最適化して補助的な薬剤として特定の酵素を追加投入することで、集束超音波刺激に依らず、化学的に任意に重水ヒドロゲルを標的部位で分解できる可能性もあります。DNAにタグをつけて環状DNAなどのように血液中の寿命が長くなるような閉構造にして、どの程度分解/放出したかどうかを後の液体生検によって分析/評価するシステムも原理的に構築できます。このような機能を持たせるためのベースとなるDNAシーケンスを細胞による製造により生物学的機序に依存して任意に微調整できる可能性があります。DNAだけでヒドロゲルの骨格構造を形成する事もDNAが強い負電荷をもつことから可能ですが、(現在の私の判断としては)子供の脳神経系の実環境にできるだけ近い条件でヒドロゲルを作製する技術を成熟させたいため、細胞外に自然に存在するヒアルロン酸をメインの骨格として利用する事を優先したいという事があります。
<DNAアプタマーと派生的展望>
アプタマーとは特定の分子に結合できる核酸からなる人工的ンオリゴマーを示し、DNAの場合は一本鎖の構造を差します。従って、下述するような細胞内にある転写因子であるRNAや細胞内/細胞上にあるたんぱく質、血液中の遊離タンパク質の特定の結合部位に結合性を示し、薬効を示すDNA薬剤(DNA Drug)はDNAアプタマーと定義できます。DNAアプタマーはSELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)と呼ばれる試験管内進化法で作製され、ターゲットへの特異性と親和性を高められます(39)。ランダム配列を持つDNAライブラリ(10^13~10^15種類)を作成し、標的分子(タンパク質・RNA)に結合する配列を選択します。結合したDNAを回収し、PCR増幅します。これを10~20回繰り返し、結合力の高いアプタマーを濃縮します。標的分子と結合したDNAは沈降法などによって分離できますが、この時、標的分子を重い細胞外小胞などに特異的に複合体化できていれば、沈降法による分離の際に分離効率は高まるかもしれません。DNAライブラリは人工的な合成法が利用されることがありますが、私たちはiPS細胞から分化誘導した最適な細胞種で人為的に細胞からDNAライブラリをバイオエンジニアリングで作成することを試みます。どのように細胞核に収納しようとするベクトルを変えて細胞外に抽出するかという問題がありますが、人の細胞種を利用することによって人が持つ核酸/たんぱく質と結合力の高いDNAアプタマーを精製できる可能性があります。例えば、100種類のmRNAとそれぞれ結合性を持つDNAをiPS細胞誘導細胞から合成させライブラリを形成し、結合親和性に応じて生成していくときには、それぞれのmRNAとクリックケミストリーで結合させた重さを100通り異なる大きさの異なる細胞外小胞とそれぞれ複合体化して、重さに応じて分離できれば、一気に100種類のmRNAと結合できるDNAアプタマーを一つのライブラリから分離することもできます。例えば、特定の膜タンパク質と結合できるDNAアプタマーを分離できれば、その膜たんぱく質が小児脳腫瘍のがん細胞表面にある膜たんぱく質/毛細血管の内皮細胞上のトランスサイトーシス駆動の重要な膜たんぱく質の場合、標的となる膜たんぱく質に任意の結合性を有するDNAアプタマーを分離/精製できることになります。このDNAアプタマーをドラッグデリバリーのための細胞外小胞にクリックケミストリーで複合体化させることができたら、それが一つ細胞腫特異的薬物送達システムのための装飾たんぱく質として機能する可能性もあります。従って、DNAアプタマーをiPS細胞分化誘導細胞から生成した人に対して高品質な(であると考えられる)ライブラリを使って精製する技術は、重水ヒドロゲルの骨格/任意薬効を両立するDNAを精製する目的とは別に、細胞腫特異的薬物送達システムの骨格である細胞腫特異的な標的性を有するDNAアプタマー(物質)装飾のエクソソーム形成の目的も果たします。細胞外小胞の構造特異的な分離方法は細胞腫特異的細胞外小胞分離技術と密接に関わります。細胞から放出される物質において初めからDNAだけを分離する必要はありません。目的とする物質と結合性を持つ物質をまず核酸/たんぱく質/多糖など分離しない状態で精製して、その後、目的に応じて特定のたんぱく質と結合性を持つこれらの物質内でさらに重ねて(直列的に)分離すればいいです。例えば、ヒドロゲルの場合は正負電荷量の大きな物質が欲しいため、静電気的に分けて、その中でも電荷量の高い物質を精製できれば、電荷量が大きいですから水分子を多くひきつけて、ヒドロゲルとしての骨格(あるいはヒドロゲル複合体形成親和性が高い物質)としても優良でありながら、特定の薬効や標的性などの目的を果たすことにもなります。両方の目的を果たすための規定の分子量がそれぞれ大きく異なる場合には、それら両方の目的を果たすために付加的な技術(工夫/知恵)は必要です。いずれにしても細胞種特異的細胞外小胞分離技術の骨格は結合性に応じて分離する事が基本としてありますから、これができるようになると1段/2段と生命科学/(特に)薬学/医学のフィールドが変化する事が推測されます。
ただし、分離技術の一つの大きな課題は(特に製薬において)分離した後の数の問題です。DNA/たんぱく質/脂質/多糖などの増幅(コピー)を行う際には、PCR/逆翻訳/構造解析などで細胞の生成プロセスを明らかにして生産効率を上げる事をする必要があります。元々、PCR増幅を利用できるDNAでもアプタマーの3次元構造を再現する事には少なくとも一定の技術的障壁がありますから、たんぱく質/脂質/多糖においても単位構造の組み合わせだけではなく、3次元構造まで一致させるとなるとかなり難しいかもしれません。これを含めた構造の再現性の問題があります。人工知能の構造予測は必要になる可能性があります。増幅を行わないとしたら、大量の細胞と物質から分離する必要があります。このような手法で数を確保するならば、分離プロセスの中で1000、1万種類くらいの異なる物質を一気に分離/精製するような効率性がないと最終的には市場で競争していけないという事にもなりそうです。但し、iPS細胞技術から分化誘導した細胞種から特定の3次元構造を持ったたんぱく質を効率的に産生させるときに、折りたたみ構造まで再現できる細胞量産を制御できるとなるとこの技術そのものが自然な生物学的プロセスに基づくため他の価値をもたらす可能性があります。例えば、細胞からそういった特定の薬効を示す特定の3次元構造を持つたんぱく質を効率的に産生できるのであれば、それをわざわざ外に出して、外部で物質を集める必要がありますか?という議論にもなります。すなわち、その細胞そのものを体の中に移植すればいいという応用も考えられます。人の身体の中にある細胞を逆分化/脱分化し、特定の細胞種に分化誘導し、その細胞に機能性を持たせて工場/装置にするという事はその工場/装置そのものを体の中に入れられることを示します。移植も体を開いて侵襲的にしなくても、下述するような重水ヒドロゲル追跡技術によって、生体内の位置を追跡できるようになり、体の中に工場/装置を埋め込みたい場所でできるだけ出血のリスクが少ない細い血管に分布しているタイミングで重水ヒドロゲルを分解し、血管を一時的に破壊して実質に滲出させることができたら、非侵襲に近い形での移植が可能になります。この可能性があるので、細胞から物質を分離して、特定の物質を3次元構造レベルで整合する細胞を培養できるような技術を開発するための壁を乗り越えることはそれ相応の価値をもたらすことになります。この方法でも上皮細胞のように頻繁に入れ替わる成熟細胞では比較的すぐに細胞死して(装置は消滅し)、効果は一時的にとどまります。幹細胞/神経細胞など基本的に移植する細胞が寿命が長い必要があります。一方で、免疫細胞/間葉系細胞も含めて循環器にある移動性を持つ細胞を工場/装置にできれば、複雑な移植プロセスは必要ないという事になります。血小板など炎症部に集まる細胞にすれば、工場/装置に病変特異的な標的性も付加されることになります。但し、循環器で標的性のある細胞は往々にして寿命が短いという課題もあります。加えて、工場/装置機能を持つ細胞を入れることは免疫拒絶など大きな副作用につながる可能性もあります。これに関しては、人由来のiPS細胞技術なら一定乗り越えられる部分です。新たな薬剤を開発することに対する資源/コストをどう見積もるかという観点もあります。すなわち、ここまで難しい事をする価値は本当にあるのかを問う必要性です。体の中に一定エンジニアリングしたヒト由来の細胞からなる装置/工場を入れるという構想なので、長く存在する事が出来、電子デバイスのようにモニタリングできるシステムを入れたいという事があります。モニタリングはDNAによる物質的なタグを入れることになります。ただ、そこに存在する事を示すタグという機能では少し物足りなさもあります。例えば、埋め込まれた細胞の装置が薬物を生産するときに派生的に発生する転写因子に特定のシーケンスがでるようにタグ機能を付けて、それを液体生検で読み取ることによって、装置からの薬物の生産状況をモニタリングするシステムです。そうすると細胞種特異的な細胞外小胞分離技術が必要になります。細胞外小胞に内包されやすいmiRNA/siRNAにタグをつけて、細胞そのものに細胞外小胞に発現されるテトラスパニンに構造的なタグをつけて、高精度に分析できれば、そのモニタリングシステム/監視デバイスとしての性能/精度も顕著に向上することになります。最終的にはもともとの分離技術が応用を含めて考えるとループ的につながってくるという事になります。また、重水ヒドロゲルプロキシによる磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置のモニタリング、血管オープニング機能もこの構想の応用の幅を広げ、価値を高めることになります。
DNAを機能的な材料として利用するにあたり人の細胞を使うというのは、当然、複雑性があり、細菌などの単細胞生物からDNAを生み出すよりも技術的に高いハードルがありますが、人のDNAは長い年月をかけて、細菌などに比べて高度に機能化されてきたという進化の歴史があります。細胞核の染色体を機能的なマテリアル(材料)として利用する事を考える事は困難な事をする一つの動機(モチベーション)になると思われます。染色体粉砕/細胞核外DNAという現象が細胞であります。これは有糸分裂の時に生じやすいと推定されます。従って、細胞から機能的材料の為、染色体からなるDNAを取り出すときの最も有効な機会は有糸分裂の時にあるといえます。この時にDNA合成だけを促して、土台(基質:細胞外マトリックス)をタイミングよく破壊するなどして、細胞核に入らないようにし、合成したDNAを有効に取り出すことを考えます。あるいは染色体の構造分解を制御しながら細胞死させることができないか?化学的に脂質の細胞膜だけを選択的に分解することはできないか?なとを考えます。染色体から任意の構造を取り出すためにDNA double strand breakなどの機序を参考にし、実現できないかを考えます。生きた状態でDNAを無理に分泌させることを考えるよりもすでに豊富にある核内のDNAを細胞の生存が犠牲になってもいいから、材料として取り出し、そこから任意に分解して、精製する事を考える事もできます。その時はDNAは複合体として存在しますから、構造として複雑となるものの、DNAアプタマーだけでは得られないたんぱく質などとの複合体としての特性が得られる可能性があります。例えば、ヒストンなどのたんぱく質が残ることで物質としてより構造が安定で、寿命が長いかもしれません。より拡張的に考えれば、細胞の物質をより有効に利用するためには細胞内にあるあらゆる物質を細胞死させて取り出して、それを任意の分解して、精製する事を考えます。そうしたら物質的な損失(ロス)が減らせ、細胞の材料を余すところなく利用できることになるので、必然的に量(量産性)の問題は緩和的になります。しかしながら、プロセス(の管理)がより困難/複雑になります。一方で、これを実現すること自体が体から取り出した細胞を高度に分析する技術/能力につながります。人の身体の中にある細胞/自然の生物学的現象を最大限利用して、機能化していくという事は困難な機能化のプロセスそのものが他の生物学的な価値につながる事は多くのケースで発生します。それが訴求できる最大の価値の一つです。持続可能な形での膨大に地球上に存在する生物資源の活用という事にもつながる可能性があります。人の細胞から生じた自然のマテリアルを使うことは、当然、循環性が高いですから、(機能化する)プロセスでの環境負荷という事は当然考える必要がありますが、基本的な構想としては環境的に対して保護的であり、今、世界が向かっている方向に対して整合性が高いと評価できます。特に医療(その中の内科)は体の中に入れる物質(薬剤)を開発する事が大きな目的の一つなので、元々自然に人の身体の中にある物質を最大限使うというのは、それそのものが環境的な観点で考えると付加価値があると主張できます。この環境的な観点でいうと、iPS細胞の逆(脱)分化/分化誘導技術が上流工程で一番重要な技術として収束していますから、この生産プロセスにおける環境負荷についても当然、考える必要性が少なくとも将来的にはあります。扱う物質は生物(細胞)なので、自然な生物学的プロセスをどうやって機能的に作用させるかを考える事が一つとしてあります。今の時点で一つ言えることは、私の医療プロジェクトではカギとなる材料の製造をできるだけ(iPS)細胞に任せることを戦略の骨格としています。これは、繰り返しになりますが、私が日本人であり、このプロジェクトが日本で中心的に行われるからというここ15年の歴史的/社会的観点もあります。このプロジェクト全体が抱える大きな課題/リスクは材料(製品)の特性の偏差(違い)の大きさにあります。これはずっと何十年も抱えないといけない常に水面上に見えている課題です。ただ、最終的に完全に一致させることは難しいにしても、ある特定の仕様範囲内に抑える正確性を手に入れることは非常に難題ですが、ここを乗り越えることでしか見えない世界(フィールド)が主要な目的以外の付加的なところにもあると展望を持っています。それを見越して総合的に考えると困難でも乗り越える価値のある命題です。このような細かい調整が必要な技術は元々、私も含めて日本人に適合しているというところもあります(細かい改善を地道にできる国です)。
<水分子の配向特性>
ヒアルロン酸の分子量は20kDa-数千kDaまでの分子量が見つかっており、分子量は合成を駆動する酵素に依存します。天然にあるヒアルロン酸は血液中では半減期が数分しかありません。従って、構造そのものの安定性は血液中では低く薬物送達媒体の材料として利用するときには構造自体が高次元に構築され保護される必要があります。ヒアルロン酸はポリアニオンであり、その強い負の電荷により、周囲の水分子を引き寄せることができます。ヒアルロン酸の分子には多くのカルボキシル基(-COOH)がありますが、これらが解離して負の電荷を帯びることが、ポリアニオンとしての性質の基盤です。この負の電荷が水分子を引き寄せ、特に水分子の水素原子側の正の部分と相互作用することによって、ヒアルロン酸は水を引きつける力を持つことになります。ヒアルロン酸は自身の多糖構造の体積よりも1000倍の水分子を保有する能力があります(7)。これはヒアルロン酸が負電荷を帯び、それ応じて水分子が段階的/連鎖的に配向していくからです。多くの水分子が収納されるためにはこの段階的/連鎖的な配向特性の持続性が重要になるので、ヒアルロン酸自体がたんぱく質のように構造的な多様性がなくベースとしての負電荷密度が決まっているとしたら、ヒアルロン酸の直線構造がどのような空間的な配置を取っているか、あるいは水分子中の不純物/イオン濃度によっても変わります。水分子が形成する双極子モーメントがイオンによる摂動によって遮蔽/誘起されるかで配向特性を示す長さが変わる可能性があります。ここからはかなり仮説に近い形での記述になります。水分子が凝固点以上で通常は液体になるような温度で位置が固定されるというのはヒアルロン酸による高密度の偏った負電荷に依る強い摂動によるものであると考えます。水分子のH-O-Hの双極子の関係性からするとヒアルロン酸界面では強い負電荷に水素側がひきつけられることになると思いますが、ヒアルロン酸の負電荷の間隔や立体構造によって初期層の並びの状態は決定されると思います。ここは水分子同士のエネルギーが低い配置からは偏った負電荷があるわけですから一定逸脱する極性を持つと思われます。水分子のヒアルロン酸の糖鎖構造に対する初期層の並びは完全に向きが揃わないと思われるので、そこから連鎖的に水分子が配向していくときには結晶でいう結晶粒界境界(grain-boudnary)のような線状のいわば構造的な不連続性を伴いながら層が積層されていくと思われます。但し、結晶粒界境界内の連続した区画内ではできるだけ水分子の並びとして安定になるように水分子が固体としてとる典型的な結晶構造(六方晶)に近い形で向きが配向していくのではないかと思われます。ここで完全に私は固体的に考えていますが、ゲルの構造では結晶のように分子が十分低い温度によって束縛されていないので、ゲルの特性を考慮すれば、結晶粒界境界が生じるような界面は動くし、その境界近くにある分子も常に動いているかもしれません。ただ、こうした固体の状態で生じるような界面近くにある水分子はそれ以外の区画の水分子よりも不安定で動的かもしれません。確かに糖鎖の巨視的に観たときの直線方向に対して水分子の配向特性が完全に垂直で結晶粒界境界をほとんど作らないような条件であれば、水分子の氷の結晶構造は斜方晶など傾いていませんから、骨格となる構造はそれに応じて平行に網目状に形成された方がよいように思えますが、初期状態が負電荷の水分子のスケール以上の偏りにより位置によって変わり、糖鎖の界面も水分子レベルで平行でないとしたら、水分子の動きの中央値でみたときに配向特性が安定な方向に傾くと思われるので、骨格が必ずしも平行に網目構造がいいかどうかはわからないです。結論をいうと結晶構造として安定な水の配向特性に特に骨格から離れるに従い近づこうとした秩序特性があるのではないかという仮説です。
