//背景//ーー
日本においてコロナ禍の中、出産において痛ましい出来事がありました。
胎児、新生児、乳児、幼児、学生など成人前の子供においては
新型コロナウィルスのリスクは幸いにも
大人に比べて顕著に低いことが疫学的にわかっています(1)。
しかしながら、
〇出産における母体の健康の問題
〇それに関連する早産などの問題
〇罹患した子供の発育などに関わる長期的な影響
〇コロナ禍における社会的な問題
〇施設、医療スタッフの問題
、、、
これら副次的な問題も含めれば、
単に「子供は軽症で済むから大丈夫」という話にはなりません。
出産における環境が十分に整った日本を含む先進国でも
こうした問題が顕わになっていますが、
低中所得の国では上述した副次的な問題を含めれば
事態はより深刻であるとされています(1)。
コロナ禍において
胎児、新生児、乳児、幼児の死亡率は
低中所得の国ではかってないほど高まっています(2-4)。
ー
L. Ryan, Frans B. Plötz, Agnes van den Hoogen, Jos M. Latour, Marina Degtyareva, Maya Keuning, Claus Klingenberg, Irwin K. M. Reiss, Eric Giannoni, Charles Roehr, Christopher Gale & Eleanor J. Molloy
医療研究グループはまだ報告がおそらく少ない
新生児における新型コロナウィルス関連の問題について
上述した社会的な事も含めて総括しています(1)。
拝読した内容を分類しながら簡潔にまとめて、
読者の方と情報共有したいと思います。
未だ収束の兆しの見えない世界のコロナパンデミックにおいて、
胎児、新生児、乳児、幼児などの年齢の低い子供の
社会問題及び医療環境改善の
小さな前進に貢献できればと考えます。
//疫学//ーー
イギリスの調査では、パンデミック第一波の時に
66名の新生児が新型コロナウィルスに感染して
入院患者治療を受けたとされています(5)。
おおよそ1万人に5.6人の発生率であるとされています。
ー
妊娠期間が32週から37週の早産の子供は
予定日近くに生まれた子供に対して
(有症状で治療が必要な?)
新型コロナウィルス感染率が高いことが示されています(5)。
〇早産:18.4人/10000人
〇予定日出産: 4.9人/10000人
ー
母親が新型コロナウィルスに感染した場合の
出産におけるイギリスのデータが示されています。
627件の出産が確認される中。
〇早産:19%
〇医原性の早産:14%
〇新生児医療要:19%
これらであることが示されています(5,9)。
他のデータでも早産の割合はおおよそ17%となっています。
この数字は一般的な人の3倍高いとされています(11)。
//社会問題//ーー
ネパールではパンデミックによる都市ロックダウンが
行われた事に寄って、医療施設で出産できる機会が限定され
死産、新生児死亡が増加、医療の質の低下が
確認されています(10)。
//臨床症状//ーー
新生児の新型コロナウィルス感染における臨床症状は以下
大人と異なる部分があります(1)。
〇胃腸の不調
〇食欲不振
これらが挙げられています(6,7)。
但し、イギリスでは新生児のコロナウィルス感染による
死亡は確認されていません(5)。
//長期的な影響//ーー
新型コロナウィルスは神経向性を持っており
脳へ影響を与える事が知られています(8)。
従って、新型コロナウィルスに感染した
新生児、乳児、幼児における
長期的な発育の影響が懸念されます。
しかしながら、まだパンデミックが生じてから
2年程度しか経っていないため、
長期的な影響のデータが揃っていません。
従って、脳神経系を含む発育の追跡調査の必要性が
訴求されています(1)。
//妊娠女性の感染のリスク//ーー
妊娠女性は新型コロナウィルス感染症の重症化リスクの
1つとして挙げられ、実際に集中治療を受ける人の割合が
非妊娠女性に比べて高いことが示されています(11)。
実際に感染した場合、
胎児や新生児の健康状態に影響を「与えうる(可能性がある)」
要因は以下いくつかあります。
〇早産(疫学的には約3倍)
〇子供への感染
〇胎盤を通したガスや栄養の供給阻害の可能性(引用文献非提示)
ただし、組織学的な分析で
妊娠第二期、第三期において母体の血流に異常が見られた
ケースがあると記載されています(1)(プライマリー文献非提示)。
ー
妊娠女性のワクチン接種は日本産婦人学会でも
「推奨される」と明言されています。
ワクチン接種における早産などの出産のリスクは高まりませんが、
実際に胎児にどのように影響があるか?
これについてはまだはっきりとはわかっていません(1)。
但し、感染した時のリスクは多面的に高いことから
リスクとベネフィットの関係で
未知な部分は除外できませんが、
「推奨される」
ということであると考えられます。
ー
上述したように妊娠中に新型コロナウィルスに感染すると
早産になる確率が3倍高まるというデータが示されています(11)。
またいくつかのケースでは
生まれた新生児に深刻な疾患が生じたとされています。
〇呼吸器不全/〇多臓器不全/〇脳の損傷
これらです(12-15)。
しかしながら、早産と直接的に関係している可能性があり、
新型コロナウィルス感染症が直接的に
これらの疾患を生じさせたのかどうかは未知であると考えられます。
//予防策(1)//ーー
〇妊娠、出産後、授乳期の女性を感染から遠ざける。
〇NICU(新生児集中治療室)の感染予防を徹底する。
//抗体の垂直伝染//ーー
妊娠女性が新型コロナウィルスに感染して、
抗体がつくられると症状の程度に関わらず、
胎盤を通して胎児に抗体が送られることが知られていますが、
症状の程度と胎児の抗体レベルには相関がみられない
とされています(1)。
//母乳、授乳について//ーー
新生児、乳児の発育において
一般的に授乳は非常に重要な位置づけである
と認識しています。
単に身体の発育、臓器の発達だけではなく、
他の感染症に対する耐性においても好影響を与える
と考えられます(16)。
従って、母乳、授乳における
新型コロナウィルスの影響をエビデンスベースで
包括的に考える事は非常に重要です。
ー
〇母乳に新型コロナウィルスRNAが検出された証拠はない
〇それによる乳児の臨床症状の影響も確認されていない
これらが報告されています(17-24)。
ー
〇母乳には新型コロナウィルス感染を防ぐ抗体(sIgA)がある
〇少なくとも新型コロナウィルス回復者の母乳には
新型コロナウィルス特異的な抗体が含まれる。
これらが報国れています(25-40)。
このsIgA抗体は感染履歴に関わらあず母乳に含まれています(41)。
ー
〇母乳に含まれるラクトフェリンは
新型コロナウィルスを含むウィルスが
乳児の細胞に結合して細胞感染することを防ぎます(42)。
ー
〇母乳は低温殺菌する(62.5℃/30分)と仮に母親が感染していても
新型コロナウィルスの流入を防ぐことができます。
しかし、処理中にラクトフェリンなど重要な成分の一部が
消失するため、高圧下で処理する事が望ましいです(43,44)。
//ワクチンの効果//ーー
妊娠女性の新型コロナウィルスワクチン(mRNA)に対する
免疫応答は以下、十分にあります(45-48)。
〇中和抗体量
〇CD4, CD8 T細胞免疫応答
〇変異株などに対する交差応答
〇抗体の胎児への垂直伝染
現在、オミクロン株など変異株が世界に蔓延しています。
逃避変異の疑いがあることから、効果は低下しますが、
それでも細胞性免疫、交差応答が確認されているため
一定の効果があると考えられます。
但し、妊娠女性においては、早産のリスクなども考えると
ワクチンを仮に接種していたとしても、
今まで通り
〇マスクの着用
〇密を避ける
〇社会の感染状況を確認する
〇手洗い、消毒
など、リスクをできるだけ避けることが望ましいと考えられます。
//子供が重症化しない理由//ーー
新生児、乳児、子供が重症化しにくい理由ははっきりはわかっていません。
自然免疫応答が獲得免疫よりも強いために
新型コロナウィルス撃退で重要な
インターフェロンの応答が良いためであるという指摘もあります(1)。
ー
Alexander C. Dowell氏らは
子供はウィルス特異的な抗体の応答が「安定的」で
12カ月持続する事が指摘されています
また交差反応もよいとされています(49)。
例えば、日本を含む東アジアでは
コモンコールドなコロナウィルスの感染が日常的です。
子供が常時その環境にさらされることで
常に「安定的」「交差的」に抗体が存在し、
新型コロナウィルスに対する症状の程度が軽い
と考える事も出来ます。
//後遺症について//ーー
妊娠時に感染した母親、
胎児、新生児、乳児、幼児で感染した子供における
後遺症についてはまだはっきりとはわかっていません。
但し、新型コロナウィルスに関しては
母数が大きいことから疫学的な分析も可能なので
今後、追跡調査は世界的に必要であると考えられます。
まだ、一般的に問題とされている
後遺症の治療についての報告は
私の知る限りにおいては少なくとも限定的です(50)。
段階を経て、少しずつ方針が示され、
状況が改善されることを願います。
(参考文献)
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Children develop robust and sustained cross-reactive spike-specific immune responses to SARS-CoV-2 infection
Nature Immunology volume 23, pages40–49 (2022)
(50)
Ani Nalbandian, Kartik Sehgal, Aakriti Gupta, Mahesh V. Madhavan, Claire McGroder, Jacob S. Stevens, Joshua R. Cook, Anna S. Nordvig, Daniel Shalev, Tejasav S. Sehrawat, Neha Ahluwalia, Behnood Bikdeli, Donald Dietz, Caroline Der-Nigoghossian, Nadia Liyanage-Don, Gregg F. Rosner, Elana J. Bernstein, Sumit Mohan, Akinpelumi A. Beckley, David S. Seres, Toni K. Choueiri, Nir Uriel, John C. Ausiello, Domenico Accili, Daniel E. Freedberg, Matthew Baldwin, Allan Schwartz, Daniel Brodie, Christine Kim Garcia, Mitchell S. V. Elkind, Jean M. Connors, John P. Bilezikian, Donald W. Landry & Elaine Y. Wan
Post-acute COVID-19 syndrome
Nature Medicine volume 27, pages601–615 (2021)
//背景//ー
南アフリカでデルタ株からオミクロン株に入れ替わるという事は
進化における自然選択説から考えると、
オミクロン株の方が感染力が強いと考えられます。
実際に新型コロナウィルスが発生してから
主要な蔓延株(VOC)をトレースすると大きくは
①アルファ株⇒②デルタ株⇒③オミクロン株
このようになっています。
ー
今までアルファ株やデルタ株の専門家の注目は
ACE2エントリー受容体に結合する
新型コロナウィルスエンベロープ上にある
Sタンパク質の構造(変異)についてでした。
例えば、アルファ株であればD614G、
オミクロン株であれば
N501Y, D614G, K417N、T478K
これらが挙げられています。
これらによりACE2との結合親和性が高まったり、
あるいは細胞膜融合が効率的に行われたり、
もしくはワクチンの抗体に対して逃避効果が生まれます。
ー
しかしながらウィルスのサイクルを概観すると
ウィルスの増殖性や毒性は
細胞に侵入する以外にも、
細胞内でどのように働くかというのが関係します。
例えば、ウィルスが細胞内に侵入した時には
身体の自然な反応として、それを除外しようと
免疫機能が働きます。
その免疫機能がウィルスの働きによって弱められれば、
ウィルスの増殖性はSタンパク質のエントリー機能に関わらず
上昇する事になります。
ー
Lucy G. Thorne, Mehdi Bouhaddou, Ann-Kathrin Reuschl, Lorena Zuliani-Alvarez
(敬称略)ら医療研究グループは
細胞内の免疫機能に関わる新型コロナウィルスが持つたんぱく質と
その作用について調べています(1)。
初期に流行した株(Wave-one)と
感染力が強いアルファ株を比較して、
試験管内で細胞内の免疫機能は働きがどのように変わったか?
それに関わるウィルスが持つたんぱく質の種類と量はどうか?
