特に小児タイプびまん性高悪性度グリオーマは
3年生存率が20%程度と言われています。
近年、日進月歩で臨床研究が進んでいると
言われていますが、
この種の難しい癌では治療において
50年、顕著な改善は見られていない
とされています。
もし、腫瘍が無ければ、
そのお子さんに経験できる人生の時間は
少なくとも数十年以上です。
今は人生100年時代と言われます。
従って、非常に優れた治療を提供することができれば
医療的な介入による貢献は
非常に大きいと考えられます。
--
Alan R. Cohen(敬称略)は
子供の脳腫瘍の総括をされています(1)。
本日はその内容の中の
毛様細胞性星状細胞腫と
小児タイプびまん性高悪性度グリオーマ
の内容の一部、追記、考察について
読者の方と情報共有したいと思います。
//毛様細胞性星状細胞腫(*1)//ーー
(*1)pilocytic astrocytomas
子供の最も共通的な星状細胞腫は
毛様細胞性星状細胞腫であり、
20歳までの未成人の脳腫瘍の20%を占める
と言われています(2-4)。
それらは成長が遅く
境界性を持ち(Circumscribed)、
10年生存率は90%を超えます(3,5)。
これらの腫瘍のほとんどは
小脳、トルコ鞍上部に位置しますが、
それ以外のケースでは
脳内領域に依存せず現れます。
毛様細胞性星状細胞腫は悪性への転換は
ほとんど起こらず、
一般的に予後は良いとされています。
しかし、20%のお子さんはそうではなく
局所的な再発や播種が起こります(2,6)。
遺伝子的な特徴では
KIAA1549–BRAF fusion。
これが毛様細胞性星状細胞腫80-90%の患児で
生じているとされており、
この遺伝子的な特徴は
後方窩にこの腫瘍がある場合に顕著です。
それらは全生存に関わっているかもしれない
とされています(2,7,8)。
//小児タイプびまん性高悪性度グリオーマ(*2)//ーー
(*2)Pediatric-Type Diffuse, High-Grade Gliomas
小児タイプ高悪性度グリオーマは
子供の脳腫瘍の10%を占めます。
この予後は不良であるとさてています(9)。
--
手術と抗がん剤によるアドジュバント治療による
懸命な治療に関わらず、
70~90%の子供は診断後2年以内に
命を落としてしまいます(10)。
--
〇多形性膠芽腫(glioblastoma multiforme)
これが大人のケースでは
最も共通的な原発性の脳腫瘍であるとされています。
結果として、子供の腫瘍の用語から
膠芽細胞種(glioblastoma)は取り除かれました。
--
高悪性度グリオーマの理解が深まった事によって
クロマチンリモデリング遺伝子ファミリーの
ヒストンH3。
これがドライバー変異である事が特定されています(11,12)。
びまん性正中線(midline)、半球の脳のグリオーマを持つ
患者さんにおいては
ヒストンH3遺伝子の尾部の体細胞変異は
メチル化を減少、
グリア細胞分化をブロックし、
グリオーマ生成を促進します(13)。
--
4つのサブタイプがグリオーマにはあります。
びまん性正中線(midline)グリオーマは
致死性の腫瘍で、切除が難しいです。
H3K27が遺伝子改変したケースは
おおよそこのタイプの90%であるとされています。
びまん性正中線(midline)グリオーマの
メチル化を調べた結果、
発がん性ヒストンミスセンス点変異を
ヒストンH3内に確認しました(14,15)。
この腫瘍は同様の
小児タイプびまん性高悪性度グリオーマの
ワイルドタイプの分類の腫瘍よりも
生存率が低いことが知られています(16)。
このH3K27 alterationは
組織学的グレーディングよりも
予後に関わる因子であるとされています(14)。
--
このH3K27 alterationは
びまん性正中線(midline)グリオーマを持つ
子供に特異的であると想定されています(17)。
--
2つの目のタイプとして
びまん性半球グリオーマがあります。
H3G34変異が小脳の半球に現れます。
年長の子供や若い成人に多いとされています(14,18,19)。
この腫瘍は他の遺伝子改変が生じます。
〇α-thalassemia X-linked (ATRX)
〇TP53 tumor protein 53 (TP53) mutations
〇O6-methylguanine–DNA methyltransferase (MGMT)
promoter methylation
これらです(20)。
ヒストンの変異の確率は
びまん性正中線グリオーマよりも低く
40%程度であるとされています。
主に子供が主要であるとされています(11,21)。
--
3つ目のタイプとして
H3ワイルドタイプ、IDHワイルドタイプがあります。
これは進行性の腫瘍で
主に小脳の半球に見られます。
予後は不良であるとされています(22)。
--
4つ目のタイプとして
幼児タイプ半球性(hemispheric)グリオーマがあります。