<3次元パターニング技術>
(重水)ヒドロゲルを3次元的に任意の場所の特性を操作したいという需要があります。例えば、(重水)ヒドロゲルの薬物送達システムでは樹状化突起構造の先端部の荷電性を選択的に上げることで、毛細血管の小窩に誘導され、一定の力で接着し、小窩が多い毛細血管に長くとどまり、多く分布してくれるような標的性機能を組み込むことができます。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の装置開発/装置性能改善/評価/データベース構築のために頭部の模型(マネキン)を作る必要がありますが、骨(模型)の内部の実質の模型では音響特性を合わせるためにヒドロゲルが材料選択の主要な候補です。柔軟な(ソフト)材料は界面の濡れ性に優れ、実験の為に任意の位置で取り外しができるように区画化したとしても、硬い(ハード)材料に比べて特に界面での音響特性に大きな影響を与える空洞の形成を抑制できる可能性があるからです。この材料においても実際に脳の実質の材料構成は血管/細胞など異種的な材料で構成されるので、その音響特性を模したヒドロゲルを作る際にも材料内で3次元的に局所も含めて音響特性を任意に制御する要求が生まれるかもしれません。また、区画ごと任意の造影確認の為の重水ヒドロゲル/(癌)細胞などを入れるためにヒドロゲルを区画化します。その区画化で生じる界面の特性を特に液体の状態に近くなるような濡れ性の高い状態に局所的にする需要が生まれるかもしれません。もちろん1次合成の自己組織化の段階で自然にこういった局所特性が自在に実現できることが後の生産の工数という観点では好ましいですが、それが無理/あるいは大きな制約を伴う可能性があるので、2次プロセスとして局所的な特性を制御する別のエンジニアリング技術が必要になる可能性が高いです。視覚化した状態で3次元的な機能改変の為のプローブとして最も好ましいのはおそらく光(レーザー)であり、より細かな精度(空間分解能)を持つ(~25nm)システムをOptical nanoprobeと呼びます(16)。光ナノプローブは通常イメージングの為に利用されますが(16)、物質に光を当てることになりますから、感光(受光)によって(重水)ヒドロゲルの局所的な構造が変化し、物理(化学)特性が変化させることも原理的にできます。通常、このような特性の変化を利用して、溶液(化学)反応によって局所的な分解ができれば、3Dのリソグラフィー技術として3次元の(内部構造を含めた)トポロジカルな(複雑な)形状を持つ(重水)ヒドロゲルを形成できますが、応用はそうした形の制御だけではなく、受光による局所的な機能改変そのものが材料として価値を持つ場合もあります。具体的には冒頭で申し上げたように樹状突起の先端に集束させたレーザー光を当て、局所的な電荷を変えることができれば、誘電性のある組織にその先端が特異的に誘導される機序を発生させることができるかもしれません。あるいは区画の境界部の空洞を減らすために含水率を多くしたい場合には、光エネルギーによる局所的な分解によって骨格となる多糖の電荷密度を上げることができれば、保有できる水分量が多くなるため、それによって界面濡れ性を選択的に上げることができるかもしれません。こうした光による機能調整は(重水)ヒドロゲルではたんぱく質/多糖などの主要骨格、主要骨格を架橋する上述したクリックケミストリーを含めた架橋部、水分子内に含むイオン、不純物などを最適に選択することで実現する可能性があります。プローブする手段としては光が適していると現時点では想定されます。任意のパワー/波長/パルス特性などを選択でき、時間/空間分解能も高いため、プローバーとしての特性に優れます。
基本的に結合力の強い分子構造はそれを分解するために多くのエネルギーを必要とするため、照射する光の波長を短くする必要があります。但し、対象となる分子構造の振動周波数が光の周波数と一致すると共鳴して、より低いエネルギーでその結合は解消されやすくなります。結合が不安定になるというのはその結合に関わる軌道の電子が低い基底状態から励起状態に遷移する過程で生じ、例えば、磁気共鳴でも水素のスピンの歳差運動にラジオはを共鳴させるラーマー共鳴では水素原子の電子が励起されやすくなるためその条件で緩和信号を得られやすくなります。基本的に結合の解消の為には電子を励起状態に効果的に移行させる必要がある為、対象となる分子の何らかの周期的な振動を掌握し、それと共鳴させる条件でエネルギーを与えることで結合がより効果的に解消されます。但し、格子振動は調和振動子モデルでは原子の質量と結合の強さによって単純には決まる為、可変な程度の温度差ではほとんど格子振動の周波数を動かすことができません。従って、おおよそその結合状態固有の格子振動周波数があると考えてよいと思われます。温度が上がるとその周波数での振幅が上がる為、固有の振動周波数と光の周波数を一致させたときの共鳴効果が大きくなる可能性があります。従って、光の波長を対象となる結合状態に合わせて選択するときにはその環境の温度/磁場によって共鳴効率が変わる可能性があります。磁場ではフォノンの向きを磁場の方向に応じて変化させることができる可能性があるため、その指向性に応じて光の入射方向を最適化すれば共鳴性をより高めることができるかもしれません。基本的には結合エネルギーが強いほうが(重水)ヒドロゲルとしては安定ですから、永続的なヒドロゲル構造に近づきます。一方で、物理的ヒドロゲルと呼ばれるpH、温度などの環境で分解する構造的に環境に敏感なヒドロゲルは骨格構造のカギとなる架橋部などの結合力が弱いです。従って、ヒドロゲルの特性を光で変えようとする場合、そのヒドロゲル(対象とする結合部位)が化学的で安定であればあるほど、(深)紫外領域など高いエネルギーのレーザーが必要となります。紫外領域のレーザーは管理と製造が難しい上に、集光のための有効なレンズ等があるかどうかに依存しますが、原理的には回折限界スポット径が小さくなるため、非常に高精度な空間分解能を持つプローブ(加工)が可能になります。残念ながらレーザーは発信波長が物質固有な条件で決まり、半導体レーザーではその波長に合わせて共振器構造を作る必要がある為、任意に柔軟に波長を変えて様々な材料に対して柔軟に構造改変を行えるような光源を作ることは難しいです。半導体レーザーの場合は、原理的には柔軟に波長を変えることができますが、少なくとも発信素子を分ける(個別に用意する)必要があります。他方で、高エネルギーの領域のレーザー発振は半導体では材料特性的な制約で基本的には非常に難しいです。従って、加工できる結合が限られる可能性があるため、材料設計に比較的厳しい制限が入るかもしれません。一方で、結合を解消するための光の波長を必ずしも格子振動周波数と共鳴させる必要はなく、それ以上のエネルギー励起し、結合を不安定にし、解消させることができるため、材料選択性を上げるためには基本的には高エネルギーの指向性の高いレーザーと効果的なレンズがより必要になります。
例えば、近紫外線(365 nm近辺)により分解するリンカーとしてローダミンB+ニトロベンジル系リンカーがあります(27)。カルボジイミド法(EDC/NHS)を用いると、ヒアルロン酸のカルボキシル基とローダミンBのアミノ基を架橋可能であり、このリンカーでゲル特性を制御できれば、可視光部分的照射で部分的に分解する事が可能かもしれません。フルオレセイン+クマリン系リンカーは可視光(400〜450 nm)で分解可能です(27)。クマリン系リンカーにマレイミドまたはアジド基を導入すれば、ヒアルロン酸のカルボキシル基と結合可能です。このように結合を解消する物質もあれば、光による異性化(分子内の構造変化)が生じる物質をもあり、分子光スイッチ(molecular photo switch)と呼ばれます(28)。アゾベンゼン(Azobenzene)は近紫外光(365 nm)を照射すると、安定なトランス型から曲がったシス型へ変換し、可視光(約450 nm)または熱エネルギーにより可逆的に元に戻ります。トランス型は伸長した直線構造をとり、分子間相互作用の距離を延長し、シス型は折れ曲がった構造で、分子間相互作用を近接させます。スピロピランは、光によってスピロ型(閉環型)/メリオシアニン型(開環型)を取り、それぞれ疎水性/親水性の性質を取ります。近紫外光(365 nm)を照射すると、スピロ型からメリオシアニン型へ、可視光(約450 nm)または熱エネルギーにより逆変換します。
<ゲル中での薬物機能化>
(重水)ヒドロゲルなどのゲルは特殊な状態です。分子として一定の流動性を持ちながら、分子的に散逸しないように形を維持する事ができます。固体と定義される事もありますが、柔軟性に優れる為、ソフト高分子と定義されることもあります。従って、(重水)ヒドロゲルの場合は内部にエクソソーム/抗体薬物複合体/一般的な遊離薬剤を薬物としての機能性を維持しながら埋め込む/添加することもできます。この特殊な環境が薬物の機能化プロセスに特別な機会を与えるかもしれません。例えば、エクソソームでは標的たんぱく質以外の自然に形成される多様なたんぱく質の取り除くまではいかなくても構造を崩すことで結合活性を低下させたいということがあります。そのためには生化学的マスキング技術などが必要です。例えば、(私が提案する方法として)非常に小さな小胞に守りたい標的となるたんぱく質と結合性のあるリガンドを装飾して、結合させて蓋した状態で、全体にたんぱく質酵素を反応させることで、選択的に標的たんぱく質を守り、それ以外のたんぱく質を分解させることを試みます。しかし、この方法ではどのみちマスクに使う小胞も選択的なたんぱく質装飾が求められ、その選択性を確保するためにはどうする?という上流側の問題が生じます。また、マスクできたとしても後で結合を解消する必要もあります。プロセスとしては複雑性があって、他の良い方法がないかを少なくとも探索する必要性があるとは考えていました。(重水)ヒドロゲル中に細胞外小胞が固定されるように分布されれば、溶液中とは違って動き回りませんから、イメージングしながら光ナノプローブが3次元的に精度よくでき、標的となる守りたいたんぱく質を蛍光材料などによって識別できれば、それ以外の領域をなぞるように光でたんぱく質の構造を改変できるかもしれません。エクソソーム自体が50nm程度のオーダーなので空間分解能的に問題があることと、特定のたんぱく質の精度のよいイメージングの問題があり簡単ではありませんが、いずれにしてもゲル中にエクソソームが機能性を維持したまま固定されている可能性があると考えると、オプティカルナノプローブなどを最大限利用して、機能化のためにプロセスにそのまま生かすことができるかもしれません。たんぱく質の3次元構造は水分子に影響を受けることがあります(17)。また、この効果は重水/水、ゲル/液体ではそれぞれ異なる可能性があります。ゲルでは(重)水の分子の位置が比較的安定している為、近接場効果が高いかもしれません。また、ゲルの状態では特定の波長の光を焦点を定めて照射し続けることができるため、光触媒効果でたんぱく質構造と(重)水の相互作用の状態が変わるかもしれません。これにより装飾したタンパク質の構造を改変できる可能性があります。どちらにしろ、(重水)ヒドロゲルによる薬物送達を考える場合にはエクソソームをヒドロゲルの中に数千個程度埋め込むことを考えますから、固定されていて、その状態で必要な機能化プロセスができれば、最終的な生産工程を効率化しながら、非常に難しいプロセスを兼ね備えることができるということになります。ここは追究する価値があります。
<重水フィルタリングプロセスについて>
磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置で1ボクセル/ppm空間占有率の感度で重水ヒドロゲル信号を検出するためにはMRI測定手法の新規開発を含めた改善が必要ですが、基本的に必要な事として体の中に150ppmほど存在する水素に混じった重水素信号低減させる必要があります。そのためには患者さん(お子さん)に大変ですが、施術から2週間まえほどから少なくとも水分摂取に関しては、特別な重水を抜いた飲料だけを飲んでもらう必要があるかもしれません(しかし、固形の食事は難しい。食事に関しては直前だけ)。そのためには重水を抜いた飲料を作る必要がありますから、ベースとして150ppmよりも非常に高い精度での重水をフィルタリングする技術が求められす。この技術を付加的に開発する事は確かに資源を要しますが、よく考えると、どのみち必要な技術です。なぜなら、重水ヒドロゲルを使った薬物を開発するにあたり、重水が基本的資源として当然必要だからです。そのためには水から重水をフィルタリングして抜き取る技術が必要であり、この技術により残りの重水を含まない水が副産物として出ますから、これをそのまま患者さんに施術の前に飲んでもらう飲料の資源として利用することができます。
<神経細胞の移植(インプラント)の可能性>
脳神経系では特に子供では水が多くなっており、おそらく液体状態とゲル状態が混合しているような実質の状態であると推定されます。脳にはヒアルロン酸が多いからです。このヒアルロン酸のゲルは機械的衝撃に脆弱な神経系を機械的刺激から守るほかに、位置の固定の働きをします。従って、ヒドロゲルは神経系に自然に存在し、神経細胞の機能を守るうえで重要な働きをしています。ここから重要な事が想起されないでしょうか?重水ヒドロゲルはヒアルロン酸など脳神経系のゲル状態を模倣する事が可能です。もし、そうであれば、中にiPS細胞で分化誘導した神経幹細胞などをヒアルロン酸の中に埋め込み、それを血液から移植して、脳まで保護して送達させ、経頭蓋集束超音波で毛細血管を破壊して、その神経(幹)細胞を実質に滲出させます。重水ヒドロゲルは場合によればモニタリングできる可能性がありますから、開頭して神経(幹)細胞をインプラントしなくても、血液から神経(幹)細胞をできるだけ多く入れた重水ヒドロゲルを保護しながら神経系まで送達させ、経頭蓋集束超音波で局所的に血管を破壊することで内科/外科融合的な非侵襲の神経細胞の移植が可能になるかもしれません。但し、神経細胞は10-25μmの径で大きいため、毛細血管を通過できる径のヒドロゲルでは大きさが足りないため、ある程度、組織を形成してインプラントするとなると(サブ)ミリメートル単位の大きさのヒドロゲルが必要であり、滲出の為には少々大きめの血管を崩壊させる必要があるため、出血のリスクと血管崩壊のパワーと神経細胞を保護した状態でのヒドロゲル崩壊のパワーが整合せず、それによる滲出の際の神経細胞の損傷の課題、大きくなるため灌流(流動)性の課題があります。このように絶対的な大きさの問題はあるものの、栄養液も含めて、(重水)ヒドロゲルの中でより自然の神経系に近い形で培養できれば、細胞系ではなく、周辺の細胞外マトリックスの最適な構築も実現する可能性があるので、単に細胞の移植だけでは実現できない組織学的な付加価値を有した状態で移植できる可能性があります。毛細血管に分布させたいという観点ではより少ない神経細胞数で小さなヒドロゲルで分散させるという要求がありますが、大きな(重水)ヒドロゲルの送達環境が整えば、移植の効果がそれに応じて高まる可能性があります。出血の可能性はDNAクロスリンカー重水ヒドロゲルを利用できればより自然な様式で緩和できるかもしれません。
<神経膠腫に対する新手の細胞治療の可能性>
神経系の細胞はグリア細胞であっても、その膠性の細胞が未分化性細胞も含めて癌化する神経膠腫であっても、シナプス制御(31)/((様々なタイプの)シナプス形成(29,30)して神経細胞の機能に影響を与えます。神経膠腫が神経細胞とシナプス形成するという事は、成熟神経細胞がそのシナプス接続を通じて神経膠腫増殖/抑制どちらかに関わる可能性があります。癌細胞の細胞による治療は通常CAR免疫細胞など免疫細胞が利用されることが一般的ですが、神経系に関しては、通常の体細胞性のがんのように通常細胞の排除機構が完全な結合組織を形成している場合におおおよそ生じるのではなく、比較的独立性の高い状態でも数による優位性によって神経細胞の質が良ければ、神経膠腫をシナプス連結を通じて、あるいは他の機序で駆逐できる可能性があります。もちろん神経細胞でははなく、グリア細胞でもそれは可能です。通常、血管からの侵入は血管が崩壊している場合には免疫細胞が主に担いますが、ヒドロゲル環境である程度神経細胞系をある程度培養した後、その状態で保護しながら血液循環させ、脳腫瘍がある特異的な部位に標的性を持って送達させ、MRIでモニタリングしながら、標的部位に到達したタイミングで経頭蓋集束超音波装置によってヒドロゲルを分解しながら、毛細血管を破壊して、細胞系を実質へ浸潤させることができたら脳神経系の再生の為の移植の可能性だけではなく、神経膠腫に対するCAR免疫治療以外の新手の細胞治療の道が開けることになります。その治療をより有効化するためには、あらかじめ生体外でヒドロゲル環境において、神経膠腫と通常の神経系細胞の相互作用の中でどういった細胞外マトリックスや細胞系を構築すれば、神経膠腫が増殖ではなく、縮小、死滅する傾向にあるか?その条件を明らかにしたうえで、より抑制性の強い細胞外マトリックスを含めた神経系を一定塊として構築し、それを重水ヒドロゲルで保護し、脳実質への送達を上の手順で行う事を検討します。この場合、癌細胞を死滅させながら自然な形で正常な神経細胞系が残る可能性があるので、単にストレスによって癌細胞を死滅させ、組織を退縮させる治療と比べて、組織学的に保護的な治療の可能性があるため、成長期のお子さんの治療としては分化誘導療法と並んで健全な成長を考慮するとより適合する可能性があります。一方で、組織としてびまん性を呈する組織学的に境界を定義しにくい神経膠腫においても、神経系の細胞の局所的な勢力図を人為的に改変し、抑制させるという観点は適合するかもしれません。多くの資源を有しますが、小児脳腫瘍の治療の上限を定めない治療の改善を目指すうえで脳のインプラントの可能性を同時に考慮すると追究の価値が十分にある研究開発項目であると評価できます。但し、上のインプラントの課題と同様に、神経細胞は10-25μmの径で大きいため、毛細血管を通過できる径のヒドロゲルでは大きさが足りないため、ある程度、組織を形成して細胞治療する事が前提では、ミリメートル単位の大きさのヒドロゲルが必要であり、滲出の為には少々大きめの血管を崩壊させる必要があるため、出血のリスクと血管崩壊のパワーと神経細胞を保護した状態でのヒドロゲル崩壊のパワーが整合せず、それによる滲出の際の神経細胞の損傷の課題、大きくなるため灌流(流動)性の課題があります。このように絶対的な大きさの問題はあるものの、栄養液も含めて、(重水)ヒドロゲルの中でより自然の神経系に近い形で培養できれば、細胞系ではなく、周辺の細胞外マトリックスの最適な構築も実現する可能性があるので、細胞外マトリックス構造を最後まで保護できれば、その治療は細胞だけの影響ではなく、細胞外マトリックスによっても影響を受けることになります。一方で、超音波刺激で局所的な一酸化窒素分泌などを血管拡張を制御できれば、タイミングをうまく制御できれば、通常の状態では入らない血管系に拡張時に一時的に侵入でき、収縮したときに血管中に固定されるという送達機序を組み込める可能性もあります(それにより、血管が詰まる可能性(弊害)もありますが、一方でより細い血管からアプローチできるため、出血のリスクを相対的に減らせるかもしれません。そのためには少なくとも重水ヒドロゲルのトラッキング造影技術は必要になります。