これらの両方の分析を行っています。
本日は報告されている内容の一部を引用させていただき
読者の方と情報共有したいと考えています。
//結果//ー
(アルファ株によって弱まった細胞内免疫作用)
IFNa/β、サイトカイン、ケモカイン信号
※サイトカイン/ケモカイン
CXCL10, IL6、 CCL5など
※関連遺伝子
CXCL10, IFIT2, MX1, IFIT1, RSAD2
ー
(アルファ株で強化されている遺伝子、タンパク質)
←これらは上述した免疫機能を弱める事に関連します。
核酸:Subgenomic RNA
タンパク質:N, Orf9b(with TOM70), Orf6
ー
//考察//ー
インターフェロンは新型コロナウィルスの重症化に関わる
重要な免疫機能であることが示されています。
ウィルスに感染した時にいち早く抗ウィルス性の信号を
出すのがインターフェロンで、
このインターフェロンの反応が遅れることが
感染症の重症化に関わると指摘されています(2,3)。
従って、インターフェロンの反応が弱まることは、
アルファ株における重症化の
一つの制御因子になっている可能性があります。
ー
Lucy G. Thorne氏らが指摘しているように
デルタ株や現在蔓延しているオミクロン株においても
Sタンパク質とACE2受容体、細胞膜融合など
細胞への侵入の分析だけではなく、
細胞に侵入後の増殖性や毒性について
上述した宿主細胞との免疫系の相互作用を含めて
分析する必要性があると考えられます。
上述したウィルスが持つたんぱく質や
それと作用する免疫機能の種類は
いくつかは後発のVOC株に引き継がれている可能性があります。
従って、ワイルドタイプ、アルファ株、
デルタ株、オミクロン株の
細胞内外の作用について総括する事で
初めて見えてくる事実もあると考えられます。
(参考文献)
(1)
Lucy G. Thorne, Mehdi Bouhaddou, Ann-Kathrin Reuschl, Lorena Zuliani-Alvarez, Ben Polacco, Adrian Pelin, Jyoti Batra, Matthew V. X. Whelan, Myra Hosmillo, Andrea Fossati, Roberta Ragazzini, Irwin Jungreis, Manisha Ummadi, Ajda Rojc, Jane Turner, Marie L. Bischof, Kirsten Obernier, Hannes Braberg, Margaret Soucheray, Alicia Richards, Kuei-Ho Chen, Bhavya Harjai, Danish Memon, Joseph Hiatt, Romel Rosales, Briana L. McGovern, Aminu Jahun, Jacqueline M. Fabius, Kris White, Ian G. Goodfellow, Yasu Takeuchi, Paola Bonfanti, Kevan Shokat, Natalia Jura, Klim Verba, Mahdad Noursadeghi, Pedro Beltrao, Manolis Kellis, Danielle L. Swaney, Adolfo García-Sastre, Clare Jolly, Greg J. Towers & Nevan J. Krogan
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(2)
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The first 12 months of COVID-19: a timeline of immunological insights
Nature Reviews Immunology volume 21, pages245–256 (2021)
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Melissa Saichi, Maha Zohra Ladjemi, Sarantis Korniotis, Christophe Rousseau, Zakaria Ait Hamou, Lucile Massenet-Regad, Elise Amblard, Floriane Noel, Yannick Marie, Delphine Bouteiller, Jasna Medvedovic, Frédéric Pène & Vassili Soumelis
Single-cell RNA sequencing of blood antigen-presenting cells in severe COVID-19 reveals multi-process defects in antiviral immunity
Nature Cell Biology (2021)
//背景//ー
世界では心筋炎のワクチン副反応が疑われるため、
新型コロナウィルスのワクチンを停止するケースもありました。
2021年9月末の時点で、新型コロナウィルスワクチンは
合計で63億回以上接種されています。
従って、そこから副反応を含む疫学データを抽出することは
ワクチンの性能、安全性を評価する上で非常に重要です。
ー
2021年の4月時点で、アメリカのVAERSでは
1783ケースの心筋炎、心膜炎を含む心臓の炎症を確認しています。
その年齢は以前から指摘されている年齢層としてリスクがやや高い
12歳から19歳となっています(2)。
ー
Martina Patone(敬称略)らからなる医療研究グループは
The English National Immunisation(NIMS) Databaseから
データを抽出して、
以下の3つのタイプのワクチン。
①ChAdOx1(オックスフォード大学/アストラゼネカ製:アデノウィルスベクターワクチン)
②BNT162b2(ファイザー/ビオンテック製:mRNAワクチン)
③mRNA-1273(モデルナ製:mRNAワクチン)
これらのワクチンについて
心筋炎、心膜炎の副反応のリスクと
新型コロナウィルスに罹患した時のリスク
双方について報告しています(1)。
本日は、その内容の一部を参照させていただき、
読者の方と情報共有したいと考えています。
//結果//ー
(調査対象国)
イギリス
(人数)
①ChAdOx1(n = 20,615,911)
②BNT162b2 (n = 16,993,389)
③mRNA-1273 (n = 1,006,191)
ー
(心筋炎の発生件数)
※100万人あたり
<1回目接種から28日まで>
①ChAdOx1:2人
②BNT162b2:1人
③mRNA-1273:6人
<2回目接種から28日まで>
③mRNA-1273:10人
<新型コロナウィルスに罹患後28日まで>
④SARS-CoV陽性: 40人
⇒
2回目の接種後の心筋炎のリスクが
1回目の接種後と比べて高くなっています。
(mRNA-1273の場合)
従って、新型コロナウィルスに陽性になったほうが
顕著に心筋炎に罹るリスクが高くなります。
ー
(経時変化)
新型コロナウィルスワクチン(①②③)は
ワクチンを接種してから28日までの心筋炎の発生件数の
変化は顕著ではありません。
一方、新型コロナウィルス陽性の場合は
罹患してから7日までに発症するケースをピークとして
その後、心筋炎の発生件数が減少していきます。
(参考文献(1) Fig.1より)
ー
(年齢層:サブグループ)
40歳以下の新型コロナウィルスワクチン①②③の
心筋炎の発生件数は高く、
特に③のmRNA-1273の2回目接種後の発生件数が
100万人当たり約20人と高くなっています。
ただし、40歳以下のケースにおいても
新型コロナウィルスに感染したほうが
罹患してすぐに発症するピークの時期では高くなっています。
(100万人当たり32人)
一方、
新型コロナウィルス陽性となった場合の
心筋炎の発生件数は40歳以上のほうが
2倍から3倍高くなっています。
//考察//ー
40歳以下の若い人の心筋炎のリスクがやや高い一方で
新型コロナウィルスに罹患した場合の心筋炎のリスクが
40歳以上の人に比べて低い事。
また重症化するリスクも低いことから、
ワクチン接種のベネフィットとリスクの関係が
若い人の場合は、基礎疾患、高齢などリスク因子がある人とは
やや異なると考えられます。
ただし、社会的な要因、後遺症、
ウィルスの(今後の)変異などもあることから
個人における接種の可否判断については
多面的に考える必要があります。
(参考文献)
(1)
Martina Patone, Xue W. Mei, Lahiru Handunnetthi, Sharon Dixon, Francesco Zaccardi, Manu Shankar-Hari, Peter Watkinson, Kamlesh Khunti, Anthony Harnden, Carol A. C. Coupland, Keith M. Channon, Nicholas L. Mills, Aziz Sheikh & Julia Hippisley-Cox
Risks of myocarditis, pericarditis, and cardiac arrhythmias associated with COVID-19 vaccination or SARS-CoV-2 infection
Nature Medicine (2021)
(2)
Selected adverse events reported after COVID-19 vaccination.
Centers for Disease Control and Prevention;
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/safety/adverse-events.html (2021).
Author correction: 細胞種特異的輸送系統の実現と価値ある副産物
//背景//ー
Cell-type-specific delivery systemを
去年の9月に考案した時、コロナ禍の中でデキサメタゾンの薬理に
関する論文を読んでいました。
デキサメタゾンは免疫を調整する薬ですが、
用量が適切ではないケースにおいて副作用が強く出る
ということもあるので、処方される医師は
「デキサメタゾンの癖」というのを感覚として持っている
と言われています。
もし、その時に新型コロナウィルス感染症において
肺を含む呼吸器だけに作用するようなシステムを組み込むことができたら
より副作用の少ない形で免疫調整できるだろう
という事がアイデアとして浮かびました。
その中で肺であれば、
肺組織の表面にある特異的なタンパク質だけに結合するナノ粒子があれば、
それが達成できるだろう
と考えました。
その時にはACE2受容体が大きな科学的な注目を浴びていたので
細胞の表面タンパク質の意識がかなり強かったからです。
また、固体物理に関わってきたことから
構造的な観点が多く頭の中に含まれるというのがあります。
それが着想、出発点となっています。
ー
初めに表面タンパク質の中で注目したのが「インテグリン」です。
これはフェブロネクチンと呼ばれる細胞接着分子で
巨大な糖たんぱく質です。
このフェブロネクチン・レセプターの細胞接着活性に
関わる複数の構造的部位に関して
アメリカのエルキ・ルースラーティ氏によって
1984年に報告されています(2)。
実際に後述することと関係する
この細胞表面タンパク質に結合するためのモノクローナル抗体技術に関して
ドイツのジョルジュ・J・F・ケーラー氏と
アルゼンチン生まれのセーサル・ミルスタイン氏は
同じく1984年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
ー
今述べた様にインテグリンは
上皮組織との細胞接着に関わる表面タンパク質ですが、
転移性の癌にも多く発現している事が確認されています(3)。
上皮組織に微小環境を作り、癌を成長させるときに
その接着の役割を果たす機能がありますから
癌細胞や信号伝達の小胞に発現されているとされています。
(参考文献(4) Fig.2より)
そのインテグリンは構造が完全に決まっているわけではなく
いくつかのタイプがある事が知られています。
インテグリンの構造は大きくはα鎖とβ鎖があります。
現在24種類が見つかっています。
しかしながら、細胞などの基本的な機能にかかわるたんぱく質であるため
それぞれの型のインテグリンに絞っても
その分布は広範なものが多いです。
例えば、転移癌に関わるα3β1のタイプは広範に分布しており、
腎臓や肺の形態形成にも関わっているとされています。
従って、Cell-type-specific delivery system(細胞種特異的輸送系統)。
これにおける標的タンパク質としては好ましくない可能性があります。
なぜなら、転移癌に薬剤をナノ粒子で届けるために
このインテグリンをアンカーとして定めて設計しても
そのインテグリンの分布は体内で広範であるため、
「オフターゲット」
つまり、意図しないところでナノ粒子が固定され、
薬剤が固定された箇所、癌細胞以外の通常細胞で
抗がん剤などの薬剤が放出、取り込まれてしまう可能性があるからです。
そうすると大きな副作用を生んでしまう可能性があります。
従って、癌治療で有れば、癌細胞特異的に
あるいはある特定の組織の治療であれば、
その組織特異的に発現する表面タンパク質の発見が
この技術を完成させ、患者さんに届けるための
1つの大きな要因となっています。
//癌細胞特異的表面タンパク質(1)//ーー
Zhongyi Hu氏らはSurfaceomeと称される、
表面タンパク質の包括的な検出を癌細胞に対して行いました。
数千種類データベースの中にある細胞表面タンパク質のうち
409種類の癌細胞特異的表面タンパク質がみつかり
1癌種類単位では平均16種類見つかっています。
例えば、CDHと呼ばれる表面タンパク質(HGNC symbol)は
癌特異的であることが多く、
そのうちCDH1, CDH3などは数種類の癌で
特異的な表面タンパク質として検出されています。
(Supplementary Table 9より)。
また遺伝子でコード化されていないタンパク質も見つかっています。
このような研究が「Analysis, Resource」として報告され
様々な組織、疾患特異的な表面タンパク質のデータベースができれば
Cell-type-specific delivery systemをより広範に適用できる
大きな助けとなります。
このような表面タンパク質に作用させることで
そのまま癌細胞を死滅させることもできるものもあるので
特異的であるならば、結合できるタンパク質をナノ粒子に詰め込まず
そのまま投与すればいいという考え方もできます。
しかし、すべての癌特異的なたんぱく質が
十分な癌細胞に対する薬効を果たすかどうかはわかりません。
ナノ粒子に表面タンパク質を装飾させるメリットは
「必ずしも標的タンパク質が薬効を示さなくてもいい。」
ということにあります。
癌細胞近傍で固定されれば、
他の細胞内生理経路などに働く従来の薬剤を
今までよりも顕著に効率的に運ぶことができます。
それは治療効果、予後、生活の質を劇的に変えるものかもしれません。
あるいは副作用がかなり抑えられる可能性もあります。
従って、細胞種特異的に発現するタンパク質を調べ
それをナノ粒子に装飾する技術を開発する事は
大きく差別化できる意義があると考えられます。
ー
表面タンパク質の検出をどのように行うか?においては
人工知能による画像解析も役に立つ可能性があります。
すでにパターン解析は医療において取り入れられており
一定の成果が得られています(9)。
様々なアプローチで癌特異的な表面タンパク質を検出する事は
"Cell-type-specific delivery system"を協力的に推し進める
大きな一翼となると考えます(1-9)。
//持続性ある癌治療の実現//ー
Cell-type-specific delivery systemで重要になるのは
癌細胞の元々、あるいは後天的に獲得した異種性を考慮することです。
この考慮を怠ると薬剤抵抗性の獲得につながるからです。
例えば、
癌細胞は融合するという事も確認されています(5)。
融合した細胞は巨大になり、そこから生まれた娘細胞は
その融合で得た機能を獲得した状態で生まれます。
癌細胞の進化、後天的な機能獲得は
私たちが想像している以上に複雑かもしれません。
従って、上述した特異的な表面タンパク質のうち
できるだけ普遍的に多く発現されているタンパク質を見つけ、
それを選び出し、標的とすることが大切です。
あるいは複数の特異的タンパク質に結合するように
初めから設計する事です。
同じ系統の技術であるCAR免疫細胞技術では
Bi-specific、つまり複数の標的を持つ免疫細胞を使うことで
効果を発揮しています(6)。
//細胞表面に任意のタンパク質を形成する技術//ーー
上述したように1984年にノーベル生理学・医学賞を受賞した
モノクローナル抗体の作成によって、
特定のタンパク質に結合する物質を作ることが可能になりました。
CAR-T細胞では目的のタンパク質に結合するように
遺伝子ベクトルによって生体外で人為的に形成する事に成功しています。
従って、技術的障壁は「ある程度は」現時点で超えている
と考える事ができます。
さらに、この技術の普遍性を上げるためには
狙いのタンパク質をもっと広範に作ることができる技術を
確立する事が重要です。
そうすれば、コード化されていないたんぱく質を含めて
今までよりも多くのタンパク質を標的として、アンカーとして
利用できるようになることと、
その結合部位を制御する事にもつながります。
結合部位は結合の強さに関わる親和性の制御にもつながります。
また、変異が起きにくい部位に結合させる事も可能になるかもしれません。
//タンパク質設計の別の意義//ー
狙いのタンパク質を作ることは
薬剤における「設計図のない薬剤開発」という
今まで抱えてきた課題に対して大きく前進させるものです。
作用させたい細胞内外の受容体はわかっていても
その受容体の機能を弱めるための物質の作成するための
具体的な作製プロトコルの開発が自明ではないということです。
従って、材料の合成における構成材料やその比率、
または形成条件などブラックボックスの中での
様々な開発、資源投資が必要になります。
ゆえに、タンパク質の設計が人工知能を使って
コンピューター上で計算でできるようになることは
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)。
これだけに貢献するものではなく
もっと大きな問題となります。
従って、従来からタンパク質の構造予測というのは
鋭意、研究開発が行われてきました。
これらのことから
Cell-type-specific delivery systemをより発展的にしていくための
技術開発要素の一部はそれ単体で
意図的な物質をある程度作製できるようになるという
画期的な薬剤開発の発展が副産物(by-product)としてあるという事です。
//タンパク質の構造予測//ーー
イギリスのディープマインド社が
人工知能の深層学習を使ったタンパク質予測について
今年、2つの報告をNature誌で報告しています(7,8)。
今年の大きなブレークスルーとされています。
これについて報告とはある程度独立した形で記述したいと思います。
タンパク質の構造予測とは
アミノ酸配列を元に3次元構造を推定するものです。
この計算プロトコル、工程においては
次元を拡張していく必要があります。
まずは棒状のアミノ酸配列があり、
そこからヘリックスと呼ばれる面の構造があります。
それらが最終的に立体的に組み合わされます。
その中には主鎖や側鎖があります。
タンパク質の構造予測とは
構造の決定要因となる次元を如何に正確に拡張できるか?
