いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
本日ヤフーのトップニュースで
大阪大学と医療新興企業アンジェスが開発したワクチンが
大阪市立大学病院で20代から60代の男女、30人に対して
日本で初めて新型コロナウィルスに対する
第一段階治験が行われる
ということが報道されています。
このワクチンはDNAワクチンということで
身体の中に特定のタンパク質を作り出す設計図を入れることです。
そのたんぱく質は、
コロナウィルスと同様のSタンパク質のスパイクを作ることができ
それによって抗体を体内のB細胞から産生させ、
新型コロナウィルス感染前に免疫を付けるものです。
このスパイクは複製するウィルスRNAを有しておらず
ウィルスが持つ毒性を有していないため
身体には悪影響は与えないだろうということです。
大阪大学、大阪市立大学、大阪の企業という
産学連携によって生み出されたものであり
「大阪ワクチン」ともいわれます。
私の生まれ故郷でもあるので、
上手くいってほしいと願うばかりです。
ただワクチンの治験が仮にうまくいったとしても
世の中に出回るのは、早くても来春くらいといわれています。
そこで政府が交渉しているのは
オックスフォード大学が開発するワクチンで
それは第三段階(千人規模の治験)までいっており、
9月には使えるようになると言われています。
ただ世界に配られるワクチンの数は年間10億本といわれており、
すでに海外勢で9億本が確保されていることもあって
早い段階で充分数入手できるか不透明な部分があります。
このワクチンは新型コロナウィルスのスパイクを
産生するように人工的に作られた
感染力がない、あるいはそれが弱い
風邪のウィルスを注入するタイプです。
(ワクチン名:ChAdOx1)
さて、ワクチンには上も含めて
いろんなタイプがあります。
①作用を弱めたウィルス
新型コロナウィルスそのものを入れますが。
増殖能力を人工的に弱めたものをいれます。
そのものをいれるので整合性は高く、
適切な抗体を生み出すことができるかもしれませんが、
多く製造するのに課題があると言われています
②不活性化されたウィルス
参考文献には「感染しない」という文章になっています。
つまり、スパイクはあるけど
細胞内に入らない、あるいはRNAが不活性化されて
増殖しないのいずれかだと思いますが、
どちらかによって解釈が変わってきます。
③DNAワクチン
これは上記の「大阪ワクチン」が属するタイプです。
スパイクを作り出す設計図を入れるものです。
安全性と生産性の高さが利点ですが、
実績があまりなく、効果がでるかどうか?
というところが課題のようです。
従って、治験の結果分析が重要になります。
この設計図をRNAにしたものもあります。
それはRNAワクチンと言われます。
④プロテインサブユニット
これは新型コロナウィルスのスパイクを
体外で作ってそれを体内に注入するものです。
⑤ウィルス様粒子
新型コロナウィルスの構造に似せた
内部にRNAがない空の粒子を注入するものです。
しかし製造が難しいといわれています。
これらのウィルスは
すべてACE2エントリー受容体に作用するものですが、
細胞内で働く免疫機能もあるかもしれません。
新型コロナウィルスが
細胞内に入った後、RNAの増殖を弱めるような
抗体がスパイクにつく抗体とは別の機序、経路で
細胞内に入って働くものがあれば、
それは新たなワクチンになる可能性があります。
先日のブログ記事でも提案しましたが、
これに限らず、そのような違う機序の免疫機能があれば、
それらに作用する複数のワクチンでより効果的な予防ができる
可能性があるからです。
以上です。
(参考文献)
Ewen Callaway
The race for coronavirus vaccines: a graphical guide
Nature vol.580, pp.576-577 (2020)
doi: 10.1038/d41586-020-01221-y
(参考メディア)
読売テレビ 情報ライブミヤネ屋 6/30放送
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
SARS-CoV-2:新型コロナウィルスの大枠としての定義は
「RNAウィルス」ということになります。
RNAウィルスは、
ポリオウィルス、MARS、ノロウィルス、デング熱ウィルス
ジカウィルス、日本脳炎ウィルス、インフルエンザウィルス
ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、、、、
のようにいくつかの分類があるものの
人にとって脅威となるウィスルはいろいろ存在ます。