<血管崩壊による即時出血の防止技術>
Pse08-29というDNA構造がSARS-CoV-2感染症において低リスク抗凝固剤として機能し、血管のつまりを抑えつつ、出血を防いだという報告があります(35,36)。DNAはそのシーケンス構造として薬物として機能化させることができます。例えば、血小板凝固を促すためDNAナノ構造を利用して、血小板表面にあるGPIb-IX複合体(血小板が傷口に付着するための受容体)に特異的に結合し、血小板を局所で凝集させます。GPIb認識配列- 5'-AGGTCGATGGCTAGCT-3'のシーケンスを持つDNAを重水ヒドロゲル構造内に組み込みます。血液凝固因子トロンビンを局所で活性化し、フィブリン網形成を強化する事を考えます。トロンビン結合アプタマー- 5'-GGTTGGTGTGGTTGG-3'構造を組み込みます。DNA構造をヒドロゲルの水分子収納の為の骨格として利用しつつ、重水ヒドロゲル内の神経細胞を循環器から放出する際にどうしても必要となる血管の局所的な崩壊による出血を迅速により自然な形で止血できるシステムが組めるかもしれません。逆にPse08-29というDNA構造の方が、超音波により血管が局所崩壊したときによりリスクの少ない止血が可能かもしれません。また血管を止血するときには好中球/マクロファージなど免疫細胞の作用も必要ですが、これらの機能を調整する特定のシーケンス構造を組み込むこともできるかもしれません。いずれにしても重水ヒドロゲルの骨格、クロスリンカーとしてDNAを利用すれば、そのDNA drugとして止血の機能を有しつつ、そのDNAアプタマー自身は水分子をひきつけるヒドロゲルの骨格としての機能も同時に有することになります。
<DNAによるエクソソーム/細胞/組織の血管外滲出>
エクソソーム/細胞/組織を重水ヒドロゲルの水分子の構造内に保護的に安定して複合体化させるためには一定水分子との引力が必要ですが、機能化した静電引力の強い特定の配列を持つDNAをエクソソーム/細胞/組織に複合体化させることで重水ヒドロゲルとの複合体化を実現しつつ、特定の配列による機能を引き出すことができます。例えば、血液脳関門通過に必要なトランスフェリン受容体と特異的に結合する5’-CAC TGT GGA CGT CCA TAG-3’(トランスフェリン受容体結合アプタマー)を複合体化させることでヒドロゲルが崩壊した後にエクソソーム/細胞/組織などが有効に血管外滲出して、実質内に侵入する効率を高めるかもしれません。この時、細胞/組織はトランスサイトーシスできる大きさになく、血管をオープニングする必要がありますが、その時に有効に実質内に滲出していくときにトランスフェリン受容体と結合できる能力があるほうが効率が高いかもしれません。
<転写活性制御としてのDNA drug>
DNAはシーケンス次第で特定の転写因子(mRNA/miRNA/mRNA/siRNA)と結合し、これらの転写活性を改変できる可能性があるため、RNA-DNA connectomeを構築して、DNAシーケンス構造とRNAとの特異的相互作用のデータベースを構築できれば、重水ヒドロゲルの骨格としての機能を有しながら、RNA結合依存的にDNAは細胞内で様々な機能を誘導する事が出来きRNAと同様の多様性を持つ核酸薬物としての機能を有する事が原理的に可能です。例えば、癌細胞死を誘導する/成熟神経細胞への強い分化誘導駆動に関わる転写活性を高めることがDNA-RNA結合依存でできる可能性があります。DNAとRNAを結合させることはたんぱく質にはない課題と利点があります。課題は利点と表裏一体です。DNAとRNAは塩基配列の相補性によって結合性が非常に大きく変わる為、しかしながら、mRNAに対してシーケンス解析ができれば、自動的に結合するDNAの配列が推定できます。このことは人工的に合成でき、DNAアプタマーを自然なライブラリから抽出する必要性がないことを示しますが、それでも人の細胞から抽出されるDNAライブラリから特定のmRNAと結合性の高いDNAアプタマーを抽出する付加価値はどこにあるでしょうか?(43:Fig 2)で示されるようにmRNAは複雑な3次元構造を形成します。また、遺伝子配列に依存しない構造の部位も存在します。装飾もあります。そのような異なる3次元構造を含めて整合するDNAアプタマーを直接的に(ヒューリスティックに)抽出する事が可能になります。それでもおそらく結合特異性はタンパク質よりも、よりDNAアプタマーの方が高い可能性あります。但し、高い結合性を持つDNAアプタマーは特性が高いゆえに限定的になる可能性もあります。一方で、3次元構造まで反映した結合性は、より翻訳後のたんぱく質の3次元構造を反映した最終転写産物への活性への関与となる為、改変できる細胞内の機能がより正確になる可能性があります。重水ヒドロゲルによる薬物送達において無駄のない効率的な薬物治療系統を小児脳腫瘍に対して構築することができます。RNAよりもDNAの方が構造的に安定なため、重水ヒドロゲルを通じて細胞まで保護的に送達する上で、あるいは重水ヒドロゲルの骨格構造を兼ね備えるという点も含めて、より適合性が高いかもしれません。DNAの特異的結合性を利用すれば、RNAだけに限らず、特定のたんぱく質/脂質/糖などとも結合できるかもしれません。そうすれば、これらの物質依存で特定の細胞内機能を誘導できる潜在性もあります。DNAの折り紙構造は構造単位が決まっている部分もある為、人工知能で予測しやすいというとはあるかもしれません。この重水ヒドロゲルでのDNAの潜在性を最大限引き出すためにはDNA折り紙構造は非常に重要な技術項目で、それを計算で支持しする計算機モデル(37)、強化学習、構造予測(38)の研究をすることはこのプロジェクトと整合性が高いと評価できます。
<ゲルでの神経系組織培養の付加価値>
上述した様に光で構造を変えるクロスリンカーは比較的多く存在するため、光をレーザーにしてレンズで集光して走査していけば、(重水)ヒドロゲルにおいて、外側の固体性の高い容器を有しながら、その内部において脳神経系に近い液体とゲルの混合状態を再現できるかもしれません。そのためにはまず、脳内の水分子の状態を知る必要がありますが、そのうえで液体とゲルがどのような状態になっているか定義できれば、液体に細胞成長の為の栄養を持続的に供給する系統を組めれば、神経系細胞は液体培養ではない状態で成長する可能性がありますが、神経連結は発火によって強化される部分もあります。しかしゲルによる培養では、容器と足場が存在するため比較的空間中で固定された状態で細胞系がその環境に応じて恒常性を構築することができます。位置が固定されているのでゲルに外因的に神経発火の為の光を照射することで、神経系の連結を誘導できる可能性があります。このような生体外による神経系連結の制御機構は神経系の組織化に必要な事であり、上述した移植(インプラント)/脳腫瘍の細胞治療どちらにおいても組織形成において一つの付加価値になります。このような光を用いた神経活動の生体外での制御は神経系であるから(場合によれば)必要な事です。
<脳模型実験系と模型を作る意義>
基本的にオルガノイド、細胞の試験管(in vitro)の実験をするときには溶液(液体)中であると思われますが、水とゲルの混合状態にあるような非常に液体に近いヒドロゲルを作ることができたら、新たな生体外の細胞実験系を構築できる可能性があります。特に子供の脳腫瘍を研究するときには子供の脳は水が多いですから、神経細胞と神経膠腫を混合させて、その環境をゲル/水の混合状態にすることで非常に実環境に近い実験系を生体外に構築できるかもしれません。その時に外枠を安定な化学結合のゲル状態にして区画にはまるようにして、内部は水とゲルの混合状態のような混沌とした状態にして細胞を培養する事を考えます。そうすると磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の頭部の模型内に非常に実環境に近い状態での細胞実験系を構築でき、装置機能の改善/最適化/評価/データベース構築において非常に高い整合性を示す可能性があります。これを実現するためには一定の体積のヒドロゲルを作った後のプロセスで光プローブなどで走査して化学結合状態を改変するようなプロセスが必要になります。これができると磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発に限らず、人の脳神経系の実験系が生体外で手に入ることになりますから、この分野の発展が期待されます。オルガノイドを作るよりも倫理的問題もやや緩和的です。
磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の応用は脳神経だけではなく体の他の部位へも展開が可能です。形状的に頭部のように無限の開口径を実現するような超音波信号の集束性を実現する事は難しいですが、身体を挟み込むように集束超音波(トランスデューサー)を設置して、前後部から緩衝材を挟んで超音波信号を集束させることは可能です。このような装置を開発し、特性確認/改善を重ねていくためには頭部と同様に身体の音響特性と近い模型を作る必要があります。臓器も含めてヒドロゲルで形成するとしたら、バルクとしてのヒドロゲルが必要になりますが、こうした身体の環境に合わせたヒドロゲルを作ることは人工臓器(オルガノイド)形成の研究開発にも貢献する可能性があります。ヒドロゲルで区画化された閉空間の中に水とゲルの混合状態があり、栄養物質を逐次供給して、体の中に近い形で臓器を自己形成させることを考えます。一定の大きさが必要ですから、この時にヒドロゲルのバルク合成の技術が貢献する可能性があります。人工臓器を形成する環境で外枠を化学的ヒドロゲルの比較的安定な容器で囲い、内部をゲルと水の混合状態のような環境にし、そこに細胞培養のための栄養/排出を穴をあけてチューブで継続的に実現することを考えます。こうすれば、大気が環境中にほとんど入らなくなりますが、開放的なビーカー上の培養系と比べて、どのようなメリットがあるでしょうか?例えば、空気中に浮遊しているウィルス/細菌も含めた様々な不純物を顕著に下方制御できるかもしれません。体の中にはそうしたウィルス/化学物質などの浮遊物がアクセスできるような開放的な環境では少なくともないからです。また大気中の酸素濃度は約21%で共通ですが、身体は部位によって酸素濃度が異なり、酸素濃度が多い動脈でも大気中よりも酸素濃度が小さく、その他、実質ではさらに酸素濃度は低くなります。開放系の酸素過剰状態がオルガノイド形成に影響を与える可能性があります。チューブで制御すれば、任意に環境に合わせて酸素濃度を調整することができます。チューブで送る形式ではグローブボックスなどさらに外部環境のコンタミネーションを減らした条件で実験系を組める可能性もあります。但し、最終的に臓器の大きさにしようとすると機械的強度に耐えるために外枠も含めてかなり大きなヒドロゲルを形成する技術が必要となります。そのためにはヒドロゲルの骨格を形成する膨大なiPS細胞が将来的に必要になります。ただ、外枠の一部は人工骨格(Artificial bone)とすることもできます。従って、ヒドロゲルをバルク形成する時の基盤として人工骨格を作ることが重要になります。人工骨格の3次元ネットワーク構造を外枠の合わせて加工により構築できれば、ゲルの化学的特性を位置特異的に最適化しなくても、骨格がある事で外枠としての強い構造を実現できる可能性があります。ゲルの役割は外部環境と独立させるための骨格の間を埋める生体適合性のある水を多く含んだ材料とこの場合定義できます。どちらにしろ、脳模型を作る際に頭蓋骨が必要になりますから、その時に人工骨格をバルク形成する技術が必要になります。体の良い模型を作れるというのは単に磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発に貢献するだけではなく、人工臓器/オルガノイドの形成、動物を犠牲にしない人の生体外の最適な生命科学の実験系の構築にも貢献すると考えられ、将来的な需要は確実にあると推定できます。人工骨格を3次元的に任意に加工する技術は音響特性を評価するための身体の模型を作る際にも必要になります。最終的なイメージは音響特性の顕著な影響を与える骨格を人の頭蓋骨だけではなく全身の骨格構造に合わせて人工的に再現し、その間をヒドロゲルで埋める事を考え、各臓器の位置には臓器そのものの組織は作れませんから、臓器の音響特性に合わせたヒドロゲルを位置特異的に形成することです。
<重水のゲル特性>
重水素の質量が大きいため、量子トンネル効果/分子振動/移動度が小さくなるため、反応速度が水素に比べて低くなります。この傾向はユニバーサルなため生体の中で生じる分解速度が低く、物質的な安定性が高まることを意味ます。従って、重水ヒドロゲルは循環器での寿命が、水のヒドロゲルよりも長くなる傾向にあると考えられます。但し、このような反応速度の遅さは水を必要とする細胞を培養する場合には顕著に細胞の生存に影響を与えると考えられるため、基本的に人の身体の中を再現してゲル中で細胞を組織化する場合には、内部は通常の水のヒドロゲルにする必要がおそらくあります。水のヒドロゲルは重水による造影ができませんから、該当する範囲の体積分は外部を重水で覆ったとしても信号強度は低下することになります。ただ、外部の重水からなるヒドロゲルは同じ骨格条件でも傾向として硬く、安定になる傾向がありますから、「容器」としては適していることになります。ただし、周辺環境だけではなく、細胞の足場として水素が重水素に入れ替わっている場合には、硬さが違うので細胞の増殖/分化の条件が通常の身体の中とは異なり、硬くなるため、おそらく増殖性は向上すると推定されます。同じ条件を基本的には再現できないという事は留意しておく必要があります。重水は水素結合が強いため、液体としての動性が水よりも低いため、3次元的なポリマーの中に吸水されにくいと考えられます。従って、電荷の強い多糖や核酸などを骨格としたとしても通常の水のように含水率を向上させるのが難しいかもしれません。薬物の重水スイッチは薬効延長させる効果があります(44)。これは水素結合が安定していることに起因します。最大でその速度差は9倍に達するといわれています(45)。重水ヒドロゲルに特定の機能があるDNAを利用する場合、一定水分子と相互作用しますが(46:Figure.1)、重水の場合は水素結合が安定の為、ヒドロゲル分解後の重水分子によるDNAの保護、寿命という観点で優れている可能性があります。これは他の内包する物質でも水素結合によって重水と相互作用する場合には当てはまることです。ヒドロゲルももちろん造影の観点では全て重水にすることが好ましいですが、特性を部分的に変えたい場合には、重水の層と水の層を分けて複合体として形成することもできます。例えば、最外周部の濡れ性(液性)を上げたい場合には、重水ヒドロゲルで固めた後、外側に水のヒドロゲルを形成することによって可能になるかもしれません。重水と水を混合液にして中間の特性を持つヒドロゲルにすることもできます。この時、重水と水の光に対する挙動を利用して、任意の位置に対して重水(あるいは水)の濃度を局所的に高めるような操作もできる可能性があります。そうするとゲルの物性の(設計)自由度もより高くなります。
<分離技術の展望>
この内容を日本/世界の読者の方々に向けてブログで公開するのは、その方がよいと今日、判断したからです。結局、今から述べる技術を成立させるためには、重要性の一部はここで文章で伝えることができますが、強い愛着/粘り強さ/知恵/経験/技術/資源(人/モノ/金銭/時間)を必要とするもので技術として成立するかどうかもわからないからです。ただ、述べることでこの技術の本質が伝わって、重要性/価値を理解し、(私以外に)これらの多くの条件を満たす人/団体は(まずは日本国内)/(世界)で見えると思うので、それは私自身にとっても欠くことができない価値になります。日本/世界の研究開発を見ていても応用として顕著な価値を見出せるようなものでも多くの人から関心を得る事ができなければ、それが花開くことはありません。例えば、私は企業の研究開発をしているときに斜め面のサファイヤ基板上/AlGaN/斜めファセットR-GaN活性層からなる窒化物半導体を(おそらく)世界で初めて作りましたが、その技術は関心を得ることなく埋もれてしまいました。今まで日本/世界の人に5年近くにわたり(41)医療の部屋を通じて無料で情報公開してきた総合的な価値/気持ちは伝わっていると思います。自分が生み出した草案(創案)に世界的に関心を持ってもらえるという事は(時に悪感情を抱くこともありますが)確かに嬉しい事です。一方で、関心を持ってもらえるからこそ責任も生じると思います。私自身がその世界に対する責任を果たすうえで最も大切にしたいことは倫理です(40)。その倫理観は具体的に何か?立場の弱い人(特に障がいを持つお子さん)に寄り添うということです。新生児/小児医療は利益を上げにくい領域で、政府が補助金を出さないと企業もなかなか手を出せない状況ですから、そうであるなら、私は率先してしようということです。それが私の倫理感であり(声が世界に届きやすい私において)世界に対して責任を果たすという事です。子どもは自立がでませんから、立場としては全体的には確実に大人に対して弱いです。特に重い疾患など障がいを持つ子供を保護する事は親御さん以外にも社会的に求められることです。もちろん全員がする義務はありませんが、手を差し伸べるという人が(一部に)いるという事は社会的に重要な事です。私はそれに率先して立候補します。