これは
受容体チロシンキナーゼ遺伝子融合が見られます。
〇ALK, NTRK1/2/3, ROS1, and MET4
これらを含みます。
これらのキナーゼ改変は
潜在的に標的化する事が出来、
予備的調査によれば、
キナーゼ融合が生じている腫瘍を持つお子さんに
おいて治療効果があったと報告されています(20,23,24)。
--
標準的なアドジュバント治療は
focal palliative irradiation。
緩和のための放射線治療です。
長期的な生存効果は芳しくありません。
この50年で目立った改善がないのが現状です。
3年のイベントフリー生存、
全生存率は高悪性度グリオーマで
それぞれ10%、20%程度です(25)。
--
特に身体の正中線の小脳に隣接する橋の
びまん性正中線グリオーマの治療効果は低く、
放射線治療がない場合には生存の中央値は4か月です。
放射線治療をしたとしても
8カ月から11カ月です。
--
変異に対する標的化治療は顕著な効果は
今のところは見られません。
しかし、近年臨床診療に導入されています。
一般的に
化学療法は高悪性度グリオーマを持つ子供に対する
治療においては効果は限定的です。
大人に対しては
テモゾロマイドがイベントフリー、全生存を
高めた事が示されています(25)。
しかし、子供に対してはその効果はありません。
DNAの修復酵素
O6-メチルグアニンDNAメチル基転移酵素[メチルトランスフェラーゼ]
MGMT。
これが亢進していることによって
テモゾロマイドによるメチル化への作用が
弱められている可能性が示唆されています(26)。
従って、このMGMTを欠如させる
ロムスチンをテモゾロマイドに加えて
治療したところ、
テモゾロマイド単剤による治療のケースよりも
イベントフリー、全生存が長くなった
と報告されています(27)。
しかし、これはMGMTの機能が遺伝子によって
改変されているかどうかの確認が必要になります。
--
上述したH3K27変異は
ヒストンジアセチラーゼ(HDAC)抑制剤によって
標的化することができます。
〇Panobinostat
同所性の異種移植ネズミモデルで
浸潤性グリオーマに対して効果があり、
現在、臨床試験で評価されています(28,29)。
〇Fimepinostat
これはpan-HDAC and PI3K抑制剤です。
これが高悪性度グリオーマの子供に対して
治験(フェーズⅠ)で調べられています。
その他には
〇免疫チェックポイント抑制剤
〇CAR-T療法
〇癌ワクチン
これらなどの癌免疫療法や
腫瘍破壊のウィルス療法の効果が調べられています。
//考察//ーー
高悪性度のグリオーマに関しては
外科と放射線治療だけでは治療が難しいと考えられます。
どの遺伝子に変異が入っているかを調べて
その特徴に合わせた治療が求められます。
特に予後が非常に悪い、橋など脳幹にできる
正中線のびまん性高悪性度グリオーマの場合は
外科によるアクセスが難しい位置であることから
より放射線、化学療法、あるいは免疫療法などの
負担が増える事になります。
現状でそれぞれの変異に合わせた
薬剤が選択され、現在治験が始められているところです。
その次の段階としては
その薬剤をどうやって病変部位に有効に輸送するか?
というフェーズがあります。
高悪性度のグリオーマにおいて
免疫的な治療も検討されています。
薬剤輸送媒体として細胞外小胞を使う場合には
例えば、免疫細胞由来の細胞外小胞を使い
免疫機能を誘発しながら
薬剤を輸送する事も可能かもしれません。
その細胞外小胞がお子さんの脳の腫瘍形成部に対して
高い走化性、向性を有しているのであれば、
その輸送媒体に免疫療法的、化学療法的
両面の機能を同時に備えさせることは
それぞれ別個、組み合わせて治療するよりも
効果を発揮する可能性があります。
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細胞外小胞の分析は
エクソソームのケースではmiRNAなどの
「内容物」の分析が主であります。
実際に本日の内容も、
腎疾患における尿の細胞外小胞の
内容物の変化について述べています。
しかし、
細胞外小胞は膜や表面リガンドなども含まれます。
特に表面リガンドは
細胞種特異的輸送系統(*)による
標的治療において重要です。
(*)Cell-type-specific delivery system
Clotilde Théry, Laurence Zitvogel & Sebastian Amigorena
(敬称略)からなる医療研究グループは
2002年の総括論文の中で
主に免疫細胞におけるエクソソームの
表面リガンドの情報をリソースとして上梓されています(26)。
(参考文献(26) Table1参照)
細胞外小胞はおおよそ全細胞種から放出されるので
本日の腎臓であれば、
腎臓の各細胞種から放出される細胞外小胞の
表面リガンドの包括的な分析と
病態によってそれがどのように変わるか?