新型コロナウィルスの予防、治療を
ワクチン、薬剤、あるいは食事、運動などの日常生活
を含めて考えるときに、
RNAウィルスが持つ共通性を理解することは大事です。
例えば、
レムデシビルという薬剤のように
いくつかのRNAウィルスに対して抗ウィルス性の薬効を示す
ものがあります。
このレムデシビルはRNAと結びつくRNA酵素の活性を抑える
働きがあります。
ウィルスが細胞内に入ってRNAが覆われている膜から放出され
それが複製するときに使われる酵素が
宿主から取り込まれる時に構造的、機能的に
「共通性」があれば、抗ウィルス性の普遍性が生まれます。
つまり、過去開発された薬剤を使うことができます。
実際にレムデシビルは新型コロナウィルスに
一定の薬効を示したとされています。
このRNAウィルスが細胞内に入って、
様々な段階を経て、複製して細胞外に放出されます。
それで数が増える、
あるいは生物の中に一定量残って、
社会に存在し続けるということが起こり得ます。
インフルエンザが毎年のように流行するのも
体内にRNAウィルスが残っていて、
それが冬になると活性化するという現象が起こっている
可能性もあります。
あるいは何らかの生物に寄生して
残っているという可能性もあります。
そのRNAウィルスが今少し述べた様に
どのような経路で複製しているかというのを
詳細に紐解いていくことは病理を理解する上で非常に重要です。
以前からRNAウィルスに関する研究は進んでいて、
それが一般的に持つ特徴はわかっている部分があります。
その複製の経路の中で
エピトランスクリトーム(Epi-transcriptome)
つまり「塩基配列の変化を伴わない機能的な変化」
が複製を制御している可能性を示唆されています。
トランスクリトームは
RNAの設計図に従って特定のタンパク質を作り出すため
のプロセスのことです。
RNAウィルスはたんぱく質や脂質などとの複合作用によって
複製することがわかっていますから、
この経路は大事です。
それが機能的な変化をすることで
複製を強めることがあると考えられています。
その機能的な変化は、
RNA構造のメチル化といわれています。
そのメチル化する物質の代表的な一つとして、
N6-methyladenosine (m6A)
というのがあります。
そのm6Aの詳細な機序について
人メタ肺炎ウィルス(HMPV)に対して行われた
研究の情報を共有いたします。
ただし、これは人の体内で行われた研究ではなく
ラットによるものです。
このウィルスは一本鎖マイナス鎖ウィルスです。
新型コロナウィルスは一本鎖プラス鎖ウィルスです。
m6AはHMPVの複製を促進する役割を示します。
逆にm6Aを不活性化すると
抗ウィルス作用をもつサイトカインである
タイプIインターフェロンの分泌を増加させます。
それは細胞質のRNAの検知の役割を持つRIG-Iの機能が
高まることに依ります。
そのRIG-Iは機能が高まる中で
3次元的な構造(配座)を変化させることがわかっています。
それによってRNAとRIG-1の結合における親和性があがる
と考えられます。
それによってタイプIインターフェロン分泌が増加します。
このRIG-Iの機序は
京都大学ウイルス研究所藤田 尚志教授によって
明らかにされました。
またRIG-IはNF-κBを活性化するとされています。
NF-κBは転写因子として働くタンパク質複合体であり
免疫応答、炎症、癌などに関わるとされています。
このタンパク質の設計図を持つ伝令RNAは、
糖の一種であるリボースの2'-O位置でメチル化される
と言われており、
その位置がメチル化酵素によってメチル基で装飾される
ことで宿主細胞が持つ免疫機能から逃れることができる
と一般的には言われています。
つまりRNAウィルスにあるRNAがメチル化されることは、
そのRNAが宿主の免疫機能によって攻撃され、
破壊されるのを防ぐ機能を持ちます。
RNAの機能変化は150種類以上知られていますが、
m6Aによるメチル化は最も普遍的な改変であると言われています。
従って、新型コロナウィルスでも確認される可能性はあります。
またリボースの2'-O位置でのメチル化は、
RIG-IがRNA鎖の中でオリゴマー化することで防がれることが
2本鎖RNAでは示されてきました。
※新型コロナウィルスは一本鎖RNAウィルス
m6AはRIG-IによるRNA鎖のオリゴマー化の
ブレーキ役として働いていると考えられています。
従って、ワクチン開発するときには
このメチル化因子であるm6Aを標的として
それを弱まるようにすることが
一つの戦略として考えられます。
ここからは私の考察、疑問です。
このメチル化は複製したRNAには引き継がれないのか?