今から述べることは技術的に実現し、本当に完成度が上がると、それをもし一つの製薬企業が実現したら、(少なくとも一部の)市場総どりなるくらいのインパクトのある事です。それについて述べます(今日は本音をいうと朝の時点で更新を止めたいところですが、迅速に伝えたい内容なので即時発表します)。上の(特にDNAアプタマーの)段落で気づいた方もいると思いますが、人の身体の中にある物質の分離能力が高まると本当にそれが可能な団体(企業)にとって世界が変わるくらい色んな事が前進すると思います。体の中の臓器/組織を分けることは比較的簡単ですが、細胞レベルになると難しくなります。京都大学iPS細胞研究所では分化誘導した細胞種を精製するという技術は取り組まれていると思います(42)。その技術は本当に貴重なものになると想定します。細胞種でも分離できる。細胞種が(細胞膜表面に)発現しているたんぱく質(サブタイプ/構造)レベルで単一細胞レベルで分離できる。(細胞が放出する)/(循環器などの遊離する)細胞外小胞が分離できる。それが分泌細胞種レベルで分離できる。発現たんぱく質レベルで分離できる。(細胞が放出する)/(循環器などの遊離する)たんぱく質/多糖/脂質がサブタイプレベルで分離できる。分子構造レベルで分離できる。それぞれレイヤー/レベルがあり、私の人生でどこまで到達できるかわかりませんが、このレベルが上がれば上がるほどそこから開ける空間(場/フィールド)のレベルも変わります。例えば、iPS細胞から機能別で分離した特定の細胞種が精製されています。その状態で分泌された普通の細胞よりも物質群が精製された非常に多様な物質をたんぱく質/多糖/脂質を構造レベルで分ける技術があるとします。それらの構造を分けるときに対となる結合する物質がわかり、分離過程でその結合そのものを利用すれば、標的となるあらゆる生体内の分子と結合性を有する物質を精製できることを示します。工夫すれば結合ではなく、分解性のあるたんぱく質も精製できるでしょう(例えば、分解したい病原性のあるたんぱく質を指定し、沈降媒体(細胞外小胞)に複合体化させます。そのタンパク質に対して結合性のある物質をライブラリアから選別しますが、その時に溶媒は化学反応が進みにくい不活性な液体とします(低温/PBS(リン酸緩衝生理食塩水)/トリス緩衝液など)。沈降し、結合性ある物質を選別したら、病原性あるたんぱく質を分解させたい環境条件を部分的に再現します。例えば、癌であれば温度/酸性条件/水分子濃度などを最適化します。それで分解が生じれば、物質が遊離するので、重さに応じてより軽くなった遊離物質を抽出します。その物質は完全な構造は保持されない可能性がありますが、断片情報を読み取ることで物質の特定を試みます。この時には、分解したいたんぱく質も分析する必要があります。それが断片になっていれば分解活性があるという証拠になるからです。)。そうするとその物質をゼロベースで人工的に合成する必要がなくなります。確かに人工合成したほうが機能性が高い/コストが安い/製造精度が高いという可能性もありますが、体の中から合成できる何十乗も種類がある物質からスクリーニングすることができるようになります。あらゆる層の精製技術レベルが非常に上がると製薬の為のコスト/資源(ヒト/モノ/カネ/トキ)が最終的には非常に下がると思われます。細胞も人為的にエンジニアリングすることもできます。薬物合成の為の装置がいわば細胞になるわけです。それを最大限生かすためには分離精製技術が必要になります。分離技術ができることはこれだけではありません。私が医療プロジェクトの中で中心的に据える細胞外小胞分離技術によって、場合によれば、環境中のウィルス/細菌モニタリングにも生かすことができる可能性があります。精製分離技術を手に入れた企業は非常に幅広い分野に手を広げることが可能になります。従って、私はこれを(高い倫理性を持って)生涯かけて本気で行います。私の医療プロジェクトの材料開発を含め全体に関わる事だからです。例えば、この記事の重水ヒドロゲルに関してもヒアルロン酸は確かに重要ですが、子どもの神経細胞から分泌される大量の種類の物質からヒドロゲル形成に最も適した材料を選ぶときも、もちろん大分類としてはヒアルロン酸である可能性は高いですが、ヒアルロン酸の中でも分子量/荷電性が最適化された物質を精製できる可能性があるし、それは子供の神経系とゲルという特性において非常に高い親和性を示すことになります。そのためにはiPS細胞で高精度で分化誘導した最適な神経系細胞が必要であり、その細胞から分泌されるゲル形成に適した物質を分離する技術も必要となります。それができれば、プロセスを最適化すれば、それをそのまま生産過程として適用することもできるようになります。「One size fits all」という言葉がありますが、分離精製技術は「One size fits half」くらいのインパクトはあるかもしれません。この重要性は日本の方に伝わってほしいという気持ちはありますが、多分まだ十分に伝わっていないと思います(これからの私の重要な仕事です)。冒頭で述べたようにこういった案も価値を理解してもらえず関心が得られなければ埋もれてしまいます。私自身、粘り強く継続的に実施していく必要があります。これはもちろん私の頭の中で閉じておいて、限定的な人に伝えるという道もあります。でもその限定的な人に関心/愛着を持ってもらえるかわかりません。世界には私の倫理観が伝わり、同時に高い倫理観を持っている方々もたくさんいます。その中でこの分離技術の本質的な重要性が伝わる方がいれば、この困難な技術は(将来的に)花開く可能性があります。少なくともある特定の企業がこの分離技術ができるようになれば、経営は少なくとも楽になるはずです。色んな事業戦略が打てるからです。
ただ、単に結合できるだけという観点ではモノクローナル抗体でそれがすでに実現されている為、顕著な付加的な価値は当然必要になりますが、モノクローナル抗体は分子量が比較的大きいため、特殊な条件を除いては細胞内に侵入できないため、直接的に細胞内でRNAなどの転写因子に作用させることは難しいです。上述した様に細胞から放出された物質(DNA/RNA/タンパク質/脂質/多糖など)ではそれが可能になりますが、分子量が小さくなるため、分離技術はモノクローナル抗体よりは高度になりますし、上述した様に特に製薬として利用する場合は、量産性/品質が求められるため、増幅/(3次元高次)構造再現性などを確保する事がモノクローナル抗体よりも顕著に難しいです。従って、分析の為の特異的分離よりも、薬剤応用として分離するほうが難易度は高いと評価できます。
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細胞腫特異的薬物送達システムの血管外滲出技術
<背景>
トランスサイトーシス(血管外滲出)は特に脳神経系の細胞腫特異的薬物送達システムにおいて、脳神経系では血液脳関門があり、血管外滲出効率が最大で2桁程度低い事から、小児脳腫瘍の高度標的型薬物治療において、最も重要な課題の一つです。私が2020年9月から継続的に取り組んできた唯一の一貫した医療技術である(s)細胞種特異的薬物送達システムの実現の主要な律速因子です。上述した様に治療疾患対象を小児脳腫瘍と2024年8月20日に決定しました。その理由は、医療の部屋では継続的に小児医療に最も力を入れてきたことと、元々、医療の部屋を始めたきっかけが痛みのない癌治療、すなわち副作用の少ない癌治療の実現を考える事でした。これらの経緯から、必然的に対象疾患は小児がんとなり、小児がん全体に関しては、全日本の病院と連携して小児がんサバイバーシップ(生存者権)の高度な構築を目指します。一方で、上述した様に医療の部屋で医療技術として最も力を入れてきた細胞腫特異的薬物送達システムにおいては、領域ごと細胞種が非常に細かく区分された脳腫瘍である事と、現在の私の認識では小児脳腫瘍の内科の学会がなく、日本小児神経外科学会/日本小児血液・がん学会/日本脳腫瘍学会が小児脳腫瘍と近く、小児脳腫瘍に特化した学会はなく、日本脳腫瘍学会の治療プロトコルで示されているように外科(手術)が第一治療とされます。小児脳腫瘍の薬物治療については様々なカプランマイヤーカーブを世界のデータを見る限り、まだ課題は多いと判断され、この技術は果たせる役割は大きいと判断したからです。もう一つ、私が一貫して医療の部屋で力を入れてきたのは細胞外小胞であり、現在研究の主流であるバイオマーカーとしての利用よりも、私に関しては薬物送達媒体としての利用を想定して調査を進めてまいりました。現在、ドラッグデリバリーの分野ではmRNAワクチンの世の中の潮流もあり、アメリカを中心に合成ナノ粒子が薬物送達媒体として第一選択肢で主流です。細胞外小胞は自然の細胞から放出される粒子(小胞)で、大きさ/物質構成など多様性が高く、薬物として特性をそろえて最終的に製造することに大きな困難があり、現在、世界では薬物送達キャリアの選択肢として一部としては注目されているものの(127)、主流ではありません。では、私はなぜ細胞外小胞を薬物キャリアとして選択したのでしょうか?その一番の理由は、iPS細胞技術と非常に高い親和性を持つからです。この技術を日本で代表的な医療技術して進めていくにあたり、同じように(既に)日本の代表的な医療技術と連携/協力することは互いの技術の相乗的な発展につながるからです。例えば、iPS細胞技術によって分化誘導された神経系細胞から分泌されるエクソソームを細胞腫特異的薬物送達システムの薬物送達キャリアとして定めた場合、最終的な製造段階ではこの薬品の最も上流の工程は、iPS細胞技術による特定の神経系細胞の分化誘導にあり、いわば、iPS細胞がエクソソーム製造のための工場となります。当然、生産のため、多くのiPS細胞が必要になりますから、必然的に製造技術は段階的に向上し、洗練されることで価格も低下します。この生産技術がドラッグデリバリー以外の領域でも水平展開されると、iPS細胞が患者さんがお求めやすい価格で普及しやすくなります。そもそも山中先生がiPS細胞技術の「i」を小文字にしたのは、この技術の普及を考慮されてのことだと伺っています。日本政府としても数千億円投資してきた日本の代表的な技術ですから、当然、日本国民を含めて社会に価値あるものとして還元する必要があると考えられているでしょうし、私の技術がそれにベクトルを合わせることで、日本からの支援が得られやすくなるという公算と、そのような一部、打算的な事だけではなく、日本の代表的な技術が密接につながった医療技術に対して国民の皆様も愛着を持っていただけるだろうし、一部、税金の投資に対する納得も得られるだろうということです。私自身としては、この技術は小児脳腫瘍の治療の為であり、その対象は日本だけではなく、世界全体としている為、世界の国々とも協力しながら進めていくにあたり、よく日本の関係者の方と相談しながら、海外からの投資も呼び込みます。また、日本においてもこの技術の価値を一般的に訴求することで民間投資も促すことを継続的に行います。すなわち、公的資金だけに依存しない形で研究開発していく道も模索していきます。
少なくとも私の中で磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発は重水ヒドロゲルの病変部位特異的送達も含めて細胞腫特異的薬物送達システム実現において必須であることを考えると直近でこの装置の開発の重要性は私の医療プロジェクトの中で相対的に上昇しました。その意思決定を駆動した一つの理由は私のキャリアにもあります。2020年の前の15年程度のキャリアは物性物理/光学などを専門としましたから、その長い私のキャリアを生かすことができると考えている部分もあります。もう一つは、重水ヒドロゲルを構成するたんぱく質は細胞外マトリックスとするのが自然であり、その合成のためiPS細胞工場を利用できます。このiPS細胞技術の発展にも関わる大切なコンセプトは崩れないと考えたからです。エクソソームは細胞レベルでの薬物送達が可能なので、この解像度はレベルが上がれば、確実に超音波焼灼を超越します。また、エクソソームと焼灼の技術は競合というよりも相互補完的という側面が強いです。重水ヒドロゲルの標的性が上がってくると内包するエクソソームを保護しながら近隣の毛細血管まで送達可能になりますから、そこから細胞レベルの段階的な薬物送達が可能になります。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の病変部位特異的な組織焼灼/機械的刺激/温度刺激は重水ヒドロゲルの造影が必要ですから、この技術開発はエクソソームによる細胞腫特異的薬物送達システムの重要な要素技術開発とも両立します。また、エクソソームの開発は、もう一つ重要な細胞腫特異的細胞外小胞分離技術とも要素技術が両立するため、その点を考慮すると重みづけを大きく変える事は出来ません。ただ、個人的にはエクソソームによる細胞腫特異的薬物送達システムの絶対的価値がほしいという強い思いがあるので、それはこれから研究開発する段階で注意深く発見していきます。基本的に重水ヒドロゲルは循環器の免疫応答とかも考えると骨格のたんぱく質は生体内にある自然な細胞外マトリックスを使いたく、質の良い線維芽細胞が欲しいのでiPS細胞工場は必要です。重水造影媒体が赤血球になったとしても安定的な特性を得るためにiPS細胞工場が必要です。私の医療プロジェクトの選択がもう一つ日本医療(産業)において重要なiPS細胞技術の特に「産業化」という所に影響を与える可能性があるので、それは現時点でもかなり意識しながら重みづけを調整しています。一方で、小児脳腫瘍で命を落とす子供を撲滅するというのはそれ以上に強い思いがあります。従って、それを実現するために最善の方法を選択したいという思いもあります。ゆえに、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発の重みづけを私の中であげることを決断したという経緯もあります。ただ、非常に複雑に交絡していて、説明が必要です。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の重水ヒドロゲルの造影技術は今の時点で全ての展望が鮮明に見えているわけではありませんが、再生医療の評価として利用できる可能性があります。iPS細胞由来分化後細胞群のたんぱく質の表面マーカーがある、あるいは/かつ、特定の免疫細胞/サイトカイン/ケモカインなどが集まる性質を有し、そこに造影可能な重水ヒドロゲルを設計して集めることができたら、どこにiPS細胞分化後の細胞が組織に生着しているかを「視覚的に」分析する事が可能になります。これが可能なら価値がありませんか?細胞外小胞の分離技術はiPS細胞の再生医療の評価の為に利用する事が応用の一つとして私の頭の中にはあります。これは液体生検になります。一方で、重水による造影の場合は、視覚的情報になります。基本的にはエクソソームによる薬物送達システムが完全に淘汰されないように価値を見つけていく必要はあり、それはiPS細胞工場の「産業化」という所に影響を与えますが、現時点でどのようなシナリオになったとしてもiPS細胞の技術に研究開発/産業応用において少なくとも悪影響はなく、明らかに好影響があると評価しています。
<技術的背景>
細胞腫特異的薬物送達システムには体の区画に応じ、多層的な標的機序を組み込む必要があります。患者さんの血液中に薬物を投与した後は、全身の血管を循環し、脳腫瘍であれば、腫瘍形成した脳の特定部位に薬物が効率よく送達される必要がまずあります。その後、腫瘍形成した付近の血液中から血管外滲出して腫瘍が形成される実質内に移動します。そして腫瘍を形成する癌細胞に付着し、細胞内に取り込まれて、細胞内で薬理を果たすように細胞内でも薬理が作用されやすい部位に送達されるように調整する必要があります。もともと、私が2020年に細胞腫特異的薬物送達システムを創案したときは、非常にシンプルな機序です。癌細胞特異的な表面タンパク質があるはずなので、それに特異的に結合するたんぱく質をナノ粒子の表面に装飾して、送達効率を向上させるというアイデアです。このわずかな言葉で説明されることに技術的なコアは収束します。しかしながら、薬物が投与されてから、癌細胞内で薬理を果たすまでの経路を詳しく/具体的に考えていくと、当然、細胞に引き寄せられる機序は大切なのですが、血管外滲出の機序も考える必要があります。特に脳腫瘍の場合は、血液脳関門があるので、脳神経系の薬物送達システムでは一番中心的に考えられる課題です。脳腫瘍が形成されたときには、血管進出しやすいような脳血管としては組織学的に不完全な血管系(blood–tumour barrier(128))が形成される可能性があり、何も技術的な工夫をしなくても脳腫瘍周辺に薬物は集まり、効率的に血管外滲出する可能性がありますが、小児脳腫瘍の場合は非常に亜型(サブタイプ)が多く、悪性度が高いものであっても、一般的に定義されるような上皮細胞に形成される突起(結節)のような塊のような組織ではなく、通常の神経系細胞と連携しながら(129,130)、間葉系幹細胞のように実質に混在/浸潤して存在するびまん性(拡散性)の癌もあります(131)。一般的に結節のように塊の固形組織を形成する脳腫瘍の場合は、手術適応性が高いですが、びまん性の場合、腫瘍組織の境界を定義する事が難しいため、悪性度が高い場合には特に治療が難航します。そうすると当然、薬物治療の依存が高くなるため、必然的に薬物治療を考える場合には、外科適用されにくい、境界が不鮮明なびまん性の脳腫瘍について考える重要性が上がります。このびまん性の癌に関しては血管系が通常の血液脳関門から大きく変性していない可能性もあることから、小児脳腫瘍の効果的な薬物治療を考える際には血管系の変性を加味しない、通常の血液脳関門がある事を前提として開発する必要があります。このような背景から、この記事では薬物キャリアとしてのエクソソームの血管外滲出をテーマとしています。