これが一つ重要だと思っています。
3次元空間内に4次元を頭の中で想像することはやや抵抗があります。
時間を考慮せずにです。
次元とはある基準となる軸がある
という風に言い換えることができます。
その軸とは一つは回転軸です。
例えば、タンパク質の構造の規則性において
xy平面に対して斜め62°の軸に回転対称性が認められれば
その回転軸は次元の拡張として扱うことができます。
そのような構造のパターンを多く見出していく事が
いわば、次元の拡張となります。
3次元空間の中にそのような回転軸や基準となる軸が多くあると
構造の位置自由度(可動範囲)が下がっていき、収束していきます。
つまり、構造が確定していきます。
従って、次元の拡張となるような「基準」が必要です。
その「大切な基準」がタンパク質構造予測の中では
「残基の位置」となっています。
残基とは結合の手が余った状態で存在する部位です。
この構造内に多く特異的に存在する残基の位置を基準に
教師データを作製して、それで深層学習させる事に寄って
構造の決定精度が上がっていくと理解しています。
残基の相対的な空間的位置関係で空間内のタンパク質の構造が決まる感じです。
さらに残基でほとんど構造的に決まった後に
今度は別の要因、例えば、
〇ヘリックス、主査、側鎖同士の相互作用
〇原子、分子レベル相互作用、
〇場のポテンシャル
これらでの物理化学的な要因を計算に「近似的に」組み込むことができれば
またさらに構造の精度が上がる可能性があります。
構造が残基に基づいた予測で近づいた後の「微調整として」
行う事に意義があるかもしれません。
計算コストを下げる必要があるからです。
これがわかれば、
ある程度、材料となる物質を決めて
それでコンピューターで繰り返し合成することで
実際に実験を行うことがなくても構造を予測することができます。
最終的に絞られた状態で実際に実験していきます。
これができれば画期的なことです。
一方、
逆に出来上がっている完成形のタンパク質から
構成要件に初期化する予測も存在します。
//まとめ//ー
細胞種特異的輸送系統は構造を主体としてモデル化されているため
構造分子生物学、合成生物学、遺伝子工学など
様々な分野横断的な研究開発が必要です。
また薬剤の輸送において体内の経路を想定することから
循環器、代謝なども含めた組織学、解剖学も重要になります。
これらの総合的な理解は
Cell-type-specific delivery systemを超えた
大きな医学、薬学、医療の発展に貢献するものであると考えます。
いろんな想定外も含めた「副産物」に目を光らせながら
思い切って資源を投資する事の価値があると考えています。
(参考文献)
(1)
Zhongyi Hu, Jiao Yuan, Meixiao Long, Junjie Jiang, Youyou Zhang, Tianli Zhang, Mu Xu, Yi Fan, Janos L. Tanyi, Kathleen T. Montone, Omid Tavana, Ho Man Chan, Xiaowen Hu, Robert H. Vonderheide & Lin Zhang
The Cancer Surfaceome Atlas integrates genomic, functional and drug response data to identify actionable targets
Nature Cancer volume 2, pages1406–1422 (2021)
(2)
Michael D. Pierschbacher & Erkki Ruoslahti
Cell attachment activity of fibronectin can be duplicated by small synthetic fragments of the molecule
Nature volume 309, pages30–33 (1984)
(3)
Masaki Kobayashi, Kenjiro Sawada,* and Tadashi Kimura
Potential of Integrin Inhibitors for Treating Ovarian Cancer: A Literature Review
Cancers (Basel). 2017 Jul; 9(7): 83.
(4)
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Every step of the way: integrins in cancer progression and metastasis
Nature Reviews Cancer volume 18, pages533–548 (2018)
(5)
キャット・アーニー著/矢野真千子訳
ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物
河出書房新社
(6)
Nirav N. Shah, Bryon D. Johnson, Dina Schneider, Fenlu Zhu, Aniko Szabo, Carolyn A. Keever-Taylor, Winfried Krueger, Andrew A. Worden, Michael J. Kadan, Sharon Yim, Ashley Cunningham, Mehdi Hamadani, Timothy S. Fenske, Boro Dropulić, Rimas Orentas & Parameswaran Hari
Bispecific anti-CD20, anti-CD19 CAR T cells for relapsed B cell malignancies: a phase 1 dose escalation and expansion trial
Nature Medicine volume 26, pages1569–1575 (2020)
(7)
John Jumper, Richard Evans, Alexander Pritzel, Tim Green, Michael Figurnov, Olaf Ronneberger, Kathryn Tunyasuvunakool, Russ Bates, Augustin Žídek, Anna Potapenko, Alex Bridgland, Clemens Meyer, Simon A. A. Kohl, Andrew J. Ballard, Andrew Cowie, Bernardino Romera-Paredes, Stanislav Nikolov, Rishub Jain, Jonas Adler, Trevor Back, Stig Petersen, David Reiman, Ellen Clancy, Michal Zielinski, Martin Steinegger, Michalina Pacholska, Tamas Berghammer, Sebastian Bodenstein, David Silver, Oriol Vinyals, Andrew W. Senior, Koray Kavukcuoglu, Pushmeet Kohli & Demis Hassabis
Highly accurate protein structure prediction with AlphaFold
Nature volume 596, pages583–589 (2021)
(8)
Kathryn Tunyasuvunakool, Jonas Adler, Zachary Wu, Tim Green, Michal Zielinski, Augustin Žídek, Alex Bridgland, Andrew Cowie, Clemens Meyer, Agata Laydon, Sameer Velankar, Gerard J. Kleywegt, Alex Bateman, Richard Evans, Alexander Pritzel, Michael Figurnov, Olaf Ronneberger, Russ Bates, Simon A. A. Kohl, Anna Potapenko, Andrew J. Ballard, Bernardino Romera-Paredes, Stanislav Nikolov, Rishub Jain, Ellen Clancy, David Reiman, Stig Petersen, Andrew W. Senior, Koray Kavukcuoglu, Ewan Birney, Pushmeet Kohli, John Jumper & Demis Hassabis
Highly accurate protein structure prediction for the human proteome
Nature volume 596, pages590–596 (2021)
(9)
Constance D. Lehman & Shandong Wu
Stargazing through the lens of AI in clinical oncology
Nature Cancer volume 2, pages1265–1267 (2021)
//背景//-----
肺から新鮮な酸素を呼吸によって受け取った血液は
左心室から大動脈を通じて全身に送られます。
その酸素を運ぶ役割を果たすのがヘモグロビンです。
ヘモグロビンは4つのアミノ酸(α、β、γ、δ鎖)からなります。
それぞれの構造はポリペプチドと呼ばれる
タンパク質の元となっているアミノ酸が一本の鎖状に
繋がった構造から成ります。
そのポリペプチドの中にヘムという構造があり
ヘムの中心にはイオン化された鉄が含まれます。
ー
サラセミアと呼ばれる疾患は
このヘモグロビンのアミノ酸の形成に異常が生じる疾患です。
上述したα鎖、β鎖に異常が出るタイプがあります。
それぞれ形成量が少ないか、全く形成されない場合があります。
ベータサラセミアの臨床症状においては
程度に差があり、無症状から深刻な貧血までがあります。
深刻な貧血が生じた患者さんに対しては
継続した赤色細胞の輸血が必要です。
また鉄の過剰を防ぐために鉄のキレート化が必要です(4-6)。
//疫学//-----
参考文献(1)で対象にしているβサラセミアは
地中海地域と東南アジア出身の人に最も多くみられる
とされています(2)。
世界全体での1年間の発症件数は
おおよそ10万人に1人であるとされています(3)。
(アメリカ)
βサラセミア 1000人に4人。
(日本)
βサラセミア 1000人に1人
αサラセミア 3500人に1人
軽症が多く、溶血症状は少ない。
一般に小球性低色素性貧血を示す。
これはヘモグロビンが十分に作られてない状況です。
軽症であれば、治療を要しないとされています。
//従来の治療//-----
違う人の幹細胞を使う同種異系の幹細胞移植は
β-サラセミアの治癒的療法とされています(7-9)。
HLAが一致するドナーが見つかれば、
14歳以下の子供においては
他の例に比べて優れた臨床結果を示すとされています(10,11)。
しかしながら、白血球の血液型HLAが一致していないと
強い拒絶反応(移植片対宿主病)を起こし、
場合によってはそれによって命を落とすケースがあります(12-14)。
//進歩的治療(1)//-----
Betibeglogene autotemcel(beti-cel)遺伝子治療
〇自家移植(患者さん自身の幹細胞)
〇CD34+造血幹細胞
〇β-globin遺伝子コード化 BB305レンチウィルスベクトル形質転換前駆細胞
※ガンマレンチウィルスは腫瘍生成のリスクがありますが、
BB305は複製不活性の修正が入っているので癌化のリスクが
下がっています(15-19)。
⇒
この治療を輸血を必要とする
症状が重いβ-サラセミア患者さんに実施。
フェーズ1、フェーズ2の結果を受けて
レンチウィルス割合とコピー数を最適化して
フェーズ3の治験を実施。
治療を実施した平均年齢は15歳。
(12歳以下は8人、13-17歳は6人、18歳以上は9人)
これらの治験が
Franco Locatelli, M.D., Ph.D., Alexis A. Thompson, M.D., M.P.H., Janet L. Kwiatkowski, M.D., John B. Porter, M.D., Adrian J. Thrasher, M.D., Ph.D., Suradej Hongeng, M.D., Martin G. Sauer, M.D., Isabelle Thuret, M.D., Ashutosh Lal, M.D., Mattia Algeri, M.D., Jennifer Schneiderman, M.D., Timothy S. Olson, M.D., Ph.D., Ben Carpenter, M.D., Persis J. Amrolia, M.D., Ph.D., Usanarat Anurathapan, M.D., Axel Schambach, M.D., Ph.D., Christian Chabannon, M.D., Ph.D., Manfred Schmidt, Ph.D., Ivan Labik, M.Sc., Heidi Elliot, Ruiting Guo, M.S., Mohammed Asmal, M.D., Ph.D., Richard A. Colvin, M.D., Ph.D., and Mark C. Walters, M.D.
からなる医療研究グループによって行われました(1)。
//結果(抜粋)(1)//-----
beti-cel遺伝子治療を受けた後、
(少なくとも一時的に)輸血に依存しない患者さん
3年間(36カ月)下記のレベルで維持される。
経時的にやや向上。
トータルヘモグロビンレベル 11.7~12.6 g/dL
(正常値:男性-13.1~1.63 / 女性: 12.1~14.5 g/dL)
形質導入によって生じたアミノ酸による
ヘモグロビンレベル(HbA^T87Q) 8.9~10.6 g/dL。
-
レンチウィルスのベクトルの割合を
上げれば上げるほど(~90%)
ヘモグロビンレベル(HbA^T87Q)が向上。
-
大方通常必要な輸血を必要としない期間が継続。
治療初期は1か月程度は必要。
//副作用(1)//-----
グレード3以上
※頻度が大きいものを抜粋
血小板減少症 96%
好中球減少 78%
貧血 61%
口内炎 61%
白血球減少症 57%
※
これらの副作用は骨髄抑制のためのブスルファンに一致する。
拒絶反応である移植片宿主病の記述はありません。
//筆者の追記//-----
CD34+造血幹細胞による造血幹細胞移植は
血液疾患の根治が見込める強力な治療でありますが、
患者さんの負担も大きな治療です。
今回、グレード3以上の副反応が多く出ていますが、
遺伝子治療によるものでないのならば、
自家移植の画期的な結果であると評価できると思います。
ただし、自家移植は事前に貯蔵ができないため
「いつでも、すぐに」提供する事が難しいです。
現在、iPS細胞ストックプロジェクトが
京都大学 iPS細胞研究所のCiRAで行われています。
これでは拒絶反応が起きにくい組み合わせ
ホモ接合体のHLAの提供を逐次募集しています。
これにより、在庫のある「off the shelf」
の提供ができるようになれば、
造血幹細胞移植の拒絶反応を小さくしつつ、
医療コストを下げる事ができる可能性があります。
(参考文献)
(1)
Franco Locatelli, M.D., Ph.D., Alexis A. Thompson, M.D., M.P.H., Janet L. Kwiatkowski, M.D., John B. Porter, M.D., Adrian J. Thrasher, M.D., Ph.D., Suradej Hongeng, M.D., Martin G. Sauer, M.D., Isabelle Thuret, M.D., Ashutosh Lal, M.D., Mattia Algeri, M.D., Jennifer Schneiderman, M.D., Timothy S. Olson, M.D., Ph.D., Ben Carpenter, M.D., Persis J. Amrolia, M.D., Ph.D., Usanarat Anurathapan, M.D., Axel Schambach, M.D., Ph.D., Christian Chabannon, M.D., Ph.D., Manfred Schmidt, Ph.D., Ivan Labik, M.Sc., Heidi Elliot, Ruiting Guo, M.S., Mohammed Asmal, M.D., Ph.D., Richard A. Colvin, M.D., Ph.D., and Mark C. Walters, M.D.