といったことも重要になると考えます。
--
Cristina Grange & Benedetta Bussolati
(敬称略)からなる医療研究グループは
腎臓病における細胞外小胞の総括の中で
バイオマーカーについて述べられています(1)。
本日は、尿の細胞外小胞における
バイオマーカーの総論と
腎疾患におけるそのバイオマーカーについての
内容の一部、追記、考察について
読者の方と情報共有したいと思います。
//バイオマーカー総括//ーー
尿の細胞外小胞は腎臓の病態の進行を予測、
モニターするための非侵襲のバイオマーカーとして
有望な候補です。
細胞外小胞をバイオマーカーとして
利用すると病理のプロセスや
放出された細胞種の特定などを
潜在的に知ることができるため
多相の診断プラットホームを築くことができます。
また、
細胞外小胞内に含まれる物質は
クレアチニンレベルなど
腎臓の機能の古典的なマーカーが変わる前に
改変されるかもしれません。
従って、早期診断が可能です。
しかしながら
その臨床応用を阻むいくつかの要因があります。
--
〇採取、保存方法の標準化
〇分離の手順
〇混入物質の除去
これらは再現性を得る上で重要です。
また不自然な結果を防ぐこともできます(2,3)。
腎臓においては
クレアチニン濃度は
尿の細胞外小胞の濃度の規格化因子として
提案されています。
それらは相関があり、
水分の接種の影響を受けないからです(4,5)。
また、細胞外小胞で共通的なマーカーである
テトラスパニンレベルも規格化因子として
利用することができる可能性があります。
機能しているネフロンの量(Nephron mass)も
尿の細胞外小胞の放出と関連があります(6)。
//腎障害、腎臓病のバイオマーカー//ーー
急性腎障害では
〇AQP1減少
〇ATF3 mRNA増加
〇Fetuin A増加
これらが尿の細胞外小胞で生じると
動物モデルにより立証されています(7-9)。
これらは尿細管細胞に関わります。
しかし、人のケースでは
十分な数による確認はまだ行われていません。
-
podoplaninを発現する径の大きな
尿の細胞外小胞は
糖尿病性糸球体障害のマーカーとして
マウスのケースで報告されています(10)。
これは有足細胞に関わります。
もう一つの有足細胞関連のマーカーは
〇Wilms tumour protein (WT1)
これです(11)。
この尿の細胞外小胞のWT1は
巣状分節状糸球体硬化症の患者さんで
健常な人に比べて高まっている事が確認されています(11)。
さらに、48人のⅠ型糖尿病の患者さんのコホート研究で
このWT1はタンパク尿と糸球体ろ過量(GFR)と
関連があることが示されています(12)。
一方
突発性ネフローゼ症候群を持つ
40人のお子さんを含む研究では
タンパク尿、腎臓病態、ステロイド反応性。
これらとWT1の顕著な関連は見られなかった
とされています(13)。
--
腎臓病を持つ32人の患者さんでは
尿の細胞外小胞において
有足細胞特異的CD2AP mRNAの減少が
〇腎臓の線維化
〇血清クレアチニンレベル
〇糸球体ろ過量(GFR)
これらと関連がある事が示されています(14)。
--
もう一つの尿の細胞外小胞の利用可能性は
移植片対の状態をモニターすることです。
移植を受けた患者さんで
移植機能が遅れているケースでは
腎臓の損傷マーカーである
〇neutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL)
これが上昇し、
腎臓前駆細胞マーカーCD133が減少している
ことが尿の細胞外小胞により確認されています(15,16)。
--
細胞外小胞の一つであるエクソソーム。
そのmiRNAは遊離miRNAよりも安定です。
エンベロープ膜により生体液による
RNA分解酵素から守られるからです(17)。
多くのmiRNAが
慢性腎疾患、腎臓線維化、糖尿病性腎疾患
これらのケースで制御を失っていることが
示されています(18)。
--
Ⅰ型糖尿病を持つ患者さんの
尿の細胞外小胞では
〇miR-130a, miR-145亢進
〇miR-155, miR-424減少
これらが確認されています。
微量アルブミン尿が確認されています(19)。
--
慢性腎疾患の32名の患者さんの
尿の細胞外小胞では
〇miR-29c減少
〇miR-200b上昇
これらが健康な人に対して確認されています(20)。
このmiR-29cは糸球体ろ過量と
尿細管間質線維化の重篤度に関わっています。
--
慢性腎疾患の尿の細胞外小胞では
〇miR-181a-5p
〇miR-451
これらが上昇しています(21,22)。
--
IgA腎症を持つ18名の患者さんの
尿の細胞外小胞では
〇miR-29c, miR-205-5pが抑制
〇miR-215-5p, miR-378iが亢進
これらが健康な人との比較で確認されています(23)。
--
ループス腎炎の患者さんでは
〇miR-29c減少
〇miR-150, miR-21上昇
これらが確認されています。
それは腎臓の線維化と関わります。
これらのmiRNAはコラーゲンの生成に関わる
TGFβ–SMAD3経路に作用することで
線維化を亢進させると考えられています(24)。
--
細胞外小胞をバイオマーカーとして使う課題は
その異種性にあります。
また、現状では人のケースでは
小規模の研究にとどまっていることが
課題として挙げられてます。
また、
細胞外小胞を1小胞レベルの分解能で正確に調べるための
技術的な革新も必要であるとされています。
フローサイトメトリーや
アレイベースの
Extracellular vesicle-capturing chips(25)。
これらが分析分解能を上げる候補として
紹介されています(1)。
//考察//ーー
エクソソームは腎疾患がある場合には
このmiRNAを通じてネフロン内で細胞間を連絡し
miRNAによって遺伝子発現が異常になり、
雪崩的に細胞がダメージを受けると考えられます。
エクソソームのエンベロープ膜によって
miRNAが分解酵素から守られることが
この場合、負に作用すると考えられます。
細胞外小胞を使った治療に関しては
1つの視点としては
量が減っているmiRNAを
細胞外小胞の人為的投与によって
効果的に腎臓に輸送し、
補うことが挙げられます。
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Nature Reviews Immunology volume 2, pages569–579 (2002)
腎臓は全身の臓器で作られた血中の老廃物を尿として排出し
綺麗になった血液を心臓に戻すと言われています。
尿の成分を調べると
98%が水であり、
残りの多くはタンパク質の代謝で生じた尿素である
とされています。
他には微量の塩素、ナトリウム、カリウム
マグネシウム、リン酸、クレアチニン
尿酸、アンモニア、ホルモンがあるとされています。
一方、
糸球体の細動脈が張り巡らされていて
その細動脈の抵抗が糸球体の圧力を上昇させて
ろ過過程を促進させるとされています。
その時に、
どのように身体の毒素を仕分けて
尿として排出するのでしょうか?