<技術的概要>
細胞外小胞には大きさに偏差があり、現在想定している大きさの範囲は50-130nmです。述語体系上の定義ではエクソソームとなります。基本的にはエクソソームは小胞なので一定の大きさがあることから、腎臓など特定の臓器を除いては細胞間のルートで血管外滲出させるトランスサイトーシスさせる事はあまり期待できないため、細胞内(transcellular)のルートでトランスサイトーシスさせる事を考える必要があります。脳神経系の血管のバリア構造は上述した様に血液脳関門(blood-brain barrier)と呼ばれます。血液脳関門に限らず、一般的な血管壁構造の通過を考えるにあたり重要なことは次の7つの項目が考えられます。(01)できるだけ細い毛細血管への分布/(02)標的付近での内膜近接領域滞在時間向上/(03)小窩の利用/(04)細胞内小胞膜との強い結合/(05)基底での効果的な離脱/(06)局所的、かつ一時的に血管内圧を上げる事/(07)細胞内小胞化を誘導する膜タンパク質との結合。血管は径に沿って組織構造を変え、末端にいけばいくほど分布は局所的/細くなります。毛細血管の役割は実質の細胞への栄養供給が主な役割なので、全体的な傾向として径の太い血管よりも血管外滲出に優れます。これは脳神経系の血管でもおそらく当てはまります。従って、薬物を血管外滲出させるときには毛細血管への効率的な誘導と、毛細血管組織を評価して、組織学的事実に基づいて、効果的な血管外滲出機序を定義する必要があります。こうした自然な機序を利用するほかに、外因的に患部にエクソソームが送達されたのを確認して、集束超音波で血管を機械的に刺激して((06)の血管内圧上昇と関連)、血管外滲出を促す方法もあります(132)。現時点でどちらの方法にも依存することなく、技術的成功の確率を上げるために両方の技術開発を進める予定にしています。
<評価1>
従来のドラッグデリバリーシステム研究では、人の身体で薬物の患部までの送達効率を評価する特別な重要性を謳った総括論文は私が調べる限り多くありません(133,134)。薬物が実際に患部に送達されているか評価するというのは、今この文章を読んだ人からすれば当たり前のことに様に思えるかもしれないですが、実際に人の身体は光はほとんど通過しませんから、光学顕微鏡などで体を損傷させず、体の深部を観察することが基本的には難しいので、少なくともかなり挑戦的なことではあります。私の分析では、逆に今までこれができる革新的な技術が臨床応用されていたとしたら、今の治療の主要選択肢が異なる可能性がありますし、現在不治とされる疾患のいくつかはそうではないかもしれません。それくらいインパクトがあり、重要な事です。バイオマーカーを代理(プロキシ)として見るという方法では、すでにいくつか世界で提案されているかもしれないですが、リアルタイムで画像でみるとなると相当挑戦的で研究レベルでも世界で例を見ないことです。それが可能になるかもしれないのが重水を使った磁気共鳴分析です(135)。水を含む安定的かつ大きな代理材料を用意してエクソソームと複合体化/ガドニウム添加/MRI測定範囲の限定などいくつかの工夫を重ねることによって観測可能な感度まで上げることを試みます。この時、エクソソームは造影の為には小さすぎる事と造影の為に重水素を高濃度で含有させることが困難なので、少なくとも重水と可換な水を含むエクソソームと複合体化できる大きな代理材料が必要で、その候補としては赤血球とヒドロゲルがあり、どちらでもいいし、過剰に選択性を限定すべきではないですが、赤血球の場合は細胞内に水を含みますが、アクアポリンから水がどんどん抜けていくため、造影時間が少なくとも限られます。この技術は東京大学と協力して実施したいと私は考えています。東京大学は伝統的にヒドロゲルの研究が盛んな事と(136)、ヒドロゲルは薬物送達として既に考えられて先行技術参照が可能な事(137)、ヒドロゲルは細胞外マトリックスと水を混合させるので、私の医療プロジェクトでの大きなテーマである細胞外マトリックス技術/プロテオーム解析と融合できる事、ヒドロゲル中の水は比較的固定的で安定な事などからおそらく最有力な選択肢になります。またヒドロゲルの水を重水にする研究は世界にまだほとんどなく、ヒドロゲル研究自体においても新たな知見を示す可能性もあるので、そうした新手としての魅力もあります。それをしかも重水のMRIで見て、かつリアルタイムで患部の薬物送達を観察しようということですから、直列的に世界に例を見ないことで、この研究をして逐次(英語を含めた)記者/新聞/論文発表すること自体が日本の研究開発力の世界へのアピールになると思います。その研究の臨床応用までの道筋はすでに明示しており、基礎医学報告だけに目的化されたものではありません。日本/世界の子どもの脳腫瘍の治療のため行わるものであり、その実現の為、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波の装置開発までしようという事です。それを日本国内の地域/企業の発展を考えてするわけですから、私の医療の部屋の活動を好意的に観てくれて支援して下さる専門家の方はこの価値は一定理解していただいているとは信じていますが、公的に支援する上での価値を評価する人は細かいことも含めてわからない部分もあると思うので、ここで訴求/明言するに至ります。追記することがあるとしたら、結局、医師(先生)の手から離れて、患者さんに薬剤が投与されたら、その後、薬物が体の中でどうなっているかはわからず、基礎/臨床試験の結果と患者さんの病態から推定するしかなく、薬物送達の評価はその間を埋める重要な評価という事です。今はまだ存在しない評価システム自体の構築ですから、成功したら当然、今まで誰も見たことがない現象をみるわけですから、何らかの未知の発見が生じても不思議ではありませんし、すでにこの記事を書いている途中に「必ずしもエクソソームはいらないかもしれない」という気づきもありました。2025年1月31日に報告させていただいた1次評価に記載したことですが、私が提案する医療プロジェクトは全ての技術が複雑に/有機的につながっているので、1つ失敗が全体に影響を与えますが、逆に1つの失敗を他の目的で補うことができるシステムになっています。例えば、ここで述べた薬物送達システムの評価は何か物理的な制約で「絶対に無理(簡単にはそう判断しない)」ということがわかってしまったとしても、エクソソームを使った薬物送達システム自体の開発が終了するわけでもなく、それはiPS細胞技術の発展にもつながります。また、評価装置開発も別の脳腫瘍組織焼灼/水頭症治療のための開窓形成など別の目的もあり、その目的は果たせる可能性があります。一つの医療技術項目が複数の目的を果たすようにしているので、1つの失敗が全体的に影響を与えてしまうというリスクもありますが、逆に失敗したときにリスクヘッジ戦略も構築しやすいということがあります。
下述するように重水ヒドロゲルの分布を体の中で可視化できるという事は、重水ヒドロゲルに病変部位特異的送達機能があれば、体の外からリアルタイムで病変の位置がわかるようになります。幸いにも重水ヒドロゲルを造影できる磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置は同時に超音波に温度上昇/機械的刺激という基本的な治療機能がありますから、その治療機能に基づいて、病変部位を特定した状態でリアルタイムで外科的に治療できることを示します。当然、私は小児脳腫瘍の治療の為、この技術開発をしていくことに最も力を注ぎますが、これを読んだ専門家の方は利用範囲がこれだけではない事が明らかな事には気づかれると思います。例えば、炎症が生じている血管の部位がわかり、そこに対して(穏やかな)温度上昇/機械的刺激が数十μmオーダーで高精度にできるようになったら、特に冠動脈/大動脈など重要な血管など循環器の治療において何らかの変化をもたらさないでしょうか?この可能性を考えると当然、私が担当する研究開発がどういった進捗を示すかによると思いますが、その結果次第では、同時進行で脳神経系以外の領域でもこのコンセプトが生かせないかの検討は必要だと思われます。日本は(私も含めて油断しなければ)この研究開発を先導する事ができると私は考えています。なぜなら、この構想を実用化する企業の技術者としての目線も含めて分野横断的/全体的に理解しているのは私自身であり、私は日本人だからです。同じ日本人という共感も必要です。仮に日本以外の国の人が私のこの細かい技術的なノウハウを無料で掲載した医療の部屋を読んで着想を得て、日本よりも資源を投資して先に高性能な磁気共鳴/(経頭蓋)集束超音波装置を開発することになったとしても、私のこの医療の部屋が事実としてインターネット上にある限り、(ローカルなプロジェクトに関しては可能性はあるにしろ)日本を完全に無視して独自に国際的に大きなプロジェクトを進めようという話には少なくとならないと思います。もし、日本が国際的なグループに入れないとしたら、それは私のこの構想とは全く異なる様式でより医療において付加価値の高い構想が示された時だと思われます。従って、日本国の船に乗って、この構想を基に地図を描いて航路を決めて、生涯かけて一緒に航海するという事です。この船に搭乗する人はその覚悟があるかということです。私も気候(天気)のように心が変わる気分屋といわれていますし、その自覚があるから、私自身も変わらんといけんのんです。すでに2024年の7月から医療プロジェクトを考え、軌道修正しながらここまで来ました。途中、蛇行する部分もあったけど、私自身、気分屋でありながら、決めたことをしっかり気持ちを変えないでやり抜くという部分において変わってきているのは伝わっていると思います。1月31日の1次評価報告までしっかり約束は果たしました。年末年始も休まず活動しました。それでも(特に数年以上ブランクがある社会性も含めて)まだ不十分で変わらないといけないのです。でも変わる必要があるのは私だけですか?とは伝えたいです。このプロジェクトをするとなったら、海外と協力するにしても、日本としても私としても今までの歴史で未経験の困難なことに勇気を出して挑戦するわけですから、その決断を称えるべきです。当然、研究開発/産業化/(国内/海外)連携/コミュニケーションなどで失敗もあると思います。でも、失敗のたびに何が原因だったかを分析して繰り返さなければいいです。逆にその失敗の中での成功もあります。コミュニケーションで少し興奮して人を傷つけたりしたこともあるかもしれないけど、一方でこれは気持ちを込めて伝えてよかったという事もあります。
<評価2>
評価1では重水MRIによる薬物送達評価について記述しましたが、その方式だけに依存せず、バイオマーカーによる分析の可能性も追究する余地があります。1次評価として報告を上げました通り、細胞外小胞分離は非常に重要なテーマで私の医療プロジェクトの骨格を成します。細胞腫特異的な細胞外小胞分離が可能になることがあります。薬物キャリアであるエクソソームがmiRNAなど細胞への痕跡を残すマーカーとなる作用/物質を作用させたい薬物と同封します。癌細胞から出る細胞外小胞を細胞種特異的な分離によって検出し、識別可能なmiRNAなどのマーカー(プロキシ)を検出することで薬物が癌細胞に到達されたかどうかの確認と(より高度ですが)定量を行います。これにより画像診断とは独立して癌細胞への薬物送達評価が原理的には(机上の理論では)可能になります。また、この時、癌細胞から放出された細胞外小胞をアポトーシス小体などもも含めて包括的に分析する事で、アポトーシス小体の分析により癌細胞死を分析できるだけではなく、様々な種類の細胞外小胞に含まれる物質を膜情報、表面タンパク質などを含めて包括的に分析する事が可能になり、患者さん毎の癌細胞の形質を評価できることにつながります。今述べたように表面タンパク質の情報は主に細胞外小胞の膜たんぱく質として一部反映されますから、その分析により、細胞取得的薬物送達システムで必要な癌細胞特異的な表面タンパク質を識別する事が可能になります。
<評価/血管外滲出技術>
重水ヒドロゲルの中にエクソソームを埋め込み重水素に磁気共鳴条件を合わせて若干ガドニウムで信号をシフトさせて重水を検出することでより重水ヒドロゲルの組織中の特異性を上げて検出し、水素共鳴条件の組織画像と重ね合わせて、最低条件として脳腫瘍部周辺のエクソソームが内包された重水ヒドロゲル濃度を評価します。今まで公表していない事として実験条件の提案があります。磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置の開発で必要になる人の脳神経系と物性を合わせた積み木状(区画状)のマネキンを共用します。そのマネキンの任意の区画に循環器特性を有する液体上内に浮遊させた任意の濃度の重水ヒドロゲルを設置します。それでどれくらいの重水ヒドロゲルならば検出可能かをテストする事と、その重水ヒドロゲルの画像を人工知能に特徴量を学習させて、人工知能のソフトウェア上でも検出感度を上げられるように画像推論のアルゴリズムを開発します。画像推論のアルゴリズムは重水ヒドロゲルのMRI画像上の数字データを高次元につなげたり、わけたりしながら、様々な数式テンプレートをカーネルとして畳み込み解析をして、解析項目を考えられるだけ抽出して関数列の番地に割り当て、その関数列と数式の関係性を評価する中で一番ふさわしい数式を特定する事を試みます。この時、超音波解析でも重水ヒドロゲルの解析が人工知能の画像推論/特徴量抽出で可能になる可能性があるため、共通の実験装置で超音波反響/散乱/透過信号からすでに存在するとわかっているマネキンの状態で継続的にデータを取ります。もし将来的に磁気共鳴が必要ないとなると独立した超音波装置だけで薬物送達のリアルタイム評価ができるようになるかもしれないし、MRIと合わせると体全体の循環器も含めてより広範囲に薬物分布を追跡できるようになる可能性があります。また、超音波による気泡生成による薬物の血管外滲出の技術が報告されています(139)。重水ヒドロゲルの少なくとも患部の薬物濃度評価は実際にそこに薬物がある事がわかっているわけですから、そのタイミングで超音波をリアルタイム画像に合わせて照射することができ、場合によれば、重水MRIの信号強度の変化から薬物が開放され、血管外滲出したかどうかも画像でリアルタイムで評価できる可能性があります。これは一段も二段もレベルが高度になり、単に超音波気泡生成による血管外滲出の手順に顕著な付加価値を与えます。(4:Fig.1A)に示す通り、毛細血管は太い血管の間を網目状に分布しています。このように細い血管は機械的に破壊してもすぐに止血されるかもしれないので、もし血管壁を一定破壊することが許容されるのであれば、この記事で定義するような詳細なトランスサイトーシス機序は必要なく、そのまま時空間で制御された形で実質にヒドロゲルから解放されたエクソソームが癌細胞がある実質内にするかもしれません。子供の頭の大きさ/特性に合わせたマネキン設計/磁気共鳴経頭蓋集束長超音波装置開発/細胞腫特異的薬物送達システム評価/脳特異的薬物送達システム血管外滲出。これらが全て有機的に連携されます。重水ヒドロゲルを重水素励起のMRIで可視化すると、血流に乗って癌細胞に周りに一定集まりやすいかもしれないので、局所癌細胞、腫瘍の診断にも使え、薬物を滲出させた後に位置を記憶して、予備的に焼灼照射することも考えられます。将来的に脳神経系に限らず、体内の薬物標的化した物質が可視化できるという事は、薬物治療そのものを変革する潜在性があります。特に磁気共鳴/経頭蓋集束超音波はそれによる治療も可能になるので、その潜在性は非常に高いです。従って、これは時間がかかっても簡単に諦めてはいけません。重水ヒドロゲルは毛細血管の大きさに合わせ、毛細血管中の多滞在時間を最適化すること/(免疫系誘導性も含めて)ヒドロゲルのたんぱく質成分に病変部位標的性を組み込むことで薬物を病変部位に非常に細かいレベルで集めることができたら、その重水ヒドロゲルが病巣がある場所を信号で示してくれますから、小児脳腫瘍をはじめ、癌ではそのままリアルタイムで超音波信号で癌細胞を焼灼することができます。しかも磁気共鳴/経頭蓋集束超音波はあらかじめ、組織分析で大きな代表的な病巣を明らかにしている場合には、その(周辺)部分の細胞を刺激することで代謝を変えて、薬物をより集めることができるかもしれません。そうすると重水ヒドロゲルの病巣シグナルの信頼性がより高くなります。これは癌に限らず、神経系でいえば、炎症が生じていたり、神経異常が生じているところに重水ヒドロゲルを集める事が出来たら、その部分を経頭蓋集束超音波で低強度で病変部位特異的に神経刺激することもできます。重水プロキシ材料としては自然装飾できる特に循環器にある細胞も選択肢ですが、設計の自由度が高く重水の保持率も高い重水ヒドロゲルが一番の候補です。人工性が高く、磁気共鳴/経頭蓋集束超音波装置を含めて人の叡智を結集した技術の結晶である最先端医療工学が、自然が何億年もかけて作り出してきた病気に対して、ここまでのことができる(可能性がある)というのは私も含めて関係者の大きなモチベーションになるのでその点でも重水ヒドロゲルが好ましいです。一方で、これでエクソソームによる細胞腫特異的薬物送達システムがいらなくなるかというとそうではありません。細胞レベルでの標的性は超音波焼灼よりも薬物が優れます。また、重水ヒドロゲルが完璧に細胞レベルで病巣の位置を示すことができるかわかりません。段階的な送達が実際には必要になるかもしれません。焼灼に対してより細かい予備的なアドジュバント治療で細胞レベルの標的性を有する薬物治療が必要になります。重水ヒドロゲルの中にガドニウムなど強磁性材料を高密度で入れたいです。重水ヒドロゲルのベースとなる検出感度を上げるだけではなく、その位置で血管外滲出(BBB opening)/組織焼灼のいずれにしても重水ヒドロゲルからより多くの磁性材料が周りに拡散します。重水素/水素励起いずれのMRIでも信号強度の変化/動きを見ることで超音波照射の重水ヒドロゲルへの作用(重水ヒドロゲルの分解など)の確かな証拠が得られる事と一定の時空間での物質拡散の状況の分析する事が可能になります。ただ、今はまだ実験もしていない状況です。どんな(不都合なことも含めた)結果が出てくるかわかりませんから、有望であると考えられるアプローチに関しては並列的に研究開発を進めていくことが大切ですし、そうしないと小児脳腫瘍という難病に立ち向かうことは決してできません。臨床医学は甘くはなく多くの場合厳しい結果を示します。