ということが気になります。
メチル化するのは細胞内に限られるのか?
おそらくRNAが胞で覆われている時ではなく、
細胞内に入って露出した時にメチル化因子を取り込むと
考えられるので細胞内に限られると推測します。
このような疑問を持つ背景は、
メチル化したRNAを持つウィルスは
免疫機能が効きにくく複製機能が高いので
もしその状態を「維持」したウィルスが増えると
一気に数が増えて重要化する要因になるかもしれない
と考えたからです。
例えば、細胞内で複製されたRNAが
細胞内で出る前にメチル化されて
その状態でスパイクを含む膜につつまれて
細胞外に出たとします。
そうするとそのウィルスは免疫に対して強い
増殖能力の高い状態になります。
そのような危惧があるので、
患者さんの血液から取り出した新型コロナウィルスの
RNA解析をしたときに
そのメチル化、あるいは装飾因子を
統計的に調べることは重要ではないか
と考えました。
その割合によってリスク評価できる可能性があります。
以上です。
(参考文献)
Mijia Lu, Zijie Zhang, Miaoge Xue, Boxuan Simen Zhao, Olivia Harder, Anzhong Li, Xueya Liang, Thomas Z. Gao, Yunsheng Xu, Jiyong Zhou, Zongdi Feng, Stefan Niewiesk, Mark E. Peeples, Chuan He & Jianrong Li
N6-methyladenosine modification enables viral RNA to escape recognition by RNA sensor RIG-I
Nature Microbiology volume 5, pages584–598(2020)
https://doi.org/10.1038/s41564-019-0653-9
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
コロナウィルスの治療薬において
過去、人に対して使用された薬を使うことは重要です。
私はRNAウィルスは共通の機序があると思っています。
その中で過去地球上で伝染したRNAウィルスの
治療薬として効果を示した薬の使用を検討することは重要です。
いろんなプロセス省くこともできます。
そのRNAウィルスの一つであるエボラ出血熱の治療薬として
開発された「レムデシビル」は、
新型コロナウィルスと同じRNAウィルスである
RSウィルス、フニンウィルス、
過去のコロナウィルス(MERS、SERS)に対して
抗ウィルス活性を示したとあります。
従って、同じRNAウィルスでかつ
同じ種類のコロナウィルスに対して薬効を示した
レムデシビルは新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)にも
薬効を示すことが期待されていました。
過去の世界の治療実績では一定の薬効が認められ
日本でも5月7日に新型コロナウィルスへの治療薬として
承認されました。
それからしばらく時間が経つので
現在、日本の最先端の現場ではある程度データが
まとまってきている段階だと思います。
しかしながら、想定されるいくつかの副作用があります。
呼吸不全、臓器機能障害、皮膚の黄変、胃腸障害
などが挙げられています。
これらの原因は血液の機能バランスが崩れることが
多くの場合挙げられています。
(以上、ウィキペディア:レムデシビルより
英語サイト含む)
------
このようなレムデシビルの薬効を得ながら
より新型コロナウィルスに
副作用が少なく、かつ高い薬効を示す薬を開発していくために
レムデシビルの薬理を理解することが重要です。
レムデシビルは、ウィルスが細胞内に入って、
タンパク質、脂質などを宿主細胞から取り込んで
RNAが複製される時に
その反応活性を高めるために使われる
RNAポリメラーゼと呼ばれる酵素の働きを
抑制する効果を示します。
その構造的な分析を参考文献でしています。
その構造分析では、レムデシビルは
RNAと酵素が作用する中でRNA鎖の螺旋構造の中に
共有結合的に入り込むことがわかっています。
それによって鎖の伸長を切るとされています。
RNAポリメラーゼという酵素は
ヌクレオチドというRNAの単位が小さい(50?)と
その活性サイト、つまり反応を強めるサイトの
nsp12というところがあまりうまく働かないと言われています。
それがnsp7-nsp8と複合体を作ることで
重合化してRNA構造が延長化されます。