現時点でそのような疑問があります。
上述したタンパク質を代謝して尿素に変える過程は
当然、細胞内の代謝機能に依存すると考えられます。
それは(糸球体の?)どの細胞でしょうか?
糸球体には
内皮細胞、有足細胞、メサンギウム細胞
などもあります。
また膨満によって生じた圧力によるろ過機能が
その代謝にどのような影響を与えているのでしょうか?
--
Cristina Grange & Benedetta Bussolati
(敬称略)からなる医療研究グループは
腎臓病と細胞外小胞の総括の中で
ネフロン内の細胞外小胞の動的機序と
細胞外小胞がどの様に腎臓病を悪化させるか?
これらについて述べられています(1)。
その内容の一部、追記、考察(上述した事も含めた)を
読者の方と情報共有したいと思います。
//ネフロン内のコミュニケーション//ーー
ネフロンは腎臓の排泄器官の単位の事を言います。
そのネフロンは糸球体、毛細血管の塊と
ボウマン嚢、尿細管で構成されます。
左右でそれぞれ100万個以上存在します。
それぞれのネフロン内の糸球体から尿細管の領域で
細胞外小胞は細胞間のコミュニケーションの
役割を果たします
血液をろ過して尿となった流れに乗って
細胞外小胞は尿細管の上部の細胞から
放出された細胞外小胞は下部の細胞に取り込まれます。
その中で物質の輸送、交換があります。
例えば、
Functional aquaporin 2 (AQP2)。
これがあります(2)。
上述した細胞外小胞による細胞間の輸送は
ラベリング技術を使って示唆されています。
//腎臓病の増強//ーー
腎臓の異なる領域や異なる臓器間などの
細胞外小胞の長距離細胞間のコミュニケーションは
腎臓の損傷を悪化させうると考えられています。
糸球体の内皮細胞と有足細胞(糸球体の上皮細胞)間の
病態により改変された細胞外小胞を仲介役とした
コミュニケーション、クロストークは
有足細胞の機能を阻害するかもしれません(3)。
この有足細胞は腎臓にある血液ろ過に不可欠な細胞で
この細胞が異常をきたすと
ネフローゼ症候群につながり、
大量のタンパク質が血中から尿中へと漏出します(4)。
この有足細胞は「有足」と呼ばれることも
関係していますが
トポロジカルな構造をとることができ
糸球体ろ過障壁の空壁を埋めるのに大きな
役割を果たしていると考えられます。
従って、この細胞に異常が出ると
糸球体のろ過機能に悪影響が出るということである
と考えられます(5)。
さらにこの
有足細胞由来の細胞外小胞は
糸球体と尿細管の間のクロストークを仲介します。
それによって有足細胞に異常がある場合に
その細胞外小胞依存的に
尿細管の損傷を促進します(6)。
この損傷は尿細管間質の線維化の亢進や
慢性腎臓病の進行に繋がります。
--
ダメージを受けた有足細胞は
そうではない有足細胞に比べて
細胞外小胞の量が増える事が示されています(7)。
この細胞外小胞は尿細管の上皮細胞に取り組まれます。
その中で
〇fibronectin
〇collagen IV
〇activation of p38
〇mothers against decapentaplegic homologue 3 (SMAD3)
これらを誘発します(8)。
損傷を受けた有足細胞の細胞外小胞は
miR-149, miR424が亢進し、
アポトーシスを誘導します。
--
細胞外小胞は尿細管間質炎症において
重要な役割を担っているかもしれません。
これは腎臓病の進行に関わります(9)。
尿細管における
〇hypoxia-inducible factor 1α(HIF1α)
これと炎症反応との混合の中で
その上皮細胞から
miR-23aを豊富に含む細胞外小胞が放出されます(10)。
これがマクロファージに取り込まれた時
細胞外小胞は炎症性を示すように
リプログラミングし、その炎症反応の
雪崩現象、カスケードを引き起こします。
--
循環器に放出された細胞外小胞は
臓器内のクロストークや
多臓器不全の病態の悪化に関与するかもしれません。
これらの推定は細胞外小胞の
タンパク質の分析によります(11)。
他の臓器からの細胞外小胞の循環は
腎臓にも影響を与えるかもしれません。
例えば、
妊娠女性の子癇前兆において、
胎盤由来の細胞外小胞は抗血管新生因子を持ちます。
それが母体の循環器に放出されます。
それによって腎臓の糸球体内皮不全や
タンパク尿に繋がるかもしれないと想定されています(12)。
また
〇systemic lupus erythematosus
〇antiphospholipid syndrome
〇ANCA-associated vasculitis
これらなどの自己免疫疾患状態にある
循環器の細胞外小胞は
凝固、血栓、
免疫誘発腎臓病
を促進するかもしれません(13)。
--
慢性腎臓病はメタボリックシンドロームと
関連があると言われています。
従って、心臓血管とも関わりがあります。
これらの症状を有する場合には
循環器内皮細胞由来の微小粒子が多くなる
と言われています(14)。
これにより
〇血管のリモデリング
〇血管壁の損傷、炎症
〇血管の硬化
〇貧血
これらにつながるかもしれないとされています(15-17)。
上述した微小粒子の中には
細胞外小胞も含まれます。