<世界の臨床試験の状況>(58:Supplemental information)
MRIガイド/経頭蓋集束超音波の状況を脳腫瘍に限定してまとめます。日本に関しては脳腫瘍の臨床試験はなく、パーキンソン病に対する組織焼灼(tharmoablation)を50人の患者さんを対象に行っています(Zhengzhou,China; Fujisawa,Japan:NCT04002596)。世界唯一のMRIガイド経頭蓋集束超音波装置の市販商品であるExAblate Neuro 4000の対象疾患となっている本態性振戦に関して、患者数100人の規模で多拠点で臨床試験が行われています(Beijing, China;Chang Hua,Taiwan, Multiple sites(Ehime Fujisawa Hokkaido Hyogo Kumagaya Osaka Tokyo), Japan NCT03253991:Study Completion/2023-02-02 )。脳腫瘍に関してはNCT00147056 Boston, Seattle,USA, NCT01473485 Toronto,Canada, NCT03028246 Miami(以上/組織焼灼), USA, NCT03744026 Paris, France, NCT04063514 Santa Monica,USA, NCT03712293 Seoul, South Korea, NCT03322813 Baltimore, USA, NCT03616860 Toronto,Canada, NCT03551249 Boston,Baltimore, Charlottesville, USA, NCT03714243 Toronto,Canada, NCT04021420 Paris, France 2(以上/血管外滲出)。組織焼灼の臨床試験であるNCT00147056/NCT01473485に関しては、進捗状況がわかっていません。NCT03028246は子供/若い人に対する良性脳腫瘍に対するExAblate 4000を利用した安全性と利用可能性評価です。結果に対しては公表されてません。NCT03744026は経頭蓋ではなくカテーテルを挿入した超音波装置であるSonoCloud-9に関する臨床試験です。フェーズ1/2が報告されています(143)。超音波での血管外滲出の効果はガドニウムの血管外滲出をT1加重MRI分析で間接的に行っています(143:Fig 3)。超音波照射からガドリニウム造影剤の投与までの時間が長くなるほど、T1W画像における造影効果が低下するという有意な負の相関が得られていることから血管組織が超音波照射によって破壊されていることが示唆されますが、まだ、組織解析としての分解能に課題があると思われます。(142:Fig 2)のMRI画像を見る限り、信号強度が上昇しているかなり領域が広く、太い血管も含めて広範に血管を破壊している可能性がり、改善の余地がある事が示されています。NCT04063514は低グレードのグリオーマが対象であり結果が示されていません。 NCT03712293はExAblate 4000(type 2)を用いた脳腫瘍抗がん剤TMZに対する血管外滲出の安全性の評価であり、結果が示されていません。NCT03322813はExAblate 4000(type 2)を用いた脳腫瘍摘出施術を計画している患者さんに対する補助的な薬物治療における超音波キャビテーションによる血管外滲出の安全性と実現可能性評価です。結果は示されていません。 NCT03616860/NCT03551249はExAblate 4000(type 2)を用いたTMZの血管外滲出における安全性の評価です。結果は示されていません。NCT03714243は乳がんの脳転移に関する臨床試験であり、ExAblate 4000(type 2)の安全性と実現可能性における評価です。NCT04021420はメラノーマの脳転移に関する臨床試験であり、SonoCloudの安全性と効果を調べます。進捗状況は未知です。
<内容>
細胞外小胞の血管内皮のトランスサイトーシスを考えるうえで最も重要なことから記述していきます。細胞外小胞の一番の可能性(機会)は薬物キャリアとして利用する細胞外小胞の資源細胞の細胞種選択性にあります。必ずしも成熟細胞である必要はなく基本的にほとんどの細胞種から分泌されるので、未分化の神経幹細胞などからも分泌されます(22)。神経幹細胞から放出される細胞外小胞は血管壁で囲まれた独立した区画を超える機能がないと、グリア細胞や神経細胞に分化し、柔軟な神経系の構築が実現されないので、内皮組織としてバリア機能が高い血液脳関門(Blood brain barrier)を超える能力があります(23)。こうした血管外浸潤機能は神経系細胞から分泌される細胞外小胞の特性を比較的に一つ一つ紐解いていけば、物質的に明らかになることもあると思われますが、それがわかったとして、合成ナノ粒子でその機能を搭載していくときには、人工的な物質合成が少なくとも一定必要になります。確かに細胞外小胞は物質的に複雑で制御が難しいですが、進化の過程で構築されてきた非常に精緻な自然の合成機能を複合的に利用できるため、自然に即した形で機能を発揮することができます。自然の機能を引き出しながら目的とする機能を発揮するようにエンジニアリングという事です。製造管理の難しさ/同封できる物質の限定性という弊害を一旦は考慮しないとすると、細胞外小胞は血管外滲出させるためには小さければ、小さいほどいいです。例えば、エクソソームよりも小さい細胞外小胞のとしてExomere、Supermereが発見されています(138)。また、血管外滲出する初めの機序として細胞内に取り込まれるエンドサイトーシスが必要で、そのためには細胞膜変形が必要です。その膜変形を駆動するためには一定の受容体結合強度が必要で少なくとも1つのケースではその力が600nMであったとされています(24)。7桁も結合力は膜受容体結合条件で変化するため(36 pM to 23 mM)(24)、膜変形に耐えうるエクソソームの内皮細胞への必要とされる最低限の結合力が存在することが示唆されます。基本的に同時に多価で結合できることは結合力を高めるので、エクソソーム膜上に隣接する膜たんぱく質の組み合わせが内皮細胞のエンドサイトーシスに関わる細胞接着分子を含めた受容体の組み合わせと整合することが重要になります。組み合わせが単一の膜たんぱく質に比べて多様になることから、血管進出させたい脳の特定の領域の毛細血管の内皮細胞の小窩などエンドサイトーシス/トランスサイトーシスに関与する部位での受容体の組み合わせを調べることにより、組み合わせへの複合的な整合度によって段階的な結合力の可変因子を手に入れることができます。強いほうが好ましいのであれば、複数の受容体の個別の受容体毎強く結合するような装飾が好ましいということになります。エンドサイトーシスに関わる膜たんぱく質は以下、代表的な受容体があります。クラスリン受容体(Clathrin-coated receptors)/トランスフェリン受容体(Transferrin Receptor)/アポリポプロテインB受容体(Apolipoprotein B Receptor, ApoB Receptor)/カバーリン受容体(Caveolin-coated receptors)/マニトール受容体(Mannose Receptor)/細胞内シグナル伝達受容体(Cellular Signaling Receptors)/EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)/インターナル化受容体(Internalization Receptors)。他方で、細胞接着分子は以下があります。カドヘリン(Cadherins)/クラウディン(Claudins)/ゾヌリン(Zonulin)/インテグリン(Integrins)/PECAM-1(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1)/Vascular adhesion molecule 1 (VCAM-1,known also as CD106)。これらに糖鎖が結合することで結合活性に影響を与えます(30)。また細胞質側から細胞骨格の再構成を駆動するRho GTPase経路などが関与します。エクソソームを血管外滲出させるためにトランスサイトーシスさせるためにはエクソソームを細胞膜/細胞質など蹴細胞内経路のあらゆる過程で環境中に存在する他の脂質膜と融合しないようにする必要があります。また、一方で、細胞質でのエクソソームの安定性(寿命)を上げ、平均自由工程を上げてトランスサイトーシス確率を上げるためにはエンドソームなどより大きな小胞に保護されていることが好ましいので、細胞外小胞が内皮細胞上の受容体と結合して細胞膜変形により細胞内に侵入するプロセスでエンドソーム形成されることが求められます。上述した様に脳神経系のあらゆる血管系の内皮細胞上にあるエンドサイトーシスを駆動する上述したものを含めた受容体/細胞接着分子と多価で結合する事/あるいは分子レベルで結合親和性を調整する事が求められます。例えば、大きな動脈で結合しにくく、脳幹の橋の内部の毛細血管の特定の細胞接着分子に特異的に高い結合親和性のたんぱく質を装飾できれば、その結合起因での特異的薬物滲出機序を分子レベルで組み込めることになります。一つ一つの組織の細胞に対して個別の受容体/細胞接着分子の詳細な分子構造がわかればいいですが、それは非常に骨の折れる巨大な資源(時間/金融/人/環境)を擁する仕事になるので、より限定的な情報から人工知能/コンピューターで推論したいという需要があります(5-19)。私が提案する数式テンプレート形成による高次畳み込み分析による自然データ系列に対する適用数式メタ解析(メタ強化学習)では、世の中に存在する数学/物理学/化学などあらゆる数式を代表テンプレート形成により計算コストを下げて評価する事を目指します。これはもともと自然現象を説明するために発見された数式も多く含まれ、適切な評価ができれば、自然現象の概念性の理解を伴う形で適用性の高い数式を限定する事が出来、そこから構造分子推定の為の末端アルゴリズムを組むときに人の理解により改変を加える事ができる可能性が向上します。ただ、これが可能か現時点で全くわかりません。少なくとも様々な次元で議論を重ねて研究開発していく必要がある事です。現時点でいえることは、初めの数式の特定の時には、常時使用する末端アルゴリズムの構築のためのメタ解析なのでその計算の為に数日~1か月(修正の必要のない確実な計算であれば1年など)時間を擁しても問題のない事です。従って、テンプレートの普遍性なども含めて一貫性のあるシステムを熟考し、組むことが重要になります。
例えば、腎臓は糸球体で血管外滲出を一定促し、フィルタリングして尿排出機能がありますから、血管内皮構造が異なり、周期的な細孔が含まれます(25:Fig.2b)。こうした血管外滲出を前提とした血管には物質を透過させるための特別なルートが用意されている可能性があるので、脳神経系の物質交換の機能を持つ毛細血管も一番細い系の末端部のそれを含めて細かい組織構造をこうしたルートがないか疑いながら調べることが重要になります。少なくとも中膜の平滑筋は毛細血管にないといわれています。細胞外小胞が内皮細胞に入るメカニズムh大きく分けて以下、5つあります(3)。(01)クラスリン依存エンドサイトーシス(clathrin-dependent endocytosis)/(02)カベオリン依存取り込み(caveolin-mediated uptake)/(03)マクロピノサイトーシス(macropinocytosis)/(04)脂質ラフト仲介取り込み(lipid raft-mediated internalization)/(05)ファーゴサイトーシス(食作用:Phagocytosis)。例えば(02)(05)は細胞外小胞が大きくなると細胞内への取り込みとしてはより支配的になると報告されています(26,27)。上述した様に薬物送達キャリアとして細胞外小胞を利用することは物質/特性多様性から特に製造管理の上で困難を伴います。一方で、細胞外小胞が持つ特別なメリットとしては細胞を持つ生物が長い間をかけて構築してきた自然の適応システムを利用できることです。例えば、脳細胞に走化性を持つ細胞から分泌された細胞外小胞は血液脳関門の障壁を超えやすいようにエンドソーム分解を抑制する遺伝子発現を促します(Rab7の減少)(31)。このことから上で推定した様にトランスサイトーシスの為には細胞質内でのエクソソームの安定性(長寿命)が重要であり、そのためにはエンドソーム保護とエンドソーム安定性が重要である事がこの適応機序から示されました。このRab7の減少が細胞外小胞が物質的に内包するmiRNA/siRNAによって生じていると仮定すると、後述するSacrificedエクソソーム、すなわちエクソソームトランスサイトーシスを向上させるために特化した補助的なエクソソームの構想も生まれるし、あるいは機能を区別せずに同封することもできます。細胞外小胞をトランスサイトーシスさせるためには内皮細胞に対する近接場、近傍に長く滞在させる事が大切です。通常、内皮細胞の内腔側の表面には負に帯電したヘパリン硫酸プロテオグリカンなど多糖構造の集合、グリコカリックスがあります(32)。必ずしも正に帯電する事がいいかはわかりません。むしろ逆に程度を最適化して負に帯電しているほうが細胞膜表面での選択的結合が可能かもしれません。また、細胞外小胞の内容物は一定割合、内皮細胞質に滲出しますから、それが内皮細胞内で自然に生成される細胞外小胞内に再封入されるようにエクソソーム誘導因子であるテトラスパニンなどを遊離タンパク質として内容物に入れることも考えられますが、当然、再封入されるエクソソームは患者さんの身体の内皮細胞からの自然発生ですから人為的ながん細胞への標的性は失われます。一般的に微小血管、毛細血管は通常の内皮組織よりも2桁以上、リーキーで物質を透過しやすいと言われています(4)。これは同じ血管でも径が細い方が物質を透過しやすいです。これは脳神経系の血管でも当てはまるかもしれません。一つの理由は、血管径に依存して、バリア構造の膜厚が小さくなるからです。例えば、中膜にある平滑筋は毛細血管にはなく周皮細胞が運動の一部を担います。毛細血管の最小径は5μm(5000nm)くらいなので、毛細血管の径は5-10μmであり、例えば、血管径5μmに対するエクソソームに複合体化させる重水MRI造影の為の重水ヒドロゲル最適な比(30-70%)と形など工夫することによって、最も小さい血管径での重水ヒドロゲルの拡散長を極小化(最小化)でき、安定的な血管外滲出を促せるかもしれません。この点からも重水MRI造影を重水赤血球ではなく、生体外で任意に設計できる重水ヒドロゲルの方が適しているといえるかもしれません。この時、拡散長が狙い通り、毛細血管の動脈の最も細い一定の領域で閾値的に低下すれば、重水MRI/経頭蓋集束超音波でそれを解析するときに速度の違いが感度の良い検出を補助するかもしれないので、この機序を組み込むことは薬物キャリア造影の為にも重要です。大きさ/形に限らず、血管滲出させたい血管径を定め、閾値的に拡散長を低下させる機序を組み込むことは解析も含めて考えると非常に高い発展性があります。(4:Fig.1A)に示されるように毛細血管は網目状になっていて、全て足し合わせた距離は長いので、拡散長をあまり短くしすぎるのも弊害があるかもしれません。細い毛細血管は多くの出血のリスクがないため、血管滲出の為、経頭蓋集束超音波で刺激するときには、血管壁を破壊してもいいかもしれません。もし、そうであれば、血管外滲出を分子レベルで詳細に考える必要もなくなります。この観点は重要です。