Betibeglogene Autotemcel Gene Therapy for Non–β0/β0 Genotype β-Thalassemia
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サラセミア
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周産期/新生児/小児医療を含む肺高血圧症
//背景//-----
Nature Publishing Groupは
2022年にNature Cardiovascular Research
という姉妹誌を創刊します。
日本語にすると心臓血管研究ということになります。
なぜ、心臓と循環器である血管が共存するか?
その理由は当たり前ですが、
心臓が全身に血液を送るポンプ役だからです。
従って、心臓⇔血管(血液)循環
というのは切り離せない存在となるからです。
つまり、心臓に問題が出れば、循環器に
逆に循環器に問題がでれば、心臓に問題が出ます。
血流が不足すれば、真っ先に影響を受けるのが脳です。
しかし、これでは不十分で
心臓は肺とも密接に関わっています。
身体から静脈を通じて右心房に入った血流は
右心室を流れ、肺に到達します。
肺胞で呼吸によって二酸化炭素、酸素濃度を調整し
今度は呼吸で得た酸素の多い血流を動脈として
心臓の左心房に運びます。
その血液が左心室に運ばれ、大動脈から全身にいきわたります。
ー
肺は循環器、心臓の機能において肝となる存在です。
その肺胞のまわりにある血管が
稀にお子さんに生じる遺伝的な疾患や
新型コロナウィルスなどの呼吸器の感染症などで
損傷を受けると、そこの血流が滞りますから
右心室⇒肺(肺胞)への血圧が高まります。
そうすると肺の損傷を受けて
右心室の充満圧が上がり、肥大するようになります(1)。
//子供に対する疫学//-----
肺高血圧症を論文検索すれば、
対象分野が周産期医学(journal of perinatology)
幼児研究(Pediatric research)の分野に
集中している事が明らかになります。
つまり、肺高血圧症は先天的に生じる事が
少なくとも比較的多いと考えられます。
例えば、早産の一つのリスクとして
気管支肺異形成症があります(3)。
肺の組織学的な異常が見られるため結果として
肺血管抵抗が高まり、右心室肥大のリスクが高まります(3)。
ー
世界で4000人に1人の胎児に生じるとされる
先天性横隔膜ヘルニアがあります。
横隔膜が異形成し肺のスペースを狭めてしまうこと
によって肺の成長阻害が起こる先天性疾患です。
軽度なものから重度なものがあります。
気道にバルーンを入れて肺の成長を促す
Fetoscopic endoluminal tracheal occlusion(FETO)
を行ったとしても肺の高血圧罹患率は
軽度なもので74%(4)、重度で94%(5)となっています。
ー
これらの事から先天性に肺の組織学上の異常が出る事によって
肺の血管抵抗が高まり、肺高血圧症となり、
肺の手前の経路である右心室や
後の経路である左心室/左心房など
心臓にも影響が出てしまうことが考えられます。
ー
実際には下記分類の①PAHの疫学調査では
大人が100万人あたり15-50人
子供が100万人あたり2-16人となっています(6)。
肺高血圧、全体ではおおよそ1%
65歳以上ではおおよそ10%となっています(11)。
そのうちの80%は発展途上国の人です(12)。
理由は
〇治療費用の問題
〇承認薬の欠如
〇アクセスできる医療機関の欠如
これらとなっています(1)。
ー
新型コロナウィルスの後遺症として肺高血圧症の増加は
冒頭で述べた様に懸念されますが、
少なくとも正常血圧者においては
肺高血圧症と診断された例は稀であるとされています(7)。
//肺高血圧の基準//-----
肺高血圧の基準は休息状態で
「平均20mmHg以上」
となります。
(※血圧は変動する事が考慮されて平均となっている
と考えました。)
測定方法は心臓の右側にカテーテルを挿入して
計測します(1,2)。
ー
肺の血管疾患による
肺の毛細血管前の肺高血圧症
(Precapillary pulmonary hypertension)
つまり右心室から肺胞周辺の間の血管の高血圧症は
以下のように定義されます。
〇3WU以上 WU: Wood units(肺血管抵抗)
-
肺の毛細血管後の肺高血圧症
〇3WU以下
この場合、左心房/左心室の充満圧が上がることになります。
//肺高血圧症の臨床分類//-----
(参考文献(1) Figure.1より)
ー
①毛細血管を含む肺の血管の損傷、異常
主に血管の異常
(サブカテゴリ)
・突発性
・遺伝性
・薬物、毒物誘発
・結合組織疾患
・HIV感染
・門脈圧亢進症
・先天性心臓病
・住血吸虫症
・カルシウムチャンネル遮断薬への長期的反応
・顕著な静脈、毛細血管の異常
・新生児の持続的な肺高血圧
(臨床的特徴)
・労作時呼吸困難
・頸部静脈圧上昇
・足の浮腫
・結合組織疾患
・HIV感染
・肝臓疾患
・薬物乱用の履歴
・薬物暴露(fenfluramine, dexfenfluramine, dasatinib)
・家族歴
(血流のプロファイル)
mPAP >20 mmHg
PAWP ≤15 mmHg,
PVR ≥3 WU
ー
②左心室/左心房を含む左側心臓病
(サブカテゴリ)
・Preserved 左室駆出率による心不全
・Reduced 左室駆出率による心不全
・心臓弁膜症
・先天性・後天性の心臓血管の疾患
⇒肺毛細血管後血管経路の肺高血圧症
(臨床的特徴)
・左、もしくは弁膜の心臓病の症状
・心エコーによる異常
(血流プロファイル)
•排他的肺血管と左心臓の間の血管特性
(mPAP >20 mm Hg, PAWP >15 mm Hg, PVR <3 WU)
・肺血管を挟んだ両側の血管特性
(mPAP >20 mm Hg, PAWP >15 mm Hg, PVR ≥3 WU)
ー
③肺疾患、低酸素状態
主に肺胞の異常
(サブカテゴリ)
・閉塞性肺疾患
・拘束性肺疾患
・これら2つの特徴を持つ疾患
・肺疾患を伴わない低酸素症
・発達性肺疾患(子供)
(臨床的特徴)
・休息時の慢性的な低酸素症
・肺画像の異常
・肺機能の異常
・睡眠ポリグラフの異常
(血流プロファイル)
・右心室と肺血管の間の高血圧症
ー
④肺動脈の閉塞
(サブカテゴリ)
・慢性的な血栓による閉塞
・肺動脈の閉栓
(臨床的特徴)
・肺高血圧症の典型的な症状
・肺換気血流スキャンでの異常
・コンピューター断層撮影血管造影法の異常
・癌、腫瘍形成
(血流のプロファイル)
・右心室と肺血管の間の高血圧症
ー
⑤多要因、未知の機序
(サブカテゴリ)
・血液疾患
・全身性、代謝疾患
・腎臓疾患
・線維性縦隔炎
・複雑性先天性心臓病(子供)
(臨床的特徴)
・上述したそれぞれの典型的な症状
(血流プロファイル)
・右心室と肺血管の間の高血圧症
・肺血管と左心房の間の高血圧症
・これらの両方の高血圧症
ー
まとめると
①血管の組織の異常
②心臓の異常
③肺の異常
④血管の閉塞(血栓など)
⑤血液、免疫、内分泌(代謝)、腎臓などの異常
このようになります。
//病理の特徴//-----
〇血管壁を形成する内皮細胞、平滑筋細胞の異常形成(13)
〇組織の線維化(13)
〇炎症細胞の組織内侵入(14)
これらによって
〇内腔の狭窄、
〇内腔に網状物質形成
これらが生じます。
従って、血管壁が厚く、硬くなり、
血流がある内腔が狭く、塞がれることで
結果として肺高血圧が生じると考えられます。
これらの因果は
〇血管のせん断応力(機械的ストレス)
〇低酸素状態
〇自己免疫異常
〇ウィルス感染
〇薬物、毒物への暴露
〇遺伝子的な改変
これらが想定されています(15)。
//右心室への影響//-----
静脈を肺組織へ送る右心室の機能は
肺高血圧症の臨床結果、生存の主要な
決定要因となります(16)。
肺の血管抵抗が5~10WUに上昇すると
〇肺心室肥大
〇室内拡張
〇脂質の堆積
〇組織の線維化
〇代謝機能の改変
これらが生じる可能性が指摘されています(16)。
この事により
〇酸素供給需要の不均衡状態
〇心筋の線維化
これらに繋がる可能性があります(16)。
しかしながら、
これらの病状の転換がどのようなきっかけで起こるのか?
その境界条件は何であるのか?
これらについては明確にはわかっていません(1)。
ただ、
〇血管生成の異常、改変
〇代謝機能が糖酸化⇒解糖、脂肪酸酸化に変化
〇ミトコンドリアのエネルギー状態の変化
これらが原因として挙げられています(17)。
ー
右心室内の圧力や体積を測定するためには
カテーテルを挿入する必要がありますが、
これらの処置を適切に行うためには
高い熟練度が必要であるとされています(16)。
一方、
心エコーやMRIは標準的な検査としては
まだ適切であるとは立証されていません(18,19)。
//遺伝子的な特徴//-----
形質転換成長因子である
(Transforming growth factor β(TGF-β))
BMPR2の変異が
遺伝性の肺高血圧症の80%の患者さんで見られています(1)。
その他、追加的な変異として
SMAD1, SMAD4, SMAD9(20)
(これらは細胞の成長に関わる遺伝子)
CAV1(21)
(足場タンパク質に関わる遺伝子)
KCNK3(22)
(カリウムチャンネル、電気的な細胞応答関連遺伝子)
これらが挙げられています。
一方、子供のケースでは
TBX4
(Small patella syndrome関連遺伝子)
これが障害のある場合に見られています(23)。
リスク因子として
ATP13A3、
SOX17(24)、
(胚形成、成長に関わる遺伝子)
AQP1、
(細胞膜水チャンネルに関わる遺伝子)
⇒細胞への水の取り込みを調整
GDF2(25)
(骨の形質情報(モフォゲン)に関わる遺伝子)
これらが挙げられています。
//診断//-----
(既往歴、身体検査)
肺高血圧症の症状が以下のように特異的ではない時。
〇労作時呼吸困難/〇倦怠感
〇胸部痛み/〇体液鬱滞/〇失神
これらの時、診断が遅れる事がしばしばあります。
上述した分類のサブカテゴリであるように
〇HIV感染/〇接続組織疾患
〇薬剤や毒物の服用、暴露歴
これらの時は肺高血圧症を疑う必要があります(1)。
ー
〇第2音肺動脈成分の上昇
〇A murmur of tricuspid regurgitation
〇右心室の体液過多の証拠(浮腫など)
これらが身体的な検査から見つかることがあります(1)。
ー
(検査項目(1))
〇経胸壁心エコー検査
これがスクリーニングに適しています。
〇血球数
〇代謝機能
〇抗核の抗体価
〇HIV血清テスト
これらが付加的な検査候補です。
〇胸部X線写真
これは心臓に肥大が起こっている時
あるいは肺動脈が拡張している時に検査候補となります。
〇CT検査
これは組織の実質に異常がある場合に
定期的に行うことが考えられます。
〇肺機能チェック
これは肺の閉塞など肺に異常がある場合に
行うことができます。
〇心臓MRI
これは体積、流動性など
心臓組織、機能に異常がある場合に適しています。
//治療(1)//-----
〇利尿剤
⇒正常な体液量の維持
〇酸素の補充※休息、睡眠、運動時
⇒血中酸素飽和度の適正維持
〇抗凝固剤の処方
⇒血流の維持。適切性を判断する必要がある
〇吸入式Reprostinil
⇒間質性肺疾患がみられる時
〇肺の動脈内膜切除
〇肺のバルーンによる血管形成
〇カルシウムチェンネル遮断薬
⇒肺血管vasoreactivityを持つ患者さん
ー
(評価)
〇6分間の歩行距離
//治験中の薬剤//-----
〇Calcineurin inhibitor FK506(26)
⇒形質転換因子(TGF-β)を調節する薬剤
ー
〇Sotatercept (27)
肺高血圧症で80%の患者さんに見らえる
BMPR2変異(TGF-βファミリー)
これに関与する薬剤です。
細胞の分化成長に関わるActivinとGDFに結合し
変異したSMAD遺伝子の機能を弱める働きがあります。
(参考文献(27) Figure.1)
このSotaterceptを服用することによって
服用量依存的(0.3mg/kg, 0.7mg/kg)に
肺の血管抵抗の低下が見られています。
(参考文献(27) Figure.2)
副作用は血小板減少症やヘモグロビン量増加など
血液に関するものがやや偽薬に比べて多く出ています。
//先天性横隔膜ヘルニアとの関連//-----
上述したように横隔膜ヘルニアでは
身体の左側の横隔膜が通常よりも頭側に形成されるため
その上部にある肺の成長が阻害されてしまいます。
このような肺の形成不全により
肺胞の周りの存在する毛細血管を含む血管の壁を作る
内皮細胞を含む細胞の形成の恒常性が乱されることが
指摘されています(8)。
また、血管は血流を送り出すために収縮、伸長する必要があります。
そのため伸縮性のある筋細胞が必要で、
この筋細胞は骨格筋とは異なる平滑筋となっています。
この平滑筋が血管壁にある内皮細胞の恒常性が乱れることによって
過形成され、それによって血管収縮が起こり
結果として肺形成不全、肺高血圧症が生じるとされています(8)。
内皮細胞と平滑筋の位置関係は
内腔(血流)側から内皮細胞/平滑筋となっています
(参考文献(9) Fig.1参照)。
動脈硬化では免疫細胞が血管壁に影響を与えますが、
新生児の先天性の横隔膜ヘルニアによって生じた
肺形成不全による血管異常に由来して
免疫機能が乱される可能性も考えられます(10)。
ーー
先天性横隔膜ヘルニアではどのように血管の組織に影響を与えるか?