但し、微小粒子のどの種類がどのように
臓器間も含めた病態に関わっているかは
研究の余地が非常に大きいとされています。
//考察//ーー
細胞外小胞は腎障害がある場合には、
それを悪化させる生理要因となると考えられています。
おそらくそれは、
細胞外小胞が細かな病因の運び屋として
機能するからであると考えられます。
病変部位が細胞外小胞依存的に雪崩的に広がっていき
血液を通じて、あるいはネフロン内で
組織の悪化が進んでいくと想定されいます。
この推定を逆手にとれば、
もし腎臓に対して治療効果のある細胞外小胞を
ネフロンを含む腎臓組織に輸送することができれば、
腎障害が緩和する可能性も考えられます。
しかしながら、
腎臓の場合は静脈注射など血液系からアプローチしても
細胞外小胞は腎臓の糸球体ろ過障壁で
ブロックされてしまうため
ネフロンの大部分を占める尿細管まで
有効に届かないことが考えられます。
但し、尿細管の組織の周りには血管があるはずなので
そこからアクセスできる可能性もあります。
従って、腎臓の場合は
細胞外小胞で有効に治療できる領域が限られてしまう
可能性があります。
(参考文献)
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Cristina Grange & Benedetta Bussolati
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慢性腎臓病(CKD)とは慢性に経験するすべての
腎臓病を指します。
実際の患者さんは日本国内で1330万人、
20歳以上の8人に1人いると考えられており
新たな国民病であるとされています。
慢性腎臓病はメタボリックシンドロームとの
関わりが深いと考えられています。
腎臓は全身の臓器で作られた老廃物を尿に捨て
きれいになった血液を心臓に戻すという
大切な役割を担っています。
そうした中で心臓の大動脈から1分間に流れる
血液量のおおよそ1/5は腎臓に行きます。
1分間に1Lと大量です。
従って、上述したメタボリックシンドロームを含む
血液性の疾患との関わりが深いと考えられます。
--
この腎臓は組織が非常に複雑であるため
iPS細胞などを用いて臓器再生する際の
最後の難題と言われることもあります。
従って、再生が難しい臓器の一つです。
--
人の遺伝子を持つブタの腎臓を
脳死した人に移植した報告もあります。
54時間、機能を発揮したと言われています(10)。
このような選択肢が人に適用される可能性もあります。
このような移植を動物に求める背景は
ドナー不足があると考えられます。
日本を含め、世界で多くの人に腎障害が起これば
ドナー不足はより顕著になります。
--
Cristina Grange & Benedetta Bussolati
(敬称略)からなる医療研究グループは
腎臓病における細胞外小胞について総括されています(1)。
細胞外小胞は病気のバイオマーカーとしても
期待されますが、再生機能を持つなど
腎臓病に対する治療においての機能を有する側面もあります。
本日は、尿の細胞外小胞の供給元についての
内容の一部を読者の方と情報共有したいと思います。
尿の細胞外小胞は異種性に富みます。
その種類は尿生殖路の細胞が主です。
詳しくは後述しますが、
糸球体にあるバリア機能によって
血液中の細胞外小胞がろ過されるからです。
尿の細胞外小胞は
〇糸球体の細胞
〇尿細管細胞
〇前立腺の細胞
〇膀胱の細胞
これらが主です(2)。
尿の細胞外小胞の99.96%は
尿生殖路の細胞であることが示されています(2)。
尿の細胞外小胞は
典型的な頂端膜マーカーを発現しています。
この頂端膜とは内腔に面した細胞膜の表面です。
従って、尿細管の内腔壁にある細胞から
細胞外小胞が放出されている事が示されます(3)。
--
また腎臓由来の尿の細胞外小胞と
完全な尿細管由来の細胞外小胞の比較によると
尿の細胞外小胞のタンパク質は
両方の比較サンプルに含まれていました。
この事は腎臓が尿の細胞外小胞の主要な供給元である
ことを示しています(4)。
--
上述した99.96%以外の残りの0.04%は
腎臓浸潤細胞由来
あるいは血中の細胞外小胞である可能性があります。
しかし、
無傷の糸球体ろ過障壁は
4nm以下の物質しか通さないと言われています(5)。
一方で、別の経路として
糸球体のろ過障壁の細胞をトランスサイトーシスして
尿に血中の細胞外小胞が流れ出す事も考えられます。
他方で、
血中の細胞外小胞の尿への排出は
ラットのモデルで示されています(6)。
しかし、今までのところ
内因性の尿路由来ではない細胞外小胞の
尿への排出は明瞭には示されていません。
--
腎臓に傷害があると血尿やタンパク尿が出るように
細胞外小胞も糸球体ろ過障壁を超えて
尿路へ流れ出す事も想定されます。
実際に
急性腎障害では静脈注射されたラベル付きの
細胞外小胞の腎臓への分布が増えたことが
示されています(7)。
これらの血中からの細胞外小胞は
尿細管細胞に5分以内と急速に取り込まれる
ことが確認されています(8,9)。
//Author correction//ーー
細胞外小胞を患者さんの病態の継続的なモニタリングのため
に使用する際、毎日の尿から分析する事を以前提案しました。