(53:Figure.2)に示すように脳血管の周りには星状膠細胞が足突起を伸ばしていて、(140:Figure 1)に示すように血管周皮と足突起の間にはPrivascular spaceがあります。この時、細胞外小胞は脳脊髄液/間質液を通じてこの血管周皮と足突起の間にあるスペースを循環し、適当な位置で足突起中/間を通過すると考えられます。この時、流れに従うため足突起に非特異的に捕獲されない方がいいか、間に分布しやすいように切れ目の存在する物質に引き寄せられる方がいいか現在では未知ですが、滲出を促進するための開発余地があります。また、特にびまん性癌細胞など癌細胞が実質内に拡散しているときには自然にがん細胞に引き寄せされると考えられる炎症性星状膠細胞/マイクログリアに血管外滲出したエクソソームが便乗できるようなシステムも組み込むことも考えられます。これらの細胞は野特異的な形質を持つため(50:星状膠細胞/141-Figure.1:マイクログリア)、シャトル機序をエクソソームに組みこむときにはこの特異的な形質を利用できないか追究する余地があります。特に難治性の小児がんの一つ膠芽腫(glioma)は年少の子どもは未分化性の神経系細胞が癌化する事や(47)、成熟細胞では星状膠細胞が癌化する事があります(48)。大人のように大脳新皮質(前頭前野)に集中するだけではなく、脳幹を含めた脳のレイヤーの高い層(Ⅳ-Ⅵ)にまで分布します(141:Figure 2)。小児脳腫瘍のがん細胞は領域ごと異なる特質を示し、特異的な膜たんぱく質を標的化できる可能性があるため、この標的性を十分に脳の実質内で生かすためには実質内のエクソソームのバックグラウンドの拡散長ができるだけ長くなるように脳実質内にある拡散阻害要因を洗い出す必要があります。脳実質は負に帯電したプロテオグリカンが多く、エクソソームの拡散を妨げるので静電引力が働きにくいように表面電荷を最小化する事が重要かもしれません。また、当然、エクソソームの大きさは小さいほうが拡散長は上がると考えられます。子供の脳は水分が多いため、間質液の流れも含めて、水中でのエクソソームの拡散についても考慮が必要です。水に捕獲されにくい適度な疎水性が好ましいかもしれません。
(4:Fig.1C/D)のように血管内皮には小窩(Caveolae)があります。この内皮の窪みにエクソソームが侵入する事が出来たら、細胞内に有効に取り込まれ、トランスサイトーシスされる確率が上がると推定されます。もともと大きな物質のトンランスサイトーシスは小窩を通じて発見されたという経緯があるので(37)、エクソソームを血管外滲出させるときには小窩に入れることは基本的な選択項目となると考えられます。(4:Fig.1)を観察すると小窩の入り口が50nm程度であることがわかります。小窩は深さが100nm以上と深く、場所によっては実質側にある小窩と重なり、内皮横断距離が非常に短いものもあります。従って、小窩の中にもトランスサイトーシス効率が高い個体が存在する事が示唆されます。血管外側の小窩は少ないので、位置が重なっていて細胞質横断幅が顕著に狭い位置にできる小窩の表面タンパク質などの構造的な特徴が(あるかわかりませんが)知りたいです。エクソソームは30-150nm程度といわれている為、小窩に入ることができる大きさはエクソソームの中でも小さい領域の小胞を必要とするかもしれません。但し、小窩は食作用のあるマクロファージにもあるため(34)、小さなエクソソームはマクロファージに消化されやすい可能性があります。従って、免疫細胞の捕獲されにくいシステムを構築する必要があります。マクロファージは循環器に分布しますから、免疫監視からのエクソソームの保護のためにも重水ヒドロゲルは有効かもしれません。しかし、こうした小窩は脳、網膜、睾丸では少ないとされています(34)。但し、それがないというわけではありません(relatively infrequent)。小窩(Caveolae)に発現されているCaveolin-1はギャップ接合であるコネキシン37,40,43とco-localize、すなわち共存かつ局所化しています(36)。従って、上述した小窩が内/外で重なった領域はイオン電導における低抵抗経路になり、荷電しやすい領域となるかもしれません。そうするとイオンの流れに乗りやすいようにギャップ接合をエクソソームに装飾するとイオンが流れやすい/膜容量が大きい/細胞質横断距離が短い小窩に引き寄せられやすいかもしれません。但し、コネクソンは物質の内外の流れに貢献するギャップ接合を形成するため、他の細胞接着分子と比べてエンドサイトーシス誘導活性は低いかもしれません。アルブミンは脂肪酸やステロイドホルモンを輸送する働きがあります(34)。小窩を通じたアルブミンのトランスサイトーシスが生じる為(34)、小窩に入る径のエクソソームに事前に重水ヒドロゲルに複合体化させるときにエクソソームにアルブミンと複合体化させて固定しておき、重水ヒドロゲルから解放されたときにアルブミン依存的にトランスサイトーシスさせる方法も考えられます(39)。小窩を形成するCaveolin-1が正常に機能している事は血管内から適切な物質を適切な濃度で実質にある細胞種に届ける上で非常に重要である可能性があります。このCaveolin-1をノックアウトさせるとカドヘリンなどの接着結合がオープン化されます(38)。これは、物質が細胞質を通したトランスサイトーシス経路を失った結果として補償的に生じたと捉える事も出来ます。観点を変えて言い換えると、このような補償効果は小窩がトランスサイトーシスの経路として主要な役割を担っているという証拠であり、エクソソームをトランスサイトーシスさせたいのであれば、小窩の中に有効に分布させることが好ましいことを示唆します。一方で、小窩を積極的に利用して物質をトランスサイトーシスさせることは血管新生を促す可能性があります。毛細血管は血管のリモデリングが活発である事/小窩は細胞膜の曲部であり受容体が集まる、物質が集まるところである事/小窩は窪みがあり、細胞の機能を決める細胞核/染色体(遺伝子)に近く、物質的に作用しやすい事などが小窩が機能的に血管新生を促す理由かもしれません。実際には小窩には血管新生を促す以下の受容体が多くあります。VEGF受容体(VEGFR)/ウロキナーゼ受容体(uPAR)/eNOS/TGF-β受容体(34)。一般的には血管新生を抑制する事が癌治療では求められますが、血管新生するところが細胞レベルで癌細胞に通じていれば、その血管新生の誘導性を利用して、薬物を癌細胞に誘導することは考えられなくもないので、従来の常識に対して先入観を持たずに進めていく必要があります。一方で、Caveloin-1は癌の形成を抑制するという報告があります(40)。これはおそらくカベオリンが直接的に癌抑制と関連があるのではなく、カベオリンが抑制されると血管外滲出機序が失われる為、カドヘリン接着接合がオープンになり、細胞間壁が開き、栄養などの物質が癌細胞に届きやすくなるからカベオリンの発現は癌抑制になるということです。カベオリンの発現が健全で血管も正常で、トランスサイトーシスに応じて物質交換する機序が保持されている状態は正常な栄養供給状態ですが、これで癌が抑えられるという事は癌細胞のエネルギー需要は異常であり、それは増殖性の高い(悪性度の高い)がん細胞では顕著で、血管のリモデリングが必要であることを示唆します。但し、脳腫瘍に関してはカベオリンは癌細胞の幹細胞化/転移に関連があり、過剰発現する事は予後不良に関連があるとされています(41,42)。従って、脳腫瘍のがん細胞は小窩によるトランスサイトーシス機序を生存のために積極利用していることを示唆しますし、特に拡散性のある間葉形質を持つがんに関しては、細胞間物質輸送に関連する内皮結合組織のVE-cadherin(142)発現抑制だけではなく(報告例はほとんどない)、カベオリンの発現を高めて物質(細胞も(?))の血管内外の交換を活発化させていると考えられます。小窩の密度も適応で違うかもしれないので(高濃度になっている可能性がある)、小窩を利用してトランスサイトーシスさせて薬物を侵入させることは、脳腫瘍のがん細胞への薬物送達としては効果的である可能性があり、一方で、その利用より、小窩を過剰に活性化させないように配慮する必要があります。予後不良の神経膠腫でカベオリン発現が高まっている事は、間葉形質を持つがん細胞がカベオリン依存的に小窩を移動の為、利用していることも示唆します。実際にどのような動的機序で小窩を利用しているかはわかりませんが、例えば、そのプロセスで小窩の窪みに合わせるように細胞が形を変えて突起形成しているかもしれません。これは重水ヒドロゲルの設計にも生かすことができます。すなわち、脳腫瘍のがん細胞が多いところに毛細血管の小窩が仮に多いとしたら、小窩は一定の形/大きさをもった窪みですから、その窪みを鍵穴としてその鍵穴に特異性をもって鍵として埋め込まれるような形の数十nmオーダーの突起形成をすることで、重水ヒドロゲル特異的送達が可能かもしれません。また、イオン電導性の高い小窩は誘電率が高まっている可能性もあるので、突起形成するところの電荷量を局所的に上げる事や、小窩にある受容体に結合性が高いヒドロゲルの骨格であるたんぱく質を露出させて結合させるなどエンジニアリングの詳細な工夫が考えられます。いずれにしてもグリオーマ(癌細胞)がどのようにカベオリンを利用しているか?その事実をとることで、重水ヒドロゲルの設計のヒントが得られる可能性があります。この重水ヒドロゲル病変部位特異的送達技術はエクソソームの送達だけではなく、重水ヒドロゲルイメージングによる病変部位特異的な経頭蓋集束超音波によるがん細胞焼灼という現在の臨床医学の地図を大きく動かす潜在性がある革新的な治療に関わる重要な要素技術です。
なぜ、脳の血管系の物質進出は最大で2桁程度異なり、脳血管関門といわれるのか?それを可能にしている組織的特徴は何か?何が大きくその特性を律速しているか?それについては明確ではありませんが、血液脳関門を形成する血管系の内皮細胞の細胞間は斜めに切られています。それによってバリア構造を障壁能力と相関がある距離が大きくなります。細胞間をつなぐ細胞接着分子は密着結合を形成するクローディン1,5(45,46)、オクルーディン(44)が担います(4)。これらの密度も違うかもしれません。確かに細胞内の物質進出を決める小窩の密度も異なるといわれていますが、どちらかというと細胞間の物質進出が非常にタイトに制御されているのが脳血管径かもしれません。
子どもは5歳までは腸内細菌、免疫系が発達期、過渡期にあり5歳以降になると腸内細菌のα多様性、β多様性が安定してきて大人の水準に近づきます。免疫系もこうした腸内細菌の影響を受けて成熟してきます。従って、川崎病も始め、子どもが特異的に罹患する免疫系疾患は閾値的では決してないですが、5歳が一つの目安になっています。川崎病では5歳を超えると疫学的に罹患する割合が激減します。5歳までの免疫系の未熟性の従来の考え方に改変が必要だといわれる報告もありますが、川崎病も含めて様々な小児性疾患が5歳くらいを程度に疫学的に差が出ているという事実は無視はできません。また、特に年少の授乳期にある2歳以下の子どもにおいては母親の母乳から母親が獲得した免疫系を受け取る必要があります。特にIgG抗体は重要で、母親が獲得したIgG抗体が常時、乳児の循環器の中で監視している事で補償的に様々な疾患から子供を守ります。その場合、IgG抗体が子どもの中に入るルートは当然、消化器からですから腸の粘膜、上皮組織、間質(免疫系)、外膜、中膜、内膜を超えて血管内に侵入する必要があります。子どもの場合、絨毛構造が未成熟なため、大人に比べて、物質の浸透率が高いですが、そのことがIgG抗体の内腔から血中への浸透性に貢献します。この機能がとりわけ重要だからです。IgG抗体は(55:Fig.1c)で示すようにFcRn受容体に挟まれる形で非常に強固にエンドソームに固定されます。このことがリソソーム分解から逃れ、高いトランスサイトーシス効率に関わる可能性があります。こうしたFcRn受容体は膜貫通タンパク質ですから、エンドソームが仮に分解されても、膜と複合体を形成して残る事になります。こうした膜は、またエンドソームの再形成や融合に寄与するため、最後まで一貫してエンドソームが守られ、反対側に到達しトランスサイトーシスを実現しなくても膜とFcRn受容体とIgG抗体が複合体化している事で細胞膜とIgG抗体が固定されている為、仮に初期のエンドソームが一度分解圧に耐えられず、分解したとしても、再度エンドソームとして復活し、トランスサイトーシス機序のレールに乗る可能性もあります。エンドソームは細胞質では分解/融合など動的で決して安定的ではありません(57:Figure 2)。子供が母乳から受け取ったIgG抗体が分解されず確実に血液内で環境中から受け取る病原体に対抗するために、FcRn受容体は強力な機序でIgG抗体を保護します。その機序は(55:Fig.1c)のようにIgG抗体がFcRn受容体に鍵と鍵穴のように「がっちり」固定されている事で可能になります。このことからも、幾何学的な構造一致は重要であることが示されます。潜在的に自由に形成できる重水ヒドロゲルを設計するときには癌細胞がある領域の小窩に捕獲されるために周辺の小窩の形を分析して、その形に整合するように設計して、誘導機序(電荷/たんぱく質)を設けることは、エクソソーム薬物送達/焼灼の為の病変シグナルどちらにおいてもカギとなる技術かもしれません。IgG-FcRn受容体の結合性にはpH依存性があり、リソソーム分解が進みやすい酸性条件では結合性が高まり、細胞からの放出過程で進む中性条件では結合性が弱まります。従って、この強固な固定は分解が起こりやすい時、pH依存的に特異的に生じます。こうした巧みな戦略に依りトランスサイトーシスを実現しています。では、こうしたことをヒントに細胞外小胞のトランスサイトーシス効率を上げるためにはどうしたらいいでしょうか.例えば、αvβ3インテグリンは酸性条件で活性が高まります(56)。これは血管内皮に発現される代表的な細胞接着分子、インテグリンサブタイプです。これがエンドソーム内に多く存在する状態でエクソソームをエンドサイトーシスさせ、エクソソームがこのαvβ3と結合活性を強く持つように設計しておけば、酸性条件でαvβ3インテグリンと多価で結合し、エクソソーム-αvβ3インテグリン-細胞膜複合体が安定的に存在することで細胞質内でFcRn受容体とIgG抗体のようにオートファジーによる分解圧に耐えながら、血管外へ滲出できる可能性が高まるかもしれません。但し、αvβ3インテグリンは血管内皮に普遍的にある細胞接着分子の為どうやって標的部位だけで結合活性を得るかのシステムは考える必要があります。ベースとして複合体化させる重水ヒドロゲルが既に標的性を持っていれば、この問題の一部は解決します。すなわちαvβ3インテグリン強く結合するRGDドメインを含むリガンドをエクソソーム膜に装飾し、それを病変部位まで重水ヒドロゲルで保護し、重水ヒドロゲルが病変部位まで特異的に送達され、超音波信号などによって外因的にエクソソームが開放されて放出されたときにはじめてインテグリン結合リガンドが露出し、病変部位の血管のαvβ3インテグリンと結合します。コンセプトとしては細胞内では細胞膜と強固に複合体化していて、かつ、入り口、出口ではそれが弱まるような機序にすることですが、重水ヒドロゲルのシステムではαvβ3インテグリンが持つ自然なpH依存的な機序を利用する事ができます。
重水ヒドロゲルに対してMRI信号の強度を上げるために磁性材料を高密度で封入したいという研究開発側としての需要があります。エクソソーム単体の解像度で分析する事は不可能ですが、重水ヒドロゲルの集団的な信号の中に含まれるより大きな集団としてのエクソソームの挙動を集束超音波装置によるキャビテーション後に一定時間、重水ヒドロゲルの破壊からエクソソーム分散まで連続的に追跡、視覚的に分析するためにもエクソソームにガドニウムを含め鉄を主体とした磁性材料(フェリチン/マグネティックタンパク質)を複合体化させることを検討します。いずれにしても、毛細血管/主要血管の重水ヒドロゲルの分布を分離して分析する必要があります。両者は血流の速度、向きが違います。毛細血管は磁気共鳴装置の空間分解能の1ボクセル内でも網目構造を作る為、隣接するボクセルを含めたベクトル特性は足し合わせによって消滅する可能性がありますが、主要血管はその分解能でベクトル速度特性が一定残ります。また血管は曲がったりしますから、その速度変化を洗い出すことによってそのボクセルの信号の主要血管/毛細血管の仕分けができる可能性があります。人工知能/コンピューターシミュレーション(計算)を使ったソフトウェア技術を上げて、毛細血管を分離して観察するためなど目的を明らかにしてそれに合わせたソフトウェア技術を構築する必要があります。これは主要(太い)血管を保護しながら、お子さんの脳神経系に医療介入していくうえで重要な観点になるはずです。
トランスサイトーシスのためには膜の構成だではなく、膜に結合している特定のタンパク質が重要な役割を果たします。カベオリンは小窩などに多く発現されています。この小窩からエクソソームがエンドサイトーシスされることでエンドソーム膜の外側にカベオリンが装飾されます。これがカベオラを形成し、カベオラは安定した構造であるため分解酵素の影響を受けにくく、小胞は安定化されます。カベオリンはエンドソーム上に高密度で装飾され(64:Fig.2)、エンドソームを外側から保護する働きがあるからです。また、空間的にもリソソーム分解を受けにくく、細胞膜に移動しやすい形質があるため、少なくとも一部が反対側の細胞膜に到達し、トランスサイトーシスが実現されます。カベオリンはエンドソームを分解するオートファジー活性を抑える(144)だけではなく、エンドソームの細胞質内のレールの働きをするかもしれないアクチン(145)/微小管(145)/分子モーター(ダイニン(146))と相互作用する可能性があり、細胞骨格を通じた安定的な細胞室内輸送が実現されているかもしれません。一方で、クラスリンはエンドサイトーシス機序の代表的なたんぱく質です。クラスリンもカベオリン同様にエンドソームの外に装飾されると小胞を安定的に保つ働きがあります。カベオリンと同じように外側から保護する働きがあります(64:Fig.2)。外側に網目構造を作り、エンドソームの直接的な露出を減らします。本質的には寿命が長いことが必須なので、これが主にトンランスサイトーシスに関わっていると考えられます。