というのがまだはっきりとはわかっていません(8)。
しかし、Nitrofenモデルという内皮細胞の機能不全のモデルが
提唱されています(参考文献(8) Fig.3)。
このモデルでは
VEGF、BMP、Endoglin、FGF機能が抑制
PDGF、ICAM、VCAM機能が亢進しています。
ー
VEGF(血管内皮増殖因子)
BMP(骨の形成に関わる機能)
Endoglin(血管生成に関わる機能)
ー
PDGF(血管平滑筋細胞、繊維芽細胞増殖因子)
ICAM(細胞間接着分子)
VCAM(血管細胞接着分子)
ー
これらから考えられることは
血管の生成や内皮細胞の形成が抑えられている一方で
平滑筋や組織の密着性が高まっているということです。
VCAMは血管内皮がサイトカインによって刺激された時のみに
発現するといわれれおり、免疫機能の惹起も関係している可能性があります。
このように筋細胞の発達が内皮細胞の発達よりも優位になって
血管組織の柔軟性が下がっていることは
横隔膜が上がっていることによって
肺組織全体が機械的なストレスを受けている事に起因している可能性も考えられます。
すなわち成長の抵抗となるような力が働いたときに
その力を補償するために筋組織の発達が促される可能性です(45,46)。
従って、Nitrofenモデルが当てはまるのであれば、
これらの抑制と亢進のバランスを適正に整える治療が
要素の一つとして必要になると考えられます。
//気管支肺異形成症との関連(47)//ーーー
この病気は多くの場合、早産の乳児に以下のケースで起こります。
〇重い肺疾患がある
〇長期間の人工呼吸器、酸素投与を必要とした乳児
〇肺の発達が不十分な乳児
〇出産前、もしくは出産後の損傷(47)
但し、適切な治療を行えば、新生児の大半の生存は確保されます(48)。
重度の気管支肺異形成症を生じている新生児の
おおよそ29-58%は肺高血圧症と診断されています(49-51)。
これらの原因は上述したものとつながる
〇低酸素状態による肺血管抵抗の上昇
〇出産前の子宮内でのストレス(52-55)
などが挙げられています
従って、肺高血圧症は気管支肺異形成症を悪化させる
事に繋がるので早期の解消が必要になります(56)。
気管支肺異形成症は肺の実質の線維化などの原因にもなります(57)。
ー
治療としては短期的には
侵襲的な気管挿管、換気は新生児に対しては
避けるべきであるとされています(47)。
非侵襲的な呼吸の補助が好ましいとされています(58)。
また肺の空気の交換に関係するサーファクタントに
作用させる療法は空気の漏れを防ぎ、
生存率を高める上で好ましいとされています(59,60)。
その他
〇カフェインの投与(呼吸を促進)
〇コルチコステロイドの投与
〇吸入式一酸化窒素
検査として
〇酸素飽和度のチェック
などが挙げられています。
ステロイドは気管支肺異形成症を改善させるというよりも
呼吸窮迫症候群、壊死性腸炎、出血など
副次的に生じる症状をコントロールするために投与されます。
しかし、ステロイドであるデキサメタゾンの高用量では
脳性まひ、腸穿孔の副作用が出る場合があるとされています(61)。
ー
長期的には気管支肺異形成症で生じうる病態生理を
意識しながら診断結果、診察と共に治療を続け、見守る必要があります。
その病態生理は以下です(参考文献(47) Box.3)。
〇気管、気管支軟化症
〇声門下、気管支狭窄
〇肉芽腫
〇唾液腺異形成
〇上皮組織損傷、浮腫
〇平滑筋の増殖、肥大
〇気管支収縮
〇気管過反応性
〇気管支、肺胞、血管生成の不足
〇血管組織の変化(内皮、平滑筋など)
〇リンパ組織の異常(免疫機能など)
(臨床症状)
〇呼吸制御異常
〇睡眠異常
〇胸壁安定性の異常
〇横隔膜機能異常
ー
生活の質の改善のためには、
他の肺疾患の伴う肺高血圧症でも当てはまると考えられますが、
2年以内に再び入院を余儀なくされるケースもあり、
家族の方の継続的なサポートが必要です。
また医師、看護師、その他医療スタッフとの
持続可能かつ協力的な関係が必要だと考えられます。
肺の疾患はまだ明らかではありませんが
新型コロナウィルスのリスクが高まる可能性も考えられます。
すでに呼吸器に作用するウィルスである
インフルエンザのリスクが高まる事も指摘されています(47)。
また、呼吸器のハンディキャップを少なくとも
ある程度は背負う必要があるので
呼吸機能の不全である喘息、発作に対するケアも
通常以上に必要になります(62-65)。
//新生児に対する治療機会(28)//ーーー
新生児において心臓、肺、循環器など
先天的あるいは生後すぐ後天的に何らかの異常が生じ
低酸素血症性呼吸不全(HRF)や肺高血圧症が起こることがあります。
しかしながら、その為の治療を含む健康マネイジメント戦略は
十分であるとは言えない状態です(29-37)。
上述した臨床分類から
①血管の組織の異常
②心臓の異常
③肺の異常
④血管の閉塞(血栓など)
⑤血液、免疫、内分泌(代謝)、腎臓などの異常
これらが原因として考えられます。
従って、新生児に対して
その後の成長の事も考慮に入れ
できるだけ体に負担がかからないような
(※Patient friendly)
正確で適切な治療を継続的に提供するためには、
エビデンスベースの精密医療が必要になります。
そのためには上述したように
血管、心臓、肺、あるいは内分泌、腎臓など
何処に異常があるのか特定することが重要です。
新生児の場合は、上述した先天性横隔膜ヘルニアや
気管支肺異形成症など成長組織学的な異常がある場合もあります。
また、JL Aschner氏らが指摘しているように(28)、
血中のバイオマーカーなどから
明確な病理(エンドタイプ)を明らかにして
上述した原因を絞り込み、
患者さんごとに適切な治療を正確に提供する必要があります。
また、成長に合わせて治療方針を修正していく必要もあります。
薬剤用量や投与、治療期間なども含まれます。
さらに上述した代理マーカーは
予後を予測したり、継続的な治療の病状を把握する
指標になる可能性もあります(28)。
しかしながら、
エンドタイプを絞りこみ、細分化する事は
治験の統計的有意性の見積もりを難しくします。
従って、国際的な協力の元
多くの医療機関、大学、企業などが参画して、
効果的な治験を行う必要があります(28)。
例えば、分類を細かく分けながらも
プログラムとしては「新生児肺高血圧症」と統一化しておいて
結果から導き出される病理や薬効において
分類を超えて比較、共通化できるようにしておくことも考えられます。
多面的なデータから重要な要因を抽出する際には
コンピューター、人工知能などの活用も考えられます。
ーー
肺の機能を維持、回復させるための戦略は以下です。
(但し、人への治療において確立されてないものも含まれます。)
①気道圧解放換気(Airway pressure release ventilation)
間欠的、周期的に比較的低い陽圧状態で
持続的に通気を圧力を精密に制御して行う手法です(38)。
-
②通気を補助(Neurally adjusted ventilatory assist)
-
③肺動脈血管拡張剤
Cinaciguat, Intravenous bosentan, Rho-kinase inhibitors,
Peroxisome proliferator-activated receptor-γ (PPAR)agonists
プロスタサイクリン経路
-
④血行力学的補助
Arginine vasopressin
-
⑤一酸化窒素形成不足を補う
特に肺に異常があり低酸素状態になるとNO(一酸化窒素)
の生成が抑制されます(28)。
この一酸化窒素は血管を柔らかくするのに必要な物質です。
従って、これが不足する事に寄って血管組織が硬化して
高血圧を助長してしまう可能性があります。
従って、これを形成するための上流の機序として
必要な物質であるL-citrullineを投与します。
また吸入式の直接呼吸器に一酸化窒素を届ける方式において
数十人の新生児に対して医療介入を行ったところ
血中の酸素濃度が顕著に増加したことが示されています
(参考文献(29) Figure.1)
-
⑥エンドセリン受容体上昇を抑える
この受容体上昇は
先天性横隔膜ヘルニアで高まる事が知られています(39)。
このエンドセリン受容体は
血管の組織の一部で血液を送り出すために必要な
伸張作用を担う平滑筋の成長を阻害する働きがあります。
従って、この受容体を抑制するための遮断薬が
治療の候補の一つとなります。
-
⑦Rho-kinase(ROCK)を抑える
筋肉の緊張状態や反応性に関わる生理機序です。
これが高血圧の原因となることがあります(40-44)。
従って、この機序を抑える働きのある薬を投与します。
例えば、②で示したPPARγアゴニストはこの働きを弱めることが
知られています(28)。
-
⑧cGMP生成を促す
血管の平滑筋の伸張の為にはcGMP信号が必要です。
上述した②の血管拡張剤であるCinaciguatは
このcGMP生成を促すことが知られています。
//細胞種特異的輸送系統//ーーー
(新生児に対する治療機会(28)について)---
例えば、肺に異常がある場合には
肺の健全な成長の為の基礎となる「環境づくり」が必要となります。
例えば、横隔膜ヘルニアの場合には
当たり前ですが、横隔膜の位置を適正に戻す必要があります。
また、肺の成長のためには適切な循環器の形成や
循環器の中の免疫細胞を含む血液成分の健全化も必要です。
成長において異常がある場合には
遺伝子的や機械的に(組織学的に)ストレスが
生じている状況も考えられます。
その中で成長の基礎となる実質の形成が
血管生成と正常な血液成分が保たれないことで
さらに成長を阻害している可能性も考えられます。
従って、
栄養物を届けたり、血液成分を管理したり、
免疫、サイトカインのバランスを整える事が大事になります。
JL Aschner氏らはそうした中でバイオマーカーの重要性について
言及されています(28)。
バイオマーカーやMRI、CT、X線検査など
視覚的、成分的な分析を総動員して現状を掴み、
その上で上述した「健全な成長の為の環境づくり」が必要になります。
それを実現させるためには
「高い標的性を持った」医療介入が必要です。
例えば、肺に三大栄養素(タンパク質、脂質、糖)を
バランスよく届けたいという基本的な事があるかもしれません。
それが異形成によって阻害されているとします。
そうした時に効率よくこれらの主要栄養素を届ける必要があります。
その時に肺組織に特異的に多く存在する表面タンパク質を掴み、
ナノ粒子の中に積載したこれらの栄養素を
細胞が適切に取り込める化学構成状態にして
人為的に届ける事も考えられます。
上述した治療では血管系に作用させる治療が主ですが、
成長阻害によって免疫系のバランスや
モフォゲンなど肺の形、成長を決める細胞の機序も乱されている
可能性があります。
〇血管の拡張性、柔軟性
〇免疫機能の正常化
〇組織形成、成長の健全化
これらを兼ね備えた総合的かつ特異的な治療が大切になると考えられます。
肺の成長は植物の成長のように一本の幹(気管)から枝分かれして(気管支)
最終的には数億個の肺胞が形成されます。
その成長の様子は参考文献(47) Fig.4に示されています。
その時には内腔の他に
〇AT1, AT2細胞
〇Surfactant
〇肺胞マクロファージ
〇内皮細胞
〇平滑筋細胞
など肺胞を構成する細胞を成長させていく必要があります。
(参考文献(47) Fig.3a)
その時には細胞成長に関わる細胞内機序があると考えられますが、
適切な酸素濃度など呼吸の管理、
血管生成、血流を届けることが基礎となると考えられます。
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//背景//ーーー
人の細胞は数十兆個あるとされています。
その細胞は動的で筋肉など修復力が高い細胞は
細胞が入れ替わる周期は早く、
約1か月で60%が入れ替わるとされています。
このように細胞が常に入れ替わる事は
「全身性の疾患に対して」治療機会を与える可能性があります。
例えば、老化、自己免疫疾患、ダウン症(染色体異常)などです。
細胞が入れ替わるときに遺伝子、細胞レベルでの
適切な医療介入を行い、
身体全体の生活動のバランスが保たれた状態を
維持する事ができれば、
上述した疾患の治療の可能性はゼロではありません。
これ以外の疾患においても
現在治療が難しいとされている疾患は
全身性のものも多く含まれます。
従って、細胞がどのように入れ替わるか?