しかし、
Cristina Grange & Benedetta Bussolati(敬称略)の
総括で示されているように(1)、
血液と尿の間には糸球体のバリア機能があり
血液だけではなく、細胞外小胞もほとんどブロックされて
しまうことが明らかになっています。
むしろ血液中の細胞外小胞が尿にでるということは
腎臓に問題があるという事です。
従って、
尿の細胞外小胞の分析によって
身体全体の状態を把握する事は原理的に難しい
ということを理解しました。
一方で、
糸球体、尿細管、前立腺、膀胱の機能は
尿の細胞外小胞から調べる事ができる可能性があります。
(参考文献)
(1)
Cristina Grange & Benedetta Bussolati
Extracellular vesicles in kidney disease
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Results of Two Cases of Pig-to-Human Kidney Xenotransplantation
The New England Journal of Medicine 2022; 386:1889-1898
小児脳腫瘍、その分類と低悪性度神経膠腫
お子さんのがん(小児癌)の日本の統計によれば
白血病などの血液性の癌が26%と最も多く
脳腫瘍はその次の21%となっています。
それに続き、悪性リンパ腫11%
神経芽腫が9%となっています。
--
Alan R. Cohen(敬称略)は
子供の脳腫瘍について総括されています。
本日はその内容の一部について
読者の方と情報共有したいと思います。
//概要//ーー
脳腫瘍は上述したように固形癌の中では
最も共通的な小児癌で
治療にも関わらず命を落としてしまう事が
最も多い小児がんとされています(3-5)。
中枢神経系の腫瘍は小児がんは
小児癌のおおよそ20%とされています(6)。
従って、日本のデータとほぼ一致します。
アメリカでは
脳腫瘍に罹るお子さんは
10万人に5.65人
懸命の治療に関わらず命を落とすお子さんは
10万人あたり0.72人とされています。
これは0歳から14歳までの統計です(5)。
一方で、
近年の診断、治療の発展によって
中枢神経系の小児癌の子供の生存率と
予後(生活の質)は改善してきています。
しかし、今述べた予後においては
改善がみられるものの改善の余地は大きい
とされています。
長期にわたる後遺症も生じます(4,7)。
--
Alan R. Cohen(敬称略)は
子供の脳腫瘍の分類とマネイジメント(管理、治療)
における近年の変化について総括されています(1)。
しかし、その新しい分類には名称も含めて複雑性があります。
//子供の脳腫瘍の分類//ーー
2021年に中枢神経系の癌に対する分類
WHOのCNS5。
これでは脳腫瘍の分類の変化
それに応じた分子的診断の特徴を示しています(8)。
これでは、
〇組織学的
〇超微形態的
〇免疫組織化学的
これらに基づいた従来の分類と共に
分子バイオマーカーの混成用語体系を示しています。
これらの変化は広範で
専門家ではない方にとっては
単純な名称変更のように思えるかもしれないですが、
それらは遺伝的な特徴に基づいた診断カテゴリを
割り当てています。
多くのケースでは予後に関わり
治療の為の潜在的な標的を提供します。
従って、遺伝子的な特徴を元により細分化され、
精密医療の為の下地が整ってきていると解釈する
こともできます。
新しいシステムでは22の特異な癌種が示されています。
その多くは特異的な分子改変を含みます。
いくつかの名前は扱いにくいです。
例えば、
diffuse pediatric-type high-grade glioma, H3 wild type and IDH wild type
desmoplastic myxoid tumor of the pineal region, SMARCB1 mutant
これらなどです。
名称が非常に長く、詳細になっています。
分子的に分析する事は発展途上国ではおおよそ
利用できなくなっています。
アメリカでさえもエキソーム、ゲノムシーケンスは
数週間かかり、
現在の分類に合う分子的な診断を行う前に
治療を開始する必要があるかもしれません(9)。
〇遺伝子的な分析、診断、理解
〇お子さんの脳腫瘍の病態
〇新しい知見の臨床応用
これらにはギャップ、差異があります。
//低悪性度神経膠腫(*1)//ーー
(*1)Pediatric-Type Diffuse, Low-Grade Gliomas
低悪性度神経膠腫は子供において
最も頻繁に生じる脳腫瘍です。
グリア-ニューロン混在(glioneuronal)
ニューロン腫瘍を含めれば、
全ての脳腫瘍の1/3を占めます(10)。
この脳腫瘍は異種性が強いとされており、
大人のケースとは異なります。
稀に高悪性度神経膠腫に発展する事もあります(11)。
大人のケースでは
IDH1とIDH2変異が低悪性度神経膠腫では
共通的な遺伝子特徴でありますが、
子供では異なりこの変異は共通的ではありません(12)。
--
初期の治療は手術で組織の診断を行います。
その上で最大の安全切除を達成します。