従って、エクソソームの高効率トランスサイトーシスの為にはクラスリンやカベオリンが高濃度で集まっているところからより多くのエクソソームをエンドサイトーシスさせる事が重要です。カベオリンはコネクソンと共局在する傾向にありますが、それ以外にはインテグリン、カドヘリン、ICAM-1があり、特にICAM-1が共局在する傾向にあります。カベオリンは脂質ラフトに集中するので(65)、脂質ラフトと相互作用を高めるようなエクソソームの膜選択が重要になります。GPIアンカー付きタンパク質は脂質ラフトに集まる性質があり(147)、正電荷を帯びることがある事から(148)、一般的に細胞膜が負電荷を帯びることを想定すると、細胞膜で構成されたエクソソームにおいて脂質ラフト部に静電引力で特異的にひきつけられるように適度に負電荷を帯びていることが重要です。カベオリンは上述した様に細胞骨格であるアクチンと結合活性があります(67)。アクチンは膜変形のための局所的な網目構造の構築によりエンドサイトーシスを駆動する可能性があることと、エンドソームの輸送に関わるかもしれません。上述したようにエンドソームを輸送するためには微小管の分子モーターが必要であり、順行性/逆行性を持つキネシン/ダイニンと相互作用するかどうかが微小管の細胞質内の分布(72:Figure 1)を考慮するとトランスサイトーシス効率を向上させるため重要です。エクソソームには2つの機能を持たせる事ができます。1つは薬物キャリアとしての主要エクソソーム(Main exosome)です。もう1つは補助のエクソソーム(Adjuvant exosome)です。主に補助エクソソームは転写産物であるmRNAを搭載し一時的に任意のタンパク質を高める機能を持たせます。miRNAでも代替可能です。発現を弱める時にはsiRNAが利用されます。例えば、v-SNAREsは小胞膜に局在し、小胞の膜融合を促進します(68)。t-SNAREsは標的膜に局在し、t-SNAREsは細胞膜との融合を助けます(68)。v-SNAREsは細胞内小胞の連携性を高めるため、エンドソームの安定化に貢献します。t-SNAREsは細胞膜との融合に関わるのでエクソサイトーシスに貢献します。従って、v-SNAREs、t-SNAREsの分泌量を一時的に薬物キャリアと同期させて標的となる血管内皮で増加させることを試みます。血液脳関門においてv-SNAREs、t-SNAREsが薬物キャリアが送達されたタイミングで同じ細胞で発現が高まるとトランスサイトーシス効率を一時的に高める可能性があります。RNAによる遺伝子発現の調整はDNAのように効果が永続しないので、そうした影響は薬物が送達される一時的なものに原理的にとどめることができます。病巣部位毛細血管に標的化した2つのエクソソームを(あるいは標的化した重水ヒドロゲルに2つのエクソソームを同時に封入し)同期させてトランスサイトーシスを高めるたんぱく質発現を亢進させることで一時的に内皮細胞のゲート(門)を開放させることを試みます。その他に、N-ethylmaleimide sensitive factor(NSF)はエンドソームが細胞膜と融合してエクソサイトーシスする際に重要な役割を果たします(70)。v-SNARE、t-SNAREの機能をより有効に生かす上で欠かせないのがMunc18ですSNAREタンパク質の機能を調整する役割を持っています(71)。従って、v-SNARE、t-SNAREの発現量を高めて、より内皮組織内で細胞内小胞(エンドソームの輸送を円滑にするためにはMunc18の機能も同時に高める必要があります。逆に、protein kinase A (PKA), or protein kinase C (PKC)は v-SNARE、t-SNARE、微小管をリン酸化し、活性を弱める働きがあるので、エンドソームの移動性、トランスサイトーシス効率を下方制御低下させる働きがあります。従って、これらの酵素をsiRNAで一時的に抑える事も有効かもしれません。トランスサイトーシスはparacellularとtranscellularルートがある事は上述しました。すなわち細胞の間をすり抜けるルートと細胞質を通って通り抜けるルートがあります。内皮組織や上皮組織は高度に組織化された形で物質の浸透性を制御していますから、例えば、細胞質を通り抜けるルートが阻害されるとそれを補償するために細胞間のルートを開くような機序が働きます。それは細胞間の連結に関与する密着結合(tight junction)のアダプタータンパク質であるSec6、Sec8、Sec10が関与しています。従って、アダプターたんぱく質密着結合を形成する細胞接着分子の発現を亢進させて、paracellularルートの血管外滲出活性を抑えるることは、内皮細胞の適応としてtranscellularルート、すなわちトランスサイトーシス活性を上げるように適応する可能性があります。
脳神経系は腎臓と同じく多くの血液を必要とします。おおよそ心臓拍出量の20%が脳神経系に行くので脳への薬物送達を行う場合には全身投与が採用されることが多いです(86)。また、毛細血管の総計400マイルの長さのち、85%は脳で占めると見積もられています(101,102)。癌が脳に転移しやすいのは(9-17%)(101)こうした拍出量や血管の多さに起因しているかもしれません。従って、上述したように空腹状態であるとか、特異的に脳のエネルギー消費量を上げる事でこの割合よりも多くの薬物を脳神経系に局在化させる事ができる可能性があります。従って、静脈投与による全身の循環器の中でどのように脳の病変部位に薬物を有効に送達させるかを考える長距離の走化性を実現する上で脳神経系は他の臓器よりも適しています。脳では神経活動の高い肺白質で毛細血管密度が高くなっています。これは神経活動にエネルギーを要するからであり、そのエネルギー供給に毛細血管が貢献している事を示します。従って、経頭蓋集束超音波による機械的刺激で神経活動を局所的に制御する事が出来たら、それにより癌増殖性を一時的に亢進させるリスクはありますが、病巣の部位の代謝活動を上げることによって血流に乗って重水ヒドロゲルなど薬物送達媒体/造影媒体を病変部位の毛細血管に有効に送達できるかもしれません。このような長距離の走化性は薬物送達システムにおいて血管外滲出の前のより巨視的な観点で考える必要のある項目です。その際、細胞外小胞では大きさに応じて細胞外小胞の免疫細胞によるクリアランス効率が異なります(87)。大きな細胞外小胞はよりクリアランスされやすいとされます。重水ヒドロゲルでは血液中に多く存在する水(重水)でほとんど占める為、大きさに応じた免疫細胞のクリアランスが細胞外小胞とは異なる可能性がありますが、循環器での免疫反応性は一定の注意が少なくとも必要です。エクソソームや合成ナノ粒子では循環器でのコロナ形成が問題となり、それが設計した標的性を低下させる懸念があり、それを防ぐために特別な設計が必要です(149)。例えば、エクソソームのクラスタリングなどが対策として考えられます。ただ、造影媒体として用意する重水ヒドロゲルがエクソソーム(あるいは遊離薬物)を複合体構造の中に封入し、保護した状態で病変部位まで特異的送達してくれるとなると、こうした潜在的な循環器での異物の付着の問題は大きく緩和されることになるいます。この観点でも特異的送達機能のある標的型の重水ヒドロゲルを設計/合成することは重要になります。エクソソームを血管外滲出させた後、脳の実質内でがん細胞へ特異的に細胞種レベルの解像度で通常細胞とは切り分けて送達させる際には細胞表面の細胞内浸入が可能な膜たんぱく質と高い親和性で排他的に結合する必要がありますが、そこまでの導線を考える際には炎症性星状膠細胞/マイクログリアなどが想定されるという事は既に前述しました。それ以外の方法としては間質には細胞外マトリックスがあり、それが細胞などの移動に関与しますから、エクソソームのがん細胞までの輸送のプロセスを考えるうえで間質に網目状に形成される細胞外マトリックスを利用することを考える事も必要です。脳腫瘍は放射状構造を持つ特に高分子量型のテナスシンCの発現が亢進されているケースがあります(91)。テナスシンCはRGDドメインを持ちインテグリンと結合します。特にインテグリンαvβ1/αvβ6と結合する特性がありますから(150)、このタイプのインテグリンを装飾させるかどうかを検討する余地があります。コネキシンの6量体であるコネクソンは半接合(Hemi-channel)となり、対となる細胞や細胞外小胞のコネクソンと接合することでギャップ接合が完成し、チャンネルを通じた物質の交換が可能になります。このチャンネルは1.2kDaくらいまでの物質ならば通過する事ができるのでsiRNAは通過できる可能性があり、細胞外小胞にsiRNAを搭載し、特定のたんぱく質発現を抑制することで癌の治療を行う場合には細胞接着分子の標的がん細胞での細胞内浸入は必ずしもこの物質に関しては要しないということになります。コネキシン43は脳腫瘍でも発現されています(96,97)。コネキシンはヘテロ6量体を形成する事が出来、チャンネルの構造単位を異種的に柔軟に変更できるため、もし、癌細胞でコネキシンの特異的な異種の組み合わせがあれば、その組み合わせに完全に一致する形でエクソソームに異種コネクソンを装飾出来たら特異的なギャップ接合形成が脳腫瘍のがん細胞特異的に実現するかもしれません。脳腫瘍がある場合には、腫瘍組織を取り巻く星状膠細胞やマイクログリアの形質、血管の構造が変わります(90:Fig.2a)。炎症性物質による誘導も含めて、そうした血管構造の改変は脳特異的な免疫様形質をもつマイクログリアだけではなく、体全体の免疫系であるマクロファージ/T細胞などのリンパ系免疫細胞の脳実質へのアクセス性を増加させる可能性があります。通常、これらの免疫細胞は少なくとも多くは存在しませんが脳腫瘍があるとそのケモカインなどの炎症性物質や血管構造(Blood tumor barrier)が特異的に発現する細胞接着分子によって免疫細胞が病変部位に引き付けられます。例えば、細胞接着分子の一つであるpセレクチンは通常の血液脳関門ではほとんど発現が見られませんが、腫瘍組織があると周辺の特異的な血管ではそれが発現され(114)、通常は少ない免疫細胞をより多く引き付け、脳の皮質に引き込むことになります。このpセレクチンを誘導している受容体はTNF受容体である可能性があります。このTNFも通常の血液脳関門の内皮細胞にはほとんど発現が見られずBlood tumor barrierに特異的に発現されているとされています(90)。このpセレクチン/TNFは小児脳腫瘍の各サブタイプで毛細血管に本当に発現されているかの確認は必要ですが、一定の炎症性を伴う形で発現が亢進されている場合には、重水ヒドロゲル/エクソソームの送達キャリアの標的たんぱく質として重要である可能性があります。実際にすでに典型的な小児脳腫瘍で小脳にできる髄芽腫(Medulloblastoma)のナノキャリアのターゲットとして指定されています(115)。このp-セレクチンはナノ粒子のトランスサイトーシスにも関わっているため(115)、エクソソームをp-セレクチンに結合させると、免疫細胞と同じように(免疫性誘導機序を利用する形で)脳腫瘍がある脳実質への侵入を可能にするかもしれません。実際に小児脳腫瘍では頭蓋内実質のあらゆるレイヤーに腫瘍組織形成する可能性があり、重水ヒドロゲル/エクソソームを任意の領域に特異的に送達するためには、たんぱく質の構造を正確に把握する必要があります。すでにたんぱく質を構造レベル(アイソフォーム)で識別して治療を行う構想は発表されています(120)。人の場合、遺伝子でコード化されるたんぱく質の90-95%は選択的スプライシングを経験し、たんぱく質構造を決定する最終転写産物のmRNAの配列が同じDNA配列構造に対して多様性を持つと見積もられています(121)。この構造分析の為にはトップダウンプロテオーム解析が必要です(122)。実際にこうした転写因子による構造多様性は特に脳神経系で細胞種特異的に生じている事があり(123)、細胞種特異的薬物送達システムを実現する上で遺伝子コードだけに縛られない、アイソフォームまで踏み込んだ詳細な構造を掌握する事が必要です。実際にプラスミドでトランスフェクションするときには成熟mRNAでアイソフォーム解像度で発現させるタンパク質を一致させることが大切になります(120:Fig.2b)。こうした正確性は、抗体薬物複合体の特異的送達性にも関わります(120)。実際に日本でも注目されている胃がんの治療の標的であるクローディン18.2はクローディン18の選択的スプライシングによる産物です(125)。モノクローナル抗体は特に抗体と薬物を複合体化させる抗体薬物複合体は細胞腫特異的薬物送達システムとモデルは類似するので、モノクローナル抗体でサブタイプ精度での構造一致が臨床で一定の奏功を示していることは、目指す方向に大きな誤りはないということを示唆します。上述した様にテナスシンCは脳腫瘍と関連の深い細胞外マトリックスですが特にそのアイソフォームであるAlternatively spliced domain D of Tenascin Cが脳腫瘍に多く発現されています。従って、この構造的特徴を標的とするR6N抗体は脳腫瘍の治療のため有効であると考えられています(120,126)。従って、テナスシンCをエクソソーム治療の標的として、アイソフォーム精度で装飾させるリガンドの構造を設計する事の重要性がここに浮かび上がります。
重水ヒドロゲル/エクソソームの脳腫瘍への薬物送達/病変造影を試みるとき、これらの媒体の病変部毛細血管分布を効率化する事が重要です。そのためには毛細血管の特徴について、特に脳について知る必要があります(153)。この節ではそれについて詳述します。毛細血管は中膜/外膜はなく、内皮細胞のみで形成されているとされています(151)。従って、毛細血管からのエクソソーム血管外滲出を想定する場合には上述したように平滑筋/周皮細胞は考慮する必要はなく、内皮細胞のトランスサイトーシスを主に考え、外側に形成される星状膠細胞の足突起包囲を送達のために回避/利用するかを考えます。脳腫瘍なども含めて血管に炎症が生じているときには毛細管と静脈の間にある少し太い血管であるpost-capillary venules(ポスト毛細管細静脈)からも免疫細胞やたんぱく質などの滲出が生じることから(151)、この部分からのエクソソーム進出を考える事も重要です。脳血管系の毛細血管は肺/皮膚と同様に窓構造がありません(non-fenestrated capillaries)。従って、毛細血管の中では物質滲出効率が低いです。但し、脳腫瘍部での局所の毛細血管では窓構造が血管形成の異常によって生じる可能性があります。毛細血管にはアルブミンが高濃度で存在します。アルブミンは血管壁近くに分布し、毛細血管の浸透圧を調整する働きがありますから、アルブミンと類似した機序/アルブミンに誘導される/中央部に分布する(赤血球など)と一定反発する形で重水ヒドロゲルを分岐前の太い血管にある時から血管壁近くに多く分布するようにすれば、分岐での抵抗を減らし、毛細血管にアルブミンと同様に多く分配することができるかもしれません。血小板も血管壁周辺に多いので血小板の形などの特性や血小板との相互作用を利用することで血管壁近くに分布させることができるかもしれません。特に炎症が生じている部分では血小板の分布が異なる可能性があるので、もし、脳腫瘍周りの毛細血管で多くなっているようであれば、血小板を重水ヒドロゲル送達の為に利用することも考えられます。他の93%の毛細血管と形態的に区別がつかない毛細血管の7%が、赤血球の速度が平均値+2標準偏差を超えるほど非常に速いことが観察され、これは通過チャネルの存在を示唆しています(152)。これらのチャネルは通常、物質交換の主な役割を果たさないため、血液の流れが速くても、細胞間の栄養や酸素の交換には直接的な関与がないことが特徴です。通過チャネルは、血液の供給を効率化するために存在し、例えば、局所的な血流量を速くすることで、周囲の組織に迅速に血液を送る役割を担います。(153:Figure 1)に示されるように毛細血管は血流速が毛細血管ごと脳内で異なります。おそらく栄養供給、血管外滲出効率が高くなっている毛細血管は流れが遅いと考えられるので、悪性度の高い癌細胞が多いところの血液需要が多い場合には、その周辺の毛細血管の血流速が低下し、ベースラインとして物質が高濃度で集まりやすいかもしれません。傾向としては径が細い毛細血管は流速が遅く物質が交換されやすいと考えられるので、より径の細い毛細血管でも有効に分布できる大きさ、形の重水ヒドロゲルを設計を検討することが大切です。毛細血管前の拡張(Precapillary Dilatation)が神経伝達により分岐部で生じ、血管径を調整して(153:Figure 9)、細い血管部周辺の組織に対する栄養供給を局所的に上昇させるように調整すると考えられる働きがあります。この時に重水ヒドロゲルが血管中央に多く分布しているとほとんどが血管系の多いほうに分布されてしまうため、血管壁に血小板やアルブミンのように沿うように近くに分布している必要があります。そうすれば、径に依存せず、均等に細いほうにも分岐後に分布されます。おそらく血液中で細胞に対する栄養に関わる物質は血流の中央ではなく周辺部に高濃度で分布していると思われます。空間的に血管外に近いということもありますが、分岐で流れの速い血管径が太いほうに中央部に分布すると流れてしまうからです。重水ヒドロゲル/エクソソームもより物質交換する脳腫瘍がある局部に分布したいのであれば、血管中の特性として流れの中で血管壁に沿うように/近くに分布するような基礎的な特性を搭載しておくことが重要です。また、ヒドロゲルを小窩に鍵/鍵穴の関係で固定されるように微小構造を設計するときに、その鍵穴へのはまりやすさは血流速度にも依存すると思われます。すなわち流れが速くなれば、固定されにくいという事です。これはこのコンセプトに限らずエクソソームを毛細血管の内皮細胞に固定する時でも同様ですが、癌細胞がある栄養供給が豊富な毛細血管の血流がとりわけ遅いとしたら、その流速で特異的に固定される程度の結合力を定義し、それに合わせて設計することで、速い流れのところでは固定されないけど、血流が小さくなるとシャアストレスが弱くなり、結合するようになるという特異的結合システムを構築できる可能性があります。
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