それによって酵素としての働きが強くなり、
RNAウィルスであるコロナウィルスの複製、数が増える
ことにつながります。
Remdesivir triphosphate(レムデシビル三リン酸塩)
という物質がこの酵素の伸長、つまり
ヌクレオチドの重合化を防ぎ、
酵素の働きを弱める効果があるということです。
その他、同じような作用をする薬として
アビガン(ファビピラビル)、
リバビリン、
ガリデシビル、
EIDD-2801
があり細胞ベースの研究では
SERS-CoV-2に効果があったとされています。
EIDD-2801に関しては、
SERS-CoV-2の複製効果は
レムデシビルの3倍から10倍の効果を示した
という報告もあります。
これが高い薬効を示した理由としては、
K545の側鎖に水素結合したことと
RNAの非コード鎖(テンプレート螺旋鎖)のグアニン
に水素結合したことが
上げられるようです。
つまり、特定の2か所に水素結合することが
薬効を示すうえで一つのキーとなる
ということです。
この薬はインフルエンザの治療に使われており
イギリス、アメリカの健常者の治験ボランティアによって
4月、5月、6月に安全性、薬物動態が
確認されています。
EIDD-2801は、高い薬効を示す可能性があるので
少ない量で副作用が少ない状態で
薬による治療が行える可能性があるため
日本でも専門家の方の監修のもと
検討の候補として考えられると思います。
以上です。
(参考文献)
Wanchao Yin et al.
Structural basis for inhibition of the RNA-dependent RNA polymerase from SARS-CoV-2 by remdesivir
Science 368(6498),1499-1504.(2020)
DOI:10.1126/science.abc1560
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
ドイツの18歳の学生さんは4月の中旬に
コロナウィルスに感染しました。
しかし感染した初期は状態がよかったといいます。
しかし、
数日後、倦怠感と極度の喉の渇きを感じるようになりました。
5月の初旬に彼は1型糖尿病と診断されました。
1型糖尿病はβ細胞が破壊されて
インスリンが出なくなる病気です。
この根本原因は一般的にはよくわかっていないと理解していますが、
このケースでは、コロナウィルス感染が関わっている
可能性があると医師から告げられました。
コロナウィルスがインスリンを分泌する
β細胞を破壊した可能性が考えらえています。
なぜなら彼の血液には
β細胞にダメージを与える免疫細胞が
含まれていなかったからです。
コロナウィルスが直接的にβ細胞に入っているのか
あるいは免疫反応よって放出された
サイトカインやケモカインが原因かわかりませんが、
1型糖尿病には自己免疫状態が関わっているとされているため
コロナウィルスに感染したことによって生じた
免疫応答の乱れによってβ細胞が破壊された
可能性を私は考えています。
実際に参考文献でも同じような考察がされています。
もしそれが実態をある程度捉えているとすると
免疫応答を暴走させないことが求められます。
では免疫応答が暴走する原因は何でしょうか?
例えば、RNAの複製率が高く
一気にウィスルが増える環境であると
それに応じて身体は緊急サインを出すかもしれません。
それで制御が難しくなるという仮説です。
もしそうであれば、
RNAの複製率が上がらないような処置
あるいはウィルスがまだ少ないときに
早期に治療できることが体中で起きるかもしれない
いろんな弊害を防ぐことができるかもしれません。
なぜなら
例えば複製率の指数が2だとします。
その場合、
1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024,,,,
とウィルスは増えていきますが、
初めの段階では数個しか増えません。
それが放置されると500、1000個と増えていきます。
つまり遅くなれば、変化率が大きくなるのです。
そうなる前に適切な治療をすることが望ましいです。
以上です。
(参考文献)
Smriti Mallapaty
Mounting clues suggest the coronavirus might trigger diabetes
Nature (2020) 24 JUNE
doi: 10.1038/d41586-020-01891-8

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