5年無進行生存率は69%で
全生存は95%です(13)。
進行におけるリスク因子は
〇発症年齢が若い
〇不完全な切除
〇線維的な組織
〇視床下部、交叉領域に癌が存在
これらが挙げられています。
しかし、
低悪性度神経膠腫の完全切除は
多くのケースで困難であるとされています。
特に脳の中央、深部に存在する場合は
なお困難であるとされています。
低悪性度なので
これらの腫瘍は多くの場合、不活性です。
監視のための脳画像の取得は
従って、任意であるとされています。
放射線治療は
再発性、残存する低悪性度神経膠腫に対して
効果的であるとされています。
5年無進行生存率は71%で
全生存は93%です(14)。
上述したように年齢や存在箇所において
リスク因子があるお子さんに対しては
術前、術後のアドジュバント療法を含めた
化学療法が多くの場合選択されます。
前述した放射線治療の場合は
成長期の脳に対して神経毒性があるため
懸念材料があります。
それに対して化学療法が選択されることがあります。
成長期のお子さんの脳に対しては
領域を集中して照射すると
周辺を含めた近領域の脳の成長が妨げられてしまう
と言われています。
一方で、強度変調放射線治療によって
高線量領域に含まれる正常組織の体積を大幅に
軽減することが可能になり、
それにより脱毛防止なども含めて
患児の生活の質を向上させる事にも成功しています(25)。
--
化学療法では
〇vincristine
〇carboplatin
〇vinblastine
〇6-thioguanine
〇procarbazine
〇lomustine
〇cisplatin
〇etoposide
〇irinotecan
これらを単剤、もしくは複合して
使用されることが有効であるとされています(10,15,16)。
これらの抗がん剤の複合使用では
イベントフリー生存率が
放射線療法よりも同じが優れている事が
臨床試験で示されています(17)。
アルキル化化学物質である
抗がん剤temozolomideの役割は
大人の神経膠腫では有効でしたが、
子供では不明瞭でした(18)。
これは共通的に使われる抗がん剤です(10)。
分子改変は従来の化学療法よりも
毒性は低く、より効果的であるかもしれない
とされています(19)。
その標的として
mitogen-activated protein kinase (MAPK) pathway
これが着目されています。
ほとんどの低悪性度神経膠腫では
1つ以上の分子改変がこの経路で生じています。
例えば、
〇BRAF V600E mutation(locus:7q34)
〇KIAA1549–BRAF fusion(locus:7q34)
〇NF1 mutation
〇fibroblast growth factor receptor 1 mutation
〇NTRK family fusions
これらが挙げられています(20,21)。
これらの変異に対して
〇BRAF inhibitors (dabrafenib)
〇downstream MEK inhibitors
(trametinib and selumetinib)
これらが調べられています(4,9)。
特に癌抑制遺伝子CDKN2Aのホモ接合性欠失に関連した
BRAF変異を持つお子さんは
従来の化学療法では反応性が低いとされています(22,23)。
上述した分子標的薬剤は
再発性、進行性、難治性の
NF1変異を持つ低悪性度神経膠腫では
効果的である事がフェーズⅡの治験で示されています(24)。
//考察//--
テモゾロミド(temozolomide)は
悪性度の高い脳腫瘍に用いられるとされています。
血液脳関門の浸透性が高く
DNAをアルキル化、メチル化する事によって
腫瘍細胞死を誘導するとされています。
この治療が低悪性度神経膠腫を持つ子供では
大人ほど有効ではなかったとされています。
お子さんの場合、
変異が明らかな場合には
その変異に対応する分子標的薬剤の方が
治療反応性が高いということです。
従って、遺伝子検査で変異を確かめる事は
手術にプラスして化学療法を行う場合には
必要であると考えました。
//細胞種特異的輸送系統(*)//ーー
(*)Cell-type-specific delivery system
子供の癌の場合は、化学療法においては
より標的化した治療が有効である可能性があります。
変異した遺伝子をピンポイントで無効にする
遺伝子治療を行うことができれば
術後の再発率の低下や
軽い後遺症などの予後、生活の質に
貢献する事ができる可能性があります。
上述した
〇BRAF inhibitors (dabrafenib)
〇downstream MEK inhibitors
(trametinib and selumetinib)
これらなどの分子標的薬剤も
この薬剤を小児癌の病変部位に特異的に届けるような
ナノ粒子、細胞外小胞があれば、
より副作用の小さい効果的な治療を
行うことができる可能性があります。
そのためには
小児がんを発症しているお子さんの組織から
iPS細胞技術などを用いて
脳腫瘍の受容体、表面リガンドなどの
特徴をより深く分析、理解する事が大切になります。
(参考文献)
(1)
Alan R. Cohen, M.D.