というのをプロセスも含めて
遺伝子、細胞内小器官、細胞、細胞外物質など
様々な軸、スケールで細かく調べていく事は
大きな医療発展につながる可能性があると考えています。
ーー
このように常に入れ替わる動的な細胞において
細胞の分化や分裂は基本的な機能です。
一方、細胞死した細胞の除去、消化なども同様です。
細胞が分裂して増えるためには
細胞内(外)にあるDNAやRNAの複製が必要です。
この遺伝子の複製のステップは
開始、伸長、終結の3つに大きく分かれるとされています。
ーー
Qiliang Ding氏ら医療研究グループは
参照させていただく主報告(1)の中で
上述したDNAの開始にあたる複製のタイミングに焦点を当てています(1)。
ーー
人を含む真核生物の遺伝子情報は
空間的かつ時間的に厳しく制御された状態で複製される
とされています(1)。
細胞核の中にある複数の染色体の特定の場所が
複製の開始のきっかけにおいて重要であると考えられています。
そのような予測はありましたが、
人を含む哺乳類の細胞において
DNAの複製の時空間、関連部位の理解は限定的でした(2-4)。
今までの知見では、
DNA複製の為の配列内の関連部位は基部と抹消部両方であり、
その複数の場所が相互作用しながら
複製のきっかけを与えていると考えられています(5-11)。
//調査方法(1)//ーー
349人の人由来の多能性幹細胞(iPS細胞)での
全遺伝子解析の個人差を利用して
複製のタイミングと関連部位を調べました。
//結果(1)//ーー
1617か所のシスの複製タイミングの遺伝子部位を特定。
Cis-acting replication timing quantitative trait loci (rtQTLs)
-
(これらの箇所の特徴)
〇ヒストンハイパーアセチル化
〇ヒストンH3トリメチル化
〇リジン4, 9, 36
⇒つまり装飾因子が豊富に関わっていると考えられます。
-
(タイミング)
複数のメカニズムによる(Multi-layerd mechanism)
〇基部から抹消部に至るまでの少なくとも176部位
〇ヒストンの改変(アセチル化、メチル化)
⇒上述した装飾因子の動的な振る舞いがタイミングに関わります。
//応用(1)//ーー
DNA複製を決める遺伝子の位置と装飾因子の関係を把握することで
複製のタイミング、周期を予測したり、
あるいはそれを人為的に制御したりできる可能性があります。
また、iPS細胞により人由来の細胞で調べられることにより
細胞種ごとの複製のタイミングに関する情報も得られます。
また癌などの細胞レベルの疾患においても
通常細胞との複製のタイミングを比較することもできます。
報告(1)で得られた関連性の高い遺伝子部位のうち
どの部位に変異、装飾因子の違いがあるか調べ、
癌細胞と通常細胞のタイミング、周期を比較することで
遺伝子複製に基づいた
細胞レベルの病理の理解につながる可能性も考えられます。
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//背景//ーー
コレステロールというと生活習慣病の病理の一部であり
健康において良いイメージは先行しません。
しかし、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールも
〇細胞膜や脳神経細胞の必須の成分
〇脂溶性、脂肪の吸収を助ける胆汁にも必須の成分
これらであることから必要な物質です。
またコレステロールは内分泌系物質(ホルモン)である
エストロゲン、テステステロン、コルチゾールを作り、
さらにビタミンDも作るので
年齢に応じた若々しさを保つという点で必要です。
必要なコレステロールは体内で作る事ができますが、
食物からも摂取できます。
その多くは動物性食品に由来します。
しかしながら、
コレステロール量が過剰になると高脂血症を引き起こし、
血管傷害を中心とする生活習慣病の因子となることが知られています。
ただし、コレステロールは上述したように
身体の中においてホルモン、脳神経、細胞において
重要な役割を果たすことから低値であることもしばしば問題になります。
従って、LDLコレステロール、HDLコレステロールや
中性脂肪(トリグリセライド)の血中濃度の適正な値が定めれられています。
一方、もし今後、
SDGsやその目標中に存在する環境問題への配慮から
植物性食品摂取を排他的に行う
ビーガニズムの勢力が高まった時に、
このコレステロールが日常生活の中で
適性な量に維持できるか?といった視点も重要になります。
ー
コレステロールは体内で作られる内因性のものがあります。
これは解糖系のプロセスであるクエン酸回路で生成された
アセチルCoAから生合成されるといわれています。
従って、炭水化物などの糖が一つの主原料となります。
もう一つは、直接、胆汁酸と複合体を形成して
腸管より吸収される外因性のコレステロールがあります。
但し、食べ物由来のものはこの外因性の一部となります。
従って、
コレステロールは炭水化物などの糖も関係している可能性もありますが
炭水化物と血中脂質濃度の関係は疫学的には相関関係は強くなく
複雑であるとされています(3)。
このようなことから血中の脂質濃度においては
遺伝的な要素を考慮する価値が出てきます(1)。
つまり、血中の脂質濃度が遺伝的に上昇しやすい人
そうではない人が存在する可能性です。
//遺伝子分析(1)//ーー
Sarah E. Graham, Shoa L. Clarke, Kuan-Han H. Wu(敬称略)ら
医療研究グループは世界、様々な大陸で生活していた祖先か165万人の
血液のデータの遺伝子解析(GWAS)を行い、
コレステロールレベル(LDL, HDL)と中性脂肪との関係を明らかにしています(1)。
その脂質異常と遺伝子の関連の結果によれば、
773種類の脂質関連の遺伝子領域と1765の特異的な変異が確認されています。
その中にはヨーロッパなど大陸、民族特異的な変異も存在します。
このことからヨーロッパの人、日本を含むアジアの人では
脂質異常が生じやすい遺伝子領域とその変異が異なる事を示唆しています。
また脂質異常のリスクは単一の遺伝子変異ではなく
複数の遺伝子が関わっているとされています(Polygenic risk scores)。
//応用(1)//ーー
Sarah E. Graham氏らは、
これらの遺伝子分析から事前に脂質異常が生じやすい人を
血液検査によって明らかにできる可能性を主張しています。
つまり、「予防医学」の観点です。
また、特定の因果関係の強い遺伝子がわかれば、
その遺伝子を直接的に治療する遺伝子治療に加えて、
遺伝子に関わる細胞内外の生理機序を薬剤の標的にすることもできます。
//先祖遺伝子解析の利点//ーー
Sarah E. Graham氏らは、このような先祖の大規模遺伝子研究は
低コストで効果的な様式で行うことができるとされています。
従って、他への人の疫学的かつ遺伝的な分析において
適用可能性が高いことが示されています。
//余談//ーー
20代の頃に職場で出会った後輩がいました。
親が糖尿病という事で血糖値が食事の時に急上昇しないように
食事の順番を考えていました。
彼は20代でやせ型でしたが、
健康診断で血糖値が高めと診断されていたようです。
その時に血液系の異常に関しても
もちろん食生活の影響もありますが、
それだけではなく遺伝的な要素もあるのだろうと感じました。
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(1)
Sarah E. Graham, Shoa L. Clarke, Kuan-Han H. Wu, Stavroula Kanoni, Greg J. M. Zajac, Shweta Ramdas, Ida Surakka, Ioanna Ntalla, Sailaja Vedantam, Thomas W. Winkler, Adam E. Locke, Eirini Marouli, Mi Yeong Hwang, Sohee Han, Akira Narita, Ananyo Choudhury, Amy R. Bentley, Kenneth Ekoru, Anurag Verma, Bhavi Trivedi, Hilary C. Martin, Karen A. Hunt, Qin Hui, Derek Klarin, Xiang Zhu, Gudmar Thorleifsson, Anna Helgadottir, Daniel F. Gudbjartsson, Hilma Holm, Isleifur Olafsson, Masato Akiyama, Saori Sakaue, Chikashi Terao, Masahiro Kanai, Wei Zhou, Ben M. Brumpton, Humaira Rasheed, Sanni E. Ruotsalainen, Aki S. Havulinna, Yogasudha Veturi, QiPing Feng, Elisabeth A. Rosenthal, Todd Lingren, Jennifer Allen Pacheco, Sarah A. Pendergrass, Jeffrey Haessler, Franco Giulianini, Yuki Bradford, Jason E. Miller, Archie Campbell, Kuang Lin, Iona Y. Millwood, George Hindy, Asif Rasheed, Jessica D. Faul, Wei Zhao, David R. Weir, Constance Turman, Hongyan Huang, Mariaelisa Graff, Anubha Mahajan, Michael R. Brown, Weihua Zhang, Ketian Yu, Ellen M. Schmidt, Anita Pandit, Stefan Gustafsson, Xianyong Yin, Jian’an Luan, Jing-Hua Zhao, Fumihiko Matsuda, Hye-Mi Jang, Kyungheon Yoon, Carolina Medina-Gomez, Achilleas Pitsillides, Jouke Jan Hottenga, Gonneke Willemsen, Andrew R. Wood, Yingji Ji, Zishan Gao, Simon Haworth, Ruth E. Mitchell, Jin Fang Chai, Mette Aadahl, Jie Yao, Ani Manichaikul, Helen R. Warren, Julia Ramirez, Jette Bork-Jensen, Line L. Kårhus, Anuj Goel, Maria Sabater-Lleal, Raymond Noordam, Carlo Sidore, Edoardo Fiorillo, Aaron F. McDaid, Pedro Marques-Vidal, Matthias Wielscher, Stella Trompet, Naveed Sattar, Line T. Møllehave, Betina H. Thuesen, Matthias Munz, Lingyao Zeng, Jianfeng Huang, Bin Yang, Alaitz Poveda, Azra Kurbasic, Claudia Lamina, Lukas Forer, Markus Scholz, Tessel E. Galesloot, Jonathan P. Bradfield, E. Warwick Daw, Joseph M. Zmuda, Jonathan S. Mitchell, Christian Fuchsberger, Henry Christensen, Jennifer A. Brody, Mary F. Feitosa, Mary K. Wojczynski, Michael Preuss, Massimo Mangino, Paraskevi Christofidou, Niek Verweij, Jan W. Benjamins, Jorgen Engmann, Rachel L. Kember, Roderick C. Slieker, Ken Sin Lo, Nuno R. Zilhao, Phuong Le, Marcus E. Kleber, Graciela E. Delgado, Shaofeng Huo, Daisuke D. Ikeda, Hiroyuki Iha, Jian Yang, Jun Liu, Hampton L. Leonard, Jonathan Marten, Börge Schmidt, Marina Arendt, Laura J. Smyth, Marisa Cañadas-Garre, Chaolong Wang, Masahiro Nakatochi, Andrew Wong, Nina Hutri-Kähönen, Xueling Sim, Rui Xia, Alicia Huerta-Chagoya, Juan Carlos Fernandez-Lopez, Valeriya Lyssenko, Meraj Ahmed, Anne U. Jackson, Marguerite R. Irvin, Christopher Oldmeadow, Han-Na Kim, Seungho Ryu, Paul R. H. J. Timmers, Liubov Arbeeva, Rajkumar Dorajoo, Leslie A. Lange, Xiaoran Chai, Gauri Prasad, Laura Lorés-Motta, Marc Pauper, Jirong Long, Xiaohui Li, Elizabeth Theusch, Fumihiko Takeuchi, Cassandra N. Spracklen, Anu Loukola, Sailalitha Bollepalli, Sophie C. Warner, Ya Xing Wang, Wen B. Wei, Teresa Nutile, Daniela Ruggiero, Yun Ju Sung, Yi-Jen Hung, Shufeng Chen, Fangchao Liu, Jingyun Yang, Katherine A. Kentistou, Mathias Gorski, Marco Brumat, Karina Meidtner, Lawrence F. Bielak, Jennifer A. Smith, Prashantha Hebbar, Aliki-Eleni Farmaki, Edith Hofer, Maoxuan Lin, Chao Xue, Jifeng Zhang, Maria Pina Concas, Simona Vaccargiu, Peter J. van der Most, Niina Pitkänen, Brian E. Cade, Jiwon Lee, Sander W. van der Laan, Kumaraswamy Naidu Chitrala, Stefan Weiss, Martina E. Zimmermann, Jong Young Lee, Hyeok Sun Choi, Maria Nethander, Sandra Freitag-Wolf, Lorraine Southam, Nigel W. Rayner, Carol A. Wang, Shih-Yi Lin, Jun-Sing Wang, Christian Couture, Leo-Pekka Lyytikäinen, Kjell Nikus, Gabriel Cuellar-Partida, Henrik Vestergaard, Bertha Hildalgo, Olga Giannakopoulou, Qiuyin Cai, Morgan O. Obura, Jessica van Setten, Xiaoyin Li, Karen Schwander, Natalie Terzikhan, Jae Hun Shin, Rebecca D. Jackson, Alexander P. Reiner, Lisa Warsinger Martin, Zhengming Chen, Liming Li, Heather M. Highland, Kristin L. Young, Takahisa Kawaguchi, Joachim Thiery, Joshua C. Bis, Girish N. Nadkarni, Lenore J. Launer, Huaixing Li, Mike A. Nalls, Olli T. Raitakari, Sahoko Ichihara, Sarah H. Wild, Christopher P. Nelson, Harry Campbell, Susanne Jäger, Toru Nabika, Fahd Al-Mulla, Harri Niinikoski, Peter S. Braund, Ivana Kolcic, Peter Kovacs, Tota Giardoglou, Tomohiro Katsuya, Konain Fatima Bhatti, Dominique de Kleijn, Gert J. de Borst, Eung Kweon Kim, Hieab H. H. Adams, M. Arfan