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細胞外小胞は各細胞種から放出され
血液、リンパ液などを通じで全身にいきわたります。
細胞外小胞はmRNAに作用するmiRNAを胞内に含み
それが受け細胞内に取り込まれることで
遺伝子発現の可動性に関わります。
この細胞外小胞は腎臓の生理、病理において
中心的な役割を果たすと言われています(1)。
尿の細胞外小胞は糸球体の細胞と尿細管細胞の間の
クロストーク、相互作用における仲介役となります。
また長く伸びる尿細管の異なる領域間での
クロストーク、相互作用の仲介役となります。
また臓器間といったもっと広域での
クロストークにも関わります。
上述したように細胞外小胞は腎臓の病理に関わります。
その中で、腎臓の損傷や炎症の亢進に関与します。
従って、その病理に関わる細胞外小胞の
バイオマーカーを分析することによって
診断や予後の決定に貢献します。
一方で
外因性の、人為的な細胞外小胞の投与によって
腎臓の再生、炎症と線維化の抑制など
急性、慢性に関わらず
腎臓病の治療を実現します。
この事は臨床前データによって
強固に証明されています(1)。
細胞外小胞を生体外で精製、製造し
薬剤として投与することを考慮する際には
どの細胞種から放出された細胞外小胞を使うか?
この事が選択肢として存在します。
現状で最も有望な選択肢は「幹細胞」です。
従って、iPS細胞技術、ミューズ細胞技術なども
同様に有望であることを示唆しています。
この時に期待される作用機序は
上述した腎臓の再生機能活性です。
元々、幹細胞が再生機能を持つので
そこから放出された細胞外小胞も
直接的、あるいは間接的に
再生機能を持つという事です。
また
細胞外小胞は今述べた様に
それそのものが治療効果を発揮するケースもあります。
例えば、心臓血管の疾患では
上述した幹細胞由来のエクソソーム(細胞外小胞)が
治療に使われ、治療効果を発揮します(2)。
一方で
細胞治療で選択される細胞そのものに対する
細胞外小胞の差別化因子は
細胞外小胞は代謝機能を持たない(?)ため
内容物をそのまま輸送する事に適している事です。
クロストークに主に関わる生理機能ですから
内容物を安定的に輸送する事に長けている事は
ごく自然な想定です。
そうした場合、そうした優れた輸送機能を生かして
脂質ナノ粒子のように薬剤輸送媒体としても利用できます。
また、細胞外小胞を放出元の細胞を
遺伝子操作することでエンジニアリングすることも可能です。
--
Cristina Grange & Benedetta Bussolati(敬称略)
からなる医療研究グループは
腎臓病における細胞外小胞について
上述した概略を含めて総括されています(1)。
本日はそのキーポイントについて
読者の方と情報共有したいと思います。
//キーポイント//ーー
尿の細胞外小胞は
〇糸球体内
〇糸球体-尿細管
〇尿細管内
これらのクロストーク、連携に関わります。
また腎臓を含めた臓器のクロストークにも関わります。
これらの機序は
腎臓の損傷を強め、
急性腎疾患、慢性腎疾患の進行に関わります。
--
尿の細胞外小胞は多層的な診断プラットフォームを
使う事によって分析する事ができます。
そのことによって
病理の過程を特定することや
どの細胞種が病理に関わっているか
ということを特定することができます。
従って、分析に当たっては
混在する尿の細胞外小胞のバルク分析の中で
細胞種と特定できるように仕分けする技術革新が
必要になります。
--
大規模な患者さんのコホート分析の中での
厳格な標準化や妥当性の確保は
細胞外小胞をバイオマーカーとして
臨床応用するためには必要となります。
--
幹細胞由来の細胞外小胞は
〇腎臓の回復
〇損傷進行の抑制
〇線維化の抑制
これらが急性、慢性の腎臓病において
動物モデルで示されています。
--
腎臓の治療における細胞外小胞に対して
いくつかのエンジニアリングアプローチがあります。
〇薬剤を有効に搭載する
〇腎臓の有効に輸送されるようにリガント形成させる
これらが考えられます。
後者はおそらく細胞外小胞の親細胞の
表面リガンドの構成が顕著に狙い通り変われば、
実現できる可能性があります。
--
上述した動物モデルで示された
細胞外小胞の腎臓病に対する治療効果に対して
小規模ですが人に対する臨床試験が行われています。
慢性腎臓病の患者さんに対して
間葉系幹細胞の細胞外小胞の投与の効果は
臨床的の良好であったとされています。
しかし、細胞外小胞の安定的な製造の為の
プロトコルが未熟である事と
それを臨床応用する際の標準化が遅れている事から
その治療応用には壁、課題があります。
(参考文献)
(1)
Cristina Grange & Benedetta Bussolati
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Nature Reviews Nephrology (2022)
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