Ikram, Xiaofeng Zhu, Folkert W. Asselbergs, Adriaan O. Kraaijeveld, Joline W. J. Beulens, Xiao-Ou Shu, Loukianos S. Rallidis, Oluf Pedersen, Torben Hansen, Paul Mitchell, Alex W. Hewitt, Mika Kähönen, Louis Pérusse, Claude Bouchard, Anke Tönjes, Yii-Der Ida Chen, Craig E. Pennell, Trevor A. Mori, Wolfgang Lieb, Andre Franke, Claes Ohlsson, Dan Mellström, Yoon Shin Cho, Hyejin Lee, Jian-Min Yuan, Woon-Puay Koh, Sang Youl Rhee, Jeong-Taek Woo, Iris M. Heid, Klaus J. Stark, Henry Völzke, Georg Homuth, Michele K. Evans, Alan B. Zonderman, Ozren Polasek, Gerard Pasterkamp, Imo E. Hoefer, Susan Redline, Katja Pahkala, Albertine J. Oldehinkel, Harold Snieder, Ginevra Biino, Reinhold Schmidt, Helena Schmidt, Y. Eugene Chen, Stefania Bandinelli, George Dedoussis, Thangavel Alphonse Thanaraj, Sharon L. R. Kardia, Norihiro Kato, Matthias B. Schulze, Giorgia Girotto, Bettina Jung, Carsten A. Böger, Peter K. Joshi, David A. Bennett, Philip L. De Jager, Xiangfeng Lu, Vasiliki Mamakou, Morris Brown, Mark J. Caulfield, Patricia B. Munroe, Xiuqing Guo, Marina Ciullo, Jost B. Jonas, Nilesh J. Samani, Jaakko Kaprio, Päivi Pajukanta, Linda S. Adair, Sonny Augustin Bechayda, H. Janaka de Silva, Ananda R. Wickremasinghe, Ronald M. Krauss, Jer-Yuarn Wu, Wei Zheng, Anneke I. den Hollander, Dwaipayan Bharadwaj, Adolfo Correa, James G. Wilson, Lars Lind, Chew-Kiat Heng, Amanda E. Nelson, Yvonne M. Golightly, James F. Wilson, Brenda Penninx, Hyung-Lae Kim, John Attia, Rodney J. Scott, D. C. Rao, Donna K. Arnett, Mark Walker, Heikki A. Koistinen, Giriraj R. Chandak, Chittaranjan S. Yajnik, Josep M. Mercader, Teresa Tusié-Luna, Carlos A. Aguilar-Salinas, Clicerio Gonzalez Villalpando, Lorena Orozco, Myriam Fornage, E. Shyong Tai, Rob M. van Dam, Terho Lehtimäki, Nish Chaturvedi, Mitsuhiro Yokota, Jianjun Liu, Dermot F. Reilly, Amy Jayne McKnight, Frank Kee, Karl-Heinz Jöckel, Mark I. McCarthy, Colin N. A. Palmer, Veronique Vitart, Caroline Hayward, Eleanor Simonsick, Cornelia M. van Duijn, Fan Lu, Jia Qu, Haretsugu Hishigaki, Xu Lin, Winfried März, Esteban J. Parra, Miguel Cruz, Vilmundur Gudnason, Jean-Claude Tardif, Guillaume Lettre, Leen M. ’t Hart, Petra J. M. Elders, Scott M. Damrauer, Meena Kumari, Mika Kivimaki, Pim van der Harst, Tim D. Spector, Ruth J. F. Loos, Michael A. Province, Bruce M. Psaty, Ivan Brandslund, Peter P. Pramstaller, Kaare Christensen, Samuli Ripatti, Elisabeth Widén, Hakon Hakonarson, Struan F. A. Grant, Lambertus A. L. M. Kiemeney, Jacqueline de Graaf, Markus Loeffler, Florian Kronenberg, Dongfeng Gu, Jeanette Erdmann, Heribert Schunkert, Paul W. Franks, Allan Linneberg, J. Wouter Jukema, Amit V. Khera, Minna Männikkö, Marjo-Riitta Jarvelin, Zoltan Kutalik, Francesco Cucca, Dennis O. Mook-Kanamori, Ko Willems van Dijk, Hugh Watkins, David P. Strachan, Niels Grarup, Peter Sever, Neil Poulter, Jerome I. Rotter, Thomas M. Dantoft, Fredrik Karpe, Matt J. Neville, Nicholas J. Timpson, Ching-Yu Cheng, Tien-Yin Wong, Chiea Chuen Khor, Charumathi Sabanayagam, Annette Peters, Christian Gieger, Andrew T. Hattersley, Nancy L. Pedersen, Patrik K. E. Magnusson, Dorret I. Boomsma, Eco J. C. de Geus, L. Adrienne Cupples, Joyce B. J. van Meurs, Mohsen Ghanbari, Penny Gordon-Larsen, Wei Huang, Young Jin Kim, Yasuharu Tabara, Nicholas J. Wareham, Claudia Langenberg, Eleftheria Zeggini, Johanna Kuusisto, Markku Laakso, Erik Ingelsson, Goncalo Abecasis, John C. Chambers, Jaspal S. Kooner, Paul S. de Vries, Alanna C. Morrison, Kari E. North, Martha Daviglus, Peter Kraft, Nicholas G. Martin, John B. Whitfield, Shahid Abbas, Danish Saleheen, Robin G. Walters, Michael V. Holmes, Corri Black, Blair H. Smith, Anne E. Justice, Aris Baras, Julie E. Buring, Paul M. Ridker, Daniel I. Chasman, Charles Kooperberg, Wei-Qi Wei, Gail P. Jarvik, Bahram Namjou, M. Geoffrey Hayes, Marylyn D. Ritchie, Pekka Jousilahti, Veikko Salomaa, Kristian Hveem, Bjørn Olav Åsvold, Michiaki Kubo, Yoichiro Kamatani, Yukinori Okada, Yoshinori Murakami, Unnur Thorsteinsdottir, Kari Stefansson, Yuk-Lam Ho, Julie A. Lynch, Daniel J. Rader, Philip S. Tsao, Kyong-Mi Chang, Kelly Cho, Christopher J. O’Donnell, John M. Gaziano, Peter Wilson, Charles N. Rotimi, Scott Hazelhurst, Michèle Ramsay, Richard C. Trembath, David A. van Heel, Gen Tamiya, Masayuki Yamamoto, Bong-Jo Kim, Karen L. Mohlke, Timothy M. Frayling, Joel N. Hirschhorn, Sekar Kathiresan, VA Million Veteran Program, Global Lipids Genetics Consortium*, Michael Boehnke, Pradeep Natarajan, Gina M. Peloso, Christopher D. Brown, Andrew P. Morris, Themistocles L. Assimes, Panos Deloukas, Yan V. Sun & Cristen J. Willer
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(2)
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J Am Coll Nutr. 2006 Apr; 25(2): 155–163.
//背景//ーー
アレルギーには
鼻炎、アトビー性皮膚炎、食物アレルギーなどがあり
乳幼児、子供を苦しめる一つの解決すべき大きな免疫疾患です。
その免疫疾患の中で喘息があります。
2014年に報告されている日本の子供の喘息の罹患率は
おおよそ10%程度です。決して低い割合ではありません。
原因としては、ダニ、ホコリ、カビ、空気汚染、運動
気候の変化、ストレス、遺伝的な要素などが挙げられています。
重度の喘息の場合は命にかかわる危険がある病気です(2)。
2歳から3歳までに発症することが多いとされています。
免疫機能の異常なのでアレルゲンなどの暴露において
感作性がある可能性があります。
従って、アレルゲンの量を少しずつ制御して注入して抗原を作り、
免疫機能を整える減感作療法が存在します。
治療においては食物のアレルギーと同様に
発作の原因となるものを遠ざける必要があります(2)。
一方、
アメリカでも12人に1人の割合で罹患すると言われています(3)。
そのうち5~10%の子供は症状が重いとされています(4,5)。
重症化すると親御さんの負担が増え、
お子さんはもちろんの事、家族全体の生活の質が低下すると共に
学校に通うことができなくなる可能性もあります(6-10)。
また、
子供は成長期です。
重い喘息により呼吸器に異常が出ると
肺の機能が低下したり、組織学的な異常が出る事があります。
それにより、成長後の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の
リスクが高まる可能性があります(11-15)。
//免疫異常//ーー
免疫学的にはタイプ2の炎症であるとされています。
これにあたるサイトカインは
IL-4, IL-5, IL-13です。
これらは好酸球の活性化、
及び、IgE抗体の生成を促します(1)。
好酸球、肥満細胞、好塩基球などは
粘液の原因となるムチンなどを含む杯細胞とともに
肺胞の上皮細胞に蓄積されます。
(Ref.(16) Figure.1)
これらによって血管生成が促され、血流が増し、
肺胞の上皮組織が湾曲することで
空気の通り道である内腔が狭まり、
一方で粘膜や上皮下部組織にコラーゲンなどが蓄積して
組織が線維化されます。
(Ref.(16) Figure.2)
それにより組織の柔軟性も低下する事が考えられます。
一方、IgEはアレルギー反応の際に増える抗体です。
また呼吸において吐息の一酸化窒素濃度の上昇や
上述したムチンによる粘液の生成などが生じます(16)。
//薬剤//ーー
デュピルマブは上述したIL-4, IL-13の信号伝達を
抑える抗体薬剤です(17,18)。
日本では重症、難治の患者さんに限るとされています。
しかし、少なくともアメリカでは
同様に大人に対する治療の認可は完了していますが、
子供に対しての使用においては
下記、紹介するようにフェーズⅢの治験中です。
//共有する報告//ーー
Leonard B. Bacharier, M.D., Jorge F. Maspero, M.D., Constance H. Katelaris, M.D., Alessandro G. Fiocchi, M.D., Remi Gagnon, M.D., Ines de Mir, M.D., Neal Jain, M.D., Lawrence D. Sher, M.D., Xuezhou Mao, Ph.D., Dongfang Liu, M.S., Yi Zhang, Ph.D., M.P.H., Asif H. Khan, M.B., B.S., M.P.H., Upender Kapoor, M.D., Faisal A. Khokhar, M.D., Paul J. Rowe, M.D., Yamo Deniz, M.D., Marcella Ruddy, M.D., Elizabeth Laws, Ph.D., Naimish Patel, M.D., David M. Weinreich, M.D., George D. Yancopoulos, M.D., Ph.D., Nikhil Amin, M.D., Leda P. Mannent, M.D., David J. Lederer, M.D., and Megan Hardin, M.D., M.P.H.
からなる医療研究グループ(The Liberty Asthma VOYAGE Investigators)は
中程度から重度の病状のコントロールが難しい喘息に罹患している
6歳から11歳の子供、408人に対して二重盲検法により
上述した大人に対して重症の喘息の薬として認可されている
デュピルマブの臨床効果を52週にわたり評価しています(1)。
本日はその内容の概略について読者の方と情報共有したいと思います。
//投薬//ーー
2週間に一回皮下注射
30㎏以下 100mg
30kg以上 200mg
それを52週続ける
//結果//ーー
症状が重症化したリスク
偽薬に対してリスク比
好酸球(300cells/mm3以上) 0.35
好酸球(150cells/mm3以上) 0.39
一酸化窒素(20ppb以上) 0.38
-
呼吸器の機能評価(ppFEV1)
LS Mean differenceスコア 偽薬に対して
好酸球(300cells/mm3以上) 5.3
好酸球(150cells/mm3以上) 5.0
一酸化窒素(20ppb以上) 6.7
⇒
この呼吸器の機能は上述した差が52週継続して
維持されます。おおよそ10%向上。
偽薬群よりも呼吸器の機能が安定しています。
(Ref.(1) Figure.2)
この10%向上の能力が正常な人と比べて
どれくらいの呼吸能力の差があるのか?
という視点があります。
//副作用//ーー
※偽薬に対して頻度の高いものだけ抽出
ウィルス性の呼吸器系感染(12.2%), 偽薬:9.7%
好酸球増加(5.9%) 偽薬:0.7%
薬剤注入箇所浮腫(10.3%) 偽薬:5.2%
-
※偽薬に対して頻度の低いもの
気管支炎(6.3%) 偽薬:10.4%
アレルギー性鼻炎(5.9%) 偽薬:11.9%
結膜炎(3.0%) 偽薬:7.5% Broad custom MedDRA query
-
重篤な副作用は4.8% 偽薬:4.5%
-
これらの許容的な副作用は
大人に対する結果と一致しています(19-21)。
//今後の展望//ーー
1年以上の長期にわたるデュピルマブの効果と
肺が正常に成長するかどうかの組織学的な評価が必要
とされています。
//筆者の視点//ーー
呼吸器の機能が投薬開始から1か月程度で改善していますが、
それ以降、改善幅が緩やかになっています。
L.B. Bacharier氏らが述べているように
1年以上の長期にわたって服用し続けた時に
喘息が収まることがあるのかどうか?
という視点があります。
また肺の成長、組織形成に関わるモフォゲンなどの機序が
免疫異常とどのような関わりがあるか?という視点があります。
Ref.(16)のFigure.2のように
肺胞の組織に小さいながらも異常が出ると
その後の成長に影響が出る可能性も考えられます。
幹細胞や免疫機能などによる創傷治癒などの生理の理解も
必要なると考えられます。
(参考文献)
(1)
Leonard B. Bacharier, M.D., Jorge F. Maspero, M.D., Constance H. Katelaris, M.D., Alessandro G. Fiocchi, M.D., Remi Gagnon, M.D., Ines de Mir, M.D., Neal Jain, M.D., Lawrence D. Sher, M.D., Xuezhou Mao, Ph.D., Dongfang Liu, M.S., Yi Zhang, Ph.D., M.P.H., Asif H. Khan, M.B., B.S., M.P.H., Upender Kapoor, M.D., Faisal A. Khokhar, M.D., Paul J. Rowe, M.D., Yamo Deniz, M.D., Marcella Ruddy, M.D., Elizabeth Laws, Ph.D., Naimish Patel, M.D., David M. Weinreich, M.D., George D. Yancopoulos, M.D., Ph.D., Nikhil Amin, M.D., Leda P. Mannent, M.D., David J. Lederer, M.D., and Megan Hardin, M.D., M.P.H. for the Liberty Asthma VOYAGE Investigators*
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代謝、内分泌の観点から考える苦痛のない癌治療
感染症を含めた病気の治療という点で、
「進化(Evolution)」を考えるのは重要だと考えています。
例えば、デングウィルスは20年くらいの間で、
より異種性(遺伝子的な相違)が高まったという報告もあります(1)。
デングウィルスの場合は、
抗体量や親和性が十分でない場合に再感染した場合には
抗体依存性感染増強が起きるとされています(1)。
従って、コロナウィルスとは異なる特徴を持っています。
ウィルスというのはライフサイクルが非常に速く
増殖率も高いので、比較的短期間で進化して
その中で自然選択があると考えています。
コロナウィルスのワイルドタイプ⇒デルタ株のようにです。
一方、
人やゾウなどの動物の個体で見ると、
そのような進化は何千年という長い期間をかけて生じると考えられます。
従って、産業的な変化の大きなこの数十年で
人の何かが劇的に変わるというのは
進化的には考えにくいです。
一方、
人の身体の中のミクロな部分を見ると細胞の集まりです。
その細胞は数兆個あるとされています。
細胞のライフサイクルや増殖率は
ウィルスと同様に高いために進化する事が考えられます。
一般的には年を重ねることで老化します。
その中で細胞の老化に伴う様々な疾患が老年期で生じることになります。
そのような細胞の進化、遺伝子的な変化は
悪性の腫瘍である癌細胞でも生じると考えられます。
「Cancer evolution」という言葉は一般的に知られています(2)。
このような経時的に変化する事は、
癌の治療においての「治療耐性」に関わることです。
例えば、
比較的大きな腫瘍において、抗がん剤が効いて、
腫瘍が一定の大きさ如何に小さくなったとしても、
治療をやめた途端、再発する事があります。
いくつかの可能性が考えられますが、
1つは癌組織の中の細胞の中で薬剤に対して耐性を持つ癌細胞があって、
それが残り、そこから増殖した可能性が考えられます。
今は日本では紅葉のシーズンです。
ドローンで空から山々をカメラで撮影した時に
色鮮やかな景観を楽しむことができます。
赤、黄、緑、茶、、、
様々な色があって、その濃さもあります。
もし、癌細胞の遺伝子的な特徴をこのように色分けすると
癌組織の景観は今の日本の山々のようになっている事が考えらえます。
これを「intra-tumor heterogeneity」と呼びます。
1つの腫瘍内に異種性があることが
癌の治療の難しさを生んでいます。
例えば、
赤だけに効く薬剤を投与したとしても
残りの色の癌細胞が再び成長してしまう可能性があります。
従って、
より困難な(進行性の)癌治療のレベルを継続的に上げていくためには
---
①複数のルートで癌治療を行う
(これについては過去、細胞種特異的輸送系統で述べてきました。)
②癌が持つ共通の機序を標的にする
---
ということが求められます。
他にも考えられるかもしれませんが
現在私の頭の中を支配している癌治療の選択は
この2つの事に収斂しています。
これを私が継続的に取り組んでいく
「Cell-type-specific delivery system」で
どの様に実現するか?
またこの方式で生かせるメリットは何かということを
日々、熟考しています。
生きていくために必要なことはなにか?
生物が共通で必要なことはなにか?
ということを問うてみます。
そうした場合、真っ先に頭に浮かぶのが「摂餌」です。
つまり栄養の摂取です。
人は毎日、何かを食べないと生きていくことができません。
それが、癌治療における癌細胞も同様です。
癌細胞も栄養を摂取しない事には生きていく事ができません。
従って、栄養を絶つという事ができれば、
癌細胞を消滅させる事が当たり前ですができます。
それを日本では「兵糧攻め(ひょうろうぜめ)」と呼びます。
先ほど「景観」の話をしましたが、
「糖」という軸で大きな癌組織の景観を見ると
その色の分布は一色になると考えられます。
もちろん糖の代謝のために必要な遺伝子変異で見れば
そこには異種性がある可能性がありますが、
広く「糖」という軸でみれば、一色です。
癌は非常に細胞の活動が活発なので
嫌気性で糖を中心とした代謝経路になります。
これを「ワールブルク効果」と呼びます。
しかし、こうした「共通性の高い標的」は
他の通常の細胞も必要としていることがほとんどです。
仮に糖を劇的に抑える薬を開発して
それを治療に使うと、極端なエネルギー不足になります。
通常の細胞も必要だからです。
従って、ここで上述した
「Cell-type-specific delivery system」が
メリットを発揮します。
もし仮に癌細胞だけ、その近傍だけ
糖などの癌が必要とする栄養を抑えることができれば、
癌細胞だけを兵糧攻めにすることができます。
そうした体内分布の特異性、異種性を生み出せる可能性があることが
この細胞種特異的輸送系統のメリットです。
従って、
Cell-type-specific delivery systemを実現させるときには
「共通性の高い、根本的な機序を標的にする」
ことが癌細胞の進化の過程を考慮すると
メリットをより生かせる可能性があります。
従って、
"癌代謝治療"と"Cell-type-specific delivery system"の
"親和性(Affinity)"は高いと思います(3,4,15)。
そういったことは近日、私の頭を支配していましtが、
この記事を書くことを決定的にしたことが先ほど頭に浮かびました。
それは身体の監視役、飛び道具である
「免疫システム」です。
もし、仮に代謝経路を抑制する共通性の高い効果的な薬剤を
癌細胞だけに運ぶことができても、
「癌細胞内、近傍に存在する免疫システムに影響を与える」
ということです。
例えば、免疫システムは攻撃性が高まると
糖代謝がメインになるという報告があります。
つまり、癌細胞の代謝と「似てくる」のです(5)。
そうすると仮に糖の代謝経路を弱める機序を薬剤によって組み込んだら
同時に免疫機能が弱まることが予想されます。
ここが癌治療において非常に難しいところです。
特異的輸送を実現したうえで
免疫機能 >> 癌増殖機能
という不等号がなりたつような栄養状態、代謝系の
微小環境にできるか?ということが問われます。
従って、代謝系の複雑な生理経路の中で
「免疫機能にはなく癌細胞にだけあるような機序」
を見つける必要があります。
そのような事を考えているときに想起されるものがありました。
ずっと疑問だったことがあります。
「The New England Journal of Medicine誌」で
CAR-NK細胞の癌治療についての報告がありました。
これはオープンの報告なので
かなり注目に値する内容であると推測しています。
しかし、その副作用をみると
深刻な(グレード4)の好中球減少、リンパ球減少が副作用としてあります。
これが「なぜなのか?」
ずっと棘が刺さったように頭の中にあります。
その一つの原因は「免疫細胞の栄養不足」にあるのではないか?
と本日仮説を立てました。
NK細胞の代謝自体は好気性のOXPHOSと解糖経路の両方があります(7, Table1)。
しかし、NK細胞の攻撃性が癌や抗ウィルスなどで高まると
栄養を多く必要として、糖の摂取が増える事になります(8)。
そうした「免疫系の栄養バランスの変化」が
CAR-NK細胞の導入によって起こり、
結果として免疫バランスの不均衡が生じた可能性があると考えています。
しかしながら、好中球やリンパ球の減少は
血液検査での結果で「全身性」であり、
そこにこの仮説に対する一定の懐疑性を残します。
いずれにしても、京都大学の金子先生を中心とした研究グループが
iPS細胞を使って臨床試験をiCAR-NK細胞で始めましたが、
このリンパ球減少、好中球減少の深刻な副作用の結果は
少なくとも無視はできないと考えられます。
代謝的な観点も考慮に値すると考えます。
※免疫細胞(種ごと)の詳しい代謝機能については
まだ、あまり調べられていないので
今後、研究される事を期待しています。
もう一つ、今精力的に考えていることがあります。
それが成長ホルモン、インスリン様成長因子と癌の関係です。
癌のホルモン療法というのがあります。
癌治療には
外科、化学療法、放射線療法、免疫療法、代謝療法などがありますが、
もう一つとしてホルモン療法があります。
なぜ、私がこれに着目したか?
成長ホルモンというのは、
子供の時期に多くて、身体を大きくするためのホルモンです。
身体が大きくなるということは細胞の数が増えることを意味します。
こうした観点から、
癌細胞が組織として「異常に!」成長するためには
成長ホルモンが何らかの形で関わっているはずである
という仮説を立てました。
実際にそのような報告があり、
この成長ホルモンとインスリン様成長因子が密接に相互作用して
癌細胞の成長に関わっていると考えられています(9, Figure.3)。
ゆえに、特に高齢に方においては
老化によって成長ホルモンが下がっているのにもかかわらず、
悪性度の高い活性な癌組織の周辺では
少なくとも局所的にはこれらのホルモン量が高まっている可能性が考えられます。
実際に日本の研究で膵臓癌とインスリン様成長因子と正の関係があり
インスリン様成長因子が高いと膵臓癌死亡リスクが高まることが示されています(10)。
成長ホルモンとインスリン様成長因子は密接に関わっていますから、
成長ホルモンと癌の相関関係も見出せる可能性があります。
こうした成長ホルモンやインスリン様成長因子は
細胞の成長に関わるホルモンですから、
成長著しい癌細胞においては「ユニバーサル」である可能性があります。
従って、上述した
②癌が持つ共通の機序を標的にする
に関わりうる事です。
しかし、従来の薬剤で成功しなかった一つの理由は
「糖尿病の副作用がでること」が挙げられています。
従って、これを回避するためには
細胞種特異的輸送系統によって
癌細胞周辺だけこれらのホルモンを抑えるような処置が必要です。
しかし、この場合においても
「免疫システム」を考える必要があります。
成長ホルモンと免疫システムは密接に関わっているからです。
成長ホルモンやインスリン様成長因子の異常は
子供や若い人でも見られる骨肉腫などを含めた骨の癌との
関わりが深いとされています(13)。
骨の癌は内科的なアドジュバント療法を併用しながら
外科的に腫瘍部を取り除き、再建させる手法がとられるとされています(13)。
Ref.(13)のFigure.2を見ると
骨の癌が関節近くに癒着して成長している様子が図示されています。
ここから想起されたことがあります。
癌を内科的に小さくしていく過程で
物理的にどのような経路で小さくなっていくか?という疑問です。
もし、外側の基底部から弱体化させることができれば、
手術で行われるように、腫瘍組織を「組織から剥がす」事も
可能ではないか?と考えました。
そのような腫瘍組織の基底部を考えるときに
おそらく重要になるのが"Basement membrane"と呼ばれる
癌基底部に存在する被膜です。
この被膜は癌の成長に必要な血管や内皮に存在します(14,Figure.1)。
仮に腫瘍組織周辺で変化した"Basement membrane"が
変化しているならば、その変換因子に対して
細胞種特異的輸送系統で標的にして、作用させることで
腫瘍組織を基底部から手術のように「はがすこと」ができないか?
ということを考えました。
そうすると比較的大きな腫瘍も
すべて細胞死させることなしに分解させて血液中に流動させ、
排出させる事が出来ないか?と考えました。
一方、大きな組織は「堆積する、詰まる」可能性もありますし、
組織から間質、循環器に遊離する事で、上皮間葉転換や転移を
促進してしまう可能性があります。
また、代謝療法、ホルモン療法は
年齢によってリスクが異なることが考えられます。
成長期の子供や若い人に対して
成長ホルモンを抑えるような癌治療を行う場合には
デメリットが大きくなる可能性があります。
なぜなら、身体全体が成長ホルモンを必要としているからです。
逆に高齢の人は
成長ホルモンが低い方が「アンチエイジングにおいて!」
メリットがあるとされています。
もともと成長ホルモンを適正に下げたほうがいいですから
高まっているホルモンを下げる事は、
デメリットよりもメリットが上回る可能性が考えられます。
従って、
どちらかというと代謝やホルモン療法は
高齢の方に適合した治療方法であると考えられます。
しかし、現時点で
子供や若い人の「苦痛のない癌治療において」の可能性を
除外するものではありません。
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(参考文献)
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